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Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
リリース12.1 For Windows
B72965-06
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A Oracle Grid Infrastructureのインストール・プロセスに関するトラブルシューティング

この付録では、Oracle Grid Infrastructureのインストールに関するトラブルシューティング情報について説明します。

関連項目:

  • 『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』

  • 『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』

A.1 Oracleサポートに連絡する際のベスト・プラクティス

Oracleサポートに連絡して問題を報告する必要がある場合は、サービス・リクエストを入力するときに次のガイドラインに従うことをお薦めします。

  • 問題の明確な説明(正確なエラー・メッセージを含む)を提供します。

  • 問題のトラブルシューティングを行うために実行した手順と、この手順の結果の説明を提供します。

  • 影響を受けたソフトウェアの正確なリリース(メジャー・リリースとパッチ・リリース)を提供します。

  • Oracleサポートが問題を再現できるように、問題が発生したときに実行した処置の段階ごとの手順を提供します。

  • 問題の影響の評価(影響を受けた最終期限およびコストを含む)を提供します。

  • スクリーンショット、ログ、Remote Diagnostic Agent (RDA)出力などの関連情報を提供します。

A.2 一般的なインストールの問題

次に、インストール中に発生する可能性のある様々なエラーの例を示します。

関連項目:

エラー・メッセージの解決に関するその他のヘルプについては、My Oracle Supportを参照してください。たとえば、Doc ID 1367631.1のNoteには、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Clusterwareの最も一般的なインストールの問題の一部が含まれています。

A.2.1 CLSRSC-444: OUIセッションを含むノードでrootスクリプトを実行してください

原因: このメッセージが表示され、OUIを実行しているノードではないノードがリストされた場合は、rootスクリプトの実行中または実行完了前に、指定されたノードが停止したことが原因として考えられます。

処置: 最初のノードからインストールを再試行します。計画された一連のクラスタ・メンバー・ノードの、すべてまたは一部でOracle Grid Infrastructureを完了した後、OUIを起動して、エラーに示されたノードで、失敗したOracle Grid Infrastructureインストールを削除します。ノードで失敗したインストールを削除したら、そのノードをクラスタに手動で追加します。

関連項目:

ノードを追加する方法の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

A.2.2 Microsoftフェイルオーバー・クラスタがインストールされている場合にネットワークまたはVIPリソースの起動に失敗する

原因: Windows Server 2008クラスタにMicrosoftフェイルオーバー・クラスタ(MSFC)がインストールされている場合で(構成されていない場合でも)、Oracle Grid Infrastructureをインストールしようとすると、グリッド・インフラストラクチャの構成フェーズ中にインストールが失敗し、リソースora.net1.networkまたはVIPリソースを起動できなかったことが示されます。

MSFCをインストールすると、仮想ネットワーク・アダプタが作成されて、バインド順の最上位に配置されます。このバインド順の変更はレジストリのみで確認でき、サーバー・マネージャの「ネットワーク接続の表示」には表示されません。

処置: 唯一のソリューションは、同じWindows Server 2008クラスタにMSFCとOracle Grid InfrastructureまたはOracle Clusterwareをインストールしないことです。

A.2.3 OUIのノードの選択画面で選択可能なノードがない

原因: Oracle Grid Infrastructureがインストールされていないか、またはOracle Grid Infrastructureサービスが起動および実行されていません。

処置: Oracle Grid Infrastructureをインストールするか、またはインストールの状態を確認してください。また、ノードを再起動すると問題を解決できる場合があります。

A.2.4 ノードnodenameに到達できない

原因: IPホストが使用不可能です。

処置: 次の手順を実行してください。

  1. コマンド・プロンプトで、コマンドipconfig /allを実行します。このコマンドの出力とhostsファイルの内容を比較して、ノードIPがリストされていることを確認します。

  2. オペレーティング・システム・コマンドnslookupを実行して、ホストが到達可能であるかどうかを確認します。

A.2.5 PROT-8: 指定したファイルからクラスタ・レジストリにデータをインポートできない

原因: 既存のOracle Cluster Registryデバイスのパーティションに十分な領域がないため、アップグレードの実行中に移行障害が発生します。確認するには、ログ・ファイル%GRID_HOME%\log\hostname\client\ocrconfig_pid.logでエラー「utopen:12:Not enough space in the backing store」を検索してください。pidはプロセスIDです。

処置: 400MB以上の使用可能な領域があるストレージ・デバイスを指定します。ディスク全体をOracle ASMに割り当てることをお薦めします。

A.2.6 CRSスタックの起動の待機中にタイムアウトした

原因: 構成の問題によってOracle Grid Infrastructureソフトウェアをすべてのノードに正常にインストールできない場合は、CRSスタックの起動の待機中にタイムアウトしたことを示すエラー・メッセージが表示される場合があります。または、インストーラを終了した後、Oracle Clusterwareで管理するリソースが一部のノードで作成されなかったことに気が付く場合があります。リソースのステータスがONLINE以外であることに気が付く場合もあります。

処置: バイナリを削除せずにOracle Grid Infrastructureインストールの構成を解除し、構成の問題の原因を判断するためにログ・ファイルを確認します。構成の問題を修正した後、インストール時に使用したスクリプトを再度実行し、Oracle Clusterwareを構成してください。

A.2.7 その他のインストールの問題およびエラー

エラー・メッセージの解決に関するその他のヘルプについては、My Oracle Supportを参照してください。

たとえば、Doc ID 1367631.1のNoteには、Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Clusterwareの最も一般的なインストールの問題の一部が含まれています。

A.3 詳細モードによるCVUの「不明」出力メッセージの解釈

-verbose引数を使用してクラスタ検証ユーティリティ(CVU)を実行し、特定のノードに対するクラスタ検証ユーティリティ・コマンドの結果がUNKNOWNになる場合、その原因は、検証時に問題が検出されたかどうかをクラスタ検証ユーティリティで判断できないことにあります。

UNKNOWNレスポンスの考えられる原因は、次のとおりです。

  • ノードが停止している。

  • クラスタ検証ユーティリティで必要な、オペレーティング・システムの共通コマンド・バイナリが、Oracle Grid Infrastructureホームの/binディレクトリまたはOracleホーム・ディレクトリで不足している。

  • クラスタ検証ユーティリティを起動したユーザー・アカウントには、ノードでオペレーティング・システムの共通コマンドを実行する権限がない。

  • ノードで、オペレーティング・システム・パッチ、または必須パッケージが不足している。

A.4 Oracle Grid Infrastructureの設定に関するCVUメッセージの解釈

Oracle Grid Infrastructureをインストールするための要件をシステムが満たしていないことがクラスタ検証ユーティリティのレポートに示された場合は、この項の説明に従ってレポートに示されている問題を解決し、クラスタ検証ユーティリティを再実行します。

「ユーザーのユーザー等価チェックが失敗しました。」

原因: すべてのノード間でユーザー等価関係の設定に失敗しました。これは、必須のユーザーを作成していないため、インストール・ユーザーがすべてのノードで同じでないため、または失敗したノードで異なるパスワードを使用しいるためである可能性があります。

処置: クラスタ検証ユーティリティによって、ユーザー等価関係の設定に失敗したノードのリストが表示されます。失敗したノードと示されている各ノードに対して、ユーザー構成およびユーザー等価関係が正常に完了していることをOracleインストール・ユーザー構成で確認してください。

次のことを確認してください。

  • 各クラスタ・ノードの管理者グループで明示的なメンバーシップが付与されているドメイン・ユーザー・アカウントを使用している。

  • そのユーザー・アカウントは、各ノードで同じパスワードを持つ。

  • ユーザーのドメインは各ノードで同じである。

  • そのユーザー・アカウントは、各ノードで管理権限を持つ。

  • そのユーザーは、ローカル・ノードから各ノードのレジストリに接続できる。

  • 各ノードのユーザー・アカウント制御の設定を変更する必要がある。

  • 「監査とセキュリティ ログの管理」で、管理者グループがリストされていることを確認します。

「ノードからのノード到達可能性チェックが失敗しました。」または「ノード接続性チェックが失敗しました。」

原因: クラスタ内に、TCP/IPプロトコルを使用したパブリックまたはプライベート・インターコネクトで到達できない1つ以上のノードがあります。

処置: ping addressコマンドを使用して、各ノードのアドレスを確認してください。到達できないアドレスを発見した場合は、パブリックおよびプライベート・アドレスのリストを確認して、それらを正しく構成してください。パブリック・ネットワーク・インタフェースおよびプライベート・ネットワーク・インタフェースのインタフェース名は、クラスタ内の各ノードで同じである必要があります。

パブリックおよびインターコネクト・ネットワーク・アダプタ(NIC)に、PUBLICおよびPRIVATEというすべての大文字の名前は使用しないでください。private、Private、publicおよびPublicなどのバリエーションは、ネットワーク・インタフェース名に使用できます。

関連項目:

A.5 Oracle Clusterwareアラート・ログについて

Oracle Clusterwareは、Oracle Database障害診断インフラストラクチャを使用して診断データとアラート・ログを管理します。このため、ほとんどの診断データは自動診断リポジトリ(ADR)(インストール時に指定したベース・ディレクトリ内のディレクトリとファイルのコレクション)に含まれます。

Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1.0.2)以降、Oracle Clusterwareプログラムによって書き込まれる診断データ・ファイルは、(.trcファイル拡張子が付けられた)トレース・ファイルと呼ばれ、ADRホームのtraceサブディレクトリにまとめられます。トレース・ファイルの他に、Oracle Clusterware ADRホームのtraceサブディレクトリには単純なテキストのOracle Clusterwareアラート・ログが含まれます。Oracle Clusterwareアラート・ログは常にalert.logという名前になります。Oracle Clusterwareアラート・ログは、ADRホームのalertサブディレクトリにXMLファイルとしても書き込まれますが、最も読みやすいのはテキスト・アラート・ログです。

深刻なエラーを見つけるには、まずOracle Clusterwareのアラート・ログを見ます。エラーが発生すると、エラーの原因に関する具体的な情報がある診断ログのパス情報が含まれていることがあります。

重要なイベントが発生した場合には、インストール後に、Oracle Clusterwareがアラート・メッセージを書き込みます。たとえば、クラスタ・レディ・サービス・デーモン・プロセス(CRSD)が起動した場合、中断された場合、フェイルオーバー・プロセスが失敗した場合、またはOracle Clusterwareリソースの自動再起動が失敗した場合などに、CRSDからのアラート・メッセージが表示されます。

Oracle Enterprise ManagerはOracle Clusterwareアラート・ログを監視し、エラーが検出されると「クラスタ・ホーム」ページにアラートを書き込みます。たとえば、投票ファイルが使用できない場合はCRS-1604エラーが発生し、Oracle Enterprise Managerの「クラスタ・ホーム」ページにクリティカル・アラートが書き込まれます。「メトリックとポリシー設定」ページで、エラー検出とアラートの設定をカスタマイズできます。

Oracle Clusterwareのログ・ファイルの場所は、ORACLE_BASE\diag\crs\hostname\crs\trace\alert.logです(ここで、ORACLE_BASEはOracle Clusterwareがインストールされたディレクトリで、hostnameはローカル・ノードのホスト名です)。

注意:

  • Oracle Clusterwareのトラブルシューティングの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Database診断データを管理するための自動診断リポジトリ・コマンド・インタプリタ(ADCRI)ユーティリティの詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

  • 自動診断リポジトリ(ADR)の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

A.6 Oracle Clusterwareインストール・アクション・ログのエラーおよび原因

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのインストール時に、ログ・ファイルinstallActions<Date_Timestamp>.log%TEMP%\OraInstall<Date_Timestamp>ディレクトリに書き込まれます。

installActions.logにリストされる可能性のあるエラーを次に示します:

  • PRIF-10: クラスタ・レジストリの初期化に失敗しました

    コンフィギュレーション・アシスタント"Oracle Private Interconnect Configuration Assistant"が失敗しました。

  • KFOD-0311: デバイスdevice_path_nameのスキャン中にエラーが発生しました

  • 手順1: Oracle Clusterwareクラスタのステータスの確認

    手順2: OCRリポジトリの構成

    ocr(-1073740972)のアップグレード障害を無視します

    CLSCFG, ret -1073740972でのOracle Cluster Registryの構成に失敗しました

これらのエラー・メッセージは、次の問題のいずれかが原因である可能性があります。

A.6.1 ディスクのシンボリック・リンクが削除されない

ディスクにASMTOOLとスタンプすると、そのディスクのシンボリック・リンクが作成されます。

ディスクを削除または再構成してもこれらのリンクが削除されない場合、ディスクにアクセスしようとすると、エラーが発生する可能性があります。

問題を修正するには、再度、ディスクにASMTOOLをスタンプしてみることができます。

A.6.2 Oracle Automatic Storage Managementで使用する検出文字列が間違っている

記憶域としてOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を指定すると、ディスクの検索に使用するデフォルトの検出文字列を変更することができます。

検出文字列の設定が正しくないと、Oracle ASMでディスクを検索することができません。

A.6.3 Oracle Clusterwareのインストール時にノード名にピリオドを使用した

ピリオド(.)はノード名に使用できません。かわりに、ハイフン(-)を使用します。

失敗したインストールを解決するために、Oracle Grid Infrastructureインストールのトレースを削除し、サポートされたノード名で再インストールします。

A.6.4 ocr(-1073740972)のアップグレード障害の無視

このエラーは、インストールを実行しているユーザーが管理者権限を持たないことを示します。

A.7 Oracle Grid Infrastructureのインストール中のクラスタ診断の実行

インストーラで「ノードの選択」ページが表示されない場合は、cluvfyを使用してクラスタ・マネージャの整合性を検証します。

  • 次のコマンド構文を使用してクラスタ・マネージャの整合性を検証します。
    cluvfy comp clumgr -n node_list -verbose
    前述の構文例で、node_list変数は、クラスタ内のノードのカンマ区切りリストです。

注意:

スケジュールされたタスクの実行中または実行後に予期しないインストール・エラーが発生した場合は、インストールが完了する前にスケジュールされたタスクによって一時ファイルが削除されている可能性があります。スケジュールされたタスクを実行する前にインストールを完了するか、インストールが完了するまで、クリーンアップを行うスケジュールされたタスクを無効にすることをお薦めします。

A.8 CVUのクラスタ・ヘルスチェックのコマンド・リファレンス

Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.3)以上では、CVUのhealthcheckコマンド・オプションを使用してOracle ClusterwareおよびOracle Databaseインストールをチェックし、必須要件およびベスト・プラクティス・ガイドラインへの適合性を調べたり、正しく動作していることを確認できます。

構文

cluvfy comp healthcheck [-collect {cluster|database}] [-db db_unique_name]
[-bestpractice|-mandatory] [-deviations] [-html] [-save [-savedir directory_path]

例A-1 CVUヘルスチェック・コマンドの例

C:\> cd app\12.1.0\grid\cvu_home\bin
C:\..\bin> cluvfy comp healthcheck -collect cluster -bestpractice -deviations
 -html

セキュリティ

CVUでは、JDBCを使用してcvusysユーザーとしてデータベースに接続し、様々なデータベース・パラメータが検証されます。このため、-dbオプションで指定したデータベースに対してチェックを実行する場合は、最初にそのデータベースでcvusysユーザーを作成し、このユーザーにCVU固有のロールであるCVUSAPPを付与する必要があります。CVUSAPPの役割のメンバーに、システム表に対するSELECT権限を付与する必要もあります。

このユーザーを簡単に作成できるよう、Grid_home\cv\admin\cvusys.sqlというSQLスクリプトが提供されています。このSQLスクリプトを使用して、CVUにより検証するすべてのデータベースでcvusysユーザーを作成します。

コマンド・オプション

  • -collect [cluster|database]

    このオプションを使用して、Oracle Clusterware (クラスタ)またはOracle Database (データベース)のチェックを実行することを指定します。healthcheckコマンドでcollectオプションを使用しない場合、cluvfy comp healthcheckコマンドではOracle ClusterwareとOracle Databaseの両方のチェックが実行されます。

  • -db db_unique_name

    このオプションを使用して、dbオプションの後に入力した一意のデータベース名に対するチェックを指定します。

    dbオプションを使用し、一意のデータベース名を指定しない場合、CVUではクラスタのすべてのOracle Databaseが検出されます。これらのデータベースでベスト・プラクティス・チェックを実行する場合は、各データベースでcvusysユーザーを作成し、ベスト・プラクティス・チェックを実行するために必要なCVUSAPPロールとSELECT権限をこのユーザーに付与する必要があります。

  • [-bestpractice | -mandatory] [-deviations]

    ベスト・プラクティス・チェックを指定するにはbestpracticeオプションを使用し、必須チェックを指定するにはmandatoryオプションを使用します。ベスト・プラクティスの推奨事項または必須要件からの差異のみを確認することを指定するには、deviationsオプションを追加します。-bestpracticeまたは-mandatoryのいずれかのオプションを指定できますが、両方のオプションを指定することはできません。-bestpracticeまたは-mandatoryのいずれも指定しない場合は、ベスト・プラクティスと必須要件の両方が表示されます。

  • -html

    htmlオプションを使用すると、詳細レポートがHTML形式で生成されます。

    htmlオプションを指定し、CVUで認識されるブラウザがシステムで使用可能な場合は、チェックの完了時にブラウザが起動されてレポートがブラウザに表示されます。

    htmlオプションを指定しない場合、詳細レポートはテキスト・ファイルで生成されます。

  • -save [-savedir dir_path]

    検証レポート(cvuchecdkreport_timestamp.txtおよびcvucheckreport_timestamp.htm、(ここで、timestampは検証レポートの日時))を保存するには、—saveまたは-save -savedirオプションを使用します。

    saveオプションを単独で使用すると、レポートはパスCVU_home/cv/reportに保存されます(CVU_homeはCVUバイナリの場所)。

    -save -savedirオプションを使用し、CVUレポートを保存するパスを入力すると、指定したパスにCVUレポートが保存されます。

A.9 インターコネクト構成の問題

インターコネクトが正しく構成されていないと、エラーや可用性の問題が発生する可能性があります。

インターコネクト用に複数のネットワーク・インタフェース・カード(NIC)を使用する場合、サード・パーティのソリューションを使用してオペレーティング・システム・レベルでインタフェースをボンディングする必要があります。そうしない場合、1つのNICの障害が、クラスタ・ノードの可用性に影響します。

Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACをインストールする場合は、インターコネクトに同じボンディングされたNICカードまたはチーミングされたNICカードを使用する必要があります。ボンディングされたNICカードまたはチーミングされたNICカードを使用する場合は、それらが同じサブネット上に存在している必要があります。

エラーが発生したら、次のシステム検証を実行してください。

  • スイッチに適切なケーブル(長さやタイプ)やソフトウェアが使用されていることを、ネットワーク・プロバイダに確認してください。場合によっては、負荷によって切断を起こす不具合を回避するため、またはジャンボ・フレームなどの追加機能をサポートするために、インターコネクト・スイッチのファームウェアのアップグレードや、新しいNICドライバ、オペレーティング・システム・レベルの新しいファームウェアが必要になることがあります。こうした修正を行わずに実行すると、初めのインストールは正常に見えても、後でOracle RACデータベースが不安定になることがあります。

  • ベンダーおよびOracleの推奨事項に従って、仮想ローカル・エリア・ネットワーク(VLAN)構成、二重化設定、自動ネゴシエーションを確認してください。

A.10 ストレージ構成の問題

次にストレージ構成の問題を示します。

A.10.1 ノード・ファイル・システムまたはGridホーム損失からのリカバリ

誤ってファイル・システムを削除したり、Oracle Local Registryを失うことになる別のストレージ構成の問題が発生したり、ノードが破損した場合は、次のいずれかの方法でノードをリカバリできます。

GNS構成でノードを追加した場合は、グリッドのプラグ・アンド・プレイ(GPnP)と呼ばれます。GPnPではプロファイルを使用してノードが構成されるため、ノードの構成データ要件がなくなり、明示的にノードを追加したり削除する必要性がなくなります。GPnPによって、システム管理者は、テンプレートのシステム・イメージを取得するだけで、それ以上の構成を行わなくても、新しいノードでそのイメージを実行できます。GPnPにより、多くの手動操作が不要になり、エラーの発生する可能性が減るだけでなく、構成の変更をより簡単に行えるようになります。個々のノードの構成が排除されると、個々の状態をノードで保持して管理する必要がなくなるため、ノードの交換が容易になります。

グリッドのプラグ・アンド・プレイ機能により、ノードの状態が使い捨て可能になることで、データベース・ノードのインストール、構成および管理のコストが削減されます。これによって、再生成された状態でノードを簡単に交換できるようになります。
  1. オペレーティング・システム・レベルのバックアップからノードをリストアする(推奨)。
  2. そのノードをクラスタから削除してから、Grid_home/addnode/addnode.batを使用してまたクラスタに追加する。
    復元対象のノードで管理者ユーザーとしてaddNode.batコマンドを実行して、OCRキーを再作成し、他の構成タスクを実行する必要があります。次のようなaddnodeコマンドを使用してノードのリカバリを開始します。lostnodeは、クラスタに再度追加しているノードです。
    1. グリッド・ネーミング・サービス(GNS)を使用している場合:
      C:\Grid_home\addnode\bin> addNode.bat -silent "CLUSTER_NEW_NODES=lostnode"
    2. GNSを使用していない場合:
      C:\Grid_home\addnode\bin> addNode.bat -silent "CLUSTER_NEW_NODES={lostnode}" 
      "CLUSTER_NEW_VIRTUAL_HOSTNAMES={lostnode-vip}"
    addnode.batを使用するとクラスタ・ノードを削除して再度追加でき、クラスタ内の残りのノードからリストアできるようになります。クラスタのプロファイル情報がノードにコピーされ、ノードがリストアされます。
addNode.batコマンドが完了したら、クラスタに追加するノードで次のコマンドを実行します。
C:\>Grid_home\crs\config\gridconfig.bat

関連項目:

手動でまたはGNSでノードを追加する方法の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

A.10.2 Oracle ASM記憶域の問題

この項では、Oracle ASM記憶域のエラー・メッセージとそのエラーへの対処方法について説明します。

ASM-0001: デバイス\\?\のボリュームをオープンできませんでした...O/S-Error: (OS-5) アクセスが拒否されました。

原因: ユーザー・アカウント制御(UAC)は、管理アクションまたはアプリケーションが実行を許可される前に、管理者に特に承認するように要求できます。適切な資格証明を入力しない場合、asmtoolおよびasmtoolgユーティリティによってこれらのエラーが報告されます。

処置: この問題を解決する方法はいくつかあります。

  1. 管理者ユーザーとしてログインしている場合は、UACダイアログ・ボックスで「続行」をクリックするか、または管理者ユーザーの資格証明を入力してから、「続行」をクリックします。

  2. コマンド・ウィンドウへのデスクトップ・ショートカットを作成します。「管理者として実行」オプションを使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtoolを起動します。

  3. Windows ServerでUAC実装を構成し、UACをオフにするか、または管理者ユーザーの昇格時のプロンプトの動作を変更します。

注意:

ビジネスまたは企業環境におけるセキュリティおよびUACの管理の詳細は、http://technet.microsoft.com/en-us/library/cc731416(WS.10).aspxの「User Account Control」文書を参照してください

O/S-Error: (OS 2)指定されたファイルが見つかりません。

原因: オペレーティング・システム・レベルで無効なディスクを再度有効にした場合、CREATE DISKGROUPMOUNT DISKGROUPADD DISKONLINE DISKなど一部のOracle ASM操作、またはV$ASM_DISKの問合せが次のエラーで失敗します。

OS Error: (OS-2) The system cannot find the file specified. 

これは、前にマウントされたディスクに、オペレーティング・システムが新しいボリュームIDを割り当てた場合に発生ます。Oracle ASMが古いボリュームIDを使用すると、ディスクを開くことができずに、前述のエラーが発生します。

処置: ASMTOOLを使用してディスクに再度スタンプを付け、Oracle ASMで使用されるボリュームIDを更新します。

ディスク・グループをマウントできません。ディスク・グループに対するディスク数が不十分であることが、ASMにより検出されました

原因: Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのみのインストールを実行した場合に、Oracle Clusterwareのインストール後の構成中に、OCRと投票ファイルを格納するディスク・グループを構成しています。ASMTOOLを使用してディスクにスタンプを付け、スタンプの付いたディスクを使用するディスク・グループをASMCMDを使用して作成しました。その後、Oracle ASMディスク・グループを構成するディスク・デバイスまたはディスク・パーティション名でcrsconfig_paramsファイルを更新しました。Oracle Clusterwareの構成中に、「ORA-15017: ディスク・グループ"DATA"をマウントできません」などのエラーが表示されます。

処置: crsconfig_paramsファイルを変更して、ディスク・パーティション名のかわりにASMTOOLによって生成されたスタンプの付いた名前を使用します。次に例を示します。

"\\.\ORCLDISKDATA0"

A.10.3 スタンドアロン・サーバー(Oracle Restart)用にOracle Grid Infrastructureをダウングレードした後のOracle ASMの問題点

次の項では、スタンドアロン・サーバー(Oracle Restart)用にOracle Grid Infrastructureをダウングレードしたとき発生する可能性があるエラーと、その対処方法について説明します。

CRS-2529:: 'ora.asm'の停止または移動が必要であるため、'ora.cssd'は処理できません

原因: スタンドアロン・サーバー(Oracle Restart)用にOracle Grid Infrastructureを12.1.0.2から12.1.0.1にダウングレードした後で、ora.asmリソースにサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)パラメータが含まれていません。

処置: スタンドアロン・サーバー(Oracle Restart)用にOracle Grid Infrastructureを12.1.0.2から12.1.0.1にダウングレードした場合は、12.1.0.1用にOracle ASMリソースを追加するとき、ora.asmリソースからServer Parameter File (SPFILE)を明示的に追加する必要があります。

Oracle Restartを12.1.0.2から12.1.0.1にダウングレードするとき、次の手順に従います。

  1. 12.1.0.2 Oracle Restartのインストール構成で、Oracle ASMリソース(ora.asm)からSPFILEパラメータを問い合せて、それを覚えておきます。

    srvctl config asm
  2. リリース12.1.0.2のOracle Restartを構成解除します。

    Grid_home/crs/install/roothas.bat -deconfig -force
  3. root.shを実行して、リリース12.1.0.1のOracle Restartをインストールします。

    Grid_home/root.sh
  4. リスナー・リソースを追加します。

    Grid_home/bin/srvctl add LISTENER
  5. Oracle ASMリソースを追加し、ステップ1で取得した12.1.0.2 Oracle Restartの構成のSPFILEパラメータを指定します。

    Grid_home/bin/srvctl add asm [-spfile <spfile>]
     [-diskstring <asm_diskstring>])

関連項目:

Oracle Restartのインストールと構成解除の詳細は、使用しているプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

A.11 Windowsファイアウォール例外のトラブルシューティング

実行可能ファイルに例外を許可した後でも特定の接続を確立できない場合、次の手順に従ってインストールのトラブルシューティングを行います。

  1. Oracle構成ファイル(*.confファイルなど)、WindowsレジストリのOracleキーおよび%ORACLE_HOME%\network\adminのネットワーク構成ファイルを調べます。
  2. %ORACLE_HOME%\network\admin\listener.oraPROGRAM=句にリストされている実行可能ファイルにWindowsファイアウォールの例外を許可します。
    TNSリスナーを介してその実行可能ファイルへの接続を確立できるため、Windowsファイアウォールでこれらの各実行可能ファイルに対して例外を許可する必要があります。
  3. Oracleトレース・ファイル、ログ・ファイルおよび診断情報のその他のソースで、失敗した接続試行に関する詳細を調べます。
    データベース・クライアント・コンピュータのログ・ファイルおよびトレース・ファイルには、失敗した接続試行のエラー・コードまたはトラブルシューティング情報が含まれている場合があります。サーバー上のWindowsファイアウォール・ログ・ファイルにも、役立つ情報が含まれている場合があります。
  4. 前述のトラブルシューティング手順ではWindows上の特定の構成に関する問題が解決されない場合は、次のコマンドの出力をOracleサポートに提供して、診断を受けて問題を解決します。
    netsh firewall show state verbose=enable

関連項目:

A.12 失敗した、または不完全なインストールおよびアップグレードの完了

インストールやアップグレードが最初に失敗しても、その操作を完了するための手順を実行できます。

A.12.1 失敗した、または不完全なインストールおよびアップグレードについて

Oracle Grid Infrastructureのインストールまたはアップグレード時には、次のアクションが実行されます。

  1. Oracle Universal Installer (OUI)が、システムにOracle Grid Infrastructureソフトウェアを構成するための入力を受け入れます。

  2. OUIによって、各ノードでgridconfig.batスクリプトが実行されます。

  3. OUIによって、コンフィギュレーション・アシスタントが実行されます。Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのインストールが正常に完了します。

gridconfig.batスクリプトの実行前にOUIが終了した場合、またはインストールやアップグレードのセッションが正常に完了する前にOUIが終了した場合、Oracle Grid Infrastructureのインストールは不完全になります。インストールまたはアップグレードが完了していない場合は、Oracle Clusterwareが正しく動作しません。アップグレードを実行し、アップグレードが不完全である場合、一部のノードは最新のソフトウェアにアップグレードされ、その他のノードはアップグレードされないことがあります。インストールを実行し、インストールが不完全である場合、一部のノードがクラスタに含められないことがあります。

また、Oracle Grid Infrastructureリリース11.2.0.3以上のリリースでは、インストールまたはアップグレード時に次のメッセージが表示される場合があります。

ACFS-9427 「ADVM/ACFSドライバのアンロードに失敗しました。」「システムの再起動をお薦めします。」

ACFS-9428 「ADVM/ACFSドライバのロードに失敗しました。」「システムの再起動をお薦めします。」

CLSRSC-400: 「インストールを続行するにはシステムの再起動が必要です。」

このエラーを解決するには、サーバーを再起動した後、次の手順を実行して、不完全なインストールまたはアップグレードを完了する必要があります。

A.12.2 失敗または中断されたインストールおよびアップグレードの完了

インストールを開始したノード(最初のノード)でOUIが終了した場合、またはrootupgrade.batスクリプトがすべてのクラスタ・ノードで実行されたことを確認する前にノードが再起動した場合、アップグレードは不完全なままになります。

アップグレードが不完全でも、コンフィギュレーション・アシスタントを実行する必要があり、中央Oracle Inventoryで新しいGridホームをアクティブとマーク付けする必要があります。影響を受けるノードのアップグレードは手動で完了する必要があります。

A.12.2.1 最初のノードでアップグレードが失敗した場合のアップグレードの続行

最初のノードをアップグレードできない場合、次の手順を使用してアップグレード・プロセスを続行します。

  1. エラー・メッセージCLSRSC-400のOUIエラーが発生し、再起動が必要であると表示された場合は、最初のノード(アップグレードを開始したノード)を再起動します。そうでない場合は、エラー出力に報告されたエラー状態を修正またはクリアします。
  2. クラスタ内の他のすべてのノードでアップグレードを完了します。
  3. レスポンス・ファイルを構成し、アップグレード用のパスワードを指定します。
    レスポンス・ファイルの作成方法の詳細は、「レスポンス・ファイルを使用したインストール後の構成」を参照してください。
  4. アップグレードを完了するには、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーとしてログインし、作成したレスポンス・ファイルを指定して、パスGrid_home\cfgtoollogs\configToolAllCommandsにあるスクリプトconfigToolAllCommandsを実行します。
    たとえば、レスポンス・ファイルがgridinstall.rspという名前の場合、次のようにします。
    [C:\] cd app\12.1.0\grid\cfgtoollogs
    [C:\..\cfgtoollogs] configToolAllCommands RESPONSE_FILE=gridinstall.rsp

A.12.2.2 最初以外のノードでアップグレードが失敗した場合のアップグレードの続行

最初のノード(アップグレードを開始したノード)以外のノードの場合は、次の手順を使用してアップグレード・プロセスを続行します。

  1. エラー・メッセージCLSRSC-400のOUIエラーが発生し、再起動が必要であると表示された場合は、エラー状態にあるノードを再起動します。そうでない場合は、エラー出力に報告されたエラー状態を修正またはクリアします。
  2. 最初のノードのOUIで、「再試行」をクリックします。
    これにより、影響を受けるノードでアップグレードを再試行するようOUIに指示します。
  3. 最初のノードのOUIインスタンスからアップグレードを続行します。

A.12.3 失敗した、または中断されたインストールの完了

インストールを開始したノード(最初のノード)のOUIが終了した場合、またはgridconfig.batスクリプトがすべてのノードで実行されたことを確認する前にノードが再起動した場合、インストールは不完全なままです。

インストールが不完全でも、コンフィギュレーション・アシスタントを実行する必要があり、中央Oracle Inventoryで新しいGridホームをアクティブとマーク付けする必要があります。影響を受けるノードのインストールは手動で完了する必要があります。

A.12.3.1 最初のノードでの不完全なインストールの続行

不完全なインストールを続行するには、残りのクラスタ・ノードよりも前に、最初のノードを終了する必要があります。

  1. エラー・メッセージCLSRSC-400のOUIエラーが発生し、再起動が必要であると表示された場合は、最初のノード(インストールを開始したノード)を再起動します。そうでない場合は、エラー出力に報告されたエラー状態を修正またはクリアします。
  2. 必要に応じて、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーとしてログインします。最初のノードの新しいGridホームにディレクトリを移動し、このノードでgridconfig.batスクリプトを再度実行します。
    次に例を示します。
    [C:\] cd app\12.1.0\grid\crs\config\
    [C:\..\config] gridconfig.bat
  3. 他のすべてのノードでインストールを完了します。
  4. レスポンス・ファイルを構成し、インストール用のパスワードを指定します。
    レスポンス・ファイルの作成方法の詳細は、「レスポンス・ファイルを使用したインストール後の構成」を参照してください。
  5. インストールを完了するには、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーとしてログインし、作成したレスポンス・ファイルを指定して、パスGrid_home\cfgtoollogs\configToolAllCommandsにあるスクリプトconfigToolAllCommandsを実行します。
    たとえば、レスポンス・ファイルがgridinstall.rspという名前の場合、次のようにします。
    [C:\] cd app\12.1.0\grid\cfgtoollogs
    [C:\..\cfgtoollogs] configToolAllCommands RESPONSE_FILE=gridinstall.rsp

A.12.3.2 最初のノード以外のノードでのインストールの続行

最初のノード(インストールを開始したノード)以外のノードの場合は、次の手順を使用してインストール・プロセスを続行します。

  1. エラー・メッセージCLSRSC-400のOUIエラーが発生し、再起動が必要であると表示された場合は、エラー状態にあるノードを再起動します。そうでない場合は、エラー出力に報告されたエラー状態を修正またはクリアします。
  2. 最初のノードのOUIで、「再試行」をクリックします。
  3. 最初のノードのOUIインスタンスからインストールを続行します。