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Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
リリース12.1 For Windows
B72965-06
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8 Oracle Grid Infrastructureのインストール後の作業

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールしたら、インストール後の作業を実行します。

Oracle Grid Infrastructureをインストールした後に、いくつかの構成作業を完了する必要があります。また、インストール直後に追加のタスクを完了することをお薦めします。製品を使用する前に製品固有の構成タスクを完了する必要もあります。

注意:

この章では、基本構成についてのみ説明します。構成およびチューニングの詳細は、製品固有の管理ガイドおよびチューニング・ガイドを参照してください。

8.1 インストール後に必要な作業

新しくインストールしたソフトウェアに対しては、特定のインストール後の作業を行うことが重要です。

注意:

投票ファイルのバックアップは不要になりました。

8.1.1 パッチの更新のダウンロードおよびインストール

オラクル社では、ベース製品のリリース後、お客様による使用中に発生した問題を解決するための汎用およびポート固有の修正を含むパッチ・セットを定期的に提供しています。パッチ・セットでは、リリース番号の4桁目が増分し(たとえば、11.2.0.1.0から11.2.0.3.0)、これらのパッチ・セットについては、ベース・リリース(たとえば、11.2.0.1.0)と同じ方法で完全なリグレッション・テストが行われます。お客様は、これらの修正を適用することが推奨されます。

次のパッチ・セットが利用可能になる前に修正を必要とする重大な問題が発生した場合、お客様は最新のパッチ・セットに加えて1回かぎりの修正を利用可能にするように要求できます。この配布メカニズムはMicrosoft Hot Fixesに類似しており、Oracleパッチ・セット例外(または個別パッチ)と呼ばれます。Unixプラットフォームとは異なり、これらのパッチ・セット例外は、現在のパッチ・セット以降のすべての修正を含むパッチ・セット例外バンドル(累積パッチ・バンドル)で配布されます。たとえば、不具合12393432は、Oracle Databaseリリース11.2.0.1 for Microsoft Windows (x64)のパッチ・セット例外バンドル(パッチ12)です。ご使用のリリースに利用可能な最新のパッチ・バンドルを常に適用する必要があります。

パッチ・セット例外バンドルには、CPU (クリティカル・パッチ・アップデート)、DST (夏時間)、PSU (パッチ・セット更新)および推奨パッチ・バンドルの修正も含まれます。パッチ・セット例外バンドルを適用する前に、以前のセキュリティ・パッチを適用しておく必要はありません。ただし、リリースのパッチ・セット例外バンドルを適用する前に、所定の製品ホームの指定されたパッチ・セット・レベルであることが必要となります。

パッチをインストールする準備としてデータベース・プロセスを停止する方法の詳細は、「Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1へのアップグレード方法」を参照してください。

  • My Oracle Support Webサイトを参照して、インストールした環境に必要なパッチの更新を確認します。

    注意:

    My Oracle Supportの登録ユーザーでない場合は、「My Oracle Supportへの登録」をクリックして登録してください。

8.1.2 Oracle ARPドライバの構成

Windows Server 2008またはWindows Server 2008 R2上のOracle Grid InfrastructureにはOracle Address Resolution Protocol (ARP)ドライバが必要です。

注意:

Oracle ARPドライバは、IPv6接続には必要なく、また、オペレーティング・システムがWindows Server 2012またはWindows Server 2012 R2である場合はIPv4にも必要ありません。
  1. Oracle Grid Infrastructureスタックが起動していない場合は、起動します。

    Oracle Grid Infrastructureスタックのステータスを確認するには、次のコマンドを使用します。

    crsctl check crs

    Oracle Grid Infrastructureスタックを起動するには、次のコマンドを使用します。

    crsctl start crs
  2. Oracle ARPドライバをインストールするには、次のコマンドに示すようにnetcfgユーティリティを使用します。
    %systemroot%\system32\netcfg.exe -l Grid_home\bin\oraarpdrv.inf -c p
    -i orcl_ndisprot

    「Oracle America, Inc.」がノードの信頼できる発行者のリストにない場合は、「インストール」を選択してインストールを続行できるようにします。

  3. システムの再起動に続いて自動的に起動するようOracle ARPドライバを構成します。
    sc config oraarpdrv start= auto
  4. Oracle ARPプロトコル・ドライバを起動します。
    net.exe start oraarpdrv
  5. 次のOracle Clusterwareリソースを停止します。
    1. クラスタに対してGNSが構成されている場合は、GNSリソースを停止します。
      Grid_home\bin\srvctl stop gns

      クラスタに対してGNSが構成されているかどうかを判別するには、次のコマンドを使用します。

      Grid_home\bin\srvctl config gns
    2. SCANリソースを停止します。
      Grid_home\bin\srvctl stop scan -f
    3. クラスタ上で実行されているすべてのノード・アプリケーションを停止します。
      Grid_home\bin\srvctl stop nodeapps -n nodename -f
  6. 逆の順序でOracle Clusterwareリソースを再起動します。
    1. クラスタ上ですべてのノード・アプリケーションの実行を開始します。
      Grid_home\bin\srvctl start nodeapps -n nodename -f
    2. SCANリソースを起動します。
      Grid_home\bin\srvctl start scan
    3. クラスタに対してGNSが構成されている場合は、GNSリソースを起動します。
      Grid_home\bin\srvctl start gns

8.1.3 Windowsファイアウォールの例外の構成

Windowsファイアウォール機能がクラスタの1つ以上のノードで有効になっている場合、ほぼすべてのTransmission Control Protocol (TCP)ネットワーク・ポートが着信接続に対してブロックされます。そのため、TCPポート上で着信接続をリスニングするOracle製品はすべて、これらのどの接続要求も受信せず、これらの接続を行っているクライアントはエラーを報告します。

使用するシステムが次の条件をすべて満たす場合は、Windowsファイアウォールに例外を構成する必要があります。

  • Oracleサーバー側のコンポーネントが、サポートされているMicrosoft Windowsバージョンを実行しているコンピュータにインストールされている。コンポーネントのリストにはOracle Database、Oracle Grid Infrastructure、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)、ネットワーク・リスナー、Webサーバーまたはサービスが含まれています。

  • 問題になっているWindowsコンピュータが、ネットワーク上の他のコンピュータからの接続を受け入れる。他のコンピュータがOracleソフトウェアにアクセスするためにWindowsコンピュータに接続することがない場合、インストール後の構成手順は必要なく、Oracleソフトウェアは予想どおりに機能します。

  • 問題になっているWindowsコンピュータが、Windowsファイアウォールを実行するように構成されている。Windowsファイアウォールが有効になってない場合、インストール後の構成手順は必要ありません。

前述のすべての条件が満たされている場合は、Oracleソフトウェアに対して正常に受信接続できるようにWindowsファイアウォールを構成する必要があります。Oracleソフトウェアが接続要求を受け入れることを可能にするには、ファイアウォールの特定の静的TCPポートを開くか、または選択したポートへの接続要求を受信できるように特定の実行可能ファイルの例外を作成して、Windowsファイアウォールを構成する必要があります。

  • 次の方法の1つを使用して、ファイアウォールを構成します。
    • Windowsファイアウォール・アプリケーションを起動して、「例外」タブを選択します。「プログラムの追加」または「ポートの追加」をクリックして、Oracleソフトウェアの例外を作成します。

    • コマンド・プロンプトから、netsh firewall add...コマンドを使用します。

    • フォアグランド・アプリケーションがポートをリスニングしようとしていることがWindowsから通知されたときに、その実行可能ファイルの例外を作成できます。この方法で例外を作成した場合、コントロール パネルまたはコマンドラインから実行可能ファイルの例外を作成した場合と同じ効果があります。

次の項では、WindowsのTCPポートをリスニングするOracle Database 11gリリース2 (11.2)の実行可能ファイルと、その実行可能ファイルの簡単な説明を示します。それらの実行可能ファイルが使用中で、リモート・クライアント・コンピュータからの接続を受信している場合は、適切な処理が行えるように、それらをWindowsファイアウォールの例外リストに追加することをお薦めします。また、複数のOracleホームを使用している場合は、oracle.exeなどの同じ実行可能ファイルのためにファイアウォールの例外を複数回(実行可能ファイルがロードされる各ホームに1つ)作成する必要があります。

8.1.3.1 Oracle Databaseのファイアウォール例外

SQL*Plus、Oracle Call Interface (OCI)、Open Database Connectivity (ODBC)などのリモート・クライアントからの基本的なデータベース操作と接続性のために、実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

次の実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Oracle_home\bin\oracle.exe - Oracle Database実行可能ファイル

  • Oracle_home\bin\tnslsnr.exe - Oracleリスナー

データベースに対してリモート監視機能を使用する場合は、次の実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Oracle_home\bin\emagent.exe - Oracle Enterprise Manager

  • Oracle_home\jdk\bin\java.exe - Oracle Enterprise ManagerのJava仮想マシン(JVM)

8.1.3.2 Oracle Database Examples(またはCompanion CD)のファイアウォール例外

Oracle Database Companion CDをインストールした後に、実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

次の実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Oracle_home\opmn\bin\opmn.exe - Oracle Process Manager

  • Oracle_home\jdk\bin\java.exe - JVM

8.1.3.3 Oracle Gatewaysのファイアウォール例外

Oracle Databaseがゲートウェイを介してOracle以外のソフトウェアと対話する場合、ゲートウェイ実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。次の表に、Oracle以外のソフトウェアへのアクセスに使用されるゲートウェイ実行可能ファイルを示します。

表8-1 Oracle以外のソフトウェアにアクセスするためのOracle実行可能ファイル

実行可能ファイル名 説明

omtsreco.exe

Microsoftトランザクション・サーバー用のOracleサービス

dg4sybs.exe

Oracle Database Gateway for Sybase

dg4tera.exe

Oracle Database Gateway for Teradata

dg4msql.exe

Oracle Database Gateway for SQL Server

dg4db2.exe

Oracle Database Gateway for Distributed Relational Database Architecture(DRDA)

pg4arv.exe

Oracle Database Gateway for Advanced Program to Program Communication(APPC)

pg4t4ic.exe

Oracle Database Gateway for APPC

dg4mqs.exe

Oracle Database Gateway for WebSphere MQ

dg4mqc.exe

Oracle Database Gateway for WebSphere MQ

dg4odbc.exe

Oracle Database Gateway for ODBC

8.1.3.4 Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのファイアウォール例外

クラスタ内のノードにOracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールした場合は、特定の実行可能ファイルとポートをファイアウォールの例外リストに追加したにのみWindowsファイアウォールを有効にすることができます。

ファイアウォールの例外リストは、各ノードで更新する必要があります。

  • Grid_home\bin\gpnpd.exe - グリッド・プラグ・アンド・プレイ・デーモン

  • Grid_home\bin\oracle.exe - Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)実行可能ファイル(記憶域にOracle ASMを使用している場合)

  • Grid_home\bin\racgvip.exe - Virtual Internet Protocol Configuration Assistant

  • Grid_home\bin\evmd.exe - OracleEVMService

  • Grid_home\bin\crsd.exe - OracleCRService

  • Grid_home\bin\ocssd.exe - OracleCSService

  • Grid_home\bin\octssd.exe - クラスタ時刻同期化サービス・デーモン

  • Grid_home\bin\mDNSResponder.exe - マルチキャストのドメイン・ネーム・システム(DNS)・レスポンダ・デーモン

  • Grid_home\bin\gipcd.exe - グリッド・プロセス間通信(IPC)デーモン

  • Grid_home\bin\gnsd.exe - グリッド・ネーミング・サービス(GNS)・デーモン

  • Grid_home\bin\ohasd.exe - OracleOHService

  • Grid_home\bin\TNSLSNR.EXE - 単一クライアント・アクセス名(SCAN)リスナーおよびOracle RACデータベースとOracle ASM用のローカル・リスナー

  • Grid_home\opmn\bin\ons.exe - Oracle Notification Service(ONS)

  • Grid_home\jdk\jre\bin\java.exe - JVM

8.1.3.5 Oracle RACデータベースのファイアウォール例外

Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)をインストールした後に、実行可能ファイルをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

Oracle RACデータベースの場合、例外を必要とする実行可能ファイルは次のとおりです。

  • Oracle_home\bin\oracle.exe - Oracle RACデータベース・インスタンス

  • Oracle_home\bin\emagent.exe - Oracle Enterprise Managerエージェント

  • Oracle_home\jdk\bin\java.exe - Oracle Enterprise Manager Databaseコンソール用

さらに、次のポートをWindowsファイアウォールの例外リストに追加する必要があります。

  • Microsoftファイル共有システム管理バス(SMB)

    • 135から139のTCPポート

  • Network Basic I/O System(NetBIOS)を使用せずに直接ホストされたSMBトラフィック

    • ポート445 (TCP)

8.1.3.6 その他のOracle製品のファイアウォール例外

前述したすべての例外に加え、次に示すOracleソフトウェアのいずれかを使用する場合は、関連する実行可能ファイルのためにWindowsファイアウォールの例外を作成する必要があります。

表8-2 Windowsファイアウォール例外を必要とするその他のOracleソフトウェア製品

Oracleソフトウェア製品 実行可能ファイル名

Data Guard Manager

dgmgrl.exe

Oracle Internet Directory Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)Server

oidldapd.exe

外部プロシージャ・コール

extproc.exe

8.2 インストール後の推奨タスク

Oracle Grid Infrastructureをインストールした後で、必要に応じて次の作業を行うことをお薦めします。

8.2.1 プログラムのメモリー使用量の最適化

Windowsオペレーティング・システムは、システム・キャッシュでななくプログラムのメモリー使用量に合わせて最適化される必要があります。

  1. 「スタート」メニューから、「コントロール パネル」「システム」を選択します。
  2. 「システムのプロパティ」ウィンドウで、「詳細設定」タブをクリックします。
  3. 「パフォーマンス」セクションで、「設定」をクリックします。
  4. 「パフォーマンス オプション」ウィンドウで、「詳細設定」タブをクリックします。
  5. 「メモリ使用量」セクションで、「プログラム」が選択されていることを確認します。

8.2.2 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

高速リカバリ領域用に別のディスク・グループを作成する必要があります。

Oracle Grid Infrastructureのインストール時に記憶域にOracle ASMを選択した場合、Oracle Clusterwareファイルを格納するために1つのディスク・グループが作成されます。シングル・インスタンスのデータベース、Oracle RACデータベースまたはOracle RAC One Nodeデータベースを作成する場合、このディスク・グループをデータベースのデータ・ファイルの格納に使用することもできます。ただし、高速リカバリ領域のために別のディスク・グループを作成することをお薦めします。

8.2.2.1 高速リカバリ領域および高速リカバリ領域ディスク・グループについて

高速リカバリ領域は、リカバリに関連するすべてのOracle Databaseファイルのための、統合された記憶域の場所です。

データベース管理者は、DB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータを高速リカバリ領域のパスに定義して、ディスク上のバックアップおよびデータの高速リカバリを有効にできます。最近のデータを迅速にバックアップできれば、リカバリ作業のためにバックアップ・テープを探さなければならないシステム管理者の負担を軽減できます。

データベース初期化パラメータ・ファイルで高速リカバリ領域を有効にすると、すべてのRMANバックアップ、アーカイブ・ログ、制御ファイルの自動バックアップ、およびデータベースのコピーが高速リカバリ領域に書き込まれます。RMANは、リカバリに必要でなくなった古いバックアップおよびアーカイブ・ファイルを削除することで、高速リカバリ領域のファイルを自動的に管理します。

Oracle RACで高速リカバリ領域を使用するには、Oracle ASMディスク・グループ、クラスタ・ファイル・システムまたは各Oracle RACインスタンスのDirectネットワーク・ファイル・システム(NFS)で構成される共有ディレクトリに配置する必要があります。つまり、高速リカバリ領域はOracle RACデータベースのすべてのインスタンス間で共有される必要があります。Oracle ClusterwareファイルおよびOracle Databaseファイルは、高速リカバリ領域ファイルと同じディスク・グループに配置できます。ただし、ストレージ・デバイスの競合を減らすため、別の高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。

高速リカバリ領域を有効にするには、すべてのインスタンスに対してDB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータに同じ値を設定します。高速リカバリ領域のサイズは、パラメータDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEで設定します。一般的に、高速リカバリ領域は大きいほど使いやすくなります。使い勝手を良くするため、少なくとも3日分のリカバリ情報を格納できるストレージ・デバイスに、高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。理想的には、高速リカバリ領域は、保存ポリシーに基づいて保存されたデータ・ファイルのバックアップを使用してデータベースをリカバリする際に必要な、すべてのデータ・ファイルと制御ファイル、オンラインREDOログ、およびアーカイブREDOログ・ファイルのコピーを格納できるサイズであることが求められます。

複数のデータベースで同じ高速リカバリ領域を使用できます。たとえば、150GBの記憶域を持つディスク上に1つの高速リカバリ領域ディスク・グループを作成し、それを3つの異なるデータベースで共有するとします。各データベースの高速リカバリ領域のサイズを、そのデータベースの重要度によって設定することができます。たとえば、test1データベースの重要度が最も低く、次に高いのがproducts、最も高いのがordersの場合は、各データベースに異なるDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE設定を適用し、それぞれの保存目標を満たすようにします。たとえば、test1には30GB、productsには50GB、ordersには70GBのように設定します。

関連項目:

『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』

8.2.2.2 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

ASMCAを使用して、高速リカバリ領域のOracle ASMディスク・グループを作成できます。

  1. Gridホームのbinディレクトリに移動し、Oracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)を起動します。
    次に例を示します。
    C:\> cd app\12.1.0\grid\bin
    C:\> asmca
    ASMCAが開き、「ディスク・グループ」タブが表示されます。
  2. 「作成」をクリックして新しいディスク・グループを作成します。
    「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開きます。
  3. 「ディスク・グループの作成」ウィンドウで、次の情報を入力して「OK」をクリックします。
    1. 「ディスク・グループ名」フィールドに、高速リカバリ領域ディスク・グループの説明的な名前(FRAなど)を入力します。
    2. 「冗長性」セクションで、適用する冗長レベルを選択します。
    3. 「メンバー・ディスクの選択」フィールドで、高速リカバリ領域に追加する適切なディスクを選択します。
    「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開き、ディスク・グループの作成が完了したというメッセージが表示されます。
  4. 「OK」をクリックしてメッセージを確認し、「終了」をクリックしてアプリケーションを終了します。

8.2.3 SCAN構成の確認

SCANは、クライアントにクラスタに対するサービス・アクセスを提供するホストの名前です。DNSによってSCANが正しくアドレスに関連付けられていることを確認するには、(Grid_home\binにある)コマンドcluvfy comp scanを使用します。

SCANは、特定のノードではなくクラスタ全体に関連付けされているため、クライアントの再構成を必要とせずに、クラスタでノードを追加または削除することを可能にします。また、データベースに場所の独立性がもたらされるため、クライアント構成は特定のデータベース・インスタンスがどのノードで実行されているかに依存しません。クライアントは引き続き、以前のリリースと同じ方法でクラスタにアクセスできますが、クラスタにアクセスするクライアントではSCANの使用をお薦めします。

インストール後、クライアントがクラスタにリクエストを送信すると、Oracle ClusterwareのSCANリスナーはクライアント・リクエストをクラスタのサーバーにリダイレクトします。

  • DNSによってSCANが指定したアドレスに正常に関連付けられていることを確認します。
    cluvfy comp scan

例8-1 CLUVFYを使用した、DNSによってSCANアドレスが正しく関連付けられていることの確認

この例は、node1.example.comというクラスタ・ノードに対するcluvfy comp scanコマンドの出力を示しています。

C:\> cluvfy comp scan
Verifying scan

Checking Single Client Access Name (SCAN)...

Checking TCP connectivity to SCAN Listeners...
TCP connectivity to SCAN Listeners exists on all cluster nodes

Checking name resolution setup for "node1.example.com"...

Verification of SCAN VIP and Listener setup passed

Verification of scan was successful.

8.3 アップグレード後のOracle Enterprise Manager Cloud Controlの構成

Database ControlまたはCloud ControlからターゲットとしてOracle Clusterwareを管理している場合、サービスやインスタンスが実行中でも、Oracle ASMターゲットのステータスが「停止中」になることがあります。

  • Oracle ASMターゲットのステータスが「停止中」であるが実際には実行されている場合、Cloud Controlを使用してASMSNMPパスワードを更新してください。

8.4 Grid Infrastructureでの以前のリリースのOracle Databaseの使用

次の項で、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)インストールで前のリリースのOracle Databaseを使用する場合について説明します

8.4.1 以前のリリースのOracle Databaseの使用に関する一般的な制限

Oracle ClusterwareおよびOracle ASM 12cリリース1 (12.1)ではOracle Database 10gおよびOracle Database 11gを使用できます。

既存リリースのOracle ClusterwareとOracle ASMをOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)(Oracle ClusterwareとOracle ASMを含む)にアップグレードする場合で、Oracle RACデータベースをOracle Database 12cリリース1 (12.1)にアップグレードする計画もある場合は、Oracle RACのアップグレードが完了したときに、既存のデータベースに必要な構成も自動的に完了するため、この項の説明を読む必要はありません。

ただし、Oracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)にアップグレードする場合で、アップグレードの予定がない既存のOracle RACインストールがある場合、または以前のリリースのOracle RAC (11.2)をOracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)を実行するクラスタにインストールする場合は、以前のリリースのデータベースがOracle Grid Infrastructureで正常に動作するには、追加の構成タスクを完了するか、パッチを適用(あるいはその両方を実行)する必要があります。

データベース・リリースがOracle Database 11gリリース2以上である場合、Oracle DatabaseホームはOracle ACFSにのみ格納できます。前のリリースのOracle DatabaseはOracle ACFSを使用するように設計されていないため、Oracle DatabaseをOracle ACFSにインストールすることはできません。

注意:

Oracle Clusterware 11g リリース1またはOracle Clusterware 10g リリース2からのアップグレードの場合は、Oracle Clusterware 12c リリース1 (12.1)インストールにインストールされたOracle RACまたはOracle Databaseを起動する前に、まずOracle Clusterware 11g リリース2にアップグレードする必要があります。次に、Oracle Clusterware 12cにアップグレードする前に、OCRおよび投票ファイルをOracle ASM記憶域に移動する必要があります。

関連項目:

8.4.2 ASMCAを使用した、以前のリリースのデータベースのディスク・グループの管理

Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2以上では、Oracle ASMはOracle ClusterwareとともにOracle Grid Infrastructureインストールの一部としてインストールされます。

Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してOracle ASMで管理タスクを実行することはできなくなりました。

  • 前のバージョンのOracle DatabaseおよびOracle RACをOracle Grid Infrastructure 11gにインストールするときに、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を使用して、ディスク・グループを作成および変更します。

関連項目:

Oracle Database 11g リリース2をOracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)とともに使用した、データベースに対するディスク・グループの互換性の構成の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

8.4.3 適切なLSNRCTLコマンドの使用

以前のリリースで使用していたOracleホームの位置からlsnrctlプログラムを使用しないでください(この位置は新しいリリースでは使用できません)。

  • Oracle Grid Infrastructure 12cホームにあるリスナー制御ユーティリティのlsnrctlを使用して、Oracle ClusterwareおよびOracle ASM 11gリリース2のローカル・リスナーとSCANリスナーを管理します。

8.4.4 クラスタ・ノードまたはOracle Clusterwareリソースの起動および停止

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のデータベースがOracle Clusterware 12cに登録されている場合は、Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)を停止する前に、追加の手順を実行してリソースが停止されるようにする必要があります。

  1. Oracle Database 11gリリース2 (11.2)データベースをOracle Clusterware 12cに登録した場合は、次のいずれかの手順を実行します。
    1. 最初にOracle Database 11g リリース2のデータベース・インスタンスを停止してから、Oracle Clusterwareスタックを停止する
    2. crsctl stop crs -fコマンドを使用してOracle Clusterwareスタックを停止し、発生するエラーを無視する
  2. クラスタ・ノードでOracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureが実行中のときに、そのノードを停止する必要がある場合は、次の手順を実行して、クラスタ・ノードを正しく停止する必要があります。
    1. crsctl stop crsコマンドを使用してOracle Clusterwareスタックを停止する
    2. Oracle Clusterwareが停止した後、shutdown -rを使用してWindowsサーバーを停止する

8.5 インストール後のOracle Clusterwareバイナリの変更

インストール後に、Gridホームにインストールされているソフトウェアを変更する必要がある場合は、まずOracle Clusterwareスタックを停止する必要があります。

たとえば、個別パッチを適用したり、Oracle ClusterwareまたはOracle ASMで使用されるダイナミックリンク・ライブラリ(DLL)を変更するには、次の手順に従って、Oracle Clusterwareを停止および再起動する必要があります。

注意:

Oracle Grid Infrastructureホームに対する変更を有効にするには、Gridホーム・ディレクトリ内で実行されているすべての実行可能ファイルを停止してから再起動する必要があります。さらに、GridホームのOracle共有ライブラリまたはDLLファイルを使用するアプリケーションを停止してください。
  1. 管理者グループのメンバーとしてログインし、Grid_home\binディレクトリに移動します。Grid_homeはOracle Grid Infrastructureホームへのパスです。
  2. 次のコマンドを使用して、Oracle Clusterwareを停止します。
    C:\..\bin> crsctl stop crs -f
  3. Oracle Clusterwareが完全に停止した後で、Gridホームにインストールされているソフトウェアに更新を実行します。
  4. 次のコマンドを使用して、Oracle Clusterwareを再起動します。
    C:\..\bin> crsctl start crs
  5. 各クラスタ・メンバー・ノードで、手順1から4を繰り返します。

注意:

Gridホームのディレクトリは削除しないでください。たとえば、Grid_home/Opatchディレクトリを削除しないでください。このディレクトリを削除すると、グリッド・インフラストラクチャ・インストール所有者はOpatchを使用してGridホームにパッチを適用できず、Opatchによって「checkdirエラー: Grid_home/OPatchを作成できません」というエラー・メッセージが表示されます。