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Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
リリース12.1 For Windows
B72965-06
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D Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1へのアップグレード方法

この付録では、Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)のアップグレードの実行方法について説明します。

D.1 アップグレード前のOracleソフトウェアのバックアップ

有効なバックアップがないと、Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseのアップグレードに失敗し、以前のソフトウェア・インストール環境に戻すことを試みても、Oracleソフトウェアを動作する状態にリストアできません。

  • Oracleソフトウェアを変更する前に、Oracleソフトウェアおよびデータベースのバックアップを作成することをお薦めします。
  • Windowsオペレーティング・システム上で動作するOracleソフトウェアでは、Windowsレジストリもバックアップする必要があります。
    レジストリのバックアップがないと、Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseのアップグレードに失敗し、以前のソフトウェア・インストール環境に戻すことを試みても、Oracleソフトウェアを動作する状態にリストアできません。

D.2 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle ASMのアップグレードおよびダウングレードについて

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをアップグレードするために使用できる各種の方法があります。

次のいずれかの方法で、Oracle Grid Infrastructureをアップグレードできます。

  • ローリング・アップグレード: クラスタ内の他のノードのOracle Grid Infrastructureを停止せずに個々のノードをアップグレードします。

  • 非ローリング・アップグレード: ノードのうち1つを残して、他のすべてのノードを停止してアップグレードします。rootスクリプトによって、以前のOracle Clusterwareスタックが停止され、アップグレードを開始したノード上で新しいOracle Clusterwareスタックが起動されるまでの間、クラスタが完全に停止します。アップグレードの完了後、すべてのノード上で新しいOracle Clusterwareが起動されます。

1つ以上のノードがアップグレード中のときは、一部のサービスが無効になることに注意してください。すべてのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードですが、これは、以前のリリースで使用されたGridホームとは異なるGridホームにソフトウェア・バイナリが配置されることを意味します。

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)から、以前のリリースのOracle Grid Infrastructureにダウングレードできます。以前のリリースにダウングレードする場合、クラスタは以前のそのリリースの構成要件に準拠する必要があり、クラスタで利用できる機能は以前のそのリリースのOracle ClusterwareとOracle ASMで利用できる機能のみとなることに注意してください。

既存のOracle ASM 11gリリース1 (11.1)またはOracle ASM 10gのインスタンスがあり、Oracle ASMが別のホームにある場合は、これをOracle Grid Infrastructureのインストール時にアップグレードするか、Oracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)を使用してインストール後にアップグレードできます。Oracle ASMをアップグレードするまでは、Oracle ASMの数多くの機能が無効になっていることに注意してください。また、Oracle ASMがアップグレードされるまで、Oracle ASMのOracle Clusterware管理は正しく機能しません。これは、Oracle Grid Infrastructureホームで実行されているときのみ、Oracle ClusterwareはOracle ASMを管理するためです。このことから、Oracle Clusterwareのアップグレードと同時にOracle ASMをアップグレードしない場合は、Oracle ASMを直後にアップグレードすることをお薦めします。この問題はOracle ASM 11gリリース2 (11.2)以降には当てはまりません。これはOracle ASM実行可能ファイルがこれらのリリースではOracle Grid Infrastructureホームに格納されるためです。

ASMCAを使用すると、Oracle ASMインスタンスにアウトオブプレース・アップグレードを実行できます。グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を使用する以外に、非対話型(サイレント)モードでもASMCAを実行できます。

注意:

現在、共有記憶域としてWindows用のOCFSを使用している場合は、Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureのアップグレード時に、Oracle ASMを使用するように移行する必要があります。

注意:

クラスタ・バックアップ・ファイルの使用を試みる前に、アップグレードを完了する必要があります。アップグレードが完了していないクラスタのバックアップは使用できません。

関連項目:

既存のOracle ASMインストールのアップグレードについては、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』および『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

D.3 Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのアップグレードとダウングレードのオプション

現在使用しているOracle Grid Infrastructureが以前のどのバージョンであるかに応じて、インストール環境をアップグレードおよびダウングレードするための様々なオプションがあります。

Oracle Grid Infrastructure 11gからOracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレード・オプション

Oracle Grid Infrastructure 11gからOracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレード・オプションには次のものがあります。

  • Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレード(OCRと投票ファイルはOracle ASM上にある)

  • Oracle Grid Infrastructureのクラスタ全体(停止時間、非ローリング)(OCRと投票ファイルはOracle ASM上にある)

  • Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレード(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)

  • Oracle Grid Infrastructureのクラスタ全体(停止時間、非ローリング)(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)

Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)より前のリリースからのアップグレード・オプション

Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)より前のリリースからOracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレード・オプションには次のものがあります。

  • Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレード(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)

  • Oracle Grid Infrastructureのクラスタ全体(停止時間、非ローリング)(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)

Oracle Grid Infrastructure 12cから以前のリリースへのダウングレード・オプション

Oracle Grid Infrastructure 12cから以前のリリースへのダウングレード・オプションには次のものがあります。

  • Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)へのOracle Grid Infrastructureのダウングレード

D.4 Oracle Grid Infrastructureのアップグレードの制限およびガイドライン

CVUを使用して、既存のOracle Grid Infrastructure 11g リリース2またはOracle RACデータベース11g リリース2のインストールをアップグレードするために必要なパッチがあるかどうかを確認することをお薦めします。

Oracle ClusterwareおよびOracle ASMで構成されるOracle Grid Infrastructure環境へのアップグレードには、次の制限と変更点があることに注意してください。

  • 現在のインストールのOCRおよび投票ファイルの場所がRAWデバイス上にある場合は、Oracle Grid Infrastructure 12 cリリース1 (12.1)にアップグレードする前に、これらをOracle ASMディスク・グループまたは共有ファイル・システムに移行する必要があります。

  • 既存のOracle ClusterwareインストールをOracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)にアップグレードするには、現在のリリースがOracle Grid Infrastructure 11g リリース2である必要があります。

  • WindowsプラットフォームでOracle Clusterwareをリリース10.2.0.5および11.1.0.7からOracle Grid Infrastructureリリース12.1にアップグレードするには、Oracle ClusterwareでOracle Grid Infrastructure 11gリリース2への中間アップグレードを実行する必要があります。Oracle ClusterwareをOracle Grid Infrastructure 11gリリース2にアップグレードした後、Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイルをOracle ASMに移動する必要があります。これにより、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2をOracle Grid Infrastructureリリース12.1にアップグレードできるようになります。

  • WindowsまたはRAWデバイスのOCFSにOracle Clusterwareファイルを格納するOracle Databaseリリース10.2.0.5またはOracle Databaseリリース11.1.0.7環境をアップグレードする場合、Oracle Database 12cに直接アップグレードすることはできません。『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。

  • 標準構成で、既存のOracle ASMインストールをOracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)にアップグレードするには、リリースが10.1.0.5、10.2.0.3、11.1.0.6または11.2以上である必要があります。

  • 既存のOracle Grid InfrastructureインストールをOracle Grid Infrastructureにアップグレードするには、まず、アップグレードを正常に実行するための必須パッチを適用する必要があるかどうかを確認する必要があります。Oracle Grid Infrastructureインストールを11.2.0.2から新しいリリースにアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureの累積パッチの最新のバンドル(パッチ11バンドル以上)をインストールします。準備状況を確認する手順は、CVUを使用した、Oracle Clusterwareのアップグレードに対する準備状況の検証を参照してください。

    関連項目:

    「Oracle 12cアップグレードの比較」(My Oracle SupportのNote 1462240.1): https://support.oracle.com/oip/faces/secure/km/DocumentDisplay.jspx?id=1462240.1

  • Gridホームのディレクトリは削除しないでください。たとえば、Grid_home\Opatchを削除しないでください。このディレクトリを削除すると、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーがOpatchを使用してGridホームにパッチを適用できず、「checkdir error: cannot create Grid_home\OPatch」というエラーが表示されます。

  • Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのアップグレードは、常にアウトオブプレース・アップグレードで行われます。Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)では、Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのインプレース・アップグレードは既存のホームに対して実行できません。

  • Oracle Clusterware 11gリリース2 (11.2)以上では、共有のOracle Clusterwareホームでアップグレードを実行できます。

  • Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のアップグレードを実行するには、管理者ユーザーを使用する必要があります。

  • Oracle ASMとOracle Clusterwareの両方がOracle Grid Infrastructureホームで実行されます。

  • Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)へのメジャー・リリース・アップグレード中、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のGridホームにあるソフトウェアは、アップグレードが完了するまで完全には機能しません。すべてのノードでアップグレードが完了するまで、12cリリース1 (12.1) Gridホームからのサーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)、crsctlおよびその他のコマンドの実行はサポートされません。

    Oracle Grid Infrastructureのアップグレード中に以前のリリース(リリース10.x、11.1または11.2)のOracle Databaseソフトウェアを使用してデータベースを管理するには、既存のデータベース・ホームでSRVCTLを使用します。

  • Oracle Clusterwareのインストール中に、シングル・インスタンスのOracle ASMリリースがローカル・ノードに存在する場合、そのOracle ASMはクラスタ化されたOracle ASM 12cリリース1 (12.1)インストールに変換され、Oracle ASMはすべてのノードのOracle Grid Infrastructureホームで実行されます。

  • ローカル・ノード(Oracle Grid Infrastructureのインストールを実行中のノード)以外のリモート・ノードにシングル・インスタンスの(クラスタ化されていない)Oracle ASMがインストールされている場合は、シングル・インスタンスのOracle ASM環境がそのまま維持されます。ただし、インストール中に、Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイルをOracle ASMに置くように選択した場合は、クラスタ化されたOracle ASMのインストール環境がクラスタ内のすべてのノードに作成され、リモート・ノードにインストールされているシングル・インスタンスのOracle ASMは機能しなくなります。

  • 記憶域用にOracle ASMリリース12.1.0.2を使用するOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)データベースを作成する場合は、不具合19168335用のパッチを適用しておく必要があります。

関連項目:

『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

D.5 アウトオブプレースおよびローリング・アップグレードの理解

すべてのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードですが、これは、以前のリリースで使用されたGridホームとは異なるGridホームにソフトウェア・バイナリが配置されることを意味します。アップグレードをローリング方式で実行することもでき、これはアップグレード中に少なくとも1つのクラスタ・ノードを常に使用できることを意味します。

ローリング・アップグレード

Oracle Grid Infrastructureをアップグレードするには、クラスタを停止してクラスタ全体をアップグレードするか、クラスタ内の他のノードのOracle Grid Infrastructureを停止せずに個々のノードをアップグレードします(これはローリング・アップグレードの実行と呼ばれます)。ノードのサブセットをアップグレードする場合は、アップグレードの対象として選択しなかった既存のクラスタ・ノードでソフトウェアのみのインストールが実行されます。ローリング・アップグレードは、ソフトウェアの新リリースへのアップグレード中、停止時間をなくし、可用性の継続を保証します。

注意:

Oracle Clusterware 11gリリース2より前のリリースとは対照的に、すべてのノードをアップグレード対象に選択したとしても、Oracle Universal Installer (OUI)によって常にローリング・アップグレードが実行されます。

アウトオブプレース・アップグレード

アウトオブプレース・アップグレードでは、インストーラは新しいリリースを別のOracle Clusterwareホームにインストールします。両方のリリースのOracle Clusterwareが、各クラスタ・メンバー・ノードに存在しますが、1つのリリースのみがアクティブになります。対照的に、インプレース・アップグレードでは、現行のOracle Clusterwareホームのソフトウェアが上書きされます。

アウトオブプレース・アップグレードを実行するには、各ノードで新しいOracle Grid Infrastructureホームを作成する必要があります。その後、あるノードでは元のOracle ClusterwareホームからOracle Clusterwareを実行し、別のノードでは新しいOracle Grid InfrastructureホームからOracle Clusterwareを実行するように、アウトオブプレース・ローリング・アップグレードを実行できます。

既存のOracle Clusterwareインストールがある場合は、アウトオブプレース・アップグレードを行うことにより、既存のクラスタをアップグレードします。Oracle Clusterwareのインプレース・アップグレードはサポートされません。

D.6 既存のOracle Clusterwareインストールをアップグレードするための準備

既存のOracle Clusterwareインストールがある場合は、アウトオブプレース・アップグレードを行うことにより、既存のクラスタをアップグレードします。インプレース・アップグレードは実行できません。

アップグレードを開始する前に、次の作業を行います。

D.6.1 パッチおよびアップグレードに対するシステム準備状況の検証

リリース・ノートおよびクラスタ検証ユーティリティを使用して、ソフトウェアのパッチ適用またはアップグレードの準備が完了していることを確認します。

  1. Oracle ClusterwareまたはOracle ASMのパッチ更新を実行する場合は、パッチ・ソフトウェアをダウンロードした後、ソフトウェア・インストールにパッチを適用したり、アップグレードする前に、パッチに付属のパッチ・セット・リリース・ノートで、システムがオペレーティング・システムおよびハードウェアのシステム要件を満たすかどうかを確認します。
  2. クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用すると、パッチ適用またはアップグレードの準備として、システムをチェックできます。
    アップグレードを始める前にCVUを実行できますが、インストーラによって適切なCVUチェックが自動的に実行され、アップグレードを行う前に問題を修正するように求められます。

関連項目:

『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

D.6.2 必要なシステム情報の収集

新しいホーム・ディレクトリにOracle Grid Infrastructureをインストールする場合は、必要な情報を把握しておく必要があります。

D.6.3 最小要件のOracle Clusterwareリリースへのアップグレード

現行のOracle Clusterwareインストールが、そのリリースでサポートされている最小バージョン以上で現在実行されていない場合、前提条件チェックで失敗が報告されます。アップグレードする前に、現行のOracle Clusterwareインストールを、サポートされている最小リリース以上にアップグレードする必要があります。

既存のOracle Clusterwareインストールを標準構成のOracle Grid Infrastructure 12cのクラスタにアップグレードするには、リリースがOracle Clusterware 10gリリース1 (10.1.0.5)、Oracle Clusterware 10gリリース2 (10.2.0.3)、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース1 (11.1.0.6)またはOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.2)以上である必要があります。
  • Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1にアップグレードする前に、現行のOracle Clusterwareインストールを、サポートされている最小リリース以上にアップグレードします。
    たとえば、Oracle Clusterware 11gリリース1のインストールをOracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)にアップグレードする予定だが、現行のOracle Clusterwareインストールがリリース11.1.0.2である場合は、アップグレードを始める前に、現行のOracle Clusterwareインストールをリリース11.1.0.6以上にアップグレードする必要があります。

D.6.4 Oracleソフトウェアによって使用されている環境変数の設定の削除

システムに既存のインストール環境があり、同じユーザー・アカウントを使用してOracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)をインストールする場合、Oracleインストール・ユーザーについて、Oracleソフトウェア・ホームに接続されている環境変数の設定を削除する必要があります。

アップグレードの前に、次の環境変数の設定を削除する必要があります。

  • ORACLE_BASE

  • ORACLE_HOME

  • ORACLE_SID

  • ORA_NLS10

  • TNS_ADMIN

  • ORA_CRS_HOME

環境変数にORA_CRS_HOMEを設定した場合は、Oracleサポートの指示に従ってから、インストールまたはアップグレードを開始する前にその設定を削除します。Oracleサポートから明示的に指示がないかぎり、ORA_CRS_HOMEを環境変数として使用しないでください

  1. 「スタート」メニューから、「マイ コンピュータ」を右クリックして、「プロパティ」を選択します。
  2. 「システムのプロパティ」ウィンドウで、「詳細設定」を選択し、「環境変数」ボタンをクリックします。
  3. 環境変数の設定を削除するには、変数を選択して「削除」をクリックします。
  4. 環境変数の設定の削除が終了したら、「OK」をクリックします。
  5. Oracleインストール・ユーザーのユーザー・プロファイルに、これらの環境変数が設定されていないことを確認します。

D.7 CVUを使用した、Oracle Clusterwareのアップグレードに対する準備状況の検証

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用すると、アップグレードを開始する事前準備として、システムをチェックできます。CVUによって、適切なシステム・チェックが自動的に実行され、アップグレードを進める前に問題を解決するよう求められます。

関連項目:

『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

D.7.1 CVUのグリッド・アップグレード検証コマンドのオプションについて

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用して、アップグレード前にシステム準備状況を検証できます。

アップグレード検証は、次の2つの方法のいずれかで実行できます。

  • OUIを実行し、OUIに組み込まれたCVU検証でシステム・チェックを実行する

  • CVU手動スクリプトのcluvfy.batスクリプトを実行し、システム・チェックを実行する

OUIを使用してインストール前のチェックを実行するには、インストールを通常どおりに実行します。OUIによってCVUが起動され、インストール・プロセスの一部としてシステム・チェックが実行されます。これらのチェックの実行にOUIを選択すると、インストール前のチェックは完了したとみなし、システム構成がインストールの最小要件を満たしていることを確認する場合に特に有効です。

CVUのcluvfy.batコマンドライン・スクリプトを使用するには、runcluvfy.batコマンドがあるアップグレードのステージング領域に移動し、次のコマンドを実行してアップグレードに対するOracle Clusterwareインストールの準備状況を確認します。

runcluvfy.bat stage -pre crsinst -upgrade

-pre crsinst -upgradeオプションを指定してruncluvfy.batを実行すると、既存のクラスタウェア・インストールのアップグレードに対してクラスタが適切な状態にあるかどうかを確認するためのシステム・チェックが実行されます。

runcluvfyコマンドでは次の構文を使用します。変数はイタリックで示しています。

runcluvfy.bat stage -pre crsinst -upgrade [-rolling] -src_crshome 
src_Gridhome -dest_crshome dest_Gridhome -dest_version dest_release
[-verbose]

オプションは次のとおりです。

  • -rolling

    このオプションを使用すると、ローリング・アップグレードに対する準備状況が検証されます。

  • -src_crshome src_Gridhome

    このオプションは、アップグレードするソースOracle ClusterwareまたはGridホームの場所を指定します(src_Gridhomeはアップグレードするホームへのパス)。

  • -dest_crshome dest_Gridhome

    このオプションは、アップグレードGridホームの場所を指定します(dest_GridhomeはGridホームへのパス)。

  • -dest_version dest_release

    dest_versionオプションは、パッチセットを含む、アップグレードのリリース番号を指定します。リリース番号には、リリースをプラットフォーム固有のパッチのレベルに指定する5つの数字を含める必要があります。たとえば、12.1.0.1.0などです。

  • -verbose

    -verboseオプションを使用すると、個々のチェックの詳細な出力が生成されます。

D.7.2 グリッド・インフラストラクチャのシステム・アップグレードの準備状況の検証例

runcluvfy.batコマンドを使用すると、アップグレード前にシステムをチェックできます。

次のコマンドを実行して、Oracle Clusterwareのインストールに必要な権限が構成されているかどうかを検証します。

C:\> runcluvfy.bat stage -pre crsinst -upgrade -rolling 
-src_crshome C:\app\11.2.0.3\grid -dest_crshome C:\app\12.1.0\grid
-dest_version 12.1.0.2.0 -verbose

D.8 バッチを使用したローリング・アップグレードの理解

パッチの適用時に、すべてのノードを停止するのではなく、一部のノードを停止して他のノードを稼働させておくことができます。

以前のリリースからのアップグレードでは、クラスタ全体をアップグレードする必要があります。アップグレード対象の個々のノードを選択または選択解除することはできません。ローリング・アップグレード中にノードをクラスタに追加する操作はサポートされていません。

Oracle Clusterwareのアップグレード時は、Oracle RACインスタンスを実行したままにしておくことをお薦めします。各ノードでアップグレード・プロセスを開始すると、アップグレード・スクリプトによってデータベース・インスタンスが停止され、インスタンスが再度起動されます。Oracle Grid Infrastructure 11gリリース11.2.0.2以上をOracle Grid Infrastructureの新しいリリースにアップグレードする場合は、すべてのノードのアップグレードがデフォルトで選択されます。

アップグレードを実行する場合は、グループ、つまりバッチにノードを分割し、これらのノード・バッチからアップグレードを開始できます。バッチ間で、以前のリリースを実行しているノードからアップグレード済のノードにサービスを移動して、サービスがアップグレードの影響を受けないようにできます。

D.9 Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレードの実行

Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレードを実行する場合は、この情報を確認します。

D.9.1 以前のリリースからの標準的なアップグレードの実行

Oracle ClusterwareまたはOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を以前のリリースから新しいリリースにアップグレードするには、次の手順を実行します。

注意:

Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)にアップグレードすると、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)がOracle Clusterwareと同じホームにインストールされます。このホームは、Oracleドキュメントでは、Oracle Grid InfrastructureホームまたはGridホームと呼ばれます。また、ローリング・アップグレード中に、ノードをクラスタに追加する操作はサポートされていません。

以前により高いリリースのOracle Grid Infrastructureへのアップグレードを試行し、そのGridホームがまだ存在する場合は、インストーラを実行するかわりに、より高いバージョンのGridホームのGrid_home\crs\configディレクトリにあるconfig.batスクリプトを実行します。アップグレード・オプションを選択して、既存のGridホームをより新しいリリースにアップグレードします。

  1. クラスタ内のノードで実行されているOracle ASMを使用する、非クラスタ(シングル・インスタンス)のOracle Databaseが存在する場合は、アップグレードを開始する前に、それらを停止する必要があります。
    それらのデータベースに関連付けられているリスナーを停止する必要はありません。

    注意:

    Oracle Clusterwareのアップグレード中、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)インスタンスは、実行したままにしておくことをお薦めします。アップグレード・プロセス中、アップグレードされているノードのデータベース・インスタンスは自動的に停止および起動されます。
  2. インストーラを起動し、インストールされている既存のOracle ClusterwareおよびOracle ASMをアップグレードするオプションを選択します。
  3. ノード選択ページで、すべてのノードを選択します。

    注意:

    Oracle Clusterware 11gリリース2より前のリリースとは対照的に、すべてのノードをアップグレード対象に選択したとしても、アップグレードはすべてローリング・アップグレードになります。Oracle Clusterware 11gからアップグレードしている場合は、デフォルトで、すべてのノードが選択されます。ノードを選択したり、選択解除することはできません。
  4. 指示どおりに、インストール・オプションを選択します。
  5. 選択内容を確認すると、アップグレード・スクリプトが自動的に実行されます。

    注意:

    インストールが完了する前にサーバーを再起動する必要があることを示すエラーが表示された場合は、失敗または中断されたインストールおよびアップグレードの完了を参照してください。
  6. Oracle Clusterwareをアップグレードするのと同時に、Oracle ASMもアップグレードすることをお薦めします。
    Oracle ASMをアップグレードするまで、Oracle ASMを使用するOracle Databaseは作成できず、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)ホーム内のOracle ASM管理ツール(srvctlなど)は動作しません。
    • Oracle Clusterwareのアップグレードが完了した後、Oracle ASM 11gリリース2 (11.2.0.2)より前のリリースからアップグレードしており、かつ、ASM Configuration Assistant (ASMCA)のチェック・ボックスを選択したままにした場合は(デフォルト)、インストーラによってASMCAが起動され、Oracle ASMがアップグレードされます。アップグレードのインタビュー・ステージでボックスの選択を解除すると、ASMCAは自動的には実行されません。

    • 以前のリリースのOracle ASMがインストールされている場合、Oracle ASMを12cリリース1 (12.1)へアップグレードするために、インストーラによってASMCAが起動されます。Oracle ASMをこのときにアップグレードするか、または後でアップグレードできます。

    注意:

    アップグレード後に、Oracle Cluster Registry(OCR)のバックアップ場所を前のリリースのOracle Clusterwareホーム(CRSホーム)に手動で設定していた場合は、OCRのバックアップ場所をOracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)に変更する必要があります。OCRのバックアップ場所を手動で設定しなかった場合は、この問題は関係がありません。

    Oracle Clusterwareのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードであるため、以前のリリースのOracle ClusterwareホームをOCRのバックアップ場所にすることはできません。以前のOracle Clusterwareホーム内のバックアップは削除される可能性があります。

  7. Oracle Grid Infrastructureホームは、以前のOracle ClusterwareホームおよびOracle ASMホームとは異なる場所にあるため、Oracle ClusterwareホームおよびOracle ASMホームにあるユーティリティやその他のファイルを使用するスクリプトまたはアプリケーションを更新します。

D.9.2 ノードにアクセスできなくなった場合のOracle Clusterwareのアップグレードの完了

アップグレードの途中で一部のノードにアクセスできなくなった場合は、ユーザーの介入なしではアップグレードを完了できません。

到達できないノードではアップグレードが正常に完了しなかったため、アップグレードは不完全です。Oracle Clusterwareは以前のリリースのままです。

  1. 次のコマンドを入力して、アップグレードが完了していないことを確認します。
    crsctl query crs activeversion
  2. 完了していないアップグレードを解決するには、rootupgrade.batスクリプトがすでに完了しているノードのいずれかで、次のように-forceオプションを指定してrootupgrade.batコマンドを実行します。
    Grid_home/rootupgrade -force

    たとえば、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーとして、次のコマンドを実行します。

    C:\> C:\app\12.1.0\grid\rootupgrade -force

    クラスタのforce アップグレードには、次のような制限があります。

    • すべてのアクティブ・ノードが新しいリリースにアップグレードされる必要があります。

    • すべての非アクティブ・ノード(アクセス可能またはアクセス不可能)は、アップグレードされても、アップグレードされなくてもどちらでもかまいません。

    • アクセスできないノードの場合は、パッチ・セット・アップグレードの後、ノードをクラスタから削除できます。ノードが後でアクセス可能になり、パッチ・バージョン・アップグレードのパスがサポートされる場合は、このノードを新しいパッチ・バージョンにアップグレードできます。

    このコマンドによってアップグレードが強制的に完了されます。
  3. crsctl query crs activeversionコマンドを使用して、アップグレードが完了したことを確認します。
    アクティブなリリースがアップグレード・リリースになります。

D.9.3 強制アップグレード後にアクセスできないノードのアップグレードの完了

以前のリリースでは、アクセスできないノードを削除する必要がありましたが、Oracle Grid Infrastructure 12cからは、クラスタのforceアップグレード・コマンドの完了後にそのようなノードをクラスタに統合できます。

このオプションを使用するには、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)ソフトウェアがノードにインストールされている必要があります。
  1. クラスタ・メンバー・ノードのいずれかに、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーとしてログインします。
  2. Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1) Gridホームのcrs\installディレクトリに移動します。

    次に例を示します。

    C:\> cd app\12.1.0\grid\crs\install
  3. 次のPERLコマンドを実行します。upgraded_nodeはクラスタに追加するアクセス不可能ノードまたは到達不可能ノードです。
    C:\> rootupgrade.bat -join -existing_node upgraded_node

    注意:

    リリース11.2.0.2.0より前のOracle Clusterwareでは、-join操作はサポートされていません。その場合はノードを削除し、addNodeコマンドを使用してクラスタに追加します。

D.9.4 インストールとアップグレードに使用する最初のノードの変更

最初のノードにアクセスできなくなった場合、別のノードを、インストールまたはアップグレードに使用する最初のノードに強制的に設定することができます。

  • インストール: 最初のノードでgridonfig.batが失敗した場合、-forceオプションを使用して、別のノードで次のコマンドを実行します。
    Grid_home\crs\config\gridconfig.bat -force -first
  • アップグレード: 最初のノードでgridonfig.batが失敗した場合、-forceオプションを使用して、別のノードで次のコマンドを実行します。
    Grid_home\crs\config\gridconfig.bat -upgrade -force -first

D.10 Oracle ASMのローリング・アップグレードの実行

Oracle Grid InfrastructureアップグレードのOracle ASM部分に失敗した場合、またはなんらかの理由でAutomatic Storage Management Configuration Assistant (ASMCA)が動作しなかった場合は、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)アップグレードのOracle Clusterware部分を終了した後で、Oracle ASMの別途アップグレードが必要な場合があります。

Oracle ASMをOracle Grid Infrastructure 12cリリース1にアップグレードした後、Oracle ASMの個々のパッチをOracle Automated Release Updateサイトからダウンロードしてインストールできます。Oracle Grid InfrastructureからOracle ASMを個別にアップグレードする手順は、Oracle ASMをアップグレードするための準備を参照してください。

D.10.1 Oracle ASMをアップグレードするための準備

Oracle ASMのアップグレードを個別に完了する必要がある場合は、次の要件に注意してください。

  • Oracle Clusterwareのアクティブなリリースは、12cリリース1 (12.1)である必要があります。アクティブなリリースを確認するには、Gridホームから次のコマンドを入力します。

    crsctl query crs activeversion
  • シングル・インスタンスのOracle ASM環境を、クラスタ化されたOracle ASM環境へアップグレードできます。ただし、Oracle ASMがインストールされているノードからインストールを実行した場合、アップグレードできるのは既存の単一インスタンスのOracle ASMインストールのみです。リモート・ノードにあるシングル・インスタンスのOracle ASM環境をアップグレードすることはできません。

  • アップグレード処理を開始する前に、既存のOracle ASMインストールに対するリバランス操作が完了していることを確認する必要があります。

  • アップグレード・プロセス中、Oracle ASMインスタンスの状態をアップグレード状態に変更することになります。このアップグレード状態によってOracle ASM操作が制限されるため、開始後すぐにアップグレード処理を完了する必要があります。Oracle ASMインスタンスがアップグレード状態のときには、次の操作を実行できます。

    • ディスク・グループのマウントとマウント解除

    • データベース・ファイルのオープン、クローズ、サイズ変更または削除

    • インスタンスのリカバリ

    • 固定ビューおよび固定パッケージの問合せ(固定ビューの問合せと、DBMS_DISKGROUPなどの固定パッケージを使用した匿名PL/SQLブロックの実行は可能です)

  • データベース・クライアントは、Oracle ACFS上にある場合を除き、停止する必要はありません。

D.10.2 Oracle Grid InfrastructureアップグレードからのOracle ASMの個別アップグレード

別のOracleホームにOracle ASMがインストールされているOracle ASMリリースからアップグレードする必要がある場合、またはOracle Grid InfrastructureアップグレードのOracle ASM部分の実行に失敗した場合は、次のタスクを実行します。

  1. アップグレードを開始しようとしているノードで、環境変数ASMCA_ROLLING_UPGRADEtrueに設定します。
    次に例を示します。
    C:\> set ASMCA_ROLLING_UPGRADE=true
  2. Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のホームから、ASMCAを起動します。
    次に例を示します。
    C:\> cd app\12.1\grid\bin
    C:\..bin> asmca.bat
    Oracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)が起動します。
  3. 「アップグレード」を選択します。
    ASMCAにより、クラスタ内にあるすべてのノードのOracle ASMが連続してアップグレードされます。
  4. アップグレードが完了したら、コマンドを実行して、ASMCA_ROLLING_UPGRADE環境変数の設定を解除します。
    C:\> set ASMCA_ROLLING_UPGRADE=

関連項目:

Oracle ASMのアップグレード計画の準備、およびOracle ASMアップグレードの開始、実行、停止の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』および『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

D.11 Oracle ASMへのパッチの適用

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1でOracle ASMをアップグレードした後、Oracle ASMの個々のパッチをMy Oracle Supportからダウンロードしてインストールできます。

D.11.1 個々の(個別) Oracle ASMパッチについて

個々のパッチは個別パッチと呼ばれます。

Oracle ASMの個別パッチは、Oracle ASMの特定のリリースで使用できます。必要なパッチが使用可能である場合は、パッチをダウンロードし、OPatchユーティリティを使用してOracle ASMに適用できます。

Oracle ASMのリリースにインストールしたパッチは、OPatchインベントリによって追跡されます。インストール済のパッチと適用したいパッチ間で競合が発生する場合、OPatchユーティリティよりこれらの競合に関する通知があります。OPatchユーティリティを使用したOracle ASMへのパッチの適用の詳細は、「特定のソフトウェア・パッチ・レベルにするためのOracle ASMへのパッチの適用」を参照してください。

D.11.2 Oracle ASMのソフトウェア・パッチ・レベルについて

Oracle ASMおよびOracle Grid Infrastructureのパッチを適用する方法を理解するには、このトピックを確認します。

Oracle Grid Infrastructureのソフトウェア・パッチ・レベルは、Oracle ASMを含むOracle Grid Infrastructureソフトウェア・リリースに適用される、すべての個別パッチのセットを表します。リリースとは、メジャー、マイナーおよびパッチ・セットのリリース番号という形式で表されるリリース番号のことです。たとえば、リリース番号が12.1.0.1である場合は、メジャー・リリースが12、マイナー・リリースが1、0.1がパッチ・セット番号です。個別パッチでは、メジャーおよびマイナー・リリース番号は同じままですが、個別パッチを適用またはロールバックするたびにパッチ・レベルが変更されます。

Oracle Grid Infrastructureの標準アップグレードと同様に、クラスタの通常操作ではどの時点でもクラスタ内のすべてのノードのソフトウェア・リリースおよびパッチ・レベルが同じである必要があります。個別パッチはローリング・アップグレードとして適用できるため、特定のソフトウェア・リリースのすべてのパッチ・レベルは相互に互換性があります。

関連項目:

D.11.3 特定のソフトウェア・パッチ・レベルにするためのOracle ASMへのパッチの適用

Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)以上では、ローリング・パッチと呼ばれる新しいクラスタ状態が使用可能です。

ローリング・パッチ・モードは、この休止状態でOracle ASM操作が許可されるという点で、既存のローリング・アップグレード・モードに類似しています。

  1. 適用するパッチをMy Oracle Supportからダウンロードします。
    1. https://support.oracle.comに移動します
    2. 「パッチと更新版」タブを選択してパッチを検索します。

      パッチ・バンドルを検索するには、使用するプラットフォームとソフトウェア・リリースの「製品またはファミリ(拡張)」検索を実行します。

      「推奨パッチ・アドバイザ」を選択して、ご使用のソフトウェアの製品グループ、リリースおよびプラットフォームを入力することをお薦めします。My Oracle Supportに、最新のパッチと重要なパッチ更新(CPU)のリストが表示されます。
    3. C:\downloadsなど、アクセス可能なディレクトリにパッチを配置します。
  2. Gridホーム内の/opatchディレクトリに移動します。

    次に例を示します。

    C:\> cd app\12.1.0\grid\opatch
  3. 適用するパッチについてパッチ・ドキュメントを確認し、パッチのアップグレードを開始する前に必要な手順をすべて完了します。
  4. パッチ・ドキュメントの手順に従って、パッチを適用します。

D.12 アップグレード後のクラスタ状態モニターのリポジトリ・サイズの確認

IPD/OSを使用する以前のリリースからOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.2以上)にアップグレードする場合は、クラスタ状態モニターのリポジトリ・サイズ(CHMリポジトリ)を確認する必要があります。

  1. CHMリポジトリの要件を確認し、より大規模なCHMリポジトリを保持する場合はリポジトリ・サイズを大きくします。

    注意:

    以前のIPD/OSリポジトリは、Oracle Grid Infrastructureのインストール時に削除されます。

    クラスタのサイズに関係なく、CHMリポジトリのデフォルト・サイズは、最小で1GBまたは3600秒(1時間)です。

  2. CHMリポジトリを大きくするには、次のコマンド構文を使用します。RETENTION_TIMEはCHMリポジトリのサイズ(秒数)です。
    oclumon manage -repos changeretentiontime RETENTION_TIME

    たとえば、リポジトリ・サイズを4時間に設定するとします。

    C:\> oclumon manage -repos changeretentiontime 14400
    RETENTION_TIMEは、3600(1時間)より大きく、259200(3日)より小さい値である必要があります。CHMリポジトリ・サイズを大きくする場合は、クラスタのノードごとに選択するリポジトリ・サイズに使用できるローカル領域があることを確認する必要があります。十分な領域がない場合は、リポジトリを共有ストレージに移動できます。

D.13 アップグレード後のOracle Clusterwareのダウングレード

Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)へのアップグレードが成功または失敗した後で、Oracle Clusterwareを前のリリースにリストアできます。

D.13.1 アップグレード後のOracle Clusterwareのダウングレードについて

Oracle Clusterwareをダウングレードすると、Oracle Clusterware構成をOracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)のアップグレード前の状態にリストアできます。Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のアップグレードの最中または後で行った変更はすべて消去され、リカバリされません。

ダウングレードの手順では、次の変数を使用します。

  • ローカル・ノードは、アップグレード・プロセスを開始した最初のノードです。

  • リモート・ノードは、アップグレード・プロセスを開始したノード以外のすべてのノードです。

Oracle Clusterwareを以前のリリースにリストアするには、ダウングレードするリリースのダウングレード手順を使用します。

注意:

アップグレードが失敗した後でダウングレードするときに、ノード上にrootcrs.batファイルが存在しない場合は、次の各項でrootcrs.batスクリプトを実行するかわりにperl rootcrs.plコマンドを使用してください。Oracleホーム・ディレクトリにあるperlインタプリタを使用してください。

D.13.2 リリース11.2.0.2より前のOracle Clusterware 11gリリースへのダウングレード

次の手順で、Oracle Clusterwareを前のリリースにリストアする方法について説明します。

  1. rootupgradeスクリプトが、アップグレードを開始したノード(最初のノード)以外のノードで失敗した場合は、アップグレードが失敗したノードをダウングレードします。
    Grid_home\crs\install\rootcrs.bat -downgrade
  2. rootupgradeスクリプトが正常に実行された他のすべてのノード(最初のノードを除く)で、管理者ユーザーとして次のコマンドを実行します。
    Grid_home\crs\install\rootcrs.bat -downgrade
    このコマンドによって、Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)リソースと、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)スタックが停止されます。
  3. 最初のノード以外のすべてのノードでrootcrs.bat -downgradeスクリプトが完了した後、最初のノードで次のコマンド構文を使用します。
    Grid_home\crs\install\rootcrs.bat -downgrade -lastnode

    次に例を示します。

    C:\app\12.1.0\grid\crs\install> rootcrs.bat -downgrade -lastnode

    注意:

    Oracle Grid Infrastructure 12cでは、以前のリリースのGridホームやリリース番号の場所を指定する必要がありません。
    Oracle Grid Infrastructureのインストール・ユーザーに対して書込み権限のあるディレクトリから、このコマンドを実行します。
  4. rootcrsスクリプトが正しく実行されたいずれかのクラスタ・メンバー・ノードで次の手順を実行します。
    1. Oracle Grid Infrastructureインストール所有者としてログインします。
    2. 次のコマンドを使用して、インストーラを開始します。C:\app\12.1.0\gridは、新しい(アップグレードされた) Gridホームの場所です。
      setup.exe -nowait -waitforcompletion -ignoreSysPrereqs -updateNodeList
        -silent CRS=false ORACLE_HOME=C:\app\12.1.0\grid
      Gridホームが共有ホームの場合は、オプション-cfsを追加します。
  5. アップグレードが正常に完了したすべてのクラスタ・メンバー・ノードで、次の手順を実行します。
    1. Oracle Grid Infrastructureインストール所有者としてログインします。
    2. 次のコマンドを使用して、インストーラを開始します。オプションORACLE_HOMEに指定するパスは、以前のOracle Clusterwareインストールのホーム・ディレクトリの場所です。

      たとえば、以前のOracle Clusterwareインストールの場所がC:\app\crsの場合は、次のようなコマンドを使用します。

      C:\> cd C:\app\12.1.0\grid\oui\bin
      C:\..bin> setup.exe -nowait -waitforcompletion -ignoreSysPrereqs
         -updateNodeList -silent CRS=true ORACLE_HOME=C:\app\crs
    3. 11.1以下のリリースにダウングレードする場合

      Oracle Clusterware 11gリリース1 (11.1)以前のリリースにダウングレードする場合、以前のリリースのOracle Clusterwareホームからroot.batを手動で実行し、手順bの完了後にダウングレードを完了する必要があります。

      プロンプトが表示され、ダウングレードを完了するには、クラスタの各メンバー・ノード上で、以前のリリースのOracle Clusterwareインストールのホームから、root.batを手動で順番に実行するよう求められます。この作業が終了したら、ダウングレードは完了です。

      以前のリリースのOracle Clusterwareインストールのホームからroot.batを実行することにより、Oracle Clusterwareスタックが再起動され、以前により古いリリースでOracle Clusterwareに登録されていたすべてのリソースが起動され、以前のリリースのOracle Clusterwareスタックを実行するように古い初期化スクリプトが構成されます。

インストーラによって、Oracle Grid Infrastructure 12cソフトウェア・スタックが停止されます。

Oracle Grid Infrastructureが使用するWindowsサービスが再作成され、ダウングレード・プロセス中にスクリプトのいずれかによって古いソフトウェア・リリースのGridホームが参照されます。

D.13.3 Oracle Clusterware 11gリリース2 (11.2.0.2)以上のリリースへのダウングレード

次の手順を使用して、Oracle Clusterwareを前のリリースにリストアします。

  1. すべてのリモート・ノードで、管理者ユーザーとしてコマンド構文Grid_home\crs\install\rootcrs.bat -downgrade [-force]を使用して、Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)のリソースを停止し、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)スタックを停止します。

    次に例を示します。

    C:\app\12.1.0\grid\crs\install> rootcrs.bat -downgrade
  2. すべてのリモート・ノードでrootcrs.bat -downgradeスクリプトが完了した後、ローカル・ノードで次のコマンド構文を使用します。
    Grid_home\crs\install\rootcrs.bat -downgrade -lastnode

    次に例を示します。

    C:\app\12.1.0\grid\crs\install> rootcrs.bat -downgrade -lastnode 

    注意:

    Oracle Grid Infrastructure 12c以降、以前のリリースのGridホームやリリース番号の場所を指定する必要がなくなりました。

    Oracle Grid Infrastructureのインストール・ユーザーに対して書込み権限のあるディレクトリから、このコマンドを実行します。

  3. Oracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレードが正常に完了した各クラスタ・メンバー・ノードで、次の手順を実行します。
    1. 管理者ユーザーまたはOracleインストール・ユーザーとしてログインします。
    2. 次のコマンドを使用して、インストーラを開始します。C:\app\12.1.0\gridは、新しい(アップグレードされた) Gridホーム(12.1)の場所です。
      setup.exe -updateNodeList -silent CRS=false ORACLE_HOME=C:\app\12.1.0\grid
      Gridホームが共有ホームの場合は、オプション-cfsを追加します。
    3. 次のコマンドを使用して、Gridホーム(12.1)からインストーラを開始します。オプションORACLE_HOMEに指定するパスは、以前のOracle Clusterwareインストールのホーム・ディレクトリの場所(C:\app\11.2.0.2\gridなど)です。
      cd C:\app\12.1.0\grid\bin
      setup.exe -updateNodeList -silent CRS=true ORACLE_HOME=C:\app\11.2.0.2\grid
    4. 11.2.0.2にダウングレードするには、次の手順を実行します。
      Oracle Clusterware 11gリリース1 (11.2.0.2)にダウングレードする場合、手順cの完了後、Oracle Clusterwareスタックを手動で起動する必要があります。

      各ノードで、crsctl start crsコマンドを使用して前のリリースのOracle ClusterwareホームからOracle Clusterwareを起動します。たとえば、以前のリリースのホームがC:\app\11.2.0.2\gridである場合は、各ノードで次のコマンドを使用します。

      C:\app\11.2.0.2\grid\bin\crsctl start crs
  4. 12.1.0.1にダウングレードするには、次の手順を実行します。

    Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1.0.1)をダウンロードしている場合は、次のコマンドを実行してGrid Management Databaseを構成します。

    1. すべてのノードで12.1.0.1のOracle Clusterwareスタックを起動します。
    2. 各ノードで、次のようにしてMGMTDBリソースを削除します。
      C:\> 12101_Grid_home\bin\srvctl remove mgmtdb
    3. Oracle Grid Infrastructure 12cホームからサイレント・モードでDBCAを実行し、次のようにManagement Databaseを作成します。ASM_DG_NAMEは、有効なOracle ASMディスク・グループの名前です。
      12101_Grid_home\bin\dbca -silent -createDatabase -templateName
       MGMTSeed_Database.dbc -sid "-MGMTDB" -gdbName _mgmtdb -storageType ASM
       -diskGroupName ASM_DG_NAME -characterset AL32UTF8 
       -datafileJarLocation 12101_Grid_home/assistants/dbca/templates
       -autoGeneratePasswords
    4. 12101_Grid_home\bin\mgmtcaからConfiguration Assistantを実行し、Management Databaseを構成します。

D.14 Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのターゲット・パラメータの更新

Oracle Clusterwareのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードであるため、アップグレードされたソフトウェアのGridホームには新しい場所が設定されます。一部のOracle Enterprise Managerパラメータ・ファイルでは、Oracle Clusterwareホームのパスを変更する必要があります。

CRS_HOMEパラメータを変更しなかった場合は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlでクラスタ・ターゲットの不正などのエラーが発生することがあります。

問題を解決するには、Enterprise Manager Cloud Controlターゲットをアップグレードし、エージェントを実行している各クラスタ・メンバー・ノードでEnterprise Managerのエージェント・ベース・ディレクトリを更新します。

D.14.1 アップグレード後のEnterprise Manager Cloud Controlターゲットの更新

Oracle Grid Controlのアップグレード後に、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのターゲットを更新する必要がある場合があります。

  1. Enterprise Manager Cloud Controlにログインします。
  2. 「ターゲット」メニューに移動し、次に「クラスタ」ページに移動します。
  3. アップグレードされたクラスタ・ターゲットをクリックします。
  4. メニューで「クラスタ」「ターゲット設定」「監視構成」をクリックします。
  5. 「Oracleホーム」の値を新しいGridホームのパスで更新します。
  6. 更新を保存します。

D.14.2 アップグレード後のEnterprise Managerエージェント・ベース・ディレクトリの更新

エージェント・ベース・ディレクトリは、管理エージェント・ホームが作成されるディレクトリです。

管理エージェント・ホームは、パスAgent_Base_directory\core\EMAgent_Versionにあります。たとえば、エージェント・ベース・ディレクトリがC:\app\emagentの場合、管理エージェント・ホームはC:\app\emagent\core\12.1.0.1.0のように作成されます

  1. 管理エージェントのホームのbinディレクトリに移動します。
  2. C:\app\emagent\core\12.1.0.1.0\binディレクトリのemctlファイルをテキスト・エディタで開きます。
  3. CRS_HOMEパラメータを検索し、これを新しいGridホーム・パスに更新します。
  4. Enterprise Managerエージェントを含むクラスタの各ノードで手順1-3を繰り返します。