この付録では、Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)のアップグレードの実行方法について説明します。
有効なバックアップがないと、Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseのアップグレードに失敗し、以前のソフトウェア・インストール環境に戻すことを試みても、Oracleソフトウェアを動作する状態にリストアできません。
Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをアップグレードするために使用できる各種の方法があります。
次のいずれかの方法で、Oracle Grid Infrastructureをアップグレードできます。
ローリング・アップグレード: クラスタ内の他のノードのOracle Grid Infrastructureを停止せずに個々のノードをアップグレードします。
非ローリング・アップグレード: ノードのうち1つを残して、他のすべてのノードを停止してアップグレードします。rootスクリプトによって、以前のOracle Clusterwareスタックが停止され、アップグレードを開始したノード上で新しいOracle Clusterwareスタックが起動されるまでの間、クラスタが完全に停止します。アップグレードの完了後、すべてのノード上で新しいOracle Clusterwareが起動されます。
1つ以上のノードがアップグレード中のときは、一部のサービスが無効になることに注意してください。すべてのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードですが、これは、以前のリリースで使用されたGridホームとは異なるGridホームにソフトウェア・バイナリが配置されることを意味します。
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)から、以前のリリースのOracle Grid Infrastructureにダウングレードできます。以前のリリースにダウングレードする場合、クラスタは以前のそのリリースの構成要件に準拠する必要があり、クラスタで利用できる機能は以前のそのリリースのOracle ClusterwareとOracle ASMで利用できる機能のみとなることに注意してください。
既存のOracle ASM 11gリリース1 (11.1)またはOracle ASM 10gのインスタンスがあり、Oracle ASMが別のホームにある場合は、これをOracle Grid Infrastructureのインストール時にアップグレードするか、Oracle ASM Configuration Assistant (ASMCA)を使用してインストール後にアップグレードできます。Oracle ASMをアップグレードするまでは、Oracle ASMの数多くの機能が無効になっていることに注意してください。また、Oracle ASMがアップグレードされるまで、Oracle ASMのOracle Clusterware管理は正しく機能しません。これは、Oracle Grid Infrastructureホームで実行されているときのみ、Oracle ClusterwareはOracle ASMを管理するためです。このことから、Oracle Clusterwareのアップグレードと同時にOracle ASMをアップグレードしない場合は、Oracle ASMを直後にアップグレードすることをお薦めします。この問題はOracle ASM 11gリリース2 (11.2)以降には当てはまりません。これはOracle ASM実行可能ファイルがこれらのリリースではOracle Grid Infrastructureホームに格納されるためです。
ASMCAを使用すると、Oracle ASMインスタンスにアウトオブプレース・アップグレードを実行できます。グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を使用する以外に、非対話型(サイレント)モードでもASMCAを実行できます。
注意:
現在、共有記憶域としてWindows用のOCFSを使用している場合は、Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureのアップグレード時に、Oracle ASMを使用するように移行する必要があります。注意:
クラスタ・バックアップ・ファイルの使用を試みる前に、アップグレードを完了する必要があります。アップグレードが完了していないクラスタのバックアップは使用できません。関連項目:
既存のOracle ASMインストールのアップグレードについては、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』および『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。現在使用しているOracle Grid Infrastructureが以前のどのバージョンであるかに応じて、インストール環境をアップグレードおよびダウングレードするための様々なオプションがあります。
Oracle Grid Infrastructure 11gからOracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレード・オプション
Oracle Grid Infrastructure 11gからOracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレード・オプションには次のものがあります。
Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレード(OCRと投票ファイルはOracle ASM上にある)
Oracle Grid Infrastructureのクラスタ全体(停止時間、非ローリング)(OCRと投票ファイルはOracle ASM上にある)
Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレード(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)
Oracle Grid Infrastructureのクラスタ全体(停止時間、非ローリング)(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)
Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)より前のリリースからのアップグレード・オプション
Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)より前のリリースからOracle Grid Infrastructure 12cへのアップグレード・オプションには次のものがあります。
Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレード(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)
Oracle Grid Infrastructureのクラスタ全体(停止時間、非ローリング)(OCRと投票ファイルはOracle ASM以外の記憶域上にある)
Oracle Grid Infrastructure 12cから以前のリリースへのダウングレード・オプション
Oracle Grid Infrastructure 12cから以前のリリースへのダウングレード・オプションには次のものがあります。
Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)へのOracle Grid Infrastructureのダウングレード
CVUを使用して、既存のOracle Grid Infrastructure 11g リリース2またはOracle RACデータベース11g リリース2のインストールをアップグレードするために必要なパッチがあるかどうかを確認することをお薦めします。
Oracle ClusterwareおよびOracle ASMで構成されるOracle Grid Infrastructure環境へのアップグレードには、次の制限と変更点があることに注意してください。
現在のインストールのOCRおよび投票ファイルの場所がRAWデバイス上にある場合は、Oracle Grid Infrastructure 12 cリリース1 (12.1)にアップグレードする前に、これらをOracle ASMディスク・グループまたは共有ファイル・システムに移行する必要があります。
既存のOracle ClusterwareインストールをOracle Grid Infrastructure 12c リリース1 (12.1)にアップグレードするには、現在のリリースがOracle Grid Infrastructure 11g リリース2である必要があります。
WindowsプラットフォームでOracle Clusterwareをリリース10.2.0.5および11.1.0.7からOracle Grid Infrastructureリリース12.1にアップグレードするには、Oracle ClusterwareでOracle Grid Infrastructure 11gリリース2への中間アップグレードを実行する必要があります。Oracle ClusterwareをOracle Grid Infrastructure 11gリリース2にアップグレードした後、Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイルをOracle ASMに移動する必要があります。これにより、Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2をOracle Grid Infrastructureリリース12.1にアップグレードできるようになります。
WindowsまたはRAWデバイスのOCFSにOracle Clusterwareファイルを格納するOracle Databaseリリース10.2.0.5またはOracle Databaseリリース11.1.0.7環境をアップグレードする場合、Oracle Database 12cに直接アップグレードすることはできません。『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
標準構成で、既存のOracle ASMインストールをOracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)にアップグレードするには、リリースが10.1.0.5、10.2.0.3、11.1.0.6または11.2以上である必要があります。
既存のOracle Grid InfrastructureインストールをOracle Grid Infrastructureにアップグレードするには、まず、アップグレードを正常に実行するための必須パッチを適用する必要があるかどうかを確認する必要があります。Oracle Grid Infrastructureインストールを11.2.0.2から新しいリリースにアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureの累積パッチの最新のバンドル(パッチ11バンドル以上)をインストールします。準備状況を確認する手順は、CVUを使用した、Oracle Clusterwareのアップグレードに対する準備状況の検証を参照してください。
関連項目:
「Oracle 12cアップグレードの比較」(My Oracle SupportのNote 1462240.1): https://support.oracle.com/oip/faces/secure/km/DocumentDisplay.jspx?id=1462240.1
Gridホームのディレクトリは削除しないでください。たとえば、Grid_home\Opatchを削除しないでください。このディレクトリを削除すると、Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーがOpatchを使用してGridホームにパッチを適用できず、「checkdir error: cannot create Grid_home\OPatch」というエラーが表示されます。
Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのアップグレードは、常にアウトオブプレース・アップグレードで行われます。Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)では、Oracle ClusterwareおよびOracle ASMのインプレース・アップグレードは既存のホームに対して実行できません。
Oracle Clusterware 11gリリース2 (11.2)以上では、共有のOracle Clusterwareホームでアップグレードを実行できます。
Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のアップグレードを実行するには、管理者ユーザーを使用する必要があります。
Oracle ASMとOracle Clusterwareの両方がOracle Grid Infrastructureホームで実行されます。
Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)へのメジャー・リリース・アップグレード中、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のGridホームにあるソフトウェアは、アップグレードが完了するまで完全には機能しません。すべてのノードでアップグレードが完了するまで、12cリリース1 (12.1) Gridホームからのサーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)、crsctlおよびその他のコマンドの実行はサポートされません。
Oracle Grid Infrastructureのアップグレード中に以前のリリース(リリース10.x、11.1または11.2)のOracle Databaseソフトウェアを使用してデータベースを管理するには、既存のデータベース・ホームでSRVCTLを使用します。
Oracle Clusterwareのインストール中に、シングル・インスタンスのOracle ASMリリースがローカル・ノードに存在する場合、そのOracle ASMはクラスタ化されたOracle ASM 12cリリース1 (12.1)インストールに変換され、Oracle ASMはすべてのノードのOracle Grid Infrastructureホームで実行されます。
ローカル・ノード(Oracle Grid Infrastructureのインストールを実行中のノード)以外のリモート・ノードにシングル・インスタンスの(クラスタ化されていない)Oracle ASMがインストールされている場合は、シングル・インスタンスのOracle ASM環境がそのまま維持されます。ただし、インストール中に、Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイルをOracle ASMに置くように選択した場合は、クラスタ化されたOracle ASMのインストール環境がクラスタ内のすべてのノードに作成され、リモート・ノードにインストールされているシングル・インスタンスのOracle ASMは機能しなくなります。
記憶域用にOracle ASMリリース12.1.0.2を使用するOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)データベースを作成する場合は、不具合19168335用のパッチを適用しておく必要があります。
関連項目:
『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』すべてのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードですが、これは、以前のリリースで使用されたGridホームとは異なるGridホームにソフトウェア・バイナリが配置されることを意味します。アップグレードをローリング方式で実行することもでき、これはアップグレード中に少なくとも1つのクラスタ・ノードを常に使用できることを意味します。
ローリング・アップグレード
Oracle Grid Infrastructureをアップグレードするには、クラスタを停止してクラスタ全体をアップグレードするか、クラスタ内の他のノードのOracle Grid Infrastructureを停止せずに個々のノードをアップグレードします(これはローリング・アップグレードの実行と呼ばれます)。ノードのサブセットをアップグレードする場合は、アップグレードの対象として選択しなかった既存のクラスタ・ノードでソフトウェアのみのインストールが実行されます。ローリング・アップグレードは、ソフトウェアの新リリースへのアップグレード中、停止時間をなくし、可用性の継続を保証します。
注意:
Oracle Clusterware 11gリリース2より前のリリースとは対照的に、すべてのノードをアップグレード対象に選択したとしても、Oracle Universal Installer (OUI)によって常にローリング・アップグレードが実行されます。アウトオブプレース・アップグレード
アウトオブプレース・アップグレードでは、インストーラは新しいリリースを別のOracle Clusterwareホームにインストールします。両方のリリースのOracle Clusterwareが、各クラスタ・メンバー・ノードに存在しますが、1つのリリースのみがアクティブになります。対照的に、インプレース・アップグレードでは、現行のOracle Clusterwareホームのソフトウェアが上書きされます。
アウトオブプレース・アップグレードを実行するには、各ノードで新しいOracle Grid Infrastructureホームを作成する必要があります。その後、あるノードでは元のOracle ClusterwareホームからOracle Clusterwareを実行し、別のノードでは新しいOracle Grid InfrastructureホームからOracle Clusterwareを実行するように、アウトオブプレース・ローリング・アップグレードを実行できます。
既存のOracle Clusterwareインストールがある場合は、アウトオブプレース・アップグレードを行うことにより、既存のクラスタをアップグレードします。Oracle Clusterwareのインプレース・アップグレードはサポートされません。
既存のOracle Clusterwareインストールがある場合は、アウトオブプレース・アップグレードを行うことにより、既存のクラスタをアップグレードします。インプレース・アップグレードは実行できません。
アップグレードを開始する前に、次の作業を行います。
リリース・ノートおよびクラスタ検証ユーティリティを使用して、ソフトウェアのパッチ適用またはアップグレードの準備が完了していることを確認します。
関連項目:
『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』現行のOracle Clusterwareインストールが、そのリリースでサポートされている最小バージョン以上で現在実行されていない場合、前提条件チェックで失敗が報告されます。アップグレードする前に、現行のOracle Clusterwareインストールを、サポートされている最小リリース以上にアップグレードする必要があります。
システムに既存のインストール環境があり、同じユーザー・アカウントを使用してOracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)をインストールする場合、Oracleインストール・ユーザーについて、Oracleソフトウェア・ホームに接続されている環境変数の設定を削除する必要があります。
アップグレードの前に、次の環境変数の設定を削除する必要があります。
ORACLE_BASE
ORACLE_HOME
ORACLE_SID
ORA_NLS10
TNS_ADMIN
ORA_CRS_HOME
環境変数にORA_CRS_HOME
を設定した場合は、Oracleサポートの指示に従ってから、インストールまたはアップグレードを開始する前にその設定を削除します。Oracleサポートから明示的に指示がないかぎり、ORA_CRS_HOME
を環境変数として使用しないでください。
クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用すると、アップグレードを開始する事前準備として、システムをチェックできます。CVUによって、適切なシステム・チェックが自動的に実行され、アップグレードを進める前に問題を解決するよう求められます。
runcluvfy.bat
コマンドを使用すると、アップグレード前にシステムをチェックできます。関連項目:
『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用して、アップグレード前にシステム準備状況を検証できます。
アップグレード検証は、次の2つの方法のいずれかで実行できます。
OUIを実行し、OUIに組み込まれたCVU検証でシステム・チェックを実行する
CVU手動スクリプトのcluvfy.bat
スクリプトを実行し、システム・チェックを実行する
OUIを使用してインストール前のチェックを実行するには、インストールを通常どおりに実行します。OUIによってCVUが起動され、インストール・プロセスの一部としてシステム・チェックが実行されます。これらのチェックの実行にOUIを選択すると、インストール前のチェックは完了したとみなし、システム構成がインストールの最小要件を満たしていることを確認する場合に特に有効です。
CVUのcluvfy.bat
コマンドライン・スクリプトを使用するには、runcluvfy.bat
コマンドがあるアップグレードのステージング領域に移動し、次のコマンドを実行してアップグレードに対するOracle Clusterwareインストールの準備状況を確認します。
runcluvfy.bat stage -pre crsinst -upgrade
-pre crsinst -upgrade
オプションを指定してruncluvfy.bat
を実行すると、既存のクラスタウェア・インストールのアップグレードに対してクラスタが適切な状態にあるかどうかを確認するためのシステム・チェックが実行されます。
runcluvfy
コマンドでは次の構文を使用します。変数はイタリックで示しています。
runcluvfy.bat stage -pre crsinst -upgrade [-rolling] -src_crshome src_Gridhome -dest_crshome dest_Gridhome -dest_version dest_release [-verbose]
オプションは次のとおりです。
-rolling
このオプションを使用すると、ローリング・アップグレードに対する準備状況が検証されます。
-src_crshome src_Gridhome
このオプションは、アップグレードするソースOracle ClusterwareまたはGridホームの場所を指定します(src_Gridhomeはアップグレードするホームへのパス)。
-dest_crshome dest_Gridhome
このオプションは、アップグレードGridホームの場所を指定します(dest_GridhomeはGridホームへのパス)。
-dest_version dest_release
dest_version
オプションは、パッチセットを含む、アップグレードのリリース番号を指定します。リリース番号には、リリースをプラットフォーム固有のパッチのレベルに指定する5つの数字を含める必要があります。たとえば、12.1.0.1.0などです。
-verbose
-verbose
オプションを使用すると、個々のチェックの詳細な出力が生成されます。
runcluvfy.bat
コマンドを使用すると、アップグレード前にシステムをチェックできます。
次のコマンドを実行して、Oracle Clusterwareのインストールに必要な権限が構成されているかどうかを検証します。
C:\> runcluvfy.bat stage -pre crsinst -upgrade -rolling -src_crshome C:\app\11.2.0.3\grid -dest_crshome C:\app\12.1.0\grid -dest_version 12.1.0.2.0 -verbose
パッチの適用時に、すべてのノードを停止するのではなく、一部のノードを停止して他のノードを稼働させておくことができます。
以前のリリースからのアップグレードでは、クラスタ全体をアップグレードする必要があります。アップグレード対象の個々のノードを選択または選択解除することはできません。ローリング・アップグレード中にノードをクラスタに追加する操作はサポートされていません。
Oracle Clusterwareのアップグレード時は、Oracle RACインスタンスを実行したままにしておくことをお薦めします。各ノードでアップグレード・プロセスを開始すると、アップグレード・スクリプトによってデータベース・インスタンスが停止され、インスタンスが再度起動されます。Oracle Grid Infrastructure 11gリリース11.2.0.2以上をOracle Grid Infrastructureの新しいリリースにアップグレードする場合は、すべてのノードのアップグレードがデフォルトで選択されます。
アップグレードを実行する場合は、グループ、つまりバッチにノードを分割し、これらのノード・バッチからアップグレードを開始できます。バッチ間で、以前のリリースを実行しているノードからアップグレード済のノードにサービスを移動して、サービスがアップグレードの影響を受けないようにできます。
Oracle Grid Infrastructureのローリング・アップグレードを実行する場合は、この情報を確認します。
Oracle ClusterwareまたはOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を以前のリリースから新しいリリースにアップグレードするには、次の手順を実行します。
注意:
Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)にアップグレードすると、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)がOracle Clusterwareと同じホームにインストールされます。このホームは、Oracleドキュメントでは、Oracle Grid InfrastructureホームまたはGridホームと呼ばれます。また、ローリング・アップグレード中に、ノードをクラスタに追加する操作はサポートされていません。以前により高いリリースのOracle Grid Infrastructureへのアップグレードを試行し、そのGridホームがまだ存在する場合は、インストーラを実行するかわりに、より高いバージョンのGridホームのGrid_home\crs\configディレクトリにあるconfig.batスクリプトを実行します。アップグレード・オプションを選択して、既存のGridホームをより新しいリリースにアップグレードします。
アップグレードの途中で一部のノードにアクセスできなくなった場合は、ユーザーの介入なしではアップグレードを完了できません。
到達できないノードではアップグレードが正常に完了しなかったため、アップグレードは不完全です。Oracle Clusterwareは以前のリリースのままです。
Oracle Grid InfrastructureアップグレードのOracle ASM部分に失敗した場合、またはなんらかの理由でAutomatic Storage Management Configuration Assistant (ASMCA)が動作しなかった場合は、Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)アップグレードのOracle Clusterware部分を終了した後で、Oracle ASMの別途アップグレードが必要な場合があります。
Oracle ASMをOracle Grid Infrastructure 12cリリース1にアップグレードした後、Oracle ASMの個々のパッチをOracle Automated Release Updateサイトからダウンロードしてインストールできます。Oracle Grid InfrastructureからOracle ASMを個別にアップグレードする手順は、Oracle ASMをアップグレードするための準備を参照してください。
Oracle ASMのアップグレードを個別に完了する必要がある場合は、次の要件に注意してください。
Oracle Clusterwareのアクティブなリリースは、12cリリース1 (12.1)である必要があります。アクティブなリリースを確認するには、Gridホームから次のコマンドを入力します。
crsctl query crs activeversion
シングル・インスタンスのOracle ASM環境を、クラスタ化されたOracle ASM環境へアップグレードできます。ただし、Oracle ASMがインストールされているノードからインストールを実行した場合、アップグレードできるのは既存の単一インスタンスのOracle ASMインストールのみです。リモート・ノードにあるシングル・インスタンスのOracle ASM環境をアップグレードすることはできません。
アップグレード処理を開始する前に、既存のOracle ASMインストールに対するリバランス操作が完了していることを確認する必要があります。
アップグレード・プロセス中、Oracle ASMインスタンスの状態をアップグレード状態に変更することになります。このアップグレード状態によってOracle ASM操作が制限されるため、開始後すぐにアップグレード処理を完了する必要があります。Oracle ASMインスタンスがアップグレード状態のときには、次の操作を実行できます。
ディスク・グループのマウントとマウント解除
データベース・ファイルのオープン、クローズ、サイズ変更または削除
インスタンスのリカバリ
固定ビューおよび固定パッケージの問合せ(固定ビューの問合せと、DBMS_DISKGROUP
などの固定パッケージを使用した匿名PL/SQLブロックの実行は可能です)
データベース・クライアントは、Oracle ACFS上にある場合を除き、停止する必要はありません。
別のOracleホームにOracle ASMがインストールされているOracle ASMリリースからアップグレードする必要がある場合、またはOracle Grid InfrastructureアップグレードのOracle ASM部分の実行に失敗した場合は、次のタスクを実行します。
関連項目:
Oracle ASMのアップグレード計画の準備、およびOracle ASMアップグレードの開始、実行、停止の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』および『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1でOracle ASMをアップグレードした後、Oracle ASMの個々のパッチをMy Oracle Supportからダウンロードしてインストールできます。
個々のパッチは個別パッチと呼ばれます。
Oracle ASMの個別パッチは、Oracle ASMの特定のリリースで使用できます。必要なパッチが使用可能である場合は、パッチをダウンロードし、OPatchユーティリティを使用してOracle ASMに適用できます。
Oracle ASMのリリースにインストールしたパッチは、OPatchインベントリによって追跡されます。インストール済のパッチと適用したいパッチ間で競合が発生する場合、OPatchユーティリティよりこれらの競合に関する通知があります。OPatchユーティリティを使用したOracle ASMへのパッチの適用の詳細は、「特定のソフトウェア・パッチ・レベルにするためのOracle ASMへのパッチの適用」を参照してください。
Oracle ASMおよびOracle Grid Infrastructureのパッチを適用する方法を理解するには、このトピックを確認します。
Oracle Grid Infrastructureのソフトウェア・パッチ・レベルは、Oracle ASMを含むOracle Grid Infrastructureソフトウェア・リリースに適用される、すべての個別パッチのセットを表します。リリースとは、メジャー、マイナーおよびパッチ・セットのリリース番号という形式で表されるリリース番号のことです。たとえば、リリース番号が12.1.0.1である場合は、メジャー・リリースが12、マイナー・リリースが1、0.1がパッチ・セット番号です。個別パッチでは、メジャーおよびマイナー・リリース番号は同じままですが、個別パッチを適用またはロールバックするたびにパッチ・レベルが変更されます。
Oracle Grid Infrastructureの標準アップグレードと同様に、クラスタの通常操作ではどの時点でもクラスタ内のすべてのノードのソフトウェア・リリースおよびパッチ・レベルが同じである必要があります。個別パッチはローリング・アップグレードとして適用できるため、特定のソフトウェア・リリースのすべてのパッチ・レベルは相互に互換性があります。
関連項目:
Oracle Grid Infrastructureのアップグレードの詳細は、「以前のリリースからの標準的なアップグレードの実行」を参照してください。
OPatchユーティリティを使用したOracle ASMへのパッチの適用の詳細は、「特定のソフトウェア・パッチ・レベルにするためのOracle ASMへのパッチの適用」を参照してください。
IPD/OSを使用する以前のリリースからOracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2.0.2以上)にアップグレードする場合は、クラスタ状態モニターのリポジトリ・サイズ(CHMリポジトリ)を確認する必要があります。
Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)へのアップグレードが成功または失敗した後で、Oracle Clusterwareを前のリリースにリストアできます。
Oracle Clusterwareをダウングレードすると、Oracle Clusterware構成をOracle Clusterware 12cリリース1 (12.1)のアップグレード前の状態にリストアできます。Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)のアップグレードの最中または後で行った変更はすべて消去され、リカバリされません。
ダウングレードの手順では、次の変数を使用します。
ローカル・ノードは、アップグレード・プロセスを開始した最初のノードです。
リモート・ノードは、アップグレード・プロセスを開始したノード以外のすべてのノードです。
Oracle Clusterwareを以前のリリースにリストアするには、ダウングレードするリリースのダウングレード手順を使用します。
注意:
アップグレードが失敗した後でダウングレードするときに、ノード上にrootcrs.bat
ファイルが存在しない場合は、次の各項でrootcrs.bat
スクリプトを実行するかわりにperl rootcrs.pl
コマンドを使用してください。Oracleホーム・ディレクトリにあるperlインタプリタを使用してください。Oracle Clusterwareのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードであるため、アップグレードされたソフトウェアのGridホームには新しい場所が設定されます。一部のOracle Enterprise Managerパラメータ・ファイルでは、Oracle Clusterwareホームのパスを変更する必要があります。
CRS_HOMEパラメータを変更しなかった場合は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlでクラスタ・ターゲットの不正などのエラーが発生することがあります。
問題を解決するには、Enterprise Manager Cloud Controlターゲットをアップグレードし、エージェントを実行している各クラスタ・メンバー・ノードでEnterprise Managerのエージェント・ベース・ディレクトリを更新します。
Oracle Grid Controlのアップグレード後に、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのターゲットを更新する必要がある場合があります。
エージェント・ベース・ディレクトリは、管理エージェント・ホームが作成されるディレクトリです。
管理エージェント・ホームは、パスAgent_Base_directory\core\EMAgent_Versionにあります。たとえば、エージェント・ベース・ディレクトリがC:\app\emagent
の場合、管理エージェント・ホームはC:\app\emagent\core\12.1.0.1.0
のように作成されます
bin
ディレクトリに移動します。 C:\app\emagent\core\12.1.0.1.0\bin
ディレクトリのemctl
ファイルをテキスト・エディタで開きます。CRS_HOME
パラメータを検索し、これを新しいGridホーム・パスに更新します。