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Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
リリース12.1 For Windows
B72965-06
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6 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACの記憶域の構成

この章では、インストーラを起動してOracle ClusterwareとOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)をインストールする前、およびOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)のインストールをクラスタへ追加する前に完了しておく必要がある、記憶域の構成作業について説明します。

注意:

現在、共有記憶域としてWindows用のOCFSを使用している場合は、Oracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureのアップグレードに、Oracle ASMを使用するように移行する必要があります。

6.1 Oracle Grid Infrastructureの記憶域オプションの確認

この項では、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureに対して、およびOracle Grid Infrastructureで実行される機能に対してサポートされている記憶域オプションについて説明します。

関連項目:

動作保証されている記憶域オプションの最新情報は、My Oracle Support (https://support.oracle.com)の「動作保証」ページを参照してください。

6.1.1 Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACでサポートされている記憶域オプション

Oracle ClusterwareとOracle RACデータベースの両方とも、クラスタ内のすべてのノードで使用できる必要があるファイルを使用します。次の表に、Oracle ClusterwareおよびOracle RACファイルを格納するために使用できる記憶域オプションを示します。

表6-1 Oracle ClusterwareとOracle RACファイルおよびホーム・ディレクトリでサポートされている記憶域オプション

記憶域オプション OCRおよび投票ファイル Oracle Grid Infrastructureホーム Oracle RACホーム Oracle RACデータベース・ファイル Oracleリカバリ・ファイル

Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)

不可

不可

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)

不可

不可

可(Oracle Database 12cリリース12.1.0.2以上)

可(Oracle Database 12cリリース12.1.0.2以上)

動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)・ファイラへのDirect NFSクライアント・アクセス

注意: NFSまたはDirect NFSクライアントは、Oracle Clusterwareファイル用には使用できません。

不可

不可

不可

共有ディスク・パーティション(RAWデバイス)

不可

不可

不可

不可

不可

ローカル・ファイル・システム(NTFSフォーマット済ディスク)

不可

不可

不可

6.1.2 Oracle Grid Infrastructureの記憶域の一般的な考慮事項

Oracle Clusterwareは投票ファイルを使用してクラスタ・ノードのステータスを監視し、Oracle Cluster Registry (OCR)は、構成情報とクラスタのステータスが格納されるファイルです。OCRは、インストーラによって、Oracle Clusterwareのインストール時に自動的に初期化されます。Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)は、OCRを使用して、作成するクラスタ・データベースの構成情報を格納します。

Oracle Clusterwareファイル用に記憶域オプションを選択する場合は、次のガイドラインを使用します。

  • Oracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)は、共有ファイル・システムに格納することはできません。ローカル・ディスクにインストールする必要があります。

  • 選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。

  • Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ファイルは、Oracle ASMディスク・グループに格納できます。OCRファイルのバックアップをディスク・グループに格納することもできます。

    注意:

    既存のデータベースをアップグレードするための準備方法については、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
  • 記憶域オプションが高可用性の要件を満たすには、1つ以上のディスクに障害が発生しても、障害が発生したディスクに格納されているデータをリカバリできるように、ディスクに格納されるファイルをデータ冗長性によって保護する必要があります。この冗長性を、Redundant Array of Independent Disks (RAID)デバイス、または複数の物理デバイス上の論理ボリュームを使用して外部で提供し、すべてをストライプおよびミラー化する方法(SAMEと呼ばれる)を実装できます。

  • 冗長性を確保するためのRAIDデバイスも論理ボリュームもない場合は、異なるファイル・システム上にファイルの追加のコピー(ミラー)を作成できます。ファイルをミラー化する場合は、追加のOCRファイルおよび2つ以上の追加の投票ファイル用にディスク領域を指定する必要があります。

  • 各OCRの場所は、異なるディスクに配置する必要があります。

  • 投票ファイルについては、各ファイルがハードウェア・デバイスまたはディスクを共有しないように、または他のシングル・ポイント障害の影響が他の投票ファイルに及ばないようにする必要があります。構成されている投票ファイルの大半(過半数、または定数)が利用できないノードは再起動されます。

  • 外部ファイルの冗長性が適用される記憶域オプションがない場合は、Oracle ASMを使用するか、投票ファイルの場所を3つ以上構成して、冗長性を確保する必要があります。

  • 外部冗長を使用する場合を除き、Oracle ASMでは、ディスク・グループ内の個別の障害グループに、すべてのOracle Clusterwareファイルをミラー化します。定数障害グループは特殊なタイプの障害グループで、投票ファイルが標準または高冗長ディスク・グループに格納されている場合に投票ファイルのミラー・コピーが格納されます。

6.1.2.1 Oracle ClusterwareファイルにOracle ASMを使用する場合の記憶域要件

Oracle Clusterwareファイルを格納するためにOracle ASMを使用する場合は、次の要件および推奨事項に注意してください。

  • Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ファイルは、Oracle ASMディスク・グループに格納できます。OCRファイルのバックアップをディスク・グループに格納することもできます。

  • Oracle ASMインスタンスがクラスタ化され、かつ、クラスタ内のすべてのノードでディスクを使用できる必要があります。投票ファイルの大半(過半数)が利用できないノードは再起動されます。

  • Oracle ASMディスク・グループにOracle Clusterwareファイルを格納するには、ディスク・グループの互換性が11.2以上である必要があります。

注意:

Oracle ASMインストールをアップグレードする場合は、ディスク・グループの互換性について、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

6.1.3 Oracle RACの記憶域の一般的な考慮事項

すべてのOracle RACインストールで、Oracle Databaseファイルに使用するために、共有記憶域オプションを選択する必要があります。Oracle Databaseファイルには、データ・ファイル、制御ファイル、REDOログ・ファイル、サーバー・パラメータ・ファイルおよびパスワード・ファイルが含まれています。

自動バックアップを構成する予定がある場合は、リカバリ・ファイルに使用する共有記憶域オプション(高速リカバリ領域)も選択する必要があります。データベースのデータ・ファイルおよびリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMを選択することをお薦めします。リカバリ・ファイル用に選択する共有記憶域オプションは、データ・ファイル用に選択する共有記憶域オプションと同じであっても、異なっていてもかまいません。

Oracle ASMを使用しない場合は、データ・ファイルと高速リカバリ領域を、Oracleホーム以外で、別々の場所にある共有記憶域に配置し、ハードウェアの障害によって可用性が低下しないようにすることをお薦めします。

Oracle RACファイル用に記憶域オプションを選択する場合は、次のガイドラインを使用します。

  • 選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。

  • データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルの記憶域オプションとして、Oracle ASMを選択することをお薦めします。

  • Oracle RACでOracle ASMを使用するために新しいOracle ASMインスタンスを構成する場合は、システムが次の条件を満たしている必要があります。

    • クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールの一部として、クラスタ内のすべてのノードにOracle ClusterwareおよびOracle ASM 12cリリース1 (12.1)がインストールされている。

    • Oracle RACをインストールする前またはOracle RACデータベースを作成する前に、クラスタ内のすべてのノードで既存のすべてのOracle ASMインスタンスが停止されている。

  • Standard EditionおよびStandard Edition 2 (SE2)のOracle RACインストールでは、データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの共有記憶域オプションとして、Oracle ASMのみがサポートされています。Oracle RACデータ・ファイル、オンラインREDOログ、アーカイブREDOログ、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)および高速リカバリ領域の記憶域として、Oracle ASMを使用する必要があります。

6.1.4 Oracle ACFSおよびOracle ADVMについて

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)およびOracle ASM動的ボリューム・マネージャ(Oracle ADVM)が、Oracle Cloud File System (Oracle CloudFS)の主なコンポーネントです。

Oracle ACFSによるOracle ASMテクノロジの拡張によって、単一インスタンスおよびクラスタ構成のどちらでも、すべてのアプリケーション・データがサポートされます。Oracle ADVMは、ボリューム管理サービスと、クライアントとの標準ディスク・デバイス・ドライバ・インタフェースを提供します。Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステムは、Oracle Automatic Storage Management動的ボリューム・マネージャ・インタフェースを介してOracle ASMと通信します。

関連項目:

6.2 共有記憶域オプションを選択するためのガイドライン

選択した記憶域オプションの要件がすべて満たされている場合、各ファイル・タイプでサポートされている共有記憶域オプションのいずれの組合せでも使用できます。

6.2.1 記憶域にOracle ASMディスク・グループを使用するためのガイドライン

Oracle Grid Infrastructureのインストール中、1つまたは2つのOracle ASMディスク・グループを作成できます。Oracle Grid Infrastructureのインストール後、Oracle Automatic Storage Managementコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)、SQL*PlusまたはAutomatic Storage Managementコマンドライン・ユーティリティ(ASMCMD)を使用して、追加のディスク・グループを作成できます。

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)以上のリリースでは、Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)にOracle ASM用のディスク・グループを作成する機能がないことに注意してください。

Oracle Grid Infrastructureのインストール中に2番目のディスク・グループの作成を選択した場合、2番目のディスク・グループにはグリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ(GIMR)のデータファイルおよびOracle Cluster Registry (OCR)のバックアップ・ファイルが格納されます。OCRバックアップ・ファイルは、OCRファイルを格納するディスク・グループとは異なるディスク・グループに格納することをお薦めします。パフォーマンス、可用性、サイズ設定、および記憶域の管理性のためにも、OCRバックアップを別の場所に格納することをお薦めします。

注意:

Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ(GIMR)の場所を選択できます。グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ(GIMR)を、あるディスク・グループから別のディスク・グループに後で移行することはできません。

Oracle Grid Infrastructureをインストールした後にOracle DatabaseまたはOracle RACをインストールする場合は、データベース・ファイル、OCRおよび投票ファイル用に同じディスク・グループを使用しても、異なるディスク・グループを使用してもかまいません。Oracle RACのインストール前またはデータベースの作成前に、複数のディスク・グループを作成する場合は、次のいずれかを実行できます。

  • Oracle Clusterwareファイルとしてデータ・ファイルを同じディスク・グループに配置する。

  • データ・ファイルとリカバリ・ファイルに同じOracle ASMディスク・グループを使用します。

  • ファイル・タイプごとに別のディスク・グループを使用します。

記憶域用に1つのディスク・グループのみを作成した場合は、OCRと投票ファイル、データベース・ファイルおよびリカバリ・ファイルは1つのディスク・グループに格納されます。記憶域用に複数のディスク・グループを作成した場合は、ファイルは異なるディスク・グループに配置できます。

関連項目:

ディスク・グループの作成については、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

6.2.2 Oracle RACでDirect Network File System(NFS)を使用するためのガイドライン

ネットワーク接続ストレージ(NAS)システムでは、データへのアクセスにネットワーク・ファイル・システム(NFS)が使用されます。Direct NFSクライアントを使用して、サポートされているNASサーバーにOracle RACデータ・ファイルとリカバリ・ファイルを格納できます。

Oracle RACのインストールを開始する前に、NFSファイル・システムをマウントし、NFSマウントを介して使用できるようにする必要があります。NFSの構成とマウントについては、ベンダーのドキュメントを参照してください。

Oracle DatabaseソフトウェアおよびデータベースがNFS記憶域を使用している場合、そのパフォーマンスは、データベース・サーバーとNASデバイス間のネットワーク接続のパフォーマンスによって左右されることに注意してください。そのため、データベース・サーバー(またはクラスタ・ノード)とNASデバイスの接続には、ギガビット・イーサネット以上のプライベートな専用ネットワーク接続を使用することをお薦めします。

6.2.3 Oracle ACFSの制限事項とガイドライン

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)は、汎用のファイル・システムです。Oracle ACFSによるOracle ASMテクノロジの拡張によって、単一インスタンスおよびクラスタ構成のどちらでも、すべてのアプリケーション・データがサポートされます。

Oracle ACFSにOracle Database 12cリリース1 (12.1)ソフトウェアのOracleホームを配置できますが、Oracle ClusterwareファイルはOracle ACFSに配置できません。

Oracle ACFSの次の点に注意してください。

  • Oracle Clusterwareの実行可能ファイルまたは共有ファイルをOracle ACFSに配置することはできません。

  • Oracle ACFSを使用する予定がある場合は、Oracle Grid Infrastructureをインストールするときにドメイン・ユーザーを使用する必要があります。

  • Oracle Grid Infrastructure 12cリリース1 (12.1)から、クラスタ用にOracleデータ・ファイルをOracle ACFSファイル・システムに作成することがサポートされるようになりました。

    Oracle Databaseのバイナリおよび管理ファイル(トレース・ファイルなど)をOracle ACFSに配置することができます。

  • Oracle ACFSでは、Oracle Databaseデータ・ファイル、表領域ファイル、制御ファイルおよびREDOログによるレプリケーションまたは暗号化は、サポートされていません。

  • ポリシー管理型Oracle Flex Clusterデータベースの場合、Oracle ACFSはハブ・ノードで実行できますが、リーフ・ノードでは実行できません。このため、Oracle RACバイナリをリーフ・ノードにあるOracle ACFSに配置することができません。

  • Oracle ACFSファイルシステムをWindows上で作成する場合、Windowsドメイン・ユーザーとしてログオンします。また、Windows上のOracle ACFSファイルシステムでファイルを作成する場合、Windowsドメイン・ユーザーとしてログインして、ファイルがすべてのノードによってアクセス可能であることを確認する必要があります。

    クラスタ・ノード間でファイルシステムを使用する場合、ベスト・プラクティスは、ドメイン・ユーザーを使用しているファイルシステムをマウントして、セキュリティ識別子がクラスタ・ノード間で同じであることを確認することです。ファイルおよびディレクトリへのアクセス権限を定義する際に使用されるWindowsセキュリティ識別子は、ユーザーを識別する情報を使用します。ローカル・ユーザーは、ローカル・ノードのコンテキストでのみ認識されます。Oracle ACFSは、ファイルシステムへのデフォルトのアクセス権限を設定するため、最初のファイルシステムのマウント時にこの情報を使用します。

  • Oracle Restartは、rootベースのOracle Clusterwareリソースをサポートしません。このため、Oracle Restart構成でOracle ACFSを実行する場合は、次の制限が適用されます。

    • Oracle Restartでは、どのプラットフォームでもOracle ACFSリソースはサポートされません。

    • Oracle Database 12cから、Oracle Restart構成でOracle ACFSレジストリがサポートされなくなりました。

    • システムの再起動後に、Oracle ACFSドライバを手動でロードする必要があります。

    • Oracle ASMインスタンスの実行終了後に、Oracle ACFSファイル・システムを手動でマウントおよびマウント解除する必要があります。

    • Oracle ACFSファイル・システムでのOracleデータ・ファイルの作成は、Oracle Restart構成ではサポートされません。Oracle ACFSファイル・システムでのOracleデータ・ファイルの作成は、クラスタ構成用のOracle Grid Infrastructureでサポートされます。

6.2.4 ファイル・システムにリカバリ・ファイルを配置するためのガイドライン

クラスタ・ファイル・システムにリカバリ・ファイルを配置する場合は、配置する場所を決定するときに次のガイドラインを使用します。

  • ディスク障害が発生した場合にデータベース・ファイルとリカバリ・ファイルが使用不可能にならないように、リカバリ・ファイルは、データベース・ファイルとは別の物理ディスクにあるクラスタ・ファイル・システムに格納します。

    注意:

    データ・ファイル、リカバリ・ファイルまたは両方のファイル・タイプに標準または高冗長レベルのOracle ASMディスク・グループを使用するか、または外部冗長を使用する方法もあります。
  • 選択するクラスタ・ファイル・システムには、3GB以上の空きディスク領域が必要です。

    ディスク領域要件は、高速リカバリ領域に対して設定(DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE初期化パラメータで指定)された、デフォルトのディスク割当て制限です。

    「詳細」データベース構成オプションを選択すると、異なるディスク割当て容量の値を指定できます。データベースを作成した後、Oracle Enterprise Managerを使用して、別の値を指定することもできます。

関連項目:

高速リカバリ領域のサイジングの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

6.3 Oracle ClusterwareおよびOracle RACの記憶域要件

サポートされている各ファイル・システム・タイプには、Oracle ClusterwareおよびOracle RACをサポートするために満たす必要がある追加の要件があります。記憶域オプションを選択する際に、次の項を参考にしてください。

6.3.1 Oracle Databaseファイルにクラスタ・ファイル・システムを使用するための要件

Oracle Databaseのソフトウェアまたはデータ・ファイルをクラスタ・ファイル・システムに配置するよう選択する場合は、次のいずれかが当てはまる必要があります。

  • ファイル・システムに使用されるディスクが、高可用性のストレージ・デバイス(RAIDデバイスなど)にある。

  • 2つ以上の独立したファイル・システムがあり、一方のファイル・システムではデータベース・ファイル、もう一方のファイル・システムではリカバリ・ファイルが使用されている。

インストールを実行するユーザー・アカウントは、指定したパスにファイルを作成できる必要があります。

注意:

Windowsプラットフォームでは、Oracle Clusterwareファイルの格納でサポートされる方法は、Oracle ASMのみとなります。

6.3.2 共有記憶域にOracle ASMを使用するための記憶域要件の確認

Oracle Grid Infrastructureをインストールする前に、Oracle ASMで使用可能なデバイスの数、各ディスクで使用可能な空きディスク領域のサイズおよびOracle ASMで使用する冗長性レベルを特定および確認する必要があります。Oracle ASMによって冗長性が提供される場合は、いくつかの障害グループで発生した障害で失われたデータの再作成を管理するのに十分な容量を、各ディスク・グループに確保しておく必要があります。

ヒント:

次の手順を実行する際に、Oracle ASMディスク・グループを作成するために使用するRAWデバイス名のリストを作成し、Oracle Grid Infrastructureのインストール中またはOracle RACデータベースの作成時にこの情報を使用できるようにします。
  1. Oracle ASMを、Oracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ファイル)、Oracle Databaseデータ・ファイル、リカバリ・ファイルまたはすべてのファイル・タイプに使用するかを決定します。

    注意:

    • データ・ファイルおよびリカバリ・ファイルに対して、同じメカニズムの記憶域を使用する必要はありません。クラスタ・ファイル・システムに一方のファイル・タイプを格納し、Oracle ASMにもう一方のファイル・タイプを格納することができます。データ・ファイルとリカバリ・ファイルの両方にOracle ASMを使用する場合は、データ・ファイル用とリカバリ・ファイル用に、別々のOracle ASMディスク・グループを作成することをお薦めします。

    • Oracle Clusterwareファイルには、OCRファイルと投票ファイルの2つのタイプがあります。各タイプのファイルは、Oracle ASMまたはクラスタ・ファイル・システムのいずれかに格納できます。すべてのOCRファイルまたはすべての投票ファイルは、同じタイプの記憶域を使用する必要があります。一部のOCRファイルをOracle ASMに格納し、その他のOCRファイルをクラスタ・ファイル・システムに格納することはできません。ただし、各タイプのすべてのファイルで同じタイプの記憶域を使用する場合は、OCRファイルに1つのタイプの記憶域を使用し、投票ファイルに異なるタイプの記憶域を使用できます。

  2. Oracle ASMディスク・グループに使用するOracle ASMの冗長性レベルを選択します。

    Oracle ASMディスク・グループに選択した冗長レベルによって、Oracle ASMでディスク・グループ内のファイルをミラー化する方法および必要となるディスク数とディスク領域が決まります。投票ファイルがディスク・グループにある場合、Oracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ファイル)があるディスク・グループの障害グループの最小数は、投票ファイルが定数障害グループに格納されているため、他のディスク・グループよりも多くなります。

    定数障害グループは、Oracle Clusterwareの投票ファイルを格納する特別なタイプの障害グループです。定数障害グループは、指定した障害グループの定数が使用可能であることを保証します。Oracle Clusterwareファイルが含まれたディスク・グループがOracle ASMによってマウントされるときには、1つ以上の障害グループが失われた場合に、ディスク・グループをマウントできるかどうかが、定数障害グループにより判別されます。定数障害グループ内のディスクにはユーザー・データが含まれないため、ユーザー・データを格納するための冗長性要件を決定するときには、このグループは考慮されません。

    冗長レベルは、次のとおりです。

    • 外部冗長

      外部冗長ディスク・グループでは、最小で1台のディスク・デバイスが必要です。外部冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計です。

      Oracle ASMは外部冗長ディスク・グループ内のデータをミラー化しないため、RAIDなどのストレージ・デバイスによる外部冗長を使用するか、または独自のデータ保護メカニズムを持つ類似デバイスを使用することをお薦めします。

    • 標準冗長

      標準冗長ディスク・グループでは、最小で2台のディスク・デバイス(または2つの障害グループ)が必要です。標準冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、すべてのデバイスのディスク領域の合計の半分です。

      Oracle Clusterwareファイルの場合、標準冗長のディスク・グループは最小で3台のディスク・デバイス(障害グループは3台のうち2台を使用し、クォーラム障害グループは3台すべてを使用します)を必要とし、3つの投票ファイル、1つのOCRおよびOCRのミラーを提供します。標準冗長のディスク・グループを使用すると、クラスタは障害グループを1つ失っても存続できます。

      ほとんどの使用環境では、標準冗長ディスク・グループを選択することをお薦めします。

    • 高冗長

      高冗長ディスク・グループでは、Oracle ASMはデフォルトで3方向のミラー化を使用してパフォーマンスを向上させ、最高レベルの信頼性を提供します。高冗長ディスク・グループでは、最小で3台のディスク・デバイス(または3つの障害グループ)が必要です。高冗長のディスク・グループで有効なディスク領域は、全デバイスのディスク領域の合計の3分の1です。

      Oracle Clusterwareファイルの場合、標準冗長のディスク・グループは最小で5台のディスク・デバイス(障害グループは5台のうち3台を使用し、クォーラム障害グループは5台すべてを使用します)を必要とし、5つの投票ファイル、1つのOCRおよびOCRのミラー2つを提供します。高冗長のクラスタは、障害グループを2つ失っても存続できます。

      高冗長ディスク・グループでは、高レベルのデータ保護が提供されますが、この冗長レベルの使用を決定する前に、追加するストレージ・デバイスのコストを考慮する必要があります。

      注意:

      ディスク・グループの作成後に、ディスク・グループの冗長レベルを変更することはできません。
  3. 共有記憶域にOracle ASMを使用するためにOracle Clusterwareファイルに必要となるディスク領域の合計容量を決定します。

    次の表を使用して、共有ストレージとしてOracle ASMを使用するOracle Clusterwareのインストールに必要な最小限のディスク数と最小限のディスク領域を決定します。

    表6-2 冗長タイプによるOracle Clusterwareに必要な記憶域

    冗長レベル ディスクの最小台数 Oracle Cluster Registry(OCR)ファイル 投票ファイル 合計 合計

    外部

    1

    400MB

    300MB

    700MB

    4ノード以下のクラスタの場合、5.9GB以上(5.2GB脚注 1 + 400MB + 300MB)。

    5ノード以上のクラスタの場合に必要な追加領域。たとえば、6ノードのクラスタの割当てには6.9GB以上が必要です。

    (5.2GB + 2 * (500MB) +

    400MB + 300MB)。

    標準

    3

    障害グループごとに400MB以上、または800MB

    投票ファイルごとに300MB以上、または900MB

    1.7GB

    4ノード以下のクラスタの場合、12.1GB以上(10.4GB + 2 * 400MB + 3 * 300MB)。

    5ノード以上のクラスタの場合に必要な追加領域。たとえば、6ノードのクラスタの割当てには14.1GB以上が必要です。

    (2 * (5.2GB + 2 * (500MB)) +

    (2 * 400MB) + (3 * 300MB))。

    5

    障害グループごとに400MB以上、または1.2GB

    投票ファイルごとに300MB以上、または1.5GB

    2.7GB

    4ノード以下のクラスタに18.3GB以上(3 * 5.2GB + 3 * 400MB + 5 * 300MB)。

    5ノード以上のクラスタの場合に必要な追加領域。たとえば、6ノードのクラスタの割当てには21.3GB以上が必要です。

    (3 * (5.2GB + 2 * (500MB))+

    (3 * 400MB) + (5 * 300MB))。

    脚注 1 Oracle Clusterware 12.1.0.2用のグリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリのサイズは、5.2GBです。Oracle Clusterware 12.1.0.1用の場合、サイズは4.5GBです。

    注意:

    投票ファイルがディスク・グループにある場合、Oracle Clusterwareファイル(OCRおよび投票ファイル)があるディスク・グループの障害グループの最小数は、他のディスク・グループよりも多くなります。

    インストール中に、OCRおよび投票ファイルのディスク・グループを作成する場合、使用可能な領域が2GB以上あるディスク・グループ上にこれらのファイルを作成するよう、インストーラによって求められます。

    Oracle ASMでのOracle Clusterwareファイルの高可用性を確保するには、Oracle Clusterwareファイル用として、別々の3つの障害グループ(物理ディスクは3つ以上)に2GB以上のディスク容量が必要です。各ディスクには1GB以上の容量を確保して、容量に余裕を持ってOracle Clusterwareファイルを作成できるようにする必要があります。

  4. 割当て単位サイズを決定します。
    すべてのOracle ASMディスクは割当て単位(AU)に分割されます。割当て単位とは、ディスク・グループ内での割当ての基本単位です。特定のディスク・グループ互換レベルに応じて、AUサイズの値には1、2、4、8、16、32または64MBを選択できます。デフォルト値は1MBに設定されています。
  5. Oracle Clusterwareインストールでは、Oracle ASMのメタデータ用にディスク領域を追加する必要もあります。
    Oracle Clusterwareインストールでは、Oracle ASMのメタデータ用にディスク領域を追加する必要もあります。次の計算式を使用して、OCR、投票ファイルおよびOracle ASMメタデータのディスク領域要件(MB単位)を計算します。
    total = [2 * ausize * disks] + [redundancy * (ausize * (nodes * (clients + 1)
     + 30) + (64 * nodes) + 533)]

    説明は次のとおりです。

    • redundancy: ミラー数(外部 = 1、標準 = 2、高 = 3)

    • ausize: メタデータのAUサイズ(MB単位で、デフォルトは1MB)

    • nodes: クラスタ内のノード数

    • clients: 各ノードのデータベース・インスタンス数

    • disks: ディスク・グループ内のディスク数

    たとえば、標準冗長ディスク・グループに3台のディスクを使用し、デフォルトのAUサイズが1MBである4ノードのOracle RACインストールでは、1684MBの追加領域が必要になります。

    [2 * 1 * 3] + [2 * (1 * (4 * (4 + 1)+ 30)+ (64* 4)+ 533)] = 1684 MB

    Oracle ASMで標準冗長性ディスク・グループに対してOracle Clusterwareファイルの高可用性を確保するには、Oracle Clusterwareファイル用として、別々の3つの障害グループ(物理ディスクは3つ以上)に2GB以上のディスク容量が必要です。Oracle Clusterwareファイルを作成するのに効果的な2GBのディスク容量を確保するには、各ディスクに2.1GB以上、3台のディスクで合計6.3GB以上の容量を確保する必要があります。

  6. Oracle Databaseファイルおよびリカバリ・ファイルに必要なディスク領域の合計容量を決定します。
    次の表を使用して、初期データベースのインストールに必要な最小限のディスク数とディスク領域を決定します。

    表6-3 冗長タイプによるOracle Databaseに必要な記憶領域の合計

    冗長レベル ディスクの最小台数 データベース・ファイル リカバリ・ファイル 合計

    外部

    1

    1.5GB

    3GB

    4.5GB

    標準

    2

    3GB

    6GB

    9GB

    3

    4.5GB

    9GB

    13.5GB

    注意:

    前の表に示したファイル・サイズは、新規インストール(またはユーザー・データのないデータベース)の必要最小限の見積りです。実際のデータベースのファイル・サイズはこれよりも大きくなります。
  7. 既存のディスク・グループを使用できるかどうかを確認します。
    現在、システム上にOracle ASMインスタンスが存在している場合は、これらの記憶域要件を満たすために既存のディスク・グループを使用できます。インストール時、必要に応じて、既存のディスク・グループにディスクを追加できます。既存のディスク・グループの使用の詳細は、「使用する既存のOracle ASMディスク・グループの識別」を参照してください。
  8. 使用する既存のOracle ASMディスク・グループがない場合は、Oracle RACをインストールする前に、必要に応じて1つ以上のOracle ASMディスク・グループを作成します。
    ディスク・グループで使用するディスクの選択の詳細は、「Oracle ASMディスク・グループで使用するディスクの選択」を参照してください。
  9. 必要な場合は、Oracle ASMディスク・グループのデバイスに障害グループを指定します。

    注意:

    Oracle RACのインストール前またはOracle RACデータベースの作成前にOracle ASMディスク・グループを構成するインストール方法を使用する場合は、この手順のみを完了する必要があります。

    標準または高冗長ディスク・グループを使用する場合は、カスタム障害グループのディスク・デバイスを関連付けることによって、ハードウェア障害に対するデータベースの保護を強化できます。障害グループには、障害の可能性のある共通のメカニズムを共有しているOracle ASMディスクを定義します。デフォルトでは、各デバイスに独自の障害グループが含まれます。カスタム障害グループを定義する場合は、次の点に注意してください。

    標準冗長ディスク・グループには最小で2つの障害グループを、高冗長ディスク・グループには3つの障害グループを指定する必要があります。

    ディスク・グループにデータ・ファイルおよびOracle Clusterwareファイル(投票ファイルなど)が含まれる場合、標準冗長ディスク・グループには最小で3つの障害グループ、高冗長ディスク・グループには5つの障害グループを指定する必要があります。

    投票ファイルを格納するディスク・グループの場合、標準冗長では最小で3つの障害グループ、高冗長では最小で5つの障害グループが必要です。ディスク・グループに投票ファイルが含まれない場合、必要な障害グループの最小数は標準冗長で2つ、高冗長で3つです。障害グループの最小数は、カスタム障害グループかどうかにかかわらず適用されます。

    ただし、標準冗長ディスク・グループの2台のディスク・デバイスが同じSmall Computer System Interface (SCSI)コントローラに接続されている場合、コントローラに障害が発生すると、ディスク・グループは使用できなくなります。この例のSCSIコントローラは、シングル・ポイント障害です。このタイプの障害を防止するためには、2つのSCSIコントローラを使用します。各コントローラに2台のディスクを接続し、各コントローラに接続されたディスクに障害グループを定義します。この構成では、ディスク・グループが1つのSCSIコントローラの障害を許容できます。

    注意:

    Oracle Grid Infrastructureのインストール後に、GUIツールのASMCA、コマンドライン・ツールのasmcmd、またはSQL*Plusコマンドを使用して、カスタム障害グループを定義できます。

関連項目:

Oracle ASM障害グループの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

6.3.3 Oracle ASMで使用するディスク・パーティションの制限

Oracle ASMで使用するディスク・パーティションを構成する場合は、次の制限に注意してください。

  • x64 Windowsでは、各ディスクに作成できるプライマリ・パーティション数は最大128です。

  • ディスクが競合しないように、単一のディスクに作成するパーティションの数を制限することをお薦めします。このため、プライマリ・パーティションではなく拡張パーティションを使用する方が適した場合があります。

6.3.4 共有記憶域にOracle ASMを使用するためのシステムの準備

Oracle ASMをOracle ClusterwareまたはOracle RACファイルの共有記憶域ソリューションとして使用するには、ソフトウェアのインストールを開始する前に、特定のタスクを実行する必要があります。

6.3.4.1 使用する既存のOracle ASMディスク・グループの識別

データベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルの記憶域オプションとしてOracle ASMを使用するには、既存のOracle ASMディスク・グループを使用するか、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)のインストール前およびOracle RACデータベースの作成前にASMCAを使用して必要なディスク・グループを作成しておく必要があります。

Oracle ASMディスク・グループが現在存在するかどうか、または既存のディスク・グループに十分なディスク領域があるかどうかを判断するために、Oracle ASMコマンドライン・ツール(asmcmd)またはOracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用できます。また、次の手順も使用できます。
  1. コントロール パネルの「サービス」で、OracleASMService+ASMnサービス(nはノード番号)が起動されていることを確認します。
  2. Windowsのコマンド・プロンプトを開き、一時的に環境変数ORACLE_SIDに、使用するOracle ASMインスタンスに対して適切な値を指定します。

    たとえば、Oracle ASMシステム識別子(SID)を+ASM1とした場合、次の設定を入力します。

    C:\> set ORACLE_SID=+ASM1
  3. ORACLE_HOME環境変数にGridホームが設定されていない場合は、次のコマンドを使用して、この変数にGridホームの場所を一時的に設定します。
    C:\> set ORACLE_HOME=C:\app\12.1.0\grid
  4. ASMCMDを使用して、Oracle ASMインスタンスに接続し、必要に応じて次のコマンドでインスタンスを起動します。
    C:\>%ORACLE_HOME%\bin\asmcmd
    ASMCMD> startup
  5. 次のコマンドのいずれかを入力して、既存のディスク・グループ、それらの冗長レベルおよび各ディスク・グループでのディスクの空き領域を表示します。
    ASMCMD> lsdg

    または

    C:\> %ORACLE_HOME%\bin\asmcmd -p lsdg
  6. 出力結果から、適切な冗長レベルが設定されているディスク・グループを特定し、そのディスク・グループにある空き領域を記録します。
  7. 必要に応じて、前述の記憶域要件を満たすために必要な追加のディスク・デバイスを設置または指定します。

    注意:

    既存のディスク・グループにデバイスを追加する場合は、サイズおよびパフォーマンス特性が、そのディスク・グループ内の既存デバイスと同じであるデバイスの使用をお薦めします。

6.3.4.2 Oracle ASMディスク・グループで使用するディスクの選択

システムに適切なディスク・グループが存在しない場合は、適切なディスク・デバイスを設置または指定して、新しいディスク・グループを追加します。

次のガイドラインに従って、適切なディスク・デバイスを指定します。

  • Oracle ASMディスク・グループのすべてのデバイスは、サイズおよびパフォーマンス特性が同じである必要があります。

  • 単一の物理ディスクにある複数のパーティションを、1つのディスク・グループのデバイスとして指定しないでください。Oracle ASMは、各ディスク・グループのデバイスが、別々の物理ディスク上に存在するとみなします。

  • 非共有論理パーティションは、Oracle RACではサポートされていません。Oracle RACデータベースに論理パーティションを使用するには、diskpart.mscなどの論理ボリューム・マネージャで作成された共有論理ボリュームを使用する必要があります。

  • 論理ボリュームは、Oracle ASMディスク・グループのデバイスとして指定できますが、Oracle ASMには不要なほどレイヤーが複雑になるため、この使用はお薦めしません。さらに、Oracle ASMおよびOracle RACで論理ボリュームを使用する場合、Oracle RACでは、クラスタ論理ボリューム・マネージャが必要です。

6.3.4.3 Oracle ASMディスク検出文字列の指定

Oracle ASMインスタンスを初期化すると、ASM_DISKSTRING初期化パラメータの値を使用して指定したパスにあるすべてのディスクの内容が検出されて調査されます。

ASM_DISKSTRING初期化パラメータの値は、オペレーティング・システムに依存する値です。この値を使用して、検出プロセスでディスクの検索に使用される一連のパスが制限されます。検出文字列の厳密な構文は、プラットフォーム、ASMLibライブラリ、Oracle Exadataディスクの使用の有無によって異なります。オペレーティング・システムによって容認されるパス名は、常に検出文字列として使用できます。

ASM_DISKSTRINGのデフォルト値により、必ずしもすべての状況下ですべてのディスクが検出されるわけではありません。サイトにサード・パーティ・ベンダーのASMLibが使用されている場合、このベンダーには、ASM_DISKSTRINGに対して使用する必要のある検出文字列の表記規則がある可能性があります。また、インストール環境でマルチパス対応のソフトウェアが使用されている場合、オペレーティング・システムのデフォルト設定とは異なるパスに擬似デバイスが配置されている可能性もあります。

関連項目:

  • 初期化パラメータASM_DISKSTRINGの詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  • マルチパスと連携するようにOracle ASMを構成する方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』のOracle ASMおよびマルチパスに関する項と、マルチパス・ベンダーのドキュメントを参照してください。

6.3.5 共有ファイル・システムを使用するための要件

Oracle RACに共有ファイル・システムを使用するには、ファイル・システムで次の要件を満たす必要があります。

  • NFSを使用するには、動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)・デバイス上にある必要があります。動作保証されているNASデバイスのリストについては、「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」に示すように、My Oracle SupportのWebサイトにアクセスしてください。

  • Oracle RACデータ・ファイルを共有ファイル・システムに配置する場合、次のいずれかに該当している必要があります。

    • ファイル・システムに使用されるディスクが、高可用性のストレージ・デバイス(RAIDデバイスなど)にある。

    • ファイル・システムは、2つ以上の独立したファイル・システムで構成されており、一方のファイル・システムではデータベース・ファイル、もう一方のファイル・システムではリカバリ・ファイルが使用される。

  • インストールを実行するユーザー・アカウントは、共有記憶域の指定したパスにファイルを作成できる必要があります。

注意:

Oracle Clusterwareをアップグレードする場合、既存のクラスタでOCRに100MBのパーティション、投票ファイルに20MBのパーティションが使用されているときは、これらのパーティションを300MB以上に拡張する必要があります。パーティションは使用せず、OCRおよび投票ファイルをQUORUMディスク・グループとしてマークされたOracle ASMディスク・グループに配置することをお薦めします。

すべてのストレージ製品は、サーバー・ベンダーとストレージ・ベンダーの両方でサポートされている必要があります。

次の表を使用して、共有ファイル・システムの最小サイズを決定します。

表6-4 Oracle RAC共有ファイル・システムのボリューム・サイズ要件

格納されるファイル・タイプ ボリュームの数 ボリュームのサイズ

Oracle Databaseデータ・ファイル

1

ボリュームごとに1.5GB以上

リカバリ・ファイル

注意: リカバリ・ファイルはデータベース・ファイルとは異なるボリュームに配置する必要があります。

1

ボリュームごとに2GB以上

必要なボリューム・サイズの合計は、累積的です。たとえば、データ・ファイルにボリューム1つ、リカバリ・ファイルにボリューム1つを使用する場合は、2つのボリュームで3.5GB以上の利用可能な記憶域が必要です。

6.3.6 Oracleが管理するファイルの要件

データベース・ファイルにOracle ASMを使用する場合、データベースはデフォルトでOracle Managed Filesを使用して作成されます。Oracle Managed Files機能を使用する場合は、データベース・ファイルの作成または削除時に、ファイル名のかわりにデータベース・オブジェクト名のみを指定する必要があります。

Oracle Managed Filesを使用可能にするには、設定の手順を実行する必要があります。

関連項目:

『Oracle Database管理者ガイド』Oracle Managed Filesの使用に関する項を参照してください。

6.4 共有記憶域オプションを選択した後の作業

ディスクの記憶域オプションを決定したら、構成を開始します。実行する正確な手順は、使用する共有記憶域のタイプによって異なります。

  1. 最初に共有ディスクの事前準備の項に示されている手順を実行します。
  2. 共有ストレージを構成します。

6.5 共有ディスクの事前準備

Windowsプラットフォームで共有記憶域を使用する場合は、追加のインストール前タスクを実行します。

6.5.1 書込みキャッシュの無効化

クラスタ内のノード間でデータの共有に使用するすべてのディスクで、書込みキャッシュを無効にする必要があります。

  1. 「スタート」をクリックし、「コントロール パネル」「管理ツール」「コンピュータの管理」「デバイス マネージャ」「ディスク ドライブ」の順に選択します。
  2. 「ディスク ドライブ」を展開し、最初に表示されているドライブをダブルクリックします。
  3. 選択したドライブの「ポリシー」タブで、書込みキャッシュを有効にするオプションの選択を解除します。
  4. その他に、Oracle ClusterwareおよびOracle RACで使用する各ドライブをダブルクリックし、前述の手順のとおり、書込みキャッシュを無効にします。

注意:

ノード間で共有されるファイル(データベース・ファイルを含む)の格納に使用するディスクでは、書込みキャッシュを無効にする必要があります。

6.5.2 Windowsでの自動マウントの有効化

デフォルトで自動マウント機能が有効になっている場合にも、自動マウントが有効であることを確認してください。

自動マウントを有効化する必要があるのは、次のものを使用する場合です。

  • Oracle ASMのRAWパーティション

  • Oracle Clusterware

  • Oracle ASM用の論理ドライブ

注意:

RAWパーティションは、構成済のパーティションを使用している既存のインストールをアップグレードする場合のみ、サポートされます。新規インストールでのRAWパーティションの使用は、ASMCAまたはOUIではサポートされていませんが、手動で構成する場合は、ソフトウェアでサポートされます。
  1. 新しいボリュームの自動マウントが有効かどうかを確認するには、次のコマンドを実行します。
    C:\> diskpart 
    DISKPART> automount 
    Automatic mounting of new volumes disabled.
  2. 自動マウント機能を有効化する手順は、次のとおりです。
    1. コマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。
      C:\> diskpart
      DISKPART> automount enable
      Automatic mounting of new volumes enabled.
    2. exitを入力してdiskpartセッションを終了します。
    3. クラスタ内の各ノードに対して手順1および2を繰り返します。

注意:

クラスタ内のすべてのノードでは、Oracle RACおよびOracle Clusterwareを正常にインストールするために、自動マウントを有効化しておく必要があります。自動マウントを有効化してから、データベースまたはOracle ASMで使用する論理パーティションを作成することをお薦めします。

ディスク自動マウントを有効化した後で、各ノードを再起動する必要があります。

自動マウントを有効化して、ノードを再起動すると、無効化するまでアクティブなままとなります。

6.6 Oracle ASM用の共有記憶域の構成

インストーラでは、OCRまたは投票ファイル用のデフォルトの格納先は提供されません。これらのファイルをOracle ASMで作成する場合は、Oracle ASMディスク・グループで使用されるディスク・パーティションの作成および構成を最初に行う必要があります。

6.6.1 Oracle ASMで使用するためのディスク・パーティションの作成

次の手順では、Oracle ASMで使用するためのディスク・パーティションの作成手順について説明します。

  1. Microsoftのコンピュータの管理ユーティリティまたはコマンドライン・ツールdiskpartを使用して、拡張パーティションを作成します。
    ベーシック・ディスクを使用します(ダイナミック・ディスクはサポートされていません)。
  2. Oracle Clusterwareファイル用に1つ以上の論理パーティションを作成します。
    OCRおよび投票ファイルに個別のパーティションを作成する必要はありません。Oracle Clusterwareによって、OCRおよび投票ファイル用の個別のファイルが、指定された場所に作成されます。
  3. ファイル・システムでRedundant Array of Inexpensive Disks(RAID)を使用しない場合は、Oracle Clusterwareで使用されるパーティションごとに追加の拡張パーティションと論理パーティションを作成し、冗長性を提供します。
  4. 必要なパーティションを作成するには、Microsoft Windowsの「ディスクの管理」ユーティリティを使用します。マスター・ブート・レコード(MBR)・パーティション・スタイルのベーシック ディスクを、パーティション作成用の拡張パーティションとして使用します。
    1. クラスタ内の既存のノードから、次の手順でWindowsディスク管理ツールを起動します。
      DISKPARTユーティリティを使用したディスク・パーティションの作成手順は、「共有記憶域のディスク・パーティションの構成」を参照してください。
    2. クラスタ内の各ノードで、パーティションが表示されていること、共有記憶域用に作成されたディスク・パーティションのいずれにもドライブ文字が割り当てられていないことを確認します。いずれかのパーティションにドライブ文字が割り当てられている場合は、次の手順を実行してドライブ文字を削除します。
      • Windowsのディスク管理ツールのパーティションを右クリックします。

      • メニューから、「ドライブ文字とパスの変更」を選択します。

      • 「ドライブ文字とパスの変更」ウィンドウの「削除」をクリックします。

6.6.2 インストール前に行うOracle ASM用のディスク・パーティションのマーキング

WindowsシステムでOUIに表示されるパーティションは、プライマリ・パーティションを含まないディスク上にあり、asmtoolとマーク付け(スタンプ)されている論理ドライブのみです。

asmtoolg(Graphical User Interface(GUI)バージョン)またはasmtool(コマンドライン・バージョン)を使用して、インストール前にディスクを構成します。クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール時に、asmtoolgユーティリティを使用することもできます。

asmtoolgまたはasmtoolで作成されたディスク名は、識別のためにすべて接頭辞ORCLDISKで始まり、その後にユーザー定義の接頭辞(デフォルトはDATA)とディスク番号が続きます。\\.\ORCLDISKprefixnという名前を指定して、これらをOracle ASMインスタンスでRAWデバイスとして使用できます(prefixnはDATAまたはユーザー指定の値のいずれかで、nはディスク番号)。

asmtoolgおよびasmtoolユーティリティはパーティション化したディスクでのみ動作します(パーティション化されていないディスクではOracle ASMを使用できません)。これらのツールを使用して、インストール後にディスクを再構成することもできます。これらのユーティリティは、Oracle Grid Infrastructureの一部として自動的にインストールされます。

注意:

ユーザー・アカウント制御(UAC)が有効な場合、asmtoolgまたはasmtoolの実行には管理者レベルの権限が必要です。

6.6.2.1 asmtoolgおよびasmtoolの概要

asmtoolgおよびasmtoolツールは、ディスクに意味のある永続的な名前を関連付けることによって、Oracle ASMでこれらのディスクを使用しやすくします。

Oracle ASMは、ディスク・グループを同時により簡単に操作するためにディスク文字列を使用します。asmtoolgまたはasmtoolで作成された名前を使用すると、Windowsのドライブ文字を使用するよりも操作が簡単になります。

asmtoolgまたはasmtoolで作成されたディスク名は、識別のためにすべて接頭辞ORCLDISKで始まり、その後にユーザー定義の接頭辞(デフォルトはDATA)とディスク番号が続きます。\\.\ORCLDISKprefixnという名前を指定して、これらをOracle ASMインスタンスでRAWデバイスとして使用できます(prefixnDATAまたはユーザー指定の値のいずれかで、nはディスク番号)。

6.6.2.2 asmtoolg(Graphical User Interface)を使用したディスクへのマーク付け

asmtoolg(GUIバージョン)は、デバイス名を作成する場合に使用します。asmtoolgを使用して、Oracle ASMで使用可能なデバイスを追加、変更、削除および検証します。

  1. Oracle Grid Infrastructureのインストール・メディアのasmtoolフォルダに移動し、asmtoolgをダブルクリックします。

    Oracle Clusterwareがインストールされている場合は、Grid_home\binフォルダに移動して、asmtoolg.exeをダブルクリックします。

    ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合は、デスクトップにコマンド・ウィンドウのショートカットを作成する必要があります。「管理者として実行」を使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtoolgを起動します。

  2. 「Add or change label」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。

    asmtoolgによって、システムで使用可能なデバイスが表示されます。認識されていないディスクのステータスは「Candidate device」、スタンプされたディスクのステータスは「Stamped ASM device」、スタンプが削除されたディスクのステータスは「Unstamped ASM device」となります。また、このツールは、ディスクをWindowsで認識されるファイル・システム(NTFSなど)としても表示します。これらのディスクは、Oracle ASMディスクとしては使用できないため、選択できません。また、Microsoftダイナミック ディスクもOracle ASMディスクとしては使用できません。

    必要に応じて、Oracle ASMで使用するためのディスク・パーティションの作成の手順を実行し、Oracle ASMインスタンスのディスク・パーティションを作成します。

  3. 「Stamp Disks」ウィンドウで、Oracle ASMで使用するディスクを選択します。

    Oracle ASMは、簡単に使用できるように、任意の接頭辞に対して選択されたすべてのデバイスに一意のスタンプを生成できます。スタンプは、指定した接頭辞と数値を連結して生成されます。たとえば、接頭辞がDATAの場合、最初のOracle ASMリンク名はORCLDISKDATA0となります。

    また、個々のデバイスのスタンプも指定できます。

  4. オプション: ディスクを選択して個々のスタンプ(Oracle ASMリンク名)を編集します。
  5. 「次」をクリックします。
  6. 「終了」をクリックします。

6.6.2.3 asmtoolgを使用したディスク・スタンプの削除

asmtoolg (GUIバージョン)を使用して、ディスク・スタンプを削除できます。

  1. Oracle Grid Infrastructureのインストール・メディアのasmtoolフォルダに移動し、asmtoolgをダブルクリックします。

    Oracle Clusterwareがインストールされている場合は、Grid_home\binフォルダに移動して、asmtoolg.exeをダブルクリックします。

    ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合は、デスクトップにコマンド・ウィンドウのショートカットを作成する必要があります。「管理者として実行」を使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtoolgを起動します。

  2. 「Delete labels」オプションを選択した後、「Next」をクリックします。
    「delete」オプションは、ディスクがスタンプされている場合にのみ使用できます。「delete」画面には、スタンプされたすべてのOracle ASMディスクが表示されます。
  3. 「Delete Stamps」画面で、スタンプを削除するディスクを選択します。
  4. 「次」をクリックします。
  5. 「終了」をクリックします。

6.6.2.4 asmtoolコマンドライン・リファレンス

asmtoolは、Oracle ASMで使用されるディスクをマーク付け(スタンプ)するためのコマンドライン・インタフェースです。

オプション 説明

-add

スタンプを追加または変更します。ハード・ディスク、パーティションおよび新しいスタンプ名を指定する必要があります。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存のOracle ASMスタンプが含まれている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。

必要に応じて、Oracle ASMで使用するためのディスク・パーティションの作成の手順を実行し、Oracle ASMインスタンスのディスク・パーティションを作成します。

asmtool -add [-force]
\Device\Harddisk1\Partition1 ORCLDISKASM0
\Device\Harddisk2\Partition1 ORCLDISKASM2
...

-addprefix

共通の接頭辞を使用してスタンプを追加または変更し、自動的にスタンプを生成されます。スタンプは、指定した接頭辞と数値を連結して生成されます。ディスクがRAWデバイスであるか、またはディスクに既存のOracle ASMスタンプが含まれている場合は、-forceオプションを指定する必要があります。

asmtool -addprefix ORCLDISKASM [-force]
\Device\Harddisk1\Partition1
\Device\Harddisk2\Partition1
...

-create

パーティションのかわりにファイルからOracle ASMディスク・デバイスを作成します。

注意: このコマンドの使用は本番環境ではサポートされません。

asmtool -create \\server\share\file 1000
asmtool -create D:\asm\asmfile02.asm 240

-list

使用可能なディスクを表示します。スタンプ、Windowsデバイス名およびディスク・サイズ(MB)が表示されます。

asmtool -list

-delete

ディスクから既存のスタンプを削除します。

asmtool -delete ORCLDISKASM0 ORCLDISKASM1...

ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合は、デスクトップにコマンド・ウィンドウのショートカットを作成する必要があります。「管理者として実行」を使用してコマンド・ウィンドウを開き、コンテキスト・メニューを右クリックしてasmtoolを起動します。

注意:

-add-addprefixまたは-deleteを使用すると、asmtoolはローカル・ノードおよびクラスタの他のノード(使用可能な場合)上のOracle ASMインスタンスに、使用可能なディスクを再スキャンするように通知します。

6.7 共有記憶域のディスク・パーティションの構成

ディスク・パーティションを作成するには、オペレーティング・システムまたはサード・パーティ・ベンダーが提供するディスク管理ツールを使用します。オペレーティング・システムに付属のディスク管理インタフェースまたはDiskPartユーティリティを使用して、ディスク・パーティションを作成できます。

Oracleホームおよびデータ・ファイルに、Oracle ASMで管理されない共有ディスクを使用する場合は、少なくとも、次のパーティションを準備してから、OUIを起動しOracle Clusterwareをインストールする必要があります。

  • Oracleホーム用に5.5GB以上のパーティション(共有Oracleホームが必要な場合)

  • Oracle Databaseのデータ・ファイルおよびリカバリ・ファイル用に3GB以上のパーティション

6.7.1 ディスク管理インタフェースを使用したディスク・パーティションの作成

グラフィカル・ユーザー・インタフェースのディスク管理スナップインを使用してディスクを管理します。

  1. ディスク管理スナップインにアクセスするには、次のいずれかを実行します。
    • コマンド・プロンプトにdiskmgmt.mscと入力します。
    • 「スタート」メニューから、「すべてのプログラム」「管理ツール」「コンピュータの管理」の順に選択します。次に、「記憶域」ツリーの「ディスクの管理」ノードを選択します。
  2. プライマリ・パーティションと、「新しいシンプル ボリューム」オプションを選択して拡張パーティションの論理ドライブを作成します。
    「このパーティションをフォーマットしない」を選択して、RAWパーティションを指定する必要があります。スパン・ボリュームやストライプ・ボリュームは使用しないでください。これらのオプションを使用するとボリュームがダイナミック・ディスクに変換されます。Oracle Automatic Storage Managementでは、ダイナミック・ディスクはサポートされていません。

    その他のWindows上では、「新しいパーティション」オプションを選択して、プライマリ・パーティションを作成します。「新しい論理ドライブ」オプションを選択して、論理ドライブを作成します。

  3. RAWデバイスを作成するには、パーティションの作成後に、パーティションに割り当てられているドライブ文字を削除する必要があります。

6.7.2 DiskPartユーティリティを使用したディスク・パーティションの作成

DiskPartユーティリティを使用してディスクを管理することもできます。

  1. クラスタ内の既存のノードから、次のようにしてDiskPartユーティリティを実行します。
    C:\> diskpart
    DISKPART>
  2. 使用可能なディスクを表示します。

    ディスク番号(n)を指定して、パーティションの作成先のディスクを選択します。

    DISKPART> list disk
    DISKPART> select disk n
  3. 次のように拡張パーティションを作成します。
    DISKPART> create part ext
  4. 次の構文で拡張パーティションを作成した後、必要なサイズの論理ドライブを作成します。
    DISKPART> create part log [size=n] [offset=n] [noerr]
  5. パーティションを2つ以上追加する場合は、手順2から4を繰り返します。Oracleホーム用およびOracle Databaseファイル用にパーティションを1つずつ構成することをお薦めします。
  6. 使用可能なボリュームをリストし、使用する論理ドライブからドライブ文字を削除します。
    DISKPART> list volume
    DISKPART> select volume n
    DISKPART> remove
  7. クラスタ内のすべてのノードでパーティションが表示されていること、およびいずれのOracleパーティションにもドライブ文字が割り当てられていないことを確認してください。
    いずれかのパーティションにドライブ文字が割り当てられている場合は、次の手順を実行してドライブ文字を削除します。
    1. Windowsのディスク管理ユーティリティでパーティションを右クリックします。
    2. メニューから、「ドライブ文字とパスの変更」を選択します。
    3. 「ドライブ文字とパスの変更」ウィンドウの「削除」をクリックします。

6.8 Oracle RACデータ・ファイル用のDirect NFSクライアントの構成

Direct NFSクライアントは、Oracleが提供する、NFSシステム用のインタフェースです。

6.8.1 Direct NFSクライアントの記憶域について

Oracle Databaseでは、オペレーティング・システムのNFSクライアントまたはサード・パーティのNFSクライアントを使用するかわりに、Direct NFSクライアントNFSを使用してNFSサーバーに直接アクセスするようにOracle Databaseを構成できます。

Direct NFSクライアントでは、NFSサーバーへのアクセスにNFSv3、NFSv4およびNFSv4.1プロトコル(パラレルNFS拡張を除く)がサポートされています。Direct NFSクライアントでは、利用可能なリソースを効率的に使用するよう自動調節が行われ、サポートされているNFSサーバー上にデータ・ファイルを格納可能です。

注意:

Oracle RACでサポートされているNFSサーバーを使用してください。サポート情報については、「My Oracle Supportでのハードウェアおよびソフトウェアの動作保証の確認」に示すように、My Oracle Supportを確認してください。

Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用できるようにするには、インストールを開始する前に、NFSファイル・システムをマウントし、通常のNFSマウントを介して使用できるようにする必要があります。設定は、インストール後にDirect NFSクライアントで管理されます。Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーを開くことができない場合は、Oracleアラート・ログに情報メッセージが記録されます。トレース・ファイルも作成され、Direct NFSクライアントがNFSサーバーに接続できなかったことが示されます。

注意:

バックエンドNFSサーバーが32768以上の書込みサイズ(wtmax)をサポートしない場合、Direct NFSは機能しません。

NFSサーバー上に存在しDirect NFSクライアントによってアクセスされるOracleファイルにも、サード・パーティのNFSクライアントを介してアクセスできます。Direct NFSクライアントで作成されるOracleデータ・ファイルの管理は、『Oracle Database管理者ガイド』の「データ・ファイルおよび一時ファイルの管理」に示されているガイドラインに従って行う必要があります。

Direct NFSクライアントを構成せずに、Common Internet File System (CIFS)によってマウントされたボリュームをOracle Databaseファイルの格納に使用することはできません。データベース書込みに必要なアトミック書込みの要件はCIFSプロトコルでは満たすことができないため、CIFSは、copyコマンドなどのOSレベルのアクセスでのみ使用できます。

一部のNFSファイル・サーバーでは、NFSクライアントは予約されたポートを使用して接続する必要があります。予約されたポートのチェックを使用してファイラを実行している場合は、Direct NFSが動作するように、予約されたポートのチェックを無効にする必要があります。予約されたポートのチェックを無効にする方法については、使用しているNFSファイル・サーバーのドキュメントを参照してください。

ポート範囲を制限するNFSサーバーの場合、管理者ユーザーでNFSサーバーに接続するのではなく、insecureオプションを使用してクライアントを有効化できます。または、Direct NFSクライアントのNFSのOracle Disk Management制御の無効化の説明に従って、Direct NFSクライアントを無効にします。

6.8.2 Direct NFSクライアントのoranfstabファイルについて

Direct NFSクライアントを使用する場合は、構成ファイルoranfstabを作成して、Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用できるようにするオプション、属性およびパラメータを指定する必要があります。Direct NFSクライアントでは、oranfstabにあるマウント・ポイント・エントリが検索されます。最初に一致したエントリがマウント・ポイントとして使用されます。oranfstabファイルは、Oracle_home\dbsディレクトリに作成する必要があります。

oranfstabファイルがOracle_home\dbsに格納されている場合、このファイルのエントリは、単一データベースに固有のエントリとなります。Oracle RACインストールが共有Oracleホームにある場合、oranfstabファイルは、すべてのデータベース・インスタンスからグローバルに使用できます。

共有Oracleホームを使用するすべてのインスタンスは、同じOracle_home\dbs\oranfstabファイルを使用します。非共有Oracleホームの場合は、すべてのOracle RACインスタンスが同じoranfstabファイルを使用するため、すべてのノードにoranfstabファイルをレプリケートする必要があります。また、すべてのノードのoranfstabファイルは同期している必要があります。

注意:

Oracle Databaseで使用されているNFSパスをoranfstabから削除する場合は、データベースを再起動してその変更を有効にする必要があります。また、ファイル・システムに使用するマウント・ポイントは、すべてのノードで同一である必要があります。

6.8.3 oranfstabファイルの構成可能な属性

oranfstabファイルで様々な設定を構成できます。

表6-5 oranfstabファイルの構成可能な属性

属性 説明

server

NFSサーバー名。

path

インターネット・プロトコル(IP)アドレスまたは名前のいずれかで指定された、NFSサーバーへの最大4つのネットワーク・パス。NFSサーバー上でifconfigコマンドを使用して表示できます。

local

IPアドレスまたは名前のいずれかで指定された、データベース・ホスト上の最大4つのネットワーク・インタフェース。データベース・ホスト上でipconfigコマンドを使用して表示できます。

export

NFSサーバーからエクスポートされたパス。UNIX形式のパスを使用します。

mount

エクスポートされたボリュームに対応する、ローカル・マウント・ポイント。Windows形式のパスを使用します

mnt_timeout

(オプション) Direct NFSクライアントがマウント成功を待機し、タイムアウトするまでの時間(秒)を指定します。デフォルトのタイムアウトは10分(600)です。

uid

(オプション) oranfstabにリストされているすべてのNFSサーバーにアクセスするためにDirect NFSクライアントで使用されるUNIXユーザーID。デフォルト値はuid:65534で、これはNFSサーバーのuser:nobodyと対応しています。

gid

(オプション) oranfstabにリストされているすべてのNFSサーバーにアクセスするためにDirect NFSクライアントで使用されるUNIXグループID。デフォルト値はgid:65534で、これはNFSサーバーのgroup:nogroupと対応しています。

nfs_version

(オプション) Direct NFSクライアントが使用するNFSプロトコルを指定します。設定可能な値は、NFSv3、NFSv4およびNFSv4.1です。デフォルトのバージョンはNFSv3です。NFSv4またはNFSv4.1を指定するには、それに合せてoranfstabファイルでnfs_versionパラメータを設定する必要があります。

management

Direct NFSクライアントを有効にして、SNMP問合せの管理インタフェースを使用します。SNMPがNFSサーバー上の別の管理インタフェースで実行されている場合は、このパラメータを使用できます。デフォルト値はserverです。

community

SNMP問合せで使用するコミュニティ文字列を指定します。デフォルト値はpublicです。

関連項目:

『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』のNFSサーバー環境における非同期I/Oの制限に関する項を参照してください。

6.8.4 Direct NFSクライアントを使用したNFSストレージ・デバイスのマウント

Direct NFSクライアントでは、oranfstabの構成情報に基づいてNFSストレージ・デバイスに対するマウント・ポイント設定が決定されます。Direct NFSクライアントでは、最初に検出されるエントリがマウント・ポイントとして使用されます。

Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーを開くことができない場合は、Direct NFSクライアントを確立できなかったことを示すエラー・メッセージがOracleアラート・ファイルおよびトレース・ファイルに書き込まれます。

注意:

インスタンスごとにアクティブなDirect NFSクライアントを1つのみ実装できます。インスタンスでDirect NFSクライアントを使用すると、別のDirect NFSクライアントは実装できなくなります。

Direct NFSクライアントでは、16384バイト以上のNFS読取り/書込みバッファをサポートするNFSサーバーを必要とします。

Direct NFSクライアントでは、wtmaxの粒度でNFSサーバーへの書込みが発行されます。Direct NFSクライアントは、wtmaxが16384未満のNFSサーバーでは機能しません。推奨される値は32768です。

関連項目:

Direct NFSクライアントでサポートされているファイル・タイプのリストは、「Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACでサポートされている記憶域オプション」を参照してください。

6.8.5 NFSサーバーのネットワーク・パスの指定

Direct NFSクライアントでは、NFSサーバー用のoranfstabファイルに定義されている最大4つのネットワーク・パスを使用できます。

Direct NFSクライアントによって、指定したすべてのパス間でロード・バランシングが実行されます。指定したパスで障害が発生した場合は、Direct NFSクライアントによって、残りのすべてのパスに対して未処理の要求が再発行されます。

注意:

インスタンスごとにアクティブなDirect NFSクライアントを1つのみ実装できます。あるインスタンスでDirect NFSクライアントを使用すると、それ以外ではDirect NFSクライアントを実装できなくなります。

例6-1および例6-2に、oranfstabファイルでのDirect NFSクライアント属性のネットワーク・パスの構成例を示します。

6.8.6 ダイレクトNFSクライアントの有効化

Direct NFSクライアントを有効にするには、oranfstabファイルをOracle_home\dbsに追加する必要があります。

oranfstabファイルがOracle_home\dbsディレクトリに格納されている場合、このファイルのエントリは、1つの特定のデータベースに固有のエントリとなります。Direct NFSクライアントでは、oranfstabに指定されているマウント・ポイント・エントリが検索されます。Direct NFSクライアントでは、最初に検出されたエントリがマウント・ポイントとして使用されます。
  1. oranfstabファイルを作成し、Direct NFSクライアントがアクセスするNFSサーバーごとに、「oranfstabファイルの構成可能な属性」に記載されている属性を指定します。

    関連項目:

    『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』のNFSサーバー環境における非同期I/Oの制限に関する項を参照してください。

    oranfstabファイルで指定されているマウント・ポイントは、Direct NFSクライアントが使用されていないかのように、データベース・ファイルが通常存在するローカル・パスを表します。たとえば、データベースがDirect NFSクライアントを使用していないときにデータ・ファイルの場所がC:\app\oracle\oradata\orclディレクトリである場合は、対応するoranfstabファイルでNFS仮想マウント・ポイントにC:\app\oracle\oradata\orclを指定します。

    例6-1および例6-2に、oranfstabファイルでDirect NFSクライアント属性を使用する方法の例を示します。

    注意:

    • Direct NFSクライアントでは、値が0uidまたはgidは無視されます。

    • NFSサーバーからエクスポートされたパスは、oranfstabに指定されているuidおよびgidを持つユーザーによる、read/write/executeアクセスが可能である必要があります。uidおよびgidのいずれもリストに示されていない場合は、エクスポートされたパスにはuid:65534およびgid:65534を持つユーザーがアクセスできる必要があります。

  2. 標準のODMライブラリoraodm12.dllをODM NFSライブラリに置き換えます
    Oracle Databaseでは、Direct NFSクライアントを有効にするためにODMライブラリoranfsodm12.dllを使用します。ODMライブラリを置き換えるには、次の手順を実行します。
    1. ディレクトリをOracle_home\binに変更します。
    2. サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)を使用して、ノード上のOracle Databaseインスタンスを停止します。
    3. 次のコマンドを入力します。
      copy oraodm12.dll oraodm12.dll.orig
      copy /Y oranfsodm12.dll oraodm12.dll 
    4. SRVCTLを使用して、Oracle Databaseインスタンスを再起動します。
    5. クラスタ内の各ノードに対して手順aから手順dを繰り返します。

例6-1 ローカルおよびパスのNFSサーバー・エントリを使用しているoranfstabファイル

次の例のoranfstabファイルは、NFSサーバー・エントリを示しています。NFSサーバーMyDataServer1は、IPアドレスで指定される2つのネットワーク・パスを使用しています。

server: MyDataServer1
local: 192.0.2.0
path: 192.0.2.1
local: 192.0.100.0
path: 192.0.100.1
nfs_version: nfsv3
export: /vol/oradata1 mount: C:\APP\ORACLE\ORADATA\ORCL

例6-2 ネットワーク接続名を使用しているoranfstabファイル

次の例のoranfstabファイルはNFSサーバー・エントリを示しており、NFSサーバーMyDataServer2は、使用するネットワーク・インタフェース(ネットワーク接続名)で指定される4つのネットワーク・パスを使用しています。この例では複数のエクスポート・パスも使用されています。

server: MyDataServer2
local: LocalInterface1
path: NfsPath1
local: LocalInterface2
path: NfsPath2
local: LocalInterface3
path: NfsPath3
local: LocalInterface4
path: NfsPath4
nfs_version: nfsv4
export: /vol/oradata2 mount: C:\APP\ORACLE\ORADATA\ORCL2
export: /vol/oradata3 mount: C:\APP\ORACLE\ORADATA\ORCL3
management: MgmtPath1
community: private

6.8.7 ORADNFSユーティリティを使用した基本的なファイル操作の実行

ORADNFSは、データベース管理者がMicrosoft WindowsプラットフォームのDirect NFSクライアントで基本的なファイル操作を実行できるユーティリティです。

ORADNFSはマルチコール・バイナリで、単一のバイナリでありながら多数のユーティリティのように動作します。
ORADNFSを使用するには、ローカルのORA_DBAグループのメンバーである必要があります。ORADNFSが動作するには、oranfstab構成ファイルの有効なコピーがOracle_home\dbsに存在する必要があります。
  • ORADNFSを使用してコマンドを実行するには、コマンドラインの引数としてコマンドを発行します。
    次のコマンドは、ORADNFSで使用できるコマンドのリストを出力します。
    C:\> oradnfs help
    C:\ORACLE\ORADATAとしてマウントされているNFSディレクトリのファイル・リストを表示するには、次のコマンドを使用します。
    C:\> oradnfs ls C:\ORACLE\ORADATA\ORCL

6.8.8 Direct NFSクライアントの使用の監視

Direct NFSクライアントを監視するには、データ・ディクショナリ・ビューを使用します。

  • Oracle RACデータベースでのDirect NFSクライアントの使用を管理するには、次のグローバル動的パフォーマンス・ビューを使用します。
    • GV$DNFS_SERVERS: Direct NFSクライアントを使用してアクセスしたサーバーが表示されます。

    • GV$DNFS_FILES: Direct NFSクライアントを使用して現在開かれているファイルが表示されます。

    • GV$DNFS_CHANNELS: Direct NFSクライアントによってファイルを使用しているサーバーに対するオープン・ネットワーク・パス(またはチャネル)が表示されます。

    • GV$DNFS_STATS: Direct NFSクライアントのパフォーマンス統計が表示されます。

6.8.9 Direct NFSクライアントのNFSのOracle Disk Management制御の無効化

Direct NFSクライアントを使用しなくなった場合、それを無効化できます。

  1. Oracle Grid Infrastructureソフトウェアの所有者としてログインします。
  2. 「Direct NFSクライアントの有効化」で実行したプロセスを取り消して、元のoraodm12.dllファイルをリストアします。
  3. oranfstabファイルを削除します。

6.9 既存のOracle ASMインスタンスのアップグレード

以前のリリースのOracle ASMインストールが、サーバー上または既存のOracle Clusterwareインストール環境にインストールされている場合は、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistant (ASMCA)を使用して、既存のOracle ASMインスタンスをOracle ASM 12cリリース1 (12.1)にアップグレードできます。

ASMCAユーティリティは、パスGrid_home\binにあります。また、ASMCAを使用して、障害グループ、Oracle ASMボリューム、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)を構成できます。

注意:

既存のOracle ASMインスタンスのアップグレードは、そのノード上のすべてのデータベース・インスタンスおよびアプリケーションを停止してから実行する必要があります。

インストール時に、11.2より前のOracle ASMリリースからアップグレードする際に、Oracle ASMを使用することを選択し、ASMCAによって以前のOracle ASMリリースが別のOracle ASMホームにインストールされていることが検出された場合は、Oracle ASM 12cリリース1 (12.1)のバイナリをインストールした後に、ASMCAを起動して既存のOracle ASMインスタンスをアップグレードできます。次に、Oracle ASMボリュームを作成し、アップグレードしたOracle ASMを使用してOracle ACFSを作成することで、Oracle ACFSのデプロイメントを構成できます。

Oracle ASM 11gリリース2 (11.2.0.1)以上からアップグレードしている場合、Oracle ASMはローリング・アップグレードの一部として常にOracle Grid Infrastructureとともにアップグレードされ、アップグレード中にASMCAが起動されます。以前のリリースから現在のリリースまで、ASMCAがOracle ASMを個別にアップグレードすることはできません。

Oracle ClusterwareまたはOracle RACの既存のインストール環境で、すべてのノード上のOracle ASMインスタンスの旧リリースがOracle ASM 11gリリース1以上の場合は、Oracle ASMインスタンスのローリング・アップグレードを実行できます。Oracle RACインストールの旧リリースのOracle ASMインスタンスがOracle ASM 11gリリース1よりも前のリリースの場合は、ローリング・アップグレードを実行できません。すべてのノードのOracle ASMは、Oracle ASM 12cリリース1 (12.1)にアップグレードされます。

6.10 Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システムの構成

Oracle ACFSにOracle RACをインストールする場合、最初にOracle ACFSにOracleホーム・ディレクトリを作成する必要があります。

ASMCAを使用して、ACFSの汎用ファイル・システム構成を作成することもできます。Oracle ACFSは、Oracle Grid Infrastructure (Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management) 12cリリース1 (12.1)のインストールの一部として、インストールされます。
ディスク・グループにOracle ADVMボリュームを含めるためには、互換性パラメータCOMPATIBLE.ASMおよびCOMPATIBLE.ADVMに11.2以上を設定する必要があります。
  1. クラスタ用Oracle Grid Infrastructure(Oracle ClusterwareおよびOracle ASM)をインストールします。
  2. Gridホームのbinディレクトリに移動します。次に例を示します。
    C:\> cd app\12.1.0\grid\bin
  3. Oracle Grid Infrastructureインストール所有者が、使用するストレージ・マウント・ポイントに対する読込みおよび書込み権限を持っていることを確認します。
    たとえば、マウント・ポイントE:\data\acfsmounts\を使用するには、次のようになります。
    C:\..bin> dir /Q E:\data\acfsmounts
  4. Oracle Grid InfrastructureのOracleインストール・ユーザーとして、ASMCAを起動します。次に例を示します。
    C:\..\bin> asmca
    「ASMの構成: ディスク・グループ」ページが表示されます。「ASMの構成: ASMディスク・グループ」ページに、インストール中に作成したOracle ASMディスク・グループが表示されます。
  5. 「ASMクラスタ・ファイルシステム」タブをクリックします。
  6. 「ASMクラスタ・ファイルシステム」ページで、Oracle ADVMボリュームを作成するディスク・グループを右クリックし、「データベース使用のACFSの作成」を選択します。
  7. 「ACFSホスト・データベース・ホームの作成」ウィンドウで次の情報を入力します。
    • データベース・ホームのADVMボリューム・デバイス名: データベース・ホームの名前を入力します。この名前は、racdb_01などのように組織で一意である必要があります。

    • データベース・ホームのマウント・ポイント: マウント・ポイントのディレクトリ・パスまたは論理ドライブ文字を入力します。たとえば、M:\acfsdisks\racdb_01とします。

      後で参照するために、このマウント・ポイントを書き留めます。

    • データベース・ホーム・サイズ(GB): データベース・ホームのサイズをGB単位で入力します。

    • データベース・ホームの所有者名: データベースのインストールに使用するOracleインストール・ユーザーの名前を入力します。たとえば、oracle1とします。

  8. 必要な情報を入力したら、「OK」をクリックします。
  9. プロンプトが表示されたら、ASMCAから指示されたスクリプトをローカル管理者ユーザーとして実行します。
    Oracle Clusterware環境では、Oracle Clusterwareによって管理されるリソースとしてACFSが登録されます。リソースとしてACFSを登録することによって、ACFSがOracle RACデータベース・ホームに使用される場合に、Oracle ClusterwareがACFSを適切な順序で自動的にマウントできるようになります。
  10. Oracle RAC 12cリリース1 (12.1)のインストール中に、Oracle RACをインストールするユーザーまたはデータベース管理者が、「データベース・ホームのマウント・ポイント」フィールドで指定したマウント・ポイントをOracleホームに選択するようにします(前の例ではM:\acfsdisks\racdb_01)。

    注意:

    Oracle ACFSには、Oracle Database 11gリリース1以前のリリースのOracleホーム・ディレクトリを配置できません。

関連項目:

Oracle ACFSを使用してストレージを構成および管理する方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。