この付録では、Oracleソフトウェアとデータベース・ファイルにネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスを使用する際のガイドラインを提供します。内容は次のとおりです。
関連項目:
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NASデバイスの構成方法に関する固有の情報については、NASデバイスに付属のドキュメントを参照してください。さらに、次のガイドラインを使用して、Oracleソフトウェアのパフォーマンスを確保します。
NASデバイスに格納されているOracleソフトウェアとOracleデータベースのパフォーマンスは、OracleサーバーとNASデバイス間のネットワーク接続のパフォーマンスに依存します。
したがって、サーバーのNASデバイスへの接続には、ギガビット・イーサネット以上のプライベート専用ネットワーク接続を使用することをお薦めします。
単一インスタンス・データベースのインストールでは、各インストールごとに個別のOracleホーム・ディレクトリを作成することをお薦めします。このOracleホーム・ディレクトリのソフトウェアは、必ずそのソフトウェアのインストールに使用したシステムから実行してください。
この項では、Oracleソフトウェアとデータベース・ファイルに使用するファイル・システムのマウント・ポイントの選択方法に関するガイドラインを示します。次の各項に記載されているガイドラインは、Optimal Flexible Architectureの推奨事項に準拠しています。
Oracleソフトウェア・ファイルは、3つの異なるのディレクトリに格納されています。
Oracleベース・ディレクトリ
Oracleインベントリ・ディレクトリ
Oracleホーム・ディレクトリ
Oracleベース・ディレクトリは、Oracleソフトウェア・インストールの最上位ディレクトリであり、ORACLE_BASE
環境変数によって識別されます。たとえば、最初のインストールの場合、Oracleベース・ディレクトリ、Oracleインベントリ・ディレクトリおよびOracleホーム・ディレクトリには、それぞれ次のようなパスがあります。
ディレクトリ | パス |
---|---|
Oracleベース($ORACLE_BASE ) |
/u01/app/oracle |
Oracleインベントリ | ORACLE_BASE/../oraInventory (or) /u01/app/oraInventory |
Oracleホーム | $ORACLE_BASE/product/12.1.0/dbhome_1 |
後続のインストールでは、同じOracleベース・ディレクトリを使用することも、異なるディレクトリを使用することもできますが、オリジナルのOracleインベントリ・ディレクトリは、後続のすべてのインストールで使用されます。たとえば、新しいインストールでOracleベース・ディレクトリに/u02/app/oracle
ディレクトリを使用する場合でも、Oracleインベントリ・ディレクトリは/u01/app/oraInventory
が引き継がれます。
Oracleイベントリ・ディレクトリは、特定のシステムのOracleソフトウェアを効率的に保守できるように、可能であればローカル・ファイル・システムのみに配置することをお薦めします。Oracleインベントリ・ディレクトリをNASデバイスに配置する必要がある場合は、複数のシステムによる同じインベントリ・ディレクトリへの書込みを避けるために、各システムに固有のディレクトリを作成してください。
Oracleソフトウェアの格納に使用するNFSのマウント・ポイントには、次のいずれかのディレクトリを使用できます。
注意: 次の例に記載されているパスは、Oracle Universal Installerの起動前にORACLE_BASE 環境変数が設定されている場合のデフォルトです。 |
Oracleベース・ディレクトリまたはその親(たとえば/u01/app/oracle
)
Oracleベース・ディレクトリまたはその親の1つをマウント・ポイントとして使用する場合は、すべてのOracleソフトウェアおよびデータベース・ファイルのデフォルトの場所はそのファイル・システム上になります。インストール時、次のディレクトリのデフォルト位置の変更を検討します。
Oracleインベントリ・ディレクトリ(oracle_base
/../oraInventory
)
次の例のように、ローカル・ファイル・システム、またはNFS上のホスト固有のディレクトリを指定します。
u01/app/oraInventory
Oracleデータベース・ファイル・ディレクトリ(oracle_base
/oradata
)
異なるマウント・オプションを指定したり、I/Oを分散できるように、データベース・ファイルに異なるファイル・システムを使用できます。
Oracleデータベース・リカバリ・ファイル・ディレクトリ(oracle_base
/fast_recovery_area
)
データベース・ファイルとリカバリ・ファイルには、異なるファイル・システムを使用することをお薦めします。
このマウント・ポイントを使用すると、このOracleベース・ディレクトリを使用するすべてのOracleインストールでNFSが使用されます。
製品ディレクトリ(oracle_base
/product
)
デフォルトでは、NFSに配置されるのは、ソフトウェア・ファイルのみです。このマウント・ポイントを使用すると、次の例のように、異なる複数のリリースからソフトウェアをインストールできます。
/u01/app/oracle/product/9.2.0 /u01/app/oracle/product/10.2.0/dbhome_1 /u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1
リリース・ディレクトリ(oracle_base
/product/12.1.0
)
デフォルトでは、NFSに配置されるのは、ソフトウェア・ファイルのみです。このマウント・ポイントを使用すると、次の例のように、同じリリースから複数の異なる製品をインストールできます。
/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1 /u01/app/oracle/product/12.1.0/client_1
Oracleホーム・ディレクトリ(oracle_base
/product/12.1.0/dbhome_1
)
デフォルトでは、NFSファイル・システムに配置されるのは、ソフトウェア・ファイルのみとなります。これは最も制限されたマウント・ポイントです。1つの製品の単一のリリースをインストールする場合にのみ使用できます。
/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1
NASデバイスにOracleデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納するには、1つのデータベースからのみファイルを格納するか、あるいは複数のデータベースからファイルを格納するかによって異なるパスを使用できます。
複数のデータベースのファイルにNFSを使用
同じNFSで、複数のデータベースからデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納する場合は、次のようなパスまたはマウント・ポイントを使用します。
ファイル・タイプ | パスまたはマウント・ポイント |
---|---|
データベース・ファイル | /u02/oradata |
リカバリ・ファイル | /u03/fast_recovery_area |
Oracle Universal Installerで、データファイルおよびリカバリ・ファイルの各ディレクトリが求められた場合は、これらのパスを指定します。Database Configuration AssistantおよびOracle Enterprise Managerでは、次の例のように、データベース名(DB_NAME)に指定した値をディレクトリ名として使用し、これらのディレクトリにサブディレクトリを作成します。
/u02/oradata/db_name1 /u03/fast_recovery_area/db_name1
1つのみのデータベースのファイルにNFSを使用
NFSで、1つのデータベースのみのデータベース・ファイルまたはリカバリ・ファイルを格納する場合は、次のようなマウント・ポイントを作成できます。ここで、orcl
は、データベースの名前です。
/u02/oradata/orcl /u03/fast_recovery_area/orcl
Oracle Universal Installerで、データファイル・ディレクトリの指定を求められた場合は、ディレクトリ/u02/oradata
を指定し、リカバリ・ファイルの位置の指定を求められた場合は、ディレクトリ/u03/fast_recovery_area
を指定します。orcl
ディレクトリは、Database Configuration AssistantまたはOracle Enterprise Managerによって自動的に使用されます。
動作保証されたNASデバイスの場合は、NFSマウント・ディレクトリにゼロ埋込みファイルを作成し、そのファイルをOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)ディスク・グループのディスク・デバイスとして使用できます。これらのファイルを作成する手順は次のとおりです。
注意: ファイルをOracle ASMディスク・グループのディスク・デバイスとして使用するには、NFSマウント・ファイル・システム上のファイルである必要があります。ローカル・ファイル・システムのファイルは使用できません。 |
必要に応じて、NASデバイスのディスク・グループ・ファイル用にエクスポート・ディレクトリを作成します。
この手順の実行に関する詳細は、NASデバイスのドキュメントを参照してください。
ユーザーをroot
に切り替えます。
$ sudo sh password:
マウント・ポイント・ディレクトリをローカル・システムに作成します。
# mkdir -p /mnt/oracleasm
システムの再起動時にNFSがマウントされるように、/etc/
fstab
マウント・ファイルにファイル・システムのエントリを追加します。
次のようなコマンドを入力し、ローカル・システムでNFSをマウントします。
# mount /mnt/oracleasm
作成するディスク・グループの名前(たとえば、sales1
)を選択します。
ディスク・グループ名をディレクトリ名として使用して、NFSファイル・システムにファイルのディレクトリを作成します。
# mkdir /mnt/oracleasm/sales1
次のようなコマンドを使用して、このディレクトリに必要な数のゼロ埋込みファイルを作成します。
# dd if=/dev/zero of=/mnt/oracleasm/sales1/disk1 bs=1024k count=1000 oflag=direct
この例では、NFSに1GBのファイルを作成します。外部冗長性、標準冗長性または高冗長性ディスク・グループを作成するには、1つ、2つまたは3つのファイルをそれぞれ作成する必要があります。
注意: 同一のNASデバイスに複数のゼロ埋込みファイルを作成しても、NASの障害に対する保護策にはなりません。かわりに、各NASデバイスに1つのファイルを作成し、Oracle ASMテクノロジを使用してミラーしてください。 |
作成したディレクトリとファイルの所有者、グループおよび権限を変更するには、次のようなコマンドを入力します。
# chown -R grid:asmadmin /mnt/oracleasm # chmod -R 660 /mnt/oracleasm
この例では、インストール所有者はgrid
でOSASMグループはasmadmin
です。
データベースのインストールおよび作成中に、Oracle ASMディスク検出文字列を編集して、作成したファイル名に一致する正規表現を指定します。次に例を示します。
/mnt/oracleasm/sales1/*
注意: インストール中、ASMLIB ディスクまたはASMFD ディスクとしてラベル付けされたディスクは、デフォルト検出文字列の使用時に候補ディスクとして示されます。ただし、MEMBER というヘッダー・ステータスがあるディスクは、候補ディスクではありません。 |