この章では、スタンドアロン・サーバー用のOracle DatabaseおよびGrid Infrastructureをインストールする前に完成させるユーザー、グループ・ユーザー環境および管理環境の設定について説明します。内容は次のとおりです。
システムにOracleソフトウェアを初めてインストールするかどうかにより、またインストールする製品により、複数のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成が必要になる場合があります。
ただし、Oracle Preinstallation RPMを使用してOracle Grid InfrastructureまたはOracle Databaseのインストール用にLinuxオペレーティング・システムをプロビジョニングする場合は、Oracle Pre-Install RPMによってOracle Databaseインストール所有者(oracle
)、Oracleインベントリ・グループ(oinstall
)およびOracle管理権限グループ(dba
)が構成されます。
オペレーティング・システムのユーザー権限を割り当てるとき、1つの管理者ユーザーと1つのグループを使用してすべての管理権限のオペレーティング・システム認証を行う場合は、oracle
ユーザーをインストール所有者として使用し、1つのグループをOracle ASMおよびOracle Database管理に対する管理権限を必要とするユーザーのプライマリ・グループとして使用できます。このグループは、Oracleインベントリ・グループでもあります。Oracleツールのデフォルトの使用を容易にするには、グループ名をoinstall
にします。
アクセス権を分けるジョブ・ロール別にカスタム構成グループおよびユーザーを作成することもできます。
root
としてログインし、次の項の手順に従ってOracleインベントリ・グループおよびOracleソフトウェア所有者ユーザーを検索または作成します。
Oracleソフトウェアをシステムに初めてインストールすると、Oracle Universal InstallerによりoraInst.loc
ファイルが作成されます。このファイルでは、Oracleインベントリ・グループ名(通常はoinstall
)およびOracleインベントリ・ディレクトリのパスが識別されます。
1つのグループを、Oracleインベントリ、データベース管理者(OSDBA)、およびオペレーティング・システム認証のためにOracleソフトウェアで使用されるその他すべてのアクセス制御グループに対するアクセス制御グループとして構成できます。ただし、すべてのシステム権限のオペレーティング・システム認証の提供に1つのグループを使用する場合、このグループは、管理システム権限を付与する対象のすべてのユーザーに対するプライマリ・グループである必要があります。
既存のOracle中央インベントリがある場合は、必ずすべてのOracleソフトウェア・インストールで同じOracle Inventoryを使用し、インストールに使用するすべてのOracleソフトウェア・ユーザーがこのディレクトリへの書込み権限を持つようにします。
Oracleインベントリ・グループが存在するかどうかを判別するには、次の手順を実行します。
oraInst.loc
ファイルには、次のような内容が含まれます。
inventory_loc=central_inventory_location inst_group=group
前述の例では、central_inventory_locationがOracle中央インベントリの場所、groupが中央インベントリへの書込み権限のあるグループ名を示します。
oraInst.loc
ファイルが存在するかどうかを判別するには、次のコマンドを入力します。
Linux x86-64およびIBM: システムz上のLinux:
# more /etc/oraInst.loc
oraInst.loc
ファイルが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。
inventory_loc=/u01/app/oraInventory inst_group=oinstall
grep
groupname
/etc/group
コマンドを使用して、Oracle Inventoryグループとして指定されたグループがまだシステムに存在していることを確認します。次に例を示します。
# grep oinstall /etc/group oinstall:x:1000:grid,oracle
oraInst.loc
ファイルが存在しない場合は、次のコマンドを入力してOracleインベントリ・グループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54321 oinstall
Oracle DatabaseとOracle ASMの役割区分の構成は、オペレーティング・システム認証の個別のグループを提供するためのグループおよびユーザーを作成する構成です。
Oracleソフトウェアに作成されるユーザーに対して、次の制限事項を確認してください。
1つのソフトウェア所有者を作成し、各Oracleソフトウェア・インストールの所有者にすることをお薦めします。詳細は、「Oracleソフトウェア製品ごとのOracleソフトウェア所有者」を参照してください。
別のOracleソフトウェア所有者を作成して、Oracleソフトウェア・インストールごとに、オペレーティング・システム権限グループを分離するには、各ユーザーのプライマリ・グループとして、Oracle中央インベントリ・グループ(oraInventory
)が設定されている必要があります。このグループのメンバーはOracle中央インベントリ(oraInventory
)ディレクトリに対する書込み権限を所有しており、DBAが書込みアクセス権を必要とするOracle Restartホーム内の様々なOracle Restartリソースおよびディレクトリに対する権限やその他の必要な権限が付与されます。Oracleドキュメントのコード・サンプルでは、このグループはoinstall
と表されています。「Oracle Inventoryが存在しない場合のOracle Inventoryグループの作成」を参照してください。
Oracleソフトウェア・インストールの所有者ユーザーには、データベースのOSDBAグループ、Oracle Grid Infrastructureホーム(作成する場合)のOSDBAグループ、およびセカンダリ・グループとしてのOSOPER、OSBACKUPDBA、OSDGDBA、OSKMDBAグループ(作成する場合)も必要です。Oracleソフトウェア所有者には、データベース・インスタンスがOracle ASMにログオンできるよう、Oracle Grid InfrastructureホームのOSDBAグループに対するメンバーシップが必要です。
Oracle Databaseおよびスタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストール所有者ユーザー(それぞれoracle
およびgrid
)は、Oracleインベントリ・グループ(oinstall
)に属する必要があります。
それぞれのOracleソフトウェア所有者は、同じ中央インベントリ・グループのメンバーであることが必要です。Oracleインストールに対して複数の中央インベントリを持たないことをお薦めします。あるOracleソフトウェア所有者が別の中央インベントリ・グループを持っている場合、その中央インベントリは破損することがあります。
スタンドアロン・サーバー・インストール所有者ユーザー(grid
)用のOracle Grid Infrastructureは、あらゆるデータベース・ホームのOSDBAグループに存在する必要があります。
次の項では、役割区分ごとにアクセス権限を分割するためのユーザーおよびグループの概要について説明します。
スタンドアロン・サーバー・インストール用のOracle DatabaseおよびOracle Grid Infrastructureの両方を所有するための、単一ユーザー(oracle
など)を作成できます。ただし、各Oracleソフトウェア・インストールを所有するソフトウェア所有者を作成することをお薦めします(通常、データベース・ソフトウェアの場合はoracle
、Oracle Restart所有者ユーザーの場合はgrid
)。
Oracleソフトウェアをシステムに初めてインストールする場合、ソフトウェア所有者を少なくとも1つ作成する必要があります。
注意: Oracleドキュメントでは、Oracle Grid Infrastructureソフトウェア・インストールのみを所有するために作成されたユーザーはgrid ユーザーと呼ばれます。すべてのOracleインストールまたはOracleデータベース・インストールのみのいずれかを所有するために作成されたユーザーはoracle ユーザーと呼ばれます。 |
Oracle Databaseをインストールする場合は、次のオペレーティング・システム・グループを作成します。
Oracle Databaseソフトウェアをシステムに初めてインストールする場合は、このグループを作成する必要があります。このグループにより、データベース管理権限(SYSDBA
権限)を持つオペレーティング・システムのユーザー・アカウントが識別されます。
Oracle DatabaseのOSOPERグループ(通常はoper
)
これはオプションのグループです。データベースを起動および停止するためのデータベース管理権限の一部(SYSOPER
権限)を持つ別個のオペレーティング・システム・ユーザー・グループが必要な場合は、このグループを作成します。このグループは、明示的に付与されないかぎりSYSOPER
として直接接続できません。ただし、SYSOPER
権限で付与される権限を持ちます。デフォルトでは、OSDBAグループのメンバーには、SYSOPER
権限により付与されるすべての権限があります。
Oracle Database 12cリリース1 (12.1)からは、データベースの起動と停止を行うOSOPER権限に加え、よりタスクに特化し、OSDBA/SYSDBAシステム権限より権限が少ない新しい管理権限を作成し、日々のデータベース運用に必要な特定の管理権限タスクをサポートできます。これらのシステム権限を付与されたユーザーは、オペレーティング・システムのグループ・メンバーシップを介しても認証されます。
これらの特定のグループ名を作成する必要はありませんが、インストール中にオペレーティング・システム・グループを指定するように求められます(そのメンバーに、これらのシステム権限へのアクセス権が付与されます)。これらの権限を認証するために同じグループを割り当てることは可能ですが、一意のグループを割り当てて各権限を指定することをお薦めします。
OSDBAサブセット・ジョブ・ロール別の権限およびグループは、次のもので構成されています。
Oracle DatabaseのOSBACKUPDBAグループ(通常はbackupdba
)
このグループは、オペレーティング・システム・ユーザーの別のグループにバックアップおよびリカバリ関連権限の一部(SYSBACKUP
権限)を付与する場合に作成します。
Oracleソフトウェア・インストール所有者をOSBACKUPDBAグループに追加します。
Oracle Data GuardのOSDGDBAグループ(通常はdgdba
)
このグループは、オペレーティング・システム・ユーザーの別のグループにOracle Data Guardを管理および監視する権限の一部(SYSDG権限)を付与する場合に作成します。
Oracleソフトウェア・インストール所有者をOSDGDBAグループに追加します。
暗号化鍵を管理するOSKMDBAグループ(通常はkmdba
)
このグループは、オペレーティング・システム・ユーザーの別のグループに、Oracle Wallet Managerの管理など暗号化鍵を管理権限の一部(SYSKM権限)を付与する場合に作成します。
Oracle DatabaseにOSKMDBAグループが必要な場合は、Oracleソフトウェア・インストール所有者がこのグループのメンバーであることが必要です。
Oracle Grid Infrastructureをインストールする場合、次のオペレーティング・システム・グループを作成します。
Oracle ASMのOSDBAグループ(通常はasmdba
)
Oracle ASMのOSDBAグループは、データベースのOSDBAグループと同じでもかまいません。または、Oracle ASM用のOSDBAグループを別途作成して、Oracle ASMインスタンスへの管理者アクセス権限を提供することもできます。
Oracle Grid Infrastructuretソフトウェア所有者(通常はgrid
)は、OSDBAグループのメンバーである必要があります。OSDBAグループのメンバーシップにより、Oracle ASMで管理されるファイルにアクセスできます。Oracle ASM専用のOSDBAグループを作成した場合、Oracle Restartソフトウェア所有者は、各データベース用のOSDBAグループおよびOracle ASM用のOSDBAグループのメンバーである必要があります。
Oracle ASM管理のOSASMグループ(通常はasmadmin
)
Oracle ASM管理者用とOracle Database管理者用の管理権限グループを別にする場合、このグループを別のグループとして作成します。このグループのメンバーには、Oracle ASMを管理するためのSYSASMシステム権限が付与されます。メンバーにSYSASM
権限が付与されたオペレーティング・システム・グループは、OracleドキュメントではOSASMグループと呼ばれ、コマンドラインではasmadmin
と呼ばれます。
Oracle ASMは、複数のデータベースをサポートできます。システム上に複数のデータベースがあり、複数のOSDBAグループを使用してデータベースごとに別々のSYSDBA権限を提供できるようにする場合は、グループを作成してそのメンバーにOSASM/SYSASM管理権限が付与されるようにし、データベース・インストールを所有しないグリッド・インフラストラクチャ・ユーザー(grid
)を作成する必要があります(これによって、Oracle Grid Infrastructure SYSASM管理権限がデータベース管理権限グループから分離されます)。
OSASMグループのメンバーは、SQLを使用して、オペレーティング・システム認証を使用するSYSASM
としてOracle ASMインスタンスに接続できます。SYSASM
権限により、ディスク・グループのマウントとディスマウントおよびその他のストレージ管理タスクが許可されます。SYSASM
権限では、RDBMSインスタンス上へのアクセス権限は提供されません。
OSASMグループとして別のグループを指定しない場合は、定義するOSDBAグループもデフォルトでOSASMグループに指定されます。
Oracle ASMのOSOPERグループ(通常はasmoper
)
これはオプションのグループです。このグループは、Oracle ASMインスタンスの起動と停止を含め、制限されたセットのOracleインスタンス管理者権限(ASMのSYSOPER
権限)を持つ別のオペレーティング・システム・グループが必要な場合に作成します。デフォルトでは、OSASMグループのメンバーには、ASMのSYSOPER権限により付与されるすべての権限もあります。
Oracle ASMのOSOPERグループを作成する場合、このグループのメンバーはOracle Grid Infrastructureの所有者にする必要があります。
関連項目:
|
次の各項では、必要なオペレーティング・システム・ユーザーおよびグループの作成方法について説明します。
注意:
|
次の場合には、OSDBAグループを作成する必要があります。
OSDBAグループが存在しない場合。たとえば、これがシステムに対するOracle Databaseソフトウェアの初回インストールの場合。
OSDBAグループは存在するが、新規のOracle Databaseインストールでは、異なるオペレーティング・システム・ユーザー・グループにデータベース管理権限を付与する場合。
同じ名前のグループが存在する場合を除き、グループ名dba
を使用してOSDBAグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54322 dba
一連の限られたデータベース管理権限(SYSOPER
オペレータ権限)を持つオペレーティング・システム・ユーザーのグループを識別する場合のみ、OSOPERグループを作成します。ほとんどのインストールの場合、OSDBAグループを作成するのみで十分です。OSOPERグループを使用する場合は、次の状況で作成する必要があります。
OSOPERグループが存在しない場合。たとえば、これがシステムに対するOracle Databaseソフトウェアの初回インストールの場合。
OSOPERグループは存在するが、新規のOracleインストールでは、異なるオペレーティング・システム・ユーザー・グループにデータベース・オペレータ権限を付与する場合。
同じ名前のグループが存在する場合を除き、グループ名oper
を使用してOSOPERグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54323 oper
同じ名前のグループが存在する場合を除き、グループ名backupdba
を使用してOSBACKUPDBAグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54324 backupdba
同じ名前のグループが存在する場合を除き、グループ名dgdba,
を使用してOSDGDBAグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54325 dgdba
同じ名前のグループが存在する場合を除き、グループ名kmdba
を使用してOSKMDBAグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54326 kmdba
同じ名前のグループが存在する場合を除き、必要な場合には、グループ名asmdba
を使用して、Oracle ASM用のOSDBAグループを新しく作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54327 asmdba
同じ名前のグループが存在する場合を除き、必要な場合には、グループ名asmoper
を使用して、Oracle ASM用のOSOPERグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54328 asmoper
同じ名前のグループが存在する場合を除き、必要な場合には、グループ名asmadmin
を使用して、OSASMグループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd -g 54329 asmadmin
新規ユーザーを作成するか、既存のユーザーを使用するかに応じて、次の項を参照してください。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在しない場合。たとえば、これがシステムに対するOracleソフトウェアの最初のインストールの場合。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーは存在するが、新規のOracle Databaseインストールでは、別のグループ・メンバーシップを設定した別のオペレーティング・システム・ユーザーを使用して、これらのグループにデータベース管理権限を付与する場合。
Oracle Grid InfrastructureのOracleソフトウェア所有者(grid
など)を作成し、Oracle Databaseソフトウェア用に別のOracleソフトウェア所有者(oracle
など)を作成する場合。
oracle
またはgrid
というOracleソフトウェア所有者ユーザーが存在するかどうかを確認するには、次のようなコマンドを入力します。
# id oracle # id grid
oracle
ユーザーが存在する場合、このコマンドからの出力は、次のようになります。
uid=54321(oracle) gid=54321(oinstall) groups=54322(dba),54323(oper)
grid
ユーザーが存在する場合、このコマンドからの出力は、次のようになります。
uid=54322(grid) gid=54321(oinstall) groups=54321(oinstall),54329(asmadmin),54327(asmdba),54322(dba)
既存ユーザーを使用するか、新規ユーザーを作成するかを決定します。既存のユーザーを使用する場合は、そのユーザーのプライマリ・グループがOracleインベントリ・グループであり、そのユーザーが適切なOSDBAグループおよびOSOPERグループのメンバーであることを確認します。選択内容に応じて、詳細は次の項のいずれかを参照してください。
注意: 必要に応じて、既存のユーザーの使用または変更の前にシステム管理者に連絡してください。 |
Oracleソフトウェア所有者ユーザー(oracle
またはgrid
)が存在しない場合、または新規のOracleソフトウェア所有者ユーザーが必要な場合は、この項の説明に従って作成します(この例では、oracle
ユーザーを作成します)。
次の手順では、同じ名前のユーザーが存在する場合を除き、ユーザー名にoracle
を使用します。
oracle
ユーザーを作成するには、次のようなコマンドを入力します。
# /usr/sbin/useradd -u 54321 -g oinstall -G dba,asmdba,backupdba,dgdba,kmdba oracle
このコマンドの意味は次のとおりです。
-uオプションは、ユーザーIDを指定します。システムによって自動的にユーザーID番号を生成するようにできるため、このコマンド・フラグの使用は任意です。ただし、番号を指定することをお薦めします。ユーザーID番号は、インストール前の作業で必要になるため、記録しておく必要があります。
-g
オプションはプライマリ・グループを指定します。プライマリ・グループは、oinstall
などのOracleインベントリ・グループである必要があります。
-G
オプションではセカンダリ・グループが指定され、これにはOSDBAグループおよび必要に応じてASMDBA、OSOPER、OSBACKUPDBA、OSDGDBAおよびOSKMDBAグループ(dba
、asmdba
、oper
、backupdba
、dgdba
、kmdba
など)を含める必要があります。
oracle
ユーザーのパスワードを設定します。
# passwd oracle
oracle
ユーザーは存在するが、プライマリ・グループがoinstall
ではない場合、または適切なOSDBA、OSOPER、またはASM用OSDBAグループのメンバーでない場合は、ユーザーoracle
のユーザー・グループ設定を変更します。
-g
オプションを使用してプライマリ・グループを指定し、-G
オプションを使用して必要なセカンダリ・グループを指定します。
# /usr/sbin/usermod -g oinstall -G dba,asmdba,backupdba,dgdba,kmdba[,oper] oracle
Oracleでは、既存のインストール所有者の変更はサポートされていません。制約の全一覧については、「役割区分を使用したOracleインストールについて」を参照してください。
Oracle Linuxシステムでは、オペレーティング・システムを構成してlimits.conf
ファイルのリソース制限を設定するなど、インストール前の要件を満たすために、Oracle Preinstallation RPMをインストールすることをお薦めします。Oracle Preinstallation RPMでは、oracle
ユーザー用のlimits.conf
ファイルのみが構成されます。Oracle Grid Infrastructureの役割区分を実装している場合、limits.conf
ファイルのoracle
ユーザーの値をgrid
ユーザーにコピーします。
各インストール・ソフトウェア所有者について、次の推奨範囲を使用して、インストールのリソース制限を確認します。
表5-1 インストール所有者のリソース制限の推奨範囲
リソースのシェル制限 | リソース | ソフト制限 | ハード制限 |
---|---|---|---|
オープン・ファイル記述子 |
nofile |
1024以上 |
65536以上 |
ユーザー1人当たりに使用可能なプロセス数 |
nproc |
2047以上 |
16384以上 |
プロセスのスタック・セグメントのサイズ |
stack |
10240KB以上 |
10240KB以上、32768KB以下 |
ロックされたメモリーの最大上限 |
memlock |
HugePagesを有効にする場合は現在のRAMの90%以上、HugePagesを無効にする場合は、3145728 KB (3 GB)以上。 |
HugePagesを有効にする場合は現在のRAMの90%以上、HugePagesを無効にする場合は、3145728 KB (3 GB)以上。 |
リソース制限を確認するには、次の手順を実行します。
インストール所有者としてログインします。
ファイル記述子の設定のソフト制限とハード制限を確認します。結果が推奨範囲内であることを確認します。次に例を示します。
$ ulimit -Sn 1024 $ ulimit -Hn 65536
ユーザー1人当たりに使用可能なプロセス数のソフト制限とハード制限を確認します。結果が推奨範囲内であることを確認します。次に例を示します。
$ ulimit -Su 2047 $ ulimit -Hu 16384
スタック設定のソフト制限を確認します。結果が推奨範囲内であることを確認します。次に例を示します。
$ ulimit -Ss 10240 $ ulimit -Hs 32768
Oracleソフトウェア・インストール所有者ごとに、この手順を繰り返します。
必要に応じて、/etc/security/limits.conf
構成ファイルのインストール所有者のリソース制限を更新します。ただし、構成ファイルが配布固有であることに注意してください。配布固有の構成ファイルの情報については、システム管理者に問い合せてください。
注意: grid ユーザーまたはoracle ユーザーがログインしている場合、これらのユーザーをログアウトしてログインしなおすまで、limits.conf ファイルの変更内容は有効になりません。これらのアカウントを使用してインストールを行う前に、変更内容を有効にする必要があります。 |
リモート端末で作業を行っていて、そのローカル・システムのみが表示されている場合(通常は、この状態になります)、次の構文を使用して、ユーザー・アカウントのDISPLAY
環境変数を設定します。
Bourne、KornおよびBashシェル:
$ export DISPLAY=hostname:0
Cシェルの場合:
$ setenv DISPLAY hostname:0
たとえば、Bashシェルを使用していて、ホスト名がlocal_host
の場合は、次のコマンドを入力します。
$ export DISPLAY=local_host:0
X11転送が原因でインストールが失敗しないようにするには、次のように、Oracleソフトウェア所有者ユーザーに対してユーザーレベルのSSHクライアント構成ファイルを作成します。
テキスト・エディタを使用して、ソフトウェア・インストール所有者の~/.ssh/config
ファイルを編集または作成します。
~/.ssh/config
ファイルでForwardX11
属性がno
に設定されていることを確認します。次に例を示します。
Host * ForwardX11 no
~/.ssh
に対する権限がoracle
またはgrid
ユーザーに固定されることを確認します。次に例を示します。
$ ls -al .ssh total 28 drwx------ 2 oracle oinstall 4096 Jun 21 2012 drwx------ 19 oracle oinstall 4096 Jun 21 2012 -rw-r--r-- 1 oracle oinstall 1202 Jun 21 2012 authorized_keys -rwx------ 1 oracle oinstall 668 Jun 21 2012 id_dsa -rwx------ 1 oracle oinstall 601 Jun 21 2012 id_dsa.pub -rwx------ 1 oracle oinstall 1610 Jun 21 2012 known_hosts
注意: Oracle Database 12c製品を既存のOracleホームに追加でインストールする場合、リスナーおよびデータベースも含め、Oracleホームで実行中のすべての処理を停止します。Oracle Universal Installerを有効にして特定の実行可能ファイルおよびライブラリを再リンクするには、この作業を完了する必要があります。 |
スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure、またはOracle Databaseをインストールする前に、次の内容を検討してください。
Oracle Restartを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。データベースのインストールを実行するときは、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールの際に作成されたリスナーをデータベースで使用する必要があるため、この項で示す手順を実行する必要はありません。
デフォルト・リスナーおよびその他のすべてのリスナーは、Oracle Grid Infrastructureホームで実行する必要があります。「Oracleソフトウェア所有者環境の構成」を参照して続行してください。
Oracle ASMで既存のOracle Database 12cが実行されている場合は、既存のOracle ASMインスタンスを停止します。スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールが終了したら、Oracle ASMインスタンスを再起動します。
ソフトウェアのインストール時にデータベースの作成すると、ほとんどのインストール・タイプではTCP/IPポート1521
とIPCキー値EXTPROC
を使用して、デフォルトのOracle Netリスナーが構成および起動されます。既存のOracle Netリスナー・プロセスが同じポートまたはキー値を使用している場合は、Oracle Universal Installerは次に使用可能なポート(1522
など)を探し、そのポートで新しいリスナーを構成および起動します。
既存のリスナー・プロセスが実行中かどうかを判別し、必要に応じてそれを停止する手順は、次のとおりです。
ユーザーをoracle
に切り替えます。
# su - oracle
次のコマンドを入力し、リスナー・プロセスが実行中かどうかを判別し、プロセスの名前とそれがインストールされているOracleホーム・ディレクトリを識別します。
$ ps -ef | grep tnslsnr
このコマンドを実行すると、システム上で実行中のOracle Netリスナーに関する情報が表示されます。
... oracle_home1/bin/tnslsnr LISTENER -inherit
この例で、oracle_home1
は、リスナーがインストールされているOracleホーム・ディレクトリ、LISTENER
はリスナー名です。
ORACLE_HOME
環境変数を設定して、リスナーに適切なOracleホーム・ディレクトリを指定します。
Bourne、Bash、またはKornシェルの場合:
$ ORACLE_HOME=oracle_home1
$ export ORACLE_HOME
Cまたはtcshシェルの場合:
% setenv ORACLE_HOME oracle_home1
次のコマンドを入力し、リスナーが使用しているTCP/IPポート番号およびIPCキー値を識別します。
$ $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl status listenername
注意: リスナーがデフォルト名LISTENER を使用する場合、このコマンドでリスナー名を指定する必要はありません。 |
次のようなコマンドを入力し、リスナー・プロセスを停止します。
$ $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl stop listenername
この手順を繰り返して、このシステムで実行中のリスナーをすべて停止します。
Oracle Universal Installerはoracle
またはgrid
アカウントから実行する必要があります。ただし、Oracle Universal Installerを起動する前に、oracle
またはgrid
ユーザーの環境を構成する必要があります。環境を構成するには、次のことが必要です。
注意: オペレーティング・システムのベンダーでサポートされるシェル・プログラムを使用してください。オペレーティング・システムでサポートされないシェル・プログラムを使用した場合、インストールの際にエラーが発生する可能性があります。 |
Oracleソフトウェア所有者の環境を設定するには、ソフトウェア所有者(oracle
、grid
)ごとに次の手順を実行します。次の手順は、oracle
ユーザーのみに対する手順を示しています。
新規Xターミナル・セッション(xterm
)を開始します。
次のコマンドを入力し、Xウィンドウ・アプリケーションがこのシステム上に表示されることを確認します。
$ xhost + RemoteHost
RemoteHost
は完全修飾されたリモートのホスト名です。次に例を示します。
$ xhost + somehost.example.com
そのユーザーでログインしていない場合は、構成するソフトウェア所有者に切り替えます。たとえば、oracle
ユーザーなどです。
$ su - oracle
oracle
ユーザーのデフォルトのシェルを判別するには、次のコマンドを入力します。
$ echo $SHELL
テキスト・エディタでユーザーのシェル起動ファイルを開きます。
Bashシェル(bash
):
$ vi .bash_profile
Bourneシェル(sh
)またはKornシェル(ksh
):
$ vi .profile
Cシェル(csh
またはtcsh
):
% vi .login
次のように行を入力または編集して、デフォルトのファイル・モード作成マスクの値に022を指定します。
umask 022
ファイルを保存して、テキスト・エディタを終了します。
シェル起動スクリプトを実行するには、次のいずれかのコマンドを入力します。
Bashシェルの場合:
$ . ./.bash_profile
BourneまたはKornシェルの場合:
$ . ./.profile
Cシェルの場合:
% source ./.login
ローカル・コンピュータにソフトウェアをインストールしない場合は、リモート・コンピュータで次のコマンドを実行して、DISPLAY
変数を設定します。
Bourne、BashまたはKornシェルの場合:
$ export DISPLAY=local_host
:0.0
Cシェルの場合:
% setenv DISPLAY local_host
:0.0
この例で、local_host
は、インストーラを表示するためのシステム(ご使用のワークステーションまたは他のクライアント)のホスト名またはIPアドレスです。
リモート・システム上で次のコマンドを実行し、SHELL
およびDISPLAY
環境変数が正しく設定されていることを確認します。
echo $SHELL echo $DISPLAY
表示場所をデフォルト表示からリモート・システム表示に変更するには、ローカル・コンピュータで次のコマンドを実行します。
$ xhost + RemoteHost
Xアプリケーションの表示が正しく設定されていることを確認するには、オペレーティング・システムに付属のX11ベースのプログラム(xclock
など)を実行します。
$ xclock
この例では、xclock
は/usr/X11R6/bin/xclocks
にあります。
DISPLAY
環境変数が正しく設定されていれば、xclock
がコンピュータ画面に表示されます。エラーが表示される場合は、「X Windowの表示エラー」を参照してください。xclock
が起動しない場合は、システム管理者に連絡してください。
/tmp
ディレクトリの空きディスク領域が1GB未満である場合は、1GB以上の空き領域があるファイル・システムを特定し、そのファイル・システムの一時ディレクトリを指定するようにTMP
およびTMPDIR
環境変数を設定します。
マウント済の各ファイル・システム上の空きディスク領域を判別するには、次のコマンドを使用します。
# df -h /tmp
必要に応じて、次のようなコマンドを入力し、識別したファイル・システム上に一時ディレクトリを作成し、そのディレクトリに適切な権限を設定します。
$ sudo - s
# mkdir /mount_point/tmp
# chmod 775 /mount_point/tmp
# exit
次のようなコマンドを入力し、TMP
およびTMPDIR
環境変数を設定します。
Bourne、Bash、またはKornシェルの場合:
$ TMP=/mount_point/tmp $ TMPDIR=/mount_point/tmp $ export TMP TMPDIR
Cシェルの場合:
% setenv TMP /mount_point/tmp % setenv TMPDIR /mount_point/tmp
システムに既存のインストール環境があり、同じユーザー・アカウントを使用して今回のインストールを行う場合は、ORACLE_HOME
、ORACLE_BASE
、ORACLE_SID
、TNS_ADMIN
の環境変数と、Oracleソフトウェア・ホームに接続されているOracleインストール・ユーザーに対して設定されたその他の環境変数の設定を削除します。
次のコマンドを入力し、ORACLE_HOME
、ORACLE_BASE
、ORACLE_SID
およびTNS_ADMIN
の環境変数が設定されていないことを確認します。
Bourne、Bash、またはKornシェルの場合:
$ unset ORACLE_HOME $ unset ORACLE_BASE $ unset ORACLE_SID $ unset TNS_ADMIN
Cシェルの場合:
% unsetenv ORACLE_HOME % unsetenv ORACLE_BASE % unsetenv ORACLE_SID % unsetenv TNS_ADMIN
次のコマンドを使用してPATH
環境変数をチェックします。
$ echo $PATH
$ORACLE_HOME/bin
パスがPATH
環境変数から削除されていることを確認します。
注意: ORACLE_HOME 環境変数が設定されている場合、Oracle Universal Installerはその環境変数でOracleホーム・ディレクトリのデフォルト・パスとして指定されている値を使用します。ORACLE_BASE 環境変数を設定する場合は、ORACLE_HOME 環境変数の設定を解除し、Oracle Universal Installerによって提示されるデフォルト・パスを選択することをお薦めします。 |
環境設定が正しく行われたかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。
$ umask $ env | more
umaskコマンドによって値22
、022
または0022
が表示されること、およびこの項で設定した環境変数に正しい値が指定されていることを確認します。
Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、Oracle Universal Installerから、スーパーユーザー(またはroot
)権限を使用してスクリプトを実行し、いくつかのシステム構成タスクを完了するかどうかを尋ねられます。これらのrootスクリプトは、必要な場合に手動でroot
として実行することも、次のroot権限委任オプションのいずれかを使用して、インストール中に構成情報やパスワードを指定することもできます。
ルート・ユーザー資格証明の使用
スーパーユーザー(またはroot
)のパスワードを指定します。このオプションは、rootスクリプトを自動的にroot
ユーザーとして実行します。
sudoの使用
sudoはUNIXおよびLinuxのユーティリティで、sudoersグループ権限のメンバーは、個々のコマンドをroot
として実行できます。Sudoを有効にするには、適切な権限を持つシステム管理者がsudoersリストのメンバーであるユーザーを構成し、インストール時の求めに応じてユーザー名とパスワードを指定します。