図3-1に示すように、Oracle ASMインスタンスは、Oracle Flex ASMの複数の構成で動作します。この図に、Oracle ASM 12cリリース1 (12.1)のOracle Flex ASMで使用可能な操作の個別のモードを示します。
Oracle Flex ASMを使用すると、データベース・サーバーとは異なる物理サーバーでOracle ASMインスタンスを実行できます。このデプロイでは、システム全体におけるOracle ASMのフットプリントを削減しながら、Oracle ASMインスタンスの大規模なクラスタでより多くのデータベース・クライアントをサポートできます。
Oracle Flex ASMを使用している場合、Oracle ASMクライアントはストレージへの直接アクセスで構成されます。
Oracle Flex ASMを使用すると、すべての記憶域の要件を、ディスク・グループの単一のセットに統合できます。これらのすべてのディスク・グループを、単一のクラスタで実行中のOracle ASMインスタンスの小さいセットでマウントおよび管理します。カーディナリティ設定で、Oracle ASMインスタンスの数を指定できます。デフォルトは、3インスタンスです。
クラスタは、グループ・メンバーシップ・サービスを提供するノードのセットです。各クラスタの名前は、グローバルに一意です。各クラスタには、1つ以上のハブ・ノードがあります。ハブ・ノードは、Oracle ASMディスクにアクセスできます。すべてのクラスタには、少なくとも1つのプライベート・ネットワークおよびパブリック・ネットワークがあります。クラスタが格納のためにOracle ASMを使用する場合、少なくとも1つのOracle ASMネットワークがあります。1つのネットワークを、プライベート・ネットワークおよびOracle ASMネットワークの両方として使用できます。セキュリティ上の理由で、Oracle ASMネットワークはパブリックにしないでください。クラスタ内で実行中のOracle Flex ASM構成は、1つのみ指定できます。
Oracle Flex ASMでのOracle ASMの構成は、次のとおりです。
Oracle ASMディスクに直接アクセスできるローカルOracle ASMクライアント
このモード(標準のOracle ASMクラスタ)の場合、Oracle ASMは、データベース・クライアントが同じホスト・コンピュータ上でOracle ASMインスタンスを使用して実行中の既存の標準アーキテクチャのサポートを続行します。ローカル・クライアント・アーキテクチャのみが、ハブ・ノードでサポートされます。このモードは、図3-1でAのラベルが付いています。
この構成では、データベース・インスタンスはOracle ASMインスタンスとして同じハブ・ノードに存在し、ローカルOracle ASMクライアント・インスタンスとして参照されます。Oracle ASMメタデータは、Oracle ASMとデータベース・インスタンス間で移動します。このクライアントは、Oracle ASMディスクに直接I/Oアクセスできます。
ローカル・モードはOracle Flex ASMを使用しないため、ローカルOracle ASMで構成されたクラスタはOracle ASMネットワークが必要なく、他のOracle Flex ASMサービスも含まれません。
Oracle ASMディスクに直接アクセスできるOracle Flex ASMクライアント
このモードの場合、Oracle ASMクラスタのハブ・ノードで実行中のデータベース・クライアントは、メタデータのためにOracle ASMにリモートでアクセスしますが、Oracle ASMディスクへのI/Oのブロック操作を直接実行します。Oracle ASMサーバーを実行しているホストとリモート・データベース・クライアントは、どちらもハブ・ノードであることが必要です。ハブ・ノードは、他のサーバーと緊密に接続し、共有ディスクに直接アクセスするOracle ASMクラスタ内のノードです。このモードは、図3-1でBのラベルが付いています。
この構成では、データベース・インスタンスは周辺のOracle ASMインスタンスと異なるホスト・コンピュータ上に存在し、Oracle ASMクライアント・インスタンスとして参照されます。このOracle ASMインスタンスは、図3-1でCのラベルが付いたノードで示されます。データベースはOracle ASMインスタンスと同じOracle ASMクラスタ内にあり、データベース・インスタンスはハブ・ノード上にあります。Oracle ASMメタデータは、Oracle ASMとデータベース・インスタンス間で移動します。このクライアントは、Oracle ASMディスクに直接I/Oアクセスできます。
データベース・インスタンスとOracle ASMインスタンスの分散に応じて、データベース・クライアントは、同じノード上でOracle ASMにローカルにアクセスするか、またはOracle ASMネットワーク上でリモートにアクセスします。この操作のモードは、Oracle ASMクラスタ内のハブ・ノード上のデータベース・クライアントによって使用されます。直接アクセス・モードも、Oracle ASMクラスタ・ファイルシステムによってサポートされる唯一のOracle Flex ASM構成です。
Oracle ASMプロキシ・インスタンスを介したOracle ACFSアクセス
Oracle ASMプロキシ・インスタンスは、直接Oracle ASMクライアントとともにハブ・ノードで実行中のOracleインスタンスです。Oracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)およびOracle ASM Dynamic Volume Manager (Oracle ADVM)は、Oracle ASMプロキシ・インスタンスでサポートされます。この構成は、図3-2に示されます。
Oracle ASMプロキシ・インスタンスのINSTANCE_TYPE
初期化パラメータは、ASMPROXY
に設定されます。
図3-2は、Oracle Flex ASMでのOracle ACFSおよびOracle ADVMの構成を示しています。