Oracle ACFSスナップショットは、Oracle ACFSファイルシステムのオンライン読取り専用または読取り-書込みポイント・イン・タイム・コピーです。スナップショット・コピーは領域使用効率がよく、copy-on-write機能を使用します。Oracle ACFSファイル・エクステントの変更または削除前に、その現行値は、ファイルシステムのポイント・イン・タイム・ビューを保持するスナップショットにコピーされます。
Oracle ACFSスナップショットは、作成後すぐに使用可能になります。ファイルシステムの.ACFS/snaps/
ディレクトリにスナップショットが作成されます。ファイルシステムがマウントされている間は、常にオンラインです。そのため、Oracle ACFSスナップショットは、不用意に変更、またはファイルシステムから削除してしまったファイルのオンライン・リカバリをサポートできます。複数のビューにまたがっているファイルシステム、オンライン・ファイルリカバリのソリューションにサポートされている、最大合計1023の読取り専用、読取り-書込み、または読取り専用と読取り-書込みが組み合せられたスナップショットビューが使用されます。Oracle ACFSスナップショットは、アクティブ・ファイルシステムの一貫性のある現行オンライン・ビューを提供するために、要求に応じて作成できるので、ファイルシステム・バックアップのソースとしても使用できます。サポートされているスナップショット数の詳細は、「Oracle ACFSディスク領域使用量」を参照してください。
Oracle ACFSの読取り-書込みスナップショットでは、イメージスナップショット・イメージをホストしているOracle ACFSファイルシステムの状態に影響を与えずに、読取りと書込みの両方が可能なスナップショット・イメージを高速で作成できます。次の場合に、読取り-書込みスナップショットを使用できます。
アプリケーション・ソフトウェアの新しいバージョンを、読取り-書込みスナップショット・イメージが反映された本番ファイル・データ上で、元の製品ファイルシステムを変更することなく実行するテスト
実際のデータセット上で本番ファイルシステムを変更しないテストシナリオの実行
Oracle ACFS読取り-書込みスナップショットを使用するには、ADVM
に対するディスク・グループ互換性属性を11.2.0.3.0
以上に設定する必要があります。11.2.0.3.0
より前のバージョンの既存のOracle ACFSファイルシステムで読取り-書込みスナップショットを作成する場合、ファイルシステムは11.2.0.3.0
以上の形式に更新されます。ファイルシステムを新しいバージョンに更新した後で、Oracle ACFSファイルシステムを以前のバージョンに戻すことはできません。それに応じて、以前のOracle Grid Infrastructureのバージョンでマウントすることもできません。
同じOracle ACFSファイルシステム内の既存のスナップショットから、スナップショットを作成できます。また、読取り専用と読取り-書込みの形式間で、スナップショットを変換できます。既存のスナップショットからスナップショットを作成するか、スナップショットを変換するには、ADVM
のディスク・グループの互換性属性を12.1
以上に設定する必要があります。また、次のものがある場合、既存のスナップショットからの作成は許可されません。
ADVM
互換性を12.1未満に設定して作成されたファイルシステム内に存在するスナップショット
ADVM
互換性を12.1
に設定した後でも、11.2のスナップショットが存在しているときに作成されたファイルシステムのスナップショット
Oracle ACFSスナップショット記憶域は、ファイルシステム内に保持され、ファイルシステムとスナップショット用に別々の記憶域プールを管理する必要がありません。Oracle ACFSファイルシステムは、追加のファイルやスナップショット記憶域の要件に対応するために動的にサイズを変更できます。
セキュリティまたは暗号化の有効化または無効化を除いて、読取り-書込みスナップショット内のセキュリティまたは暗号化メタデータを変更できません。その他の変更は、スナップショット内のOracle ACFSセキュリティまたは暗号化メタデータでは許可されません。ファイルがスナップショット内のセキュリティ・レルムによりセキュリティ保護されていなかった場合、アクティブ・ファイルシステム内の対応するファイルのセキュリティ・レルムへの追加により、セキュリティ保護されるレルムにすることはできません。ファイルがスナップショット内で暗号化されていなかった場合、アクティブ・ファイルシステム内の対応するファイルの暗号化により、そのファイルを暗号化することはできません。
読取り-書込みスナップショットのレルム保護されたディレクトリ内で作成された新しいファイルは、親ディレクトリのレルム・セキュリティ属性を継承します。レルム保護している新しいファイルの暗号化がオンになった場合、レルム内の暗号化親セットで暗号化されます。レルム保護している新しいファイルの暗号化がオフになった場合、ファイルは復合化されます。読取り-書込みスナップショット内のファイルとディレクトリは、セキュリティ・レルムから追加または削除できません。
操作対象が読取り-書込みスナップショットのファイルまたはディレクトリについてパス指定されている場合、読取り-書込みスナップショット内のファイルを暗号化、復号化、またはキー更新できます。ただし、暗号化、復号化、またはキー更新の操作がファイルシステムのレベルで指定されている場合、その操作では、.ACFS/snaps/
ディレクトリ内のスナップショットのファイルとディレクトリを処理しません。
すべてのOracle ACFSスナップショット操作は、カーネル内のクラスタ全体でシリアル化されます。たとえば、スナップショット削除操作と同時にスナップショット作成操作を開始した場合、両方の操作は完了しますが、それらはカーネルの内部で同時に実行されません。1つの操作が完了してからもう1つの操作が開始します。
Oracle ACFSセキュリティの詳細は、「Oracle ACFSセキュリティ」を参照してください。
Oracle ACFS暗号化の詳細は、「Oracle ACFS暗号化」を参照してください。
Oracle ACFSスナップショットは、acfsutil
snap
コマンドにより管理されます。acfsutil
snap
コマンドの詳細は、「acfsutil snap create」、「acfsutil snap delete」および「acfsutil snap info」を参照してください。
注意:
Oracle ACFSファイルシステム内および関連付けられた読取り-書込みスナップショット内のファイルまたはその逆で、リンクまたはファイル名変更が試みられた場合、link()
およびrename(
)システム・コールは失敗します。ln
やmv
のようにlink()
およびrename()
システム・コールを使用するツールも同じシナリオによって失敗します。