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Oracle® Automatic Storage Management管理者ガイド
12cリリース1 (12.1)
B71290-10
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Oracle ACFSの制限事項

この項では、Oracle ACFSの制限事項について説明します。

この項の内容は次のとおりです。

注意:

Oracle ACFSでは、ディレクトリのハード・リンクをサポートしません。

Oracle ACFSディスク領域使用量

Oracle ACFSは、32ビットシステム上の64個、および64ビットシステム上の256個のそれぞれマウントされたファイルシステムをサポートします。十分なメモリーがある場合はそれ以上のファイルシステムをマウントできます。

Oracle ACFSは、ファイルシステム内の2^40 (1兆)ファイルをサポートします。40億以上のファイルがテストされました。32ビットのLinuxシステムの限度は2^26 (6,700万)です。ファイルシステム内のディレクトリ数に絶対的な制限はありません。制限はハードウェア・リソースに基づきます。

Oracle ACFSでは、64ビットのシステム上に1023のスナップショットをサポートします。これらのスナップショットは、読取り専用と読取り-書込みのスナップショットの組合せが可能です。1023のスナップショットの作成をサポートするには、ADVMに対するディスク・グループ互換性属性を12.1.0.2以上に設定する必要があります。COMPATIBLE.ADVM12.1.0.2に設定する前または後に、すべての既存スナップショットを削除する必要があり、削除しない場合は限度が63スナップショットのままとなります。

Oracle ACFSでは、データを書き込む際、パフォーマンスを高めるために大規模なユーザー・ファイルを事前に割り当てます。この記憶域は、ファイルが閉じられても戻されませんが、ファイルを削除すると戻されます。ノードでファイルシステムが初めてマウントされるときには、Oracle ACFSによりローカル・メタデータ・ファイルも割り当てられます。その結果、領域不足エラーが原因でマウントが失敗する可能性があり、この記憶域の大部分は隣接している必要があります。この記憶域は、1ノード当たり約64から128MBです。

空き領域を探すときに、グローバル記憶域ビットマップ上での競合を減らすために、Oracle ACFSはローカル・ビットマップも使用できるようにしておきます。このディスク領域は、一部の領域が実際にまだ割り当てられていない場合でも、Linux dfコマンドなどのツールによってin useとしてレポートされます。このローカルの記憶域プールは、ノードごとに128 MBと同じ大きさにでき、dfなどのようなコマンドでもスペース割当てを可能にし、割り当てられているよりも少ない領域でレポートできます。

Oracle ACFSのエラー処理

Oracle ACFSまたは別のファイルシステムがOracle ADVMボリュームを使用しているときにOracle ASMインスタンスに障害が発生したり強制終了となると、I/O障害が発生します。そのボリュームに再びアクセスするには、ボリュームを閉じてから、開きなおす必要があります。これには、ローカルOracle ASMインスタンスの障害発生時にマウントされていたすべてのファイルシステムをディスマウントします。インスタンスの再起動後に、対応するディスク・グループを有効なボリュームでマウントしてから、ファイルシステムを再マウントすることも必要です。「ボリュームおよびOracle ACFSファイルシステムの登録解除、ディスマウント、無効化」を参照してください。

ファイルシステムがOracle ADVMボリューム・ファイルに現在マウントされている場合は、それらのファイルシステムを先にディスマウントせずにOracle ASMインスタンスを終了するのに、SHUTDOWN ABORTコマンドを使用しないでください。使用すると、アプリケーションでI/Oエラーが発生し、Oracle ASMストレージの隔離前に、終了時点で書き込まれるOracle ACFSのユーザー・データおよびメタデータがストレージにフラッシュされない可能性があります。ファイルシステムをディスマウントする時間がない場合は、SHUTDOWN ABORT操作を発行する前に、2つのsync (1)コマンドを実行してキャッシュ済のファイルシステム・データおよびメタデータを永続ストレージにフラッシュする必要があります。

メタデータの書込みが失敗した場合、その原因がOracle ASMインスタンスの障害であろうと記憶域の障害であろうと、Oracle ACFSはオペレーティング・システム環境を中断しません。かわりに、Oracle ACFSはエラーを特定のファイルシステムにまで隔離し、ファイルシステムをオフライン・エラー状態にします。それ以降、そのファイルシステムのそのノードで成功する唯一の操作は、ディスマウント操作です。もう1つのノードでは(記憶域にメタデータを書き込めると仮定して)、未処理のメタデータ・トランザクションがリカバリされます。I/Oの異常が解決したら、オフラインにしたノードにファイルシステムを再びマウントできます。

ファイルシステムのディレクトリがプロセスの現在の作業ディレクトリであるなど、ファイルシステムを参照するプロセスが存在する場合、管理者がオフライン・エラー状態にあるファイルシステムをディスマウントすることはできません。この場合、ファイルシステムをディスマウントするには、ファイルシステムのファイルおよびディレクトリを参照するそのノード上のすべてのプロセスを識別して、それらを終了させる必要があります。Linuxのfuserまたはlsofコマンド、あるいはWindowsのhandleコマンドは、プロセスおよびオープン・ファイルに関する情報を表示します。

Oracle ACFSは、チェックサムまたは想定されるタイプの比較に基づいて、読取り操作から戻されたファイル・メタデータで不整合を検出すると、適切な処理を実行して影響を受けるファイルシステム・コンポーネントを隔離し、fsckまたはacfschkdskをできるだけ早く実行する必要があることを示す通知を生成します。ファイルシステムがマウントされるたびに、fsckまたはacfschkdskが実行されるまで、システム・イベント・ログ出力メッセージにより通知が生成されます。

Oracle ACFSとNFS

Linux上のNFSを介してファイルシステムをエクスポートするときには、-fsid=numエクスポート・オプションを使用します。このオプションは、NFSクライアントとの通信に使用されるファイル・ハンドルのファイルシステム識別子の部分を、ファイルシステムがマウントされているブロック・デバイスのメジャー番号およびマイナー番号から導出された数値のかわりに、強制的に指定した値にします。numには32ビットの番号であれば使用できますが、エクスポートされたすべてのファイルシステムの間で一意であることが必要です。また、numは、クラスタのメンバー間で一意であり、特定のファイルシステムのクラスタの各メンバーで同じnumであることが必要です。これが必要なのは、Oracle ASM DVMブロック・デバイスのメジャー番号が、同じノードのすべての再起動で、またはクラスタ内の様々なノードで、同じであると保証されないためです。

Gridホーム・クラスタ用の高可用性NFS (HANFS)を使用している場合、HANFSでは、前の段落で記述されている状況を自動的に処理します。HANFSの詳細は、Oracle Grid Infrastructure用の高可用性Network File Storageを参照してください。