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Oracle® Database 2日でReal Application Clustersガイド
12c リリース1 (12.1)
B71293-05
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4 データベース・インスタンスおよびクラスタ・データベースの管理

WebベースのOracle Enterprise Manager Cloud Controlでは、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースを管理できます。Cloud Controlコンソールを使用して、複数のOracle RACデータベースおよびクラスタ・ノードを管理できます。

Oracle Enterprise Managerコンソールは、Oracle環境の制御における中心点です。このコンソールを使用すると、様々なタスクを実行できます(データベース・コンポーネントの起動および停止、Oracle RACのパラメータおよびパラメータ・ファイルの管理など)。

参照:

データベース監視タスクの概要については、Oracle Database 2日でデータベース管理者を参照してください。

Oracle Real Application Clustersデータベース管理について

Oracle RACデータベースの管理と単一インスタンスのOracle Databaseの管理には違いがあります。

Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)は、2つ以上の個々のコンピュータをリンクして1つのシステムとして機能させるテクノロジです。Oracle RACにより、クラスタのメンバーであるコンピュータの各ノードはOracle Databaseへのアクセスを共有できるようになります。あるクラスタ・ノードがエラーまたはオフラインになっても、他のクラスタ・ノードは引き続き稼働し、Oracle RACデータベース全体が使用可能なままになります。2つ以上の安価なコンピュータが、アプリケーションでは、はるかに強力で高価な単一のコンピュータであるかのように認識されます。

Oracle RACデータベースのパフォーマンスを向上するには、クラスタ・ノードを追加できます。各ノードを追加すると、アプリケーションの処理が高速化され、より多くのユーザーまたはプロセス、あるいはその両方がサポートされます。また、クラスタ・ノードを追加すると、2ノードのOracle RACデータベースの可用性および信頼性も向上します。Oracle RAC環境のノード数が増えると、個々のノードの損失によってデータベースが受ける影響が少なくなります。

Oracle RACデータベースには、クラスタ・ノード、共有記憶域およびOracle Clusterwareという3つのコンポーネントが必要です。クラスタのノード数および使用する共有記憶域のタイプは任意に選択できますが、このマニュアルでは、ある特定の2ノード・クラスタ構成について説明します。この2ノード構成では、記憶域管理用にOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)、またバックアップおよびリカバリ計画用にRecovery Manager(RMAN)が使用されます。

ほとんどの管理タスクは、単一インスタンスのOracle DatabaseとOracle RACデータベースの間で同じです。このガイドでは、Oracle RACに固有のデータベース管理タスクに関する追加指示と、Oracle RACデータベースの管理のための推奨事項について説明します。

注意:

Oracle Database Standard Editionを使用している場合は、クラスタがライセンスの制限に準拠している必要があります。クラスタのライセンス制限の詳細は、Oracle Databaseライセンス情報を参照してください。

参照:

単一インスタンス・データベースの管理の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

Oracle RAC One Nodeデータベース管理について

Oracle RAC One Nodeデータベースの管理は、Oracle RACまたはシングル・インスタンスのデータベースとは若干異なります。

Oracle Real Application Clusters One Node(Oracle RAC One Node)は、クラスタ内の1つのノードで実行されるOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースの単一インスタンスです。インスタンスを停止および起動するかわりに、Oracle RAC One Nodeのオンライン・データベース再配置を使用して、Oracle RAC One Nodeインスタンスを別のサーバーに再配置できます。

  • 管理者によって管理されるOracle RAC One Nodeデータベースの場合: 候補ノード・リストを監視して、フェイルオーバーの際にサーバーが必ず利用できるようにする必要があります。候補サーバーは、クラスタの汎用サーバー・プールにあります。Oracle RAC Oneノード・データベース・インスタンスを現在ホストしているノードが失敗した場合、データベースおよびサービスが候補サーバーのいずれかにフェイルオーバーします。

  • ポリシー管理Oracle RAC One Nodeデータベースの場合: 現在のノードが使用できなくなった場合にサーバーがデータベースのフェイルオーバーに使用できるように、サーバー・プールが構成されていることを確認する必要があります。また、オンライン・データベース再配置のための宛先ノードは、データベースのサーバー・プールに配置される必要があります。

オンライン・データベース再配置の手順の概要については、次のトピックを参照してください。

参照:

Oracle RAC One Nodeデータベースを管理する方法の詳細は、Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドを参照

Oracle Enterprise Managerを使用したOracle RAC管理について

WebベースのOracle Enterprise Manager Cloud Controlコンソールでは、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeデータベースを管理できます。

Oracle Enterprise Managerは、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を介してアクセスするOracle環境を制御するための中心点です。Oracle Enterprise Managerでは、サービスを作成および変更でき、クラスタ・データベース・インスタンスとクラスタ・データベースを起動および停止できます。Enterprise Manager Cloud Controlは、Oracle RACデータベースだけでなく、Oracle RAC環境全体の管理に使用します。

Oracle Enterprise Manager Cloud Controlにログインし、Oracle RACデータベースのデータベース・ホームページにアクセスすると、クラスタ・データベース・ホームページが表示されます。「クラスタ・データベース: ホーム」ページは、単一インスタンスの「データベース: ホーム」ページに似ています。ただし、「クラスタ・データベース: ホーム」ページでは、Oracle Enterprise ManagerによってOracle RAC環境全体のシステム状態および可用性が表示されます。これには、アラート・メッセージおよびジョブ・アクティビティに関するサマリーや、すべてのデータベースおよびOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)インスタンスへのリンクおよびそのステータスが含まれます。このページの「クラスタ」タブをクリックして、クラスタのホームページを表示して、基礎となるクラスタに対するステータスやアラートを表示することができます。

注意:

Oracle Enterprise Manager Cloud Controlはノード上のすべてのOracle ASMインスタンスを管理します。いくら多くのOracle Databaseが記憶域用にOracle ASMを使用していたとしても、1つのノードには1つのOracle ASMインスタンスのみが存在します。

Oracle RACデータベースおよびデータベース・インスタンスの起動および停止

クラスタ・データベースの起動および停止は、Enterprise Managerの「クラスタ・データベース」のホームページから行うことができます。

クラスタ・データベースの起動および停止の操作にEnterprise Manager Cluster Databaseのホームページを使用すると、Oracle RACデータベースに属するすべてのインスタンスの一貫性を保てます。Oracle Enterprise Managerを使用すると、ユーザーはOracle RACデータベースをより容易に管理できます。

Oracle RACデータベース内の個々のインスタンスを起動および停止できます。Oracle RACデータベース内の1つのインスタンスを起動または停止しても、その他のインスタンスは起動または停止されません。Oracle RACデータベースを完全に停止するには、そのすべてのインスタンスを停止する必要があります。

また、インスタンスは、SQL*Plusまたはサーバー制御(SRVCTL)を使用して起動および停止することもできます。

サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用している場合に、Oracle RACデータベース全体を起動および停止するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Enterprise Managerで、クラスタ・データベース・ホームページに移動し、SYSユーザーとしてログインします。

    Oracle Enterprise Managerへのログインの詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  2. 「クラスタ・データベース」のホームページの「一般」セクションで、データベースが停止している場合は「起動」 を、データベースが起動している場合は「停止」をクリックします。

    「起動/停止: 資格証明の指定」ページが表示されます。

  3. クラスタ・ノード用のホスト資格証明を入力します。このホスト資格証明は、オペレーティング・システム・グループOSDBAまたはOSOPERのメンバーであるユーザーのユーザー名およびパスワードです。

    「起動/停止: 操作の選択」ページが表示されます。

  4. 「すべて選択」をクリックすると、すべてのインスタンスを選択できます。「停止」をクリックすると、すべてのデータベース・インスタンスを停止できます。また、「起動」をクリックすると、すべてのデータベース・インスタンスを起動できます。

    個々のインスタンスを起動および停止するには、「起動/停止: 操作の選択」ページに移動して、データベース・インスタンスを選択し、「起動」または「停止」をクリックして、選択したデータベース・インスタンスに対し必要な操作を実行します。また、インスタンスは、SQL*Plusまたはサーバー制御(SRVCTL)を使用して起動および停止することもできます。

    「起動/停止: 確認」ページが表示されます。

  5. 「はい」をクリックします。

注意:

個々のインスタンスは、各インスタンスのホームページから起動および停止できます。ただし、「起動/停止: 操作の選択」ページから、直接、インスタンスの起動および停止の操作を実行する方が簡単です。

参照:

Oracle Racデータベースのインスタンスをコマンドライン・インタフェースを使用して起動および停止する手順の詳細は、Oracle Database Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドを参照

Oracle Real Application Clusters初期化パラメータの管理

Oracle RACデータベースの初期化パラメータの管理は、基本的には単一インスタンスのOracle Databaseの管理と同様です。

ただし、Oracle RACデータベースのパラメータの場合、次の点が異なります。

  • クラスタ固有のパラメータの「カテゴリ」列には、Cluster Databaseという値が含まれています。

  • Oracle RACデータベースの各インスタンスで同じパラメータは、「インスタンス」列のアスタリスク(*)で示されます。

  • Oracle RACデータベースの各インスタンスで異なる値に設定されているパラメータは、インスタンス名別にリストされます。

Oracle RAC環境の初期化パラメータを管理する場合の違いは、パラメータをデータベースの複数のインスタンスに適用可能なことです。パラメータがクラスタ全体のデータベース初期化パラメータであることを示すアスタリスクでマークされているパラメータ設定を変更すると、Oracle RACデータベース内のすべてのインスタンスのパラメータ設定が変更されます。接頭辞にインスタンス名のある初期化パラメータ、またはインスタンス固有の初期化パラメータを変更すると、変更はそのインスタンスのみに適用され、そのパラメータの他のデータベース・インスタンスでの設定には影響しません。

この項の内容は次のとおりです。

参照:

  • Oracle RAC環境における初期化パラメータの詳細は、Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドを参照

Oracle RACデータベースの初期化パラメータの構成について

Oracle Databaseは、初期化パラメータをサーバー・パラメータ・ファイルまたはテキストベースのパラメータ・ファイルに格納します。

サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)は初期化パラメータのリポジトリの一種で、Oracle Databaseが起動しているサーバー、またはOracle RACデータベースの共有記憶域に保持されます。サーバー・パラメータ・ファイルに格納された初期化パラメータは持続性があり、インスタンスの実行中に加えられたパラメータへの変更はインスタンスの停止から起動までの間も持続します。

初期化パラメータ・ファイル(PFILE)は、初期化パラメータ設定を含むテキスト・ファイルです。SPFILEとは対照的に、このパラメータ・ファイルはバイナリではなく、データベース・サーバー上に配置する必要はありません。データベースでは、テキストベースの初期化パラメータ・ファイルに対して読取りを行うことはできますが、書込みは行われません。

デフォルトでは、Oracle Databaseのほとんどのパラメータがデフォルト値に設定され、この値はすべてのインスタンスで同じになります。ただし、多くの初期化パラメータに対しては、Oracle Databaseリファレンスで説明されているとおり、各インスタンスで別々の値も設定できます。その他のパラメータは、次の項で説明するように、インスタンス全体で一意にするか同一にする必要があります

参照:

  • Oracle RAC環境における初期化パラメータの詳細は、Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイドを参照

すべてのインスタンスで同じ値を設定する必要があるパラメータ

データベースの作成に重要な特定の初期化パラメータ、または特定のデータベース操作に影響する特定の初期化パラメータは、Oracle RACデータベースの各インスタンスで同じ値を設定する必要があります。

これらのパラメータ値は、SPFILEに指定するか、または各インスタンスの個別のPFILEで指定します。次のリストに、すべてのインスタンスで同一である必要があるパラメータを示します。

  • CLUSTER_DATABASE

  • COMPATIBLE

  • CONTROL_FILES

  • DB_BLOCK_SIZE

  • DB_DOMAIN

  • DB_FILES

  • DB_NAME

  • DB_RECOVERY_FILE_DEST

  • DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE

  • DB_UNIQUE_NAME

  • DML_LOCKS(0に設定されている場合のみ)

  • INSTANCE_TYPE(RDBMSまたはASM)

  • PARALLEL_EXECUTION_MESSAGE_SIZE

  • REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE

  • RESULT_CACHE_MAX_SIZE(すべてのインスタンスに対し有効または無効)

  • UNDO_MANAGEMENT

すべてのインスタンスで一意の値を設定するパラメータ

特定の初期化パラメータは、Oracle RACデータベースの各インスタンスで一意の値を設定する必要があります。

次のパラメータでは、すべてのインスタンスに対して、そのインスタンスに一意の値を設定する必要があります。

  • ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS

    ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS初期化パラメータを使用すると、優先読取り障害グループ名のリストを指定できます。これらの障害グループのディスクは、優先読取りディスクになります。したがって、すべてのノードはそのローカル・ディスクから読み取ることができます。この結果、効率およびパフォーマンスが向上し、ネットワーク・トラフィックが削減されます。このパラメータの設定はインスタンス固有で、すべてのインスタンスで同じにする必要はありません。

  • CLUSTER_INTERCONNECTS

    CLUSTER_INTERCONNECTS初期化パラメータを使用して、Oracle Clusterwareがプライベート・ネットワークに使用している代替インターコネクトを指定します。CLUSTER_INTERCONNECTS初期化パラメータを設定すると、Oracle RACデータベースの各インスタンスに対して一意の値が使用されます。

  • INSTANCE_NUMBER

    Oracle Databaseは、INSTANCE_NUMBERパラメータを使用して起動時にインスタンスを識別し、INSTANCE_NAMEパラメータを使用して特定のインスタンスにREDOログ・グループを割り当てます。インスタンス名はdb_unique_name_instance_numberの形式にすることが可能で、名前と番号がアンダースコアで区切られたこの形式の場合、アンダースコアの後の番号がINSTANCE_NUMBERとして使用されます。ポリシー管理のデータベースでは、インスタンス番号を明示的に割り当てる必要がなくなり、インスタンス名はデフォルトのdb_unique_name_instance_numberに設定され、Oracle Databaseによってインスタンス番号が割り当てられます。

  • ROLLBACK_SEGMENTS(UNDO_MANAGEMENT初期化パラメータがAUTOに設定されていない場合)

    ROLLBACK_SEGMENTSパラメータを使用する場合は、SPFILEでSID識別子を使用して、これらのパラメータに一意の値を設定することをお薦めします。ただし、各インスタンスのINSTANCE_NUMBERに一意の値を設定する必要があり、デフォルト値は使用できません。

  • UNDO_TABLESPACE(UNDO_MANAGEMENTAUTOに設定されている場合)

    自動UNDO管理を使用可能にしてUNDO_TABLESPACEを指定する場合、各インスタンスでこのパラメータに一意のUNDO表領域名を設定します。

すべてのインスタンスで同じ値を設定する必要があるパラメータ

次のパラメータは、すべてのインスタンスで同じ値に設定することをお薦めします。

これらのパラメータにはインスタンスごとに異なる値を設定できますが、すべてのインスタンスでパラメータに同じ値を設定すると管理が簡単です。

表4-1 すべてのインスタンスで同じ値を設定する必要があるパラメータ

パラメータ 説明

ARCHIVE_LAG_TARGET

Oracle RACデータベースのインスタンスごとに異なる値を設定すると、データベース処理によって追加の自動同期化が実行されるため、多くの場合、オーバーヘッドが増加します。

Oracle RACデータベースのダウンストリーム取得構成で、Oracle Streamsダウンストリーム取得またはOracle GoldenGate統合取得モードを使用する場合、値は0 (ゼロ)より大きい必要があります

CLUSTER_DATABASE_INSTANCES

このパラメータについては、すべてのOracle RACデータベース・インスタンスで同一の設定であることが望まれますが、これは必須ではありません。

LICENSE_MAX_USERS

このパラメータでは、データベースに定義されるユーザー数のデータベース全体における制限が決定されるため、このパラメータにはデータベースのすべてのインスタンスに同じ値を指定して、どのインスタンスの使用時にも現在の値を確認できるようにすると便利です。異なる値を設定すると、インスタンスの起動時にOracle Databaseによって追加で警告メッセージが生成されたり、データベース・ユーザーの管理に関連するコマンドが一部のインスタンスで失敗する可能性があります。

LOG_ARCHIVE_FORMAT

すべてのインスタンスで同じ値を使用しない場合、メディア・リカバリが複雑になります。リカバリ中のインスタンスでは、必要なアーカイブREDOログ・ファイルの名前が、そのアーカイブREDOログ・ファイルの作成元インスタンスとは関係なく、リカバリ中のインスタンスのLOG_ARCHIVE_FORMATの値に定義された書式であると想定されます。

Oracle Data Guardをサポートするデータベースでは、アーカイブREDOログ・ファイルの送受信を行うために、すべてのインスタンスでLOG_ARCHIVE_FORMATに同じ値を使用する必要があります。

REDO_TRANSPORT_USER

このパラメータでは、リモート・ログイン・パスワード・ファイルをREDO転送認証に使用する場合に使用されるパスワード検証機能を所有するユーザーの名前を指定します。このパラメータはOracle Data Guard構成で使用されます。

SPFILE

すべてのインスタンスでこのパラメータに同じファイルを指定しない場合、各インスタンスは、フェイルオーバー、ロード・バランシングおよび通常の操作中に、異なる動作または予測できない動作を行う場合があります。また、ALTER SYSTEM SETまたはALTER SYSTEM RESETコマンドでSPFILEに行う変更は、コマンドを実行したインスタンスで使用されるSPFILEのみに保存されます。加えた変更は、別のSPFILEが使用されるインスタンスには反映されません。

サーバーによって値が設定されているインスタンスでSPFILEの値が異なる場合、デフォルトのSPFILEを使用していないインスタンスを再起動する必要があります。

TRACE_ENABLED

診断トレース情報をOracle RACデータベースで常に使用可能にするには、すべてのデータベース・インスタンスでTRACE_ENABLEDTRUEに設定する必要があります。一部のインスタンスのみのトレースを行う場合、TRACE_ENABLEDFALSEに設定されているインスタンスのみにアクセス可能なとき、必要な診断情報を使用できない場合があります。

UNDO_RETENTION

各インスタンスでUNDO_RETENTIONに異なる値を設定すると、スケーラビリティが低下し、フェイルオーバー後に予測できない動作が行われる場合があります。したがって、このパラメータにOracle RACデータベースのインスタンス間で異なる値を割り当てる前に、メリットがあるかどうかを慎重に考慮する必要があります。

Oracle RACのSERVICE_NAMESパラメータの変更について

SERVICE_NAMESパラメータは、他の初期化パラメータと同じように変更しないでください。

SERVICE_NAMES初期化パラメータでは、クライアントがインスタンスへの接続に必要とする1つ以上の名前が指定されます。インスタンスはそのサービス名をリスナーに登録します。クライアントがサービスをリクエストすると、リスナーはリクエストされたサービスを提供するインスタンスを決定し、クライアントを適切なインスタンスにルーティングします。

Oracle RACデータベースでは、このパラメータを直接変更しないでください。かわりに、Oracle Enterprise Managerの「クラスタ管理データベース・サービス」ページを使用して、データベースおよびデータベース・インスタンスのサービスを定義します。サービスを変更する必要がある場合は、Enterprise ManagerとSRVCTLのいずれかを使用できます。Oracle Enterprise ManagerまたはSRVCTLを使用してサービスを作成および起動する場合、サービスがアクティブになると、SERVICE_NAMESパラメータが自動的に更新されます。

関連トピック

Oracle Real Application Clustersのサーバー・パラメータ・ファイルの構成について

サーバー・パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリポジトリです。

データベースを作成する際、Oracleでは、ユーザーが指定したファイルの場所にSPFILEが作成されます。Oracle ASMディスク・グループ、またはクラスタ・ファイル・システムのファイルをこの場所に指定できます。Oracle ASMを使用してSPFILEを格納することをお薦めします。

クラスタ・データベース内のインスタンスはすべて、起動時に同じSPFILEを使用します。Oracle RACで従来のパラメータ・ファイルが使用されるのは、SPFILEが存在しない場合、またはSTARTUPコマンドでPFILEを指定した場合のみです。管理の単純化、パラメータ設定の一貫性の維持、データベースの停止および起動イベント全体にわたるパラメータ設定の永続性の保証のために、SPFILEを使用することをお薦めします。さらにRMANを構成してSPFILEをバックアップできます。

参照:

  • Oracle Database Backup and Recovery User's Guide for information about using RMAN to backup the SPFILE

Oracle RACデータベースの初期化パラメータ設定の編集

Oracle Enterprise Managerを使用して、Oracle RACデータベースの初期化パラメータを表示および編集できます。

「初期化パラメータ」ページの「現行」サブページでパラメータを特定の値にセットして、Oracleインスタンスのメモリーおよび処理設定の多くを初期化できます。「現行」タブを使用して初期化パラメータを変更すると、「現在実行中のインスタンス・モードでの変更をSPFileに適用する」オプションが選択されている場合を除き、その変更はSPFILEではなく、実行中のインスタンスのみに適用されます。

「SPFile」サブページを使用して初期化パラメータを変更すると、「SPFileモードでの変更を現在実行中のインスタンスに適用する」オプションが選択されていないかぎり、その変更は、現在実行中のインスタンスではなくSPFILEにのみ適用されます。「SPFile」サブページを使用したパラメータのリセットは、「現行」サブページを使用して同じパラメータをリセットした場合とは異なることに注意してください。あるインスタンスのパラメータ値をリセットして、すべてのインスタンスのデフォルト値に戻したり、すべてのインスタンスのデフォルトのパラメータ設定を削除(パラメータを設定解除)できます。

Oracle Enterprise Managerを使用して初期化パラメータを表示および変更するには、次の手順を実行します。

  1. クラスタ・データベースのホームページにアクセスします。

    Oracle Enterprise Managerへのログインの詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  2. 「管理」メニューから、初期化パラメータを選択します。

    「データベース・ログイン」ページが表示された場合、SYSDBAユーザー、たとえばSYSまたはSYSTEMとしてログインします。

  3. 「初期化パラメータ」ページで「現行」または「SPFile」サブページを選択してパラメータ設定を変更します。
  4. 「選択」列を使用してパラメータを選択します。
  5. 「追加」をクリックし、エントリを編集して、ターゲット・インスタンスまたはパラメータ値を変更します。オプションで、変更の理由を説明するコメントを追加できます。
  6. 1つ以上のパラメータを変更した後、「適用」をクリックして変更を受け入れ、適用します。

関連トピック

  • Oracle Database 2日でデータベース管理者

Oracle Enterprise Managerの現在のタブを使用したOracle RACの初期化パラメータの変更

「初期化パラメータ」ページの「現行」サブページにはこのインスタンスおよびデータベースの構成パラメータのリストが含まれています。

「初期化パラメータ」ページの「現行」サブページでパラメータを特定の値にセットして、Oracleインスタンスのメモリーおよび処理設定の多くを初期化できます。「SPFile」ではなく「現行」タブを使用して初期化パラメータを変更すると、「現在実行中のインスタンス・モードでの変更をSPFileに適用する」オプションが選択されている場合を除き、その変更は実行中のインスタンスのみに適用されます。

「インスタンス」列には、表内にリストされている値を持つパラメータのインスタンスが表示されます。アスタリスク(*)は、クラスタ・データベースのその他のすべてのインスタンスでもそのパラメータの値が同じであることを示しています。たとえば、node1ではopen_cursors = 250node2ではopen_cursors = 300となっている場合、open_cursors = 250の「インスタンス」列にはアスタリスクが表示され、open_cursors = 300の「インスタンス」列にはnode2が表示されます。このように表記を省略することにより、クラスタ・データベースのインスタンスが多い場合に領域を節約できます。

図4-1 「初期化パラメータ: 現行」タブでの変更

図4-1の説明が続きます
「図4-1 「初期化パラメータ: 現行」タブでの変更」の説明

「初期化パラメータ」ページをフィルタ処理して、「名前別フィルタ」フィールドに入力したフィルタ基準を満たすパラメータのみを表示できます。またオプションとして、「すべて表示」を選択し、実行中のインスタンスで現在使用されているすべてのパラメータを1つのページに表示することもできます。

「現行」タブを使用してパラメータ値を変更するには、次の手順を実行します。

  1. 「選択」列からパラメータを選択し、次のいずれかを実行します。
    • 「追加」をクリックし、選択したパラメータを別のインスタンスに追加します。

      表に新しい行が表示されたら、新しい設定を適用するインスタン名を選択し、パラメータの新しい値を「値」フィールドに入力します。オプションで、そのインスタンスの値が他のインスタンスと異なる値である理由を示すテキストを「コメント」フィールドに入力できます。

    • 「リセット」をクリックし、選択したパラメータの値をリセットします。このオプションを使用する際、「インスタンス」列にアスタリスクがないパラメータのみがリセット可能であることに注意してください。

      「リセット」をクリックすると、選択した列の値は他のインスタンス(「インスタンス」列のアスタリスクの付いた行)の値にリセットされ、「インスタンス」フィールドにローカル・インスタンス名を含む行が表から削除されます。

    たとえば、パラメータOPEN_CURSORSを選択し、「追加」をクリックします。OPEN_CURSORSの新規エントリで、「インスタンス」(sales1またはRACDB2など)を選択し、「値」フィールドを300に変更します。

  2. 1つ以上のパラメータを変更した後、「適用」をクリックして変更を受け入れ、適用します。

Oracle Enterprise Managerの「SPFile」タブを使用したOracle RACの初期化パラメータの変更

パラメータを追加またはリセットするには、「初期化パラメータ」ページの「SPFile」サブページを使用します。

「SPFile」サブページを使用して初期化パラメータを変更すると、「SPFileモードでの変更を現在実行中のインスタンスに適用する」オプションが選択されていないかぎり、その変更は、現在実行中のインスタンスではなくSPFILEにのみ適用されます。

「SPFile」サブページを使用したパラメータのリセットは、「現行」サブページを使用して同じパラメータをリセットした場合とは異なることに注意してください。あるインスタンスのパラメータ値をリセットして、すべてのインスタンスのデフォルト値に戻したり、すべてのインスタンスのデフォルトのパラメータ設定を削除(パラメータを設定解除)できます。

  • アスタリスクのあるパラメータを「インスタンス」列でリセットすると、そのエントリはEnterprise Managerに表示されたSPFILEと表の両方から削除されます。アスタリスクのないパラメータ(インスタンス固有のパラメータ)のみ残ります。

    図4-2 アスタリスクが示されているOPEN_CURSORパラメータをリセットした結果

    図4-2の説明が続きます
    「図4-2 アスタリスクが示されているOPEN_CURSORパラメータをリセットした結果」の説明
  • アスタリスクのないパラメータのエントリのみリセットする場合は、Enterprise ManagerのSPFILEと表の両方から削除されますが、「インスタンス」列はアスタリスクのある空の値フィールドのダミー・パラメータに置き換えられます。ダミー・パラメータを使用することによって、パラメータに対して新しい値を指定したり、インスタンス固有の新しいエントリを追加できます。

    図4-3 OPEN_CURSORSのすべての初期化パラメータ・エントリをリセットした結果

    図4-3の説明が続きます
    「図4-3 OPEN_CURSORSのすべての初期化パラメータ・エントリをリセットした結果」の説明

1つのインスタンスのみに設定されたパラメータをリセットすると、すべてのインスタンスについて、そのパラメータが設定解除されます。

「SPFile」タブを使用してパラメータ値を変更するには、次の手順を実行します。

  1. 「選択」列を使用してパラメータを選択します。

    各パラメータの詳細を参照するには、パラメータの横にある「ヘルプ」列の情報アイコンをクリックします。

  2. 「追加」をクリックし、エントリを編集して、ターゲット・インスタンスまたはパラメータ値を変更します。オプションで、変更の理由を説明するコメントを追加できます。
  3. 「適用」をクリックして、変更をSPFILEに適用します。「SPFileモードでの変更を現在実行中のインスタンスに適用する」オプションが選択されている場合は、変更がSPFILEおよび現在実行中のインスタンスに適用されます。
  4. 「初期化パラメータ」ページの「SPFile」サブページで、「選択」列からパラメータを選択し、次のいずれかを実行します。
    1. 「追加」をクリックし、選択したパラメータを別のインスタンスに追加します。

      表に新しい行が表示されたら、新しい設定を適用するインスタン名を選択し、パラメータの新しい値を「値」フィールドに入力します。オプションで、変更の理由を説明するテキストを「コメント」フィールドに追加できます。

    2. 「リセット」をクリックし、選択したパラメータの値をリセットします。

      「リセット」をクリックすると、次のいずれかのアクションが実行されます。

      • 特定のインスタンスのエントリを選択した場合、そのインスタンスに対して選択したパラメータの値は、(「インスタンス」列のアスタリスクによって示される)その他のインスタンスの値にリセットされます。「インスタンス」フィールド内にローカル・インスタンス名を含むエントリが削除されます。

      • リセット対象として選択したエントリがすべてのインスタンスのデフォルト値(「インスタンス」列でアスタリスクによって示される)であった場合、すべてのインスタンスで選択したパラメータの値の設定が解除されますが、同じパラメータのインスタンス固有のパラメータ・エントリは変更されません。

      • あるパラメータに対する唯一のエントリをリセットする場合、エントリがすべてのインスタンスに適用されるか単一インスタンスに適用されるかにかかわらず、そのパラメータは、クラスタ・データベース内のすべてのインスタンスに対して設定解除されます。

  5. 1つ以上のパラメータを変更した後、「適用」をクリックして変更を受け入れ、適用します。

例: OPEN_CURSORSパラメータの変更

このトピックでは、OPEN_CURSORSパラメータを変更する例について説明します。

SPFILEのopen_cursorsパラメータに次の2つのエントリが含まれているとします。

*.open_cursors = 250 
RACDB2.open_cursors = 200

図4-4 OPEN_CURSORSパラメータの初期値

図4-4の説明が続きます
「図4-4 OPEN_CURSORSパラメータの初期値」の説明

「初期化パラメータ」ページを使用して、「SPFile」タブを選択し、*.open_cursorsに対して「リセット」をクリックすると、Oracle Enterprise Managerによって、このエントリがSPFILEおよび表示されたパラメータ・リストの両方から削除され、RACDB2.open_cursors = 200のみが残されます。

図4-5 デフォルト・エントリを削除した後のパラメータ値

図4-5の説明が続きます
「図4-5 デフォルト・エントリを削除した後のパラメータ値」の説明

RACDB2.open_cursors「リセット」をクリックしても、Enterprise ManagerでSPFILEおよびパラメータの表示リストの両方からこのパラメータ・エントリが削除されますが、新規エントリの*.open_cursors = <NULL>が、リセットされたパラメータのかわりにパラメータの表示リストに追加されます。

図4-6 カスタム・エントリおよびデフォルト・エントリを削除した後のパラメータ値

図4-6の説明が続きます
「図4-6 カスタム・エントリおよびデフォルト・エントリを削除した後のパラメータ値」の説明

Oracle RACの記憶域の管理について

このトピックでは、Oracle Enterprise Managerを使用してOracle RACデータベースの一部の記憶域構造を管理するための追加情報について説明します。

参照:

単一インスタンス・データベースの記憶域の管理の詳細は、Oracle Database 2日でデータベース管理者を参照してください。

Oracle RACでの自動UNDO管理について

インスタンスに割り当てられた特定のUNDO表領域内のUNDOセグメントは、Oracle RACによって自動的に管理されます。

この表領域の内容を変更できるのは、UNDO表領域に割り当てられたインスタンスのみです。ただし、各インスタンスでは、いずれのインスタンスで作成されたUNDOデータ・ブロックでも読み取ることができます。また、トランザクション・リカバリの実行時に、UNDO表領域がUNDO生成またはトランザクション・リカバリのために別のインスタンスで使用されていないのであれば、どのインスタンスでもUNDO表領域を更新できます。Oracle RACデータベース内にUNDO表領域を割り当てるには、SPFILEまたは個別のPFILEで各インスタンスのUNDO_TABLESPACEパラメータに別の値を指定します。Oracle RACデータベースでは、自動UNDO管理モードと手動UNDO管理モードを同時に使用することはできません。Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスは、同じUNDOモードで操作してください。

参照:

データベースのUNDOデータの管理については、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

Oracle RACのOracle Automatic Storage Management

Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)では、管理対象のディスク全体の記憶域構成を管理することで、記憶域を自動的に最適化し、最大のパフォーマンスを引き出します。

Oracle ASMは、クラスタ・データベース環境内で使用可能なすべての記憶域全体で記憶域のロードを均等に分散することによって記憶域を最適化します。Oracle ASMによって、ディスク領域全体の要件が、ディスク・グループ内のすべてのディスクに均一なサイズにパーティション化されます。また、Oracle ASMでは、データを自動的にミラー化してデータ損失を防止します。Oracle ASMのこれらの機能により、管理オーバーヘッドも大幅に削減されます。

単一インスタンスのOracle Databaseの場合と同様に、Oracle RACでOracle ASMを使用する場合も、I/Oチューニングは不要です。次のトピックで、Oracle ASMおよびOracle ASMの管理について説明します。

Oracle RACのOracle ASMコンポーネントについて

Oracle ASMインスタンスは、Oracle Flex ASMでの様々な構成で動作できます。

Oracle Flex ASMを使用すると、データベース・サーバーとは異なる物理サーバーでOracle ASMインスタンスを実行できます。このデプロイでは、システム全体におけるOracle ASMのフットプリントを削減しながら、Oracle ASMインスタンスの大規模なクラスタでより多くのデータベース・クライアントをサポートできます。Oracle Flex ASMを使用している場合、Oracle ASMクライアントはストレージへの直接アクセスで構成されます。

Oracle Flex ASMを使用すると、すべての記憶域の要件を、ディスク・グループの単一のセットに統合できます。これらのすべてのディスク・グループを、単一のクラスタで実行中のOracle ASMインスタンスの小さいセットでマウントおよび管理します。カーディナリティ設定で、Oracle ASMインスタンスの数を指定できます。デフォルトは、3インスタンスです。

各Oracle ASMインスタンスには、SPFILEまたはPFILEタイプのパラメータ・ファイルが存在します。

このマニュアルで説明する環境では、各ノードにOracle ASMインスタンスがあり、Oracle ASMインスタンスでSPFILEを使用します。

関連トピック

  • Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド

Oracle RACでのOracle ASM用ディスク・グループ構成について

クラスタに対してディスク・グループを作成する場合、または既存のクラスタ化ディスク・グループに新規ディスクを追加する場合は、共有ディスクの基礎となる物理記憶域のみを準備する必要があります。

Oracle ASMをOracle RACデータベースで使用する場合と単一インスタンスのOracle Databaseで使用する場合を比較したときの唯一の大きな違いは、共有ディスクを必要とする点です。Oracle ASMでは、ディスクまたはディスク・グループを追加または削除した後、自動的に記憶域のロードが再調整されます。

クラスタでは、Oracle ASMインスタンスが実行されているノードのディスク・グループに対するメタデータの更新は、各Oracle ASMインスタンスによって管理されます。また、各Oracle ASMインスタンスが、ディスク・グループのメタデータとクラスタの他のノード間の調整を行います。

単一インスタンスのOracle Databaseと同様に、Enterprise Manager、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)、Oracle ASM command-line utility(ASMCMD)、SQL*PlusおよびSRVCTLを使用してOracle RAC環境のOracle ASM用ディスク・グループを管理できます。

参照:

  • Oracle RACインスタンス、Oracle ASMインスタンスおよび共有記憶域の関係の図は、Oracle RAC環境で実行されるOracle ASMについてを参照してください。

  • SQL*Plusを使用してOracle ASMインスタンスを管理する方法の詳細は、Oracle自動ストレージ管理管理者ガイドを参照

スタンドアロンのOracle ASMディスク・グループの管理について

インストール中にOracle ASMを構成しない場合、手動でOracle ASMを構成するか、スタンドアロンのOracle ASMディスク・グループ管理を実行する必要があります。

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール中にOracle ASMを構成できます。Oracle ASMストレージのプロパティを変更するために、データベースを作成する必要はありません。

Oracle ASMを手動で構成するには、まずASMCAを実行してOracle ASMインスタンスを作成し、少なくとも1つのディスク・グループを作成する必要があります。Oracle ASMを実行したら、DBCAを使用して、Oracle ASMを記憶域として使用するOracle RACデータベースを作成できます。

注意:

Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスクをクラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールの一部としてOracle ASMにインストールした場合は、Oracle ASMインスタンスがOUIによって作成されるため、ASMCAを実行する必要はありません。インストール中に、OCRおよび投票ディスクにOracle ASM記憶域を指定しなかった場合のみ、ASMCAを使用する必要があります。

参照:

Oracle Automatic Storage Managementのコマンドライン・ユーティリティASMCAの使用方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

Oracle ASMインスタンスおよびディスク・グループ管理について

Oracle ASMディスク・グループの追加や削除などの管理操作は、Oracle Enterprise Managerで実行できます。

Oracle ASMディスク・グループのパフォーマンスの監視やディスク・グループの可用性の制御をインスタンス・レベルで実行することも可能です。たとえば、Enterprise Managerには、Oracle RACに固有の次のようなOracle ASM用の機能があります。

  • ディスク・グループを追加するときは、ディスク・グループがすべてのクラスタ・データベース・インスタンスに自動的にマウントされるかどうかを示すチェック・ボックスがディスク・グループ定義に含まれています。

  • デフォルトの「ディスク・グループ」の「パフォーマンス」ページでは、「書込みレスポンス時間」「I/Oスループット」などのパフォーマンス特性をクリックすると、インスタンス・レベルのパフォーマンス詳細が表示されます。

  • Oracle ASMディスク・グループをマウントまたはディスマウントする場合、特定のOracle ASMディスク・グループをマウントまたはディスマウントするインスタンスを指定するチェック・ボックスが使用できます。

Oracle RACのREDOログの管理

次のトピックでは、Oracle RAC環境でのREDOログ・ファイルの構成に関する追加的な概念および手順を概説します。

Oracle RAC環境でのREDOログ・ファイルの管理は、単一インスタンスのOracle Database環境でのREDOログ・ファイルの管理に似ています。

参照:

  • オンラインREDOログの詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  • Oracle ASMのオンラインREDOログ・グループの作成の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

Oracle RACデータベースのREDOログ・グループおよびREDOスレッドについて

REDOログには、データファイルに加えられた変更の記録が含まれます。

単一インスタンスのOracle Databaseでは、REDOログは2つ以上のREDOログ・ファイル・グループに格納されます。このグループのそれぞれにREDOログ・ファイルが含まれ、そのファイルの1つ以上のミラー化コピーも含まれる場合があります。Oracle RACデータベースでは、各インスタンスに独自のREDOログ・グループ・セットが必要であり、このセットはREDOスレッドと呼ばれます。REDOログ・ファイルのミラー化コピーにより、ハードウェア障害またはデータ破損が原因のデータ損失に対してシステムの保護が強化されます。REDOログ・ファイルが読取り不可の場合、Oracle Databaseではそのミラー化コピーへのアクセスを試行します。REDOログ・ファイルのミラーは、プライマリのREDOログ・ファイルとは別のディスク・デバイスに配置する必要があります。

図4-7 Oracle RACデータベースのREDOスレッド

図4-7の説明が続きます
「図4-7 Oracle RACデータベースのREDOスレッド」の説明

各インスタンスのREDOスレッドには、少なくとも2つのREDOログ・グループが含まれる必要があります。各REDOログ・グループは、少なくとも2つのメンバー、つまりREDOログおよびそのミラー化コピーを含む必要があります。DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成すると、オラクル社の推奨事項を満たす構成がOracle RACデータベースに自動的に実装されます。

管理者管理データベースを使用している場合のみREDOログ・グループを作成する必要があります。ポリシー管理データベースの場合、サーバー・プール・カーディナリティの変更によりインスタンスが起動すると、Oracle Databaseによって自動的にREDOログ・ファイルが作成され、このインスタンスのREDOスレッドが有効化され、UNDO表領域が作成されます(このインスタンスに割り当てられたREDOスレッドおよびUNDO表領域がまだ存在しない場合)。この場合、データベースは、Oracle Managed FilesおよびOracle ASMを使用している必要があります。

Oracle RACデータベースでは、すべてのREDOログ・ファイルは共有記憶域に配置されます。また、各インスタンスにクラスタ内の他のすべてのインスタンスのREDOログ・ファイルへのアクセス権が必要です。Oracle RACデータベースでOracle ASMを使用する場合は、Oracle ASMによってREDOログ・ファイルのある共有記憶域およびそれらのファイルへのアクセス権が管理されます。

注意:

パフォーマンス向上のため、DBCAでREDOスレッドとUNDO表領域が作成されるのは、作成時のCLUSTER_DATABASE_INSTANCESパラメータで指定した最大値までです。

参照:

  • Oracle RACのREDOログ・ファイルの記憶域の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

Oracle RACデータベースのREDOログ・ファイルへのアクセスについて

Oracle RACデータベースでは、単一インスタンスのOracle Databaseの場合と同じ方法で、各インスタンスがそのREDOスレッドへのREDOログ・グループの書込みおよびアーカイブを行います。

ただし、リカバリ・モードでは、リカバリを実行中のインスタンスは、どのインスタンスがREDOスレッドを生成したかに関係なく、データベースのすべてのREDOスレッドの読取りおよび処理を実行できます。すべてのREDOスレッドの読取りが可能になると、実行中のインスタンスは、障害が発生した1つ以上のインスタンスが完了した作業をリカバリできます。

インスタンスに障害が発生した場合、障害が発生していないインスタンスによって、障害が発生したインスタンスのREDOログが読み込まれます。ユーザーは、障害が発生したインスタンスの再起動を待たずにデータベースへのアクセスおよび更新を続行できます。たとえば、インスタンスAとインスタンスBという2つのインスタンスを持つOracle RACデータベースがあるとします。インスタンスAが停止しても、インスタンスBはインスタンスAとBの両方のREDOログ・ファイルを読み込んでリカバリを正常に完了できます。

Oracle Enterprise Managerを使用したオンラインREDOログ・ファイルの表示および作成

「REDOログ・グループ」ページで、追加REDOログ・グループを作成し、メンバーをそのREDOログ・グループに追加できます。「スレッド」列により、REDOログ・ファイルが属するインスタンスまたはREDOスレッドが識別されます。

Oracle Enterprise Managerを使用してREDOログ・ファイル・グループにアクセスするには、次のように実行します。

  1. クラスタ・データベースのホームページにアクセスします。

    Oracle Enterprise Managerへのログインの詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

  2. 「管理」メニューで、「記憶域」、次に「REDOログ・グループ」を選択します。

    「REDOログ・グループ」ページが表示されます。

  3. 「REDOログ・グループ」ページで、次のいずれかのタスクを実行します。
    • 各REDOログ・グループのステータス、メンバー数、スレッド、ファイル・サイズ、ステータスおよびアーカイブ像を表示します

    • ログ・グループの作成または削除

    • メンバーを追加または削除するためのREDOログ・グループの編集

    • ログ・ファイルの消去、ログ・グループの複製、サイズ指定のアドバイスの生成、およびログ・スイッチの強制などの他のREDOログ・グループ管理タスクの実行

参照:

  • Oracle RAC環境のREDOスレッドの詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • Oracle ASMのオンラインREDOログ・グループの作成の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

  • オンラインREDOログ・ファイルの管理の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。