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Oracle® Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド
12c リリース1 (12.1)
B71291-10
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手順2: データ・クラスに対応したストレージ層の作成

Oracle Databaseは様々な格納オプションを利用できるため、次の手順で必要なストレージ層を設定します。必要に応じていくつでもストレージ層を作成できますが、最初は次のストレージ層をお薦めします。

図5-2は、一定の期間でデータがどのように使用されるかを示しています。この図から、すべての情報を保管するには、すべてのデータを保存する複数のストレージ層が必要となり、さらに、それによってストレージの合計コストが大幅に節減されるというメリットがもたらされることがわかります。

ストレージ層を作成すると、「手順1: データ・クラスの定義」で指定したデータ・クラスが、パーティションを使用してデータベース内に物理的に実装されます。この方法により、データを使用方法に応じて適切なストレージ・デバイスに簡単に分散し、一方で、データをオンラインに保っていつでも利用できるようにし、最もコスト効果の高いデバイスに格納することができるようになります。

Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)を使用して、ストレージ層間のデータを管理することもできます。Oracle ASMは、Oracle Databaseファイル用の高パフォーマンスで管理が容易なストレージ・ソリューションです。Oracle ASMはボリューム・マネージャであり、データベースでのみ使用できるよう設計されたファイルシステムが備えられています。Oracle ASMを使用するには、ストライプ化およびミラー化のプリファレンスを使用して、Oracle Databaseのパーティション化したディスクを割り当てます。Oracle ASMによってディスク領域が管理され、使用可能なすべてのリソースにI/O負荷が配分されるため、I/Oを手動でチューニングしなくてもパフォーマンスが最適化されます。たとえば、データベースを停止しなくても、データベースのディスクのサイズを増加し、データベースの一部を新しいデバイスに移動できます。

ストレージ層へのクラスの割当て

ストレージ層を定義すると、手順1で指定したデータ・クラス(パーティション)を適切なストレージ層に割り当てることができます。これで、データを使用方法に応じて適切なストレージ・デバイスに簡単に分散し、一方で、データをオンラインに保っていつでも利用できるようにし、最もコスト効果の高いデバイスに格納することができます。図5-3で、アクティブ、非アクティブ、履歴またはアーカイブ可能として識別されるデータは、高パフォーマンス層、低コスト・ストレージ層、オンライン・アーカイブ・ストレージ層およびオフライン・アーカイブにそれぞれ割り当てられます。この方法を使用すると、アプリケーションによってデータが引き続き認識されるのでアプリケーションを変更する必要はありません。

図5-3 データのライフサイクル

図5-3の説明が続きます
「図5-3 データのライフサイクル」の説明

階層ストレージの使用によるコスト節減

ILM戦略を実装する利点の1つは、複数階層ストレージの使用によりコストを節減できることです。格納するデータが3TBあり、内訳は高パフォーマンス200GB、低コスト800GB、オンライン・アーカイブ2TBであるとします。また、1GB当たりのコストは、高パフォーマンス層では72ドル、低コスト層では14ドル、オンライン・アーカイブ層では7ドルと仮定します。

表5-1に、すべてのデータを1クラスのストレージに格納するかわりに階層ストレージを使用することで実現できるコスト節減を示します。ここでわかるように、非常に大きなコスト節減が可能です。データがOLTPおよびHCCデータベース圧縮に適している場合は、さらにコスト節減を行うことができます。


表5-1 階層ストレージ使用によるコスト節減

ストレージ層 単一層(高パフォーマンス・ディスク使用) 複数ストレージ層 複数層(データベース圧縮)

高パフォーマンス(200GB)

$14,400

$14,400

$14,400

低コスト(800GB)

$57,600

$11,200

$11,200

オンライン・アーカイブ(2TB)

$144,000

$14,000

$5,600

各列の合計

$216,000

$39,600

$31,200