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Oracle® Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド
12c リリース1 (12.1)
B71291-10
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リカバリ・ポイント目標(RPO)

リカバリ・ポイント目標つまりRPOは、組織に有害な結果をもたらすことのないデータ損失の最大許容量です。RPOは、一般的に、ビジネス・プロセスまたは組織の許容データ損失量に相当します。このデータ損失は、通常、5時間または2日分のデータ損失というように、時間に換算して測定されます。RPOが0の場合、メディアの損害時にコミット済データの損失が許容されません。一方、RPOが24時間の場合は、1日分のデータ損失が許容されます。

この項の内容は次のとおりです。

データ量の増加とバックアップ時間の延長

データ・ウェアハウスの最大の特徴はデータベースのサイズです。サイズは最大では数百TBを上回ります。このため、ハードウェアが、高速のバックアップとリカバリを制限する要因になります。ただし、現在のテープ・ストレージは、テープにオフロードする必要があるデータ容量を収容できるように進化し続けています(たとえば、標準的なテープ・アクセス・インタフェースを備え、内部でディスクを使用する仮想テープ・ライブラリが出現しています)。RMANは、使用可能なすべてのテープ・デバイスをパラレルで最大限に活用して、バックアップとリカバリで最高のパフォーマンスを実現します。

基本的には、大規模データベースのバックアップに必要な時間は、最小スループット(本番ディスク、ホスト・バス・アダプタ(HBA)およびネットワークからテープ・デバイスへの転送、テープ・ドライブのストリーム仕様のいずれか)とテープ・ドライブ数を掛けて算出できます。また、RMANのバックアップ暗号化または圧縮が使用される場合は、ホストCPUがバックアップ全体のパフォーマンスを制限する要因になることがあります。バックアップおよびリカバリの期間は、適切なハードウェア・リソースがあれば、すべてのビジネス要件に合うように調整できます。

分断攻略

データ・ウェアハウスでは、データベースが全面的に使用されない期間があります。この期間が数時間ずつ細切れになっている場合は、データベース全体をバックアップするには十分ではありません。数日間かけてデータベースのバックアップを分割して行うことを検討してください。RMANでは、所定のバックアップ・ジョブの実行可能時間を指定できます。BACKUP DURATIONを使用すると、バックアップを完了するまでできるだけ迅速に実行するか、バックアップによってデータベースが受ける負荷を最小限に抑えるようにゆっくり実行するかを選択できます。

次の例では、RMANによって、過去7日間にバックアップされていないすべてのデータベース・ファイルが最初にバックアップされます。また、実行時間は4時間で、ブロックをできるだけ高速で読み取ります。

BACKUP DATABASE NOT BACKED UP SINCE 'sysdate - 7' 
  PARTIAL DURATION 4:00 MINIMIZE TIME;

このRMANコマンドが実行されるたびに、過去7日間にバックアップされていないデータファイルが最初にバックアップされます。毎晩バックアップされる表領域またはデータファイルを手動で指定する必要はありません。すべてのデータベース・ファイルが数日かけてバックアップされます。

これはデータベース・バックアップの単純な方法ですが、実装が容易であり、大容量データのバックアップに対しても柔軟性があります。リカバリ中には、RMANがリストア操作を実行するために複数の異なるストレージ・デバイスを指定することがあります。結果としてリカバリ時間が長くなることがあります。