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Oracle® R Enterpriseインストレーションおよび管理ガイド
リリース1.4.1 for Windows, Linux, Solaris, and AIX
E57721-01
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7 Oracle R Enterpriseの管理タスク

この章では、Oracle R Enterpriseの保守及び最適化のための管理タスクについて説明します。この章の内容は次のとおりです。

7.1 Oracle R Enterpriseのアップグレード

Oracle R Enterpriseを再インストールすることで、以前のリリースから現在のリリースにアップグレードできます。


IBM AIXに関する注意:

Oracle R Enterprise 1.1からのアップグレードはIBM AIXでサポートされていません。IBM AIXでOracle R Enterprise 1.1をアップグレードするには、まずOracle R Enterprise 1.1を(Rを含めて)アンインストールした後、新しいバージョンをダウンロードしてインストールします。

Oracle R Enterpriseをアップグレードしてデータを移行するには、次の手順を実行します。

  1. 新しいバージョンのOracle R Enterpriseに必要なバージョンのRがインストールされていることを確認します。

    R要件については、表1-2「Oracle R Enterprise Serverのサポート・マトリクス」を参照してください。

  2. Oracle R Enterprise Serverをアップグレードするために、次のようにserverスクリプトを実行してインストールを実行します。

    ./server.sh --install
    

    スクリプトによって旧バージョンのOracle R Enterprise Serverが検出された場合は、アップグレードするかどうか確認を求められます。Yesと入力して、アップグレードを開始します。(Noを入力すると、プロセスが中断されます。)

    詳細は、第4.2項「SERVERスクリプトについて」を参照してください。

    .

  3. Oracle R Enterprise Clientをアップグレードするために、Oracle R EnterpriseパッケージおよびSupporting Packagesを再インストールします。新しいパッケージをインストールする前に現在のパッケージをアンインストールする必要はありません。

    手順については、第6章「Oracle R Enterprise Clientのインストール」を参照してください。

7.2 Oracle R Enterpriseのアンインストール

このトピックには次の項が含まれます:

7.2.1 Oracle R Enterprise Serverのアンインストール

Oracle R Enterprise Serverをアンインストールするには、--uninstallオプションを指定してserverスクリプトを実行します。完全アンインストールか部分アンインストールのいずれかを実行できます。デフォルトでは部分アンインストールが実行されます。

7.2.1.1 部分アンインストールの実行

部分アンインストールでは、rqsysメタデータおよびPL/SQLパッケージがデータベースから削除されますが、Oracle R Enterprise ServerをサポートするライブラリおよびRパッケージはOracleホーム内に残ります。Oracle R Enterprise Serverのサポートが複数のデータベース・インスタンスで同一のOracleホームにインストールされている場合、またはプラガブル・データベース(PDB)にインストールされている場合、部分アンインストールでは、指定したデータベースからOracle R Enterprise Serverサポートが削除され、他のデータベースに影響はありません。デフォルトでは、serverスクリプトにより部分アンインストールが実行されます。


注意:

Oracle R Enterprise Serverのサポートを共有するインスタンスまたはPDBの1つに対して誤って完全アンインストールを実行した場合、他の共有インスタンスまたはPDBでもOracle R Enterprise Serverがサポートされなくなります。serverスクリプトを再実行して、共有インスタンスまたはPDBの1つでインストールを実行すると、Oracleホーム内のOracle R Enterprise Serverサポートを簡単にリストアできます。

-uオプションを指定してserverスクリプトを実行すると、部分アンインストールが実行されます。--keepオプションを指定すると、部分アンインストールを明示的にリクエストできます。次のコマンドはすべて、Oracle R Enterprise Serverの部分アンインストールを実行します。

./server.sh  --uninstall  
./server.sh  -u
./server.sh  -u --keep
./server.sh  --uninstall  --keep

7.2.1.2 完全アンインストールの実行

完全アンインストールでは、rqsysメタデータおよびPL/SQLコードがデータベースから削除され、すべてのOracle R Enterprise ServerライブラリおよびRパッケージがOracleホームから削除されます。

次のコマンドはどちらも、Oracle R Enterprise Serverの完全アンインストールを実行します。

./server.sh --uninstall --full  
./server.sh -u  -full

注意:

共有Oracleホームで誤って完全アンインストールを実行した場合は、serverスクリプトを再実行して、Oracle R Enterprise Serverサポートを再インストールしてください。詳細は、7.2.1.1項を参照してください。

7.2.2 Oracle R Enterprise Clientのアンインストール

Oracle R EnterpriseパッケージおよびSupporting Packagesをアンインストールするには、Rを起動し、例7-1に示すコマンドを入力します。

例7-1 Oracle R Enterpriseパッケージのアンインストール用のRコマンド

remove.packages("ORE")
remove.packages("ORExml")
remove.packages("OREeda")
remove.packages("OREcommon")
remove.packages("OREembed")
remove.packages("OREgraphics")
remove.packages("OREstats")
remove.packages("OREbase")
remove.packages("ROracle")
remove.packages("DBI")
remove.packages("Cairo")
remove.packages("png")
remove.packages("OREdm")
remove.packages("OREpredict")
remove.packages("arules")
remove.packages("statmod")

7.3 LinuxまたはUNIXへの追加のRパッケージのインストール

LinuxおよびUNIXプラットフォームでは、Oracle R Enterprise ServerのインストールにOREスクリプトが用意されており、これをオペレーティング・システムのプロンプトから実行して追加のRパッケージをインストールできます。OREスクリプトは、Rのインストール・コマンド、R CMD INSTALLのラッパーです。

デフォルトでは、Rパッケージは/usr/lib64/R/libraryにインストールされます。ただし、OREスクリプトでは、Rパッケージが$ORACLE_HOME/R/libraryのサブディレクトリにインストールされます。

スクリプトを実行するには、次のコマンドを入力します。

ORE CMD INSTALL R_package_name

7.4 Oracle R Enterpriseのデータベース・ユーザーの作成

serverスクリプトのインストール・プロセスでは、Oracle R Enterpriseのユーザーが存在しない場合は自動的に作成または構成されます。

例7-2 Oracle R Enterpriseユーザーの作成

./server.sh
.
.

Choosing ORE user
  ORE user to use [list]:

[Enter]を押すと、使用可能なユーザーのリストが表示されます。

BI
HR
IX
OE
SCOTT
SH
  ORE user to use [list]: ruser2
.
.

存在するユーザーを選択すると、Oracle R Enterpriseをサポートするようにそのユーザーが構成されます。存在しないユーザーを指定すると、ユーザーが作成されます。

例7-3 SQL*PlusでのOracle R Enterpriseユーザーの作成

SQL*PlusでOracle R Enterpriseユーザーを作成するには、次の手順を実行します。

  1. システム権限でログインします。

    SQLPLUS / AS SYSDBA
    
  2. 次のような文を実行して、ユーザーを作成します。

    CREATE USER ore_username IDENTIFIED BY password
    DEFAULT TABLESPACE default_tablepace_name
    TEMPORARY TABLESPACE temp_tablespace_name 
    QUOTA UNLIMITED ON default_tablespace_name;
    

    関連項目:

    ユーザーの作成の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

  3. 必要な権限を付与します。

    GRANT CREATE SESSION,
          CREATE TABLE,
          CREATE VIEW,
          CREATE PROCEDURE,
          CREATE MINING MODEL
    TO ore_username; 
    

    関連項目:

    ユーザーへの権限付与の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。

7.4.1 RQADMINロールについて

serverスクリプトのインストール・プロセスでは、rqadminという名前のデータベース・ロールが作成されます。Oracle R Enterpriseユーザーにrqadminロールが付与されると、そのユーザーは埋込みRの実行用のRスクリプトを作成および削除できます。デフォルトでは、serverスクリプトによりOracle R Enterpriseユーザーにrqadminロールは付与されません


注意:

すべてのOracle R Enterpriseユーザーは埋込みRを実行できますが、Rスクリプトを作成および削除できるのはrqadminロールを持つOracle R Enterpriseユーザーのみです。

第4.2.3.4項に示したように、--adminオプションを指定してserverスクリプトを実行すると、rqadminロールがOracle R Enterpriseユーザーに付与されます。--adminオプションは、スクリプトをバッチ・モードで実行する場合にのみ使用できます。

SQL*Plusでrqadminロールを付与する場合は、システム権限でログインし、次のような文を実行します。

SQLPLUS / AS SYSDBA
GRANT RQADMIN TO ore_username;

注意:

rqadminロールを付与する場合は注意が必要です。Oracle R Enterpriseの管理権限を必要とするユーザーのみ、このロールを持つべきです。

7.5 Windowsでの環境変数の作成および変更

環境変数PATHORACLE_SIDおよびORACLE_HOMEが存在しない場合は、それらを作成して表7-2に指定されている値を割り当てる必要があります。Windowsシステムでは、環境変数を作成または変更するには管理者である必要があります。

次の手順に従って、Windowsで環境変数を作成または変更します。

    1. 「コンピューター」アイコンを右クリックして「プロパティ」を選択するか、Windowsの「コントロール パネル」で「システム」を選択します。

    2. 「システムの詳細設定」を選択します。

      図7-1 Windowsのシステムの詳細設定

      図7-1の説明は次にあります
      「図7-1 Windowsのシステムの詳細設定」の説明

    3. 「詳細設定」タブで、「環境変数」をクリックします。

      図7-2 Windowsの「環境変数」ダイアログ

      図7-2の説明が続きます
      「図7-2 Windowsの「環境変数」ダイアログ」の説明

    4. 「新規」をクリックして、新しい環境変数を作成します。「編集」をクリックして、既存の環境変数を変更します。


注意:

環境変数を作成するグラフィカル・ユーザー・インタフェースは、Windowsのバージョンによってわずかに異なる場合があります。

7.6 Oracle R Enterprise接続のOracleウォレットの作成

Oracleウォレットは、Oracle Databaseのセキュリティ資格証明書の格納に使用する、パスワードで保護されたコンテナです。ウォレットを使用することで、埋込みRスクリプトで接続の詳細を指定するためのセキュアなメカニズムが得られます。

Oracle R Enterprise接続のウォレットを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Wallet Managerを起動します。

    • (LinuxおよびUNIXの場合)コマンド・ラインでowmと入力します。

    • (Windowsの場合)「スタート」「プログラム」「Oracle - HOME_NAME」「Integrated Management Tools」「Wallet Manager」の順に選択します。

  2. ご使用のOracle Databaseのドキュメントの手順に従って、ウォレットを作成します。

  3. tnsnames.oraで、Oracle R Enterprise用の接続文字列を探します。例:

    mydb_test =
          (DESCRIPTION =
             (ADDRESS =
                (PROTOCOL = TCP)
                (HOST = server23)
                (PORT = 1521)
             )
             (CONNECT_DATA = (sid=ORCL))
          )
    
  4. ウォレットに接続情報を指定します。手順2で参照されているOracle Databaseのセキュリティに関するドキュメントの手順に従います。

  5. ウォレットを構成した後は、接続識別子を指定するだけで、Oracle R Enterprise Serverのデータベースに接続できます。例:

    ore.connect(conn_string = "mydb_test", all = TRUE)
    

    ore.connectの詳細を確認するには、次のようにRヘルプ・コマンドを使用します。

    help(ore.connect)
    

7.7 埋込みRが使用するメモリーの制御

Rのgcメカニズムで自動的に管理されるヒープ・メモリー(R用語でのベクトルとコンス)を制限することによって、埋込みRの実行で使用されるメモリーを制御できます。データベースでヒープ・メモリーのサイズを制限するには、sys.rqconfigsetユーティリティを使用します。sys.rqconfigsetのキーワード引数を、表7-1に示します。

表7-1 SYS.RQCONFIGSETのキーワード引数

キーワード デフォルト値 説明

MIN_VSIZE

32M

最小のRベクター・ヒープ・メモリー

MAX_VSIZE

4G

最大のRベクター・ヒープ・メモリー

MIN_NSIZE

1M

Rコンス・セルの最小値

MAX_NSIZE

20M

Rコンス・セルの最大値


例7-4 埋込みRが使用するメモリーの制御用のSQLコマンド

-- Set the minimum R vector heap memory to 20M
EXEC sys.rqconfigset('MIN_VSIZE', '20M');

-- Set the maximum R vector heap memory to 100M
EXEC sys.rqconfigset('MAX_VSIZE', '100M')

-- Set the minimum number of R cons cells to 500x1024
EXEC sys.rqconfigset('MIN_NSIZE', '500K');

-- Set the maximum number of R cons cells to 10x10x1024
EXEC sys.rqconfigset('MAX_NSIZE', '10M');

-- Set maximum vector heap memory and maximum cons cells to unlimited
EXEC sys.rqconfigset('MAX_VSIZE', NULL); 
EXEC sys.rqconfigset('MAX_NSIZE', NULL);

注意:

sys.rqconfigsetプロシージャでは、Calloc、Realloc、callocまたはmallocによって割り当てられる場合のあるCタイプのメモリーを制御できません。Cタイプのメモリーは、Cで実装されるRの関数により使用される、一時的な値を保存するために作成されます。通常、Cタイプのメモリーのサイズは限定的であるため、Rのメモリー使用量に著しく影響することはありません。

sys.rqconfigsetプロシージャは、sys.rq_configと呼ばれる構成表で設定を編集します。Oracle R Enterpriseの様々な環境設定を確認するためにこの表の内容を表示できます。sys.rq_configに格納された設定で、埋込みRのメモリーが制限されます。必要な場合はこれらのメモリー制限を変更できますが、ほとんどの場合、sys.rq_configの値は変更しないでください。

次の問合せは、sys.rq_configに格納されているサンプルの値を示します。

SQL> SELECT * FROM sys.rq_config;
 
NAME                      VALUE
------------------------- -----------------------------------------------------
R_HOME                    /usr/lib64/R
R_LIBS_USER               /dbhome_1/R/library
VERSION                   1.4.1
MIN_VSIZE                 32M
MAX_VSIZE                 4G
MIN_NSIZE                 2M
MAX_NSIZE                 20M