Oracle® R Enterpriseインストレーションおよび管理ガイド リリース1.4.1 for Windows, Linux, Solaris, and AIX E57721-01 |
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この章では、Oracle R Enterprise Serverのインストール方法および管理方法について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
Oracle R Enterpriseでは、サーバーに複数のコンポーネントが組み込まれます。これらのコンポーネントによって、Oracle R EnterpriseクライアントとOracle R Enterprise Serverとの相互作用が可能になります。
Oracle R Enterpriseのサーバー側コンポーネントは次のとおりです。
Oracle Database Enterprise Edition
Oracle R Distributionまたはオープン・ソースR
Oracle R Enterprise Server
Oracle R Enterprise Serverは次の要素で構成されます。
rqsys
スキーマ(第4.1.1項「RQSYSスキーマについて」を参照)
sys
内のメタデータおよび実行可能コード
Oracle R Enterprise Serverライブラリ(LinuxおよびUNIXの場合は$ORACLE_HOME/lib
内、Windowsの場合は%ORACLE_HOME%\bin
内)
$ORACLE_HOME/R/library
(Windowsの場合は%ORACLE_HOME%\R\library
)内のOracle R Enterprise Rパッケージ
サーバーのOracle R EnterpriseパッケージおよびSupporting Packagesでは、埋込みRの実行がサポートされています。これと同じパッケージを各クライアント・コンピュータに個別にインストールする必要があります(第6.1.2項「Oracle R Enterpriseパッケージについて」を参照)。
server
という名前の1つのスクリプトによって、Oracle R Enterprise Serverのインストールおよび管理が管理されます。Oracle R Enterpriseのサーバー側コンポーネントのインストール、アンインストール、アップグレードまたは構成が必要になったときにはいつでも、server
スクリプトを再実行できます。
server
スクリプトでは、次の操作がサポートされています。
Oracle R Enterprise Serverのインストール
Oracle R Enterpriseサーバーのアンインストール
Oracle R Enterprise Serverのアップグレードおよび旧インストールからのデータの移行
Supporting Packagesのインストール(使用可能な場合)
注意: server スクリプトを使用して、Supporting Packagesをインストールし、ユーザーを作成できます。また、次の各項で説明するように、これらのタスクを個別に実行することもできます。
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server
スクリプトでは、そのアクティビティを指示する一連のコマンドライン引数がサポートされています。スクリプトは、インタラクティブ・モード、バッチ・モードまたはハイブリッド・モードで実行できます。引数なしでスクリプトを実行すると、Oracle R Enterprise Serverがインタラクティブ・モードでインストールまたはアップグレードされ、Supporting Packagesのインストールが試行されて、データベース・ユーザーが作成または構成されます。
server
スクリプトのコマンドライン引数については、表4-1で説明しています。次のコマンドを実行すると、引数のリストおよび短い説明が表示されます。
./server.sh -h
or
./server.sh --help
表4-1 SERVERスクリプトのコマンドライン引数
引数 | 説明 |
---|---|
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プロンプトを表示しません。 |
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Oracle R Enterprise Serverをインストールまたはアップグレードします。 インストールまたはアップグレードでは、デフォルトで次の処理が行われます。
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Oracle R Enterpriseサーバーをアンインストールします。
第7.2項「Oracle R Enterpriseのアンインストール」を参照してください。 |
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Oracle R Enterpriseのデータベース・ユーザーを作成または構成します(デフォルト)。 |
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Oracle R Enterprise Serverをアンインストールするときに、OracleホームのRパッケージおよびライブラリは保持しますが、データベース・オブジェクトは削除します。Oracleホーム内の他のデータベースに影響を与ることなく、単一データベース・インスタンスまたはプラガブル・データベース(PDB)からOracle R Enterpriseのサポートを削除できます。 第7.2.1.1項「部分アンインストールの実行」を参照してください。 |
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Oracle R Enterprise Serverをアンインストールするときに、OracleホームのRパッケージおよびライブラリも、データベース・オブジェクトも削除します。 第7.2.1.2項「完全アンインストールの実行」を参照してください。 |
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Oracle R Enterpriseユーザーに 第7.4.1項「RQADMINロールについて」を参照してください。 |
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第4.3.3.1項「オペレーティング・システム認証について」で説明するように、オペレーティング・システム認証に基づいてスクリプトが実行されている場合、 |
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マルチテナントのコンテナ・データベース(CDB)内のプラガブル・データベース(PDB)の名前。 マルチテナント・アーキテクチャを使用すると、Oracle Databaseを、0、1または多数のプラガブル・データベース(PDB)を含むプラガブル・データベースを含むコンテナ・データベースとして機能させることができます。マルチテナント・アーキテクチャの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。 |
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第4.1.1項「RQSYSスキーマについて」を参照してください。 |
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Oracle R Enterpriseユーザーの永続表領域。 |
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Oracle R Enterpriseユーザーの一時表領域。 |
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Oracle R Enterpriseユーザーのパスワード。 |
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Oracle R Enterpriseのデータベース・ユーザー名。 |
LinuxまたはUNIXシステムが第4.3.1項で指定されている要件を満たす場合、このコマンドによりOracle R Enterprise Serverのデフォルトの初回インストールが実行されます。
./server.sh
例A-1に示すとおり、デフォルトのインタラクティブ・インストールでは次の処理が実行されます。
環境の情報が出力されます。
パスワードとrqsys
の永続表領域および一時表領域の入力を求めるプロンプトが表示されます。
Supporting Packagesをインストールするかどうか確認するプロンプトが表示されます。(デフォルトでは、Supporting Packagesが使用可能な場合はインストールされます。)
Oracle R Enterpriseのユーザー・アカウントを作成するかどうか確認するプロンプトが表示されます。(デフォルトでは、ユーザーが存在しない場合は作成されます。)ユーザーの作成時に、永続表領域および一時表領域の入力を求めるプロンプトが表示されます。
この例では、第4.2.3.1項と同様のインストールをバッチ・モードで実行するように指定します。
./server.sh -y --install --setup-user --sys ORASYSPSWD, --perm SYSAUX --temp TEMP --rqsys RQSYSPSWD --user-perm USERS --user-temp TEMP --pass RQUSERPSWD --user RQUSER
server
スクリプトにより、ユーザーが存在しない場合は自動的に作成または構成されます。既存のユーザーの名前を指定すると、Oracle R Enterpriseをサポートするようにそのユーザーが構成されます。
例7-2「Oracle R Enterpriseユーザーの作成」を参照してください。
この例では、server
スクリプトの実行で、第4.2.3.2項で作成されたユーザーにrqadmin
ロールを付与する方法を示します。--admin
引数は、バッチ・モードでのみ使用可能です。
./server.sh -y --setup-user --admin --sys ORASYSPSWD - -pass RQUSERPSWD --user RQUSER
第7.4.1項「RQADMINロールについて」を参照してください。
Oracle R Enterprise Serverをインストールする前に、システム環境を確認し、ユーザーIDに正しい権限があることを確認してください。
表4-2 Oracle R Enterprise Server用の環境変数要件
プラットフォーム | 環境変数要件 |
---|---|
すべて |
Windowsでは、OracleホームおよびOracleインスタンス識別子の値はWindowsレジストリで確認できます。このコンピュータ上に2つ以上のOracleホームまたはOracleインスタンスが存在する場合は、環境変数で必要な値を指定できます。7.5項「Windowsでの環境変数の作成および変更」を参照してください。 |
Linux |
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Microsoft Windows |
Rホーム・ディレクトリの値はWindowsレジストリで確認できます。このコンピュータ上に2つ以上のRホームが存在する場合は、環境変数で必要な値を指定できます。7.5項「Windowsでの環境変数の作成および変更」を参照してください。 |
Oracle R Enterprise Serverをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーは、表4-3の要件を満たす必要があります。
表4-3 Oracle R Enterprise Serverのインストール実行者のユーザー要件
プラットフォーム | ユーザー要件 |
---|---|
LinuxおよびUNIX |
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Microsoft Windows |
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Oracle R Enterprise Serverのインストール・スクリプトでは、ORACLE_HOME
およびORACLE_SID
によって識別されるデータベースへの接続にシステム認証が使用されます。システム認証は、データベース資格証明書ではなくユーザーのオペレーティング・システム資格証明書に基づいています。
たとえば、Linuxシステムでは、Oracle R Enterpriseのインストール・スクリプトで、次の文を使用してパスワードなしでSQL*Plusが起動されます。
$ORACLE_HOME/bin/sqlplus / as sysdba
特別なオペレーティング・システム・グループのメンバーシップによって、Oracle Databaseのシステム認証が行われます。このオペレーティング・システム・グループは、データベースのインストール時に作成され、インストール実行者のIDがグループに自動的に割り当てられます。グループの一般的な名前はOSDBAです。LinuxおよびUNIXでは、OSDBAの名称はdba
です。Windowsでは、OSDBAの名称はora_dba
です。
Oracle R Enterprise ServerをインストールするユーザーはOSDBAに属している必要があります。
関連項目:
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「オペレーティング・システム認証について」に記載されているとおり、Oracle R Enterprise Serverインストール・スクリプトを実行するLinuxまたはUNIXのユーザーIDはdba
グループに属している必要があります。サーバー上でその他のOracle R Enterpriseスクリプトを実行するには、dba
グループのメンバーシップも必要です。Windowsでは、dba
グループはora_dba
と呼ばれます。
ご使用のLinuxまたはUNIXのユーザーIDのグループ・メンバーシップを確認するには、次のコマンドを入力します。
% groups
dba othergroup
ご使用のWindowsのユーザーIDのグループ・メンバーシップを確認するには、次の手順を実行します。
Windowsの「コントロール パネル」を開きます。
「ユーザー アカウント」を選択します。
「ユーザー アカウントの管理」を選択します。
「ユーザー アカウント」ダイアログの「ユーザー」タブには、名前、ドメインおよび各ユーザー・アカウントのグループがリストされています。ご使用のIDがグループora_dba
に属していることを確認します。
Oracle R Enterprise Serverをインストールするには次の手順を実行します。
システムが第4.3項で指定されている要件を満たしていることを確認します。
Oracle R Enterprise Serverコンポーネントのインストール・ディレクトリを作成します。ディレクトリには任意の名前を使用できます。例:
/oreserver_install_dir
Oracle Technology NetworkのOracle R Enterpriseのダウンロード・ページから、Oracle R Enterprise Serverインストール・ファイルおよびSupporting Packagesをダウンロードします。
ライセンス契約に同意して、ご使用のプラットフォーム用のOracle R Enterprise Serverファイルをインストール・ディレクトリにダウンロードします。
ライセンス契約に同意して、ご使用のプラットフォーム用のOracle R Enterprise Supporting Packagesをインストール・ディレクトリにダウンロードします。
インストール・ディレクトリに2つのzipファイルが配置されます。
ore-server-platform-arch-1.4.1.zip ore-supporting-platform-arch-1.4.1.zip
ファイルを解凍します。
unzip ore-server-platform-arch-1.4.1.zip unzip ore-supporting-platform-arch-1.4.1.zip
両方のファイルを解凍した後のインストール・ディレクトリは次のようになります。
/oreserver_install_dir ore-server-platform-arch-1.4.1.zip ore-supporting-platform-arch-1.4.1.zip server.sh /server /supporting
server.sh
を実行します。第4.2.3.1項で説明したように、スクリプトによってOracle R Enterprise Serverのデフォルトの初回インストールが実行されます。
./server.sh
Oracle R Enterprise Serverインストール・スクリプトによって、インストール・ディレクトリのserverサブディレクトリにログ・ファイルが作成されます。ログ・ファイルを調べて、インストール・プロセスが正常に終了していることを確認します。
LinuxまたはUNIXシステムでは、次のコマンドでログ・ファイルがリストされます。
cd ./oreserver_install_dir/server
ls *.log
outcdb.log rqconfig.log rqdrop.log rqgrant.log rqinst.log rqpdrp.log rqproc.log rquser.log
インストールに問題があり、解決できない場合は、My Oracle Supportまたはthe Oracle R Enterpriseのディスカッション・フォーラムで助力を求めることができます。
My Oracle Support — https://support.oracle.com
Oracle R Enterpriseのフォーラム -
https://forums.oracle.com/community/developer/english/business_intelligence/data_warehousing/r
第6.5項の説明に従って接続した後、次のコマンドを使用して、Oracle R Enterpriseの基本的な機能の一部をテストできます。
## Is the ORE client connected to the ORE server? ## The output of this command should be TRUE. ore.is.connected() ## List the available database tables ore.ls() ## Push an R dataframe to a database table CARS <- ore.push(cars) head(CARS) ## Run embedded R ore.doEval(function() { 123 })
Oracle R Enterpriseのデモ・スクリプトを実行することにより、インストールが正常に完了したことをさらに確認できます。エラーが発生せずスクリプトが完了した場合、スクリプト例は正常に実行されています。
スクリプト例は、$ORACLE_HOME/R/library/ORE/demo
にあります。
次のコマンドで、使用可能なスクリプト例のリストが表示されます。
demo(package="ORE")
次のコマンドで、例のうちの2つを実行します。aggregate
スクリプトでは、データベース・メモリーに存在するデータへのR関数の使用がテストされ、row_apply
スクリプトでは、埋込みRの実行がテストされます。
demo("aggregate", package="ORE") demo("row_apply", package="ORE")
次のコマンドはRを終了します。
q()