6 STA でのライブラリ接続の構成

STA でサイトでのライブラリのモニターを行うには、ライブラリと STA サーバーのそれぞれでいくつかの構成アクティビティーを実行する必要があります。この章では、STA サーバーで実行されるアクティビティーについて説明します。

この章には次のセクションが含まれます。

STA 構成タスク

次に示すリストの順番どおりに手順を完了する必要があります。このプロセスを完了すると、STA はライブラリのモニタリングと分析の実行を開始できるようになります。

STA へのログイン

この手順を使用して、STA にログインし、このセクションのその他の手順を実行します。詳細な手順については、STA ユーザーズガイドを参照してください。

  1. 使用しているコンピュータでサポートされている Web ブラウザを起動し、STA アプリケーションの URL を入力します。

    http(s)://STA_host_name:port_number/STA/
    

    ここでは:

    • host_name は STA サーバーのホスト名です。

    • port_number はインストール中に指定した STA ポート番号です。デフォルトの HTTP ポートは 7021 であり、デフォルトの HTTPS ポートは 7022 です。

    • STA は大文字にする必要があります。

    例:

    https://staserver.example.com:7022/STA/ 
    
  2. ログイン画面で STA 管理者ユーザー名とパスワードを入力します。

ライブラリ とのSNMP 通信の検証

STA サーバーとライブラリ間の SNMP 接続が良好であることを確認するには、次の手順を使用します。

この手順では、UDP ポート 161 と 162 が STA サーバーとライブラリ間のすべてのネットワークノードで有効化されているかどうかを検証します。SNMP v3 トラップ受信者が正しく指定されているかどうかは検証できません。

モニター対象のライブラリごとに次の手順を実行します。冗長電子装置またはデュアル TCP/IP を使用する SL3000 または SL8500 ライブラリに対し、この手順を 2 回 (プライマリライブラリ IP アドレスとセカンダリ IP アドレスについて 1 回ずつ) 実行します。

注:

この手順は、STA サーバーのシステムコマンド行から実行されます。
  1. STA サーバーでターミナルウィンドウを開き、システムルートユーザーとしてログインします。

  2. SNMP v3 接続をテストします。指定する値は、ライブラリ内の対応する値と一致する必要があります。

    # snmpget –v3 –u SNMP_user –a SHA –A auth_pwd –x DES –X priv_pwd –l authPriv library_IP_addr 1.3.6.1.4.1.1211.1.15.3.1.0
    

    ここでは:

    • v3 は、SNMP v3 を示します。

    • SNMP_user は、SNMP v3 のユーザー名です。

    • SHA は、認証プロトコルを示します。

    • auth_pwd は認証パスワードです。

    • DES は、プライバシプロトコルです。

    • priv_pwd はプライバシパスワードです。

    • authPriv は、コマンドでプライバシ実行が行われることを示します。

    • library_IP_addr は、ライブラリのパブリックポートの IP アドレスです。

      • SL150 ライブラリの場合、これはネットワークポート 1 です。

      • SL500 ライブラリの場合、これはポート 1B です。

      • SL3000 および SL8500 ライブラリの場合、デュアル TCP/IP または冗長電子装置がライブラリでアクティブ化されているかどうかに応じて、テストするポートが複数存在する可能性があります。複数のポートがある場合、IP アドレスごとにこのコマンドを実行します。

    • 1.3.6.1.4.1.1211.1.15.3.1.0 は、ライブラリの SNMP オブジェクト識別子 (OID) で、すべてのライブラリモデルに対して同一です。

      コマンド出力にライブラリモデルが表示されると、テストは成功です。次にコマンドの例をいくつか挙げます。

      例6-1 成功した snmpget コマンド

      # snmpget –v3 –u STAsnmp –a SHA –A authpwd1 –x DES –X privpwd1 –l authPriv 192.0.2.20 1.3.6.1.4.1.1211.1.15.3.1.0
      SNMPv2–SMI::enterprises.1211.1.15.3.1.0 =STRING: "SL8500"
      

      例6-2 失敗した snmpget コマンド - ネットワークタイムアウト

      # snmpget –v3 –u STAsnmp –a SHA –A authpwd1 –x DES –X privpwd1 –l authPriv 192.0.2.20 1.3.6.1.4.1.1211.1.15.3.1.0
      Timeout: No Response from 192.0.2.20.
      

      例6-3 失敗した snmpget コマンド - 無効なパスワード

      # snmpget –v3 –u WrongUsr –a SHA –A authpwd1 –x DES ‐X WrongPwd ‐l authPriv 192.0.2.20 1.3.6.1.4.1.1211.1.15.3.1.0
      snmpget: Authentication failure (incorrect password, community or key)
      
  3. SNMP v2c 接続をテストします。

    # snmpget –v2c –c public –l authPriv library_IP_addr
    

    ここでは:

    • v2c iは、SNMP v2c を示します。

    • public は、コミュニティ文字列を示します。

    • authPriv は、コマンドでプライバシ実行が行われることを示します。

    • library_IP_addr は、ライブラリのパブリックポートの IP アドレスです。

  4. どちらの SNMP 接続テストも成功している場合は、この手順を終了できます。いずれかのテストが失敗した場合は、次のステップに進み、必要に応じてネットワークの問題がある箇所のトラブルシューティングをします。

  5. STA サーバーからライブラリへのパケットルーティングを確認します。

    # traceroute –I library_IP_addr
    

    ここでは:

    • ‐I (大文字の "I") は、ユーザーデータグラムプロトコル (UDP) のデータグラムではなく、インターネットコントロールメッセージプロトコル (ICMP) のエコーリクエストパケットを使用することを示します。

    • library_IP_addr は、ライブラリのパブリックポートの IP アドレスです。

    出力に、ホップ数と各ホップに到達するための往復時間が示されます。往復時間 (コマンド出力の最後の行) は、1 秒未満であるべきです。これを満たさない場合、ネットワークのパフォーマンスをネットワーク管理者と確認してください。

  6. STA サーバーとライブラリ間で送信される TCP/IP パケットをモニターします。

    # tcpdump –v host library_IP_addr > /var/tmp/file_name &
    

    ここでは:

    • ‐v は詳細出力を示します。

    • host は指定したホスト (この場合、ライブラリ) で送受信されるパケットのみを収集することを示しています。

    • library_IP_addr は、ライブラリのパブリックポートの IP アドレスです。

    • file_name は出力の保存先のファイル名です。

STA の SNMP クライアント設定の構成

STA の SNMP クライアント設定を追加または修正するには、次の手順を使用します。1 つ以上のライブラリから SNMP データを受信するように STA を構成するには、次の設定を使用します。

SNMP クライアントは、ユーザーサイトの STA インスタンスごとに 1 つだけエントリがあります。

  1. Setup & Administration」タブから、「Configuration」を選択し、「SNMP Connection」を選択します。

  2. 次のように進めます。

    • はじめてクライアント設定を構成するには、「Client Attributes」表で空の表行を選択し、「Edit」をクリックします。 snmpd_editclient.pngの説明が続きます
      図の説明snmpd_editclient.png

    • 既存のクライアント設定を変更するには、「Client Attributes」表のエントリを選択し、「Edit」をクリックします。 snmpd_clientedit.pngの説明が続きます
      図の説明snmpd_clientedit.png

    「Define SNMP Client Settings」ダイアログボックスが表示されます。これが新しい構成の場合、フィールドは空白です。

  3. 次の手順でダイアログボックスの操作を完了します。指定する値は、ライブラリ内の対応する値と一致する必要があります。

    注:

    STA が SNMP v2c 通信のために構成されたライブラリをモニタリングするだけの場合でも、SNMP v3 に該当するものを含め、すべてのフィールドに入力する必要があります。フィールドを空白のままにすることはできません。
    • STA SNMP 接続ユーザー名 (Auth)—SNMP v3 ユーザー名を入力します。

    • STA SNMP 接続 (承認) パスワードを入力— 接続承認パスワードを入力します。

    • プライバシ暗号化パスワードを入力 (プライバシ) —プライバシ暗号化パスワードを入力します。

    • ユーザーコミュニティー—このフィールドは、ライブラリとのSNMP ハンドシェイクに必要です。または、SNMP v2c を使用している場合は、ライブラリとの STA 通信のために必要です。ライブラリに指定されている通信名を入力します。デフォルト値は public です。

    • トラップコミュニティー —ライブラリとの通信に SNMP v2c が使用されている場合にのみ使用します。SNMP v3 を使用している場合は、この値をデフォルト (public) に設定されたまましておきます。SNMP v2c を使用している場合、ライブラリに指定されているトラップコミュニティー名を入力します。

    snmpd_defclientd.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_defclientd.png

  4. 保存」をクリックします。

    構成レコードが更新され、メッセージボックスが表示されます。これは、ライブラリとのSNMP 通信ハンドシェイクを確立または再確立するためのライブラリ接続テストを実行すべきであることを示します。

    snmpd_cxntestmsg.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_cxntestmsg.png

  5. OK」をクリックすると、そのメッセージが閉じます。

ライブラリへのSNMP 接続の構成

SNMP 接続を構成するか、または既存の接続を変更するには、STA でモニターするライブラリごとに次の手順を使用します。既存の接続の場合は、ライブラリ IP アドレスの変更など、モニター対象ライブラリの SNMP 構成の設定に何らかの変更がある場合、この手順を実行する必要があります

注:

複数のライブラリ接続を一度に構成している場合は、ライブラリの障害を最小化するために、すべてのライブラリについてこの手順を完了してから SNMP 接続をテストします。
  1. Setup & Administration」タブから、「Configuration」を選択し、「SNMP Connection」を選択します。

  2. 次のように進めます。

    • はじめてライブラリへの接続を構成するには、「Monitored Libraries」ツールバーで「Add」をクリックします。 snmpd_monlibadd.pngの説明が続きます
      図の説明snmpd_monlibadd.png

    • 既存のライブラリ接続を変更するには、「Monitored Libraries」表のライブラリを選択し、「Edit」をクリックします。 snmpd_monlibselect.pngの説明が続きます
      図の説明snmpd_monlibselect.png

    「Define Library Connection Details」ダイアログボックスが表示されます。これが新しいライブラリ接続の場合、フィールドは空白です。

  3. 次の手順でダイアログボックスの操作を完了します。指定する値は、ライブラリ内の対応する値と一致する必要があります。

    • Library Name— STA ユーザーインタフェース画面全体でライブラリを識別する名前を入力します (たとえば、ライブラリホスト名)。

    • Library Primary IP Address— ライブラリのプライマリパブリックポートの IP アドレスを入力します。別のモニター対象ライブラリの IP アドレスを指定することはできません。

    • ライブラリセカンダリ IP アドレス — デュアル TCP/IP または冗長電子装置を使用する SL3000 および SL8500 ライブラリにのみ適用します。ライブラリ内でセカンダリパブリックポートの IP アドレスを指定します。別のモニター対象ライブラリの IP アドレスを指定することはできません。その他すべてのライブラリについては、SL500 および SL150 の全ライブラリを含めフィールドを空白のままにします。

    • STA IP アドレス — STA サーバーの IP アドレスを選択します。

    • ライブラリエンジン ID — このフィールドは変更しないでください。これは、STA とライブラリの間の初期接続の確立時に自動的に指定される、ライブラリの一意の SNMP エンジン ID です。これは、新規接続の場合は空白です。

    • 日次データの自動リフレッシュ — STA でライブラリからの最新構成データ収集を実行する時間を指定します。データは、その時間に 24 時間ごとに自動的に収集されます。通常、ライブラリの使用率が低くなる時間を選択するべきです。デフォルトは 00:00 (深夜 12:00) です。24 時間制を使用してください。

      注意:

      このフィールドを空白のままにすると、スケジュールされた自動ライブラリデータ収集は無効になります。この場合、STA ライブラリ構成データがライブラリと同期しなくなります。
    • ライブラリのタイムゾーン — ライブラリのローカルタイムゾーンを選択します。

    snmpd_deflibd.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_deflibd.png

  4. 保存」をクリックします。

    構成レコードが更新され、メッセージボックスが表示されます。これは、ライブラリとのSNMP 通信ハンドシェイクを確立または再確立するためのライブラリ接続テストを実行すべきであることを示します。

    snmpd_cxntestmsg.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_cxntestmsg.png

  5. OK」をクリックすると、そのメッセージが閉じます。

    既存のライブラリ接続を変更すると、「Monitored Libraries」表の「Library Engine ID」フィールドがクリアされ、SNMP 接続が切れたことを示します。

ライブラリへの SNMP 接続のテスト

STA とライブラリ間の SNMP 接続をテストして、通信ハンドシェイクを確立または再確立するには、次の手順を使用します。接続の切断やSNMP トラップの損失を回避するには、モニター対象のライブラリごとに、ライブラリまたは STA クライアントの SNMP 構成の設定を追加したり変更したりするときは常に、次の手順を実行することをお勧めします。

1 回につき 1 つのライブラリ接続のみテストできます。

注:

接続テストによって受信 SNMP パケットが一瞬失われる可能性があるため、この手順は必要なときにのみ行うようにしてください。

注:

この手順を実行する前に、ライブラリが操作可能であることを確認する場合があります。
  1. Setup & Administration」タブで、「Configuration」を選択して、「SNMP 接続」を選択します。

  2. 「Monitored Libraries」表でライブラリを選択して、「Check / Test Connection」をクリックします。 snmpd_cxntest.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_cxntest.png

    「Connection Test Status」メッセージボックスが表示され、MIB Walk Channel、トラップチャネル、および Media Validation Support テストの結果が表示されます。

    snmpd_cxnteststatusd.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_cxnteststatusd.png

  3. OK」をクリックしてメッセージボックスを閉じます。

    「Monitored Libraries」表は、テスト結果に基づいて更新されています。

    snmpd_cxntestupdate.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_cxntestupdate.png

    • Library Complex 」フィールドが空白の場合は、手動データ収集の実行後に供給されます。

    • Library Engine ID は、ライブラリの一意の SNMP エンジン ID を示します。

    • Last Connection Attempt は、接続テストが開始された日時を示します。

    • Last Successful Connection は、テストが成功した場合、テストが完了した日時を示します。

    • Last Connection Status は、テストの結果を示します。テストが失敗した場合、STA は情報を「Last Connection Failure Detail」フィールドに提供します。(値全体を表示するには、列幅の拡大が必要になることがあります。)

      注:

      タイムアウトが原因でテストが失敗する場合は、ライブラリのアクティビティーが少ない期間にこの手順を繰り返してください。テストが完了したら、タイムスタンプを比較して、ライブラリが最新情報を提供しているかどうか検証できます。

手動データ収集の実行

この手順を使用してライブラリの手動データ収集を開始し、最新のライブラリ構成データを取得します。この手順が正常に完了すると、STA はライブラリのモニタリングとデータ分析の実行を開始します。

STA は、スケジュールされた時間に24時間ごとに自動的にデータ収集を実行しますが、ライブラリまたは STA クライアントの SNMP 構成設定を追加または変更する場合は必ず、モニター対象のライブラリごとに手動データ収集を実行する必要があります。

データ収集には、ライブラリサイズに応じて数分から 1 時間かかる場合があります。

注:

複数のデータ収集を同時に実行できますが、1 回につき 1 つ開始してください。この手順を必要なだけ繰り返し、そのつど、別のライブラリを選択します。
  1. Setup & Administration」タブで、「Configuration」を選択して、「SNMP 接続」を選択します。

  2. 「Monitored Libraries」表でライブラリを選択して、「Get latest data」をクリックします。1 回につき 1 つのライブラリのみ選択できます。

    snmpd_getdata.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_getdata.png

    「確認」メッセージボックスが表示されます。

    snmpd_datacollectd.pngの説明が続きます
    図の説明snmpd_datacollectd.png

  3. OK」をクリックしてメッセージボックスを閉じます。

    データ収集が開始され、「Monitored Libraries」表で結果が更新されます。

    • Library Complex は、ライブラリコンプレックス ID を示します。

    • Library Engine ID は、ライブラリの一意の SNMP エンジン ID を示します。

    • Last Connection Attempt は、データ収集が開始された日時を示します。

    • Last Successful Connection は、データ収集が成功した場合、テストが完了した日時を示します。

    • Last Connection Status が次のように更新されます。

      • IN PROGRESS: データの収集プロセスが進行中です。

      • SUCCESS: データの収集に成功しました。STA は、ライブラリから交換データの受信を開始します。

      • FAILED: データ収集は成功しませんでした。可能な場合、STA によって「Last Connection Failure Detail」フィールドに情報が提供されます。(値全体を表示するには、列幅の拡大が必要になることがあります。)

      注:

      ステータスは 4 分ごとに更新され、デフォルトの画面リフレッシュ間隔は 480 秒です。ただし、いつでも「Refresh Table」ボタンをクリックして、表のリフレッシュを強制的に行うことができます。 「Refresh Table」アイコン
    • Recent SNMP Trap Communication Status」が断続的に、「MISSED HEARTBEAT」と示されることがあります。これは正常な状態です。