7 STA サービスの構成

STA バックアップサービスユーティリティーと STA リソースモニターサービスユーティリティーを構成するには、次の手順を使用します。

この章には次のセクションが含まれます。

STA サービスの概要

  • STA データベースバックアップサービス — STA バックアップサービスの構成にはその管理ユーティリティー staservadm を使用します。このユーティリティーのコマンドオプションの完全なリストを表示するには、staservadm ‐h と入力します。詳細は、『STA 管理ガイド』を参照してください。

  • STA リソースモニターサービス — STA リソースモニターサービスの構成にはその管理ユーティリティー staresmonadm を使用します。このユーティリティーのコマンドオプションの完全なリストを表示するには、コマンド行で staresmonadm ‐h と入力します。詳細は、『STA 管理ガイド』を参照してください。

これらのサービスユーティリティーは、/Oracle_storage_home/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin ディレクトリにあります。Oracle ストレージホームの詳細は、STA インストーラで使用するユーザー、グループ、場所を参照してください。

STA サービスの構成タスク

一般的なタスク 

STA データベースバックアップの構成タスク 

STA リソースモニターの構成タスク 

システムパスの更新 (オプション)

STA bin ディレクトリがシステムの root ユーザーの PATH 変数に確実に含まれるようにするには、次の手順を使用します。bin ディレクトリには、STA サービスユーティリティーである staservadmstaresmonadm が含まれています。

  1. 現在の STA サーバーで端末セッションを開き、システムの root ユーザーとしてログインします。

  2. テキストエディタを使用してユーザープロファイルを開きます。例:

    # vi /root/.bash_profile
    
  3. STA bin ディレクトリを PATH 定義に追加します。たとえば、次の行をファイルに追加します。

    PATH=$PATH:Oracle_storage_home/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin
    

    ここで Oracle_storage_home は、STA のインストール中に指定された Oracle ストレージホームの場所です。

  4. ファイルを保存して終了します。

  5. ログアウトしてから、再度システムの root ユーザーとしてログインします。

  6. PATH 変数が正しく更新されていることを確認します。

    # echo $PATH
    /usr/lib64/qt-3.3/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/sbin:/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/root/bin:/Oracle/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin
    

STA サービスデーモンの再起動 (オプション)

STA サービスデーモン staservd を再起動するには、次の手順を使用します。

STA バックアップサービスまたは STA リソースモニターサービスの構成設定を変更して、新しい設定を即時に有効にする場合に、この手順が役に立ちます。この手順を使用しない場合、サービスがスリープ間隔から復帰して新しい設定を処理するとすぐに、新しい設定が有効になります。

  1. STA サービスデーモンを停止します。

    # STA stop staservd
    
  2. STA サービスデーモンを起動します。

    # STA start staservd
    
  3. デーモンのステータスを表示して、実行中であることを確認します。

    # STA status staservd
    

ライブラリ接続の確認

サービスの構成が終了したら、構成済みのすべてのライブラリが「最新データの取得」リクエストを完了したことを確認します (「Last Connection Status」には「SUCCESS」と示され、STA はライブラリから交換データを受信しているはずです)。詳細は、『STA ユーザーズガイド』を参照してください。

STA データベースバックアップユーティリティープリファレンスの確認

使用可能なプリファレンス設定の説明および設定の定義については、表7-1 を確認してください。

表7-1 STA バックアップサービス管理ユーティリティー (staservadm) の属性

オプション
属性
説明
デフォルト値
使用する値

-S、--scp

-F、--ftp

File transfer type

バックアップファイルを STA サーバーからバックアップホストにコピーするために使用されるファイル転送の方法。オプションは、「SCP」(推奨) または「FTP」です。

SCP

 

-T、--time

Full backup dump time

STA がデータベース全体のバックアップダンプを実行する時間。ダンプは、この時間前後に 24 時間ごとに自動的に実行されます。実際の時間は、この時間よりあとの「スリープ間隔」秒内です。形式は、24 時間制の hh:mm です。

00:00

 

-i、--int

Sleep interval

STA サービスデーモンが新しい増分バックアップファイルを調べるまでに待機する秒数。

300

 

-s、--server

Backup host name

STA サーバーがバックアップファイルをコピーする先となるサーバーホストの IPv4 アドレス、IPv6 アドレス、または完全修飾 DNS ホスト名。

なし

 

-u、--usr

Backup user ID

バックアップホストへの SCP ファイルの転送の実行が許可されているシステムユーザー ID。

なし

 

-p、--pwd

Backup password

バックアップユーザーに割り当てられているパスワード。

なし

 

-d、--dir

Backup directory

バックアップファイルがコピーされるバックアップホストにあるディレクトリ。

なし

 

-U、--dbusr

Database username

mysqldump コマンドの実行が許可されているデータベースユーザー名。STA データベースの DBA アカウントユーザー名を指定するべきです。

なし

 

-P、--dbpwd

Database password

データベースユーザー名のパスワード。

なし

 

リモートデータベースバックアップサーバーの構成

STA データベースバックアップサービスによって生成された圧縮済みバックアップファイルを受信するようにリモートバックアップサーバー (または同等のもの) を構成するには、次の手順を使用します。Oracle では、リモートバックアップサーバーを構成することをお勧めします。

必要な領域は不定です。サイズは、保持するコピーの数に応じて、STA データベースのローカルバックアップに使用されるサイズの倍数であるべきです。バックアップサーバーストレージは、ミラー化またはストライプ化されているべきです。

  1. バックアップサーバーで、システムの root ユーザーとしてログインします。

  2. STA バックアップユーザーの新しいグループを作成します。例:

    # groupadd -g 54321 stabckgr
    

    この例では、グループ ID は「stabckgr」で、数値 GID を指定するために -g オプションが使用されています。

  3. STA バックアップユーザーを作成します。例:

    # adduser stabck -c "STA database backup user" -m -d /home/stabck -g stabckgr -s /bin/bash -u 98765
    

    この例では、ユーザー ID は「stabck」で、次のオプションが使用されています。

    • ‐c – コメント。

    • ‐m – ユーザーのホームディレクトリを作成します。

    • ‐d – ホームディレクトリの絶対パス。

    • ‐g – ユーザーを指定のグループに割り当てます。

    • ‐s – 指定のログインシェルをユーザーに割り当てます。

    • ‐u – 指定の数値 UID をユーザーに割り当てます。

  4. STA バックアップユーザーにパスワードを割り当てます。例:

    # passwd stabck
    Changing password for user stabck.
    New UNIX password: bckpwd1
    Retype new UNIX password: bckpwd1
    passwd: all authentication tokens updated successfully.
    
  5. STA バックアップがコピーされるディレクトリを作成します。例:

    # cd /home/stabck
    # pwd
    /home/stabck
    # mkdir -p STAbackups
    # ls
    STAbackups
    

    この例では、「STAbackups」ディレクトリは STA バックアップユーザーのホームディレクトリに作成され、必要に応じて親ディレクトリを作成するために -p オプションが使用されています。

  6. すべての情報が正しく入力されていることを確認するために、ユーザー属性を表示します。例:

    # cat /etc/passwd |grep sta
    stabck:x:98765:54321:STA database backup user:/home/stabck:/bin/bash
    
  7. ディレクトリの排他的所有権とアクセス権を STA バックアップユーザーとグループに割り当てます。例:

    # chown -R stabck:stabckgr STAbackups
    # chmod -R 700 STAbackups
    # chmod 755 /home/stabck
    

    この例では、再帰的に属性をディレクトリとそのファイルに割り当てるために -R オプションが使用されています。

  8. すべての情報が正しく入力されていることを確認するために、ディレクトリを一覧表示します。例:

    # ls -la |grep STA
    drw------- 2 stabck stabckgr 4096 Oct 19 14:20 STAbackups
    

STA データベースバックアップサービスの構成

STA データベースバックアップサービスを構成するには、次の手順を使用します。バックアップファイルがコピーされるディレクトリを指定できます。Oracle では、このディレクトリをリモートバックアップサーバーに置くことをお勧めします。

サービスが現在のスリープ間隔から復帰して新しい設定を処理するか、ユーザーが STA サービスデーモンを手動で再起動する (STA サービスデーモンの再起動 (オプション)) とすぐに、構成設定が有効になります。

  1. STA サーバーで、システムの root ユーザーとしてログインします。

  2. staservadm -Q コマンドを使用して現在の STA バックアップサービス設定を表示します。

    この例は、サービスがまだ構成されていないため、バックアップを実行していないことを示しています。

    # ./staservadm -Q
    Contacting daemon...connected.
    Querying Preferences.
     Current STA Backup Service Settings:
       Configured            [no]
       File Transfer      -S [SCP]
       Full Backup        -T [00:00]
       Sleep Interval     -i [300 sec]
       Backup Hostname    -s []
       Backup Username    -u []
       Backup Password    -p []
       Backup Directory   -d []
       Database Username  -U []
       Database Password  -P []
    
  3. 表7-1 を参照として使用して、staservadm コマンドで属性値を設定します。

    属性を別のコマンドで送信することも、1 つのコマンドに結合することもできます。例:

    # ./staservadm -S -T 11:00 -i 350 -s stabaksvr -u stabck -p bckpwd1 -d /home/stabck/STAbackups -U sta_dba -P password1
    

    このユーティリティーは、コマンドに含まれているそれぞれの値を設定してから、現在のすべての設定を表示します。例:

    Contacting daemon...connected.
    Setting File Transfer Type... SCP
    Setting Sleep Interval....... 350
    Setting Backup Hostname...... stabaksvr
    Setting Backup Username...... stabck
    Setting Backup Password...... *******
    Setting Backup Directory..... /home/stabck/STAbackups
    Setting Full Backup Time..... 11:00
    Setting Database Username.... sta_dba
    Setting Database Password.... *********
    Done.
     Current STA Backup Service Settings:
       Configured            [yes]
       File Transfer      -S [SCP]
       Full Backup        -T [11:00]
       Sleep Interval     -i [350 sec]
       Backup Hostname    -s [stabaksvr]
       Backup Username    -u [stabck]
       Backup Password    -p [*******]
       Backup Directory   -d [/home/stabck/STAbackups]
       Database Username  -U [sta_dba]
       Database Password  -P [*********]
    
  4. コマンド出力を調べて、値が正しく設定されていることを確認します。

STA リソースモニターユーティリティープリファレンスの確認

表7-2 のオプションの説明を確認して、設定を定義します。デフォルト値「-1」は、属性が構成されていないことを示しています。

表7-2 STA リソースモニター (staresmonadm) の属性

オプション
属性
説明
デフォルト値
使用する値

-T、--time

Daily report time

STA が標準の日次レポートを送信する時間。レポートは、この時間前後に 24 時間ごとに自動的に送信されます。実際の時間は、この時間よりあとの「スリープ間隔」秒内です。形式は、24 時間制の hh:mm です。

00:00

 

-i、interval

Sleep interval

STA リソースモニターがスキャンの間に待機する秒数。

300

 

-n、--nag

Nag mode

最高水位標に達した場合に STA がアラートを出す頻度を示します。「on」に設定した場合、システムがスキャンされるたびに STA はアラート電子メールを送信します。「off」に設定した場合、アラートは単に標準の日次レポートに記録されます。

Off

 

-U、--dbusr

Database username

「information_schema」表および MySQL サーバーの内部システムグローバル変数に対して問合せを実行することが許可されているデータベースユーザー名。STA データベースの DBA アカウントユーザー名または STA データベースのルートアカウントユーザー名 (root) のいずれかを指定するべきです。

なし

 

-P、--dbpwd

Database password

データベースユーザー名に割り当てられているパスワード。

なし

 

-t、--tblsphwm

Database tablespace HWM

使用可能な最大の割合として入力する、データベース表領域の最高水位標。

-1

 

-b、--backvolhwm

Local backup HWM

使用可能な最大の割合として入力する、STA データベースローカルバックアップボリューム (/sta_db_backup) の最高水位標。

-1

 

-d、--dbvolhwm

Database disk volume HWM

使用可能な最大の割合として入力する、STA データベースボリューム (/sta_db/mysql) の最高水位標。

-1

 

-l、--logvolhwm

Logging disk volume HWM

使用可能な最大の割合として入力する、STA データベースログ (/STA_logs/db) の最高水位標。

-1

 

-z、--rootvolhwm

Root volume HWM

使用可能な最大の割合として入力する、ルートボリューム (/) の最高水位標。

-1

 

-x、--tmpvolhwm

Tmp volume HWM

使用可能な最大の割合として入力する、一時ディレクトリボリューム (/tmp) の最高水位標。

-1

 

-m、--memhwm

Physical memory (RAM) HWM

使用可能な最大の割合として入力する、合計システムメモリー (仮想メモリーを除く) の最高水位標。

-1

 

-f、--from

Email from

標準の日次レポート電子メールの「From」フィールドに表示される名前または電子メールアドレス。

StaResMon@localhost

 

-r、--recips

Email recipients

コロン区切りのリストとして入力する、受信者の電子メールアドレス。

なし

 

-s、--subject

Email subject

標準の日次レポート電子メールの「Subject」フィールドに表示される、最大 128 文字のエントリ。空白が含まれる場合は引用符で囲みます。電子メールの送信時に、yyyy-mm-dd hh:mm:ss 形式のタイムスタンプがエントリに追加されます。

STA Resource Monitor Report

 

-o、--outfile

Output data file

コンマ区切り (CSV) の出力データファイルの絶対パス。

/STA_logs/db/staresmon.csv

例:

/var/log/tbi/db/staresmon.csv

 

STA リソースモニターの構成

STA リソースモニターサービスを構成するには、次の手順を使用します。サービスが現在のスリープ間隔から復帰して新しい設定を処理するか、ユーザーが STA サービスデーモンを手動で再起動する (STA サービスデーモンの再起動 (オプション)) とすぐに、構成設定が有効になります。

  1. STA サーバーで、システムの root ユーザーとしてログインします。

  2. staresmonadm -Q コマンドを使用して現在の STA リソースモニター設定を表示します。

    この例は、サービスがまだ構成されていないため、スキャンを実行していないことを示しています。

    # ./staresmonadm -Q
    Contacting daemon...connected.
    Querying Preferences.
     Current STA Resource Monitor Service Settings:
       Configured                        [no]
       Send Reports                   -T [00:00]
       Sleep Interval                 -i [300 sec]
       Alert Nagging                  -n [off]
       DB Username                    -U []
       DB Password                    -P []
       DB Tablespace hwm              -t [-1%]
       DB Backup hwm   (/dbbackup)    -b [-1%]
       DB Data hwm     (/dbdata)      -d [-1%]
       Log Volume hwm  (/var/log/tbi) -l [-1%]
       Root Volume hwm (/)            -z [-1%]
       Tmp Volume hwm  (/tmp)         -x [-1%]
       System Memory hwm              -m [-1%]
       Email 'From:'                  -f [StaResMon@localhost]
       Email 'To:'                    -r []
       Email 'Subject:'               -s [STA Resource Monitor Report]
       Output File                    -o [/var/log/tbi/db/staresmon.csv]
    
  3. 表7-2 を参照として使用して、staresmonadm コマンドで属性値を設定します。

    属性を別のコマンドで送信することも、1 つのコマンドに結合することもできます。例:

    # ./staresmonadm -T 13:00 -i 600 -n on -U sta_dba -P password1 -t 65 -b 65 -d 65 -l 65 -z 70 -x 80 -m 75 -r john.doe@company.com
    

    このユーティリティーは、コマンドに含まれているそれぞれの値を設定してから、現在のすべての設定を表示します。例:

    Contacting daemon...connected.
    Setting DB Tablespace HWM..... 65
    Setting DB Disk Volume HWM.... 65
    Setting Logging Volume HWM.... 65
    Setting Backup Volume HWM..... 65
    Setting Root Volume HWM....... 70
    Setting Temp Volume HWM....... 80
    Setting System Memory HWM..... 75
    Setting 'To:' addresses....... john.doe@company.com
    Setting Send Time............. 13:00
    Setting Sleep Interval........ 600
    Setting Alert Nag Mode........ ON
    Setting DB Username........... sta_dba
    Setting DB Password........... *********
    Done.
     Current STA Resource Monitor Service Settings:
       Configured                        [yes]
       Send Reports                   -T [13:00]
       Sleep Interval                 -i [600 sec]
       Alert Nagging                  -n [on]
       DB Username                    -U [sta_dba]
       DB Password                    -P [*********]
       DB Tablespace hwm              -t [65%]
       DB Backup hwm   (/dbbackup)    -b [65%]
       DB Data hwm     (/dbdata)      -d [65%]
       Log Volume hwm  (/var/log/tbi) -l [65%]
       Root Volume hwm (/)            -z [70%]
       Tmp Volume hwm  (/tmp)         -x [80%]
       System Memory hwm              -m [75%]
       Email 'From:'                  -f [StaResMon@localhost]
       Email 'To:'                    -r [john.doe@company.com]
       Email 'Subject:'               -s [STA Resource Monitor Report]
       Output File                    -o [/var/log/tbi/db/staresmon.csv]
    
  4. コマンド出力を調べて、値が正しく設定されていることを確認します。