STA バックアップサービスユーティリティーと STA リソースモニターサービスユーティリティーを構成するには、次の手順を使用します。
この章には次のセクションが含まれます。
STA データベースバックアップサービス — STA バックアップサービスの構成にはその管理ユーティリティー staservadm を使用します。このユーティリティーのコマンドオプションの完全なリストを表示するには、staservadm ‐h と入力します。詳細は、『STA 管理ガイド』を参照してください。
STA リソースモニターサービス — STA リソースモニターサービスの構成にはその管理ユーティリティー staresmonadm を使用します。このユーティリティーのコマンドオプションの完全なリストを表示するには、コマンド行で staresmonadm ‐h と入力します。詳細は、『STA 管理ガイド』を参照してください。
これらのサービスユーティリティーは、/Oracle_storage_home/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin ディレクトリにあります。Oracle ストレージホームの詳細は、STA インストーラで使用するユーザー、グループ、場所を参照してください。
一般的なタスク
STA データベースバックアップの構成タスク
STA リソースモニターの構成タスク
STA bin ディレクトリがシステムの root ユーザーの PATH 変数に確実に含まれるようにするには、次の手順を使用します。bin ディレクトリには、STA サービスユーティリティーである staservadm と staresmonadm が含まれています。
現在の STA サーバーで端末セッションを開き、システムの root ユーザーとしてログインします。
テキストエディタを使用してユーザープロファイルを開きます。例:
# vi /root/.bash_profile
STA bin ディレクトリを PATH 定義に追加します。たとえば、次の行をファイルに追加します。
PATH=$PATH:Oracle_storage_home/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin
ここで Oracle_storage_home は、STA のインストール中に指定された Oracle ストレージホームの場所です。
ファイルを保存して終了します。
ログアウトしてから、再度システムの root ユーザーとしてログインします。
PATH 変数が正しく更新されていることを確認します。
# echo $PATH
/usr/lib64/qt-3.3/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/sbin:/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/root/bin:/Oracle/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin
STA サービスデーモン staservd を再起動するには、次の手順を使用します。
STA バックアップサービスまたは STA リソースモニターサービスの構成設定を変更して、新しい設定を即時に有効にする場合に、この手順が役に立ちます。この手順を使用しない場合、サービスがスリープ間隔から復帰して新しい設定を処理するとすぐに、新しい設定が有効になります。
STA サービスデーモンを停止します。
# STA stop staservd
STA サービスデーモンを起動します。
# STA start staservd
デーモンのステータスを表示して、実行中であることを確認します。
# STA status staservd
サービスの構成が終了したら、構成済みのすべてのライブラリが「最新データの取得」リクエストを完了したことを確認します (「Last Connection Status」には「SUCCESS」と示され、STA はライブラリから交換データを受信しているはずです)。詳細は、『STA ユーザーズガイド』を参照してください。
使用可能なプリファレンス設定の説明および設定の定義については、表7-1 を確認してください。
表7-1 STA バックアップサービス管理ユーティリティー (staservadm) の属性
オプション |
属性 |
説明 |
デフォルト値 |
使用する値 |
---|---|---|---|---|
-S、--scp -F、--ftp |
File transfer type |
バックアップファイルを STA サーバーからバックアップホストにコピーするために使用されるファイル転送の方法。オプションは、「SCP」(推奨) または「FTP」です。 |
SCP |
|
-T、--time |
Full backup dump time |
STA がデータベース全体のバックアップダンプを実行する時間。ダンプは、この時間前後に 24 時間ごとに自動的に実行されます。実際の時間は、この時間よりあとの「スリープ間隔」秒内です。形式は、24 時間制の hh:mm です。 |
00:00 |
|
-i、--int |
Sleep interval |
STA サービスデーモンが新しい増分バックアップファイルを調べるまでに待機する秒数。 |
300 |
|
-s、--server |
Backup host name |
STA サーバーがバックアップファイルをコピーする先となるサーバーホストの IPv4 アドレス、IPv6 アドレス、または完全修飾 DNS ホスト名。 |
なし |
|
-u、--usr |
Backup user ID |
バックアップホストへの SCP ファイルの転送の実行が許可されているシステムユーザー ID。 |
なし |
|
-p、--pwd |
Backup password |
バックアップユーザーに割り当てられているパスワード。 |
なし |
|
-d、--dir |
Backup directory |
バックアップファイルがコピーされるバックアップホストにあるディレクトリ。 |
なし |
|
-U、--dbusr |
Database username |
mysqldump コマンドの実行が許可されているデータベースユーザー名。STA データベースの DBA アカウントユーザー名を指定するべきです。 |
なし |
|
-P、--dbpwd |
Database password |
データベースユーザー名のパスワード。 |
なし |
STA データベースバックアップサービスによって生成された圧縮済みバックアップファイルを受信するようにリモートバックアップサーバー (または同等のもの) を構成するには、次の手順を使用します。Oracle では、リモートバックアップサーバーを構成することをお勧めします。
必要な領域は不定です。サイズは、保持するコピーの数に応じて、STA データベースのローカルバックアップに使用されるサイズの倍数であるべきです。バックアップサーバーストレージは、ミラー化またはストライプ化されているべきです。
バックアップサーバーで、システムの root ユーザーとしてログインします。
STA バックアップユーザーの新しいグループを作成します。例:
# groupadd -g 54321 stabckgr
この例では、グループ ID は「stabckgr」で、数値 GID を指定するために -g オプションが使用されています。
STA バックアップユーザーを作成します。例:
# adduser stabck -c "STA database backup user" -m -d /home/stabck -g stabckgr -s /bin/bash -u 98765
この例では、ユーザー ID は「stabck」で、次のオプションが使用されています。
‐c – コメント。
‐m – ユーザーのホームディレクトリを作成します。
‐d – ホームディレクトリの絶対パス。
‐g – ユーザーを指定のグループに割り当てます。
‐s – 指定のログインシェルをユーザーに割り当てます。
‐u – 指定の数値 UID をユーザーに割り当てます。
STA バックアップユーザーにパスワードを割り当てます。例:
# passwd stabck
Changing password for user stabck.
New UNIX password: bckpwd1
Retype new UNIX password: bckpwd1
passwd: all authentication tokens updated successfully.
STA バックアップがコピーされるディレクトリを作成します。例:
# cd /home/stabck # pwd /home/stabck # mkdir -p STAbackups # ls STAbackups
この例では、「STAbackups」ディレクトリは STA バックアップユーザーのホームディレクトリに作成され、必要に応じて親ディレクトリを作成するために -p オプションが使用されています。
すべての情報が正しく入力されていることを確認するために、ユーザー属性を表示します。例:
# cat /etc/passwd |grep sta
stabck:x:98765:54321:STA database backup user:/home/stabck:/bin/bash
ディレクトリの排他的所有権とアクセス権を STA バックアップユーザーとグループに割り当てます。例:
# chown -R stabck:stabckgr STAbackups # chmod -R 700 STAbackups # chmod 755 /home/stabck
この例では、再帰的に属性をディレクトリとそのファイルに割り当てるために -R オプションが使用されています。
すべての情報が正しく入力されていることを確認するために、ディレクトリを一覧表示します。例:
# ls -la |grep STA
drw------- 2 stabck stabckgr 4096 Oct 19 14:20 STAbackups
STA データベースバックアップサービスを構成するには、次の手順を使用します。バックアップファイルがコピーされるディレクトリを指定できます。Oracle では、このディレクトリをリモートバックアップサーバーに置くことをお勧めします。
サービスが現在のスリープ間隔から復帰して新しい設定を処理するか、ユーザーが STA サービスデーモンを手動で再起動する (STA サービスデーモンの再起動 (オプション)) とすぐに、構成設定が有効になります。
STA サーバーで、システムの root ユーザーとしてログインします。
staservadm -Q コマンドを使用して現在の STA バックアップサービス設定を表示します。
この例は、サービスがまだ構成されていないため、バックアップを実行していないことを示しています。
# ./staservadm -Q
Contacting daemon...connected.
Querying Preferences.
Current STA Backup Service Settings:
Configured [no]
File Transfer -S [SCP]
Full Backup -T [00:00]
Sleep Interval -i [300 sec]
Backup Hostname -s []
Backup Username -u []
Backup Password -p []
Backup Directory -d []
Database Username -U []
Database Password -P []
表7-1 を参照として使用して、staservadm コマンドで属性値を設定します。
属性を別のコマンドで送信することも、1 つのコマンドに結合することもできます。例:
# ./staservadm -S -T 11:00 -i 350 -s stabaksvr -u stabck -p bckpwd1 -d /home/stabck/STAbackups -U sta_dba -P password1
このユーティリティーは、コマンドに含まれているそれぞれの値を設定してから、現在のすべての設定を表示します。例:
Contacting daemon...connected. Setting File Transfer Type... SCP Setting Sleep Interval....... 350 Setting Backup Hostname...... stabaksvr Setting Backup Username...... stabck Setting Backup Password...... ******* Setting Backup Directory..... /home/stabck/STAbackups Setting Full Backup Time..... 11:00 Setting Database Username.... sta_dba Setting Database Password.... ********* Done. Current STA Backup Service Settings: Configured [yes] File Transfer -S [SCP] Full Backup -T [11:00] Sleep Interval -i [350 sec] Backup Hostname -s [stabaksvr] Backup Username -u [stabck] Backup Password -p [*******] Backup Directory -d [/home/stabck/STAbackups] Database Username -U [sta_dba] Database Password -P [*********]
コマンド出力を調べて、値が正しく設定されていることを確認します。
表7-2 のオプションの説明を確認して、設定を定義します。デフォルト値「-1」は、属性が構成されていないことを示しています。
表7-2 STA リソースモニター (staresmonadm) の属性
オプション |
属性 |
説明 |
デフォルト値 |
使用する値 |
---|---|---|---|---|
-T、--time |
Daily report time |
STA が標準の日次レポートを送信する時間。レポートは、この時間前後に 24 時間ごとに自動的に送信されます。実際の時間は、この時間よりあとの「スリープ間隔」秒内です。形式は、24 時間制の hh:mm です。 |
00:00 |
|
-i、interval |
Sleep interval |
STA リソースモニターがスキャンの間に待機する秒数。 |
300 |
|
-n、--nag |
Nag mode |
最高水位標に達した場合に STA がアラートを出す頻度を示します。「on」に設定した場合、システムがスキャンされるたびに STA はアラート電子メールを送信します。「off」に設定した場合、アラートは単に標準の日次レポートに記録されます。 |
Off |
|
-U、--dbusr |
Database username |
「information_schema」表および MySQL サーバーの内部システムグローバル変数に対して問合せを実行することが許可されているデータベースユーザー名。STA データベースの DBA アカウントユーザー名または STA データベースのルートアカウントユーザー名 (root) のいずれかを指定するべきです。 |
なし |
|
-P、--dbpwd |
Database password |
データベースユーザー名に割り当てられているパスワード。 |
なし |
|
-t、--tblsphwm |
Database tablespace HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、データベース表領域の最高水位標。 |
-1 |
|
-b、--backvolhwm |
Local backup HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、STA データベースローカルバックアップボリューム (/sta_db_backup) の最高水位標。 |
-1 |
|
-d、--dbvolhwm |
Database disk volume HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、STA データベースボリューム (/sta_db/mysql) の最高水位標。 |
-1 |
|
-l、--logvolhwm |
Logging disk volume HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、STA データベースログ (/STA_logs/db) の最高水位標。 |
-1 |
|
-z、--rootvolhwm |
Root volume HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、ルートボリューム (/) の最高水位標。 |
-1 |
|
-x、--tmpvolhwm |
Tmp volume HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、一時ディレクトリボリューム (/tmp) の最高水位標。 |
-1 |
|
-m、--memhwm |
Physical memory (RAM) HWM |
使用可能な最大の割合として入力する、合計システムメモリー (仮想メモリーを除く) の最高水位標。 |
-1 |
|
-f、--from |
Email from |
標準の日次レポート電子メールの「From」フィールドに表示される名前または電子メールアドレス。 |
StaResMon@localhost |
|
-r、--recips |
Email recipients |
コロン区切りのリストとして入力する、受信者の電子メールアドレス。 |
なし |
|
-s、--subject |
Email subject |
標準の日次レポート電子メールの「Subject」フィールドに表示される、最大 128 文字のエントリ。空白が含まれる場合は引用符で囲みます。電子メールの送信時に、yyyy-mm-dd hh:mm:ss 形式のタイムスタンプがエントリに追加されます。 |
STA Resource Monitor Report |
|
-o、--outfile |
Output data file |
コンマ区切り (CSV) の出力データファイルの絶対パス。 |
/STA_logs/db/staresmon.csv 例: /var/log/tbi/db/staresmon.csv |
STA リソースモニターサービスを構成するには、次の手順を使用します。サービスが現在のスリープ間隔から復帰して新しい設定を処理するか、ユーザーが STA サービスデーモンを手動で再起動する (STA サービスデーモンの再起動 (オプション)) とすぐに、構成設定が有効になります。
STA サーバーで、システムの root ユーザーとしてログインします。
staresmonadm -Q コマンドを使用して現在の STA リソースモニター設定を表示します。
この例は、サービスがまだ構成されていないため、スキャンを実行していないことを示しています。
# ./staresmonadm -Q
Contacting daemon...connected.
Querying Preferences.
Current STA Resource Monitor Service Settings:
Configured [no]
Send Reports -T [00:00]
Sleep Interval -i [300 sec]
Alert Nagging -n [off]
DB Username -U []
DB Password -P []
DB Tablespace hwm -t [-1%]
DB Backup hwm (/dbbackup) -b [-1%]
DB Data hwm (/dbdata) -d [-1%]
Log Volume hwm (/var/log/tbi) -l [-1%]
Root Volume hwm (/) -z [-1%]
Tmp Volume hwm (/tmp) -x [-1%]
System Memory hwm -m [-1%]
Email 'From:' -f [StaResMon@localhost]
Email 'To:' -r []
Email 'Subject:' -s [STA Resource Monitor Report]
Output File -o [/var/log/tbi/db/staresmon.csv]
表7-2 を参照として使用して、staresmonadm コマンドで属性値を設定します。
属性を別のコマンドで送信することも、1 つのコマンドに結合することもできます。例:
# ./staresmonadm -T 13:00 -i 600 -n on -U sta_dba -P password1 -t 65 -b 65 -d 65 -l 65 -z 70 -x 80 -m 75 -r john.doe@company.com
このユーティリティーは、コマンドに含まれているそれぞれの値を設定してから、現在のすべての設定を表示します。例:
Contacting daemon...connected. Setting DB Tablespace HWM..... 65 Setting DB Disk Volume HWM.... 65 Setting Logging Volume HWM.... 65 Setting Backup Volume HWM..... 65 Setting Root Volume HWM....... 70 Setting Temp Volume HWM....... 80 Setting System Memory HWM..... 75 Setting 'To:' addresses....... john.doe@company.com Setting Send Time............. 13:00 Setting Sleep Interval........ 600 Setting Alert Nag Mode........ ON Setting DB Username........... sta_dba Setting DB Password........... ********* Done. Current STA Resource Monitor Service Settings: Configured [yes] Send Reports -T [13:00] Sleep Interval -i [600 sec] Alert Nagging -n [on] DB Username -U [sta_dba] DB Password -P [*********] DB Tablespace hwm -t [65%] DB Backup hwm (/dbbackup) -b [65%] DB Data hwm (/dbdata) -d [65%] Log Volume hwm (/var/log/tbi) -l [65%] Root Volume hwm (/) -z [70%] Tmp Volume hwm (/tmp) -x [80%] System Memory hwm -m [75%] Email 'From:' -f [StaResMon@localhost] Email 'To:' -r [john.doe@company.com] Email 'Subject:' -s [STA Resource Monitor Report] Output File -o [/var/log/tbi/db/staresmon.csv]
コマンド出力を調べて、値が正しく設定されていることを確認します。