3 STA のインストール

この章では、このサーバーへの STA の新しいインストールを実行することを想定しています。

注:

Oracle は、STA が専用のサーバー (このガイドでは STA サーバーと呼びます) にインストールされている場合のみ、サポートを提供します。

この章には次の内容が含まれます。

付録Cに、インストールアクティビティーの整理および設定の記録に使用できるワークシートがあります。

STA インストーラで使用するユーザー、グループ、場所

このセクションでは、STA のインストールプロセス使用される主な概念と用語について説明します。

Oracle インストールグループ

STA サーバーに Oracle 製品をインストールおよびアップグレードする際に使用する Linux グループ。Oracle では、この目的専用に独立したグループを作成することをお勧めします。

STA のインストールを実行するには、このグループのメンバーであるユーザーとしてログインする必要があります。Linux の root ユーザーやほかのスーパーユーザー権限を持つユーザーとして STA をインストールすることはできません。

このガイドの説明および例では、このグループに対して oinstall という名前を使用します。選択した名前が異なる場合には、その名前を当てはめてください。

Oracle インストールユーザー

STA サーバーに Oracle 製品をインストールおよびアップグレードする Linux ユーザー。これは Oracle インストールグループのメンバーである任意のユーザーとすることができます。

このガイドの説明および例では、このユーザーに対して oracle という名前を使用します。選択した名前が異なる場合には、その名前を当てはめてください。

Oracle 中央インベントリの場所

STA サーバーにインストールされた Oracle 製品についての情報の追跡に使用されるディレクトリ。STA のインストーラおよびアンインストーラのログが、この場所内の logs サブディレクトリに保持されます。

Oracle インストールユーザーは、このディレクトリを所有し、これに対するフルアクセス権を持つ必要があります。Oracle インストールグループのほかのユーザーが Oracle 製品をインストールできる適切なアクセス権を持つようにするには、Oracle インストールユーザーのホームディレクトリを使用しないでください。

この場所は、このセクションで説明するほかのディレクトリとは独立している必要があります。このガイドの説明および例では、この場所に /opt/oracle/oraInventory を使用します。選択したディレクトリが異なる場合には、そのディレクトリを当てはめてください。

注:

Oracle では、すべての Oracle インストーラがこのサーバー上の同じ中央インベントリの場所を使用するように、STA のインストールが完了してからこの場所を登録することをお勧めします。詳細は、Oracle 中央インベントリの場所の登録を参照してください。
Oracle ストレージホームの場所

STA および関連する Oracle ソフトウェアがインストールされるディレクトリ。STA はこの場所内の StorageTek_Tape_Analytics サブディレクトリに自動的にインストールされます。STA ホームを参照してください。

このディレクトリがすでに存在する場合、Oracle インストールユーザーは、これに対するフルアクセス権を持つ必要があります。このディレクトリが存在しない場合で、Oracle インストールユーザーが親ディレクトリにフルアクセス権を持っている場合には、STA インストーラがディレクトリを自動的に作成します。

注:

このサーバーに以前のバージョンの STA がインストールされていた場合には、このディレクトリはすでに存在している場合があります。その場合、root ではなく、Oracle インストールグループに所有されていることを確認する必要があります。

この場所は、このセクションで説明するほかのディレクトリとは独立している必要があります。このガイドの説明および例では、この場所に /Oracle を使用します。選択したディレクトリが異なる場合には、そのディレクトリを当てはめてください。

STA ホーム

すべての STA ソフトウェアがインストールされるディレクトリ。このディレクトリには StorageTek_Tape_Analytics という名前が割り当てられ、STA インストーラがこれをOracle ストレージホームの場所内に自動的に作成します。

このガイドの説明および例では、この場所に /Oracle/StorageTek_Tape_Analytics を使用します。

STA インストーラの場所

STA インストーラをダウンロードするディレクトリ。

この場所は、このセクションで説明するほかのディレクトリとは独立している必要があります。このガイドの説明および例では、この場所に /Installers を使用します。選択したディレクトリが異なる場合には、そのディレクトリを当てはめてください。

STA インストーラの作業場所

デフォルトでは、STA インストーラは /tmp ディレクトリに展開され、約 4G バイトの領域を使用します。STA インストーラを –J–Djava.io.tmpdir=working_directory オプションとともに実行すると、別の作業場所を指定できます。

working_directory は絶対パスである必要があります。例:

$ ./sta_installer_linux64.bin –J–Djava.io.tmpdir=/Oracle/tmp

このオプションの使用については、STA サイレントモードインストーラおよびアンインストーラを参照してください。

STA ログの場所

STA および MySQL のログの場所。その内容は大きくなりすいため、ログローテーションを通じて管理されます。デフォルトの場所は /var/log/tbi ですが、この場所は STA のインストール後にいつでも変更できます。手順については、STA のログディレクトリの再配置 (オプション)を参照してください。

領域の要件については、STA ファイルシステムレイアウトの確認を参照してください。

ユーザー名およびパスワードの要件

ユーザー名の要件は次のとおりです。

  • 1 – 16 文字の長さにする必要があります

  • すべてのユーザー名が一意である必要があります

パスワード要件は次のとおりです。

  • 8 – 31 文字の長さにする必要があります

  • 少なくとも 1 つの数字と 1 つの大文字を含める必要があります

  • 空白を含めることはできません

  • 次の特殊文字を含めることはできません

    & ' ( ) < > ? { } *  \ ' "
    

STA のインストール中に構成されるアカウントおよびポート

STA インストーラは、指定した仕様に従ってユーザーアカウントおよびポート番号を構成します。

STA を管理するためのユーザーアカウント

次の必須アカウントは、STA のインストール中に作成されます。これらのアカウントは STA 固有のもので、Linux のユーザー名ではありません

WebLogic アカウント

次の WebLogic アカウントは、WebLogic 管理コンソールまたは STA アプリケーションへのログインに使用されます。

WebLogic の管理

WebLogic 管理コンソールにログインして、WebLogic を LDAP または RACF サーバーに接続するなどの、WebLogic 環境への変更を行う場合に使用します。

注意:

このアカウントのユーザー名およびパスワードは取得することができません。これらの資格証明を失った場合、STA を再インストールする必要があります。
STA 管理者

フルアクセス権限で STA アプリケーションにログインする際に使用します。

STA のインストールの完了後、STA アプリケーションを使用して追加の割り当て可能な役割のユーザーアカウントを作成できます。詳細は、『STA ユーザーズガイド』を参照してください。

STA データベースアカウント

次の STA データベースアカウントは、STA が STA データベースのアクセスおよび管理に使用する MySQL アカウントです。

STA データベースルートユーザー

MySQL データベースを所有し、ルートデータベースインストールを作成するために使用されます。事前定義されたユーザー名は rootで、これを変更することはできません。

注意:

このアカウントのパスワードは取得することができません。
STA データベースアプリケーションユーザー

STA がデータベースに接続するために使用するユーザー定義の MySQL ユーザー名 (たとえば、stadb)。データ表で特権を作成、更新、削除、および読み取るために必要です。

STA データベースレポートユーザー

STA 以外のアプリケーションおよびサードパーティーのアプリケーションがデータベースへの接続に使用できるユーザー定義の MySQL ユーザー名 (たとえば、starpt)。これには、特定のデータベース表に対する読み取り専用アクセス権があります。

STA データベース管理ユーザー

STA 管理者とモニタリングユーティリティーが、データベースに接続して、主にスケジュールされたバックアップを構成および実行するために使用するユーザー定義の MySQL ユーザー名 (たとえば、stadba)。「付与オプション」を除く、すべてのデータベース表に対するすべての DBA 権限を持ちます。

STA が使用するポート

STA は、次のポートを使用して、データを取得および受信します。これらは専用ポートで、STA が使用できる状態である必要があります。STA インストーラは、ポートがネットワークでまだ使用されていないことを確認します。

注意:

STA のインストール中にこれらのポートが構成されると、STA をアンインストールして再インストールしないかぎり変更することはできません。

構成不可の外部ポート

表3-1 で説明されているポートは、STA サーバーとほかのネットワークエンティティー間の通信に使用される外部ポートです。ポートの値は固定され、STA のインストール中に変更することはできません。

ファイアウォール/ルーター構成: STA サーバーとバックアップサーバー (SSH の場合) 間、および STA サーバーとモニター対象ライブラリ (SNMP および SNMPTRAP の場合) の間で到達可能である必要があります。

表3-1 構成不可の外部ポート

ポート
プロトコル
説明および目的

22

SSH

セキュアシェル。STA データベースバックアップ。ライブラリログイン。

161

SNMP

Simple Network Management Protocol (SNMP)。SNMP 要求の送信用。

162

SNMPTRAP

SNMP 通知 (トラップ) の受信用。


構成可能な外部ポート

表3-2 で説明されているポートは、STA サーバーとほかのネットワークエンティティー間の通信に使用される外部ポートです。これらのポートは、標準ポート 80 と 8080 (HTTP) および 443 (HTTPS) と同等の構成可能ポートであり、ネットワーク上のその他の HTTP および HTTPS ポートとは異なる必要があります。値を選択するには、ネットワーク管理者に相談してください。

ファイアウォール/ルーター構成: STA サーバーと、STA GUI が実行されているクライアントの間で到達可能である必要があります。

表3-2 構成可能な外部ポート

デフォルトポート
プロトコル
説明および目的

7019

HTTP

WebLogic 管理コンソールへのアクセス。セキュリティー保護されていません

7020

HTTPS

WebLogic 管理コンソールへのアクセス。セキュリティー保護されています

7021

HTTP

staUi 管理対象サーバー。STA GUI へのアクセス。セキュリティー保護されていません。

7022

HTTPS

staUi 管理対象サーバー。STA GUI へのアクセス。セキュリティー保護されています。


構成可能な内部ポート

表3-3 で説明されているポートは、内部の STA 通信に使用されます。これらのポート値は一意である必要があります。

ファイアウォール/ルーター構成: 該当なし

表3-3 構成可能な内部ポート

デフォルトポート
プロトコル
説明および目的

7023

HTTP

staEngine 管理対象サーバー。基本的な STA 内部。セキュリティー保護されていません。

7024

HTTPS

staEngine 管理対象サーバー。基本的な STA 内部。セキュリティー保護されています。

7025

HTTP

staAdapter 管理対象サーバー。SNMP 通信。セキュリティー保護されていません。

7026

HTTPS

staAdapter 管理対象サーバー。SNMP 通信。セキュリティー保護されています。


STA のインストールおよびアンインストールのログ

STA のインストールおよびアンインストールのログを使用して、問題のトラブルシューティングに役立てることができます。ログファイル名の多くは、インストールまたはアンインストールのインスタンスを特定できるよう、タイムスタンプが含まれています。タイムスタンプとは、インストールまたはアンインストールが開始した日付と時間のことです。

特に次のログでは、インストールまたはアンインストールが失敗した場合に、価値のある情報が提供されます。これらの場所については、/STA_logs/installを参照してください。

  • installtimestamp.log

  • sta_installtimestamp.log

  • deinstalltimestamp.log

  • sta_deinstalltimestamp.log

ログファイルの場所

STA のインストールおよびアンインストールのログの場所は、インストールまたはアンインストールのステータスにより異なります。ログは、次のディレクトリにあります。これらのディレクトリの詳細は、STA ファイルシステムレイアウトの確認を参照してください。

/tmp/OraInstalltimestamp

このディレクトリには、進行中のインストールまたはアンインストールのログが含まれます。このディレクトリに表示される可能性のあるログのサンプルのリストは次のとおりです。

install2014-09-24_04-14-04PM.log
installProfile2014-09-24_04-14-04PM.log
launcher2014-09-24_04-14-04PM.log
/Oracle_storage_home/oraInventory/logs

ここで Oracle_storage_home は、STA のインストール中に定義された Oracle ストレージホームの場所です。

このディレクトリには、正常に完了したインストールおよびアンインストールのログが含まれます。エラーまたはパッチのログなど、一部のログは該当する場合のみ含まれます。

このディレクトリに表示される可能性のあるログのサンプルのリストは次のとおりです。

2014-09-24_02-57-41PM.log
install2014-09-24_02-57-41PM.log
install2014-09-24_02-57-41PM.out
installActions2014-09-24_02-57-41PM.log
installProfile2014-09-24_02-57-41PM.log
installSummary2014-09-24_02-57-41PM.txt
launcher2014-09-24_02-57-41PM.log1
OPatch2014-09-24_02-58-47-PM.log
oraInstall2014-09-24_02-57-41PM.err
oraInstall2014-09-24_02-57-41PM.out
/STA_logs/install

デフォルトで、STA_logs/var/log/tbi に配置されています。オプションで、このディレクトリを、STA のインストール後はいつでも、任意の場所に再配置できます。手順については、STA のログディレクトリの再配置 (オプション)を参照してください。

このディレクトリには、正常に完了した、または失敗したインストールおよびアンインストールのログが含まれます。これには、WebLogic サーバーおよび MySQL データベースのインストールに関連するログのほか、STA アプリケーションのインストールおよび構成についてのログも含まれます。

このディレクトリに表示される可能性のあるログのサンプルのリストは次のとおりです。

dbinstall.log
dbinstall.mysqld.err
dbinstall.stadb-slow.log
install2014-09-24_02-52-09PM.log
install_weblogic.log
sta_install2014-09-24_02-53-22PM.log

STA インストーラのモード

次のいずれかのモードを使用して STA をインストールできます。

グラフィカルモード

これは推奨のインストールモードです。このモードでは、STA のインストール用のグラフィカルユーザーインタフェースが用意されており、X11 ディスプレイが必要になります。詳細は、STA グラフィカルインストーラおよびアンインストーラの画面リファレンス を参照してください。

サイレントモード

このモードでは、グラフィカルユーザーインタフェースを省略し、インストールオプションを 応答ファイル と呼ばれる XML プロパティーファイルで指定します。詳細は、STA サイレントモードインストーラおよびアンインストーラを参照してください。

このモードは、無人インストールや複数のマシンに STA をインストールする際に役立ちます。応答ファイルを使用することで、1 組のパラメータを指定して、インストールを自動化できます。サイレントモードのインストーラは、スクリプトから実行することも、Linux コマンド行から実行することもできます。

STA のインストールタスク

STA をインストールするには、次のすべてのタスクを示された順に実行します。

インストールに必要な情報の特定および作成

この手順を使用して、STA インストーラを実行するユーザーおよび場所を特定し、必要に応じてそれらを作成します。この情報を記録するには、表C-2 インストールユーザーおよび場所のワークシートを使用できます。これらの項目の詳細については、STA インストーラで使用するユーザー、グループ、場所を参照してください。

  1. Linux の root ユーザーとしてログインします。

  2. STA サーバーに Oracle 中央インベントリのポインタファイル /etc/oraInst.loc があるかどかを判断します。Oracle 中央インベントリが以前に登録されている場合には、ファイルは存在します。詳細は、Oracle 中央インベントリの場所を参照してください。

    • ファイルが存在する場合には、その内容を記録します。例:

      # cat /etc/oraInst.loc
      inventory_loc=/opt/oracle/oraInventory
      inst_group=oinstall
      

      inventory_loc エントリは Oracle 中央インベントリの場所を特定し、inst_group エントリは Oracle インストールグループを特定します。

    • ファイルが存在しない場合、手順 3 に進み、必要なユーザーと場所を作成します。例:

      # cat /etc/oraInst.loc
      cat: /etc/oraInst.loc: No such file or directory
      
  3. 手順 2 で Oracle 中央インベントリのポインタファイルがなかった場合は、Oracle インストールグループを作成します。詳細は、Oracle インストールグループを参照してください。例:

    # groupadd oinstall
    
  4. Oracle インストールユーザーのユーザー名およびパスワードを取得するか、必要に応じて新しく作成します。このユーザーは、Oracle インストールグループに属している必要があります。詳細は、Oracle インストールユーザーを参照してください。例:

    # useradd -g oinstall -d /home/oracle oracle
    # passwd oracle
    Changing password for user oracle.
    New password:
    Retype new password:
    passwd: all authentication tokens updated successfully.
    
  5. 手順 2 で Oracle 中央インベントリのポインタファイルがなかった場合は、Oracle 中央インベントリの場所を作成します。このディレクトリは、Oracle インストールユーザーが所有している必要があります。詳細は、Oracle 中央インベントリの場所を参照してください。例:

    # mkdir /opt/oracle/oraInventory
    # chown oracle /opt/oracle/oraInventory
    # ls -la /opt/oracle/oraInventory
    total 8
    drwxr-xr-x 2 oracle oinstall 4096 Feb 11 10:49 .
    drwxr-xr-x 3 root   root     4096 Feb 11 10:49 ..
    
  6. Oracle ストレージホームの場所を特定するか、存在しない場合にはディレクトリを作成します。このディレクトリは、Oracle インストールユーザーが所有している必要があります。詳細は、Oracle ストレージホームの場所を参照してください。例:

    # mkdir /Oracle
    # chown oracle /Oracle
    # ls -la /Oracle
    total 8
    drwxr-xr-x 2 oracle oinstall 4096 Feb 11 10:49 .
    drwxr-xr-x 3 root   root     4096 Feb 11 10:49 ..
    
  7. STA インストーラの場所を特定するか、存在しない場合にはディレクトリを作成します。詳細は、STA インストーラの場所を参照してください。例:

    # mkdir /Installers
    
  8. Linux の root ユーザーのパスワードを指定します。STA インストーラでは、特定のタスクの実行にルートアクセスが必要で、パスワードが要求されます。

  9. インストール中に作成される WebLogic 管理者、STA 管理者、および MySQL アカウントのユーザー名を選択します。詳細は、STA を管理するためのユーザーアカウントを参照してください。

  10. STA の動作に必要な、構成可能な内部ポートおよび外部ポートのポート番号を選択します。外部ポートが必要なネットワーク上で開いていることを確認します。詳細は、STA が使用するポートを参照してください。

  11. Oracle の Remote Diagnostics Agent (RDA) を構成するための、サイトのドメイン名を取得します。詳細は、『STA ユーザーズガイド』を参照してください。

インストールの前提条件の確認

STA インストーラを実行する前に、この手順を使用して前提条件を確認します。この手順はオプションですが、これらの前提条件のいずれも一致しない場合、STA のインストールは失敗します。インストールの前提条件の完全なリストについては、『STA 要件ガイド』を参照してください。

これらすべての手順は、STA サーバーで実行されます。支援が必要な場合には、Linux 管理者に相談してください。

注:

STA のインストールでは、64 ビット Linux が 第2章 Linux のインストールで指定された Linux RPM パッケージとともにインストールされていることを想定しています。必要なパッケージがインストールされていない場合、STA のインストールは失敗します。詳細は、次のドキュメントを参照してください。

注意:

既存のソフトウェアを永久に削除または置換することを選択する前に、必要に応じてファイルをバックアップしてください。
  1. STA がサーバーにインストールされていないことを確認します。STA インストーラは、新しいインストール用にのみ使用します。ほかの説明については、該当する場合、次のセクションを参照してください。

    次の例は、STA がインストールされていない場合を示しています。

    $ ls /etc/init.d/sta*
    ls: cannot access /etc/init.d/sta*: No such file or directory$ ls /usr/bin/STA
    ls: cannot access /usr/bin/STA: No such file or directory
    $
    
  2. MySQL が STA サーバーにインストールされていないことを確認します。MySQL がインストールされている場合、インストーラはそれを削除して再インストールし、既存の MySQL データベースはすべて削除されます。

  3. /tmp ディレクトリに少なくとも 4G バイトの空き領域があることを確認します。これがデフォルトの STA インストーラの作業場所になります。

    $ df /tmp
    Filesystem           1K-blocks      Used Available Use% Mounted on 
    /dev/mapper/vg_sta_server-lv_root
                            51606140  42896756   6087944  88% /
    

    注:

    STA インストーラの起動時に、オプションで別の作業ディレクトリを指定できます。詳細は、STA インストーラの作業場所を参照してください。
  4. SELinux が無効になっていることを確認します。インストール後のタスクの指示に従った場合、SELinux はすでに無効にされているはずです。詳細は、SELinux の無効化を参照してください。

    $ sestatus
    SELinux status:         disabled
    
  5. Linux ファイアウォール (IPTables) が停止されていることを確認します。インストール後のタスクの指示に従った場合、IPTables はすでに停止されているはずです。詳細は、Linux ファイアウォールの無効化を参照してください。

    $ service iptables status
    iptables: Firewall is not running.
    

    注:

    サイトで IPTables サービスが実行していることが必要な場合、STA をインストールし、ライブラリを構成し、STA がライブラリをモニターしていることを確認してから、サービスを開始できます。IPTables の開始後、STA がライブラリをモニターしていることを再確認する必要があります。
  6. SNMP サービスを停止し、構成解除します。

    ネットワークポートの衝突とその他の問題を回避するために、STA サーバーではその他の SNMP サービスを実行していてはいけません。STA インストーラは、次のいずれかの状況で終了します。

    • snmpd および snmptrapd デーモンサービスが実行している。

    • UDP ポート 161 (SNMP) および 162 (SNMPTRAP) を利用できない。

    必要に応じて次の手順を実行します。

    1. SNMP の snmpd サービスおよび snmptrapd サービスの現在のステータスを表示します。

      # service snmpd status 
      snmpd is stopped
      # service snmptrapd status 
      snmptrapd is stopped
      
    2. 必要に応じて SNMP サービスをただちに停止します。

      # service snmpd stop 
      # service snmptrapd stop
      

      注:

      これらのコマンドのいずれかで「FAILED」エラーが表示された場合、サービスはすでに停止している可能性があります。
    3. Linux サービス構成ファイルに次のように入力して、Linux のリブート時に自動的に起動しないように、SNMP サービスを無効にします。

      # chkconfig snmpd off 
      # chkconfig --list snmpd 
      snmpd           0:off   1:off   2:off   3:off   4:off   5:off   6:off
      # chkconfig snmptrapd off 
      # chkconfig --list snmptrapd 
      snmptrapd       0:off   1:off   2:off   3:off   4:off   5:off   6:off
      
  7. 該当するモード固有の要件を次のように再確認します。

STA のダウンロード

STA インストーラのダウンロードには、次のファイルが含まれています。version は STA のインストールのバージョン番号です。

  • sta_install_version_linux64.bin— すべてのインストールに必要です。

  • sta_install_version_linux64-2.zip— すべてのインストールに必要です。

  • silentInstallUtility_version.jar— 応答ファイル構築ユーティリティー。STA のサイレントモードインストーラまたはアンインストーラを使用する場合のみ必要です。詳細は、付録B STA サイレントモードインストーラおよびアンインストーラを参照してください。

  1. ブラウザウィンドウで、次の URL にある Oracle Software Delivery Cloud Web サイトにアクセスします。

    http://edelivery.oracle.com/

  2. サインイン/登録」をクリックします。

  3. Oracle サポートから提供されたユーザー ID とパスワードを入力するか、新しいアカウントを作成します。

  4. 「Terms & Restrictions」画面で、ライセンス契約と輸出規制への同意を示すチェックボックスを選択し、「Continue」をクリックします。

  5. 「Media Pack Search」画面で次の段階を実行します。

    1. Select a Product Pack」メニューで、「Oracle StorageTek Products」を選択します。

    2. Platform」メニューで、「Linux x86-64」を選択します。

    3. 実行」をクリックします。

  6. 「Results」表で「Oracle StorageTek Tape Analytics 2.1.0」を選択し、「Continue」をクリックします。

  7. 各メディアパック zip ファイルごとに「Download」をクリックして、少なくとも 4G バイトの空き領域がある場所にそれらのファイルを保存します。

  8. 解凍ツールを使用して、zip ファイルの内容をインストールに必要な情報の特定および作成で選択した STA インストーラの場所に抽出します (たとえば、/Installers)。

  9. Oracle インストールユーザーに sta_install_version_linux64.bin ファイルの実行権と、sta_install_version_linux64-2.zip ファイルの読み取りアクセス権があることを確認します。例:

    # cd /Installers
    # ls -la
    -rw-r--r--   1 oracle oinstall       5964 Oct 23 16:14 silentInstallUtility.jar
    -rw-r--r--   1 oracle oinstall 1275158996 Oct 23 13:35 sta_install_2.1.0.64.124_linux64-2.zip
    -rw-r--r--   1 oracle oinstall 1599220560 Oct 23 13:01 sta_install_2.1.0.64.124_linux64.bin
    
    # chmod u+x  sta_install*.bin 
    # chmod u+r sta_install*.zip
    # ls -la
    -rw-r--r--   1 oracle oinstall       5964 Oct 23 16:14 silentInstallUtility.jar
    -rw-r--r--   1 oracle oinstall 1275158996 Oct 23 13:35 sta_install_2.1.0.64.124_linux64-2.zip
    -rwxr--r--   1 oracle oinstall 1599220560 Oct 23 13:01 sta_install_2.1.0.64.124_linux64.bin
    
  10. インストーラのダウンロードパッケージに含まれる『STA リリースノート』を確認します。

STA のインストール

STA インストーラを実行するには、この手順を使用します。グラフィカルモードまたはサイレントモードを使用して STA をインストールできます。詳細は、STA インストーラのモードを参照してください。

  1. 端末ウィンドウで STA サーバーに接続し、Oracle インストールユーザーとしてログインします。詳細は、Oracle インストールユーザーを参照してください。

  2. STA インストーラの場所に変更します。詳細は、STA インストーラの場所を参照してください。例:

    $ cd /Installers
    
  3. 次のいずれかのコマンドを使用して、STA インストーラを起動します。

    • STA グラフィカルインストーラを使用する場合

      $ ./sta_install_version_linux64.bin
      

      ここで version は、ダウンロードした STA インストーラのバージョンです。例:

      $ ./sta_install_2.1.0.64.124_linux64.bin
      

      このモードには X11 ディスプレイが必要です。手順については、付録A STA グラフィカルインストーラおよびアンインストーラの画面リファレンス を参照してください。

    • STA サイレントインストーラを使用する場合

      $ ../sta_install_version_linux64.bin –silent  –responseFile response_file
      

      ここでは:

      • version は、ダウンロードした STA インストーラのバージョンです。

      • response_file は、以前に作成した応答ファイルの絶対パスです。

      例:

      $ ./sta_install_2.1.0.64.124_linux64.bin –silent –responseFile /Installers/SilentInstall.rsp 
      

      このモードを使用する前に、silentInstallUtility.jar ファイルをダウンロードし、インストールオプションを指定する応答ファイルを作成する必要もあります。手順については、付録B STA サイレントモードインストーラおよびアンインストーラを参照してください。

正常なインストールの確認

STA が実行していることを確認するには、この手順を使用します。

  1. 次の手順を使用して、STA bin ディレクトリが、システムの root ユーザーの PATH 変数に含まれていることを確認します。

    1. 現在の STA サーバーで端末セッションを開き、システムの root ユーザーとしてログインします。

    2. テキストエディタを使用してユーザープロファイルを開きます。例:

      # vi /root/.bash_profile
      
    3. STA bin ディレクトリを PATH 定義に追加します。たとえば、次の行をファイルに追加します。

      PATH=$PATH:Oracle_storage_home/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin
      

      ここで Oracle_storage_home は、STA のインストール中に指定された Oracle ストレージホームの場所です。

    4. ファイルを保存して終了します。

    5. ログアウトしてから、再度システムの root ユーザーとしてログインします。

    6. PATH 変数が正しく更新されていることを確認します。

      # echo $PATH
      /usr/lib64/qt-3.3/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/sbin:/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/root/bin:/Oracle/StorageTek_Tape_Analytics/common/bin
      
  2. STA コマンドを使用して、すべての STA サービスが実行中でアクティブであることを確認します。例3-1 は正常なステータスの表示例です。詳細は、『STA 管理ガイド』を参照してください。

    例3-1 STA の正常なステータス表示

    $ STA status all
    mysql is running
    staservd service is running
    weblogic service is runningstaengine service is running
     .... and the deployed application for staengine is in an ACTIVE state
    staadapter service is running
     .... and the deployed application for staadapter is in an ACTIVE state
    staui service is running
     .... and the deployed application for staui is in an ACTIVE state
    
  3. 次のように進めます。

STA のログディレクトリの再配置 (オプション)

この手順は、STA および MySQL のログをデフォルトの /var/log/tbi とは異なる場所に再配置する場合にのみ実行します。この手順の完了後、新しいログは指定した場所に書き込まれます。この手順は、STA のインストール後いつでも実行できます。場所の要件については、STA ファイルシステムレイアウトの確認を参照してください。

  1. システムの root ユーザーとしてログインします。

  2. すべての STA サービスを停止します。

    # STA stop all
    Stopping the staui service......
    Successfully stopped the staui service
    Stopping the staadapter service......
    Successfully stopped the staadapter service
    Stopping the staengine service......
    Successfully stopped the staengine service
    Stopping the weblogic service......
    Successfully stopped the weblogic service
    Stopping the staservd Service...
    Successfully stopped staservd service
    Stopping the mysql service.....
    Successfully stopped mysql service
    # 
    
  3. STA および MySQL のログに使用する新しい STA ログディレクトリを作成します。例:

    # mkdir -p /LOGS_DIR/log/
    # ls -ld /LOGS_DIR/log
    drwxr-xr-x 2 root root 4096 Jan 20 14:17 /LOGS_DIR/log
    
  4. ディレクトリへのアクセス権を STA および MySQL が書き込めるように変更します。例:

    # chmod 777 /LOGS_DIR/log
    # ls -ld /LOGS_DIR/log
    drwxrwxrwx 2 root root 4096 Jan 20 14:17 /LOGS_DIR/log
    
  5. 現在の /var/log/tbi ディレクトリを今作成した STA ログディレクトリに移動します。

    # mv /var/log/tbi /LOGS_DIR/log/
    # ls -l /LOGS_DIR/log/tbi
    total 20
    drwxrwxrwx 2 mysql mysql 4096 Jan  7 10:45 backups
    drwxrwxrwx 3 mysql mysql 4096 Jan  7 10:45 db
    drwxrwxrwx 2 mysql mysql 4096 Jan  7 11:30 install
    -rwxrwxrwx 1 root  root  1191 Jan 20 13:04 monitor_staserver.log
    drwxrwxrwx 2 root  root  4096 Jan  7 11:03 uidumps
    
  6. 新しい STA ログディレクトリからデフォルトの場所へのシンボリックリンクを作成します。例:

    # ln -s /LOGS_DIR/log/tbi /var/log/tbi
    # ls -l /var/log/tbi
    lrwxrwxrwx 1 root   root          15 Jan 20 14:22 /var/log/tbi -> /LOGS_DIR/log/tbi
    #
    
  7. STA を再起動します。

    # STA start all
    Starting mysql Service..
    mysql service was successfully started
    Starting staservd Service.
    staservd service was successfully started
    Starting weblogic Service......
    weblogic service was successfully started
    Starting staengine Service.........
    staengine service was successfully started
    Starting staadapter Service..........
    staadapter service was successfully started
    Starting staui Service..........
    staui service was successfully started
    #
    

Oracle 中央インベントリの場所の登録

STA のインストール完了後にこの手順を使用して、Oracle 中央インベントリの場所を STA サーバーに登録します。この手順は、このサーバーで一度だけ使用する必要があります。

この手順では、Oracle 中央インベントリのポインタファイル /etc/oraInst.loc を作成し、Oracle 中央インベントリの場所および Oracle インストールグループを、サーバーで使用されているすべての Oracle インストーラがわかるようにします。

  1. Linux の root ユーザーとしてログインします。

  2. Oracle 中央インベントリのディレクトリに変更します。例:

    # cd /opt/oracle/oraInventory
    
  3. そのディレクトリ内にある登録スクリプトを実行します。

    # ./createCentralInventory.sh
    Setting the inventory to /opt/oracle/oraInventory
    Setting the group name to oinstall
    Creating the Oracle inventory pointer file (/etc/oraInst.loc)
    Changing permissions of /opt/oracle/oraInventory to 770.
    Changing groupname of /opt/oracle/oraInventory to oinstall.
    The execution of the script is complete
    #
    

    これで、Oracle 中央インベントリの場所および Oracle インストールグループが Oracle 中央インベントリのポインタファイル /etc/oraInst.loc で特定されました。