3 XCMD XAPI 構成および管理コマンド

この章では、XCMD でサポートされている XAPI 構成および管理コマンドについて説明します。これらのコマンドは、ACSLS リリース 8.4 の ELS 互換ボリュームプール機能を有効にします。次のようなコマンドがサポートされています。

これらのコマンドは、ACSLS user_proc から XCMD コマンドを使用して発行します。詳細は、第2章 XCMD コマンドの規則を参照してください。

次のコマンドセクションの構文フローダイアグラムで使用される規則については、構文規則を参照してください。

DEFINE POOL_Name

次のセクションでは、DEFINE POOL_Name コマンドについて説明します。

説明

DEFINE POOL_NAME コマンドは、ACSLS プール ID にプールタイプとプール名を関連付けます。

構文

次の図は、DEFINE POOL_Name コマンドの構文を示しています。

図3-1 DEFINE POOL_Name コマンドの構文

図3-1 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

図3-1に示すように、DEFINE POOL_Name コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字のプール名。プール名には、パーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、アスタリスク (*) を除き、任意の文字を含めることができます。

POOLTYpe

プールのタイプ。Scratch (デフォルト) または Mvc です。

POOLId (nnnnn)

オプションで、プール ID (nnnnn) を指定します。

  • このパラメータを指定する場合は、現在存在していないプール ID を指定する必要があります。

  • このパラメータを指定しない場合は、10000 以降で最初の未使用の値がプール ID として自動的に割り当てられます。

次の例では、ユーザーは DEFINE POOL_Name コマンドを発行してスクラッチプール SCRPOOL1 を定義します。

XCMD DEFINE POOL_NAME SCRPOOL1 POOLTYPE SCRATCH

DEFINE POOL_Access

次のセクションでは、DEFINE POOL_Access コマンドについて説明します。

説明

DEFINE POOL_Access コマンドは、指定のホストに許可される pool_name へのアクセスを定義します。特定の pool_name に対してプールアクセスが定義されていない場合は、すべてのアクセスが許可されます。

構文

次の図は、DEFINE POOL_Access コマンドの構文を示しています。

図3-2 DEFINE POOL_Access コマンドの構文

図3-2 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

図3-2に示すように、DEFINE POOL_Access コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字のプール名。プール名には、パーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、アスタリスク (*) を除き、任意の文字を含めることができます。指定する pool_name は、DEFINE POOL_Name コマンドを使用してプールタイプ SCRATCH で事前に定義されている必要があります (MVC プールに対してアクセスは定義されない)。詳細は、DEFINE POOL_Nameを参照してください。

HOSTid host_name

最大 31 文字のホスト名を指定します。このパラメータは必須です。

指定する HOSTid は、インターネット完全修飾ドメイン名のホスト名の部分です。たとえば、完全修飾ドメイン名が myhost.plus.domain.name の場合、指定する HOSTidmyhost です。

ALLOWMount

オプションで、マウントアクセスを指定します。True または False を指定できます。このパラメータは、POOLTYPE MVC として定義されているプールに対してのみ有効です。

ALLOWSELscratch

オプションで、スクラッチボリュームに対する XAPI コマンド query_scr_mnt_infosel_scratch、および mount へのアクセスを指定します。True または False を指定できます。このパラメータを指定しない場合は、デフォルトで True に設定されます。

このパラメータは、POOLTYPE SCRATCH として定義されているプールに対してのみ有効です。MVC として定義されているプールに対してこのパラメータを指定すると、パラメータは自動的にデフォルトの False になります。

ALLOWSCRatch

オプションで、スクラッチアクセスを指定します。True または False を指定できます。このパラメータを指定しない場合は、デフォルトで True に設定されます。

このパラメータは、POOLTYPE SCRATCH として定義されているプールに対してのみ有効です。MVC として定義されているプールに対してこのパラメータを指定すると、パラメータは自動的にデフォルトの False になります。

次の例では、ユーザーは DEFINE POOL_Access コマンドを発行して、スクラッチプール名 SCRPOOL1 に対する設定アクセスを定義します。ここで、ホストは PRODMVS で、ALLOWMOUNT および ALLOWSCRATCHTrue です。

XCMD DEFINE POOL_ACCESS SCRPOOL1 HOSTID PRODMVS ALLOWMOUNT TRUE ALLOWSCRATCH TRUE

DELETE POOL_Name

次のセクションでは、DELETE POOL_Name コマンドについて説明します。

説明

DELETE POOL_Name コマンドはプールを削除します。このコマンドは ACSLS delete pool コマンドに似ていますが、次の点が異なります。

  • 入力では、プール IDの代わりにプール名を指定します。

  • ユーザーは、プールに割り当てられているボリュームをプール 0 に割り当て直すこともできます。

ACSLS delete pool コマンドの詳細については、『StorageTek Automated Cartridge System Library Software (ACSLS) 管理者ガイド』を参照してください。

構文

次の図は、DELETE POOL_Name コマンドの構文を示しています。

図3-3 DELETE POOL_Name コマンドの構文

図3-3 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

図3-3に示すように、DELETE POOL_Name コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字のプール名。プール名には、パーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、アスタリスク (*) を除き、任意の文字を含めることができます。指定する pool_name は、DEFINE POOL_Name コマンドを使用して事前に定義されている必要があります。詳細は、DEFINE POOL_Nameを参照してください

RESETvols

削除するプールに現在割り当てられているボリュームを、プール 0 に割り当て直すように指定します。このパラメータを指定しない場合、現在プール内にボリュームが存在していると、delete pool-name コマンドは失敗します。

次の例では、ユーザーは DELETE POOL_Name コマンドを発行してプール SCRPOOL1 を削除し、そのボリュームをプール 0 (デフォルトプール) に割り当て直します。

XCMD DELETE POOL_NAME SCRPOOL_TEST1 RESETVOLS

DELETE POOL_Access

次のセクションでは、DELETE POOL_Access コマンドについて説明します。

説明

DELETE POOL_Access コマンドは、単一のホスト名 (host_id) に関連付けられたプールアクセス規則を削除するか、すべてのホストのプールアクセス規則をすべて削除します。

  • ホスト名 (host_id) を指定すると、指定したホストのアクセス規則のみが指定のプールから削除されます。

  • ALLhost を指定すると、そのプールのプールアクセス規則がすべて削除されます。

構文

次の図は、DELETE POOL_Access コマンドの構文を示しています。

図3-4 DELETE POOL_Access コマンドの構文

図3-4 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

DELETE POOL_Access コマンドの構文に示すように、DELETE POOL_Access コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字のプール名。プール名には、パーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、アスタリスク (*) を除き、任意の文字を含めることができます。指定する pool_name は、DEFINE POOL_Name コマンドを使用して事前に定義されている必要があります。詳細は、DEFINE POOL_Nameを参照してください。

HOSTid host_name

オプションで、最大 31 文字のホスト名を指定し、このホスト ID のアクセス制限を削除する (ほかのホスト ID のアクセス規則は変更しない) ように指定します。このパラメータは ALLhost と一緒には指定できません。

ALLhost

オプションで、特定の pool_name に対するすべてのホスト ID のアクセス制限を削除するように指定します。このパラメータは HOSTid と一緒には指定できません。

次の例では、ユーザーは DELETE POOL_Access コマンドを発行して、ホスト PRODMVS から SCRPOOL1 へのプールアクセスを削除します。

XCMD DELETE POOL_ACCESS SCRPOOL1 HOSTID PRODMVS

SET POOL_Name

次のセクションでは、SET POOL_Name コマンドについて説明します。

説明

SET POOL_Name コマンドは、プール名にボリュームを割り当てるか、プール名に低位境界値を設定します。

注記:

コマンド構文が有効な場合は、範囲内の一部のボリュームをプールに追加できない場合でも、指定したボリューム範囲がデータベースに追加されます。次のいずれかの条件に当てはまる場合、ボリュームはプールへの追加に不適格です。
  • ボリュームが LOCK (ロックされた) 状態にある。

  • FORCE が指定されていない場合に、ボリュームがすでに別のプールに含まれている。

  • ボリュームが論理ライブラリに含まれている。

  • ボリュームに ACSLS 所有者が存在し、アクセス制御が有効になっている。

構文

次の図は、SET POOL_Name コマンドの構文を示しています。

図3-5 SET POOL_Name コマンドの構文

図3-5 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

図3-5に示すように、SET POOL_Name コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字のプール名。プール名には、パーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、アスタリスク (*) を除き、任意の文字を含めることができます。指定する pool_name は、DEFINE POOL_Name コマンドを使用して事前に定義されている必要があります。詳細は、DELETE POOL_Nameを参照してください。

LOWwater nnnnnnn

オプションで、プールに含まれている必要がある使用可能なボリュームの最小数を定義します。使用可能なボリュームの数が低位境界値を下回ると、ACSLS システムは警告メッセージを生成します。

VOLumes または VOLSer (volser-listvolser-rangerange-list)

オプションで、volser のリスト、volser 範囲、または volser 範囲のリストを指定します。個別のボリュームまたは範囲を最大 16 個まで指定できます。

ボリューム範囲は ACSLS 形式の volser 範囲 (ASCII 照合順序) に従って評価されます。HSC ボリュームパターン範囲に準拠している必要はありません。ただし、1 つの範囲を表す 2 つのボリュームシリアル番号の文字数は同じである必要があり、それと同じ文字数のボリュームシリアル番号のみがその範囲内にあると見なされます。たとえば、1234-12356 という範囲は無効です。範囲 1234-2345 の場合、ボリュームシリアル番号 123567 は範囲内にあるとは見なされません。指定した範囲が有効な場合は、範囲内の一部のボリュームをプールに割り当てることができない場合でも、指定した範囲がデータベースに追加されます。指定するボリューム範囲は、既存のボリューム範囲に重複していないことと、相互に重複していないことが必要です。

ボリューム範囲は ACSLS 形式の volser 範囲に従って評価されます。

  • 範囲に指定する 2 つの volser の文字数は同じである必要があります。

  • 範囲に指定する最初の volser 要素は、必ず 2 番目の volser 要素より小さくなければなりません。

  • 指定した volser が 6 文字より短い場合、volser は空白で埋められた左揃えの 6 文字フィールドとして評価されます。

  • ASCII 照合順序を使用して評価した場合に、最初の volser 要素よりも厳密に大きいか等しく、かつ 2 番目の volser 要素よりも厳密に小さいか等しい volser だけが、範囲内にあります。たとえば、volser 範囲 123456-234567 には volser 12345A が含まれます。

指定した範囲が有効な場合は、範囲内の一部のボリュームをプールに割り当てることができない場合でも、指定した範囲が pool_name データベースに追加されます。指定するボリューム範囲は、既存のボリューム範囲に重複していないことと、相互に重複していないことが必要です。

ADD

指定のボリューム範囲をプールの既存の範囲に追加するように指定します。これはデフォルトです。指定する場合は、VOLumes も指定する必要があります。ADDREPLace と一緒には指定できません。

REPlace

現在指定されているボリューム範囲を指定のボリューム範囲で置き換え、元の範囲に含まれていたボリュームをプール 0 に割り当て直すように指定します。指定する場合は、VOLumes (または VOLSer) も指定する必要があります。REPlaceADD と一緒には指定できません。

FORCE

オプションで、ほかのプールにすでに割り当てられているボリュームを新しいプールに割り当て直すように指定します。このパラメータが指定されていない場合、別のプールに現在割り当てられているボリュームは更新されません。指定する場合は、VOLumes (または VOLSer) も指定する必要があります。

APPLY

オプションで、事前に定義されているボリューム範囲をデータベース内のボリュームに適用するように指定します。上記の制限のために一部のボリュームが更新されなかった場合は、このパラメータを使用できます。指定する場合は、VOLumes (または VOLSer) も指定する必要があります。

次の例のコマンドは、SCRPOOL1 にボリューム DRL001-DRL999 を追加します。

XCMD SET POOL_NAME SCRPOOL_TEST1 VOLUMES DRL001-DRL999

QUERY POOL_Name

次のセクションでは、QUERY POOL_Name コマンドについて説明します。

説明

QUERY POOL_Name コマンドは、すべてのプール、指定の文字で始まるプール、または 1 つのプールを表示します。

構文

次の図は、QUERY POOL_Name コマンドの構文を示しています。

図3-6 QUERY POOL_Name コマンドの構文

図3-6 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

図3-6に示すように、QUERY POOL_Name コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字の既存のプール名か、アスタリスク (*) 文字で終わる汎用名。このパラメータは必須です。

出力の表示は、pool_name の形式によって次のように異なります。

  • pool_name が汎用名でない場合は、一致する 1 つのプールに定義されている volser および volser 範囲がプール情報に表示されます。

  • pool_name が汎用名である (末尾に「*」がある) 場合は、一致するプールに定義されている volser および volser 範囲はプール情報に表示されません。

次の例では、ユーザーは QUERY POOL_Name コマンドを発行して、pool1 に関する情報を表示します (関連付けられたボリューム範囲も含まれます)。

XCMD QUERY POOL_NAME POOL1

次の例では、ユーザーは QUERY POOL_Name を発行して、すべての名前付きプールに関する情報を表示します (ボリューム範囲は含まれません)。

XCMD QUERY POOL_NAME *

次の例では、ユーザーは QUERY POOL_Name コマンドを発行して、「A」で始まるすべてのプールに関する情報を表示します (ボリューム範囲は含まれません)。

XCMD QUERY POOL_NAME A*

QUERY POOL_Access

次のセクションでは、QUERY POOL_Access コマンドについて説明します。

説明

QUERY POOL_Access コマンドは、プール名に関連付けられた単一のホストまたはすべてのホストのプールアクセス規則を表示します。

構文

次の図は、QUERY POOL_Access コマンドの構文を示しています。

図3-7 QUERY POOL_Access コマンドの構文

図3-7 については、周囲のテキストで説明しています。

パラメータ

図3-7に示すように、QUERY POOL_Access コマンドには次のパラメータが含まれます。

pool_name

最大 13 文字のプール名。プール名には、パーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、アスタリスク (*) を除き、任意の文字を含めることができます。指定する pool_name は、DEFINE POOL_Name コマンドを使用して事前に定義されている必要があります。詳細は、DEFINE POOL_Nameを参照してください。

HOSTid host_id

オプションで、1-31 文字のホスト名を指定します。指定する host_id は、DEFINE_POOL_Access コマンドを使用して pool_name に対して事前に定義されている必要があります。詳細は、DEFINE POOL_Accessを参照してください。

このパラメータを指定しない場合は、プールに関連付けられたすべてのホストのアクセス規則が表示されます。

次の例では、ユーザーは QUERY POOL_Access コマンドを発行して、プール名 SCRPOOL1 に関連付けられたすべてのホストのアクセス規則を照会します。

XCMD QUERY POOL_ACCESS SCRPOOL1