7 並行障害回復テストソフトウェアの使用

ビジネス継続計画の一部として障害回復 (DR) サイトを使用または管理しているお客様は、障害が実際に発生する前に、通常の本番処理を継続できるかどうかを定期的に検証できます。その他のお客様には選択肢はなく、ビジネス継続モデルが保証要件またはその監査役を満足させられるようになっているか実証する必要があります。

現在は StorageTek ELS ソフトウェアの統合機能である並行障害回復テスト (CDRT) 機能を使用すれば、StorageTek Streamline または Nearline (実際のハードウェア) テープライブラリ、VSM (仮想ハードウェア)、および関連ソフトウェア (HSC、VTCS) を現在使用しているビジネスは、ハードウェアおよびソフトウェアを追加購入せずに、その実際および仮想テープビジネス継続機能を検証できます。

CDRT では、本番システムと DR テストシステムの両方から本番用データに同時にアクセスする本番ホストおよびアプリケーションの並行テストをサポートしています。

主要な CDRT の概念には次のものが含まれます。

  • CDRT を使用する場合、実際のハードウェアまたは仮想ハードウェア、またはその両方を使用して DR テストを実行できます。

  • CDRT、HSC、および VTCS は、システムの整合性を確保しようとして、CDS の準備中および実際の DR テスト中に特定の機能制限をプログラムによって適用します。

  • CDRT は、DR テスト期間中、既存の本番用の実際および仮想ハードウェアとテープボリュームプールの一部を論理的に分離します。これにより、DR 構成をテストしながら同時に本番作業を実行可能であり、本番用データの整合性が確保され、テープボリュームおよびハードウェアリソースの競合が最小限に抑えられます。

  • CDRT は本番用 CDS のテストコピーを作成します。したがって、本番用 ELS サブシステムと DR テスト用 ELS サブシステムは互いに通信しません。DR テスト用 CDS で生じた変更は、本番用 CDS コピーには反映されず、その逆もまた同様です。DR テスト用ホストは、論理的に分離されたハードウェアだけを実行します。本番用ホストは、1 つの例外を除きすべてのハードウェアを使用し続けます。DR 用ホストは、DR テスト中に論理的に分離された VTSS を排他的に使用します。RTD、Multiple Virtual Cartridge (MVC)、実際のスクラッチテープなどのほかのリソースは、ホストの各セットに別々のプールを定義することによって制御する必要があります。

  • DR テストは、ローカルリソースだけを使用して実行することも、ローカルリソースとリモートリソースを組み合わせて実行することもできます。実際および仮想ハードウェアだけのリモートサイトから成る構成も、メインフレームプロセッサを備えた実際および仮想ハードウェアを含むリモートサイトから成る構成もサポートされます。

  • DR テスト用ハードウェアには、ACS、VTSS、VLE のどの組み合わせでも含められます。

  • DR テスト後、CDS のテスト用コピーと、DR テストから作成されたすべてのデータは通常破棄され、論理的に分離されたハードウェアは、通常の本番環境に再配備されます。

    注記:

    • 実際の障害から回復する要件を満たすには、DISP=MOD を通じて、または本場で作成されたボリュームを上書きすることによって、DR テスト用ジョブストリームにおけるジョブがこれらのどのボリュームも更新しないことが重要です。このような方法を使用した場合、実際に障害が発生したときにこれらのボリュームの状態が予測できません。

    • DR テストの実行では、テストの冒頭で、DR テスト中に変更される可能性のある本番用ボリュームを新しいボリュームにコピーし、元のボリュームではなく コピーされたボリュームを DR テストで更新することを強くお勧めします。また、障害が発生した時点のすべてのテープボリュームのステータスがわかるように、可能な場合は JCL を変更する必要があります。

メタデータに関する考慮事項

CDRT を使用した DR テストが成功するには、ELS ソフトウェアと実際および仮想ハードウェアが管理するすべてのテープボリュームの状態の一貫したコピーが重要になります。DR テストの開始時に本番用ホストと DR 用ホストの間でテープボリュームの状態の整合性がこのように取れていれば、顧客アプリケーションの並行処理が可能になります。CDS が実際および仮想ハードウェアにおけるすべてのテープボリュームとリソースの状態を反映するため、CDRT は CDS のテスト用コピーを作成するときに、この整合性要件の一部を満たします。

ただし、テープボリューム環境では、このようなテープボリューム状態データ (メタデータ) の一部が ELS サブシステムや実際および仮想ハードウェアの外側で保持および管理されることがよくあります。テープボリュームのメタデータ (つまり VOLSER、DSN、有効期限、スクラッチステータス、実際または仮想の出力先など) は通常、1 つ以上のテープ管理カタログ (TMC)、1 つ以上の z/OS カタログ、および CDS に格納されます。

ELS (および実際および仮想ハードウェア) 外で保持および管理されるメタデータのコピーの作成を、CDRT による CDS のテスト用コピーの作成と調整する必要があります。

CDRT が VTV データを取得する場所

CDRT は、次の DR サイトリソースの 1 つ以上から、その VTV データを取得します。

  • MVC

  • VLE

  • VTSS

本番用 CDS が、DR テストに利用できる VTV に関する情報のソースであるため、スクラッチ同期サイクルで、DR テストで使用されるボリュームがテストの開始前にスクラッチステータスにならないようになっていることを確認することが重要です。DRTEST CREATE を行う前に、テスト用 VTSS をオフラインに変更することをお勧めします。

ACTMVCGN ユーティリティーを使用してこれらが READONLY に設定された場合、テスト中にスクラッチを実行すると、DR テスト用 VTSS の内容にも MVC の内容にも影響しないことに注意してください。

DR サイト CDS コピーは、コピーの時点での VTV の位置を指定し、この位置は常に MVC または VLE にあります。ただし、テストサイトに存在する VTSS 内の VTV コピーを使用することもできます。一般に、次の状況でこれを行えます。

  • SHARE キーワードで DR VTSS を定義し、本番用 VTV の内容への更新を防止している場合。

  • 本番サイトに 1 つ、DR サイトに 1 つの合計 2 つのクラスタ VTSS があり、DR テストはどの本番用 VTV の内容も変更しない場合。

  • 本番サイトに 1 つ、DR サイトに 1 つの合計 2 つのクラスタ VTSS があり、DR テスト後に時間をかけて、DR テストによって更新された VTV を特定し手動で移行する予定である場合。

    注記:

    DR テストの実行前に、重要な DR データがその指定された回復場所に到達できるように、DRMONitr ユーティリティーを使用できます。

テストが終了したときにデータに行われる処理

DR テストで作成されるデータは、DR テスト用 CDS (テスト後に破棄されます) および DR テスト用 MVC でのみ反映され、この MVC は本番用 MVC から分離された範囲のボリュームにあります。さらに、DR テストで作成された VTV は、次のいずれかを行わないかぎり、テスト後も DR テスト用 VTSS に存続します。

  1. DR テスト環境で SLUADMIN SCRATCH ユーティリティーを使用して、DR テスト用サブプール範囲内のすべて VTV をスクラッチします (MGMTCLAS DELSCR(YES) を使用)。このオプションでは、POOLPARM/VOLPARM 機能を使用する必要があります。

  2. DR テスト用システムから、DELETE(YES) を付けて MIGRATE コマンドを使用して、DR テストで変更されたすべての本番用 VTV を確実に DR テスト用 MVC に確実に移行します。これを行えない場合、本番システムが DR テストで変更されたデータを取得します。

  3. StorageTek CSE またはほかの QSP に、テスト後に DR テスト用 VTSS を「クリーニング」させ、VTSS からすべてのデータを削除します。

    注記:

    オプション 2 またはオプション 3 のどちらかを使用する場合、VTV は本番に戻されたときに DR テスト用 CDS から失われるため、VTSS の内容は本番システムと一致しません。この条件はソフトウェアで処理されますが、本番のパフォーマンスは低下する可能性性があります。

CDRT リソースの管理

次のセクションでは、CDRT リソースを管理する方法を説明します。

ボリュームリソース

CDRT リソースの管理では、最初の手順として、POOLPARM/VOLPARM ユーティリティーを使用してシステム内のボリュームを定義します。この機能は、テーププールおよびボリュームの管理全体を単純化し、CDRT 構成で、書き込まれるボリュームを分離する方法を提供します。DR テスト用 VTSS が共有されるときには POOLPARM/VOLPARM を使用する必要があり、ほかのシナリオでも強くお勧めします

注記:

SLUADMIN SET VOLPARM ユーティリティーは、本番用 CDS を使用して実行する必要があり、本番用と DR テスト用の両方のプールを定義する必要があります。SET VOLPARM ユーティリティーは DR テスト用 CDS にとって有効ではありません

スクラッチサブプール

スクラッチサブプールはすべての DR テストシナリオに適用可能です。次の構文では、POOLPARM/VOLPARM 定義を使用して、本番用および DR テスト用スクラッチサブプールを定義しています。本番と DR テストでのサブプールに同じ名前を使用することによって (異なるボリューム範囲)、次の例に示すように、DR テストの実行時に本番用ポリシーを変更する必要はありません。

*   SCRATCH POOLS
POOLPARM NAME(SCRP1) TYPE(SCRATCH)
VOLPARM VOLSER(T11000-T11999) MEDIA(T10000T1) RECTECH(T1AE)
POOLPARM NAME(SCRP1) TYPE(SCRATCH) DRTEST
VOLPARM VOLSER(T12000-T12999) MEDIA(T10000T1) RECTECH(T1AE)
POOLPARM NAME(SCRVTV1) TYPE(SCRATCH)
VOLPARM VOLSER(V1000-V1999) MEDIA(VIRTUAL)
POOLPARM NAME(SCRVTV1) TYPE(SCRATCH) DRTEST
VOLPARM VOLSER(V2000-V2999) MEDIA(VIRTUAL)

POOLPARM/VOLPARM ユーティリティーを使用して、スクラッチサブプールを定義するときに、HSC SLUADMIN SCRATCH ユーティリティーを使用して、DR テスト環境内で DR テスト用出力ボリュームをスクラッチできます。DELSCR(YES) を指定するマネージメントクラスと組み合わせて、スクラッチユーティリティーを実行すると、DR テストで作成された VTV を VTSS から削除します。

MVC リソース

MVC リソースは、実際のテープだけの場合とテープレス VSM の場合を除き、すべての DR テストシナリオに使用されます。次の例では、POOLPARM/VOLPARM 定義を使用して、本番用および DR テスト用 MVC プールを定義しています。

*   MVC POOLS
POOLPARM NAME(MVCP1) TYPE(MVC) MVCFREE(40) MAXMVC(4) THRESH(60) +
START(70)
VOLPARM VOLSER(T14000-T14999) MEDIA(T10000T1) RECTECH(T1AE)
POOLPARM NAME(MVCP1) TYPE(MVC) MVCFREE(40) MAXMVC(4) THRESH(60) +
START(70) DRTEST
VOLPARM VOLSER(T13000-T13999) MEDIA(T10000T1) RECTECH(T1AE)

次を使用して、DR テストシナリオで使用できるように本番用 MVC の内容を保存します。

  • 次の例に示すように、ACTMVCGN ユーティリティーを使用して、DR テストへの入力として使用される MVC を READONLY に設定します。

    //ACTMVCG1 EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
    //STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
    //SLSPRINT DD SYSOUT=*
    //* NOTE: MVCMAINT READONLY(ON) STATEMENTS
    //SLUSMVON DD DSN=hlq.SLUSMVON,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
    // SPACE=(CYL,1)
    //* NOTE: MVCMAINT READONLY(OFF) STATEMENTS
    //SLUSMVOF DD DSN=hlq.SLUSMVOF,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
    SPACE=(CYL,1)
    //* NOTE: THE FOLLOWING STEP SELECTS ALL "ACTIVE" MVCS
    //* IN ACS 01.
    //SLSIN DD *
    ACTMVCGN ACS(01)
    /*
    //ACTMVCG2 EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
    //STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
    //SLSPRINT DD SYSOUT=*
    //* NOTE: EXEC MVCMAINT TO SET READONLY(ON)
    
  • VTCS CONFIG を使用して、リクレイムが一部の本番用ホストで実行されないようにします。

    CONFIG HOST NAME(host) NORECLAM
    

VTSS リソース

非共有と共有の 2 種類の VTSS リソースがあります。

非共有 VTSS リソース

VTV が MVC または VLE に移行される環境では、VTSS リソースは、DR テスト中に分離されます。DR テストシステムは、DRTEST PRIMEPRD/CREATE ユーティリティーを通じて定義される VTSS にのみアクセスでき、これらの VTSS は本番に対してオフラインの状態のままにする必要があります。本番環境で DR VTSS がオンラインになっている場合、DRTEST START コマンドは拒否されます。

場合によっては、本番サイトとテストサイトの両方で同じ名前の 2 つの VTSS が存在します。この場合、DRTEST PRIMEPRD/CREATE ユーティリティーの SPARE パラメータは、DR テスト用 VTSS が本番用 VTSS と同じ名前を持つが、物理的には同じデバイスではなく、本番用デバイスがテスト中にオンラインの状態のままでいられることを指定します。ほかのシナリオには SPARE パラメータを使用しないでください。

CDRT 内のクラスタ VTSS

シナリオ 4: 本番サイトと DR テストサイトを備えたクラスタ VTSSでは、クラスタ VTSS を使用して、DR サイトの VTSS にデータを配信します。このシナリオでは、DR テスト用 VTSS が本番に対してオフラインになるため、クラスタは DR テスト中に機能しません

DR テスト中に本番用 VTV に何らかの変更が行われた場合、テスト用 VTSS を本番に対してオンラインに戻す前に、変更された VTV が VTSS から削除されていることを確認する必要があります。それ以外の場合、変更された VTV は本番サイトで取得できます。この状況を防止するために、本番用 VTV がテストで変更されないように DR テストを設計することを強くお勧めします

クラスタ VTSS シナリオでは、本番用ホストにアクセスできる VTD がテスト用 VTSS 内にない可能性があります。本番用 VTSS から DR テスト用 VTSS への ECAM 通信を可能にするには、VTCS CONFIG で次のように指定します。

VTD LOW=xxxx HIGH=xxxx NOVERIFY
VTSS クラスタでの DR テストの準備:
  1. DR テスト用 VTSS を休止状態に変更します。次に例を示します。

    VARY VTSS1 QUIESCED
    

    ここでの目標は VTSS1 へのレプリケーションを (正常に) シャットダウンすることであり、したがって、これを DR テストにのみ使用できます。

  2. Display REPLicat を使用して、完了するまでレプリケーションをモニタリングします。ここでは、レプリケーションはまだアクティブです。

    VTSS   HOST  QDEPTHVTSS0  PRODUCTION    1
    

    次のように表示されていれば、レプリケーションが完了したことがわかります。

    VTSS   HOST  QDEPTH
    VTSS0  PRODUCTION  0
    
  3. Display CLINK で CLINK ステータスを調べることによって、レプリケーションが完了していることを照合確認します。ここでは、CLINK はまだアクティブです。

    VTSS  CLINK  STATUS USAGE        HOST
    VTSS0   7    ONLINE REPLICATING  PRODUCTION
    VTSS0   8    ONLINE REPLICATING  PRODUCTION
    You know the CLINK is no longer active when you see this:
    VTSS  CLINK  STATUS USAGE        HOST
    VTSS0   7    ONLINE FREE
    VTSS0   7    ONLINE FREE
    
  4. DR テスト用 VTSS をオフラインに変更します。

    VARY VTSS1 OFFLINE
    
DR テスト前後での VTSS の内容の管理

DR テストを開始する前に、次を行う必要があります

  1. テスト出力が誤って本番に取得されないようにテストを計画します。

  2. DR テスト用 CDS が DR 用 VTSS の内容に一致するように、テストを準備します。

さらに、テスト後できるだけ迅速にすべてのテストサイトの VTSS をクリーニングすることを強くお勧めします。この方法は、次のテストの開始時にテストサイト用 VTSS が空になっており、本番に戻される VTSS 上に DR テスト用データが残されていないようにします。

次のいずれかを行うことにより、テスト用 VTSS をクリーニングできます。

  1. DR テストで、本番用 VTV への更新 (上書きまたは追加) を実行できないようにし、POOLPARM/VOLPARM を使用して、DR テスト用スクラッチサブプールを定義します。この方法では、スクラッチユーティリティーを実行して、DR テスト範囲内のすべての VTV をスクラッチでき、これらは VTSS から自動的に削除されます (マネージメントクラスが DELSCR(YES) を指定する場合)。

  2. DR テストで本番用 VTV を更新できる場合、VTSS を本番に戻す前に、DR テスト出力に使用される VTSS がすべて空になっているようにする必要があります。DR テスト環境でゼロに移行することによって、または StorageTek CSE やほかの QSP に VTSS を「クリーニング」させることによって、これを行えます。

DRTEST CREATE ユーティリティーを実行して DR テスト用 CDS を作成するときに、VTSS の内容に関するメタデータはテスト環境に伝播されます。DR テスト用 VTSS 上の VTV は、DR テスト環境に利用できます。

DR テスト用 VTSS がスペアとして定義される場合、物理的な DR VTSS の内容は、スペア VTSS の本番用インスタンスを参照する CDS メタデータに一致しません。不一致を削除するには、DR テスト用 CDS を作成する前に、本番環境で、スペア VTSS の本番用インスタンスを 0 に移行します。VTCS VTVRPT OPTION(UNAVAIL) を実行して、すべての VTV が移行され、ほかの VTSS に利用できるようにします。この手順が実行されない場合、スペア VTSS 上の VTV にアクセスしようとする DR テストの試行は、VTV マウントに関する SLS6680E メッセージを発行します。

共有 VTSS リソース

実際のテープまたは VLE MVC のどちらもテープ環境に含まれない場合、共有 VTSS 環境で CDRT を実行できます。DRTEST PRIMEPRD/CREATE SHARE パラメータは、テスト中に VTSS が本番と DR テストとで共有されることを指定します。この環境は次の制限を適用します。

  1. DRTEST CREATE はまた、DRACS または STORMNGR リソースを定義できません。つまり、共有 VTSS から外部メディアに移行できるデータはありません。

  2. 本番システムは、POOLPARM/VOLPARM 機能を使用して、ボリュームリソースを定義する必要があります。

  3. DR テスト環境での非 DRTEST サブプール VTV のマウントは、VTV を読み取り専用に強制します。つまり、DR テストは、本番 VTV に対する上書きまたは付加は許可されていません。

ACS リソース

ACS リソースは、実際のテープだけの DR テストシナリオに、または非テープレス VSM 環境において VLE がなく仮想テープを含む DR テストシナリオに使用されます。CDRT の ACS リソースは DRTEST PRIMEPRD/CREATE DRACS パラメータで指定されます。

DR テスト用 ACS の制限

DRTEST CREATE ユーティリティーを実行する前に、HSC CAPPREF コマンドを発行して、CAP を手動に設定する必要があります。ソフトウェアは、テストが有効なかぎり、それらがその状態のままであることを保証します。DRTEST START コマンドの入力後、両方のサイトでデータにアクセスできるようにハードウェアとそれぞれの CDS との間の整合性を確保するために、本番環境と DR テスト環境の両方の DR テスト用 ACS に制限が適用されます。DRTEST START コマンドは、DR テスト用 ACS における CAP が本番環境で自動モードになっている場合に拒否されます。

次の制限がソフトウェアによって自動的に適用されます。

DR 本番ホストの要件

DR 用 ACS のアクティブな DR テスト中の DR 本番ホスト要件は次のとおりです。

  • CAP は手動モードのままにする必要があります。

  • FLOAT(OFF) および EJCTAUTO(OFF) は、MNTD コマンドでの設定とは無関係に自動的に適用されます。

  • DR テスト用 ACS の取り出し、移動、監査、およびスクラッチユーティリティーを実行できません。

DR テスト用ホストの要件

DR テスト中の DR テスト用ホストの要件は次のとおりです。

  • 非 DR テスト用 ACS はオンラインにできません。

  • CAP は手動モードのままにする必要があります。

  • 自動的に適用された FLOAT(OFF) および EJCTAUTO(OFF) とほかの値は、MNTD コマンドで有効ではありません。

  • DR テスト用 ACS の取り出し、移動、監査、およびスクラッチユーティリティーを実行できません。

  • スクラッチ更新は、DR テスト用スクラッチサブプールボリュームとして、POOLPARM/VOLPARM を使用して定義されたボリュームにのみ許可されます。

VLE リソース

DRTEST PRIMEPRD および CREATE コマンドの STORMNGR パラメータを使用して、VLE リソースを定義します。通常、DR テスト用リソースは ACS または VLE のどちらかですが、両方の使用には制限はありません。

物理的 MVC と同様に、VLE VMVC は、DR テストに予約された VMVC の範囲で、POOLPARM/VOLPARM 機能を使用して定義されます。次の例に示すように、DR テストは、本番用 VMVC への読み取りアクセスも行えます。

//ACTMVCG1 EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//* NOTE: MVCMAINT READONLY(ON) STATEMENTS
//SLUSMVON DD DSN=hlq.SLUSMVON,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
// SPACE=(CYL,1)
//* NOTE: MVCMAINT READONLY(OFF) STATEMENTS
//SLUSMVOF DD DSN=hlq.SLUSMVOF,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
SPACE=(CYL,1)
//* NOTE: THE FOLLOWING STEP SELECTS ALL "ACTIVE" MVCS
//* IN VLE1 AND MVCPOOL MVCP1.
//SLSIN DD *
ACTMVCGN STORMNGR=VLE1,MVCP=MVCP1
/*
//ACTMVCG2 EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//* NOTE: EXEC MVCMAINT TO SET READONLY(ON)
//SLSIN DD DSN=hlq.SLUSMVON,DISP=SHR

VTCS ポリシー

本番環境と DR テスト環境の違いを最小限に抑えるために、CDRT では、本番環境と DR テスト環境の両方で同じ名前を持つが、ポリシー定義が異なる VTV を管理するためのポリシーを定義できます。

本番サイトとテストサイトは、DRTEST DRVTSS SHARE パラメータを使用して、VTSS を共有できます。また、ダミーの DR ACS の指定は、共有 VTSS または VLE を使用した DR テストには必要ではありません。共有 VTSS の指定には次の制限があります。

  • 共有 DR テスト用 VTSS は、本番サイトおよび DR テストサイトからのアクティブな RTD 接続を行えません。

  • CDS は、DR テスト用スクラッチサブプールを定義するために VOLPARM 定義を含んでいる必要があります。

  • 本番用 VTV (DR テスト用サブプールにはない VTV) は、マウントされるときに読み取り専用に設定され、変更することはできません。

非共有 VTSS に対する MGMTCLAS/STORCLAS の定義

DR テストシステムのマネージメントクラスを定義するときに、通常、出力 VTV の単一の MVC コピーだけを定義します。テスト後の VTSS クリーンアップを許可するために、次の例に示すように、DELSCR(YES) を指定することをお勧めします。

STOR NAME(LOCAL) ACS(01) MVCPOOL(MVCP1)
MGMT NAME(CRITICAL) MIGPOL(LOCAL) IMMWAIT(0) DELSCR(YES)

共有 VTSS の MGMTCLAS の定義

DR テストに共有 VTSS を使用する場合、移行した出力コピーは許可されません。次の例に示すように、テスト後のクリーンアップを許可するには、DELSCR(YES) を指定する必要があります。

MGMT NAME(CRITICAL) DELSCR(YES)

テストおよび本番用リソースへのアクセスの最適化

DR テスト中、テスト環境と本番環境の両方で、リソースへのアクセスを最適化する手順を適用することをお勧めします。具体的には次のとおりです。

  • DR テストを開始する前に、VTV が、DR テストシステムと本番システムにアクセス可能な MVC 上で使用可能になるように、本番用 ACS と DR テスト用 ACS の両方への即時移行を指定する本番用マネージメントクラスを定義します。

  • 通常、DR テストサイトに利用できる ACS は 1 つだけであるため、単一の移行コピーを指定する DR テスト用マネージメントクラスを定義します。

  • POOLPARM/VOLPARM 機能を使用して、本番と DR テスト間でスクラッチサブプールと MVC プールの両方を分離します。

  • 可能な場合は、DR テスト処理で、以前から存在するどの VTV も更新されないことを確認します (DISP=MOD または DISP=OLD で上書き)。

  • ACTMVCGN ユーティリティーを実行して、本番環境でアクティブな MVC を読み取り専用とマークすることにより、DR テスト用 ACS に移行する本番ジョブと、DR テスト用 ACS 内の MVC 上の VTV にアクセスする DR テストジョブとの競合を最小限に抑えます。

  • DR テストシステムで使用されているボリュームの MVC の内容を保存するために、DR テスト中に本番用 MVC で MVC スペースリクレイムを無効にします (CONFIG HOST NORECLAM を使用)。

DR テストの実行

注記:

この手順で使用されるコマンドとユーティリティーの詳細は、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。

DR テストを実行するには:

  1. SET VOLPARM コマンドと POOLPARM/VOLPARM 文を SLSPARM DD で使用して、本番用 CDS 内でボリュームプールを定義します。

    詳細は、「ボリュームリソース」を参照してください。

  2. テストリソースが正しく設定されていることを確認します。

    詳細は、次を参照してください。

  3. DRTEST 環境に対して MGMTCLAS/STORCLAS 文を作成します。

    詳細は、次を参照してください。

  4. 必要に応じて、DR テストサイトの MVS カタログをコピーします。

  5. オプションで、DR テストサイトの TMS データベース (TMS が使用されている場合) をコピーします。

  6. 本番サイトで、DRTEST ユーティリティー (PRIMEprd キーワードを使用) を実行して、本番用 CDS で DR テストの準備をします。

    たとえば、「シナリオ 1 の JCL 例」を参照してください。

    構成が変更しないかぎり、DRTEST の繰り返しを何回度実行しようとも、環境内で実行する必要がある PRIMEprd一度だけです。DR テスト用構成に何らかの変更が行われた場合、PRIMEprd を再実行する必要があります。DR テストが完了したあとでは、DRTEST RESET ユーティリティーを実行する必要はありません。本番用 CDS ではフラグが設定されたままですが、DR テストがアクティブでないかぎり、処理に影響しません。

  7. 本番システムで、HSC CAPPREF コマンドを使用して、DR テスト用 ACS 内のすべての CAP を手動モードに設定します。

  8. DR テストサイトで、DRTEST ユーティリティー (CREATE キーワードを使用) を、本番用 CDS のミラーまたはバックアップコピーに対して実行して、DR テストの新しい DR テスト用 CDS を作成します。

    それぞれのシナリオでは、DRTEST CREATE の例を示します。

    CDS は、ユーティリティーで DD 文を使用して割り当てる必要があります。NOUPD を使用するときには、SLSCNTL DD 文だけが必要であり、これは実際のプライマリ CDS、バックアップ、またはミラーコピーのいずれかにできます。

  9. 手順 3 で作成した DRTEST MGMTCLAS/STORCLAS 定義を指して、本番サイトで DR テストを開始します。

    次に例を示します。

    /PRIME EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
    //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
    //SLSIN DD *
    DRTEST START
    

    注記:

    コンソールから DRTEST START コマンドを入力して、テストを開始することもできます。
  10. DRTEST クライアントホストで SMC システムを開始します。

  11. DR テストシステムで SMC/HSC/VTCS システムを開始します (手順 8 で作成した CDS を指します)。

  12. テスト用 VTSS の VTD とパスがオンラインであることを確認します。

  13. DR システムに対して DR VTSS をオンラインにします。

  14. 該当する場合は、DR システムに対して DR RTD をオンラインにします。

  15. DR テストサイトでテストを実行します。

    DR テスト中、次の条件がプログラムによって適用されます。

    • 本番サイト用 ACS は DR テストホストから切断されます。

    • 本番サイト用 VTSS は DR テストホストに対してオフラインです。

    • DR テストサイトでは、フローティングマウント解除、取り出し、移動、スクラッチ更新、監査、およびスクラッチ再分配は行えません。

    • 本番サイトでは、DR テスト用 ACS でのフローティングマウント解除、エンター/取り出し、移動、監査、およびスクラッチ再分配は行えません。

    • DR テスト用 ACS 内のすべての CAP は手動モードです。

      注記:

      DR テスト用 ACS にボリュームをエンターできますが、テストの完了後、ボリュームを取り出すか、本番用 CDS を実際のライブラリボリュームと同期させるようにセルを監査する必要があります。

DR テスト後のクリーンアップ

この章の冒頭で述べているように、DR テストジョブストリームのジョブが、本番で作成されたどのボリュームも更新しないことは重要です。

注記:

DRTEST コマンドと DRTEST ユーティリティーの詳細は、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。CDRT メッセージの詳細は、『ELS メッセージおよびコード』を参照してください。

DR テスト後のクリーンアップ

注記:

ELS 7.1 以上では、CDRT クリーンアップ拡張 SPE をインストールしている場合、DR テストの直後、および通常の本番環境を再開する直前に、この手順を実行する必要はありません。代わりに、中断せずに実行できます (次の DR テストの前など)。
  1. SLUADMIN SCRAtch ユーティリティーを実行して、DRTEST サブプール内の可能性のある VTV をすべてスクラッチします。

    マネージメントクラスで DELSCR(YES) を設定するため、テストの終了時にスクラッチするときに、VTV は自動的にバッファーから削除されます。

    警告:

    SET VOLPARM を使用せず、個別のスクラッチプールを設定しない場合は、データ損失のリスクがあります。

  2. DR テストが本番用 VTV を変更した、または変更した可能性がある場合、次の操作を行なって、DR テスト用データが本番用 VTSS に残っていないようにする必要もあります。

    • DRTEST CDS に対して VTV レポートを実行し、その出力を調べて、本番用 VTV 範囲にテスト中に変更された VTV が存在するかどうかを判断します。

      VTVRPT COPIES は現在、DR テストコピーである VTV コピーに、DRT 列で「D」のフラグを付けることに注意してください。

    • VTV が変更された場合、次のいずれかを行う必要があります。

      • VTV レポートに基づいて、変更された VTV の要求移行を実行します。

      • DR テスト用 VTSS を 0 に移行します。

      • CSE にテスト用 VTSS を「クリーニング」させます。

  3. DR テスト用 MVS システムで HSC/VTCS および SMC を停止します。

  4. MVC を READONLY 状態にするために、テスト前に ACTMVCGN ユーティリティーを実行した場合は、SLUSMVOF DD 文の出力を入力として利用して SLUADMIN を実行し、READONLY 状態をリセットします。

通常操作の再開

次の手順に従って、操作を再開し、DR テストを停止します。

  1. PRODUCTION MVS システムで DR テストを停止します。

    次に例を示します。

    /STOP EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
    //STEPLIB DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
    //SLSPRINT DD SYSOUT=*
    //SLSIN DD *
    DRTEST STOP
    

    DR テストが完了したあとでは、DRTEST RESET ユーティリティーを実行する必要はありません。本番用 CDS ではフラグが設定されたままですが、DR テストがアクティブでないかぎり、処理に影響しません。

  2. 必要に応じて、CAP を自動モードにします。

操作シナリオ

このセクションでは、DR テストソフトウェアを使用して、DR テストを開始および停止するために環境を設定する方法について説明します。このセクションは次の情報から構成されます。

DRTEST コマンドと DRTEST ユーティリティーの詳細は、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。CDRT メッセージの詳細は、『ELS メッセージおよびコード』を参照してください。

注記:

どのシナリオでも、テスト後に「DR テスト後のクリーンアップ」の手順を実行してください。

シナリオ 1: 本番サイトとテストサイト、各サイトの ACS、テストサイトのスペア VTSS

シナリオ 1 では、本番サイトとテストサイトの両方に単一の ACS があり、テストにのみ使用されるテストサイトに「スペア」VTSS があります (「スペア」VTSS の内容を移行または復元するための要件はありません)。通常の操作では、本番サイトは、本番サイトの VTSS 上の VTV に対して書き込みおよびアクセスを行い、出力 VTV は常に即時に移行され、別々の MVC (各 ACS に 1 つ) に二重化されます。図7-1 は、DRTEST ユーティリティーを実行する前のシナリオ 1 のシステムを示します。

図7-1 スペア VTSS 構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-1 の説明が続きます
説明: 図7-1 スペア VTSS 構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

シナリオ 1 の JCL 例

PRIMEPRD 手順:

//DRTPRIME EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSIN DD *
DRTEST PRIMEPRD +
DRACS(01) DRVTSS(VTSS0) SPARE HOST(MVS1,MVS2)

CREATE 手順:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
DRACS(01) DRVTSS(VTSS0) SPARE HOST(MVS1,MVS2)

図7-2 は、DRTEST ユーティリティーの実行後のシナリオ 1 (テストサイトでのスペア VTSS) のシステムを示します。

図7-2 スペア VTSS 構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

図7-2 の説明が続きます
説明: 図7-2 スペア VTSS 構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

シナリオ 2: 本番サイトとテストサイト、各サイトの ACS、テストサイトの VTSS テイクオーバー

シナリオ 2 では、本番サイトとテストサイトの両方に単一の ACS があり、テストに使用されるテストサイトに「スペア」VTSS はありません。通常の操作では、本番サイトは、両方のサイトの VTSS 上の VTV に対して書き込みおよびアクセスを行い、出力 VTV は常に即時に移行され、別々の MVC (各 ACS に 1 つ) に二重化されます。この構成では、必要な VTSS リソースをテストが引き継げるように、テストサイトで 1 つ以上の VTSS のゼロへの要求移行を行い、本番にシステムに対してこれらの VTSS をオフラインにする必要があります。さらに、テストサイトでの 1 つ以上の LPAR が、置き換えられた本番システムとして機能し、実際の本番システムと並列に実行します。両方の ACS は本番システムに対してオンラインです。

図7-3 は、DRTEST ユーティリティーの実行前のシナリオ 2 (テストサイトでの VTSS テイクオーバー) のシステムを示します。

図7-3 VTSS テイクオーバーの構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-3 の説明が続きます
説明: 図7-3 VTSS テイクオーバーの構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

シナリオ 2 の JCL 例

CREATE 手順のみ、以前に実行された PRIMEPRD:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
DRACS(01) DRVTSS(VTSS1) HOST(MVS1,MVS2)

図7-4 は、DRTEST ユーティリティーの実行後のシナリオ 2 (テストサイトでの VTSS テイクオーバー) のシステムを示します。

図7-4 VTSS テイクオーバーの構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

図7-4 の説明が続きます
説明: 図7-4 VTSS テイクオーバーの構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

シナリオ 3: 本番サイトとテストサイト、各サイトの ACS、VTSS なし

シナリオ 3 では、本番サイトとテストサイトの両方に単一の ACS があり、テストに使用されるテストサイトに VTSS がありません。通常の操作では、本番サイトは両方のサイトでのテープデータセットに対して書き込みおよびアクセスを実行します。図7-5 は、DRTEST ユーティリティーの実行前のシナリオ 3 (読み取り専用の構成) のシステムを示します。

図7-5 読み取り専用構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-5 の説明が続きます
説明: 図7-5 読み取り専用構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-6 は、DRTEST ユーティリティーの実行後のシナリオ 3 (読み取り専用構成) のシステムを示します。

図7-6 読み取り専用構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

図7-6 の説明が続きます
説明: 図7-6 読み取り専用構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

シナリオ 3 の JCL 例

CREATE 手順のみ、以前に実行された PRIMEPRD:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
DRACS(01) HOST(MVS1,MVS2)

シナリオ 4: 本番サイトと DR テストサイトを備えたクラスタ VTSS

図7-7 に示すように、通常の操作では、シナリオ 4 は、本番サイトと DR テストサイトが本番および DR テスト用 ACS に相互接続した、DR に使用されるクラスタ VTSS 構成です。本番サイトでは VTSS0 がプライマリで、VTSS1 は DR テストサイトでセカンダリです。

図7-7 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS 構成 - 通常操作

図7-7 の説明が続きます
説明: 図7-7 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS 構成 - 通常操作

シナリオ 4 の JCL 例

CREATE 手順のみ、以前に実行された PRIMEPRD:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
DRACS(01) DRVTSS(VTSS1) SHARE HOST(MVS1,MVS2)

テストに DR テストサイトを使用する場合はどうでしょうか。図7-8 は、DR テスト中のシナリオ 4 のシステムを示します。

図7-8 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS の構成 - テスト中

図7-8 の説明が続きます
説明: 図7-8 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS の構成 - テスト中

シナリオ 5: 本番サイトとテストサイト、各サイトに ACS および VLE

シナリオ 5 では、本番サイトとテストサイトの両方に単一の ACS があり、テストに使用されるテストサイトに「スペア」VTSS はありません。通常の操作では、本番サイトは、両方のサイトの VTSS 上の VTV に対して書き込みおよびアクセスを行い、出力 VTV は常に即時に移行され、二重化されます (ACS 内の MVC に 1 つのコピー、VLE 内の VMVC に 1 つのコピー)。この構成では、必要な VTSS リソースをテストが引き継げるように、テストサイトで 1 つ以上の VTSS のゼロへの要求移行を行い、本番にシステムに対してこれらの VTSS をオフラインにする必要があります。さらに、テストサイトでの 1 つ以上の LPAR が、置き換えられた本番システムとして機能し、実際の本番システムと並列に実行します。ACS と VLE はどちらも本番システムに対してオンラインです。

図7-9 は、DRTEST ユーティリティーの実行前のシナリオ 5 のシステムを示します。

図7-9 VLE および ACS の構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-9 の説明が続きます
説明: 図7-9 VLE および ACS の構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

シナリオ 5 の JCL 例

CREATE 手順のみ、以前に実行された PRIMEPRD:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
DRACS(01) DRVTSS(VTSS1) HOST(MVS1,MVS2) STORMNGR(VLE1)

図7-10 は、DRTEST ユーティリティーの実行後のシナリオ 5 のシステムを示します。

図7-10 VLE および ACS の構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

図7-10 の説明が続きます
説明: 図7-10 VLE および ACS の構成 - DRTEST ユーティリティーの実行後

シナリオ 6: 本番サイトとテストサイト、各サイトに VLE のみ

シナリオ 6 では、各サイトに VLE が接続した単一の VTSS があります。テストサイトの VTSS はスペアではなく、通常操作中に本番サイトで使用されます。出力 VTV は常に即時に移行され、個別の VMVC に二重化されます (VLE ごとに 1 つ)。

この構成では、必要な VTSS リソースをテストが引き継げるように、テストサイトで 1 つ以上の VTSS のゼロへの要求移行を行い、本番にシステムに対してこれらの VTSS をオフラインにする必要があります。さらに、テストサイトでの 1 つ以上の LPAR が、置き換えられた本番システムとして機能し、実際の本番システムと並列に実行します。両方の VLE は本番システムに対してオンラインです。

図7-11 は、DRTEST ユーティリティーの実行前のシナリオ 6 のシステムを示します。

図7-11 VLE のみの構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-11 の説明が続きます
説明: 図7-11 VLE のみの構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

シナリオ 6 の JCL 例

CREATE 手順のみ、以前に実行された PRIMEPRD:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
STORMNGR(VLE1) DRVTSS(VTSS1) HOST(MVS1,MVS2)

図7-12 は、DRTEST ユーティリティーの実行後のシナリオ 6 のシステムを示します。

図7-12 VLE のみのシナリオ - DRTEST ユーティリティーの実行後

図7-12 の説明が続きます
説明: 図7-12 VLE のみのシナリオ - DRTEST ユーティリティーの実行後

シナリオ 7: 本番サイトと DR テストサイトを備えたクラスタ VTSS (テープレス)

図7-13 に示すように、通常の操作では、シナリオ 7 は、本番サイトと DR テストサイトを備えた、DR に使用されるクラスタ VTSS (テープレス) 構成です。本番サイトでは VTSS0 がプライマリで、VTSS1 は DR テストサイトでセカンダリです。

図7-13 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS テープレス構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

図7-13 の説明が続きます
説明: 図7-13 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS テープレス構成 - DRTEST ユーティリティーの実行前

シナリオ 7 の JCL 例

CREATE 手順のみ、以前に実行された PRIMEPRD:

//DRTCREAT EXEC PGM=SLUADMIN,PARM='MIXED'
//STEPLIB  DD DSN=hlq.SEALINK,DISP=SHR
//SLSPRINT DD SYSOUT=*
//SLSNEW1  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW2  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSCNTL2,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSNEW3  DD DSN=hlq.DRTEST.SLSSTBY,DISP=(NEW,CATLG,DELETE),
//         UNIT=SYSDA,SPACE=(CYL,x)
//SLSIN DD *
DRTEST CREATE NOUPDPRD +
DRVTSS(VTSS1) SHARE HOST(MVS1,MVS2))

テストに DR テストサイトを使用する場合はどうでしょうか。図7-14 は、DR テスト中のシナリオ 7 のシステムを示します。

図7-14 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS テープレス構成 - テスト中

図7-14 の説明が続きます
説明: 図7-14 プライマリ/セカンダリクラスタ VTSS テープレス構成 - テスト中