3 ELS External Vaulting 機能の使用

ELS External Vaulting 機能 (ELS Vault) は、その前身である VSM Offsite Vault Feature に置き換わるもので、大幅に改善しています。ELS Vault は、実際のテープボリュームをボールティングするための次の拡張機能を提供します。

  • HSC CDS を使用して、ボールトおよびボールトボリュームデータを格納します。TMS の代わりに CDS ボールティング情報を使用すると、次の点が解消されます。

    • 自動化された環境にボリュームを戻すときの人的エラーのリスク

    • 戻しプルリストにない場合にボールト場所でのボリュームのストランド

    • 自動化された環境での偶然に返されたボールトボリュームの放置

  • LCM を使用して、ボールティングプロセスを管理します。これには次の 3 つのボールト方法があります。

ELS External Vaulting の準備

最初の手順は、HSC CDS のボールトボリューム領域を定義することです。そのために、SLUADMIN SET VAULTVOL ユーティリティーを実行します。次に例を示します。

SET VAULTVOL NBRVOLS(40000)

注記:

  • 初期定義後、さらにボールトボリュームを追加する必要がある場合は、MERGEcds を使用してこれを行う必要があるため、予測されるニーズに対応した十分なボリュームを初期定義で確保します。

  • ボールティングする予定のボリューム (実際のテープボリューム) と増大したときのためのオーバーヘッドに対応するため、CDS 内に十分な空きブロックを用意する必要があります。ボールトボリュームの領域の計算に関する情報は、「HSC および VTCS の構成」を参照してください。ボールトボリュームを保持できるほど大きくない CDS を拡張する方法については、「HSC および VTCS の管理」を参照してください。

手順 2 では、ボールトボリュームを含むボールトを定義します。そのため、ボールトごとに SLUADMIN SET VAULT ユーティリティーを実行します。次に例を示します。

SET VAULT ADD NAME(DRVLT1) SLOTS(10000) DESC(’DR Vault’) 
SET VAULT ADD NAME(LTRVLT1) SLOTS(20000) DESC(’LTR Vault’) 
SET VAULT ADD NAME(FLOOR) SLOTS(500) DESC(’Floor Vault’)

注記:

定義する全ボールト内のスロットの合計数は、VAULTVOL 文で指定されたボリューム数を超えることはできません。

HSC はボールトとボールトボリュームを定義しますが、LCM がこれらを管理します。特に次の LCM ボールティングパラメータに注意してください。

GRACEPERIOD

ボールトからの戻しにボリュームが選択されたときから、自動化された環境に実際に返されるときまでの日数。古いボリュームが返される前に新しいボリュームがボールトに到達するように、猶予期間で安全なマージンがもたらされます。指定されていない場合、デフォルト値は 3 日です。

DEFAULT

DEFAULTGRACEPERIOD と相互に排他的であり、通常、LCM EJECT(ASNEEDED) を使用して自動化された環境から取り出されたすべてのボリュームを自動的に含める、「フロア」(手動ラック) ボールトに使用されます。アクティブだが、もはや適切な自動化候補ではないボリュームなど、ACS から取り出されるほかのボリュームもまた、このボールトに割り当てることができます。一般にこれは、実際にデータセンターフロアのラックにある定義されたボールトです。DEFAULT はゼロ日の猶予期間であり、これらのボリュームをいつでも ACS に再エンターできます。

すべてのボールトボリュームに標準取り出しオプションを利用することもできます。これには、使用する CAP、取り出しメッセージの定義、取り出しのモード、および取り出しがスロット順かボリュームシリアル順かが含まれます。

DR および LTR 用の MVC の作成

DR 用に MVC がボールティングされる場合はいつでも、各 VTV のコピーを最低 2 つ作成して MVC を分離する必要があります。そのうちの 1 つはオンサイトのままで、もう一方の MVC は取り出され、外部ボールトに置かれます。これは、VTV に割り当てられるマネージメントクラス上で 2 つのストレージクラスを割り当てることによって行われます。

したがって問題は、データを保護する必要があるが、次のように MVC スペースをできるだけ経済的に使用したいということにあります。

  • できるだけ少数のストレージクラスを定義します。非常に多くのストレージクラスではと、通常、非常に多くの MVC または少数の VTV を含む MVC を意味します。

  • できるだけ少数の VTSS を使用して MVC を作成します。可能な場合は常に、ボールト MVC の作成だけに 1 つの VTSS を使用します。

MVC の作成とボールティングについてほかにどのような考慮事項があるでしょうか。次の点を考慮してください。

  • VTV は通常、ほかのジョブ手順の入力として使用されないので、これらを取り出し、ボールトに移動できるように、まず、できるだけすぐに VTV をボールト MVC に移行する必要があります

  • 次に、DR VTV は異なる速度で期限切れになるため、MVC で有効期限が似た VTV をグループ化することを検討してください。ただし、ボールトに送るために作成される MVC の合計数を減らすには、これらのグループ数を制限します。VTV を少数の MVC に統合するアクティビティーがすでに存在するため、次の 7 日以内などの有効期間が非常に短い VTV 用に 1 つ、ほかのボリュームすべてに 1 つの合計 2 つのグループより多くしてもメリットは増大しません。カタログ制御下の VTV は、実際の有効期限がわからないので、2 番目のグループの一部とみなす必要があります。

  • 3 番目に、DR 用と LTR 用で別々のボールトを持つ必要はありませんが、DR 用 MVC を個別のボールトに置くと役立つ可能性があります。このようにすれば、必要に応じてこれらのボリュームを集めて、DR サイトに送ることができます。

    LTR データの場合、考慮事項は少し異なります。まず、LTR データは定義上、拡張期間中に期限切れになりません。したがって、時間の経過とともに期限切れになる DR データとは異なり、LTR 用 MVC は断片化されません。DR 用 MVC の場合と同様に、ボールティングされた MVC ができるだけいっぱいになるようにする、これらの MVC の初期の定期的処理がありますが、いったんいっぱいになると、これらの MVC は静的なままになります。これらのボリュームに複数のストレージクラスを与える必要はありません。ただし、一部の LTR データは即時に移行できます。ほかのデータは、VTCS 自動移行で選択されたときに移行できます。したがって、LTR データにはストレージクラスは 1 つですが、マネージメントクラスは 2 つ使用できます。

ボールティング機能を使用するときの DELSCR に関する考慮事項

MGMTclas 文の DELSCR パラメータを使用して、スクラッチされた VTV を VSM が削除するかどうかを指定します。ここで DELSCR(YES) とすると、VSM はスクラッチされた VTV を削除し、これにより VTSS バッファースペースと MVC スペースが解放されます。DR および LTR のマネージメントクラスには DELSCR(YES) を指定することを考慮してください。DELSCR(YES) と指定した場合は、スクラッチの同期に LCM SYNCVTV だけを使用します。LCM を使用したスクラッチ同期の管理の詳細は、『LCM ユーザーズガイド』を参照してください。

ボールトボリュームが ACS に戻されるときに何が行われますか。

エンターされているすべてのボリュームを調べて、そのボリュームが外部でボールティングされたボリュームであるかどうかを判断できるように、ELS ボールティング機能について HSC エンタープロセスが変更されました。このようなボールトボリュームの場合、CDS ボールトレコードの戻し日フィールドに基づいて、次の 2 つのアクションのいずれかが行われます。

  • 戻し日が生じている場合、ボリュームがエンターされ、格納されたボリュームメタデータが取り出しプロセスから復元され、ボリュームがボールトレコードから削除されます。

  • 戻し日が生じていない、または戻し日がボリュームに対して設定されていない場合は、そのボリュームはエンターされ、格納されたボリュームメタデータは取り出しプロセスから復元されますが、ボリュームはボールトレコードに残され、次の取り出しプロセスで自動的に取り出されます。これが行われるのはなぜでしょうか。複数の理由がありますが、もっとも一般的な 2 つの理由は、ボリュームがある種のデータ回復プロセスのために返されたというものと、誤ったボリュームがボールトから取得された (非常に一般的な場合) というものです。どのような理由であっても、ボリュームはボールトに所属し、その場所に返され、その保護されたステータスを再開します。

これは、物理的なボールトでボールティングされたボリュームのプロセスであることに注意してください。リモートライブラリでボールティングされたボリュームの場合は少し異なります。「リモートライブラリでの MVC を使用した DR ボールティング」を参照してください。

DR 用の MVC のボールティング

DR シナリオでは、データの可用性を維持しながら重要なデータの高速な移行を実現し、VTSS バッファーの使用を最適化するという全体的なビジネス目標があります。

MVC を使用した基本 DR ボールティング

このアプローチでは、DR 用ボリュームが毎日作成され、したがって、それらを DR 用ボールトに移して、MVC が安全にオフサイトに移され保護されるようにする処理は毎日実行されます。

注記:

  • 手順 2 – ボールト MVC のエクスポート」で作成したマニフェストファイルテープなど、DR 用に作成されたすべての VTV とすべてのネイティブテープは、サイトの TMS で制御されます (ボリュームの有効期限について)。このプロセスは、関連した MVC と、選択された関与するネイティブボリュームのボールティングに制限されます。

  • MVC を割り当てられるボールトは 1 つだけです。新しいボールトにボリュームを割り当てるには、最初に、以前のボールト割り当てからボリュームを削除する必要があります。

  • ステップ 7 - ボールティングされた MVC を戻すための準備は定期的な処理を開始します。これにより、断片化されたり、作成時に一部しか埋められなかったりした DR 用 MVC のリサイクルが可能になります。これは、ローカル MVC 上にある現在の VTV のコピーを使用して、ボールティングされた MVC の「論理」MVC ドレインを実行することにより行われます。この定期的な処理によって、ボールト内のボリュームの合計数が最小限に抑えられ、関連した全体的なアクティビティーが最小限に低減されますが、これは、特定の環境に適切な選択基準を使用することによって行われます。ボールティングされた MVC の「論理」ドレインが成功したのち、戻し日はそのボリュームの CDS で設定されます。マニフェストファイルテープなどのネイティブボリュームの場合、TMS でスクラッチステータスになったボリュームが選択され、返されるように設定されます。毎日から毎月まで、定期的な処理をどれだけの頻度で実行するかを決定します。

手順 1 – ボールト VTV/MVC の作成

DR ボールト VTV は、ローカル環境内に残る MVC を作成するものと、ボールティングされる MVC を作成するものの 2 つのストレージクラスを指すマネージメントクラスを使用して作成されます。次に例を示します。

STOR NAME(DRLOC)ACS(00) MEDIA(STK1RD)
STOR NAME(DRVLT1) ACS(00) MEDIA(STK1RD)

手順 2 – ボールト MVC のエクスポート

次の例に示すような LCM パラメータファイルを通じてボールト MVC をエクスポートします。

Options
  NoSync
  NoTMS 
  ;
Vault
  Name('DRVLT')
  NoSync
  GracePeriod(3)
  ;
Action
  Export
  Control(Serial )
  MVC
  DSN(DRVAULT.MANIFEST)
  Storageclass(DRVLT1) 
  Vault('DRVLT')
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用せず、TMS メタデータが必要ないので、OPTIONS 文は NOSYNC および NOTMS を指定します。

  • VAULT 文は DR ボールトとして DRVLT を指定します。

  • ACTION EXPORT 文は次の操作を指定します。

    • volser で MVC をエクスポートします。

    • エクスポートマニフェストファイル (DRVAULT.MANIFEST) を作成します。この場合は、取り出され、DR 用 MVC で格納される ACS 内のボリュームです。

    • 手順 1 – ボールト VTV/MVC の作成」で作成したボールトストレージクラスを指し示します。

    • DR ボールト (DRVLT) を定義し、ボールトに以前に割り当てられていない MVC をそれに割り当てます。

注記:

エクスポートされた MVC は、エクスポート処理で読み取り専用とマークされます。

複数のボールトストレージクラスを作成できます (たとえば、有効期限が異なる VTV を持つ MVC を分離するため)。同じボールトに異なるボールトストレージクラスを割り当てる場合、単一の ACTION EXPORT 文で行うことができます。たとえば、次の文は、ストレージクラス DRVLT1 および DRVLT2 を同じボールト (DRVLT) に割り当てます。

Action 
  Export
  Control(Serial )
  MVC
  DSN(DRVAULT.MANIFEST) 
  Storageclass(DRVLT1
               DRVLT2) 
  Vault('DRVLT')
  ;

手順 3 – (オプション) マニフェストファイルテープへの追加データセットの書き込み

手順 2 – ボールト MVC のエクスポート」でマニフェストファイルテープを作成したのち、HSC 制御データセット (CDS)、TMS カタログ、システムカタログ、ほかの重要な「時点」データセットを、マニフェストファイルテープにコピーするジョブを実行して、追加の DR 回復ポイントを提供できます。

手順 4 – ボールト MVC の取り出し

次の例に示すような LCM パラメータファイルを使用してボールト MVC を取り出します。

Options
  NoSync
  NoTMS
  ;
Vault
  Name('DRVLT')
  GracePeriod(3)
  ;
Action
  Eject
  When(
  (inLsm)
  and
  (VaultName EQ 'DRVLT')
  Control(Serial)
  Ejmsg('Move to DR Vault') 
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用せず、TMS メタデータが必要ないので、OPTIONS 文は NOSYNC および NOTMS を指定します。

  • VAULT 文は DR ボールトとして DRVLT を指定します。

  • ACTION EJECT 文は次の操作を指定します。

    • DRVLT に割り当てられた MVC を取り出します。volser で取り出します。

    • 取り出しメッセージ。

手順 5 - ネイティブボリュームの取り出し (マニフェストファイルテープを含む)

次の例に示すような LCM パラメータを使用して、ネイティブボリューム (マニフェストファイルテープを含む) を取り出します。

Options
  NoSync
  ;
TMS
  RMM
  Dateform(J) 
  DDname(LCMTMSDB)
  ;
Vault
  Name('DRVLT')
  GracePeriod(3) 
  ;
Action
  Eject
  When(
  (InLsm)
  and
  (DataSetName EQ 'DRVLT.MANIFEST')
  and
  (TMSScratch EQ False)
     )
  Control(Serial)
  Ejmsg('Move to DR Vault')
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用しないので、OPTIONS 文は NOSYNC を指定します。

  • VAULT 文は DR ボールトとして DRVLT を指定します。

  • ACTION EJECT 文は次の操作を指定します。

    • マニフェストファイルテープを取り出します。

    • TMS によってスクラッチされないすべてのネイティブボリュームを取り出します。

    • 取り出しメッセージ。

手順 6 – ボールトから戻すボリュームのプルリストの作成

次の例に示すような LCM パラメータファイルを使用して、プルリストを作成します。

Options
  NoSync
  NoTMS
  ;
Vault
  Name('DRVLT')
  GracePeriod(3)
  ;
Report
  Volume
  Sysout(*)
  Title('Return Report')
  When(
  (VaultName EQ 'DRVLT')
  and
  (VaultReturnDate LE TODAY)
  and
  (VaultReturnDate NE MISSING)
      )
  Column (Serial,
          VaultSlot)
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用せず、TMS メタデータが必要ないので、OPTIONS 文は NOSYNC および NOTMS を指定します。

  • VAULT 文は DR ボールトとして DRVLT を指定します。

  • REPORT VOLUME 文は、以前に割り当てられた戻し日に達したボールト内のボリュームを一覧表示するレポートを作成します。これは単純な例であり、戻されるボリュームの選択基準をさらに追加できます。

注記:

  • 日付を考慮するときに、TODAYMISSING は一意の値です。TODAY は、LCM の実行の日付に変換されます。MISSING は、日付の値がないことを意味します。この例では、日付が設定されていないことを示します。日付が欠落していると現在の日付 Less Than と表示されるため、両方の条件が必要です。

  • ステップ 4、5、および 6 は組み合わせて単一のジョブステップにできます。場合によっては、ステップ 6 は定期的に実行され、通常はボリュームがボールトから戻される前の日に実行されます。

ステップ 7 - ボールティングされた MVC を戻すための準備

次の例に示すような LCM パラメータファイルを使用して、ボールティングされた MVC を戻すための準備をします。

Options
  NoSync
  NoTMS
  ;
Vault
  Name('DRVLT')
  GracePeriod(3)
  ;
Action
  Drain
  When(
  (MVC EQ True)
  and
  (VaultName EQ 'DRVLT')
  and
  (MVCVTVCount LE 30)
  and
  (MVCInUse LE 30)
  and
  (Days_Since(VaultAssignmentDate) GT 7)
  )
  Control(MVCVTVCount
  Ascending)
  Limit(30)
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用せず、TMS メタデータが必要ないので、OPTIONS 文は NOSYNC および NOTMS を指定します。

  • VAULT 文は DR ボールトとして DRVLT を指定します。

  • 現在 DR ボールト内にある MVC の場合、ACTION DRAIN 文は、次のような MVC のドレインを指定します。

    • VTV が 30 未満である。

    • 使用されている時間が 30% 未満である。

    • 少なくとも 7 日間ボールト内にある。

    • 戻される MVC の数を最大 30 に制限している。

    • 戻し日が GracePeriod パラメータで 3 日に設定されている。

MVC をドレインするパラメータファイルを作成する場合、ドレインの処理サイクルと、断片化されたまたは一部が埋められた MVC をリサイクルする必要性との間のバランスを取ることができます。それに応じて、MVCVTVCountMVCInUseDays_Since、および LIMIT パラメータが、これらの要件のバランスを取るコントロールを提供します。

手順 8 – ボールティングされたネイティブボリュームを戻すための準備

次の例に示すような LCM パラメータファイルを使用して、ネイティブボリュームを戻すための準備をします。

Options
  NoSync
  ;
TMS
  RMM
  Dateform(J)
  DDname(LCMTMSDB)
  ;
Vault
  Name('DRVLT')
  GracePeriod(3)
  ;
Action
  Vault
  Return
  When(
  Not (MVC)
  and
  (VaultName EQ 'DRVLT')
  and
  (TMSScratch EQ True)
      )
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用しないので、OPTIONS 文は NOSYNC を指定します。

  • TMS RMM 文は、TMS メタデータの処理を追加するために必要です。

  • VAULT 文は DR ボールトとして DRVLT を指定します。

  • ACTION VAULT RETURN 文は、MVC ではなく、TMS 内でスクラッチステータスになっているボリュームの戻し日を設定します (GracePeriod パラメータを使用)。

手順 9 - 戻されたボリュームのエンター

手順 6 – ボールトから戻すボリュームのプルリストの作成で作成したレポートに表示されたボリュームは、DR ボールトから削除され、ローカル環境に返されます。これらのボリュームを ACS にエンターすると、HSC は、割り当てられたボールトの戻し日がそれぞれのボリュームで生じたかどうかを確認します。その場合は、ボリュームはそのスケジュールされた戻し日に達しており、ボールトから削除されます。戻された MVC は続いて移行が可能になり、ネイティブボリュームは、LCM SYNC 処理が次回行われるときに CDS でスクラッチされます。ボールト戻し日が生じていない場合、ボリュームは「手順 4 – ボールト MVC の取り出し」で取り出されます。

必要に応じて、次の例に示すように、単一の LCM パラメータファイルで手順 7 と 8 を組み合わせることができます。

Options
  NoSync
  ;
TMS
  RMM
  Dateform(J)
  DDname(LCMTMSDB)
Vault
  Name('DRVLT')
  GracePeriod(3)
  ;
Action
  Drain
  When(
  (MVC EQ True)
  and
  (VaultName EQ 'DRVLT')
  and
  (MVCVTVCount LE 30)
  and
  (MVCInUse LE 30)
  and
  (Days_Since(VaultAssignmentDate) GT 7)
      )
  Control(MVCVTVCount
  Ascending)
  Limit(30)
  ;
Action
  Vault
  Return
  When(
  Not (MVC)
  and
  (VaultName EQ 'DRVLT')
  and
  (TMSScratch EQ True)
      )
  ;

MVC を使用した複数週の DR ボールティング

サイトによっては、重要なデータの週単位のフルボリュームバックアップと、そのあとの残り 6 日にわたる日単位の増分バックアップが DR 処理に含まれる、複数週プロセスの使用を選択する場合があります。外部ボールティングプロセスは、作成日にボリュームをオフサイトに移動します。このプロセスでは、第 4 週が開始するまで DR データをオフサイトにし完全なものに維持する 4 週間サイクルを想定しています。次のように、MVC を使用した基本 DR ボールティングと複数週プロセスの変更点だけが、手順 7 と 8 の選択基準における違いです。これは、関連付けられた MVC とマニフェストファイルテープ上のボールト VTV がすべて、作成後 22 日目に期限切れになるように有効期限を設定することによって行われます。

複数週のタイムラインは次のとおりです。

  • 第 1 日 – フルボリュームバックアップ (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 2 日 – 増分バックアップ #1 (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 3 日 – 増分バックアップ #2 (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 4 日 – 増分バックアップ #3 (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 5 日 – 増分バックアップ #4 (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 6 日 – 増分バックアップ #5 (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 7 日 – 増分バックアップ #6 (第 22 日に期限切れ)。

  • 第 8 日から第 21 日 – ボリュームはオフサイトのままです。

  • 第 22 日 – 第 1 日から第 7 日のバックアップおよびマニフェストファイルテープの有効期限が切れ、VTV が、LCM VTVSYNC プロセスを通じて CDS でスクラッチされます。ステップ 7 - ボールティングされた MVC を戻すための準備および「手順 8 – ボールティングされたネイティブボリュームを戻すための準備」の選択基準で次のパラメータを使用して、MVC はドレインされます。

    DAYS SINCE (VaultAssignmentDate) GT 15
    

    ドレインされた MVC とマニフェストファイルテープの戻し日は、第 25 日に設定されます。

    注記:

    サイクルの最初の 7 日間にボールトに割り当てられたすべての MVC がドレインされます。DR VTV の有効期限が正しく設定された場合、この時点で現在の VTV はなく、論理的なドレインプロセスが迅速に実行します。現在の VTV が新しい MVC に書き込まれる場合、その原因は、正しくない有効期限が設定されているためです。
  • 第 23 日および第 24 日 – ボリュームはオフサイトに残ります。

  • 第 25 日 – 第 1 日から第 7 日のボールトボリュームが戻され、ボールトステータスから削除され、再使用に利用できます。

  • 第 29 日 – サイクルが繰り返されます。

    注記:

    サイトによっては、フルボリュームバックアップだけをオフサイトにして、増分バックアップをオンサイトのままにすることを選択する場合があります。この場合、増分 MVC と関連するマニフェストファイルおよびネイティブボリュームを、第 25 日の戻し日までロックされ再度開かれることのないコンテナに配置します。この時点で、第 1 日に作成されたボリュームはすべて期限切れになります。

リモートライブラリでの MVC を使用した DR ボールティング

このプロセスでは、物理的なボールトでのボリュームのボールティングの代わりに、ボリュームはリモートライブラリ (ACS) でボールティングされます。このプロセスは、MVC を使用した基本 DR ボールティングと似ていますが、次の例外があります。

  • 手順 1 から 3 - 変更はありません。

  • 手順 4 - ボールティングされた MVC の取り出しが行われないため除外されました。

  • 手順 5 - 手順 4 と同様にネイティブボリュームは取り出されません。代わりに、次の例に示すように、Action Vault Assign 文がこれらのネイティブボリュームの取り出しの実行に使用されている同じ選択基準を使用して、ネイティブボリュームをボールトに割り当てます。

    Options
      NoSync
      ;
    TMS
      RMM
      Dateform(J)
      DDname(LCMTMSDB)
      ;
    Vault
      Name('DRVLT')
      GracePeriod(3)
      ;
    Action
      Vault
      Assign
      Vault('DRVLT')
      When(
      (InLsm)
      and
      (DataSetName EQ 'DRVLT.MANIFEST')
      and
      (TMSScratch EQ False)
          )
      ;
    
  • 手順 6 - ボリュームが再エンターされないので削除されました。

  • 手順 7 - 変更はありません。

    注記:

    リモートライブラリ内でドレイン処理が行われるため、ドレインは、手動ボールト内のボリュームの論理ドレイン処理よりも効率的に実行します。
  • 手順 8 - 変更はありません。

  • 手順 9 - 基本プロセスでは、リモートライブラリシナリオで行われないエンター処理で、ボールトの割り当ては削除されます。ボールトボリュームを削除するには、Action Vault Release 文を使用します。解放されるボールトボリュームは、以前にプルリストを生成するために行われたように、Vault Name および Return Date によって選択されます。Action Vault Release 文は、その Return Date が生じたボールトボリュームだけを処理します。

    次に、Action Vault Release 文の例を示します。

    Options
      NoSync
      NoTMS
      ;
    Vault
      Name('DRVLT')
      GracePeriod(3)
      ;
    Action
      Vault
      Release
      When(
      (VaultName EQ 'DRVAULT')
      and
      (VaultReturnDate LE TODAY)
      and
     (VaultReturnDate NE MISSING)
          )
      ;
    

LTR 用の MVC のボールティング

MVC を使用して Long Term Retention (LTR) 用 MVC を保持するプロセスは基本的に、「MVC を使用した基本 DR ボールティング」に記された障害回復の基本プロセスで説明されているものと同じです。LTR の使用に関する主要な考慮事項には、次の 2 つがあります。

  • ボールトへの移動 (手順 2 – ボールト MVC のエクスポートから「手順 5 - ネイティブボリュームの取り出し (マニフェストファイルテープを含む)」) は、ボールティングする前により多くの LTR ボリュームが満杯になるように、毎日行われる機能ではない場合があります。

  • LTR VTV は長期間期限切れにならないので、説明される定期的なプロセスは、さらに長い時間間隔でなければ行われない可能性があります。一部だけが埋められた LTR 用 MVC がまだ存在するため、一定の間隔で、VTV が少なく MVC の使用率が低い一部が埋められた MVC は、一部が埋められた MVC 上の VTV がより少数の LTR 用 MVC 上に統合されるように処理する必要があります。

将来の特定の時点で、LTR 用 MVC の論理ドレインを実行して、アーカイブされたデータを新しいメディアに移す必要が生じる可能性があります。基本プロセスは、単に適切な選択基準の選択を行い、一度に処理されるボールティングされる LTR 用 MVC の数を制限することによって、このアクティビティーを簡単に実行します。実行ごとに、現在の VTVS は新しいメディアに移され、これらの新しい MVC はボールトに移され、論理的にドレインされた MVC は再使用または廃棄のために戻されます。

ローカル (フロア) ボールトへの特定のボリュームの取り出し

多くのサイトでは、自動化された環境から特定のボリュームを削除することが必要な場合があり、ローカル環境のラックにこれらのボリュームをローカルに効率的に格納する必要があります。この要件は、ボリュームの使用を停止したり、ボリュームの利用を一定期間継続できるようにするなどのアクティビティーから生じることがあります。特定のボリュームをさまざまなボールトに送信して、複数のローカル/フロアボールトを定義できますが、1 つのローカル/フロアボールトだけを「デフォルト」ボールトとして定義できます。ローカル/フロアボールトに配置されたすべてのボリュームは、現在の日付の戻し日が自動的に割り当てられます。これにより、さらにアクションを行わずに、これらのボリュームを自動化された環境に戻し、ボールト割り当てから削除できるようになります。

次に、特定のボリュームをフロアボールトに取り出す LCM パラメータファイル例を示します。

Options
  NoSync
  ;
TMS
  RMM
  Dateform(J)
  DDname(LCMTMSDB)
  ;
Vault
  Name('FLOOR')
  Default
  ;
Action
  Eject
  When(
  (InLsm EQ True)
  and
  (DaysSinceReference GT 100)
  and
  (MVC EQ False) 
  and
  Not
  (DataSetName Matches 'HMIG.**') 
      )
  Control(
         VaultSlot
         Ascending
         )
  Ejmsg('Move to Floor Vault')
  ;
Manage
  ACSID(00)
  Numfree(500)
  ;

この例では、次のようになります。

  • ボールティングは、ボールティングの TMS 情報を使用しないので、OPTIONS 文は NOSYNCH を指定します。

  • TMS RMM 文は、TMS メタデータの処理を追加するために必要です。

  • VAULT 文は、デフォルトのフロアボールトとして FLOOR を指定します。

  • ACTION EJECT 文は、次のようなボリュームをフロアボールトに取り出すように指定します。

    • LSM 内にある。

    • 100 日以上参照されていない。

    • MVC ではない

    • HMIG.** というデータセット名マスクがある。

  • ACTION EJECT 文は次の操作も指定します。

    • volser の昇順でボリュームを処理します。

    • TMS スロット番号で取り出します。

    • 取り出しメッセージ。

  • MANAGE 文は次の操作を指定します。

    • ACS 00 のボリュームを管理します。

    • ACS 内の 500 の空きセルを確認します。