2 機能、接続、およびソフトウェア

容量

ライブラリの物理容量は、設置されている SEM の数によって異なります。SEM ごとにスロット数は 1,728 ずつ増えます (予約スロットを除く)。物理容量は、ハードウェアアクティベーションファイルによってアクティブ化されている必要があります。データストレージで使用され、クライアントがアクセスできるスロットは、アクティブ化されたスロットのみです。アクティブ化されていないスロットは、ライブラリで認識されません。アクティブな容量は 100、250、500、および 1000 スロット単位で購入できます (容量のアクティブ化を参照)。

ライブラリ構成
回転式 CAP の物理カートリッジ容量 一括 CAP の物理カートリッジ容量
基本構成 1,448 1,360
1 x SEM 3,176 3,088
2 x SEM 4,904 4,816
3 x SEM 6,632 6,544
4 x SEM 8,360 8,272
5 x SEM (最大) 10,088 10,000

パーティション分割

ライブラリパーティション分割はオプションの機能で、ライブラリリソースが指定されたホストで排他的に使用するために予約されます。パーティション分割を有効にするにはハードウェアアクティベーションファイルを使用します (注文情報は、ハードウェアアクティベーションファイルを参照してください)。SLC を使用して、単一のライブラリまたはライブラリコンプレックスをパーティション分割できます。

単一のライブラリのパーティション分割

  • 最大 8 個のパーティションを含めることができます。

  • 最小のスロット増分は 1 アレイです。

  • 最小のドライブ増分は 1 ドライブです。

ライブラリコンプレックスのパーティション分割

  • 最大 16 個のパーティションを含めることができます。

  • 最小のスロット増分は 1/4 レールです。

  • 最小のドライブ増分は 1 ドライブです。

  • パーティションの境界は、パススルーポート (PTP) をまたがることができます。

  • ライブラリファームウェア 8.31 および SLC 6.25 以上が必要です。

  • ライブラリ管理ソフトウェアには次の最小レベルが必要です。

    • ACSLS 8.3

    • HSC 6.2: PTF L1H16SG (VM)

    • ELS 7.0: PTF L1H15SI (MVS)、ELS 7.1: PTF L1H16SJ、ELS 7.2: 統合

パーティション分割機能の詳細については、『SL8500 ユーザーズガイド』を参照してください。

メディア検証

メディア検証では、SLC を使用してすべての T10000 テープカートリッジタイプを検証できます。使用できる検証方法は、Basic Verify、Standard Verify、および Complete Verify です。メディア検証では検査対象のテープカートリッジごとに "pass" または "suspect" の結果が出力されます。

メディア検証を実行するには、T10000C または T10000D テープドライブの指定プールが必要です。SLC を使用して最大 10 個のドライブをメディア検証プールに配置できます。ホストはプール内のドライブを使用できません。このプールはパーティションとはみなされず、カートリッジは格納されません。

メディア検証機能を実行するには、最低でも SL8500 FRS_8.31、SLC FRS_6.25、およびハイメモリー HBT カードが必要です。SLC を使用したメディア検証の詳細については、『SL8500 ユーザーズガイド』を参照してください。

ネットワーキングと通信

SL8500 ライブラリには、接続とネットワークトポロジについて複数のオプションがあります。TCP/IP 接続ではホストライブラリインタフェース (HLI) を使用して、ACSLS や ELS/HSC などのライブラリ管理アプリケーションと通信できます。

ライブラリコントローラカードの役割は、ライブラリ内のすべてのコンポーネント操作を調整し、ホストとのインタフェース接続を提供することです。ホストとライブラリの通信用に、ポート 2A とポート 2B という 2 つの個別の Ethernet 接続があります。

  • ポート 2B はプライマリホスト接続を提供します (標準)。

  • ポート 2A は、オプションのデュアル TCP/IP 接続として、または SLC への接続に使用できます。

ホスト接続オプション

柔軟性と冗長性を提供する複数のホスト接続オプションにより、さまざまな顧客要件がサポートされます。詳細は、OTN にある『SL8500 ユーザーズガイド』を参照してください。

  • デュアル TCP/IP は、ライブラリまたはライブラリコンプレックスと ACSLS または ELS/HSC ホスト (複数可) 間に 2 つの接続を提供します。デュアル TCIP/IP の場合、ライブラリとホスト間に 1 つの接続しかない場合に生じる単一障害点を回避できます。

  • マルチ TCP/IP では、ライブラリコンプレックスと ACSLS または ELS/HSC ホスト (複数可) 間に複数の接続が提供されます。接続の冗長性に加え、この機能は競合の削減とライブラリおよびテープドライブのパフォーマンス向上に役立ちます。

  • 冗長電子装置 (RE) は冗長化されたライブラリ制御および通信を提供し、アクティブな HBC/HBCR カードで障害が発生した場合や、カードとの通信が失われた場合に障害から保護します。

スイッチドファブリックトポロジ

スイッチドファブリックトポロジでは、ストレージエリアネットワーク上のすべてのノードがファイバチャネルスイッチに接続し、それによりノード間に最適化された動的な相互接続が提供されます。SL8500 ライブラリがファイバチャネルスイッチまたはファブリック対応ホストに接続される場合は、ライブラリはスイッチドトポロジ用に自動的に構成されます。この構成では、ファブリック上のポートを最大 1,600 万個までサポートできます。

SL8500 ライブラリにライブラリ接続ドライブを構成する場合は、スイッチドファブリックトポロジを使用する必要があります。SL8500 ライブラリは、調停ループ内に構成されたテープドライブをサポートしません。

ポートボンディング

ポートボンディングは複数のポートを組み合わせて冗長性を実現することです。SL8500 ライブラリではアクティブ - バックアップモードが使用されます。アクティブ - バックアップモードの場合、2 つのスレーブ Ethernet インタフェースを持つボンドが 1 つ存在します。アクティブなインタフェースに障害が発生した場合、バックアップインタフェースがアクティブになります。8.31 以上のライブラリファームウェアを使用してライブラリに 2 台目の Ethernet スイッチが設置されている場合、ポートボンディングが自動的に有効化されるため、コマンドやアクティベーションファイルは必要ありません。

Dynamic World Wide Name

SL8500 ライブラリは dynamic World Wide Name (dWWN) 機能を使用しています。有効になっている場合、dWWN はドライブ自体ではなくライブラリドライブスロットに World Wide Name を割り当てます。そのため、ドライブを交換したときに、交換したものと同じ WWN が割り当てられるため、ネットワークを再構成しなくても済みます。ライブラリおよびテープドライブの両方に、dWWN 機能をサポートするマイクロコードまたはファームウェアが必要です。

dWWN 機能が有効の場合、テープドライブはライブラリ間での移行時に元の WWN を保持しません。SAN がドライブ自身のドライブ固有 WWN に基づいてドライブを認識していた場合、そのドライブは認識されなくなります。そのため、ライブラリ内のドライブベイスロットを構成し、テープドライブデータパスが SAN 上で正しくバインドされることを検証する必要があります。

ライブラリのモニタリング

ライブラリは SLC または Simple Network Management Protocol (SNMP) を使用してモニターできます。また、保守担当者はログスナップショット機能を使用してコントローラカードからログを収集できます。

StorageTek ライブラリコンソール (SLC)

SLC は、SL8500 ライブラリの構成、モニタリング、および管理用の GUI アプリケーションです。SLC は購入した SL8500 ライブラリに含まれています。SLC には、ローカルオペレータパネル、ワークステーション上のスタンドアロンバージョン、またはブラウザを介してアクセスします。インストール要件およびそのほかの情報については、『SL8500 ユーザーズガイド』を参照してください。

Library Attach

Library Attach (LibAttach) for Windows Servers は、Windows ネットワークで Oracle の StorageTek ストレージライブラリを使用できるようにするクライアントアプリケーションです。LibAttach は、Windows アプリケーションと ACSLS の間に TCP/IP ネットワークによる接続を提供します。

LibAttach は SLC のダウンロードに含まれています。追加のアクティブ化は必要ありません。詳細は、OTN にある Library Attach のドキュメントを参照してください。

Simple Network Management Protocol (SNMP)

SNMP は Ethernet 接続上でネットワーク管理操作を実行するためのアプリケーション層プロトコルです。SNMP を通じて、ライブラリは潜在的な問題を管理者に通知できます。管理者は SNMP トラップを使用して、構成、操作、統計の情報についてライブラリに問い合わせることができます。ライブラリは、SNMP v2c および SNMP v3 をサポートしています。コントローラカードには、ライブラリ、コンポーネント、および構成に関する情報を含む管理情報ベース (MIB) があります。詳細については、StorageTek Tape Library SNMP リファレンスガイドを参照してください。

ログスナップショット機能

ログスナップショット機能は、特定のコントローラカードまたは SL8500 ライブラリなどのライブラリ全体からログを収集し、圧縮して暗号化するユーティリティーです。ログスナップショットを生成するには CLI または SLC を使用します。ログスナップショットユーティリティーから取得したデータにアクセスできるのは、権限を持つ Oracle の担当者のみです。

Service Delivery Platform

Service Delivery Platform (SDP) は、ライブラリおよび T シリーズドライブをモニターするスマートアプライアンスです。SDP はデバイスイベントを記録し、問題がある場合 Oracle Support に警告することによって、リモート診断を提供します。

詳細については、Service Delivery Platformを参照してください。

ライブラリ管理ソフトウェア

ライブラリ管理ソフトウェアは、ドライブの割り当ておよびライブラリ操作 (カートリッジの挿入、マウント、マウント解除、取り出しなど) の要求を行なうことで、ライブラリを制御します。ライブラリ管理ソフトウェアは、ライブラリデータベースを管理します。ライブラリデータベースは、ボリューム識別子 (vol-id)、属性、およびカートリッジの場所を追跡します。

2 つのメインのライブラリ管理オプションがあります。

自動カートリッジシステムライブラリソフトウェア (ACSLS)

ACSLS は、オープンシステム環境用のマルチプラットフォームライブラリ集中管理ソフトウェアです。ACSLS はすべてのライブラリ操作を管理し、ACSLS 対応アプリケーションとライブラリリソースを共有します。ACSLS の 1 つのインスタンスで複数のライブラリを管理できます。ACSLS の主な利点は次のとおりです。

  • レガシーテクノロジを含む複数の StorageTek ライブラリに対する集中ライブラリ制御。

  • 負荷分散、要求の自動復元と再試行、および複数要求の同時処理によるライブラリパフォーマンスの最適化。

  • 動的構成機能および短期間のライブラリ停止中にコマンドをキューに入れることによるダウンタイムの短縮。

  • 充実したレポート機能と管理機能による使いやすさの向上

エンタープライズライブラリソフトウェア (ELS)

ELS は複数のソフトウェア製品を組み込んだソフトウェアで、メインフレーム環境のテープライブラリおよび仮想ソリューションをモニターおよび管理します。

ホストソフトウェアコンポーネント (HSC) とストレージ管理コンポーネント (SMC)

HSC は SL8500 ライブラリとの通信とボリュームプールを管理します。HSC はホストに常駐しますが、オペレーティングシステムにはトランスペアレントです。別のコンポーネントである SMC が、z/OS オペレーティングシステムと HSC 間のインタフェースになります。HSC を使用してテープ処理を行うすべての MVS ホストに SMC は常駐します。

HSC と SMC の連携により、割り当てが変更され、ポリシー、ボリュームの場所、およびドライブの所有権が決定します。HSC と SMC はユーザーリクエストをライブラリコマンドに変換し、メッセージ処理を行います。

仮想テープ制御システム (VTCS)

VTCS は VSM や VLE などの StorageTek 仮想テープライブラリを集中管理するためのホストソフトウェアです。VTCS は、仮想ボリュームの移行やリコール、物理的なテープカートリッジとドライブの使用といった、仮想テープボリュームとドライブの管理を行います。

並行障害回復テスト (CDRT)

CDRT では、ライブラリまたは仮想ストレージの使用中に障害回復テストを実行できます。

独立系ソフトウェアベンダー (ISV)

さまざまな ISV が SL8500 ライブラリをサポートしています。次のようなアプリケーションがあります。

  • ASG Time Navigator

  • CA ArcServe

  • Commvault Simpana

  • Dell NetVault

  • EMC DiskXtender

  • EMC NetWorker

  • FileTek StorHouse

  • HP Data Protector

  • IBM HPSS

  • IBM Tivoli TSM

  • MassTech MassStor

  • Oracle DIVArchive

  • Oracle HSM

  • Oracle Secure Backup

  • Quantum StorNext

  • SGI DMF

  • SGL FlashNet

  • Veritas NetBackup

すべてのアプリケーションが全プラットフォームまたはバージョンでテストされているわけではありません。ソフトウェアのサポート状況については、Oracle のマーケティングまたは販売担当者、またはアプリケーションのベンダーに確認してください。Oracle の担当者は、相互運用性ツールとの互換性をチェックできます。

そのほかのストレージシステムソリューション

SL8500 ライブラリはほかの Oracle 製品と互換性があり、多面的なストレージソリューションを実現できます。このリストはすべてが含まれたリストではありません。詳細は、オラクル社の販売担当者に連絡するか、次にアクセスしてください。

http://www.oracle.com/us/products/servers-storage/storage/tape-storage/overview/index.html

クライアントシステムコンポーネント (CSC)

CSC を使用すると、MVS 上の SMC が ACSLS をライブラリサーバーとして使用できるようになります。CSC の 1 つが Library Station で、これによりオープンシステムのクライアントは MVS 上の HSC をライブラリサーバーとして使用することが可能になります。

エキスパートパフォーマンスレポーター (ExPR)

ExPR ソフトウェアはパフォーマンスデータを収集して、ステータスやパフォーマンスに関するレポートを生成します。これは、手動のテープシステムや Nearline および VSM テープシステムに関する情報を提供します。ExPR には MVS コンポーネントと PC コンポーネントの両方があります。

Extended High Performance Data Mover (ExHPDM)

ExHPDM ユーティリティーソフトウェアは、大容量高速テープデバイスで非常に大きなサイズのブロックをインターリーブすることで、データセットの高速バックアップと復元を可能にします。ExHPDM の高速性は、すべてのデータをタイプに関係なく同等に処理することによって実現されています。これはディスクと高速テープ間のデータ移動のみを行います。

ExHPDM ソフトウェアは、同時実行している複数の MVS アプリケーションプログラムから、データのブロックを同時進行的に移動します。アプリケーションプログラムからのデータは、アプリケーションプログラムのアドレス空間内で 256K バイトのテープブロックサイズにバッファーされ、その 256K バイトのブロックが 1 つまたは複数のテープボリュームでインターリーブされます。

ライブラリコンテンツマネージャー (LCM)

LCM — 旧称エキスパートライブラリマネージャー (ExLM) — は、Nearline リソースと VSM リソースを管理します。LCM はスケジュールされているジョブに十分なリソースを割り当てることを保証することで、全体的なパフォーマンスを極限まで高めます。LCM にはグラフィカルユーザーインタフェースである LCM エクスプローラも含まれているため、ユーザーはパラメータファイルではなく構成ファイルを作成して LCM を構成できます。

StorageTek Tape Analytics (STA)

STA はインテリジェントなモニタリングアプリケーションで、StorageTek モジュール型テープライブラリでのみ使用できます。これはテープストレージ管理を簡略化し、ユーザーはテープストレージ環境の現在の健全性に基づき、将来のテープストレージ投資について情報を得たうえでの意思決定を行うことができます。

STA を使用することで、複数のライブラリを単一でブラウザベースのユーザーインタフェースからモニターできます。STA は、複数のライブラリプラットフォームにまたがるオープンシステムとメインフレームの混在メディアや混在ドライブ環境を管理できます。STA を使用して詳細なパフォーマンス傾向分析を行うことにより、テープ投資の利用およびパフォーマンスを向上させることができます。このような分析は、定期的に更新されるライブラリ操作データベースに基づきます。

仮想ストレージマネージャー (VSM)

VSM は仮想テープストレージサブシステム (VTSS) と呼ばれるディスクバッファーに仮想テープボリュームを保存します。次に、VSM はその仮想テープボリュームを、物理的なライブラリのテープドライブにマウントされている物理的なテープボリュームに移します。VSM にとって、もっとも重要なホストソフトウェアは仮想テープ制御システム (VTCS) です。VTCS は、仮想ボリュームの移行やリコール、物理的なテープカートリッジとドライブの使用といった、仮想テープボリュームとドライブの管理を行います。

仮想ライブラリ拡張機能 (VLE)

VLE を VSM に追加して容量を増やすことができます。VLE によって経済的な 2 層目のディスクストレージが提供されるため、VSM の全体的なストレージ容量を増やしたり、VSM をテープのない仮想ライブラリとして使用できます。