補足ルール インスタンスの作成

このトピックでは、補足ルールの作成がトリガされる条件について説明します。

補足ルールとは、既存のエレメント割当の開始日と終了日が支給期間の一部しか含まない場合に、その割当を補足するために自動的に変換される支給または控除です。たとえば、開始日と終了日にそれぞれ 1 月 1 日と 15 日を使用して受給者に控除を割り当て、月次の支給期間カレンダーを使用するとします。一定の条件下で、開始日と終了日に 1 月 16 日と 31 日を使用して同じエレメントの割り当てが自動的に作成されます。つまり、セグメント内のスライス 1 における既存の割り当てを補足するため、スライス 2 で控除のインスタンスが作成されます。

割り当てられたエレメントの補足ルールは、以下の条件に該当する場合に作成されます。

  1. 国別設定ページで [セグメント期間内でアクティブな場合] オプションを選択します。

    この場合、終了日が期間終了日よりも前の日付のものを含め、期間内の全てのエレメント割当が処理されます。

    インストール設定の定義」を参照してください。

  2. 受給者別エレメント割当コンポーネント (GP_ED_PYE) およびエレメント別受給者割当コンポーネント (GP_ED_ELEM) で、支給および控除を受給者に割り当てる際にそれらがエレメント分割 (スライス) をトリガするように設定します。

    トリガについて」を参照してください。

  3. 支給または控除の割当開始日が、期間開始日よりも後の日付であり、かつ割当終了日が期間終了日よりも前の日付か、またはそのいずれかです。

  4. 割り当てられるエレメントの資格のタイプをエレメント グループ メンバー ページで "有資格グループ" に設定し、支給名ページまたは控除名ページでエレメントに "受給者" 上書きレベルを指定します。

    エレメント グループの定義」、「上書きレベル」を参照してください。

    注: 支給名ページまたは控除名ページで "受給者" 上書きレベルを選択すると、受給者別エレメント割当コンポーネント (GP_ED_PYE) およびエレメント別受給者割当コンポーネント (GP_ED_ELEM) を使用して、エレメントを受給者レベルで割り当てることができます。

さらに、以下の条件が満たされる必要があります。

注: これらのルールは、割り当てのページまたは支給/控除の定義ページで、支給または控除に関連付けられたユーザー フィールド値がないことを想定しています。ユーザー フィールド値がある場合のルールの変更については、複数変換のトピックを参照してください。

  • 支給期間内のどのスライスにも、同じエレメントに対してポジティブ入力の "上書き" 行がない。

    いずれかのスライスにポジティブ入力の "上書き" 行があると、他の全てのスライスで補足ルールを作成できません。

  • 支給期間内のどのスライスにも、同じエレメントに対してポジティブ入力の "処理しない" 行がない。

    いずれかのスライスに "処理しない" 行があると、他の全てのスライスで補足ルールを作成できません。

  • 支給期間内のどのスライスにも、同じエレメントに対してポジティブ入力の "ゼロにする" 行がない。

    いずれかのスライスに "ゼロにする" 行があると、他の全てのスライスで補足ルールを作成できません。

注: 支給または控除に対してエレメント割り当てが既にある場合、補足ルール インスタンスは作成されません。たとえば、1 月 1 日から 15 日の期間に対して既存の割り当てがあり、開始日と終了日にそれぞれ 1 月 16 日と 1 月 31 日を使用して同じエレメントの割り当てを追加すると、スライス 2 (1 月 16 日から 31 日) の補足ルールは作成されません。

注: 同じエレメントが複数回割り当てられる場合でも、割り当てられるエレメントに対して、補足ルール インスタンスは任意のスライスで 1 つしか作成されません。たとえば、支給期間のスライス 1 で同じ控除を 5 回割り当てる場合、スライス 2 で補足ルール インスタンスは 1 つしか作成されません。

注: スライス内にポジティブ入力の "追加" 行があっても、同じスライスまたは他の全てのスライスで、補足ルール インスタンスが作成されます。

これらの条件が全て満たされた場合、支給または控除の計算ルールで指定したユニット、レート、パーセント、または金額コンポーネントの定義を使って、補足ルールが作成されます。

注: 計算ルールは、支給コンポーネント (GP_EARNING) または控除コンポーネント (GP_DEDUCTION) で指定された、支給または控除の定義です。

以下の例は、グローバル ペイロール システムによって補足ルール インスタンスがどのように、またどんな状況で作成されるかを示しています。

例: 支給割り当てにより補足ルール インスタンスの作成がトリガされる

支給エレメント E1 に対するエレメント割り当てがあると仮定します (計算ルールはレート×ユニット×パーセント)。資格は有資格グループで、エレメント割り当ての開始日と終了日はそれぞれ、6 月 1 日と 6 月 15 日です。

注: この例では、エレメント割り当ては "割り当て" と略して表記してあります。

コンポーネント

ルール定義

割り当て (インスタンス 1)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

スライス 2: 6 月 16 日から 30 日

ユニット

5

2

 

レート

50

60

 

パーセント

150

100

 

割り当ての開始日と終了日に基づいて、カレンダーは 2 つのスライス (スライス 1 = 6 月 1 日から 15 日、スライス 2 = 6 月 16 日から 30 日) に分割されます。

E1 は以下のように変換されます。

1. スライス 1 (6 月 1 日から 15 日): 2 x 60 x 100% x .5 (比例配分係数) = 60

コンポーネント

ルール定義

割り当て (インスタンス 1)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

スライス 2: 6 月 16 日から 30 日

ユニット

5

2

 

レート

50

60

 

パーセント

150

100

 

2. スライス 2 (6 月 16 日から 30 日): 5 x 50 x 150% x .5 (比例配分係数) = 125

コンポーネント

ルール定義

割り当て (インスタンス 1)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

補足ルール

スライス 2: 6 月 16 日から 30 日

ユニット

5

 

5

レート

50

 

50

パーセント

150

 

150

ルール定義 (支給コンポーネントで指定された支給の定義) を使用して、スライス 2 (6 月 16 日から 30 日) で E1 の補足ルール インスタンスが作成されます。

例: ポジティブ入力の "上書き" により補足ルール インスタンスが作成されない

支給エレメント E1 に対して、エレメント割り当てとポジティブ入力が存在するとします (計算ルールはレート×ユニット×パーセント)。資格は有資格グループで、エレメント割り当てとポジティブ入力の開始日および終了日はそれぞれ、6 月 1 日と 6 月 15 日です。

注: この例では、エレメント割り当ては "割り当て"、ポジティブ入力は "PI"、アクション タイプが上書きのポジティブ入力は "上書き" と省略されています。

コンポーネント

ルール定義

割り当て (インスタンス 1)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

PI (上書き)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

スライス 2: 6 月 16 日から 30 日

ユニット

5

10

2

 

レート

50

60

   

パーセント

150

     

割り当ての開始日と終了日に基づいて、カレンダーは 2 つのスライス (スライス 1 = 6 月 1 日から 15 日、スライス 2 = 6 月 16 日から 30 日) に分割されます。

E1 は以下のように変換されます。

1. スライス 1 (6 月 1 日から 15 日): 2 x 60 x 150% x .5 (比例配分係数) = 90

コンポーネント

ルール定義

割り当て (インスタンス 1)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

PI (上書き)

スライス 1: 6 月 1 日から 15 日

スライス 2: 6 月 16 日から 30 日

ユニット

5

 

2

 

レート

50

60

   

パーセント

150

     

「エレメント割り当て上書き、ポジティブ入力、およびエレメント定義の間の競合の管理」のトピックで説明したルール 1 に従って、スライス 1 (6 月 1 日から 15 日) のポジティブ入力は処理されますが、対応するエレメント割り当ては処理されません。ポジティブ入力で指定されていないレート コンポーネントの値 (60) がスライス 1 のエレメント割り当てから検索され、次にスライス 1 のエレメント割り当てではパーセント値が指定されていないため、パーセント値 (150) がルールから検索されます。

2. スライス 2 (6 月 16 日から 30 日): スライス 1 のポジティブ入力の "上書き" 行により他の全てのスライスで補足ルールが作成されないため、E1 の補足ルール インスタンスは作成されません。

例: ポジティブ入力の "処理しない" の指示により補足ルール インスタンスが作成されない

支給エレメント E1 に対して、ポジティブ入力とエレメント割り当てがあり、資格は有資格グループであると仮定します (E1 の計算ルールはレート×ユニット×パーセント)。それぞれ、ポジティブ入力の開始日と終了日は 6 月 1 日と 6 月 10 日で、エレメント割り当ての開始日と終了日は 6 月 11 日と 6 月 20 日です。ポジティブ入力には "処理しない" アクション タイプが指定されています。

注: この例では、ポジティブ入力は "PI"、エレメント割り当ては "割り当て" と省略されています。

コンポーネント

ルール定義

PI (処理しない)

スライス 1: 6 月 1 日から 10 日

割り当て (インスタンス 1)

スライス 2: 6 月 11 日から 20 日

スライス 3: 6 月 21 日から 30 日

ユニット

5

 

10

 

レート

50

 

60

 

パーセント

150

     

割り当ての開始日と終了日に基づいて、カレンダーは 3 つのスライス (スライス 1 = 6 月 1 日から 10 日、スライス 2 = 6 月 11 日から 20 日、スライス 3 = 6 月 21 日から 30 日) に分割されます。

E1 は以下のように変換されます。

1. スライス 1 (6 月 1 日から 10 日): "処理しない" の指示があるため、E1 は処理されません。

2. スライス 2 (6 月 11 日から 20 日): スライス 1 の "処理しない" の指示により同じセグメント内の他の全てのスライスで処理が行われないため、E1 は処理されません。

3. スライス 3 (6 月 21 日から 30 日): スライス 1 の "処理しない" の指示により他の全てのスライスで補足ルールが作成されないため、補足ルール インスタンスは作成されません。