2 ACSLS の起動およびモニタリング

ACSLS をインストールして、接続されるライブラリを構成したら、acsss enable コマンドを使用してアプリケーションを有効にできます。acsss マクロは、ACSLS に関連付けられている複数のサービスを操作し、それらを適切な順序で起動および停止したり、全体的なシステムステータスの概要ビューを表示したりします。

インストール内容によりますが、ACSLS アプリケーションは Solaris または Linux システムにインストールされる最大 7 つのサービスで構成された集合体です。

  • acsdb - ACSLS ライブラリデータベースを保守します。

  • acsls - ライブラリ操作を実行するライブラリ制御ソフトウェア。

  • weblogic - ACSLS GUI の Web サーバー。

  • surrogate - java サービスと acsls の間の通信リンク。

  • rmi-registry - 名前付き java オブジェクトおよびメソッドの検索サービス。

  • smce - 論理ライブラリの SCSI メディアチェンジャーエミュレーション。

  • stmf - 論理ライブラリのターゲットモードフレームワーク。

最初の 2 つのサービスは、すべてのインストールで共通しています。weblogicsurrogate、および rmi-registry サービスは、ACSLS GUI がインストールされている場所に存在します。smce および stmf サービスは、論理ライブラリのサポートが構成されている Solaris システムに存在します。これらのサービスのすべては、ACSLS ユーザーによって 1 つのマクロ acsss を使用して操作されます。

ACSLS の起動

root として、次のコマンドを実行して ACSLS を起動します。

acsss enable

このコマンドは ACSLS を起動するデフォルトの方法です。依存関係を確認し、さまざまな ACSLS サービスと ACSLS GUI を適切な順序でアクティブ化します。サービスは、システムのリブート後に自動的に起動されるように構成されています。

ACSLS のモニタリング

さまざまな ACSLS サービスの簡易的なステータスレポートを表示するには、次のコマンドを実行します。

acsss status

ACSLS の停止

ACSLS の停止は完全な停止ではなく、acsls および smce サービスが無効化されたあとでも、データベースと GUI ログインセッションのアクティブの状態が維持されるため保守作業を実行できます。ACSLS とデータベースを停止するには、次の手順を使用します。

ACSLS を停止するには、次のコマンドを使用します。

acsss disable

Solaris での SMF タイムアウト

Solaris SMF ユーティリティーは、各サービスが完全に有効になるための時間設定を割り当てます。acsls サービスの場合、この時間制限はライブラリ構成 (LSM の数、ドライブ数、および CAP の数) を基準に計算されます。大きいライブラリ構成は小さい構成よりも ACSLS が回復するために時間がかかるため、大きい構成にはより長い SMF タイムアウト時間が割り当てられます。

まれに、障害のある LSM を起動するためによけいに時間がかかり、許可された SMF の時間制限を超える場合があります。タイムアウト時間が期限切れになると、SMF は処理を再起動します。このアクションでは、起動シーケンスが無限ループに陥り、起動が困難な状況で ACSLS の回復が妨げられることがあります。

特殊なファイル acsls_startup_policy は、このような状況で使用することが意図されています。このファイルは $ACS_HOME/data/external ディレクトリにあり、構成すると、起動時の回復のために追加の時間が付加されたり、SMF 起動シーケンス中に特定の ACS の回復が除外されたりします。詳細な構成手順は、acsls_startup_policy のヘッダーの備考に含まれています。このファイル内の起動パラメータを調整することによって、異常なライブラリ起動状態によって発生する ACSLS の起動の問題を回避できます。

詳細は、ACSLS の起動に関する問題の診断を参照してください。

ACSLS の起動ポリシー

このファイルは ACSLS の起動時に適用される通常の起動パラメータを変更します。デフォルトの起動時の値を変更する場合は、慎重に分析し、Oracle ACSLS ソフトウェアサポートに相談することをお勧めします。

追加の起動時間

このパラメータは、Solaris 上の acsls サービスの SMF 起動タイムアウトに適用されます。acsls 起動タイムアウトは、現在のライブラリ構成によって自動的に計算されます。より多くの LSM、ドライブ、および CAP を持つライブラリには、より長いタイムアウトが指定されます。このタイムアウトは、ライブラリ構成が変更されると自動的に調整されます。計算された値は次のコマンドを実行することによって表示できます。

acsss timeout

自動計算されたタイムアウトが十分ではない場合、前の起動シーケンスを完了するための十分な時間が経過する前に、SMF 機能が介入して acsls サービスが再起動されることがあります。

起動シーケンスに追加の時間を与えると、そのような SMF の介入を防ぐことができますが、短所もあります。追加する時間が長すぎると、注意する必要がある可能性がある構成の問題点が隠されてしまうことがあります。通常のタイムアウト時間を長くすると、起動時の重大な問題または回復不可能な問題をオペレータに警告する SMF の機能に遅れが生じます。

acsls start のシーケンスが完了するための時間 (分) を追加するには、次の行の「=」のあとに整数値を指定します。

additional_startup_time=0 # Minutes

ACS の目的の (オフライン) 起動状態

ACSLS が起動すると、すべてのライブラリリソースが最後に設定された目的の状態になります。目的の状態がオンラインである場合、ACS をオンラインにする処理には、指定された ACS の物理ライブラリリソースが構成のデータベースイメージに対してチェックおよび検証される回復期間が発生します。この処理は、ライブラリ構成のサイズおよび異常な状況が存在するかどうかに応じて、1 分未満から数分かかります。

ACS のこの回復時間を回避するには、その ACS の目的の状態を指定して、関連付けられているポートをオフラインにします。そのようなアクションを行うと acsls SMF サービスが迅速にオンラインステータスになりますが、実際の ACS を変更してポートをオンラインにするために、その後に手動によるアクションが必要になります。

ACS の目的の起動状態を設定し、ポートをオフラインにするには、$ACS_HOME/data/external/ ディレクトリ内の acsls_startup_policy ファイルの該当する行の先頭からコメント文字 (#) を削除します。

たとえば、次の行を変更して

# ACS0_desired_startup_state_is_offline

次のようにします。

ACS0_desired_startup_state_is_offline