1 ELS コマンドインタフェース

この章では、ELS コマンドの発行に使用できるさまざまなインタフェースについて説明します。次のセクションから構成されています。

統合ユーザーインタフェース (UUI) のサポート

このドキュメントで説明している特定の SMC、HSC、および VTCS コマンドには、ELS UUI (統合ユーザーインタフェース) のサポートが含まれています。

UUI インタフェースは、内部インタフェースと外部インタフェースの両方を SMC、HSC、および VTCS の機能に標準化するように設計されています。UUI を使用すると、次の操作を実行できます。

  • ユーティリティーからコマンドを実行する。

  • プログラムインタフェースからコマンドを呼び出す。

  • テキスト、XML、またはカンマ区切り値 (CSV) 形式での出力を要求する。

  • リモートクライアントから HSC サーバーにコマンドを呼び出す。

ELS では、以前には HSC PGMI とバッチ API インタフェースでサポートされていたすべての機能が含まれるように、UUI インタフェースから利用できるコマンドが拡張されました。今後のリリースで既存のインタフェースのサポートがいつまで続けられるかは未定ですが、新しいデータ項目を追加するように、これらのインタフェースが強化されることはありません。

注:

  • UUI の詳細は、『ELS プログラミングリファレンス』を参照してください。

  • UUI でサポートする SMC、HSC、および VTCS コマンドをバッチジョブから発行するために使用される SMCUUUI ユーティリティーの詳細は、統合ユーザーインタフェースユーティリティー (SMCUUUI)を参照してください。

SMC コマンドインタフェース

このセクションの内容は次のとおりです。

コンソールからの SMC コマンドの発行

このセクションでは、コンソールから SMC コマンドを発行する方法について説明します。

SMC コマンド接頭辞を使用したコマンドの発行

SMC コマンド接頭辞を使用して、SMC コンソールからコマンドを発行します。

接頭辞を定義するには、SMCPARMS データセットで PREFix パラメータを付けて SMC CMDDef コマンドを指定します。

次の例では、コマンド接頭辞は B@F$ と定義されています。

CMDDEF PREFIX(B@F$)

注:

PREFix パラメータは、SMCPARMS データセットでのみ指定できます。CMDDef コマンドの詳細は、CMDDefを参照してください。

コマンド接頭辞を使用して SMC コマンドを発行するには、次の形式を使用します。

PREFIXcommand-name [parameter]
  • PREFIX はコマンド接頭辞です。

  • command-name は SMC オペレータコマンドを示します。

  • parameter は、オプションまたは必須のコマンドパラメータを示します。

コマンドは、接頭辞文字の直後に (連結して) 表示される必要があります。

コマンド接頭辞文字として NULL 文字を指定できます。この場合、コマンドを発行するには、MSP Modify コマンドを使用する必要があります。MSP Modify コマンドを使用した SMC コマンドの発行を参照してください。

MSP Modify コマンドを使用した SMC コマンドの発行

MSP Modify (F) コマンドを使用して MSP コンソールから SMC コマンドを発行するには、次のコマンド形式を使用します。

F started-task-name,command-name [parameter]
  • F は、MSP Modify コマンドを示します。

  • started-task-name は、SMC により開始されたタスク名を示します。

  • command-name は SMC オペレータコマンドを示します。

  • parameter は、オプションまたは必須のコマンドパラメータを示します。

注:

  • 開始されたタスク名とコマンド名はカンマで区切る必要があります。サブシステム名とコマンド名の間にスペースは使用できません。

  • パラメータと値は、任意の数のスペースで区切ることができ、オプションで等号 (=) を含められます。値は括弧で囲むこともできます。

    次のコマンドは同等のコマンドです。

    F SMC1MSP,MSGDEF LVL 4
    F SMC1MSP,MSGDEF LVL=4
    F SMC1MSP,MSGDEF LVL(4)
    

キーワードパラメータ

ユーザー入力値を必要とする、または許可するキーワードパラメータは、次のいずれかの形式で指定できます。

  • ユーザー入力値 (複数可) を括弧で囲み、キーワードに続けます。例:

    MINLVL(minlevel)
    
  • ユーザー入力値 (複数可) を等号でキーワードに連結します。例:

    MINLVL=minlevel
    

注:

  • 特に指定のないかぎり、ユーザー入力値のリストは、括弧で囲む必要があります。リストの指定の詳細は、43 ページの「リスト」を参照してください。

  • 特に記されていないかぎり、パラメータはカンマまたは空白で区切ることができます。これらのいずれかの区切り文字に続く連続した空白は無視されます。

  • コマンドとパラメータは、大文字と小文字を任意に組み合わせて入力できます。

  • コマンドの応答は常に、発行側のコンソールに送信されますが、マウントおよびマウント解除などのいくつかの場合では、テープライブラリコンソールやテーププールコンソールなどのほかのコンソールにルーティングされます。

SMCCMDS または SMCPARMS データセットでの SMC コマンドの指定

SMCPARMS または SMCCMDS データセットで指定された SMC オペレータコマンドは、起動時に自動的に処理されます。

SMCCMDS データセットは、SMC がアクティブな間に変更できるユーザー構成の設定を指定します。コンソールから READ コマンドを発行して、いつでも SMCCMDS データセットを再処理できます。

次に、SMCCMDS メンバーのエントリの例を示します。

MSGDEF CASE(MIXED) LVL(4)
TAPEPLEX NAME(HSCPLEX) LOCSUB(HSC0)
READ DSN(’MY.PARMLIB(POL)’)
TREQDEF DSN(’MY.PARMLIB(TREQ)’)
RESYNCHRONIZE

SMCPARMS データセットは、SMC がアクティブの間は変更できないユーザー構成項目を指定します。SMCPARMSREAD コマンドを使用して再処理することはできません。

次に、SMCPARMS メンバーのエントリの例を示します。

CMDDEF PREFIX(B@F$)

注:

  • SMCPARMS データセットには、CMDDef PREFix および USERMsg ID パラメータ設定だけを含めることをお勧めします。ほかのコマンドはすべて SMCCMDS データセットで指定してください。

  • SMCPARMS または SMCCMDS データセットでコマンドを指定するときに使用する構文規則については、43 ページの「制御文」を参照してください。

JOBname、STEPname、および PROCstep を指定する SMC コマンド

SMC ALLOCJOBMSGJOB、および TRACE コマンドでは、JOBnameSTEPname、または PROCstep の指定が可能です。これらのコマンドは、もっとも特定されているジョブ名からもっとも特定されていないジョブ名の順に、SMC によって評価されます。したがって、コマンドは任意の順序で入力できます。次の例を考えてみましょう。

次の 2 つの ALLOCJob コマンドが入力されています。

ALLOCJOB JOBNAME=NOALLOC* MINLVL=4
ALLOCJOB JOBNAME=NOALLOC1 MINLVL=3

これらのコマンドを入力した順序とは無関係に、ジョブ名 NOALLOC1 がジョブ名 NOALLOC* よりも特定されているため、このジョブが MINLVL 3 で処理されます。

注:

  • JOBnameSTEPname、または PROCstep だけを指定して SMC ALLOCJOB または MSGJOB コマンドを入力した場合、コマンドは LIST も指定されているものとして解釈されます。

  • 上記の動作はTAPEREQ 文には適用されません。この文は、常に、TREQDEF DD に表示される順序で評価されます。

ユーティリティーからの SMC コマンドの発行

UUI でサポートする SMC、HSC、および VTCS コマンドをバッチジョブで発行するには、SMCUUUI ユーティリティーを使用します。これらのコマンドは、ローカルまたはリモートの HSC TapePlex にルーティングできます。

SMCUUUI ユーティリティーは、プレーンテキスト、構造化 XML、カンマ区切り値 (CSV) などの複数のタイプの出力を生成できます。

SMCUUUI ユーティリティーの詳細は、統合ユーザーインタフェースユーティリティー (SMCUUUI)を参照してください。

注:

SMC コマンドは、ユーティリティー管理者 (SLUADMIN) からは発行できません。

HSC および VTCS コマンドインタフェース

このセクションの内容は次のとおりです。

コンソールからの HSC および VTCS コマンドの発行

MSP Modify コマンドまたはコマンド接頭辞のどちらかを使用して、HSC および VTCS オペレータコマンドを発行できます。

コマンド接頭辞を使用した HSC および VTCS コマンドの発行

コマンド接頭辞を使用して、コンソールから HSC または VTCS コマンドを発行します。この接頭辞は、LIBGEN プロセス中に割り当てられます。たとえば「.,」や「#」です。

新しい接頭辞を定義するには、SET COMPRFX コマンドを使用します。このコマンドは、コマンド接頭辞を表す 2 文字の 16 進数コードを指定します。

  • HSC または VTCS システムが再起動されるまで、コマンド接頭辞は有効になりません。

  • 各コードに関連付けられた文字のリストについては、SET COMPRFX コマンドの下の表3-14を参照してください。

  • SET COMPRFX コマンドと接頭辞の制限事項の詳細は、SET COMPRFXを参照してください。

コマンド接頭辞を使用してコマンドを発行するには、次の形式を使用します。

PREFIX command-name [parameter]
  • PREFIX はコマンド接頭辞です。

  • command-name は HSC または VTCS オペレータコマンドを示します。

  • parameter は、オプションまたは必須のコマンドパラメータを示します。

コマンドは、接頭辞文字の直後に (連結して) 表示される必要があります。

コマンド接頭辞文字として NULL 文字を指定できます。この場合、コマンドを発行するには、MSP Modify コマンドを使用する必要があります。

注:

VT コマンド接頭辞は、VTCS コマンドには必要なくなりました。入力しても無視されます。

MSP Modify コマンドを使用した HSC および VTCS コマンドの発行

MSP Modify (F) コマンドを使用して MSP コンソールからコマンドを発行するには、次のコマンド形式を使用します。

F started-task-name,command-name [parameter]
  • F は MSP Modify コマンドを示します

  • started-task-name は、HSC のサブシステム名テーブル内のエントリを示します。

    システムプログラマが、SYS1.PARMLIB 内の IEFSSNxx エントリに要素を追加することにより、この 1 から 4 文字の HSC サブシステム名を指定します。たとえば、SLS0 です。

  • command-name は HSC または VTCS オペレータコマンドを示します。

  • parameter は、オプションまたは必須のコマンドパラメータを示します。

キーワードパラメータ

ユーザー入力値を必要とする、または許可するキーワードパラメータは、次のいずれかの形式で指定できます。

  • ユーザー入力値 (複数可) を括弧で囲み、キーワードに続けます。例:

    HOSTID(host-id)
    
  • ユーザー入力値 (複数可) を等号でキーワードに連結します。例:

    HOSTID=host-id
    

注:

  • 特に指定のないかぎり、ユーザー入力値のリストは、括弧で囲む必要があります。リストの指定の詳細は、43 ページの「リスト」を参照してください。

  • 特に記されていないかぎり、パラメータはカンマまたは空白で区切ることができます。これらのいずれかの区切り文字に続く連続した空白は無視されます。

  • コマンドとパラメータは、大文字と小文字を任意に組み合わせて入力できます。

  • コマンドの応答は常に、発行側のコンソールに送信されますが、マウントおよびマウント解除などのいくつかの場合では、テープライブラリコンソールやテーププールコンソールなどのほかのコンソールにルーティングされます。

ユーティリティーからの HSC および VTCS コマンドの発行

HSC および VTCS には、ライブラリリソースの管理に役立つように設計されたユーティリティー機能が含まれています。特定の HSC および VTCS コマンドによってこれらのユーティリティーを起動します。これらのコマンドは、ユーティリティー管理者 (SLUADMIN) を使用して指定されます。

さらに、SMCUUUI ユーティリティーを使用して、UUI がサポートする SMC、HSC、および VTCS コマンドをバッチジョブで発行できます。これらのコマンドは、ローカルまたはリモートの HSC TapePlex にルーティングできます。

SLUADMINSMCUUUI はどちらも、プレーンテキスト、構造化 XML、カンマ区切り値 (CSV) などの複数のタイプの出力を生成できます。

注:

PARMLIB からの HSC および VTCS コマンドの発行

HSC が初期化されるときに処理されるユーザー定義の順次データセットまたは単一のパーティション分割したデータセット (PDS) メンバーで、特定の HSC または VTCS コマンドを定義できます。これらのコマンドを使用すると、ユーザー自身の要件を満たす HSC 起動オプションを作成できます。

特に指定されていないかぎり、コンソールから対応するオペレータコマンドを発行することによって、このユーザー定義の PARMLIB データセットで定義されたオプションを、通常の操作中に動的に変更できます。

PARMLIB コマンドは、起動プロシージャーの入力パラメータに対して MEMBER(xx) または M(xx) を指定することによって呼び出されます。接尾辞「xx」が SLSSYS に続くことで名前が構成されます。名前は起動プロシージャーで ddname として使用されます。

  • SLSSYSxx DD で指定されたデータセットが、パーティション分割されたデータセット (PDS) である場合、コマンドの含まれるメンバー名を指定する必要があります。

  • SLSSYSxx DD が順次データセットである場合、データセット名 (DSN) だけを指定する必要があります。

  • 起動プロシージャーで ddname が指定されていない場合は、SYS1.PARMLIB データセットが動的に割り当てられ、メンバー名の検索はそのデータセット内で行われます。

HSC は初期化されるときに PARMLIB データセットを読み取って、その動作パラメータを取得します。

注:

SYS1.PARMLIBPARMLIB コマンドを定義できますが、SYS1.PARMLIB 以外のユーザー定義のデータセットを使用することをお勧めします。

HSC 実行に関する次の JCL の例には、PARMLIB コマンド定義を含むデータセットとメンバーを定義する DD 文が含まれています。

例1-1 PARMLIB の順次データセットを定義する JCL

//IEFPROC EXEC PGM=SLSBINIT,
// TIME=1440,
// REGION=2000K,
// DPRTY=(7,5),
// PARM=’E(E086) F(23) M(00)’
//*
//STEPLIB DD DISP=SHR,DSN=your.sea.SEALINK
//*
//SLSSYS00 DD DISP=SHR,DSN=parmlib0data set
//SLSSYS01 DD DISP=SHR,DSN=parmlib1data set
//SLSSYS02 DD DISP=SHR,DSN=parmlib2data set

例1-2 PARMLIB のパーティション分割されたデータセットを定義する JCL

//IEFPROC EXEC PGM=SLSBINIT,
// TIME=1440,
// REGION=2000K,
// DPRTY=(7,5),
// PARM=’E(E086) F(23) M(00)’
//*
//STEPLIB DD DISP=SHR,DSN=your.sea.SEALINK
//*
//SLSSYS00 DD DISP=SHR,DSN=parmlib0data set(member)
//SLSSYS01 DD DISP=SHR,DSN=parmlib1data set(member)
//SLSSYS02 DD DISP=SHR,DSN=parmlib2data set(member)

注:

  • HSC の起動時に、'M(nn)' 起動パラメータを指定することによって、特定の PARMLIB メンバーを任意に指定できます。

  • サンプルの SLSSYSxx コマンドストリームと PARMLIB コマンドは、ELS SAMPLIB のメンバー SLSSYS00 に含まれます。

HSC サービスレベル

HSC サブシステムは、BASE または FULL のどちらかのサービスレベルで動作できます。

Base サービスレベルの機能

BASE サービスレベルは、HSC サブシステムの中核に当たります。これは、オペレーティングシステムの拡張として実行するために必要な機能をもたらし、実行時に動作環境によって定義された要件を満たします。

BASE サービスレベルで実行している HSC ですべての HSC コマンドを発行できます。ただし、ライブラリハードウェアを含むコマンドは、その機能を完全に実行することはできません。

VTCS コマンドは、BASE サービスレベルで実行している HSC では発行できません。

Base サービスレベルの動作中にインターセプトされたマウント要求

HSC が BASE サービスレベルで動作している間に、SMC によってインターセプトされたマウントメッセージは、HSC に送信されず、HSC が FULL サービスレベルに達するまで保留されます。

HSC が FULL サービスレベルに達したことを SMC が認識すると、マウントは再処理されます。これらのマウントメッセージは、SMC の介入で生じ、続いて HSC が FULL サービスレベルに達すると再処理され、そのサブプールの指定が適用されます。

Full サービスレベルの機能

HSC の FULL サービスレベルの動作は、完全なライブラリ操作の呼び出しおよび維持に利用できる必要なすべての機能を提供します。これらの機能は次のとおりです。

  • マウント/マウント解除処理

  • CAP 処理

  • カートリッジとセルインベントリの管理

  • LMU アクセス

  • ライブラリリソースの回復

  • すべてのライブラリユーティリティーのサポート

  • すべての HSC および VTCS コマンドのサポート

注:

すべての VTCS コマンドには、HSC が FULL サービスレベルで実行している必要があります。