3 VM Client のインストール

この章では、VM Client ソフトウェアをインストールする方法について説明します。

ELS のインストールに先立ち、ELS 要件が満たされていることを確認し、第2章 インストールの準備に記載されているインストール前の考慮事項を確認してください。

VM Client がインストールされたあと、VM Client 累積保守を入手してインストールする必要があります。詳細は、第4章 VM Client 保守のインストールを参照してください。

IBM VMSES/E

VM Client は、IBM VM/ESA のコンポーネントである IBM の VMSES/E (Virtual Machine Serviceability Enhancements Staged/Enhanced) を使用してインストールされます。

VMSES/E には、製品のインストールが整合性を持つように設計された VMFINS インストール支援が含まれています。

VMSES/E 操作の詳細は、IBM ドキュメント『VMSES/E 入門とリファレンス』を参照してください。

インストール手順のサマリー

インストール手順のサマリーを次に示します。各ステップは、後続のセクションで詳細に説明します。

  1. VM Client のリソース要件を決定します。

    VMFINS コマンドを使用して、VM Client リソース要件を取得するため、製品 SRVLINK ファイルからいくつかの VMSES/E ファイルをロードします。

  2. VM Client リソースを割り当てます。

    前のステップで取得した情報を使用して、VM Client のインストールおよび使用に必要な適切なミニディスクおよびユーザー ID を割り当てます。

  3. VM Client 製品ファイルをインストールします。

    VMFINS コマンドを使用して、VM Client 製品ファイルを製品 SRVLINK ファイルから BASE ミニディスクにロードします。

  4. VM Client 実行コードをビルドします。

    VMFINS コマンドを使用して、VM Client テスト BUILD ミニディスクをビルドします。

  5. VM Client サービスマシンを作成します。

    VM Client サービスマシンのディレクトリエントリを作成します。

  6. VM Client サービスマシンファイルをカスタマイズします。

    VM Client サービスマシンサンプルを編集します。

  7. VM Client をテストします。

    テストビルドディスク上の VM Client をテストします。

  8. VM Client を本番環境に配置します。

    VM Client のテスト後、VM Client ファイルをテストビルドディスクから本番ビルドディスクにコピーします。

ステップ 1: VM Client リソース要件の決定

VMFINS コマンドを使用して、VM Client のリソース要件を決定します。

  1. インストール担当者/計画担当者としてログオンします。

    MAINT 5E5 への読み取りアクセス、および VM Client ソフトウェアインベントリを含める 51D ディスクへの書き込みアクセスでは、任意のユーザー ID を使用します。

  2. 次のコマンドを入力して、VMSES/E コードへの読み取りアクセスを確立します。

    LINK MAINT 5E5 5E5 RR
    ACCESS 5E5 B
    
  3. 次のコマンドを入力して、ソフトウェアインベントリディスク (この例では MAINT 51D) への書き込みアクセスを確立します。

    LINK MAINT 51D 51D M
    ACCESS 51D D
    

    次の点に注意してください。

    • ソフトウェアインベントリディスクは、システムのソフトウェアインベントリディスクとすることができます。51D ディスクを保守/インストールユーザー ID (VSMC730A) に割り当てることをお勧めします。

    • 別のユーザーが現在、書き込みモード (R/W) のソフトウェアインベントリディスクにリンクされている場合、LINK コマンドは失敗します。これが発生した場合、ほかのユーザーを読み取り専用モード (RR) でソフトウェアインベントリディスクに再度リンクさせて、上記の LINK および ACCESS コマンドを再発行します。ソフトウェアインベントリ (51D) ディスクへの読み取り/書き込みリンクを確立するまでは、次に進まないでください。

  4. VM Client 製品制御ファイルを 51D ミニディスクにロードします。

    次を入力します。

    VMFINS INSTALL INFO ( NOMEMO ENV VSMC730A
    

    INSTALL INFO コマンドは、さまざまな製品制御ファイルをロードし、VMFINS PRODLIST ファイルを作成します。

  5. VMCLIENT 用のリソース計画情報を取得します。

    次を入力します。

    VMFINS INSTALL PPF VSMC730A VMCLIENT ( NOMEMO PLAN ENV
    VSMC730A
    

    ファイル VMFINS PLANINFO は、A-disk 上に作成されます。このファイルには、VM Client のインストールに必要なユーザー ID およびミニディスクに関する情報が含まれています。

  6. インストールメッセージログファイル、$VMFINS $MSGLOG を確認します。すべてのインストールメッセージがインストールユーザーの A-disk に書き込まれます。続行する前にエラーを修正します。

PPF オーバーライドファイルの作成

保守またはサービスマシンのユーザー ID を変更する必要がある場合、次の手順を使用して PPF オーバーライドファイルを作成します。

  1. 次のプロンプトで 1 を入力します。

    VMFINS2601R Do you want to create an override for :PPF VSMC730A
    VMCLIENT :PRODID VSMC730A%VMCLIENT?
    
    Enter 0 (No), 1 (Yes) or 2 (Exit)
    
  2. 次のプロンプトで 0 を入力します。

    VMFMKO2917R Do you want to use the defaults for this product?
    
    Enter 0 (No), 1 (Yes) or 2 (Exit)
    
  3. Make Override Panel」で VM Client INSTALL ユーザーのみ、VM Client SERVER のみ、または VM Client INSTALL ユーザーと VM Client SERVER の両方を更新します。F3 を押してこのパネルを終了します。

  4. 2 - Save as...」を選択し、オーバーライドファイルのファイル名を入力します。

    オーバーライド $PPF ファイルおよび PPF ファイルが D-disk (51D) にコピーされます。

    これで、VSMC730A PPF ファイルがオーバーライド PPF に置き換えられます。残りのすべてのインストール手順では、VSMC730A のすべてのインスタンスをこのオーバーライド PPF に置き換えます。

ステップ 2: VM Client リソースの割り当て

VSMC730A PLANINFO ファイルの計画情報を使用して、VSMC730A のユーザーディレクトリエントリを作成します。

  1. VSMC730A のユーザーディレクトリエントリを作成します。

    VSMC720A ユーザーディレクトリは、PLANINFO ファイルの下部にあります。これらのエントリには、VSMC730A ユーザー ID に必要なリンクおよび特権クラスが含まれます。PLANINFO にあるディレクトリエントリを VSMC730A ディレクトリエントリのモデルとして使用します。

  2. VSMC720A のディレクトリエントリに MDISK 文を追加します。ミニディスクのレイアウトは PLANINFO ファイルにあります。

  3. システムディレクトリに VSMC730A のディレクトリエントリを追加します。セキュリティーガイドラインに従って、VSMC730A のパスワードを XXXXXX から有効なパスワードに変更します。

  4. 新しいディレクトリをオンラインにします。

ステップ 3: VM Client 製品ファイルのインストール

VMFINS コマンドを使用して、VM Client テスト BUILD ミニディスクをビルドします。

  1. ステップ 2 で作成したインストールユーザー ID VSMC730A にログオンします。

  2. MAINT 5E5 および 51D ミニディスク用の ACCESS コマンドを含む PROFILE EXEC を作成します。

    XEDIT PROFILE EXEC A
    ===> input /**/
    ===> input 'access 5e5 b'
    ===> input 'access 51d d'
    ===> file
    
  3. MAINT のミニディスクにアクセスするため、プロファイルを実行します。

    PROFILE
    
  4. ソフトウェアインベントリディスクが R/W でリンクされていない場合は、書き込みアクセスを確立します。

    LINK MAINT 51D 51D M
    ACCESS 51D D
    

    別のユーザーが現在、書き込みモード (R/W) でソフトウェアインベントリディスクにリンクされている場合、LINK コマンドは失敗します。これが発生した場合、このユーザーを読み取り専用モード (RR) でソフトウェアインベントリディスクに再リンクさせ、上記の LINK および ACCESS コマンドを再発行します。ソフトウェアインベントリ (51D) ディスクへの読み取り/書き込みリンクを確立するまでは、次に進まないでください。

  5. インストール担当者/計画担当者 191 ディスク上に作成された VMSES/E ファイルを VSMC730A 191 ディスクにコピーします。これにより、すべての VM Client VMSES/E ファイルが 1 つの場所に配置されます。コピーするファイルは次のとおりです。

    • VSMC730A PLANINFO

    • VSMC730A PRODLIST

  6. VM Client をインストールします。

    次を入力します。

    VMFINS INSTALL PPF VSMC730A VMCLIENT (NOMEMO NOLINK ENV
    VSMC730A OVERRIDE NO
    

    NOLINK オプションは、VMFINS が保守ミニディスクをリンクするものではなく、それらが未アクセスの場合のみアクセスすることを示します。

    OVERRIDE NO オプションは、VMFINS が PPF をオーバーライドしないことを示します。上記のオーバーライド PPF が作成された場合、VMSMC730A を作成された PPF の名前に置き換えます。

  7. インストールメッセージログファイル、$VMFINS $MSGLOG を確認します。すべてのインストールメッセージがインストールユーザーの A-disk に書き込まれます。必要に応じて、続行する前にエラーを修正します。

ステップ 4: VM Client 実行可能コードのビルド

VMFINS コマンドを使用して、VM Client テスト BUILD ミニディスクをビルドします。

  1. 次のコマンドを入力してテスト BUILD ミニディスクをビルドします。

    VMFINS BUILD PPF VSMC730A VMCLIENT (ALL NOLINK
    
  2. インストールメッセージログ ($VMFINS $MSGLOG) を確認します。すべてのインストールメッセージログがインストールユーザーの A-disk に書き込まれます。続行する前にエラーを修正します。

    VMFINS BUILD ログ内の次のメッセージは正常です。

    • VMFBDC2178I

      Object =.HELPMSG は提供されていないため再ビルドできません。

    • VMFBDC2178I

      Object =.HELPSMC は提供されていないため再ビルドできません。

    • VMFINB2173I

      この製品の検証 exec が見つかりません

ステップ 5: VM Client サービスマシンの作成

VM Client サービスマシンのディレクトリエントリを作成します。VM Client サービスマシンは、CP MSGNOH コマンド (特権クラス B) を発行できる必要があります。

マシンおよびミニディスクの要件については、PLANINFOVSMC730A ファイルを参照してください。

ステップ 6: VM Client サービスマシンファイルのカスタマイズ

次のファイルを LOCALSAM ミニディスクから VM Client サービスマシン 191 ミニディスク (VMSMC191) にコピーします。

表3-1 VM Client サービスマシンファイル

サンプル名
操作名
用途

SMCPARMS SAMPLE

SMCPARMS (FILE)

起動パラメータ

SMCCMDS SAMPLE

SMCCMDS (FILE)

起動コマンド

SMCSTART EXEC

SMCSTART EXEC

VM Client 起動 EXEC

SMCPRO SAMPLE

PROFILE EXEC

VM Client PROFILE EXEC


SMCPARMS および SMCCMDS には、起動のパラメータおよびコマンドが含まれます。これらのファイルのファイル名は SMCSTART EXECFIILDEF 名と一致する必要があります。

VM Client のパラメータおよびコマンドファイルの更新については、VM Client コマンドファイルを参照してください。

ステップ 7: VM Client のテスト

VM Client はテストの準備が整いました。テストする実行可能コードは、VSMC730A 201 ミニディスクにあります。VM Client を実行するためのオプションは次のとおりです。

  • VSMC730A 201 に LINK し、SMCSTART を発行します。

  • VSMC730A 201VMSMC 200 ミニディスクにコピーし、SMCSTART を発行します。サンプル PROFILE EXEC (SMCPRO SAMPLE) はこのオプションを前提としています。

ステップ 8: VM Client の本番環境への配置

VM Client テスト後に次のコマンドを入力して、VM Client ファイルをテストディスク (201) から本番ディスク (202) にコピーします。

VMFSETUP VSMC730A VMCLIENT

VMFCOPY ** fm1==fm2 (PRODID VSMC720A%VMCLIENT SPRODID
VSMC730A%VMCLIENT OLDDATE REPLACE

fm1TEST ビルドディスク (BUILD1 - 201) のファイルモードです

fm2PRODUCTION ビルドディスク (BUILD2 – 202) のファイルモードです

PRODUCTION バージョンを使用するには、VM Client サービスマシンを変更する必要があります。オプションは次のとおりです。

  • VSMC730A 202 に LINK し、SMCSTART を発行します。

  • VSMC730A 202VMSMC 200 ミニディスクにコピーし、SMCSTART を発行します。サンプル PROFILE EXEC (SMCPRO SAMPLE) はこのオプションを前提としています。