5 VM Client の起動

この章では、VM Client ソフトウェアを起動する方法について説明します。

VM Client は、VM Client サービスマシンと呼ばれる独自の CMS 仮想マシン内で実行されます。第3章 VM Client のインストールでは、VM Client サービスマシンの設定、および VM Client サービスマシンソフトウェアのインストールについて説明します。

VM Client サービスマシンをインストールしたら、分散 SMCSTART コマンドを発行して VM Client を起動できます。SMCSTART コマンドは、VM Client 仮想マシン環境を初期化したあと、SMCBINT モジュールを実行する EXEC です。

SMCBINT モジュールは、VM Client コマンドファイルを読み取り、VM Client 環境を初期化してほかの仮想マシンから TMI コマンドを受け取ります。VM Client コマンドファイルの詳細は、VM Client コマンドファイルを参照してください。

SMCBINT モジュールパラメータ

VM Client コマンドファイルに加えて、SMCBINT モジュールがオプションのコマンド行パラメータを受け入れます。SMCBINT のオプションのコマンド行パラメータを使用すると、VM Client コマンドファイルを読み取る前に VM Client OPERATOR と VM Client TRACE を設定したり、起動時に VM Client MAXRC 処理を有効にしたりできます。

SMCBINT オプションのコマンド行パラメータは、キーワード値ペアとしてモジュール名のあとに入力します。たとえば、次の例では SMCBINT パラメータを指定します。

SMCBINT TRACE ON OPERATOR VMOPER MAXRC 4

コマンド行パラメータの処理中に何らかのエラーが検出された場合、VM Client の初期化プロセスは終了します。

以降のセクションでは、許可される各キーワード値ペアについて詳しく説明します。

TRACE キーワード値ペア

TRACE{ON|OFF}

VM Client のコマンドファイルを処理する前に、VM Client のトレース処理をアクティブにするかどうかを指定します。ON は、VM Client TRACE をできるだけ早く有効にすることを指定します。

OPERATOR キーワード値ペア

OPERATOR userid

VM Client のコマンドファイルを処理する前に、VM Client オペレータを設定するかどうかを指定します。userid は、VM Client のメッセージを受け取る仮想マシンの名前を指定します

MAXRC キーワード値ペア

MAXRC nn

VM Client MAXRC の処理をアクティブにするかどうかを指定します。

MAXRC 処理は、指定されたコマンドのリターンコードを超えた場合に、起動時に VM Client システムを終了するかどうかを決定します。MAXRC が指定されていない場合、VM Client は、起動コマンドが失敗したかどうかには関係なく常に初期化を完了しようとします。これはデフォルトの動作です。値 nn はリターンコードの最大許容値を指定します。SMCPARMS または SMCCMDS データセットから実行された VM Client コマンドがこの値を超えると、SMC0236 および SMC0237 メッセージが生成され、VM Client が終了します。有効な値は、0、4、8、および 12 です。

VM Client コマンドファイル

VM Client コマンドは、SMCPARMS および SMCCMDS コマンドファイルで指定できます。VM Client 初期化中に、これらのコマンドファイルが読み取られ、これらのファイルに含まれるコマンドが実行されます。規則により、コマンドファイルは次のように命名されます。

  • SMCPARMS FILE A1

  • SMCCMDS FILE A1

別のファイル名を使用する場合は、SMCSTART EXEC 内の SMCPARMS および SMCCMDSFILEDEF を変更できます。

VM Client コマンドファイル内の制御文は、制御文の構文規則 で説明している制御文の標準規則に準拠している必要があります。

SMCPARMS

SMCPARMS コマンドファイルが最初に読み取られます。VM Client がアクティブなときには変更できない、ユーザーが構成した項目に使用されます。SMCPARMSREAD コマンドを使用して再処理することはできません。

次に、SMCPARMS メンバーのエントリの例を示します。

OPERATOR ID(nnnn)
LOGDISK ON
MSGDEF CASE(MIXED)
TCPIP TCPNAME(tcpname)

SMCCMDS

SMCCMDS コマンドファイルは、VM Client がアクティブなときに変更できる、ユーザーが構成した項目に使用されます。SMCCMDS は VM Client READ コマンドを使用して再処理できます。このコマンドの詳細は、READを参照してください。

次に、SMCCMDS メンバーのエントリの例を示します。

TAPEPLEX NAME(tttttttt)
SERVER NAME(ssssssss) TAPEPLEX(tttttttt) PORT(pppp) +
IPADDRESS(nn.nn.nn.nn)

VM Client カスタマ出口

VM Client は、CMS EXEC として実装されている可能性のある次のカスタマ出口を提供します。

  • SMCXIT00 深夜出口

    この出口が実装されている場合は、毎晩深夜に実行されます。

    入力パラメータ (存在する場合)、機能、およびインストール手順については、インストールのサンプル SMCXIT00.samp を参照してください。

  • SMCXIT01 コマンド承認出口

    この出口が実装されている場合は、VM Client コマンドまたは TMI 要求が受信され、VM Client コマンドまたは TMI 要求が適切な VM Client AUTHorize コマンドによって承認されていない場合に実行されます。

    VM Client AUTHorize コマンドについては、AUTHorizeを参照してください。入力パラメータ (存在する場合)、機能、およびインストール手順については、インストールのサンプル SMCXIT01.samp を参照してください。

    注:

    VMSES/E のインストールではこれらの出口はインストールされません。インストールの手順については、カスタマ出口のそれぞれのサンプルを参照してください。

CP DETACH のサポート

SMCPROP EXEC は、次のタイプのすべてのメッセージを処理する PRogrammable OPerator (PROP) アクションルーチンとして使用するために提供され、CP からシステムコンソールに送られます。

TAPE raddr DETACHED....

VM (CP) を使用すると、CP コマンド LOGOFFFORCE、または DETACH によって DETACH されたすべてのテープドライブ上で「Rewind Unload」コマンドが実行されます。これにより、StorageTek の DETACH された TapePlex ボリュームが、まだ TapePlex の自動トランスポート内にあるときに、「選択された」状態のままになります。このボリュームは、ドライブから削除 (または DISMOUNT) されるまで、いずれの要求元からも使用できなくなります。

SMCPROP EXEC は、TapePlex のトランスポートが仮想マシンから DETACH された場合に、VM PROP サービスから呼び出され、VM Client DISMOUNT コマンドを自動的に発行できる「アクションルーチン」で、そうでない場合よりも先にボリュームを利用可能に (つまり選択解除) するものです。RTABLE SAMPLE は、SMCPROP アクションルーチンを PROP で使用するために提供されます。PROP サービスについては、CMS の計画と管理に関する IBM ドキュメントを参照してください。

SMCPROP EXEC は、VMOPERATOR とともに使用して DETACH メッセージをトラップすることもできます。LOGTABLE SAMPLE には、ユーザーをサポートするためにサンプルの VMOPERATOR LOGTABLE 文が含まれています。必要に応じて、サンプルのカスタマイズに関する VMOPERATOR ドキュメントを参照してください。VM Client サービスマシンユーザー ID が VMSMC でない場合は、SMCPROP EXEC を更新する必要があります。

正しく動作させるには、PROP/VMOPERATOR マシンで SMCPROP EXEC を使用できる必要があります。