1 概要

この章では、VM Client ソフトウェアの機能とデータフローについて説明します。

機能

VM Client を使用すると、VM システム上で実行しているクライアントから、MVS 上で実行している StorageTek TapePlex サーバーに実際のテープサービスおよび仮想テープサービスをリクエストできます。

TapePlex サーバーを管理できるようにする MVS ソフトウェアについては、ドキュメント『ELS の概要』を参照してください。

VM Client ソフトウェアには次の機能があります。

  • VM テープ管理インタフェース (VMTMI) の要求を受け入れる IUCV インタフェース

    Oracle の StorageTek VM Client は、VM テープ管理システム (TMS) から StorageTek Automatic Cartridge System (ACS) を使用できるようにするインタフェースを提供するコンポーネントとして、VM/HSC の代替となるものです。さらに、VM Client は VM テープ管理システムから StorageTek Virtual Storage Manager (VSM) を使用できるようにするインタフェースを提供します。

    VM Client は、VM TMS からの VMTMI 要求のターゲットとして機能します。すべての応答は、TMS に VMTMI 形式で返されます。VM Client は VM Inter-user Communications Vehicle (IUCV) を使用して TMS サービスのマシンと通信します。

    すべての VMTMI 要求が VM Client でサポートされているわけではありません。サポートされている VMTMI 要求の完全なリストについては、第9章 VM Client テープ管理インタフェースを参照してください。

  • MVS ベースの TapePlex への TCP/IP インタフェース (HSC)

    StorageTek Enterprise Library Software (ELS) は、Storagetek ACS および VTCS システムを制御する XML インタフェース (XAPI) を提供します。XAPI 通信は TCP/IP を介して行われます。VM Client は VMTMI 要求を新しい XAPI 形式に変換します。XAPI 応答は VMTMI 応答に変換されます。

    注:

    VM Client は ELS 7.1 以降 (SMC/HSC/VTCS) とのみ通信できます。
  • VM Client を制御するオペレータコマンド

    VM Client のコマンドについては、第6章 VM Client コマンドを参照してください。

データフロー

図1-1 は、次の VM Client のデータフローを示しています。

  1. VM テープ管理システム (TMS) の要求が、VM テープ管理インタフェース (VMTMI) を介して VM Client に送信されます。

  2. VM Client が VMTMI 要求を XAPI 形式に変換し、その要求を TCP/IP 通信を使用して MVS サーバーにルーティングします。

  3. MVS サーバー上の SMC/HSC/VTCS ソフトウェアが要求を処理し、すべての応答を XAPI 形式で VM Client に返します。

  4. VM Client が XAPI 応答を VMTMI 形式に変換し、これらの応答を TMS にルーティングします。

図1-1 VM Client のデータフロー

図1-1 については、周囲のテキストで説明しています。

ACSLS サーバーへの XAPI Client インタフェース

XML API (XAPI) は、StorageTek のクライアントとサーバーが、共通のプロトコルを使用して TCP/IP 経由で通信できるようにする Oracle の StorageTek API です。

この XAPI の導入によって、これまで、実際のテープ処理には MVS ベースのサーバー (Oracle の StorageTek Host Software Component) を使用する必要のあったクライアントが、次のように ACSLS 8.4 以降 (XAPI サポートに対応) を使用できるようになりました。

  • MVS 上の SMC クライアントから、XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーに実際のテープ要求を要求できるようになりました (MVS/CSC は必要ありません)。

  • VM Client から、XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーに実際のテープサービスを要求できるようになりました。

VM Client を使用して XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーに接続する場合は、VM Client の TAPEPlex および SERVer コマンドを使用して ACSLS アプリケーションを TapePlex として定義し、クライアントとサーバー間の TCP/IP 制御パスを定義する必要があります。

  • TapePlex コマンドの詳細は、TAPEPlexを参照してください。

  • SERVer コマンドの詳細は、SERVerを参照してください。

VM Client と XAPI 対応 ACSLS サーバーの間のクライアント/サーバーの対話の大部分は、エンドユーザーに対して透過的です。ボリューム情報、マウント、マウント解除の要求は VM Client によって自動的に生成され、オペレータの介入なしで処理されます。これらの自動的な対話に加え、XAPI 対応 ACSLS サーバーは、XAPI コンポーネントの管理を可能にする管理者、構成、オペレーターコマンドを追加で提供します。これらのコマンドについては、ELS ドキュメント ACSLS サーバーへの XAPI Client インタフェースのリファレンスを参照してください。