4 ポリシー

SMC の 2 つのプライマリ機能は、MSP 割り振りに影響を及ぼしテープボリュームに適合するデバイスを選択することと、テープマウントとマウント解除の MSP メッセージをインターセプトして、ライブラリドライブおよび仮想ドライブのこれらの動作を自動化することです。

特定のボリュームの場合、SMC 割り振りは主にボリュームのメディアと場所に基づきます。

スクラッチボリュームの場合、SMC 割り振りとマウント処理は主にユーザーポリシーに基づきます。スクラッチの割り振りとマウントを制御するためのポリシーは、SMC TAPEREQ 制御文を使用して選択できます。

ユーザー出口を使用するとポリシーを選択できます。詳細については、『ELS レガシーインタフェースリファレンス』を参照してください。

SMC POLicy コマンド

テープの割り振りおよびマウント要求のためのポリシーを指定するには、SMC POLicy コマンドを使用します。このコマンドを使用すると、MEDia、RECtech または MODel、SUBPool、ESOTeric、VTCS MGMTclas、TAPEPlex などの、割り振りまたはマウントイベントに関連付けられたすべての属性を含む名前付きポリシーを作成できます。

POLicy コマンドを TAPEREQ 文と組み合わせて使用すると、名前付きポリシーを割り振りおよびマウント要求に関連付けることができます。

SMC ポリシーは通常、SMC READ コマンドを使用して SMC の起動時にロードされる 1 つのデータセットまたは PDS メンバーの中で定義されます。また、POLicy コマンドは、新しいポリシーを追加したり既存のポリシーの内容を置き換えたりするために、いつでも発行できます。

次の SMCCMDS データセットの例では、READ コマンドが、SMC ポリシーを含む CNTL.PDS(POLMEM) データセットをロードします。

例4-1 SMCCMDS データセットの例

ALLOCDEF ZEROSCR(ON,INSIDE)
MSGDEF CASE(MIXED)
TAPEPLEX NAME(HSCPLEX) LOCSUB(HSC0)
READ DSN(’CNTL.PDS(POLMEM)’)
TREQDEF DSN(’CNTL.PDS(TREQMEM)’)

次の点に注意してください。

  • TAPEREQ 文がポリシーを名前で参照している場合、TREQDEF コマンドの前に POLicy コマンドを処理する必要があります。

  • いずれかの POLicy コマンドが TAPEPlex を参照している場合、POLicy コマンドを処理する前にTAPEPlex コマンドを使用して TapePlex 名を定義する必要があります。

  • SMC POLicy コマンドおよび TAPEREQ 制御文の詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。

SMC ポリシーとエソテリックの優先順位

SMC POLicy コマンドを使用すると、割り振り処理中にデバイスの優先順位を付けることができます。ESOTeric パラメータは、最大 8 つのエソテリックを含むリストを指定できます。ドライブを除外している間、リスト内の任意のエソテリックのデバイスが追加されます。ドライブ優先度を決定している間、エソテリックリストの位置に従ってデバイスの順序が示されます。この機能では、次を実行できます。

  • 同等のドライブの速いモデルまたは遅いモデルを優先します。

  • ドライブが使用できる場合は特定のデバイスタイプ (9940 など) を優先します。優先ドライブが使用中の場合は、ほかのデバイスタイプを選択します

デフォルトでは、SMC は次の基準に順番に従って、ドライブを優先付けします。

  1. 特定のボリューム LSM 位置

  2. エソテリックリスト

  3. LSM スクラッチカウント

相対的な重要度は POLicy PREFer パラメータを使用して変更できます。詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。

SMC ポリシーと TAPEREQ 制御文

SMC TAPEREQ 制御文は、割り振りおよびマウント要求に関連付けられたテープポリシーなどの、テープ要求属性を識別します。選択されたポリシーは、データセット名やジョブ名などの TAPEREQ 選択基準に基づいています。

TAPEREQ POLicy パラメータにより、SMC POLicy コマンドによって定義されている関連の SMC ポリシーが参照されるようになります。

TAPEREQ 制御文は、TREQDEF オペレータコマンドが指定する定義データセット内にあります。TAPEREQ 文はこの定義データセット内に配置する必要があります。これをオペレータコマンドとして発行することはできません。

次の点に注意してください。

  • SMC TAPEREQ 制御文および POLicy コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。

  • TAPEREQ 文がポリシーを名前で参照している場合、TREQDEF コマンドの前に POLicy コマンドを処理する必要があります。SMCCMDS データセットの例を参照してください。

  • インストールで POLICY なしの TAPEREQ 文 (つまり、ユーザー出口) を使用している場合は、POLICY とその他の TAPEREQ の間の対話やユーザー出口ポリシーの指定について『ELS レガシーインタフェースリファレンス』を参照してください。

ボリュームシリアルによる TAPEREQ およびポリシーの指定

TAPEREQ 文と POLicy コマンドが組み合わせて使用され、特定ボリュームのシリアル番号に基づいて割り振りポリシーを指定できます。場合によっては、この機能を使用して、HSC ライブラリ外 VOLATTR を SMC TAPEREQ 制御文と POLicy コマンドで置き換えることができます。

注記:

TAPEREQ 文で VOLSER キーワードを使用できるのは、POLicy キーワードも指定されていて、これがキーワード VOLTYPE(SPECIFIC) を持つ以前に定義された SMC ポリシーを参照している場合に限られます。

ボリュームシリアルに関連付けられたポリシーを使用すると、次のことができます。

  • 異なるクライアントに向けて、同じボリュームシリアルに異なるボリューム特性を定義できます。

    たとえば、volser AAAAAA が STK1R のメディアを持つ HSC サーバー上の TapePlex 内に存在し、一方で特定のクライアント上ではボリューム AAAAAA がライブラリ外の標準カートリッジだとします。POLicy コマンドと TAPEREQ 文を次のように組み合わせると、SMC はボリューム AAAAAA に対するボリューム検索をバイパスし、指定されたポリシー情報を使用します。

    POLICY NAME(MANVOL) VOLTYPE(SPECIFIC) MEDIA(STANDARD) NOTAPEPLEX
    TAPEREQ VOLSER(AAAAAA) POLICY(MANVOL)
    
  • ボリュームシリアルに基づいて、ボリューム検索を 1 つの TapePlex に制限できます。

    たとえば、クライアントホスト上の SMC に、重複したボリュームシリアル範囲 (AAA000-AAA999 および BBB000-BBB999) を含む 2 つの定義済み TapePlex、PLEX1 と PLEX2 があるとします。デフォルトでは、SMC は TapePlex を定義されている順番で照会し、ボリュームシリアルを認識する最初の TapePlex からの情報を使用します。POLicy コマンドと TAPEREQ 文を次のように組み合わせると、SMC はクライアントホストに対して正しいバージョンのボリュームを選択できます。

    POLICY NAME(PLEX1VOL) VOLTYPE(SPECIFIC) TAPEPLEX(PLEX1)
    POLICY NAME(PLEX2VOL) VOLTYPE(SPECIFIC) TAPEPLEX(PLEX2)
    TAPEREQ VOLSER(AAA000-AAA999) POLICY(PLEX1VOL)
    TAPEREQ VOLSER(BBB000-BBB999) POLICY(PLEX2VOL)
    
  • ライブラリ外のボリュームを特定 TapePlex に割り振るように指示できます。

    POLicy コマンドと TAPEREQ 文を次のように組み合わせると、SMC はライブラリボリューム検索をバイパスし、選択されたライブラリ外ボリュームを標準カートリッジと互換性のあるライブラリドライブに割り振ります。

    POLICY NAME(INLIB) VOLTYPE(SPECIFIC) ESOTERIC(LIB1ESOT) MEDIA(STANDARD) NOTAPEPLEX
    TAPEREQ VOLSER(AAA000-AAA999) POLICY(INLIB)
    

注記:

上の例では、POLicy コマンドの NOTAPEPLEX パラメータが、SMC システムに TapePlex のボリューム検索ロジックをバイパスするよう指示します。

次の例は、SMC Policy コマンド、TREQDEF コマンド、および TAPEREQ 制御文を指定するときの推奨方法を示したものです。

  1. SMC Start 手順に次のエントリを含めます。

    //SMCCMDS DD DSN=MY.PARMLIB(MYSMCCMD),DISP=SHR
    
  2. SMCCMDS メンバー MYSMCCMD に次のエントリを含めます。

    READ DSN(’MY.PARMLIB(SMCPOL)’)
    TREQDEF DSN(’MY.PARMLIB(SMCTREQ)’)
    

    注記:

    TAPEREQ 文に POLicy パラメータが含まれる場合、TAPEREQ 文内のポリシー名は定義済みポリシー定義に対して検証されるため、TREQDEF コマンドの前に POLicy コマンドを処理する必要があります。
  3. SMC POLicy コマンドをメンバー SMCPOL に追加します。例を次に示します。

    POLICY NAME(POL1) SUBPOOL(SP1) MEDIA(STK1R) RECTECH(STK1RC) TAPEPLEX(HSC)
    POLICY NAME(POL2) SUBPOOL(SP2) MEDIA(VIRTUAL) MGMTCLAS(ABC)
    
  4. 指定ポリシーを指すようにメンバー SMCTREQ 内の TAPEREQ 制御文を変更します。例を次に示します。

    TAPEREQ DSN(A.B.*) POLICY(POL1)TAPEREQ DSN(A.C.*) POLICY(POL2)
    

    これらの TAPEREQ 文は、ステップ 3 で定義した SMC ポリシー名を指します。

SMC READ コマンドの HOST パラメータを使用すると、異なるホストに対して異なるポリシー定義を指定できます。例:

READ DSN(MY.PARMLIB(PRODPOLS)) HOST=PRODREAD DSN(MY.PARMLIB(TESTPOLS)) HOST=TEST

ホスト名が PROD の場合、メンバー PRODPOLS がロードされます。ホスト名が TEST の場合、メンバー TESTPOLS がロードされます。