SMC には、StorageTek TapePlex 環境を構成および管理するために使用されるいくつかの機能があり、共有ホスト上、または SMC クライアント/サーバー機能を使用する複数のホスト上で構成できます。
SMC は、富士通の MSP/EX オペレーティングシステムと、StorageTek ライブラリ制御システム (HSC) の間のインタフェースを提供します。
SMC は、同じホスト上の HSC と直接連携するか、または TCP/IP および SMC HTTP サーバーコンポーネントを使用して、異なるホスト上の HSC とリモートで連携することができます。
SMC は、XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーと通信できます (MVS/CSC は必要ありません)。詳細は、ACSLS サーバーへの XAPI Client インタフェースを参照してください。
TapePlex は、通常は単一の HSC 制御データセット (CDS) で表される、単一の StorageTek ハードウェア構成です。TapePlex には、複数の自動カートリッジシステム (ACS) と仮想テープストレージサブシステム (VTSS) が含まれる場合があります。
SMC TAPEPlex
コマンドを使用して、SMC サブシステムからアクセスされるすべての TapePlex を明示的に定義することを推奨します。
SMC TAPEPlex
コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
SMC クライアントサーバー機能を使用すると、SMC が、SMC と同じホスト上にない HSC システムと通信できるようになります。この機能では、次を実行できます。
HSC が起動されるホストの数を減らす。
HSC は 2 台のホスト上でのみ実行し、2 台目のホストをバックアップとして使用することを推奨します。HSC を 1 台または 2 台のホスト上でのみ実行すると、CDS の競合が軽減されるとともに、複数の MSP syslog ファイルを管理する必要もなくなります。
物理的に異なるハードウェア構成を表す複数の HSC TapePlex と通信する。
2 番目の HSC インスタンスをフェイルオーバー用に提供することによって、テープ処理の停止を削減する。
いずれかの HSC TapePlex が SMC とは異なるホスト上に存在する場合は、SMC SERVer
コマンドを発行する必要があります。このコマンドは、異なる MSP ホスト上の HSC ライブラリ制御システム (またはサーバー) への名前付きパスを定義します。
最初に定義したサーバーがプライマリサーバーであるとみなされます。追加のサーバーはセカンダリサーバーです。割り振りまたはマウント処理中にプライマリサーバー上で通信エラーが発生した場合、SMC は、通信を最初の使用可能なセカンダリサーバーに自動的に切り替えます。このセカンダリサーバー上で通信エラーが発生した場合、SMC は、次の使用可能なセカンダリサーバーに自動的に切り替えます。
SMC SERVer
コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
SMC には、SMC サブシステムおよびすべてのクライアント/サーバー通信が正しく動作していることを確認するための、いくつかのモニター機能が用意されています。第7章 モニター機能と回復手順を参照してください。
SMC HTTP サーバーコンポーネントは、SMC (クライアント) と別のホスト (サーバー) 上の HSC の間の通信のための機能を提供します。このコンポーネントは、HSC がサーバーとして実行されているホスト上の SMC アドレス空間の下で実行されます。SMC のみが実行されているホスト上には必要ありません。
SMC HTTP サーバーコンポーネントは、SMC の初期化中に自動的には起動されません。
SMC HTTP サーバーを起動するには、SMCPARMS または SMCCMDS データセットのどちらかに SMC HTTP
STArt
コマンドを含める必要があります。
SMC HTTP サーバーがアクティブになったら、コンソールから SMC HTTP
コマンドを発行して、いつでも HTTP サーバーを停止または再起動することができます。
注記:
SMCHTTP
コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、ユーティリティーリファレンス』を参照してください。SMC HTTP サーバーのステータス情報や間隔の統計情報を表示するには、LIst パラメータを指定して SMC HTTP
コマンドを発行します。
入出力、エラー、許可、拒否の数や、CGI の使用数などの追加情報を表示するには、DETail パラメータを含めます。
注記:
SMC HTTP サーバーメッセージの一覧については、『ELS メッセージおよびコード』を参照してください。SMC クライアントが UUI 要求を SMC HTTP サーバーに送る場合、HTTP サーバーが実行中の SMC アドレス空間で要求の一部またはすべてが実行されます。複数の要求を同時に実行しようとしている場合、SMC ストレージの不足による異常終了が発生することがあります。
大量の仮想ストレージを消費する可能性のある UUI 機能には、VTCS EXPORT や、VOLRPT、VTVRPT、MVCRPT などを含む SORT 機能を使用するレポートが含まれます。
HTTP サーバーを実行している SMC には最大の領域サイズ (0M) を割り振ることを推奨します。
SMC 7.3 にはクライアント/サーバー通信のための新しい XAPI セキュリティー機能が導入されており、SMC HTTP サーバーではデフォルトとして有効になります。
ELS クライアントアプリケーション (SMC および VM クライアント) だけをホストしている TapePlex の XAPI トランザクションをセキュリティー保護するための望ましい方法は、『StorageTek Enterprise Library Software セキュリティーガイド』の説明に従って AT/TLS 機能を使用することです。AT/TLS は、ELS にとって外部にある透過的なトランスポートレイヤー機能です。
ELS 以外のクライアント (オープンシステムクライアント)、または ELS クライアント (SMC および VM クライアント) と ELS 以外のクライアントの混合をホストしている TapePlex をセキュリティー保護するには、ELS 7.3 XAPI セキュリティー機能を使用します。ELS 7.3 XAPI セキュリティー機能のほかに、AT-TLS もこのような環境に使用できます。ただし、ELS 以外のクライアントの XAPI トランザクションはセキュリティー保護されません。
ELS 7.3 は、XAPI プロトコルの一部として、ELS の内部のみで使用される追加のユーザー認証機能を提供します。ELS 7.3 では、個々の XAPI クライアント/サーバートランザクションを認証するために、チャレンジ/レスポンスプロトコルを実装しています。このプロトコルを使用するには、新しい SMC XUDB
コマンドを使用して、クライアントおよびサーバーのユーザー ID とパスワードを定義する必要があります。このコマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。操作のログインチャレンジ/レスポンスは完全に透過的であり、ユーザーやオペレータがこのほかに操作する必要はありません。TapePlex 操作 (マウント、マウント解除、検索、スクラッチなど) ごとに XAPI ログインが必要です。サーバーがクライアントに代わってユーザー ID とパスワードを保存したりキャッシュしたりすることはありません。
ELS 7.3 にはデフォルトとして XAPI セキュリティーが必要です。ただし、ELS では、クライアントごとにセキュリティーを制御できる機能を提供しています。
SMC XCLIENT
コマンドを使用すると、ELS 7.3 サーバーは個々のクライアントに XAPI セキュリティープロトコルの使用を「免除」できます。下位レベルの ELS クライアント (7.3 サーバーと通信する 7.2 クライアントなど) が XAPI ログインを使用せずに ELS 7.3 サーバーにサービスを要求できるようにするには、ELS 7.3 XCLIENT
コマンドの定義が必要です。
HTTP
コマンドで XSECurity (OFF) パラメータを使用すると、XAPI セキュリティープロトコルをグローバルに無効にできます。HTTP XSECurity(OFF) が指定されている場合、ELS 7.3 の XAPI プロトコルの動作は ELS 7.2 の XAPI プロトコル (ユーザー認証なし) と同じになります。
これらのコマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
XML API (XAPI) は、StorageTek のクライアントとサーバーが、共通のプロトコルを使用して TCP/IP 経由で通信できるようにする Oracle の StorageTek API です。
この XAPI の導入によって、これまで、実際のテープ処理には MVS ベースのサーバー (Oracle の StorageTek Host Software Component) を使用する必要のあったクライアントが、次のように ACSLS 8.4 以降 (XAPI サポートに対応) を使用できるようになりました。
MVS 上の SMC クライアントから、XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーに実際のテープ要求を要求できるようになりました (MVS/CSC は必要ありません)。
VM クライアントから、XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーに実際のテープサービスを要求できるようになりました。
XAPI サポートに対応している ACSLS サーバーに接続するために SMC または VM クライアントを使用している場合、SMC または VM クライアントの TAPEPlex コマンドおよび SERVer コマンドを使用して、ACSLS アプリケーションを TapePlex として定義し、クライアントとサーバーの間の TCP/IP 制御パスを定義する必要があります。これらのコマンドについては、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
SMC と VM クライアントの間、および XAPI を使用する ACSLS サーバーの間のクライアント/サーバーの対話の大部分は、エンドユーザーに対して透過的です。ボリューム情報、マウント、およびマウント解除の要求は、SMC および VM クライアントによって自動的に生成され、オペレータの介入なしで処理されます。
これらの自動相互作用に加えて、XAPI を使用する ACSLS サーバーは、XAPI コンポーネントの管理を可能にする追加の管理者コマンド、構成コマンド、およびオペレータコマンドを提供します。これらのコマンドについては、ELS ドキュメント ACSLS サーバーへの XAPI Client インタフェースのリファレンスを参照してください。
このセクションでは、SMC の次の一般的な構成シナリオについて説明します。
これらのシナリオは、クライアント/サーバーのシナリオを網羅することを目的にしているわけではありません。SMC では、TapePlex の数や、定義できる通信パスの数に制限は設けられていません。
複数の StorageTek TapePlex が存在する構成 (シナリオ 3 で示されている) では、TAPEREQ 文と POLicy
コマンド、特定のボリューム位置、および使用可能なスクラッチボリュームに基づいて、SMC が各 DD 文の割り振りを適切な TapePlex に送信します。
このシナリオでは、SMC と HSC が、1 つの TapePlex (1 つの CDS で表される) に接続された同じ MSP ホスト上で実行されます。
次の図は、このシナリオについて示したものです。
この構成では、次の 3 つのアドレス空間を使用します。
イニシエータアドレス空間 - 割り振りおよびマウントイベントの発生元のアドレス空間
SMC アドレス空間 - 発生したイベントがインターセプトされるアドレス空間
HSC アドレス空間 - SMC からのドライブとボリュームデータに関する要求、およびマウント要求の送信先アドレス空間
次の TAPEPlex
コマンドは、ローカル HSC TapePlex を定義します。
TAPEPLEX NAME(PLEX1) LOCSUBSYS(HSC0)
PLEX1 はローカル TapePlex の名前であり、HSC0 は HSC のローカル MSP サブシステム名です。
このシナリオでは、SMC が、HSC を含まないクライアントホスト上で、リモート TapePlex (1 つの CDS で表される) および複数のホスト上で実行されている HSC への複数のパスを使用して実行されます。
次の図は、このシナリオについて示したものです。
MSPA 上の SMC には、次の TAPEPlex
および SERVer
コマンドが必要です。
TAPEPLEX NAME(PLEX1) SERVER NAME(MSPBPATH) TAPEPLEX(PLEX1) HOST(MSPB) SERVER NAME(MSPCPATH) TAPEPLEX(PLEX1) HOST(MSPC)
MSPA 上のイニシエータアドレス空間で発生した要求は、MSPA 上の SMC アドレス空間によってインターセプトされます。MSPA 上の SMC によって、ボリュームとドライブデータに関する要求およびマウント要求が、MSPB または MSPC 上のサーバーに送信されます。
MSPB および MSPC 上で、SMC は、ローカル HSC でのみ使用することも、次に示すように、バックアップを行うために通信機能を使用することもできます。
MSPB 上の SMC には、次の TAPEPlex
および SERVer
コマンドが必要です。
TAPEPLEX NAME(PLEX1) LOCSUBSYS(HSC1) SERVER NAME(MSPCPATH) TAPEPLEX(PLEX1) HOST(MSPC)
MSPB 上の SMC には、HTTP コンポーネントが定義されています。
HTTP START
MSPC 上の SMC には、次の TAPEPlex
および SERVer
コマンドが必要です。
TAPEPLEX NAME(PLEX1) LOCSUBSYS(HSC2) SERVER NAME(MSPBPATH) TAPEPLEX(PLEX1) HOST(MSPB)
MSPC 上の SMC には、HTTP コンポーネントが定義されています。
HTTP START
前記の TAPEPlex
および SERVer
コマンドを使用すると、MSPB を MSPC のバックアップライブラリサーバーとして、MSPC を MSPB のバックアップライブラリサーバーとして動作させることができます。
注記:
SMC が HSC からドライブタイプ情報を入手する方法については、SMC ドライブタイプ情報の同期を参照してください。このシナリオでは、1 つの SMC が 2 つの TapePlex (2 つの CDS で表される) と通信します。
次の図は、このシナリオについて示したものです。
このシナリオでは、2 つの TapePlex (2 つの CDS で表される) が存在することを前提にしています。
SMC は、同じホスト上の HSC と直接通信します。
SMC は、HTTP サーバーを使用して、異なるホスト (MSPB および MSPC) 上の HSC と通信します。
MSPA 上のイニシエータアドレス空間で発生した割り振りおよびマウント要求は、MSPA 上の SMC によってインターセプトされます。次に、これらの要求は、同じホスト上で実行されているローカル HSCL、ホスト MSPB 上で実行されている HSC1、ホスト MSPB 上で実行されている HSC2 のいずれかに送信されます。
MSPA 上の SMC には、次の TAPEPlex
および SERVer
コマンドが必要です。
TAPEPLEX NAME(PLEX1) LOCSUBSYS(HSC0) TAPEPLEX NAME (PLEX2) SERVER NAME(MSPBPATH) TAPEPLEX(PLEX2) HOST(MSPB) SERVER NAME(MSPCPATH) TAPEPLEX(PLEX2) HOST(MSPC)
注記:
割り振り要求ごとの「所有者」を決定するために SMC が複数の TapePlex から選択する方法については、SMC TapePlex の選択を参照してください (ジョブステップの各 DD は異なる TapePlex によって所有されている場合があります)。MSPB 上の SMC には、次の TAPEPlex
および SERVer
コマンドが必要です。
TAPEPLEX NAME(PLEX2) LOCSUBSYS(HSC1) SERVER NAME(MSPCPATH) TAPEPLEX(PLEX2) HOST(MSPC)
MSPB 上の SMC には、HTTP コンポーネントが定義されています。
HTTP START
MSPC 上の SMC には、次の TAPEPlex
および SERVer
コマンドが必要です。
TAPEPLEX NAME(PLEX2) LOCSUBSYS(HSC2) SERVER NAME(MSPBPATH) TAPEPLEX(PLEX2) HOST(MSPB)
MSPC 上の SMC には、HTTP コンポーネントが定義されています。
HTTP START
注記:
TapePlex の数と単一の SMC が構成できるサーバーパスには、あらかじめ定義された制限があります。SMC および HSC の機能により、クライアントホストとサーバーホストのドライブアドレスが異なる環境を管理できます。次のシナリオをもとに、クライアント/サーバー間のドライブアドレスのマッピングが必要かどうかを決定し、どのようなアクションや機能が必要かを見極めます。
クライアント/サーバー処理を使用。
単一のクライアント/サーバーネットワーク内のすべてのホストで、同じ装置アドレスが定義されているが、デバイスが定義されていないホストもある。
必要なアクション: ドライブアドレスのマッピングは不要です。ただし、デバイスがホストに定義されていない場合でも、HSC SET SLIDRIVS ユーティリティーを使用して、サーバーとして使用するホスト上のすべてのドライブアドレスを定義する必要があります。SET SLIDRIVS ユーティリティーの詳細については、『ELS Command, Control Statement, and Utility Reference』を参照してください。
クライアント/サーバー処理を使用。
すべての HSC ホストに対して同じデバイスアドレスが定義されているが、1 つまたは複数の SMC クライアントのみのホストで、同じデバイスに異なるアドレスセットが使用されている。
必要なアクション: SMC DRIVemap
コマンドを使用して、SMC クライアントホストアドレスを HSC ホストアドレスにマッピングします。SMC によって、影響を及ぼす割り振りと、サーバーからのマウント要求時、必要なアドレス変換が実行されます。DRIVemap
コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
クライアント/サーバー処理を使用。
2 台の MSP ホスト (MSP1 および MSP2)、両ホストで HSC と SMC を実行中。
1 台の MSP ホスト (MSP3) では SMC のみが実行されているが、サーバーとして 2 台のホストの一方と通信していると定義されている。
3 台のホスト間で、異なるデバイスアドレスが定義されている。例:
MSP1 (AA0 - AAF)
MSP2 (BA0 - BAF)
MSP3 (CA0 - CAF)
必要なアクション:
MSP3 上の SMC は、特定のマウントイベントで、MSP1 または MSP2 ホストのいずれかと通信できるため、HSC SET ユーティリティー SET DRVHOST を使用して、3 台のうちの 1 台を「ドライブホストマスター」として定義する必要があります。たとえば、MSP1 (AA0 - AAF) を指定します。
HSC CDS にデバイスホストマスターを指定すると、該当するホストマスターに関連付けられているアドレス (AA0 - AAF) が、SMC との通信時、MSP1 と MSP2 によって使用されるようになります。
必要な場合は、HSC DRVHOST にダミーホスト ID を追加し、実在しないドライブアドレスをクライアントアドレスにマッピングすることもできます。たとえば、HSC SET NEWHOST ユーティリティーを使用して、ホスト名 DRVDUMMY を定義し、デバイス範囲を 000 - 00F に定義します。
HSC SET DRVHOST ユーティリティーおよび HSC SET NEWHOST ユーティリティーの詳細は、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
クライアント MSP2 および MSP3 上で SMC DRIVemap
コマンドを使用し、ドライブアドレス BA0 - BAF と CA0 - CAF を、サーバーアドレス AA0 - AAF にマッピングします。DRIVemap
コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
SMC は、SMC から定義済みの各 TapePlex に送信された構成照会を使用して、ELS ライブラリ制御システム (HSC) からドライブタイプ情報を取得します。
HSC サブシステムの場合、ローカルおよびリモートシステムのドライブ構成の変更は、SMC によって自動認識されます。
SMC UNITAttr
コマンドを使用すると、ローカルホストのテープデバイスの構成によって要求された ELS ライブラリ制御システムの構成照会から返される情報を補足したり、オーバーライドしたりすることができます。具体的には、UNITAttr
コマンドで次を実行できます。
このホストで利用できないデバイスアドレスに MODEL=IGNORE を設定します。
このホストのライブラリ外デバイスのモデルタイプを指定します。
このホストのライブラリ外デバイスアドレスまたは範囲に NOTAPEPLEX を指定します。それは、ほかのホストで TapePlex に属するデバイスです。
複数の TapePlex に対して定義されているデバイスアドレスまたは範囲に TapePlex 所有権を指定します。このホストがない場合、接続されているデバイスは指定された TapePlex に属します。
SMC の開始後、TapePlex が初期化される前に、マウントによって参照される可能性のあるデバイスに TapePlex 所有権とモデルを指定します。
注記:
UNITAttr
コマンドは必須ではなく、このセクションで説明する状況でのみ発行します。UCB によって表されるが、このホストからアクセスできないデバイスを定義するには、次のように、アクセス不可のデバイスごとに SMC UNITAttr
コマンドを発行します。
UNITATTR ADDR(ccuu) MODEL(IGNORE)
UNITAttr MOdel(IGNORE)
の処理は、以前のリリースから変わっていません。その結果、SMC では、その処理のいずれにおいてもアクセス不可の装置は対象となりません。
このホストでライブラリ外デバイスタイプを定義するには、次のように、ライブラリ外デバイスごとに SMC UNITAttr
コマンドを発行します。
UNITATTR ADDR(ccuu) MODEL(model)
ライブラリ外デバイスは、類似の UCB 特性を持つほかのライブラリ外デバイスと区別するために、追加のモデル情報を定義する必要のある StorageTek デバイスです。
ホストのデバイスアドレスが TapePlex に属するデバイスのデバイスアドレスと重複し、TapePlex に属するデバイスにこのホストからアクセスできない場合は、次のように、NOTAPEPlex パラメータを指定する SMC UNITAttr
コマンドを発行します。
UNITATTR ADDR(ccuu) MODEL(model) NOTAPEPLEX
その結果、HSC などの TapePlex が構成照会から戻されたデータを介して所有権を要求した場合、NOTAPEPlex は TapePlex をオーバーライドします。構成情報は無視され、デバイスはライブラリ外デバイスのままになります。
NOTAPEPlex を指定しなかった場合、TapePlex の構成情報は NOTAPEPlex パラメータなしで指定された UNITAttr をオーバーライドし、デバイス定義はライブラリ外から TapePlex に属するデバイスに変わります。
構成にデバイスアドレスまたは範囲が重複する複数の TapePlex が含まれ、SMC に対して両方の TapePlex を定義する場合は、UNITAttr
コマンドを TAPEPlex パラメータとともに入力し、指定したデバイスまたはこのホスト上の範囲がどちらの TapePlex に属するかを設定します。次のように、重複するデバイスアドレスのそれぞれに対して UNITAttr
コマンドを入力します。
UNITATTR ADDR(ccuu) MODEL(model) TAPEPLEX(name)
次を想定します。
ホスト MSPA には HSC1 と HSC2 の 2 つの TapePlex が含まれる。
HSC1 には 9840 のデバイス範囲 2900 - 2903 が含まれる。
HSC2 には 4480 のデバイス範囲 2900 - 2903 が含まれる。
ただし、MSPA では、2900 - 2903 のデバイスが HSC1 に接続される。MSPA は HSC2 のデバイス範囲に接続されない。
このシナリオを前提として、次のように、SMC UNITATTR
コマンドを発行します。
UNITATTR ADDR(2900-2903) MODEL(9840) TAPEPLEX(HSC1)
このコマンドは、指定された TapePlex 以外の任意の TapePlex からの指定されたデバイスに対する任意の構成情報を無視するように SMC に指示します。
注記:
MSPA が HSC2 に対して定義されたアドレス範囲 2900 - 2903 を異なるアドレス範囲 (4900 - 4903 など) として認識すると、MSPA は SET DRVHOST 機能を使用して、任意のクライアント構成照会に対するアドレス範囲 4900 - 4903 として HSC2 上でアドレス範囲 2900 - 2903 を定義します。「クライアント/サーバーのドライブアドレスのマッピング」を参照してください。SMC の開始後、TapePlex の初期化前にテープジョブを実行するときに TapePlex に属するデバイスを定義するには、次のように、TapePlex に属するすべてのデバイスに対して、SMC UNITAttr
コマンドを入力します。
UNITATTR ADDR(2900-2903) MODEL(9840) TAPEPLEX(HSC1) ... UNITATTR ADDR(9000-903F) MODEL(VIRTUAL) TAPEPLEX(HSC1)
これにより、マウントを遅延させるために、VTCS MGMTCLAS など、任意のテープポリシーが追跡されます。
SMC が特定またはスクラッチの割り振り要求をインターセプトする際には、要求処理の所有権を持つ TapePlex が選択されます。割り振り要求を制御する TapePlex の決定には、次の条件が、記載されている順序で評価されます。
TapePlex は、定義されている順序で照会されます。TAPEPlex
コマンドが SMC に対して定義されている場合は、TAPEPlex
コマンドの順序が使用されます。TAPEPlex
コマンドが SMC に対して定義されていない場合は、MSP SSCVT テーブルに記述されている順序が使用されます。
要求の Eligible Device List (EDL: 適格デバイスリスト) に、特定の TapePlex によって所有されているドライブが含まれていない場合、その TapePlex は要求を所有することはできません。
適用可能な SMC POLicy によって特定の TapePlex が要求された場合は、その TapePlex が要求の所有者として選択されます。
SMC POLicy エソテリックに 1 つの TapePlex 内のドライブしか含まれていない場合は、その TapePlex が要求の所有者として選択されます。
要求された特定ボリュームシリアルを TAPEREQ 文で指定した場合は、TAPEREQ に関連する POLicy によって所有者が決まります。
要求された特定ボリュームが TapePlex で見つかった場合は、明示的なエソテリックまたは TapePlex 選択によって置き換えないかぎり、その TapePlex が要求の所有者とみなされます。そのボリュームが TapePlex 内に見つからないが、TapePlex にそのボリュームの VOLPARM 定義が含まれている場合は、その特定のボリュームがほかのいずれかの TapePlex 内に見つからなければ、その TapePlex が所有者とみなされます。
要求されたスクラッチボリュームが TapePlex に存在することが判明した場合、明示的なエソテリックまたは TapePlex 選択によって置き換えないかぎり、その TapePlex が要求の所有者とみなされます。要求されたスクラッチボリュームが TapePlex に存在しないが、指定されたサブプール名がその TapePlex で認識できる場合、スクラッチボリュームが別の TapePlex で見つからないかぎり、その TapePlex が要求の所有者とみなされます。
複数のライブラリの中から TapePlex 所有者を選択するには、SMC POLicy
コマンドの TAPEPlex パラメータを使用して TapePlex 名を指定します。このコマンドについては、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。