SMC は、割り振りおよびメッセージ処理のために MSP とのすべてのインタフェースを管理するため、テープ処理が発生するすべての MSP ホストでタスクとして起動する必要があります。
SMC は HSC を呼び出して、ボリュームおよびドライブの情報を要求します。したがって、HSC を SMC と同じホスト上でアクティブにしたり、リモートホスト上で SMC HTTP サーバーも有効になっている場合は、ローカル SMC がそのリモートホスト上で動作している HSC と対話したりすることができます。
HSC および SMC は次の順序で起動することをお勧めします。
HSC を起動します。
HSC の初期化が開始したらただちに SMC を起動します。
これは、次の理由により推奨されます。
TapePlex および関連する HSC/VTCS サーバーは、SMCCMDS データセットで定義されます。初期化時に、SMC は SMCCMDS データセットで定義された順序で個々の HSC/VTCS サーバーと接続することで、TapePlex ごとに 1 つのサーバーとの通信バインドの確立を試みます。SMC は、この処理中に TapePlex ごとに検出された最初のアクティブなサーバーにバインドします。アクティブなサーバーのない TapePlex ごとに、SMC はその TapePlex 用に定義された各サーバーの永続メッセージ SMC0260 を表示します。SMC は、サーバーがアクティブになるとこれらのメッセージを削除し、自動的にバインドします。SMC の起動時に TapePlex 通信バインドの遅延を回避するには:
SMC SERVER 文で参照されているホストが IPLed であり、これらのホスト上での通信用に TCP/IP が SMC の起動前に完全に初期化されていることを確認します。
SMC SERVER 文で参照されているホストについて、これらのホストの SMC 起動パラメータの一部として SMCPARMS または SMCCMDS で HTTP START
コマンドを発行します。
各 TapePlex について、その TapePlex の SMC SERVER 文で参照されている少なくとも 1 つのホストで、HSC/VTCS および SMC を起動します。
構成に VLE システムを使用する VTCS が含まれる場合、VTCS は SMC 通信サービスを使用して VLE と通信します。HSC 初期化の開始直後に SMC を起動する場合、VTCS が VLE と通信しようとするときにこれらのサービスが VTCS で利用できることを保証できます。
これらの手順を実装することで、SMC 起動処理で可能なかぎり迅速に各 TapePlex をバインドできます。
SMC を起動するには、SMC START 手順を作成して実行する必要があります。この章では、これらのタスクについて説明します。
次の点に注意してください。
SMC のインストールおよびインストール後処理タスクについては、『ELS のインストール』を参照してください。
SMC HTTP サーバーコンポーネントは、SMC HTTP
コマンドを使用して有効にします。このコマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
SMC START 手順では、SMC 起動パラメータ設定を指定します。この手順は、ホストシステムの手順ライブラリで作成します。
MSP START
コマンドは、このカタログ済みの手順を実行することにより、指定されたパラメータ設定で SMC をアクティブにします。
次の例は、EXEC、STEPLIB、SMCPARMS、SMCCMDS、SMCLOG、および SYSTCPD DD 文を含む、SMC START 手順の例を示しています。
//yourprocname PROC PRM=’WARM’ //* //* Run LOADHOST to initialize the IP environment for //* SMC IP communications //* //stepname EXEC PGM=LOADHOST //STEPLIB DD DISP=SHR,DSN= your.els.sea7x0.sealink //STKHSTDF DD DISP=SHR,DSN=your.host.ip.network.definitions //STKIFCDF DD DISP=SHR,DSN=your.host.ip.init.definition //STKIFIDF DD DISP=SHR,DSN=your.host.osa.definition //STKOWNDF DD DISP=SHR,DSN=your.host.name //SYSPRINT DD SYSOUT=* //STDOUT DD SYSOUT=* //STDERR DD SYSOUT=* //* //stepname EXEC PGM=SMCBINT,REGION=0M,TIME=1440, // PARM=’&PRM’ //* //STEPLIB DD DISP=SHR,DSN=your.els.exitlib // DD DISP=SHR,DSN=your.els.sea700.sealink //* //* The following dataset is optional //* //SMCPARMS DD DISP=SHR,DSN=parmlib_name(parm_member_name) //* //* The following dataset is optional but recommended //* //SMCCMDS DD DISP=SHR,DSN=cmdlib_name(cmd_member_name) //* //* The following datasets are optional //* //SMCLOG DD DSN=log.file.name,UNIT=unit,RECFM=FB, // SPACE=(CYL,(primary-qty,secondary-qty)), // DISP=(NEW,CATLG,CATLG) //* //TISPAPPL DD DSN=ddd.eee.fff(anyname) /* Mandatory TISP parms) */
yourprocname の先頭 4 文字で SMC サブシステム名を指定します (SSYS 開始パラメータが指定されていない場合)。推奨される値は、SMCx (x はジョブ名を表す任意の有効文字) です。
EXEC 文では、一般的な SMC 起動パラメータ設定を定義します。
PARM=
SMC 初期化ルーチンに渡されるパラメータリストを定義します。
実行パラメータの区切りにはカンマを使用する必要があります。パラメータを空白で区切ると、構文エラーが発生します。
WARM
SMC メイン制御ブロックを再構築しないことを指定します。これは、通常動作でのデフォルト設定です。
COLD
すべての SMC 制御ブロックの再構築を指定します。このパラメータは WARM と一緒には指定できません。
注意:
このパラメータは、SMC が異常終了したり、リスタートできない場合を除き、使用しないでください。RESET
SMC の MSP Subsystem Communications Vector Table (SSCVT: サブシステム通信ベクターテーブル) にあるアクティブなサブシステムステータスフラグのリセットを指定します。SMC の異常終了時、このパラメータを用いて修正できる場合があります。WARM または COLD と一緒に指定できます。
SMC サブシステムが正常に動作している状態で、このパラメータを使用すると、予期しない結果が発生する場合があります。
SSYS
SMC START 手順の先頭 4 文字とは異なるサブシステム ID を指定します。初期化中、このサブシステム ID が検索されます。
サブシステムの長さは、1 - 4 文字である必要があります。
MSTR
SMC が、JES ではなく MSTR サブシステムの下で起動するよう指定します。
このパラメータを指定する場合は、次のアクションのいずれかも実行する必要があります。
MSP Start
コマンドで、SUB=MSTR を用いて SMC を起動すること。
キーワード形式を用いて、SMC サブシステムを IEFSSNxx サブシステムテーブルに追加すること。
次の点に注意してください。
マスター MSP サブシステムの下で SMC を実行するには、SMC START プロシージャーを含む PROCLIB がマスターアドレス空間の PROCLIB 連結に存在している必要があります。この連結は、DD IEFPDSI の下の SYS1.PARMLIB(MSTJCLxx) で定義されます。
MAXRC
指定されたコマンドの戻りコードが最大許容値を超えたときに SMC サブシステムの初期化を終了するかどうかを指定します。MAXRC が指定されていない場合、SMC サブシステムは、起動コマンドが失敗したかどうかには関係なく常に初期化を完了しようとします。これはデフォルトの動作です。
nn は戻りコードの最大許容値を指定します。SMCPARMS または SMCCMDS データセットから実行された SMC コマンドがこの値を超えた場合は、SMC0236 および SMC0237 メッセージが生成され、SMC は終了します。有効な値は、0、4、8、および 12 です。
PLEXRC
自動的に発行される RESYNC
コマンドから返された TapePlexes のステータスに基づいて SMC サブシステムの初期化を終了するかどうかを指定します。
PLEXRC が指定されていない場合、SMC サブシステムは、RESYNC
コマンドの結果には関係なく初期化を完了します。これはデフォルトの動作です。
n は RESYNC
コマンドからの戻りコードの最大許容値を指定します。有効な値は、0 および 4 です。
SMC RESYNC
コマンドは、SMC がどの定義済み TapePlex とも通信できない場合は 8 の戻りコードを、SMC が (すべてではなく) 1 つまたは複数の定義済み TapePlex と通信できる場合は 4 の戻りコードを設定します。
SMC の起動時に処理されるようにしたい SMC コマンド設定を含むデータセットを識別するには、SMC START 手順で SMCCMDS および SMCPARMS DD 文を指定します。
少なくとも、TapePlex を定義するには、SMCCMDS または SMCPARMS データセットのどちらかに SMC TAPEPlex
コマンドを含める必要があります。SMC の起動時に TAPEPlex
コマンドが見つからない場合、SMC サブシステムは終了し、エラーメッセージが生成されます。
SMC が最初に HSC ホストと通信する場合、このホストは SMCCMDS または SMCPARMS データセットで指定された TapePlex 名を採用し、それを CDS 内に格納します。CDS は、あとで SMC Set TapePlex
ユーティリティーコマンドによって変更されないかぎり、この名前を保持します。
起動後に再処理できる SMC コマンドのための設定を指定するには、SMCCMDS データセットを使用することを推奨します。
コンソールから SMC READ
コマンドを発行して、いつでもこのデータセットを再処理できます。
起動時にしか処理できない SMC コマンドのための設定を指定するには、SMCPARMS データセットを使用することを推奨します。これらのコマンドは CMDDef
と USERMsg
です。
このデータセットに追加のコマンドを含めることができますが、これらのコマンドを SMC READ
コマンドで再処理することはできません。
次の点に注意してください。
HSC Set TAPEPlex
コマンドおよび SMC READ
コマンドの詳細については、『ELS コマンド、制御文、およびユーティリティーリファレンス』を参照してください。
POLicy
コマンドを使用するには、TAPEPlex
と SERVer
コマンドが POLicy
コマンドの前に処理される必要があります。POLicy コマンドは、TAPEREQ 制御文の前に処理される必要があります。
SMC がタイムアウトによって終了してしまわないよう、TIME=1440 を設定しておく必要があります。
SMC 通信およびコマンドロギングのために使用される SMCLOG データセットを定義するには、SMC START 手順で SMCLOG DD 文を指定します。
この文は、SMC LOG START
コマンドが入力された場合にのみ必要であり、SMC でログ記録される特定のタイプのイベントを選択するために SMC LOG TYPE
コマンドが入力された場合にのみ書き込まれます。
SMC ロギング機能は、簡単には再現できない特定のタイプのエラーの診断情報を収集することを目的にしています。診断のための収集方法として、収集される情報は少なくなりますが、消費されるリソースも SMC TRACE
コマンドに比べてはるかに少なくなります。そのため、これは長期間にわたってすべての通信タスクの診断情報を収集することに適しており、その後、短期間に単一のジョブまたはステップが指定されることを目的とした SMC TRACE 機能を行います。SMC LOG
コマンドは、StorageTek サポート担当者からの指示があった場合のみ実行してください。選択された SMC LOG TYPE の数とタイプによっては、SMC ロギング機能の使用により、SMC 通信やサブシステムのパフォーマンスが若干低下します。
SMC ジョブの TISP APPL 名を定義するには、SMC START 手順で TISPAPPL DD 文を指定します。
この DD 文は、SMC が TCP/IP ソケットサービス用の TISP に登録する APPL 名を取得するために使用されるデータセットを識別します。TISPAPPL 文が指すメンバーには、以下のような文が含まれている必要があります。
TCPAPPLNAME=STKHAPPL
ここで、applname (この例では、STKHAPPL) は、VTAM-GTISPTAPPLNODESET 内で定義されているものと一致する必要があります。
詳細については、富士通 OS IV VTAM-G TISP ハンドブックを参照してください。
このセクションでは、SMC START 手順を実行して SMC ソフトウェアを起動する方法について説明します。
SMC START 手順を実行して SMC ソフトウェアを起動するには、MSP START
コマンドを発行します。このコマンドは、SMC サブシステムの初期化ルーチンを呼び出します。このルーチンは、どのパラメータが有効かを判定し、必要なすべてのクリーンアップを実行して、正常な SMC 処理を開始します。
SMC Start Procedure (SMC 開始手順) の EXEC 文での PARM= の関連パラメータは、MSP START
コマンドで PARM= を用いて指定することもできます。MSP START
コマンドで指定した PARM= は、SMC Start Procedure での PARM= 指定をオーバーライドします。パラメータの説明については、パラメータを参照してください。
START または S
MSP START
コマンドを開始します
smc-proc-name
SMC START 手順メンバー名を示します。