Oracle® Fusion Middleware Oracle Cloud Adapter for Oracle RightNow Cloud Serviceユーザーズ・ガイド 12c (12.2.1) E72708-01 |
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この章では、Oracle Cloud Adapter for Oracle RightNow Cloud Service (Oracle RightNowアダプタ)の概要について説明します。
Oracle RightNowアダプタは、Oracle Cloudの統合されたクロスチャネル・サービス・ソリューションのためにWeb、ソーシャル・ツールおよびコンタクト・センター・エクスペリエンスを結合し、組織による売上げの向上、顧客の獲得、信頼の構築、リレーションシップの強化、コストと作業の削減を可能にします。RightNow Cloud Serviceエンタープライズ・プラットフォームによって、透過的な信頼性、最高レベルのセキュリティ、およびミッション・クリティカルな顧客サービスとサポートの最適な提供が実現します。これは、Oracle RightNow製品ファミリのキー・コンポーネントです。
現在、全世界の異なる業種にわたる何千ものエンタープライズの顧客が、Oracle RightNow Cxを使用して、Web、コンタクト・センター、ソーシャルなどの複数のチャネルを通じて優れたカスタマ・エクスペリエンスを提供しています。
これらのチャネルによって、顧客は、どこからでもWebを通じて問題を簡単に自己解決し、Facebookなどのソーシャル・チャネルを通じて製品に関するサポート問題をコラボレーションし、(最も重要なこととして)チャネルのすべてを通じてインシデントの適切なタイミングでの解決策を管理できます。
エンタープライズでは、SaaSアセットのROIを最大化するため、その個々のSaaSアプリケーションおよび社内アプリケーションのデータが正確かつ最新で、統合されていることを確認する必要があります。
たとえば、エンタープライズでは、業務を効率化し、Field Serviceと社内アプリケーションまたはSaaSアプリケーション(E-Business SuiteやTOA ETADirectなど)との統合、および他のSaaSアプリケーションとの統合を通じて現場の技術者にサービスのリアルタイム・スケジュールを配信することで、Oracle Sales CloudやSalesforce.comによってエンタープライズの販売担当者が自分の顧客や見込顧客と会話するときに、カスタマ・エクスペリエンスを完全に視覚化することができます。同様に、JiraやBugzillaなどの不具合追跡アプリケーションとの統合によって、顧客がレポートした問題のエンドツーエンドの解決策を最初から最後まで管理できます。
Oracle RightNow Cxによって、デスクトップ拡張性、データ統合およびWeb統合のための様々な統合機能が公開されます。Oracle RightNow Cxのデータ統合機能によって、データのリアルタイム・アクセスと、他のSaaSアプリケーションおよび社内アプリケーションとの同期が可能になります。Oracle RightNow Cxは、Oracle Cloud Connect Web Services for SOAPと呼ばれるWebサービス・プラットフォーム(Oracle RightNow Cxプラットフォームに格納されたデータに安全にアクセスして変更するために使用できるSOAPベースの一連のサービス)を公開しています。これは、顧客とパートナがWSDL 1.1やSOAP 1.1などの業界標準を使用してOracle RightNow Cxプラットフォームと統合できるようにする、下位互換性のある公開APIです。これによって、様々な言語、プラットフォームおよびツールが広くサポートされます。
Oracle RightNowアダプタでは、このWebサービス・プラットフォームを利用し、Oracle RightNow Cxとのシームレスな接続と簡易な統合を実現します。Oracle RightNowアダプタとSOA Suiteプラットフォームを使用することで、顧客は、他のアプリケーションとのポイント・ツー・ポイント統合をカスタム開発する場合の開発、QA、メンテナンスおよびアップグレードに要するコストを抑えることができます。
Oracle RightNowアダプタは、Connect Web Services API for SOAPを基盤とし、Oracle RightNow Cxプラットフォームとのリアルタイム統合を提供します。Oracle RightNow Connect Web Servicesプラットフォームは、コール側アプリケーションに2つのWebサービス定義(WSDL)を公開します。
標準WSDL。このWSDLは、Oracle RightNowインスタンスに固有の統合をモデル化するために、統合設計者が使用します。型指定されたWSDLは、Connect Common Object Modelの厳密に型指定された表現です。厳密に型指定されたWSDLには、標準のHTTP GETリクエストを使用して次のURLからアクセスできます。
<a target="_blank" href="http://">http://</a><host_name>/cgi-bin/<interface>.cfg/services/soap?wsdl=typed
標準WSDLは、組織の特定のOracle RightNow Cxインスタンスに関連付けられるため、インスタンス構成の変更またはカスタマイズが発生すると変更されます。
パートナWSDL。このWSDLは、Oracle RightNow Cxの複数のインスタンスで動作する統合を構築する統合設計者が使用します。これによって、Oracle RightNowの複数のインスタンスで使用できる汎用オブジェクトと連携動作できます。汎用WSDLには、標準のHTTP GETリクエストを使用して次のURLからアクセスできます。
<a target="_blank" href="http://">http://</a><host_name>/cgi-bin/<interface>.cfg/services/soap?wsdl=generic
このWSDLは、静的で、組織ごとに変更されないため、組織固有のRightNow Cxインスタンスに対するカスタマイズや変更は発生しません。これは、主にパートナが使用するため、パートナWSDLという名前で呼ばれます。
Oracle RightNowアダプタによって、顧客は、標準WSDLを通じて特定のOracle RightNow Cxインスタンスとの統合を実行できます(ただし、パートナWSDLベースの統合は現在サポートされていません)。
標準WSDLは、次のようなカテゴリの操作を公開します。
基本CRUD操作(RightNowでのビジネス・オブジェクトの作成、取得、更新、破棄)
ROQL (オブジェクトまたは表形式でのRightNowのデータの問合せ)
分析操作
その他(マーケティング・フローの実行、連絡先へのメール送信など)
バッチ操作(1つの操作における1つ以上の他の操作のバッチ)
前述の操作(特にCRUD操作)は、本質的に多相です。この場合、アプリケーションでサポートされるすべてのビジネス・オブジェクト全体で4つの汎用CRUD操作(作成、取得、更新および破棄)のみを必ず公開することで、統合インタフェースが簡略化されるように見えますが、同時に統合プロセス中(特にデータ・マッピング中)における課題も発生します。詳細は、第5章「サービス・コンポーネントとの統合の理解(BPEL/メディエータ)」および第6章「Service BusプロジェクトでのOracle RightNowアダプタとの統合の開発」を参照してください。
次に、汎用CRUD操作を含むRightNow標準WSDLを示します。
例1-1 RightNow標準WSDLでの汎用CRUD操作
<wsdl:operation name="Create"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:CreateRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:CreateResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault"name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Get"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:GetRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:GetResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Get"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:GetRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:GetResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Update"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:UpdateRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:UpdateResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation> <wsdl:operation name="Destroy"> <wsdl:input message="rnw_v1_2:DestroyRequest"/> <wsdl:output message="rnw_v1_2:DestroyResponse"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:RequestErrorFault" name="RequestErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2:ServerErrorFault" name="ServerErrorFault"/> <wsdl:fault message="rnw_v1_2: UnexpectedErrorFault" name="UnexpectedErrorFault"/> </wsdl:operation>
RightNow Object Query Language (ROQL (ロックウェルと発音))は、APIのクライアントがOracle RightNow Cxプラットフォームに対してSQLに似た問合せを実行できるようにする問合せサブシステムです。この言語は、Object Data Management Group (ODMG)によって開発された、SQLの後にモデル化されたオブジェクト指向データベース向けの問合せ言語標準であるObject Query Language (OQL)から発展しました。
ROQLでは、2つの形式でデータの問合せがサポートされます。QueryObjectでは、コール側アプリケーションはオブジェクトのリストとしてデータを取得できます。QueryCSVでは、表形式でデータを取得できます。
Oracle RightNowアダプタは、統合モデラーからインタフェースの複雑性を隠蔽する簡易なグラフィカル形式のオブジェクト操作ビューで、標準WSDLで定義された機能を公開します。多相インタフェース定義とは対照的に、Oracle RightNowアダプタは、設計時構成から、厳密に型指定されたサービス操作を生成します。これによって、データ・マッピング作業が大幅に簡略化されます。
次に、SOA SuiteまたはOracle Service BusのいずれかとOracle RightNowアダプタを使用して統合のモデル化を開始するための前提条件を示します。
これらの前提条件に加え、適切にサポートされたバージョンのSOA SuiteおよびOracle Service Busが存在することを確認する必要があります。サポートされるバージョンおよびプラットフォームの詳細は、http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.htmlのリリース動作保証マトリックスを参照してください。
標準WSDLを取得します。標準WSDLの詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドのWSDLの取得に関する項を参照してください。
有効なRightNow Cx資格証明があることを確認します。詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドのOracle Cloud Adapter for Service Cloud接続パラメータに関する項を参照してください。
クライアント証明書を取得します。詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドのクライアント/サーバーに対するService Cloud証明書に関する項を参照してください。
SOAまたはService Busマップ名に対するパーミッションを作成します。次の1.1.1.1項「SOAマップ名のパーミッションの作成」を参照してください。
SOAマップ名のパーミッションを作成するには、次の手順を実行します。
Fusion Middleware Control Consoleにログインします。
左パネルの「WebLogicドメイン」を展開します。
変更するドメインを右クリックし、「セキュリティ」→「システム・ポリシー」を選択して「システム・ポリシー」ページを表示します。
「システム・ポリシー」ページで、「検索」を展開します。「タイプ」で「コードベース」を選択し、「が次を含む」にjcaと入力して矢印ボタンをクリックします。
返された検索結果でjca-binding-api.jar
を選択して「編集」をクリックします。
「システム権限の編集」ページで、「追加」をクリックします。
「権限の追加」ページで、「新しい権限の詳細を入力するにはここを選択します」をクリックして次の情報を入力します。
権限クラス: oracle.security.jps.service.credstore.CredentialAccessPermission
リソース名: context=SYSTEM,mapName=SOA,keyName=*
権限アクション: *
「OK」をクリックして新しいパーミッションを保存します。
次のダイアグラムは、実行時の観点から見たOracle RightNowアダプタの完全な設計の概要を示しています。これは、関連する1回かぎりのインストール・アクティビティ、デプロイメント・アクティビティ、実行依存性、およびOracle RightNow CXサーバーとの関係を示しています。
Oracle RightNowアダプタは、複数のアダプタ・インスタンスを持つことができます。アダプタ・インスタンスは、基本的に、構成されたOracle RightNowアダプタで、これはRightNow CXサーバーに接続し、構成中に選択したRightNow Cxクラウド操作を起動できます。
各アダプタ・インスタンスには、統合WSDLやJCAファイルなどの独自のアーティファクトがあります。
各アダプタ・インスタンスは単一のRightNow Cxクラウド操作を参照するため、アダプタ・インスタンスからRightNow Cxクラウド操作に対する1対1対応があります。サポートされる操作のリストは、3.2項「操作の作成、読取り、更新および削除の理解」を参照してください。
アダプタ・インスタンスは、SOAコンポジットの一部です。アダプタ・ウィザードが実行されるたびに、Oracle RightNowアダプタの1つのインスタンスが作成されます。
Oracle RightNowアダプタ・インスタンスは、jcaファイル、WSDL、およびcomposite.xmlに追加された参照要素で構成されます。
Oracle RightNowアダプタでは、Oracle SOA Suiteからアウトバウンド同期コールを作成するRightNowがサポートされます。
Oracle RightNowアダプタのランタイム・フレームワークでは、前述の手順で生成されたアーティファクトが使用されます。
次の表は、アダプタ構成ウィザードによって生成されるSOAコンポジット・アダプタ・アーティファクトとその注意事項を示しています。RightNowアダプタ構成ウィザードの使用を完了すると、RightNowアダプタ・ウィザードの「終了」画面にもこれらのアーティファクトが表示されます。
サポートされるバージョンおよびプラットフォームの詳細は、http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.htmlのリリース動作保証マトリックスを参照してください。
Oracle RightNowアダプタでは、標準WSDLのみがサポートされます。パートナWSDLはサポートされません。RightNowアダプタによってサポートされるAPIバージョンは、1.2です。2.2項「標準WSDLの取得」も参照してください。
標準WSDLの詳細は、Oracle RightNow Connect Web Services for SOAP開発者ガイドの「スタート・ガイド: Webサービスへの接続の概要」で、WSDLの取得に関する項を参照してください。