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Oracle® Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング
12c (12.2.1)
E69942-01
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目次

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2 アップグレードの準備

この項では、Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレードを試行する前に実行する必要があるタスクについて説明します。

警告:

Oracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする前に、必須のアップグレード前タスクをデプロイ済コンポーネントに対して実行する必要があります。各自の環境に当てはまるタスクのみを完了してください。

これらのタスクを実行しないと、アップグレードが失敗する場合があります。

2.1 アップグレード前チェックリスト

このアップグレード前チェックリストのタスクの説明は、読者が『Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング 12c』を熟読し、アップグレードの要件を理解していることを前提にしています。

アップグレード・プロセスを開始する前に、該当するタスクをすべて完了してください。

注意:

実行する手順は、既存のシステムの構成、アップグレードするコンポーネントおよびアップグレードと構成プロセスの最後に作成する環境によって異なります。

ここで説明する共通のアップグレード前手順に加えて、コンポーネント固有のタスクを実行する必要があります。その他の手順は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。

表2-1 Oracle Fusion Middleware 12cにアップグレードする前に実行するタスク

タスク 説明 ドキュメント

アップグレード前環境の完全なバックアップを作成します。

すべてのアップグレードで必須です。

アップグレードを開始する前に、アップグレードするスキーマが含まれているシステムに重要なファイルおよびデータベースのすべてをバックアップします。

アップグレードに失敗すると、アップグレード前の環境をリストアし、アップグレードをもう一度開始する必要があります。

完全なバックアップの作成(必須)

サポートされているハードウェアおよびソフトウェア構成上で、製品をインストールおよびアップグレードしていることを確認します。

アップグレード計画のプロセスの一部として、ハードウェアおよびソフトウェア構成が最新の資格証明および要件のドキュメントでサポートされていることを確認しています。

アップグレードを開始する前に、資格証明要件が変更されていないかどうか、この情報を再確認してください。

アップグレードの前に、コンポーネントに最新のパッチが適用されていることを確認します。

動作保証およびシステム要件の確認

アップグレードの前に、古い、または未使用のデータを削除します。

パフォーマンスの最適化のために、アップグレードされた環境で使用しないデータおよびオブジェクトをパージすることを検討してください。

未使用データのパージ

本番環境をクローニングします。

システム・ファイルの完全なバックアップの作成に加えて、本番環境をクローニングする必要もあります。この環境は、アップグレードをテストするために使用されます。

本番環境のクローニング(推奨)

64ビットのオペレーティング・システムが稼働していることを確認します。Oracle Fusion Middleware 12cのほとんどのコンポーネントは、64ビットのオペレーティング・システムで実行する必要があります。

現在32ビットのオペレーティング・システムを実行している場合にのみ必要です。

32ビットから64ビット・オペレーティング・システムへの移行

アップグレードの開始点によって、アップグレード前に、新しい12cスキーマを作成する必要があります。 Oracle Fusion Middleware 12cでは、既存の環境をアップグレードする前に、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して新しいスキーマを作成する必要があります。 アップグレード前の必要なスキーマの作成

ファイルベースのポリシー・ストアを使用している場合、それをデータベース・ベースのポリシー・ストアに再関連付けする必要があります。

以前の12cリリースからアップグレードする場合、この手順は必要ありません。

ファイルベース・ポリシー・ストアのデータベース・ベース・ポリシー・ストアへの再関連付け(必須)

OIDベースのセキュリティ・ストアを使用するときのスキーマの要件を理解します。

OIDベースのセキュリティ・ストアを使用している場合、アップグレード前に12c OPSSスキーマを作成する必要があります。

OIDベースのセキュリティ・ストアのための12c OPSSスキーマの作成

Fusion Middlewareのすべてのセキュリティ・ストアで最高位のセキュリティ・レベルを保持することをお薦めします。

アップグレード前に既存のセキュリティ・ストアをバックアップし、セキュリティ・ストア固有の手順に従いそれらをアップグレードします。

セキュリティ・ストアの最新バージョンへのアップグレード

Fusion Middleware 12cで使用されているセキュリティ・アルゴリズムには、JDK用の追加のポリシー・ファイルが必要になるものがあります。

強化した暗号化(AES 256など)の使用を計画している場合にのみ必要です。アップグレード前に、JDKに必要なポリシー・ファイルを適用することをお薦めします。

強化された暗号化(AES 256)の使用

新しい非SYSDBAユーザーを作成し、アップグレードをSYS/SYSDBAで実行することを回避します。 fmwという名前の非SYSDBAユーザーを作成し、Upgrade Assistantで必要な権限のみを付与してアップグレード・アシスタントを実行することをお薦めします。 非SYSDBAユーザーの作成

Oracle Databaseユーザーの場合: エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、最初にデータベース・サーバーに接続して、12c (12.2.1)のデータベース・サーバーにエディションを作成する必要があります。

この手順は、エディション・ベースの再定義(EBR)データベースを使用している場合にのみ必要です。

エディション・ベースの再定義のためのサーバー上でのエディションの作成(オプション)

アップグレード前に、Oracleホームに新しい12c製品をダウンロードし、インストールする必要があります。

アップグレード前環境にすでに存在する製品の12c (12.2.1)バージョンをインストールします。12c (12.2.1)用にリリースされていない製品がありますが、将来のリリースで使用可能になる予定です。

12c Oracle Fusion Middleware製品ディストリビューションのダウンロードとインストール

アップグレード前の準備状況チェックを実行します。 実際のアップグレード・プロセスを開始する前に、Upgrade Assistantを-readinessモードで実行し、アップグレード前環境の分析を読取り専用で実行します。問題がある場合、アップグレード前にそれらを修正する必要があります。 アップグレード前の準備状況チェックの実行

アップグレードを完了するためのコンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを使用します。

ドキュメントでは、アップグレードで必要なコンポーネント固有のタスクについて説明します。これらのタスクには、アップグレード前に実行するものと、アップグレード後に実行するものがあります。常にOracle Fusion Middlewareのアップグレード・ドキュメントを参照し、正常にアップグレードされていることを確認します。

コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントの検索

2.2 完全なバックアップの作成(必須)

新しいリリース12cディストリビューションをインストールして、Oracle Fusion Middleware 11gまたは12cデプロイメントのアップグレードを開始する前に、Oracle Fusion Middlewareスキーマをホストするすべてのデータベースを含むシステムに重要なすべてのファイルをバックアップしたか確認します。

詳細は、環境のバックアップに関する項を参照してください。

2.3 本番環境のクローニング(推奨)

実際の本番環境の完全な作業用コピーを作成し、クローン環境をアップグレードし、アップグレードされたコンポーネントが予想どおりに動作することを確認してから(必ず確認した後で)、本番環境をアップグレードすることをお薦めします。

アップグレードの導入に使用するためのテスト環境の作成の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のテスト環境から本番環境への移動に関する項を参照してください。

アップグレードは元に戻せません。ほとんどの場合、エラーが発生したときには、アップグレードを中止してバックアップから環境全体をリストアし、アップグレード・プロセスを最初からやり直す必要があります。潜在的なアップグレードの問題を開発環境で特定しておくと、無駄な停止時間を排除できます。

注意:

準備状況チェックをクローン環境で実行すると、アップグレードで発生する可能性のある問題の特定に役立ちます。

アップグレード前にクローン環境でテストを実施することにより、本番のアップグレード計画全体に適用できる重要なデータが得られます。

本番環境のクローンでアップグレードを実行すると、次のようなメリットもあります。

  • アップグレードに関する問題を明らかにし、修正します。

  • エンドツーエンドのアップグレードを完了させる練習をします。

  • アップグレードのパフォーマンスおよびパージ・スクリプトがどのように役立つかを理解します。

  • アップグレードの完了までに必要な時間を理解します。

  • データベース・リソースの使用(一時表領域、PGAなど)について理解します。

2.4 動作保証およびシステム要件の確認

ご使用の環境がインストールに必要な要件を満たしていることを確認するには、動作保証マトリックスおよびシステム要件のドキュメントを併せて使用する必要があります。

注意: 動作保証、システム要件および相互運用性情報をチェックする際に、32ビットまたは64ビット特有のシステム要件について確認してください。これは、明示的に32ビットまたは64ビット環境専用に設計されたソフトウェアをダウンロードする場合に、重要です。

警告: アップグレードを開始する前に、現行の環境に必ず最新のパッチ・セットを適用してください。動作保証は、特に明記がないかぎり、パッチが完全に適用された環境に基づいています。

2.4.1 環境が動作保証要件を満たしていることの確認

製品をインストールする場合、サポートされているハードウェアまたはソフトウェア構成を使用します。詳細は、12c (12.2.1)の動作保証マトリックスに関する説明を参照してください。

Oracleは、動作保証されているすべてのシステムおよび環境で製品のパフォーマンスをテストおよび検証しており、新しい動作保証要件が確認されると、それらはすぐに適切な動作保証に関するドキュメントに追加されます。新しい動作保証要件は随時確認される場合があるため、動作保証に関するドキュメントはドキュメント・ライブラリの外部に置かれ、Oracle Technology Networkで提供されています。

2.4.2 システム要件と仕様の確認

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様に関するドキュメントを使用して、動作保証要件を満たしていることを確認してください。たとえば、この動作保証に関するドキュメントに、ご使用の製品を64ビットOracle Linux 7上にインストールすることが動作保証されていると示されている場合、このドキュメントを使用して、Oracle Linux 7システムが最低限必要な仕様(ディスク領域、使用可能なメモリー、特定のプラットフォーム・パッケージとパッチおよびその他のオペレーティング・システム固有のアイテムなど)を満たしていることを確認します。このドキュメントは必要に応じて更新され、ドキュメント・ライブラリの外部に置かれています。最新バージョンは、Oracle Technology Networkから入手できます。

Oracle Fusion Middleware 12cをインストールおよびアップグレードするシステム要件の詳細は、「Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様」を参照してください。

注意: アップグレード準備の一環としてOracle Fusion Middlewareリリース12cソフトウェアをインストールする際は、Oracle Fusion Middleware 11gソフトウェアのインストールおよび構成に使用したものと同じユーザー・アカウントを使用する必要があります。UNIXオペレーティング・システムでは、これによって、正しい所有者とグループが新しいOracle Fusion Middleware 12cのファイルおよびディレクトリに確実に適用されます。

2.4.3 Oracle Fusion Middlewareをホストしているデータベースがでサポートされていることの確認。

アップグレードする場合のOracle Databaseの要件を理解し、Oracle Fusion Middlewareをホストするデータベースがサポートされており、アップグレードの実行に十分な領域が用意されていることを確認することが重要です。Fusion Middleware 12cを実行する前に、サポートされるOracleデータベースを必要なのスキーマで構成しておく必要があります。

2.4.4 このリリースのOracle Fusion MiddlewareでJDKが動作保証されていることの確認。

汎用インストーラを使用してOracle Fusion Middleware製品をインストールするには、サポートされているJDKをシステムにダウンロードしてインストールする必要があります。

JDKは、Oracleホームの外部にインストールしてください。Oracle Universal Installerにより指定されたOracleホーム・ディレクトリが空であることが検証され、空のディレクトリが指定されていなければインストールは行われません。JDKをOracleホームにインストールした場合、今後の操作で問題が発生します。したがって、JDKのインストール場所は、/home/oracle/products/jdkディレクトリにすることをお薦めします。java -jarコマンドを使用して、インストーラJARファイルを実行できます。

汎用インストーラとプラットフォーム固有のインストーラの相違点の詳細は、Oracle Fusion Middlewareのダウンロード、インストールおよび構成のREADMEファイルの汎用とプラットフォーム固有の配布との相違点の理解に関する項を参照してください。

必要なJDKをダウンロードするには、ブラウザで次のURLにアクセスしてJava SE JDKをダウンロードします。

http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/downloads/index.html

2.5 32ビットから64ビット・オペレーティング・システムへの移行

Oracle Fusion Middleware 12cのほとんどのコンポーネントは、64ビットのオペレーティング・システムで実行する必要があります。32ビットの環境を実行している場合は、アップグレード前に、32ビット環境を64ビット・ソフトウェア環境に移行する必要があります。

注意:

動作保証、システム要件および相互運用性情報をチェックする際に、32ビットまたは64ビット特有のシステム要件について確認してください。これは、明示的に32ビットまたは64ビット環境専用に設計されたソフトウェアをダウンロードする場合に、重要です。

Oracle Fusion Middleware 11gソフトウェアがすべて適切に64ビット・マシンで動作することを確認してから、Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレードを実行してください。

これらのタスクでは、ホストは、32ビット・ソース・マシンを指し、ターゲットは、新しい64ビット・ターゲット・マシンを指します。

注意: これらの手順は、データベースが別のホスト上にあり、移動されないことを前提としています。

オペレーティング・システムのアップグレードには、通常、次の内容が含まれます。

2.5.1 タスク1: アップグレードの64ビット・ソフトウェア要件をサポートするハードウェアを調達する。

アップグレード・プロセスを開始する前に、サポートされている適切なターゲット・ハードウェアが存在することを確認してください。

2.5.2 タスク2: 管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャも含めて、すべてのプロセスを停止する。

管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャがホスト上で起動している場合はこれらも含めて、すべてのプロセスを停止する必要があります。たとえば、管理サーバーを停止するには、次のように指定します。

DOMAIN_HOME/bin/stopWebLogic.sh username password [admin_url]

2.5.3 タスク3: 32ビット・ホスト・マシンからすべてのファイルをバックアップする。

11gデプロイメント全体の完全バックアップを作成したことを確認してからアップグレード・プロセスを開始する必要があります。移行中に問題が発生した場合、これらのファイルを使用してプロセスを再度開始する必要があります。

同一のマシンで32ビットから64ビットへアップグレードする場合、アップグレードが失敗した場合、ソース環境が破損するリスクがあることに注意してください。

11gのファイルのバックアップの詳細は、『Oracle® Fusion Middleware管理者ガイド』環境のバックアップに関する項を参照してください。

アップグレード時に、次のコンテンツにアクセスする必要があります。

  • 11gドメイン・ホーム

  • MW_HOME/wlserver_10.3/common/にある11g /nodemanagerディレクトリ

『Oracle® Fusion Middleware管理者ガイド』環境のバックアップに関する項で説明されている一部のバックアップおよびリカバリ手順は、製品に固有です。完全バックアップを作成するまでアップグレードを続行しないでください。

2.5.4 タスク4: 11gのホスト名およびIPアドレスを使用してターゲットの64ビット・マシンを設定する。

ターゲット・マシンのホスト名およびIPアドレスはホストと同一にする必要があります。そのため、ソース・マシンのIPアドレスおよび名前を変更するか、ソース・マシンを停止してネットワークの干渉を回避する必要があります。

IPアドレスおよびホスト名を変更するプロセスは、オペレーティング・システムによって異なります。詳細は、オペレーティング・システムの管理ドキュメントを参照してください。

2.5.5 タスク5: 11gドメインのバックアップを32ビット・ホストから64ビット・ホストにリストアする。

11gで使用したのと同じディレクトリ構造を使用して、タスク3でバックアップしたファイルをリストアします。ターゲット・マシンのディレクトリ構造は、ホスト・マシンのディレクトリ構造と同じである必要があります。

64ビットターゲット・マシンに11gファイルをリストアする方法の詳細は、『Oracle® Fusion Middleware管理者ガイド』環境のリカバリに関する項を参照してください。

2.5.6 タスク6: 12c (12.2.1)製品ディストリビューションをターゲット・マシンにインストールする。

詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』およびインストールするコンポーネントのコンポーネント固有のインストレーション・ガイドを参照してください。

2.5.7 タスク7: 標準的なアップグレード手順を使用してターゲットの64ビット環境をアップグレードする。

コンポーネントのアップグレードおよびアップグレード後のタスクの実行に関する詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ガイドを参照してください。アップグレードしているコンポーネントの詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ガイドを参照してください。

注意: ノード・マネージャ・アップグレード手順では、元のノード・マネージャ・ファイルにアクセスする必要があります。「タスク3: 32ビット・ホスト・マシンからすべてのファイルをバックアップする。」の一部としてソース・マシンからバックアップされた11gノード・マネージャ・ファイルを使用します。

2.6 アップグレード前の必要なスキーマの作成

アップグレード前に、新しいスキーマの作成が12cデプロイメントで必要な場合があります。

12cに作成する必要があるその他のスキーマを確認するには、既存の環境にあるコンポーネント・スキーマとアップグレードに必要なスキーマを比較します。コンポーネント固有のアップグレード・ガイドで、コンポーネントに必要なスキーマを特定できます。

詳細は、「Upgrade Assistantでアップグレードできるスキーマの識別」を参照してください。

11gからアップグレードする場合は、次の点に注意してください。

  • 12cでは、11gからアップグレードする前に作成する必要がある新しいスキーマがあります。新しいサービス表スキーマ(prefix_STB)には、ドメイン作成時に他のOracle Fusion Middlewareコンポーネントがアクセスして使用できる基本的なスキーマ構成情報が格納されます。詳細は、「サービス表スキーマの理解」を参照してください。

    注意:

    サービス表スキーマを作成していない場合、エラー・メッセージ「UPGAST-00328: スキーマ・バージョンのレジストリ表はこのデータベースに存在しません。」が発生することがあります。これが発生した場合、Upgrade Assistantを実行するために、サービス表スキーマを作成する必要があります。
  • 監査スキーマには、12cを実行する前に作成する必要がある2つのスキーマが追加されました。監査サービス(_IAU)をアップグレードする場合、_IAUに加えて、_IAU_APPENDおよび_IAU_VIEWERを必ず選択します。

2.7 未使用データのパージ

アップグレード前に未使用データをパージすると、アップグレード・プロセスを最適化できます。いくつかのコンポーネントでは、アップグレード前に実行できる自動パージ・スクリプトを提供します。パージ・スクリプトを使用している場合、パージが完了するまで待ってから、アップグレード・プロセスを開始してください。アップグレード・アシスタントを使用してスキーマをアップグレードするときに、パージ・スクリプトを実行していると、アップグレードは失敗します。

注意: 大量のデータをパージする必要がある場合は、表のパーティション化や、その他のデータ最適化戦略の採用について検討してください。大量のデータを削除するスクリプトを使用すると、パフォーマンスに影響を与えることがあります。

詳細は、『Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteの管理』のパージおよびパーティション化の方法の開発に関する項およびデータベース成長管理戦略の開発に関する項を参照してください。

2.8 ファイルベース・ポリシー・ストアのデータベース・ベース・ポリシー・ストアへの再関連付け(必須)

ポリシー・ストアは、ファイル・ベースではなく、データベース・ベースである必要があります。ファイル・ベースまたはOIDベースのポリシー・ストアを使用している場合、アップグレードの前に、ストアをデータベース・ベースのストアに再関連付けする必要があります。データベース・ベースのポリシー・ストアを使用している場合、これらのタスクを実行する必要はありません。

2.8.1 11g OPSSおよびIAUスキーマの作成

11g Repository Creation Utilityを使用して、サポートされているDatabaseで新しい11g Oracle Platform Security Services (OPSS)および監査スキーマ(IAU)のスキーマを作成します。

11gスキーマの作成の詳細は、11gバージョンの『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』リポジトリ作成ユーティリティの取得に関する項を参照してください。

2.8.2 11gポリシー・ストアのデータベース・ベース・ポリシー・ストアとOPSSスキーマへの再関連付け

11g環境でファイル・ベースのポリシー・ストアを使用している場合、ファイル・ベースのストアをデータベース・ベースのリポジトリおよびOPSSスキーマに再関連付けします。

11g OPSSスキーマをデータベース・ベース・リポジトリに再関連付ける方法の詳細は、「OPSSセキュリティ・ストアの再関連付け」を参照してください。

2.8.3 ポリシー・ストアの再関連付けが正常に行われたことの確認

ポリシー・ストアの再関連付けが正常に行われたことを確認するため、次の手順を実行します。

  1. Enterprise Manager Fusion Middleware Controlにログインします。
  2. 「ドメイン」「セキュリティ」「セキュリティ・プロバイダ構成」に移動します。
  3. 画面の「監査サービス」セクションの「構成」をクリックし、次の画面にアクセスします。
    img/GUID-B55FF517-81CD-4A2D-8E78-570540BFD868-default.png
  4. 表の「プロバイダ・タイプ」フィールドには、エントリ「Oracle Database」が表示されます。「プロバイダ・タイプ」に「ファイル」と表示されている場合、再関連付けは成功していません。

2.9 OIDベースのセキュリティ・ストアのための12c OPSSスキーマの作成

11gでOracle Internet Directory (OID)ベースのセキュリティ・ストアを使用している場合は、12cリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して、新しい12c OPSSスキーマを作成します。Upgrade Assistantで、OPSSスキーマを選択します(Upgrade AssistantによってOIDベースのセキュリティ・ストアがアップグレードされます)。アップグレード前に、OIDベースのセキュリティ・ストアを再関連付けする必要はありません。

注意:

12c OPSSデータベース・スキーマは、ドメインの再構成時に12cスキーマを参照するために必要です。ドメインでは、アップグレード後にOIDベースのセキュリティ・ストアが引き続き使用されます。

2.10 セキュリティ・ストアの最新バージョンへのアップグレード

OPSSセキュリティ・ストアをアップグレードする前に、アップグレードに失敗した場合にリカバリできるようバックアップを作成してください。セキュリティ・ストアのバックアップの詳細は、「OPSSセキュリティ・ストアのバックアップとリカバリ」を参照してください。

セキュリティのアップグレード手順は、アップグレードされるセキュリティ・ストアのタイプに応じて異なります。アップグレード可能なセキュリティ・ストアは、ファイルベース、OIDベースまたはDBベースです。手順は、元の監査データ・ストアのタイプ(ファイルベースまたはDBベース)に応じて異なります。

  • DBベースのセキュリティ・ストアのアップグレード

  • OIDベースのセキュリティ・ストアのアップグレード

  • 共有セキュリティ・ストアのアップグレード

  • ファイルベースのセキュリティ・ストアのアップグレード

2.11 非SYSDBAユーザーの作成

スキーマのアップグレードに必要な権限を持つユーザーを作成することをお薦めします。次に示す権限は、Upgrade Assistantを起動する前に付与する必要があります。

"FMW"は、Upgrade Assistant.を起動するために作成できるユーザーです。次の例のwelcome1はパスワードです。権限を付与する際に、実際のパスワードを指定していることを確認します。

注意:

v$xatrans$表がまだない場合、次のスクリプトの行を削除します。
   grant select on v$xatrans$ to FMW with grant option;

この表はデフォルトで作成されません。この表を作成するには、このユーザーを作成する前にXAVIEW.SQLスクリプトを実行します。

create user FMW identified by welcome1;
grant dba to FMW;
grant execute on DBMS_LOB to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_OUTPUT to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_STATS to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqadm to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqin to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqjms to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aq to FMW with grant option;
grant execute on utl_file to FMW with grant option;
grant execute on dbms_lock to FMW with grant option;
grant select on sys.V_$INSTANCE to FMW with grant option;
grant select on sys.GV_$INSTANCE to FMW with grant option;
grant select on sys.V_$SESSION to FMW with grant option;
grant select on sys.GV_$SESSION to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_jobs to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_job_run_details to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_running_jobs to FMW with grant option;
grant select on dba_aq_agents to FMW with grant option;
grant execute on sys.DBMS_SHARED_POOL to FMW with grant option;
grant select on dba_2pc_pending to FMW with grant option;
grant select on dba_pending_transactions to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_FLASHBACK to FMW with grant option;
grant execute on dbms_crypto to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_REPUTIL to FMW with grant option;
grant execute on dbms_job to FMW with grant option;
grant select on pending_trans$ to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_job_classes to fmw with grant option;
grant select on SYS.DBA_DATA_FILES to FMW with grant option;
grant select on SYS.V_$ASM_DISKGROUP to FMW with grant option;
grant select on v$xatrans$ to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_system to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_SCHEDULER to FMW with grant option;
grant select on dba_data_files to FMW with grant option;
grant execute on UTL_RAW to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_XMLDOM to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_APPLICATION_INFO to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_UTILITY to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_SESSION to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_METADATA to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_XMLGEN to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_DATAPUMP to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_MVIEW to FMW with grant option;
grant select on ALL_ENCRYPTED_COLUMNS to FMW with grant option;
 

注意

Oracle Database 11.2.0.3データベース・ユーザーのみ: アップグレードを開始する前に、Oracleパッチ13036331を適用する必要があります。My Oracle Supportにアクセスしてパッチをダウンロードします。

このパッチを適用しない場合は、一部のスキーマで追加の権限を付与する必要があります。

2.12 強化された暗号化(AES 256)の使用

Javaプラットフォームでは、暗号化、公開鍵インフラストラクチャ、認証、安全な通信、アクセス制御など、主要なセキュリティ分野に渡る一連のAPIが定義されています。これらのAPIによって、開発者はアプリケーション・コードにセキュリティ・メカニズムを簡単に統合できます。

Fusion Middleware 12cで使用されているセキュリティ・アルゴリズムには、JDK用の追加のポリシー・ファイルが必要になるものがあります。強化された暗号化(AES 256など)を使用する予定がある場合は、アップグレードの前に、これらのポリシー・ファイルをJDKに適用することをお薦めします。詳細は、次を参照してください。

Java暗号化アーキテクチャのOracleプロバイダ・ドキュメント

アップグレードの開始前に、これらのポリシー・ファイルをJDKに適用していないと、アップグレードに失敗することがあります。その場合は、アップグレード前環境全体をリストアして、アップグレードを最初からやり直す必要があります。

2.13 エディション・ベースの再定義のためのサーバー上でのエディションの作成(オプション)

Oracle Databaseユーザーのみ: エディションベースの再定義を使用すると、アプリケーションの使用中にそのOracle Databaseコンポーネントをアップグレードでき、停止時間を最小化あるいは排除することができます。

エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、最初にデータベース・サーバーに接続して、12c (12.2.1)のデータベース・サーバーにエディションを作成する必要があります。12.2.1の新しいエディションは、既存の11gまたは12cエディションの子である必要があります。

データベース・サーバーにエディションを作成するには、SYS (またはDBA権限のある別のOracleユーザー)としてログインし、次のコマンドを使用します。

SQL> create edition Oracle_FMW_12_2_1 as child of Oracle_FMW_11_1_1_7_0;
Edition created.

前述のコードの例Oracle_FMW_11_1_1_7_0は11.1.1.6または11.1.1.7スキーマを作成したときにRCU 11.1.1.6または11.1.1.7で指定するエディション名の例として使用します。エディションを作成する際は、実際に使用する名前を入力してください。

アップグレード手順の間、再構成ウィザードを実行して既存のドメインを再構成するよう要求されます。再構成ウィザードの実行前に、データベースのデフォルト・エディションを指定する必要があります。次のようなSQLを使用して、データベースのデフォルト・エディション名を手動で次のように設定します。

ALTER DATABASE DEFAULT EDITION = edition_name;

2.14 カスタム・ドメイン環境設定のメンテナンス

アップグレード前にsetDomainEnvスクリプト(または他の起動スクリプト)に加えられた変更は、ドメインの再構成プロセスで再生成されるスクリプトにより上書きされます。アップグレード前に、カスタムのsetDomainEnv設定の保持(オプション)に関する項の説明に従って、別個のファイルを作成してドメインのカスタマイズを保存しておくことを検討してください。

注意:

アップグレード前に、setUserOverridesスクリプトを作成できない場合は、「setDomainEnvへのカスタマイズの再適用」の説明に従って、設定を再適用する必要があります。

2.15 12c Oracle Fusion Middleware製品ディストリビューションのダウンロードとインストール

製品ディストリビューションは、Oracle Technology Network (OTN)またはOracle Software Delivery Cloudのいずれかからダウンロードできます。ディストリビューションを取得するためにアクセスする必要のあるサイトの詳細な情報は、「Oracle Fusion Middlewareダウンロード、インストールおよび構成のReadmeファイル」ページを参照してください。

必要なソフトウェアをダウンロードしたら、ソフトウェアのインストールおよびダウンロードに進みます。

インストールを開始するには、OTNのOracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)のドキュメント・ライブラリのインストール、パッチおよびアップグレードに関する項の共通タスクのページを参照してください。

注意: Oracle Fusion Middleware Infrastructureディストリビューションは、コンポーネント固有のディストリビューションの前にインストールする必要があります。

2.16 アップグレード前の準備状況チェックの実行

Upgrade Assistantを-readinessモードで実行すると、読取り専用のアップグレード前チェックをドメインで実行できます。問題が検知された場合、実際のアップグレードを開始する前にそれらを修正できます。

注意:

準備状況チェックはシステムがオンラインの状態で実行され、チェック内容の包括性により、準備状況チェックが完了するまでに長時間実行されることがあります。
アップグレード前環境で準備状況チェックを実行するには、次に示すように、アップグレード・アシスタントを-readinessモードで起動する必要があります。
  1. ディレクトリを、UNIXオペレーティング・システムではORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/binに、Windowsオペレーティング・システムではORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\binに変更します。

  2. 次のコマンドを入力してアップグレード・アシスタントを起動します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    ./ua -readiness

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    ua.bat -readiness

    Upgrade Assistantの各画面で必要な情報を指定します。表示される画面は、選択するアップグレード・オプションによって異なります。次の項では、アップグレード・オプションおよび入力する必要がある情報を説明しています。

2.17 コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントの検索

これで、アップグレードを開始できます。次の表を使用して、12cのアップグレードに必要なアップグレード固有タスクを決定します。

表2-2 アップグレードを完了するためのドキュメント

製品領域 アップグレードする内容 使用するアップグレード・ドキュメント

Oracle WebLogic Server - スタンドアロン

既存のFusion Middleware 11gドメインによって管理されていない、または登録されていないOracle WebLogic Server。

Oracle WebLogic Serverのアップグレード

Oracle WebLogic Server (12cではInfrastructureと呼ばれる)を使用したカスタムOracle Application Developer Frameworkアプリケーション

カスタムOracle Application Developer Frameworkアプリケーションのセットを使用してデプロイされた管理対象11g WebLogic Serverドメイン。

Oracle Fusion Middleware Infrastructureへのアップグレード

Oracle HTTP Server - 管理対象またはスタンドアロン

管理機能のためにWebLogicドメインで機能するように構成されているOracle HTTP Serverは、管理対象サーバーです。

Oracle WebLogicドメインによって管理されていない、またはOracle WebLogicドメインに登録されていないOracle HTTP Serverは、スタンドアロン・サーバーです。

Oracle HTTP Serverのアップグレード

Oracle SOA SuiteおよびBPM

Business Process Management (BPM)、Oracle Service Bus (OSB)、Enterprise Security Services (ESS)、Managed File Transfer (MFT)、Business Activity Monitoring (BAM)およびワークフロー・インスタンス・データなどのSOA Suiteコンポーネント。

Oracle SOA SuiteおよびBusiness Process Managementのアップグレード

ユーザー・メッセージング・サービス

ユーザー・メッセージング・サービス

Oracle User Messaging Serviceの管理

Oracle Data Integrator

Data Integrator

Oracle Data Integratorのアップグレード