この項は、Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)へのアップグレードが既存の環境に対して適切かどうかを判断するために使用できます。
このリリースのOracle Fusion Middlewareをアップグレードするべきかどうか
このような疑問を抱いている場合、これらの項で説明するプランニング手順を確認してください。このリリースのOracle Fusion Middlewareに関連付けられた要件に対して準備不足または理解不足である場合、アップグレードの作業は複雑で時間がかかります。
このプランニング・ガイドを、アップグレードの方針を設計する最初の手順として使用してください。Oracleヘルプ・センターおよびOracle Technology Network (OTN)では、アップグレード・プランニングに役立つアップグレード・ビデオやサポート・コミュニティへのリンクなど、プランニングのための追加のリソースを提供します。
次の表では、アップグレードのプランニング・フェーズ中に完了する必要があるタスクについて説明します。アップグレード・タスクを実行する順序は、現在の環境によって異なります。最も重要なアップグレード後の考慮事項を確認するには、次のリストをチェックリストとして使用してください。使用する環境に適用されないタスクがあることに注意してください。
表1-1 アップグレード・プランニングのロードマップ
タスク | 説明 | ドキュメント |
---|---|---|
Oracle Fusion Middleware 11gとリリース12c (12.2.1)との相違点を理解する。 |
Oracle Fusion Middleware 11gユーザーは、アップグレード・プロセスを開始する前に、11gとリリース12c (12.2.1)との概念的および機能的な相違点を理解する必要があります。 |
|
Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレードのプロセス・フローを確認する。 |
プロセス・フロー・マップでは、アップグレード・プロセスに関連するプライマリ・タスクを示します。 |
|
既存のOracle Fusion Middlewareデプロイメントのアップグレードの高度なプロセスを理解する。 |
アップグレードは、複雑なプロセスで、システム停止時間を伴います。全体的なプロセスを理解しておくと、アップグレードをプランニングの役に立ちます。 |
|
アップグレードを開始する前に、システムに重要なすべてのファイルを含むバックアップ戦略を作成します。 |
アップグレードを開始する前に、バックアップする対象のコンポーネント、ファイル、スキーマを決定する必要があります。失敗が発生した場合、環境をアップグレード前の元の状態にリストアする必要があります。 |
|
テスト戦略を作成します。 |
テスト環境から本番環境への移行は、アップグレードにおいて特に困難です。アップグレードを開始する前に、アップグレード・テスト戦略を作成すると、不必要な停止時間を回避できます。たとえば、実際のアップグレードを実行する前に、クローニングした本番環境でアップグレードを実行することを検討します。 |
|
アップグレード・プロセス時のシステム停止時間を計画する。 |
アップグレード・プロセスでは、ほとんどのFusion Middlewareコンポーネントで「インプレース」アップグレードが行われます。この間システムが停止するための準備をする必要があります。失敗した場合に備えてバックアップおよびリカバリをテストし、アップグレードのダウンタイムを計画するため、アップグレード・プロセスをテストし、またリストア機能をテストします。アップグレード時に問題が発生し、11gシステムのリストアが必要になった場合のシナリオの計画にも役立ちます。 |
|
アップグレードの前に、サポートされているハードウェアおよびソフトウェアを稼働していることを確認します。 |
既存のOracle Fusion Middlewareデプロイメントをホストするハードウェアおよびソフトウェアが、Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)にアップグレードする前に特定の要件を満たしている必要があります。 |
|
データベースがサポートされていることを確認する。 |
12cドメインには、新しいスキーマを格納するOracleデータベースが必要です。Fusion Middlewareで使用するスキーマをホストするデータベースのバージョンがサポートされている必要があります。 |
|
どの11g製品および機能をアップグレードできるかを理解する。 |
どの11gコンポーネントを12.2.1にアップグレードできるかを理解する必要があります。 注意: 11gコンポーネントをアップグレードした12コンポーネントとともに使用する予定の場合、アップグレードによって相互運用性および互換性にどのような影響があるかを理解する必要があります。 |
Oracle Fusion Middleware 12cで使用可能な製品および機能に関する項 Oracle Fusion Middleware 12で使用できない製品および機能に関する項 |
デプロイされている11gアプリケーションおよびコンポーネントに与える影響を考慮する。 |
アップグレードされた12c (12.2.1)環境でFusion Middleware 11gコンポーネントを使用する場合、発生する可能性のある相互運用性および互換性の問題を確認および理解する必要があります。 |
|
アップグレードの基本的なルールおよび制限を理解する。 |
アップグレードで発生する可能性のある問題を回避するために、基本的なルールおよび制限を理解する必要があります。 |
|
製品の最新のディストリビューションおよびアップグレード・ツールの入手先を理解する。 |
アップグレードを開始する前に、Oracle Help CenterおよびOracle Technology Networkのサイトを訪問し、製品ドキュメント、ビデオおよびその他の重要なプランニング・リソースの場所を熟知しておきます。 |
この項では、既存のOracle Fusion Middleware 11gユーザーを対象にOracle Fusion Middleware 12cの概念および用語について説明します。
Oracle Fusion Middleware 11gユーザーは、12cで導入された新しい用語と概念および既存の11gの用語の変更点を理解する必要があります。
いくつかの重要な概念と用語が12cで再定義されました。アップグレードする前に新しい用語を理解することが重要です。また、多くの用語が非推奨になりました。
"「12cの新しい用語および非推奨用語」を参照してください。
Fusion Middleware 11gリリース1で使用されているアップグレードおよびパッチ適用の定義は、リリース12cで再定義されました。次の用語の変更点を確認して、既存の環境の更新に必要なパスを確実に理解してください。
メジャー・リリースは、新しく革新的で標準に準拠した機能で構成されています。メジャー・リリースには、新しいデータベース必須サポート・ファイル、JDBCドライバ、JDK依存関係および新しい動作保証と言語サポートが導入されている場合があります。たとえば、11gから12cへのアップグレードはメジャー・リリースで、12.1.2から12.1.3へのアップグレードはマイナー・リリースです。
リリース12cでは、マイナー・リリースには、既存の機能のbug修正に加え、非常に新しい機能の小さいセットが含まれています。マイナー・リリースにアップグレードすると、既存のすべての製品構成がサポートされ、新しい構成オプションを利用できるようになります。
リリース12cでは、アップグレードは、サポートされているFusion Middleware 11gデプロイメントでの新しい機能、機能拡張およびbug修正を取得するために実行されます。次の例は、サポートされているアップグレード・パスを示しています。
11.1.1.7.0または11.1.1.9.0から12.2.1への移行
12.1.3から12.2.1への移行
リリース12cでは、bugを解決するためにFusion Middlewareのパッチ・セットがリリースされています。パッチ・セット・リリースには、新しい機能は含まれません。パッチ・セットは、新しいバイナリのセットと置き換えるかまたは既存のインストールに追加します。
『Opatchによるパッチ適用』では、リリース12cでのパッチの適用に関する用語が説明されています。
Oracle Fusion Middleware cライブラリは、12cのために再設計されました。アップグレード・ドキュメントはタスク別に整理され、タスク固有のページには、一般的なアップグレード手順および関連したドキュメントへのダイレクト・リンクが記載されています。このガイドでは、追加情報として次のライブラリ・ページのドキュメントを紹介します。
Oracle Fusion Middlewareリリース12c (12.2.1)にアップグレードする場合の、サポートされているOracle Fusion Middleware 11gバージョンの詳細は、次の項を参照してください。
このバージョンのOracle Fusion Middlewareにアップグレードするために実行する必要があるOracle Fusion Middlewareの特定のバージョンがアップグレード開始点となります。サポートされているアップグレード開始点であるOracle Fusion Middlewareのバージョンを実行していない場合は、以前のリリースのドキュメントを使用して、まずサポートされている開始点にアップグレードする必要があります。
次の項は、Oracle Fusion Middlewareリリース12c (12.2.1)にアップグレードする場合にサポートされている開始点に関する情報です。
次の以前のバージョンのOracle Fusion MiddlewareからOracle Fusion Middlewareリリース12c (12.2.1)にアップグレードできます。
注意:
アップグレードするコンポーネントでサポートされている開始点の詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ガイドを参照してください。
Oracle Fusion Middleware 12cリリース1 (12.1.3)
Oracle Fusion Middleware 12cリリース1 (12.1.2)
Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.9)
Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.8)
Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.7)
Oracle Fusion Middleware 11gリリース1 (11.1.1.6)
サポートされているバージョンのOracle Fusion Middleware 11gを実行していない場合、「サポートされているFusion Middlewareコンポーネントを実行していない場合」を参照してください。
WebLogic Serverバージョンのアップグレードをプランニングしている場合、Oracle Technology Network (OTN)のFusion Middlewareでサポートされているシステム構成に関する説明のページを参照して、アップグレード後の環境がOracleでサポートされるか確認する必要があります。
詳細は、次を参照してください。
WebLogic Server 12.2.1と以前のリリースとの互換性に関する項
アプリケーション環境をアップグレードする場合のロードマップに関する項
Oracle HTTP Server製品ディストリビューションの一環として、サポートされているOracle HTTP Server 11gリリースまたは12cリリースを、この最新のリリースにアップグレードできます。Oracle HTTP ServerをOracle Fusion Middlewareリリース12c (12.2.1)にアップグレードする詳細は、次を参照してください。
"Oracle HTTP Serverの相互運用性"
HTTPサーバーのアップグレードについては、『Oracle HTTP Serverのアップグレード』を参照してください。
サポートされる最低限のデータベース・バージョンを使用していない場合、Fusion Middlewareのアップグレードを開始する前に、サポートされているいずれかのバージョンにデータベースをアップグレードする必要があります。
Oracle Fusion Middlewareリリース12c (12.2.1)がサポートしている最新のデータベース・バージョンの詳細は、「12c (12.2.1)のためのOracle Databaseのアップグレードおよび準備」を参照してください。
12c (12.2.1)アップグレード・プロセスを開始する前に、最初にご使用の環境でサポートされていないFusion Middlewareコンポーネントを、サポートされているアップグレード開始点にアップグレードします。
注意: アップグレードした環境で、サポートされていないFusion Middleware 11gコンポーネントを使用しないでください。
サポートされている11gまたは12cコンポーネントとこのリリースとの間に互換性の問題が発生するかどうかを確認するには、「動作保証、互換性および相互運用性に関する要件の理解」を参照してください。
以前のリリースのパッチ適用およびアップグレードに関するドキュメントは、Oracle Technology Network (OTN)で提供されています。
http://www.oracle.com/technology/documentation/middleware.htm
サポートされている開始点にアップグレードした後、Oracle Fusion Middlewareリリース12c (12.2.1)のアップグレード・ドキュメントを使用してアップグレードを実行します。詳細は、「コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントの検索」を参照してください。
プロセス・フローは、12c Fusion Middleware Infrastructureにアップグレードに使用する高度なアップグレード手順およびツールの概要を示しています。コンポーネント固有のアップグレードを完了するために実行するタスクは、この例とは異なる場合があります。
コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントには、コンポーネントのアップグレードに必要な個別タスクの詳細が説明されています。
以前の12cバージョンのOracle Fusion Middleware 11gのOracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)への一般的なアップグレードを、次に示します。アップグレードするコンポーネントにより、追加の手順が必要な場合があります。
アップグレード手順の詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ガイドで説明します。
表1-2 基本的なアップグレード・プロセスの理解
タスク | 使用するツール | ドキュメント |
---|---|---|
環境に必要なアップグレード前タスクを完了します。 |
チェックリストのプランニング |
|
新しいOracleホームに12.2.1製品ディストリビューションをインストールします。 |
Oracle Universal Installer(OUI) |
12.2.1のインストール方法の詳細は、コンポーネント固有のインストール・ドキュメントを参照してください。 Oracle Universal Installerの使用方法の詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールを参照してください。 |
Fusion Middlewareコンポーネントに新しいスキーマを作成します。 |
リポジトリ作成ユーティリティ(RCU) |
アップグレードに必要なスキーマの詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 Oracle Repository Creation Utilityの使用方法の詳細は、『Repository Creation Utilityによるスキーマの作成』を参照してください。 |
アップグレードするコンポーネントの11gまたは12.c (12.1.2または12.1.3)データベース・スキーマをアップグレードします。 |
Upgrade Assistant (UA) |
UAを使用してデータベース・スキーマをアップグレードする方法の詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 UAを使用してデータベース・スキーマをアップグレードする方法の一般情報は、『Upgrade Assistantによるアップグレード』を参照してください。 注意: アップグレード処理中に管理サーバーを起動する必要はありません。アップグレード操作全体はオフラインで実行されます。 |
ドメインを再構成します。 |
再構成ウィザード |
再構成ウィザードを使用してドメインを再構成する方法の詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 |
コンポーネント構成をアップグレードします。 |
Upgrade Assistant (UA) |
UAを使用してドメイン・コンポーネント構成をアップグレードする方法の詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 UAを使用してコンポーネント構成をアップグレードする方法の一般情報は、『Upgrade Assistantによるアップグレード』を参照してください。 |
アップグレード後に必要なすべてのタスクを実行します。 |
状況により異なります。 |
コンポーネントに必要なアップグレード後のタスクの詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 |
アップグレードが成功したことを確認します。最低でもサーバーおよびノード・マネージャが開始され、アプリケーションが予想どおりに機能することを確認します。 |
状況により異なります。 |
アップグレードされた環境に対して実行する必要がある確認プロセスの詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 |
各Fusion Middlewareリリース12cアップグレード・ガイドは、標準的なアップグレード・トポロジを説明します。標準的なアップグレード・トポロジは、コンポーネントに固有のインストレーション・ガイドで説明している標準的なインストール・トポロジに基づいています。標準的なインストール・トポロジは、例として説明されており、製品をサポートしている唯一のトポロジではありません。各インストレーション・ガイドでは、標準的なトポロジを作成するための特定の手順を説明していますが、目的が異なる場合のために、参照としてサポートしているドキュメントへのリンクが記載されています。
コンポーネント固有のアップグレード・ガイドでは、アップグレード・トポロジを構成する特定の手順を説明していますが、インストールまたは構成時に選択をカスタマイズする場合は、そのタスクを実行できるように、サポートしているドキュメントの参照が記載されています。
標準的なトポロジの詳細は、「開始点としての標準インストール・トポロジの使用方法」を参照してください。
アップグレード・プランには、アップグレードが失敗した場合に備えたバックアップの作成、格納およびリストアに対する戦略を含める必要があります。
Oracle Fusion Middlewareのバックアップおよびリカバリ戦略の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』を参照してください。
「バックアップとリカバリの概要」
「Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのバックアップおよびリカバリに関する推奨事項」
アップグレード前にクローン環境でテストを実施することにより、本番のアップグレード計画全体に適用できる重要なデータが得られます。その他のメリットには次のものがあります。
アップグレードに関する問題を明らかにし、修正します。
エンドツーエンドのアップグレードを完了させる練習をします。
アップグレードのパフォーマンスおよびパージ・スクリプトがどのように役立つかを理解します。
Upgrade Assistantでメタデータおよびオープン・インスタンスをアップグレードするために必要な時間を理解します(SOAアップグレード)。
データベース・リソースの使用(一時表領域、PGAなど)について理解します。
テスト戦略には、アップグレード前環境のバックアップのリストアを含める必要があります。バックアップにおける考慮事項および手順の完全なリストは、「アップグレードのためのバックアップ戦略の作成」に記載されています。
Fusion Middlewareデプロイメントの正常なアップグレード戦略を作成する前に、アップグレード中に本番環境がどのような影響を受けるかを理解する必要があります。特に多くのアーティファクトをアップグレードする場合、一部のアップグレード手順は非常に時間がかかる場合があります。データベースのサイズおよびシステムのインフラストラクチャの速度が、アップグレード中の全体の停止時間に影響を与える場合もあります。
停止時間をプランニングする場合は、次の内容を慎重に検討してください。
Upgrade Assistantでは、アップグレードの期間全体を通じて、管理サーバーおよび管理対象サーバーを停止する必要があります。
11gドメインがデータベース・ベースのポリシー・ストアにすでに関連付けられている場合、アップグレードの前に11gドメインをデータベース・ベースのポリシー・ストアに再関連付けする必要があります。この操作により、11gドメインは再起動されます。
実際のアップグレードを開始する前に、アップグレード前準備状況チェックを実行して、潜在的なアップグレードの問題を識別します。実際のアップグレードに問題が発生した場合、アップグレード・プロセスを最初からもう一度開始する必要があります。これには、バックアップ・ファイルからのリカバリおよび再デプロイメントも含まれます。これは、停止時間のプランニングにおける考慮事項です。
コンポーネント・スキーマのアップグレード後、再構成ウィザードを使用してドメインを再構成します。ドメインが再構成された後、Upgrade Assistantでは、構成をアップグレードする間、すべてのサーバーおよびコンポーネントを停止したままにする必要があります。12cでは、アップグレード処理の期間全体を通じて、サーバーおよびコンポーネントは停止します。
11g環境または以前の12c環境を12c (12.2.1)にアップグレードする場合、アップグレードがアップグレード前の環境にどのような影響を与えるかを理解する必要があります。たとえば、アップグレード時に既存の11gまたは12cファイルを更新するスキーマおよびドメイン・ディレクトリのアップグレードは、「インプレース」で実行されます。12c (12.2.1)の新しいOracleホーム・バイナリは新しいディレクトリにインストールされるため、「アウトオブプレース」でアップグレードされます。
Oracle Fusion Middleware 12cへのアップグレードには、中間層およびスキーマが含まれます。中間層のみ、またスキーマのみのアップグレードはできません。
次のリストは、各コンポーネントに対するアップグレードの実行方法を示します。
Oracleホーム・バイナリ - アウトオブプレースでアップグレード
Oracle Infrastructure (WebLogic ServerおよびJRFを含みます)およびその他の12cディストリビューション・バイナリを、新しいOracleホームにインストールします。アップグレード前バイナリは上書きされないため、バイナリのアップグレードは「アウトオブプレース」と考えられます。
開始点スキーマ - アップグレードされたインプレース
アップグレード前デプロイメントのスキーマは「インプレース」でアップグレードされるため、Upgrade Assistantはアップグレード処理時にスキーマを更新および上書きします。この処理の間は、サーバーを停止する必要があります。
インスタンス - スキーマのアップグレード時に移行(SOAアップグレードのみ)
アクティブ・インスタンスおよびクローズされたインスタンスの11gから12cへのアップグレードは、スキーマのアップグレードの一環として自動的に実行されます。管理スクリプトを使用してアップグレードを管理できます。
ドメイン・ディレクトリ再構成 - インプレースでアップグレード
既存のドメインは「インプレース」でアップグレードされます。アップグレードの間、既存のドメインの場所を指定し、ドメインは新しい12cのホーム・ディレクトリを指すように再構成されます。
注意: ドメインのアップグレードはインプレースで実行することをお薦めします。ただし、アウトオブプレース・ドメイン・アップグレードが必要な場合は、「アウトオブプレース・ドメイン・ディレクトリ・アップグレードの実行」を参照してください。その場合も、スキーマはインプレースでアップグレードされます。
ドメイン・コンポーネント構成 - インプレースでアップグレード
11gドメインを再構成した後、Upgrade Assistantを再度使用して、新しい12cホーム・ディレクトリ内の、アップグレードが必要な残りのドメイン・コンポーネント構成をアップグレードします。
Oracle Fusion Middleware 11g環境のアップグレードを開始する前に、次のことを検討してください。
サポートされる32ビットおよび64ビット・オペレーティング・システム、データベース、Webサーバー、LDAPサーバー、アダプタ、IPv6、JDKおよびサード・パーティ製品に関する情報は、「動作保証およびシステム要件の確認」を参照してください。
製品間の相互運用性および互換性の詳細は、「以前のバージョンとの相互運用性および互換性の理解」を参照してください。
アップグレード・プロセスを開始する前に、相互運用性および互換性の理解に関するドキュメントを参照してください。Oracle Fusion Middleware製品が旧バージョンの他のOracle Fusion Middleware、Oracleまたはサード・パーティ製品と機能するために重要な情報がこのマニュアルに記載されています。
アップグレード・プロセスを開始する前に、いくつかの基本的なルールおよび制限について理解する必要があります。どの統合されたコンポーネントをこのバージョンのFusion Middlewareにアップグレードできるかを理解することは重要です。
本番環境をアップグレードする前に、クローン本番環境でアップグレードを試すことを強くお薦めします。
アップグレードにおけるその他の考慮事項は、『相互運用および互換性の理解』のガイドに記載されています。
既知の制限および以前のFusion Middlewareリリースからの構造の変更により、12c (12.2.1)にアップグレードできないドメインもあります。
たとえば、SOA Core Extension (AIAFP)を含むドメインは、12c (12.2.1).にアップグレードできません。
コンポーネント固有のアップグレード・ガイドおよびリリース・ノートを参照して、これらの制限がドメインに影響を与えないことを確認してください。
Oracle Fusion Middleware 12cソフトウェアは、製品ディストリビューションのシリーズとして取得されます。ディストリビューションは、Oracle Fusion Middleware製品および機能セットが事前定義されたセットをインストールするインストーラが含まれたアーカイブです。機能セットには、製品およびサービスが含まれており、これらは、該当する製品を選択すると、自動的にインストールされます。
ディストリビューションおよび機能セットの詳細は、配布、製品および機能の理解に関する項を参照してください。
製品ディストリビューションは、Oracle Software Delivery CloudまたはOracle Technology Networkのいずれかから取得できます。ディストリビューションを取得するためにアクセスする必要のあるサイトの詳細な情報は、「Oracle Fusion Middlewareダウンロード、インストールおよび構成のReadmeファイル」ページを参照してください。
Oracle Fusion Middlewar 12cは、多くのアップグレード関連タスクを自動化するインストール、アップグレードおよび構成ツールのスイートを提供します。
次のツールが、製品ディストリビューションの一部としてインストールされます。
表1-3 インストール、アップグレードおよび構成ツール
ツール名 | このツールを使用すると、次のことができます。 | 関連ドキュメント |
---|---|---|
Oracle Universal Installer(OUI) |
12c製品ディストリビューションおよび機能セットをインストールします。 注意: 主要な各コンポーネントには、固有のインストレーション・ガイドがあります。これらのガイドは、コンポーネントでUniversal Installerを使用する方法の詳細を説明しています。 |
Oracle Universal Installerを使用したソフトウェアのインストール |
Oracle Upgrade Assistant (UA) |
スキーマのアップグレード、コンポーネント構成およびスタンドアロン・システムのコンポーネント構成を行います。個別のパッチ・セット・アシスタント・ユーティリティは、スキーマのアップグレードに使用されなくなりました。 注意: 主要な各コンポーネントには、固有のアップグレード・ガイドがあります。これらのガイドは、コンポーネントでUpgrade Assistantを使用する方法の詳細を説明しています。 |
Upgrade Assistantによるアップグレード |
リポジトリ作成ユーティリティ(RCU) |
データベース内にスキーマを作成します。アップグレードする内容によっては、Upgrade Assistantを実行する前にスキーマを作成する必要があります。リポジトリ作成ユーティリティは各12cディストリビューションに含まれており、個別にRCUをダウンロード、インストールする必要があったFusion Middleware 11gとは異なります。 注意: アップグレード前に、すべてのコンポーネントに新しい12cスキーマを作成する必要があります。詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 |
Repository Creation Utilityによるスキーマの作成 |
Oracle構成ウィザード |
WebLogicドメインを作成します。構成ウィザードは、WebLogic Serverドメインの作成および拡張のプロセスを簡略化します。 注意: Oracle HTTP Server (OHS)などのスタンドアロン・システム・コンポーネントをアップグレードする場合、構成ウィザードを使用してドメインを構成しないでください。Upgrade Assistantを使用してスタンドアロン・ドメインを作成および構成します。 |
『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』の構成ウィザードの概要に関する項。 |
Oracle再構成ウィザード(12cの新機能) |
Oracle WebLogic Serverを使用するドメインを再関連付けします。 再構成ウィザードを使用してドメインを再構成すると、WLSのコア・インフラストラクチャおよびドメイン・バージョンは自動的に更新されます。 注意: このツールは、リリース12c (12.1.2)としてFusion Middlewareに導入されました。 |
詳細は、コンポーネント固有のアップグレード・ドキュメントを参照してください。 |
OPatch |
12cにパッチを適用します。パッチ適用の命名体系は12cで変更されました。「アップグレードおよびパッチ適用の用語変更」で定義する新しいパッチを確認してください。 注意: 12cでは、パッチ・セット・インストーラはありません。Oracle Universal Installerは、すべてのメジャーおよびマイナー・リリースをインストールする場合に使用します。 |
OPatchを使用したパッチ適用 |