様々なトピックが扱われており、Oracle HTTP Serverのインストールおよびドメイン構成の途中または完了後のいずれかに問題に直面しないようにするために、入念に確認してください。
この章の構成は、次のとおりです。
Oracle HTTP Serverは、Oracle Fusion MiddlewareのWebサーバー・コンポーネントです。次の機能を提供します。
Oracle WebLogic Serverの組込みプロキシ・プラグインを介してOracle WebLogic ServerのHTTPリスナーを提供します
Oracle Fusion MiddlewareのWebサーバー・コンポーネントを提供します
HTML、JavaScript、イメージなどの静的Webコンテンツや、CGI/FastCGIベースのアプリケーションで構築された動的Webコンテンツに対応します。
詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』の「Oracle HTTP Serverの概要」を参照してください。
この項では、次の項目について説明します。
他のアプリケーション・ソフトウェアとともにOracle HTTP Serverソフトウェアを使用して、ご使用のアプリケーション、所属組織および御社アプリケーションのユーザーのニーズに適した、様々な本番トポロジを作成できます。
この結果、Oracle HTTP Serverについて予想されるあらゆるインストールに対して、厳密な手順を示すことが難しくなっています。この問題を打開するためにこのドキュメントでは、2つの典型的なOracle HTTP Server構成をインストールするための詳細手順が示されています。このような典型的なトポロジは、Oracle Fusion Middleware 12cの標準的なインストールのトポロジと呼ばれています。
このガイドでは特に、Oracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジを2つの構成タイプでインストールおよび構成する方法について説明します。
実際のトポロジは一様でない可能性がありますが、ここで説明されているトポロジはOracle HTTP Serverをインストールするガイドとして使用可能な例を提示しており、その範囲はHAトポロジにまで及んでいます。
標準的なインストールのトポロジの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の標準的なインストールのトポロジの理解に関する項を参照してください。
Oracle HTTP Serverは、既存のOracleホーム内にインストールできます。このタイプのインストールでは、Oracle HTTP ServerはWebLogic Serverドメインと同じ場所に配置されるため、WebLogic Serverドメインの他の要素と同様にOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。具体的には、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control、WLSTコマンド行インタフェースおよびWebLogic Server Node ManagerからOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。
図1-1は、同じドメイン・ホーム内に配置されたOracle HTTP Serverインスタンスを含む標準的なOracle Fusion Middleware Infrastructureのトポロジを示しています。このトポロジを使用して、複数のマシンにわたる高可用性環境にスケールアウトすることもできることに、留意してください。
図1-1 WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverインストールのトポロジ
この図は、Oracle HTTP Serverインスタンスを含むOracle Fusion Middleware Infrastructureの標準的なインストールのトポロジを示しています。Oracle Fusion Middleware Infrastructureドメインには、管理サーバーと、2つの管理対象サーバーおよびOracle HTTP Serverインスタンスを含むクラスタが含まれ、すべてが同じInfrastructureドメイン内に構成されています。
Oracle Fusion Middleware Infrastructureには、Oracleソフトウェア・ライブラリ、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびOracle ADFアプリケーションをデプロイおよび管理するために必要な追加ソフトウェアが含まれます。このドメインは単一のホストで構成され、必要なFusion Middlewareスキーマをホストするためサポートされているデータベースを必要とします。
表1-1は、このトポロジの要素を説明しています。
表1-1 Oracle HTTP Serverインストールのトポロジにおける要素の説明
要素 | 説明と追加ドキュメントへのリンク |
---|---|
APPHOST |
アプリケーション層をホストしているマシンを示す、Oracleドキュメントで使用される標準用語。 このトポロジでは、APPHOSTがWeb Tierもホストすることに留意してください。 |
DBHOST |
データベースをホストしているマシンを示す、Oracleドキュメントで使用される標準用語。 |
WebLogicドメイン |
Javaコンポーネント(この場合、管理サーバー、管理対象サーバーおよび他の関連ソフトウェア・コンポーネント)の論理的に関連したグループです。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle WebLogic Serverドメインの概要に関する項を参照してください。 |
管理サーバー |
ドメイン全体の構成に対する中央制御エンティティ。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解の管理サーバーの概要に関する項を参照してください。 |
Enterprise Manager Fusion Middleware Control |
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control。ドメインを管理するために使用する主要ツール。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlに関する項を参照してください。 |
Oracle HTTP Server |
Oracle HTTP ServerバイナリおよびOracle HTTP Serverインスタンス。 |
クラスタ |
同時に稼働し連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解の管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタの理解に関する項を参照してください。 |
マシン |
1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンス(サーバー)をホストするコンピュータを論理的に表現するもの。マシンは、ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動または停止するためにWebLogicの管理対象サーバーとノード・マネージャを論理的に結び付けるものでもあり、管理対象サーバーはマシンに関連付けされている必要があります。 |
管理対象サーバー |
アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよび関連リソースをホストします。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlに関する項を参照してください。 |
インフラストラクチャ |
次のものを含むサービスの集合:
|
WebLogic ServerドメインでのOracle HTTP Serverの構成は、基本的に3つの手順から成るプロセスで、個々のインストール・ウィザードおよび構成ウィザードが用意されています。
既存のインストールがまだない場合は、Oracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールします。詳細は、Oracle Fusion Middleware InfrastructureのインストールのOracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアのインストールと構成に関する項を参照してください。このインストールの構成は、このプロセスの手順3まで保留できます。
Oracle HTTP Serverソフトウェアを既存のOracle Fusion Middleware InfrastructureのOracleホームにインストールします。
注意:
構成時には、完全JRFと制限付きJRFのどちらの操作モードで構成するかを選択できます。これらのモードの詳細は、「完全JRF構成テンプレートと制限付き構成テンプレートの使用について」を参照してください。インストールおよび構成プロセスの概要の詳細は、「WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverのインストールおよび構成のロードマップ」を参照してください。
同じ場所に配置されたOracle HTTP Serverを完全JRFと制限付きJRFのどちらかで構成できます。
表1-2は、これら2つのモードの比較を示しています。
表1-2 完全JRFモードと制限付きJRFモードの比較
操作モード | 説明 | 推奨される使用例 |
---|---|---|
完全ドメイン(または完全JRF) |
完全JRFモードは、データベース接続に依存します。 |
ドメインで上位のスタック機能(Oracle SOA SuiteやOracle Web Services Managerなど)にアクセスする場合、この操作モードが最善です。 |
制限付きJRF |
制限付きJRFモードは、データベース接続なしで機能します。 ユーザーは依然としてOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを介してすべての製品を管理できますが、クロス・コンポーネント・ワイヤリングを使用することはできません。 |
ドメインでOracle Traffic DirectorおよびOracle HTTP Serverのみにアクセスする場合、この操作モードが最善です。 |
現在、制限付きJRFから完全JRFへの移行はサポートされていません。
これら2つの操作モードの機能の詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』のドメイン・タイプに関する項を参照してください。
クロス・コンポーネント・ワイヤリングなしで制限付きJRFがどのように機能するかをより理解するには、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』の制限付きJRFモードに関する項を参照してください。
システム・コンポーネントの管理のみに特化したスタンドアロンOracle HTTP Serverドメインを作成できます。スタンドアロン構成は、インストール・プロセス中に作成する独自のOracleホーム内にあります。つまり、スタンドアロンのOracle HTTP Serverトポロジは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureなしでインストールおよび構成可能です。
スタンドアロン・ドメインはFusion Middleware Controlを使用して管理できません。スタンドアロンOracle HTTP Serverドメインは、WLSTコマンド行や、スタンドアロン・ドメインで利用可能な他の機能を使用して管理できます。
図1-2は、Web Tierにおける標準的なOracle HTTP Serverインスタンスを示しています。
表1-3は、このトポロジの要素を説明しています。
表1-3 Oracle HTTP Serverのスタンドアロン・インストールのトポロジにおける要素の説明
要素 | 説明と追加ドキュメントへのリンク |
---|---|
WEBHOST |
これは個別のホストで、WebLogic Serverドメインにリクエストを送信します。 |
スタンドアロン・ドメイン |
詳細は、『Oracle HTTP Serverの管理』の「スタンドアロン・ドメインとは」を参照してください。 |
Oracle HTTP Server |
Oracle HTTP Serverインスタンスで、これはスタンドアロン・ドメインで利用可能な管理ツールによって作成および管理されます。 |
インストールおよび構成プロセスは次のとおりです。
新しい空のOracleホームにOracle HTTP Serverをインストールします。
新しいOracle HTTP ServerホームからOracle HTTP Serverの構成ウィザードを実行し、スタンドアロン・ドメインを構成します。
このトポロジへのアクセスに関する詳細なロードマップは、「スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverのインストールおよび構成のロードマップ」を参照してください。
注意:
スタンドアロン・ドメインの一般的な詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のスタンドアロン・ドメインの概要に関する項を参照してください。次のフローチャートを使用して、2つの主なOracle HTTP Serverドメイン・オプションのどちらを構成するかを決定します。
同じ場所に配置されたドメインのインストールを開始するには、「WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverのインストールおよび構成のロードマップ」を参照してください。構成手順中に完全JRFまたは制限付きJRF操作モードをどこで選択するかを確認できます。
スタンドアロン・ドメインのインストールを開始するには、「スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverのインストールおよび構成のロードマップ」を参照してください。
注意:
また、特別なWLSTコマンドを使用して、Oracle HTTP Serverに関するテストや評価ドメインも構成できます。このWLSTコマンドによって、WebLogic ServerドメインにOracle HTTP Serverインスタンスが作成されます(完全な本番ドメインの管理機能のすべてを提供しますが、外部データベースは不要です)。テスト・ドメインは、他のマシンにスケールアウトすることはできず、本番環境で使用することは保証されていません。
詳細は、『インフラストラクチャ・コンポーネントのためのWLSTコマンド・リファレンス』のcreateOHSTestDomain()に関する項を参照してください。
この項では、次の項目について説明します。
表1-4では、WebLogic ServerドメインにおいてOracle HTTP Serverをインストールおよび構成するために必要な手順を示しています。
注意:
およびOracle HTTP Serverの両方の配布を同じOracleホームにインストールして、このドメインおよびOracle HTTP Serverインスタンスを同時に構成することもできます。
表1-4 WebLogic Serverドメインにおいて構成されるOracle HTTP Serverインストールのロードマップ
タスク | 説明 | 参照先 |
---|---|---|
Oracle Fusion Middleware Infrastructureの標準的なインストール・トポロジのインストールおよび構成 |
Oracle HTTP Serverインストールの開始前に、Oracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアをインストールおよび構成する必要があります。 |
Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成を参照してください。 |
ドメインに関連するすべてのプロセスが停止されていることを確認。 |
ご使用のノード・マネージャ、管理サーバー、管理対象サーバーおよびその他のサーバーが稼働中の場合、これらを停止してから、WebLogic ServerドメインでOracle HTTP Serverのインストールおよび構成を開始する必要があります。 |
『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle Fusion Middleware環境の停止に関する項を参照してください 『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』の同じドメインに複数の製品をインストールすることに関する項 |
システム環境を確認します |
インストールの前に、最小限のシステム要件およびネットワーク要件を満たしていることを確認します。 |
「システム環境の確認のロードマップ」を参照してください |
適切なディストリビューションを入手します |
このガイドに記載されているトポロジを作成するには、Oracle HTTP Serverの配布を取得します。 |
「Oracle HTTP Server配布についての理解と取得」を参照してください |
インストール・ディレクトリを決めます |
Oracle Fusion Middleware Infrastructureトポロジをインストールして構成する際に作成されたディレクトリが存在しているかどうか、およびこれがインストーラによってアクセス可能かどうかを確認します。 |
「Oracle HTTP Serverのディレクトリ構造の理解」を参照してください |
Oracle HTTP Serverのインストール |
インストール・プログラムを実行してソフトウェアをインストールします。「インストール・タイプ」画面で、「同じ場所に配置されたHTTPサーバー(WebLogic Server経由で管理)」を選択します。 これにより、ソフトウェアがご使用のシステムに転送され、Oracle HTTP Serverバイナリを含めるためにOracle Fusion Middleware InfrastructureのOracleホームが更新されます。 |
「Oracle HTTP Serverソフトウェアのインストール」を参照してください |
既存のInfrastructureドメインの更新 |
この構成ウィザードを使用して、Oracle HTTP Serverインスタンスを含めるためにInfrastructureドメインを拡張します。 この手順中に、完全JRFと制限付きJRFのどちらの操作モードを使用するかを選択します。これらのモードの詳細は、「完全JRF構成テンプレートと制限付き構成テンプレートの使用について」を参照してください。 注意: がまだ構成されていない場合、とOracle HTTP Serverを同時に構成できます。 |
|
構成後の管理および構成タスクを確認 |
ドメインを管理するための追加のツールおよびリソースを確認し、可用性が高くなるようにドメインを構成します。 |
「Oracle HTTP Serverドメイン構成後の次の手順」を参照してください |
表1-5では、スタンドアロン・ドメインにおいてOracle HTTP Serverをインストールおよび構成するために必要な手順を示しています。
表1-5 スタンドアロン・ドメインにおいて構成されるOracle HTTP Serverのインストールのロードマップ
タスク | 説明 | 参照先 |
---|---|---|
システム環境を確認します |
インストールの前に、最小限のシステム要件およびネットワーク要件を満たしていることを確認します。 |
「システム環境の確認のロードマップ」を参照してください |
適切なディストリビューションを入手します |
このガイドに記載されているトポロジを作成するには、Oracle HTTP Serverの配布を取得します。 |
|
インストール・ディレクトリを決めます |
productおよびconfigディレクトリが作成されていること、これらがインストーラによってアクセス可能で、最低要件が満たされているシステムに存在していることを確認します。 |
|
Oracle HTTP Serverのインストール |
インストール・プログラムを実行してソフトウェアをインストールします。「インストール・タイプ」画面で、「スタンドアロンHTTPサーバー(WebLogic Serverとは切り離して管理)」を選択します。 これにより、使用しているシステムにソフトウェアが転送され、Oracleホーム・ディレクトリが作成されます。 |
|
Oracle HTTP Serverのスタンドアロン・ドメインの作成 |
この構成ウィザードを使用して、スタンドアロン・ドメインにOracle HTTP Serverを作成および構成します。 |
|
構成後の管理および構成タスクを確認 |
ドメインを管理するための追加のツールおよびリソースを確認し、可用性が高くなるようにドメインを構成します。 |
Oracle HTTP Serverを以前のインストールから12.2.1にアップグレードする手順には、このドキュメントには記載されていない追加手順が含まれます。
Fusion Middleware環境およびOracle HTTP Serverを以前のリリースから12.2.1にアップグレードするには、『Upgrade Assistantによるアップグレード』の手順に従います。
同じ場所に配置されたOracle HTTP Server設定をアップグレードする場合、Upgrade Assistantが完了した後で手動手順をいくつか実行する必要があります。これらの手順の詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』のOracle HTTP Serverの以前のリリースからのアップグレードに関する項を参照してください。