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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド
13cリリース1
E70363-03
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27 EMCTLコマンドを使用したEnterprise Managerの管理

Enterprise Manager Control (EMCTL)は、Enterprise Manager Cloud Controlのコア・コンポーネント、特にOracle Management Service (OMS)およびOracle Management Agent (管理エージェント)を管理または制御するためにEMとともにインストールされるコマンドライン・ユーティリティです。ユーティリティは、デフォルトですべてのEnterprise Managerインストールで使用可能です。

この章の項目は次のとおりです。

27.1 EMCTLコマンドの実行

UNIXシステム上でOracle Management Service (OMS)に対してEMCTLコマンドを実行するには、<OMS_HOME>/binディレクトリに移動し、目的のコマンドを実行します。管理エージェントに対してEMCTLコマンドを実行するには、<AGENT_HOME>/binディレクトリに移動し、目的のコマンドを実行します。

同様に、Windowsシステム上でOMSまたは管理エージェントに対してEMCTLコマンドを実行するには、それぞれ<OMS_HOME>\binディレクトリまたは<AGENT_HOME>\binディレクトリに移動します。

27.2 単一ホストで複数のEnterprise Managerコンポーネントを起動する際のガイドライン

Oracle Enterprise Managerコンポーネントは、各種のOracleソフトウェア製品の管理に使用されます。本番環境では、ソフトウェア・リソースのパフォーマンスおよび可用性を向上させるため、複数のホスト間にデータベースおよびWebLogic Serverインスタンスを分散させる場合がほとんどです。ただし、同一ホスト上に複数のWebLogic Serverまたはデータベースをインストールする必要がある場合は、次のガイドラインを参考にしてください。

Fusion Middleware Control、管理エージェントまたはDatabase Controlを起動すると、Enterprise Managerはホストおよびその管理対象ターゲットに関する重要な監視データの収集を即時に開始します。ホスト上のコンポーネントの起動プロセスを開発する際は、このことを念頭に置いてください。

特に、次のプロセスが起動処理を開始する前に各Enterprise Managerプロセスが確実に起動できるように、起動プロセスの時間をずらすことを考慮してください。時間差をおく起動手順を使用することによって、各コンポーネントのCPU集中型の起動段階でのリソースに対するプロセスの競合が回避されます。ただし、システムの再起動時、EMのデプロイ時に登録された/etc/init.d/gcstartupスクリプトによって、OMSおよび管理エージェントが自動的に時間差をおいて起動されることが保証されます。

27.3 Oracle Enterprise Manager 12c Cloud Controlの起動および停止

次の項では、Oracle Enterprise Manager 12c Cloud Controlコンソールのインストール手順でインストールされるすべてのCloud Controlコンポーネントを停止および起動する方法について説明します。

ここで述べる手順を使用して、システムの再起動後にすべてのフレームワーク・コンポーネントを起動することや、システム・メンテナンスのためにシステムを停止する前にすべてのコンポーネントを停止することができます。

ここでは、次の手順について説明します。

27.3.1 Cloud Controlとそのすべてのコンポーネントの起動

次の手順には、Cloud Controlのすべてのコンポーネントの起動に必要なステップがまとめられています。たとえば、ホスト・コンピュータを再起動し、Cloud Controlのすべてのコンポーネントがそのホスト上にインストールされている場合は、この手順を使用します。

ホスト上のすべてのCloud Controlコンポーネントを起動するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Management Repositoryがホスト上にある場合は、管理リポジトリをインストールした対象のデータベースのOracleホームにディレクトリを変更し、データベースおよびそのデータベースのNet Listenerを起動します。

    1. ORACLE_HOME環境変数を管理リポジトリ・データベースのホーム・ディレクトリに設定します。

    2. ORACLE_SID環境変数を管理リポジトリ・データベースのSID(デフォルトはasdb)に設定します。

    3. Net Listenerを起動します。

      $PROMPT> $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl start
      
    4. 管理リポジトリ・データベース・インスタンスを起動します。

      ORACLE_HOME/bin/sqlplus /nolog
      SQL> connect SYS as SYSDBA
      SQL> startup
      SQL> quit
      
  2. Oracle Management Serviceを起動します。

    $PROMPT> OMS_HOME/bin/emctl start oms
    
  3. ディレクトリをOracle Management Agentのホーム・ディレクトリに変更し、管理エージェントを起動します。

    $PROMPT> AGENT_HOME/bin/emctl start agent
    

    注意:

    emctl start agentコマンドは、管理サービスのホーム・ディレクトリではなく、必ずOracle Management Agentのホーム・ディレクトリで実行してください。

27.3.2 Cloud Controlとそのすべてのコンポーネントの停止

次の手順には、Cloud Controlのすべてのコンポーネントの停止に必要なステップがまとめられています。たとえば、ホスト・コンピュータを停止または再起動する対象のホストと同じホストに、Cloud Controlのすべてのコンポーネントをインストールしている場合は、この手順を使用します。

ホスト上のすべてのCloud Controlコンポーネントを停止するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Management Serviceを停止します。

    $PROMPT> $ORACLE_HOME/bin/emctl stop oms -all
    
  2. ディレクトリをOracle Management Agentのホーム・ディレクトリに変更し、管理エージェントを停止します。

    $PROMPT> AGENT_HOME/bin/emctl stop agent
    

    注意:

    emctl stop agentコマンドは、Oracle Management Serviceのホーム・ディレクトリではなく、必ずOracle Management Agentのホーム・ディレクトリで実行してください。

  3. Oracle Management Repositoryが同じホストに存在する場合、次の手順に従います。

    1. ORACLE_HOME環境変数を管理リポジトリ・データベースのホーム・ディレクトリに設定します。

    2. ORACLE_SID環境変数を管理リポジトリ・データベースのSID(デフォルトはasdb)に設定します。

    3. データベース・インスタンスを停止します。

      $PROMPT> ORACLE_HOME/bin/sqlplus /nolog
      SQL> connect SYS as SYSDBA
      SQL> shutdown
      SQL> quit
      

      関連項目:

      Oracle Databaseの起動および停止の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    4. Netリスナーを停止します。

      $PROMPT> $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl stop
      

27.4 Oracle Management Serviceとともに起動されるサービス

管理サービスを起動するとき、次のサービスが起動されます。

  1. OPMNプロセス。これはApacheプロセスのウォッチドッグです。OPMNプロセスは、Apacheプロセスがクラッシュしたときにそれを起動します。

  2. HTTPサーバーを起動するApacheプロセス。

  3. ノード・マネージャのJavaプロセス。これは、管理対象サーバーおよび管理サーバー・プロセスのウォッチドッグです。管理対象サーバーおよび管理サーバーのプロセスがクラッシュしたときに、それを再起動します。

  4. 管理サーバーのJavaプロセス(OMSの起動コマンドが最初のOMSマシンで実行された場合)。これは、構成済Enterprise Managerドメインの構成データをメンテナンスするWebLogic Serverのインスタンスです。

  5. 管理対象サーバーのJavaプロセス。これは、Enterprise Managerのアプリケーションがデプロイされる管理対象WebLogic Serverです。

  6. (Windowsのみ)ノード・マネージャ・サービスのプロセス。これは、ノード・マネージャを起動および停止するためのWindowsサービスです(Linuxのノード・マネージャ・プロセスに相当する)。

  7. (Windowsのみ)OMSサービスのプロセス。これは、OMSを起動および停止するWindowsサービスです。

  8. BI PublisherサーバーのJavaプロセス(システムで構成済の場合)。これは、Oracle BI Publisherアプリケーションがデプロイされる管理対象WebLogic Serverです。

27.5 Windows上のOracle Management ServiceとManagement Agentの起動および停止

WindowsシステムにOracle Management Service (OMS)またはOracle Management Agentをインストールすると、インストール時に新規サービスが「サービス」コントロール パネルに作成されます。

「サービス」コントロール パネルにアクセスする手順は、使用しているMicrosoft Windowsのバージョンによって異なります。たとえばWindows 2000では、「スタート」メニューから、「設定」「管理ツール」の順に選択して「サービス」コントロール パネルに移動します。


注意:

emctlユーティリティは、OMSまたは管理エージェントをインストールしたOracleホームのbinサブディレクトリで使用可能です。しかし、OMSまたは管理エージェントの起動および停止をWindowsシステム上で行う場合は「サービス」コントロール パネルの使用をお薦めします。

表27-1に、OMSおよび管理エージェントの制御に使用するWindowsサービスを示します。

表27-1 OMSおよび管理エージェントをWindowsにインストールする場合にインストールおよび構成されるサービス

コンポーネント サービス名の形式 説明

Oracle Management Server

OracleManagementServer_EMGC_OMS1_1

このサービスを使用して、管理サービスJ2EEアプリケーションの一部としてインストールおよび構成されたすべてのコンポーネントを起動および停止します。

Oracle Management Agent

Oracle<agent_home>Agent

次に例を示します。

OracleOraHome1Agent

管理エージェントの起動および停止にはこのサービスを使用します。


27.6 EMCTLコマンドを使用したメトリック収集の再評価

次のコマンドを使用して、メトリック収集の即時再評価を実行します。

emctl control agent runCollection <targetName>:<targetType> <colletionItemName>

<collectionItemName>は、メトリックを収集する収集項目の名前です。

通常、関連メトリックはともに収集されます。ともに収集された一連のメトリックはメトリック収集と呼ばれます。各メトリック収集は独自の名前を持ちます。メトリックを再評価する場合、まずそれが属しているメトリック収集の名前を判別し、次にそのメトリック収集の収集項目を判別する必要があります。

前述のコマンドを実行してメトリックを再評価すると、同じメトリック収集および収集項目に含まれているその他のメトリックもすべて再評価されます。

次の手順を実行して、メトリックに対するメトリック収集名および収集項目名を判別します。

  1. $INSTALL_BASE/ngagent/pluginsディレクトリ($INSTALL_BASEはインストールのルート)に移動します。管理エージェントのOracleホームはこのディレクトリにあります。

  2. ターゲット・タイプのXMLファイルを探します。たとえば、「使用可能なファイルシステム領域(%)」というホスト・メトリックを対象とする場合は、host.xmlファイルを探します。

  3. XMLファイル内で、対象とするメトリックを探します。メトリックとして認識しているものは、実際にはメトリックの表示名です。メトリック名には、次で始まるタグが先頭に含まれます。

    <Label NLSID=

    たとえば、host.xmlファイルでは、「使用可能なファイルシステム領域(%)」のメトリックには、次のようなエントリが含まれます。

    <Label NLSID="host_filesys_pctAvailable">Filesystem Space Available (%) </Label>
    
  4. XMLファイル内でメトリックを検索すると、そのエントリがより大きなエントリの一部であることがわかります。このエントリの先頭は次のとおりです。

    <Metric NAME=

    Metric NAMEに定義されている値を記録します。これがメトリック収集の名前です。たとえば、「使用可能なファイルシステム領域(%)」メトリックの場合、エントリは次のようになります。

    <Metric NAME="Filesystems"

    したがって、「使用可能なファイルシステム領域(%)」メトリックの場合、メトリック収集の名前はFilesystemsです。

  5. 次に、このメトリック収集の収集項目を判別する必要があります。$INSTALL_BASE/plugins/<plugin idディレクトリに移動します。$INSTALL_BASEは管理エージェントのOracleホームです。

  6. このディレクトリでは、ターゲット・タイプの収集ファイルを探します。この例では、これはhost.xmlです。

  7. メトリック収集がそれ自体によって収集される場合は、同じ名前の単一の収集項目が収集ファイル内に存在します。メトリック収集にこれが該当するかどうかを判別するには、収集ファイル内で、次で始まるエントリを探します。

    <CollectionItem NAME=

    CollectionItem NAMEに割り当てられている値は、手順4のMetric NAMEと一致します。

    「使用可能なファイルシステム領域(%)」メトリックの場合、収集ファイル内のエントリは次のようになります。

    <CollectionItem NAME = "Filesystems"

  8. そのようなエントリが見つかった場合、CollectionItem NAMEに割り当てられている値が、emctlコマンドで使用可能な収集項目の名前です。

  9. それ以外の場合、メトリック収集は、単一の収集項目の下の他のメトリック収集とともに収集されることを意味します。メトリック収集の収集項目を見つけるには、まず、メトリック収集を探します。次のタグが先頭に含まれます。

    <MetricColl NAME=

    見つかったら、その上のファイル内で<CollectionItem NAME=を探します。

    CollectionItem NAMEと関連する値は、emctlコマンドで使用する収集項目の名前です。

    たとえば、「オープン・ポート」というホスト・メトリックを再評価する場合は、前述の手順を使用して次の操作を実行します。

    1. $INSTALL_BASE/plugins/<plugin idディレクトリに移動します。$INSTALL_BASEは管理エージェントのOracleホームです。host.xmlファイルを探し、そのファイル内で<Metric NAME="openPorts"を探します。

    2. $INSTALL_BASE/ngagent/plugins/default_collectionディレクトリに移動します。host.xmlファイルを探し、そのファイル内で<CollectionItem NAME="openPorts"を探します。

      見つからなかった場合は、<MetricColl NAME="openPorts"を探します。

    3. そのファイル内で、このエントリより前の部分で<CollectionItem NAME=文字列、および<CollectionItem NAME="oracle_security"を探します。

    oracle_securityという収集項目名が、emctlコマンドを使用して「オープン・ポート」メトリックを再評価する際に使用されます。

27.7 新規のターゲット・モニタリング資格証明のEnterprise Managerでの指定

データベース・ターゲットのパフォーマンスを監視するため、Enterprise Managerはデータベースのユーザー名およびパスワードを使用してデータベースに接続されます。このユーザー名とパスワードの組合せが、データベースの監視資格証明と呼ばれます。


注意:

この項の指示はデータベース・ターゲットの監視資格証明に固有のものですが、監視資格証明が必要な他のあらゆるターゲット・タイプに対してこの手順を使用できます。たとえば、この手順を使用してOracle Management Serviceおよび管理リポジトリに対する新規の監視資格証明を指定できます。

Oracle9iデータベース・ターゲットを最初に追加したとき、または管理エージェントのインストール時に追加されたとき、Enterprise Managerでは監視資格証明として、DBSNMPデータベース・ユーザー・アカウントとDBSNMPアカウントのデフォルト・パスワードが使用されます。

Oracle Database 11gをインストールする際、データベースのインストール時にDBSNMP監視パスワードを指定します。

このため、DBSNMPデータベース・ユーザー・アカウントのパスワードが変更されている場合は、データベース・ターゲットのプロパティを変更して、Enterprise Managerが引き続きデータベースに接続して構成およびパフォーマンス・データを収集できるようにする必要があります。

同様に、Cloud Controlに新規のOracle Database 11gターゲットを追加したらすぐに、データベースのインストール時に定義したDBSNMPパスワードを認識するようにターゲットを構成する必要があります。このように構成しない場合、データベースのホームページに監視データが何も表示されず、データベースのステータスにメトリック収集エラーが示される可能性があります。


注意:

Enterprise Managerの監視資格証明は、Oracle Enterprise Manager 12c Cloud Controlコンソールを使用して変更できます。

27.8 OMSのEMCTLコマンド

表27-2に、OMSのEMCTLコマンドを示します。

表27-2 OMSのEMCTLコマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl getversion oms

OMSインスタンスのバージョンを表示します。

emctl start oms

OMSアプリケーションおよびJVMDエンジンの実行に必要なFusion Middlewareコンポーネントを起動します。

具体的にいうと、このコマンドは、HTTP Server、ノード・マネージャ、OPMNプロセス、および管理サービスがデプロイされる管理対象サーバーを起動します。さらに、このコマンドを管理サーバーがあるホストで実行した場合、その管理サーバーも起動されます。同様に、Oracle BI Publisherが構成されたホストでこのコマンドを実行すると、Oracle BI Publisherも起動されます。

注意: OMSを起動または停止できるのはOracleソフトウェア所有者のみです。

emctl start oms -admin_only

ドメインの管理サーバーのみ起動します。

emctl start oms -bip_only

BI Publisherサーバーのみ起動します。

emctl stop oms

OMS管理対象サーバー、JVMDエンジンおよびHTTPサーバーを停止しますが、ノード・マネージャと管理サーバーは実行中のままにします。

注意: emctl stop omsコマンドではFusion Middlewareを停止しません。

emctl stop oms -all

管理サーバー、OMS、HTTP Server、ノード・マネージャ、管理サーバー、JVMDエンジンおよびOracle BI Publisher (ホストで構成済の場合)を含むすべてのEnterprise Managerプロセスを停止します。

emctl stop oms -all -force

および

emctl stop oms -force

OMSを停止します。

パラメータ-forceは、emctl stop oms -allおよびemctl stop omsの両方のコマンドで使用できます。-forceオプションは、関連プロセスを強制的に停止します。このパラメータを使用することはお薦めしません。

emctl stop oms -bip_only [-force]

BI Publisherサーバーのみ停止します。

パラメータ-forceは、プロセスを正常にではなく強制的に停止します。このパラメータを使用することはお薦めしません。

emctl status oms

OMS、JVMDエンジンおよびBI Publisherサーバーのステータスをリストします。

emctl status oms -bip_only

BI Publisherサーバーのステータスのみリストします。

emctl status oms -details [-sysman_pwd <pwd>]

次のようなOMSの詳細をリストします。

  • OMSのHTTPおよびHTTPSアップロードおよびコンソール・ポートとそれぞれのURL

  • インスタンス・ホームの場所

  • OMSログ・ディレクトリ

  • ソフトウェア・ロード・バランサ構成の詳細

  • 管理サーバー・マシンおよびポート

  • Oracle BI Publisherの詳細

  • JVMDエンジン

-sysman_pwdパラメータは、Enterprise ManagerのSYSMANパスワードを示します。コマンドラインで指定しないと、入力するように求められます。

emctl set property

OMS構成プロパティの値を設定します。

デフォルトでは、コマンドemctl set propertyはすべてのOMSのプロパティ値を設定します。特定のOMSのプロパティ値を設定するには、追加オプションの-oms_nameを、hostname.myco.com:17707_Management_Serviceという形式で指定します。現在のOMSのプロパティ値を設定するには、-oms_name = "local_oms."と指定します。リモートのOMSのプロパティ値を設定するには、-oms_name=<name of remote OMS>と指定します。

注意: Enterprise Manager 12.1.0.2.0以降では、次のようにCloud ControlコンソールでOMSプロパティを表示および編集できます。

  1. 「設定」メニューから、「Cloud Controlの管理」「管理サービス」の順に選択します。

  2. 「管理サービス」ページで、「構成プロパティ」をクリックします。

  3. 「構成プロパティ」ページで、OMSプロパティを表示および編集できます。

    注意: このページに移動するには、「OMS構成プロパティ」リソース権限が必要です。

emctl get property

OMS構成プロパティの値を表示します。

emctl get property -name <property name> [-oms_name <OMS name>] [-sysman_pwd "sysman password"]

指定したプロパティの値を表示します。

-nameはプロパティの名前、-oms_nameはプロパティ値が導出されるOMSの名前を示します。-oms_nameを指定しないと、すべてのOMSのプロパティ値が表示されます。

emctl set property -name <property name> -value <property value> [-oms_name <OMS name>] [-module <emoms|logging>] [-sysman_pwd "sysman password"]

指定したプロパティの値を設定します。

次に各パラメータについて説明します。

  • -name: プロパティの名前を指定します。

  • -oms_name: プロパティ値を設定する必要のあるOMSを示します。このオプションを指定しないと、プロパティ値はグローバル・レベルまたは現在のOMSで設定されます。

  • -module_name: プロパティのモジュールを示します。loggingまたはemomsを指定します。loggingプロパティはLog4jを構成するために使用されますが、emomsプロパティはOMSを構成するために使用されます。

emctl set property -file <absolute path of the file containing properties> [-oms_name <OMS name>] [-module <emoms|logging>] [-sysman_pwd "sysman password"]

指定したファイルのプロパティの値を設定します。

次に各パラメータについて説明します。

  • -file_name: プロパティおよび値を含む.propertiesファイルの絶対パスを示します。このファイルには、値の設定が必要なプロパティのみが含まれる必要があります。

  • -oms_name: プロパティ値を設定する必要のあるOMSを示します。このオプションを指定しないと、プロパティ値はグローバル・レベルまたは現在のOMSで設定されます。

  • -module_name: プロパティのモジュールを示します。loggingまたはemomsを指定します。loggingプロパティはLog4jを構成するために使用されますが、emomsプロパティはOMSを構成するために使用されます。

emctl delete property -name <property name> [-oms_name <OMS name>] [-module <emoms|logging>] [-sysman_pwd "sysman password"]

指定したプロパティの構成済の値を削除し、デフォルト値に設定します。

-nameはプロパティの名前、-oms_nameはプロパティ値が削除されるOMSの名前を示します。-oms_nameを指定しないと、プロパティ値はグローバル・レベルまたは現在のOMSで削除されます。

emctl list properties

すべてのOMSのプロパティを表示します。

-out_fileパラメータを使用して、すべてのOMSのすべてのプロパティのリストを取得します。このコマンドによって、2つのOMS間の構成を簡単に比較できます。

emctl list properties [-oms_name <OMS name>] [-module <emoms|logging>] [-out_file <output file name>] [-sysman_pwd "sysman password"]

ユーザーに表示されるすべてのOMSプロパティの値を表示します。

次に各パラメータについて説明します。

  • -oms_name: プロパティ値が表示されるOMSを示します。このオプションを指定しないと、すべてのOMSのプロパティ値が表示されます。

  • -module_name: プロパティのモジュールを示します。このオプションは、モジュール固有のプロパティを表示するためのフィルタとして使用できます。loggingプロパティはLog4jを構成するために使用されますが、emomsプロパティはOMSを構成するために使用されます。

  • -out_file: 出力ファイルの絶対パスを示します。これは、出力をファイルに保存するためのオプションのパラメータです。

emctl config oms -list_repos_details

OMSリポジトリの詳細を表示します。

emctl config oms -store_repos_details [-repos_host <host> -repos_port <port> -repos_sid <sid> | -repos_conndesc <connect descriptor> ] -repos_user <username> [-repos_pwd <pwd>]

管理リポジトリとして指定したデータベースを使用するようにOMSを構成します。

コマンドに示されているすべての追加パラメータを指定する必要があります。

emctl config oms -change_repos_pwd [-old_pwd <old_pwd>] [-new_pwd <new_pwd>] [-use_sys_pwd [-sys_pwd <sys_pwd>]]

リポジトリ・データベースおよびOMSでrootユーザー(SYSMAN)のパスワードを変更します。

Enterprise Managerのrootユーザー(SYSMAN)のパスワードを変更するには:

  1. emctl stop omsコマンドを使用してすべてのOMSを停止します。

  2. いずれかのOMSでemctl config oms -change_repos_pwdを実行します。

  3. emctl stop oms -allおよびemctl start omsコマンドを使用してすべてのOMSを再起動します。

emctl config oms -change_view_user_pwd [-sysman_pwd <sysman_pwd>] [-user_pwd <user_pwd>] [-auto_generate]

OMSがMGMT_VIEWユーザーのためにレポート生成に使用するパスワードを構成します。

Enterprise ManagerのMGMT_VIEWユーザーのパスワードを変更するには:

  1. emctl stop omsコマンドを使用してすべてのOMSを停止します。

  2. いずれかのOMSでemctl config oms -change_view_user_pwdを実行します。

  3. emctl stop oms -allおよびemctl start omsコマンドを使用してすべてのOMSを再起動します。

emctl secure oms

OMSのSSL構成を設定します。

emctl genreport oms -file_name <file_name> [-dest_dir <dest_dir>]

emcliトレース・パフォーマンス・レポートを生成および保存します。

-file_nameはトレース・データを含む入力ファイルの名前を示し、-dest_dirはパフォーマンス・レポートが保存される出力ディレクトリの名前を示します。

emctl gen_ui_trace_report oms [-start_time <start_time in hh:mm:ss format>] [-duration <duration in hh:mm format>] [-user_name <username>] [-out_file <out_file>] [-sysman_pwd <sysman_pwd>]

ユーザー・インタフェース(UI)・アクセスのパフォーマンス・レポートを生成します。

次に各パラメータについて説明します。

  • -user_name: UIアクセスのパフォーマンス・レポートを生成する必要のあるユーザー名を示します。デフォルトは、すべてのユーザーです。

  • -start_time: レポート生成の開始時間をhh:mm:ssの形式で示します。

  • -duration: レポート生成の期間をhh:mmの形式で示します。デフォルトは01:00です。最大期間は24:00です。

  • -out_file: 出力レポート・ファイルの名前を示します。

emctl config oms -set_startup_mode [pbs_only | console_only | normal]

OMSの起動モードを構成します。このコマンドをプライマリOMSで実行することはできません。

次の3つの起動モードがあります。

  • pbs_only: 起動モードをpbs_onlyに構成すると、コマンドemctl start omsはPBSアプリケーションのみ起動します。

  • console_only: 起動モードをconsole_onlyに構成すると、コマンドemctl start omsはコンソール・アプリケーションのみ起動します。

  • normal: 起動モードをnormal,に構成すると、コマンドemctl start omsはPBSとコンソールの両方のアプリケーションを起動します。

emctl config oms -get_startup_mode

現在のOMSのOMS起動モードを表示します。

emctl config oms sso -host ssoHost -port ssoPort -sid ssoSid -pass ssoPassword -das dasURL -u user

認証にOracle SSO (OSSO)を使用するようにEnterprise Manager (EM)を構成します。このコマンドを使用するには、このコマンドの入力として生成済の登録ファイルが必要になるため、EMサイトをOSSOサーバーに登録しておく必要があります。

emctl config oms -update_ds_pwd -ds_name <datasource_name> [-ds_pwd <datasource_pwd>]

指定したデータソースの新しいパスワードを更新します。

コマンドでは、-ds_nameはデータソースの名前を示し、-ds_pwdはデータソースの新しいパスワードを示します。

emctl config oms -store_embipws_creds [-admin_pwd <weblogic_pwd>] [-embipws_user <new_embipws_username>] [-embipws_pwd <new_embipws_pwd>]

インストールしたBI PublisherのWebサーバーにアクセスするためにEnterprise Managerが使用するパスワードとオプションでユーザー名を変更します。

emctl動詞は、バックエンドのユーザーの資格証明は変更しません。対応するアプリケーションまたはコンソールを使用して、このemctl動詞で使用する資格証明と一致するようにバックエンドの資格証明を構成します。

このコマンドは、BI Publisherがインストールされている場合にのみ動作します。このコマンドでは、いずれのOMS (EMGC_OMS####、BIP####)も再起動する必要はありません。

emctl config oms -bip_shared_storage -config_volume <vol1> -cluster_volume <vol2> [-admin_pwd <adminpwd>] [-sysman_pwd <sysmanpwd>]

OMSの追加の準備として、BI Publisherの共有記憶域を設定します(スケールアウトされたBI Publisherも含みます)。OMSを追加すると、高可用性環境で動作するBI Publisherサーバーが自動的に追加されます。したがって、BI Publisherは冗長性とスケーラビリティの両方をサポートすることになります。

このコマンドは、高可用性(HA)環境でBI Publisherを実行するための準備として、共有記憶域の場所を設定または移動する場合に使用します。

パラメータ-config_volumeは、BI Publisherのリポジトリおよび構成ファイルを指定します。このパラメータで指定したボリュームに、既存のボリュームがコピーされます。

パラメータ-cluster_volumeは、BI PublisherのスケジューラがHA環境で動作するために必要なストレージを指定します。

通常、このコマンドは、プライマリOMSおよびプライマリBI Publisherを含むシステムで1回のみ実行されます。

emctl extended oms <verb> [verb_args] [-help]

EMCTL拡張フレームワークに登録された<verb>を実行します。

verb_argsパラメータは、動詞固有の引数を指定します。

-helpパラメータは、動詞固有のヘルプを表示します。拡張された動詞のリストについては、emctl extended omsを実行してください。

emctl register oms metadata -service <Metadata Service Id> (-file <Metadata Instance file> | -file_list <File containing list of files to register>) (-core | -pluginId <Plugin Id>) [-sysman_pwd <sysman password>]

メタデータを登録します。

-file_listパラメータは、ファイル・パスのリスト(1行に1つずつ)を含むファイルへのパスを表示します。これらのファイル・パスは、-coreパラメータを渡すか、-pluginIdパラメータを渡すかによって、OMS OracleホームまたはプラグインOracleホームの相対パスになります。

emctl register oms metadata -service targetType -file <XML filename> [-core | -pluginId <Plugin Id>] [-sysman_pwd "sysman password"]およびemctl register oms metadata -service storeTargetType -file <XML filename> [-core | -pluginId <Plugin Id>] [-sysman_pwd "sysman password"]

これらの2つのコマンドが順番に実行されたときにターゲット・タイプを登録します。

パラメータ-file <XML filename>は、ターゲット・タイプの.xmlファイル名と絶対パスまたは相対パスを指定します。

emctl deregister oms metadata -service <Metadata Service Id> (-file <Metadata Instance file> && (-old_file <File containing previous metadata instances> | -no_old_file <in case there are no previous metadata instances>)) | -file_list <File containing list of ';' separeated new and old files to deregister>) (-core | -pluginId <Plugin Id>) [-sysman_pwd <sysman password>]

メタデータを消去します。

-file_listオプションは、ファイル・パスのリスト(1行に1つずつ)を含むファイルへのパスを表示します。これらのファイル・パスは、-coreパラメータを渡すか、-pluginIdパラメータを渡すかによって、OMS OracleホームまたはプラグインOracleホームの相対パスになります。


27.9 管理エージェントのEMCTLコマンド

表27-3に、管理エージェントのEMCTLコマンドを示します。

表27-3 管理エージェントのEMCTLコマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl start agent

管理エージェントを起動します。

大規模なメモリー構成を使用するIBM AIX環境で、管理エージェントによって多数のターゲットが監視されている場合、エージェントが起動しないことがあります。この問題を防止するには、管理エージェントを起動する前に、共通の環境ファイルに次のパラメータを追加します。

LDR_CNTRL="MAXDATA=0x80000000"@NOKRTL
AIXTHREAD_SCOPE=S

LDR_CNTRL変数は、データ・セグメントのサイズを設定し、カーネル空間でのランタイム・ライブラリのロードを無効にします。AIXTHREAD_SCOPEパラメータは、AIXスレッドスコープのコンテキストを、デフォルトのP(プロセス全体)からS(システム全体)に変更します。これにより、mutexの競合が少なくなります。

emctl stop agent

管理エージェントを停止します。

emctl status agent

管理エージェントのステータスをリストします。

管理エージェントが実行中の場合、このコマンドで、エージェント・ホーム、プロセスIDおよび最後に成功した管理リポジトリへのアップロードの日時など、管理エージェントに関するステータス情報を表示します。

注意: コマンドの実行前にWindowsシステム上でディレクトリをAGENT_INSTANCE_HOMEディレクトリに変更します。

emctl status agent -secure

管理エージェントの保護ステータスおよび管理エージェントが実行している保護モード・ポートをリストします。また、OMSのセキュリティ・ステータスおよびポートもリストします。

emctl status agent scheduler

実行中、準備完了および計画のすべての収集スレッドをリストします。

emctl status agent jobs

現在管理エージェントで実行しているジョブのステータスをリストします。

emctl status agent target <target name>,<target type>,<metric>

指定されたターゲットの詳細ステータス(ターゲット名、ターゲット・タイプなど)をリストします。emctl status agentコマンドに特定のメトリック名を指定することで、ターゲットの特定のメトリックのステータスも取得できます。

emctl status agent mcache <target name>,<target type>,<metric>

メトリック・キャッシュに値が存在しているメトリックの名前をリストします。

emctl upload

アップロードが保留されている.xmlファイルをアップロード・ディレクトリのOMSにアップロードします。

emctl upload(エージェント)

管理対象ホストから管理サービスに対する現在の管理データの即時アップロードを強制実行するには、このコマンドを使用します。このコマンドは、次に予定されているデータのアップロードまで待てない場合に使用できます。

emctl reload(agent)

このコマンドは、emd.propertiesファイルを手動で変更した後に、変更を適用する場合に使用できます。たとえば、アップロード間隔を変更するには、emd.propertiesを変更した後、emctl reloadを実行できます。

注意: 手順が明確に文書化されている場合またはOracleサポートからユーザーに指示があった場合を除いて、手動によるtargets.xmlファイルの編集はサポートされていません。

emctl reload agent dynamicproperties [<Target_name>:<Target_Type>]...

ターゲットの動的プロパティを再計算し、表示します。

emctl pingOMS [agent]

OMSにpingを送信して、管理エージェントがOMSに接続できるかどうかを確認します。pingOMSが正常であることを確認できるように、管理エージェントはOMSからpingが返されるまで待機します。

emctl config agent getTZ

環境に設定したとおり現在のタイムゾーンを構成します。

emctl config agent getSupportedTZ

環境に設定されている値に基づいてサポートされているタイムゾーンを表示します。

emctl config console <fileloc> [<EM loc>]

ファイル<fileloc>に指定されている構成エントリに基づいてコンソールを構成します。

<EM loc>パラメータはオプションで、別のOracleホームで動作するために使用できます。

emctl config agent listtargets [<EM loc>]

管理エージェントによって監視するすべてのターゲット名およびタイプ(targets.xmlファイルにあります)をリストします。

<EM loc>パラメータはオプションで、別のOracleホームで動作するために使用できます。

emctl control agent runCollection <target_name>:<target_type> <metric_name>

ターゲットの特定のメトリックの収集を手動で実行できます。

たとえば、emctl control agent runCollection myOracleHomeTargetName:oracle_home oracle_home_configです。

emctl control agent runCollection <targetName>:<targetType> <colletionItemName>

メトリック収集の即時再評価を実行します

このコマンドを実行すると、メトリックの再評価された値が管理リポジトリにアップロードされ、メトリックがしきい値を超えた場合にアラートをトリガーします。

メトリックに関連付けられているメトリック名と収集項目名を特定するには、第27.6項を参照してください。

emctl resetTZ agent

管理エージェントのタイムゾーンをリセットします。現在のタイムゾーンを別のタイムゾーンに変更するには、管理エージェントを停止してから、このコマンドを実行します。その後、管理エージェントを起動します。

重要:

管理エージェントのタイムゾーンを変更する前に、管理エージェントで管理されているターゲットで現在実行中または実行予定のブラックアウトがあるかどうかを確認してください。ブラックアウトの確認方法については、第4.2.3項を参照してください。

ブラックアウトが存在する場合は、Cloud Controlコンソールから、その管理エージェントで監視されているすべてのターゲットでスケジュールされているブラックアウトおよび現在実行中のブラックアウトをすべて停止します。その後、管理エージェントのタイムゾーンを変更でき、さらに必要に応じてターゲットに新しいブラックアウトを作成できます。

emctl getversion agent

管理エージェントのバージョンを出力します。

emctl dumpstate agent <component> . . .

管理エージェントのダンプを生成します。このコマンドを使用すると、管理エージェントのメモリー/CPUに関する問題を分析できます。

emctl gensudoprops

管理エージェントのsudoプロパティを生成します。

emctl clearsudoprops

sudoプロパティをクリアします。

emctl clearstate

状態ディレクトリの内容をクリアします。このコマンドを実行すると、$ORACLE_HOME/sysman/emd/stateにあるファイルが削除されます。状態ファイルは、管理エージェントによって対応する.xmlファイルに変換されるのを待機しているファイルです。

emctl getemhome

管理エージェントのホーム・ディレクトリを出力します。

emctl start blackout <Blackoutname> [-nodeLevel] [<Target_name>[:<Target_Type>]].... [-d <Duration>]

ターゲットでブラックアウトを開始します。

パラメータ<Target_name:Target_type>を入力しないと、デフォルトとしてローカル・ノード・ターゲットが取得されます。<Blackoutname>の後に-nodeLevelパラメータを指定すると、ブラックアウトがすべてのターゲットに適用され、その後に続くターゲット・リストは無視されます。<Duration>は[days] hh:mmの形式で指定する必要があります。

emctl stop blackout <Blackoutname>

特定のターゲット上で開始されたブラックアウトを停止します。emctlを使用して停止できるのは、emctlツールによって開始されたブラックアウトのみです。このコマンドでは、コンソールまたはemcliユーティリティを使用して開始されたブラックアウトは停止できません。

emctl status blackout[<Target_name>[:<Target_Type>]]....

ターゲットのブラックアウトのステータスを示します。ステータスには、ブラックアウトのタイプ、ブラックアウトが1回のアクションか、繰返しか、またはスケジュール済のいずれであるかが含まれます。このコマンドは、ブラックアウトが開始または停止されているかどうかも指定します。

emctl secure agent [registration password] -emdWalletSrcUrl <url> -protocol <ssl|tls>

OMSで管理エージェントを保護します。コマンドで登録パスワードを指定しなかった場合は入力が求められるため、このパスワードは必須です。

-emdWalletSrcUrlパラメータは、エージェントを保護する必要があるOMSのURLを示します。

-protocolパラメータは、管理エージェントを保護するために使用するプロトコルを示します。使用できる値は、sslおよびtlsです。

emctl unsecure agent

管理エージェントの保護を解除します。このコマンドは、管理エージェントのポートをHTTPポートに変更します。このコマンドを実行した後、管理エージェントは、OMSのHTTPSアップロード・ポートではなく、HTTPアップロード・ポートに接続することによって、HTTPのOMSにアップロードできるようになります。

emctl verifykey

pingOMSの送信によって、OMSと管理エージェント間の通信を検証します。

emctl deploy agent [-s <install-password>] [-o <omshostname:consoleSrvPort>] [-S] <deploy-dir> <deploy-hostname>:<port> <source-hostname>

管理エージェントのみ作成およびデプロイします。

次に各パラメータについて説明します。

  • [-s <password>]: 管理エージェントを保護するためのインストール・パスワードを示します。

  • [-S ]: パスワードがSTDINで指定されることを示します。

  • [-o <omshostname:consoleSrvPort>]: OMSホスト名およびコンソール・サーブレット・ポートを示します。保護解除されたポートを選択します。

  • <deploy-dir>: 共有(状態のみ)のインストール・ポートを作成するためのディレクトリを示します。

  • <deploy-hostname:port>: 共有(状態のみ)インストールのホスト名およびポートを示します。未使用のポートを選択します。

  • <source-hostname>: ソース・インストールのホスト名を示します。通常、EMがインストールされているマシンです。ホスト名は、targets.xmlファイルで検索されるか、またはこのファイルで引数<deploy-hostname:port>で指定したホスト名と置き換えられます。

  • <sid>: リモート・データベースのインスタンスを示します。dbconsoleをデプロイする場合にのみ指定します。

emctl setproperty agent

管理エージェント構成ファイルで指定したプロパティ名および値を構成します。フラグallow_newは、管理エージェント構成ファイルに新しいプロパティが存在しない場合に挿入するオプションのフラグです。

emctl getproperty agent

管理エージェント構成ファイルから、指定したプロパティまたはプロパティのカテゴリを取得します。現在、このコマンドでは名前に空白を使用できません。フラグ-nameは、プロパティ名のリストを空白で区切って表示します。

emctl clear_property agent

管理エージェント構成ファイルで指定したプロパティの値を消去します。

emctl status agent verify

管理エージェントが稼働していることを確認します。


27.10 EMCTLのセキュリティ・コマンド

この項では、EMCTLのセキュリティ・コマンドについて説明します。

この項では、次のトピックについて説明します。

27.10.1 EMCTLのセキュリティ・コマンド

表27-6に、EMCTLの一般的なセキュリティ・コマンドを示します。

表27-4 EMCTLのセキュリティ・コマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl secure console [-sysman_pwd <pwd>] (-wallet <wallet_loc>| -self_signed) [-key_strength <strength>] [-cert_validity <validity>]

OMSのHTTPSコンソール・ポートのSSL構成を設定します。

emctl secure lock [-sysman_pwd <pwd>] [-console] [-upload]

OMSのアップロードおよびコンソールをロックすることで、OMSへのHTTPアクセスを回避します。

-consoleおよび-uploadパラメータはオプションです。

-consoleパラメータはEMコンソールへのHTTPアクセスをロックおよび回避し、HTTPSでのみEMコンソールにアクセスできるようにします。

-uploadパラメータによって、管理エージェントがOMSに接続できるのはHTTPS経由でのみになるため、管理エージェントがHTTP経由でOMSにデータをアップロードできなくなります。

emctl secure unlock [-sysman_pwd <pwd>] [-console] [-upload]

OMSアップロードおよびコンソールのロックが解除されるため、OMSへのHTTPアクセスが可能になります。

-consoleおよび-uploadパラメータはオプションです。

-consoleパラメータは、HTTP経由でもアクセスできるようにコンソールのロックを解除します。

-uploadパラメータは、アップロード・アクティビティのロックを解除するため、管理エージェントはHTTP経由でもOMSにデータをアップロードできるようになります。

emctl secure createca [-sysman_pwd <pwd>] [-root_country <root_country>] [-root_state <root_state>] [-root_org <root_org>] [-root_unit <root_unit>] [-key_strength <strength>] [-cert_validity <validity>]

後でOMSおよび管理エージェントを保護するときに証明書を発行するために使用する新しい認証局(CA)を作成します。

emctl secure setpwd [sysman password] [new registration password]

新しい管理エージェント登録パスワードを追加します。

emctl secure sync

管理リポジトリが起動しているかどうかを確認します。

emctl secure create_admin_creds_wallet [-admin_pwd <pwd>] [-nodemgr_pwd <pwd>]

管理者資格証明ウォレットを再作成します。

emctl secure oms [-sysman_pwd <sysman password>] [-reg_pwd <registration password>] [-host <hostname>] [-ms_hostname <Managed Server hostname>] [slb_port <SLB HTTPS upload port>] [-slb_console_port <SLB HTTPS console port>] [-no_slb] [-secure_port <OHS HTTPS upload Port>] [-upload_http_port <OHS HTTP upload port>] [-reset] [-console] [-force_newca] [-lock_upload] [-lock_console] [-unlock_upload] [-unlock_console] [-wallet <wallet_loc> -trust_certs_loc <certs_loc>] [-key_strength <strength>] [-sign_alg <md5|sha1|sha256|sha384|sha512>] [-cert_validity <validity>] [-protocol <protocol>] [-root_dc <root_dc>] [-root_country <root_country>] [-root_email <root_email>] [-root_state <root_state>] [-root_loc <root_loc>] [-root_org <root_org>] [-root_unit <root_unit>]

emctl secure omsコマンドは、管理リポジトリにルート鍵を生成し、OMSと管理エージェント間のHTTPSチャネルが有効になるようにWebTierを変更し、OMSがEnterprise Managerフレームワーク・セキュリティを使用して管理エージェントからのリクエストを受け入れることができるようにします。

emctl secure wls [-sysman_pwd <sysman password>] (-jks_loc <loc> -jks_pvtkey_alias <alias> | -wallet <loc> | -use_demo_cert)

emctl secure wlsコマンドは、WebLogic Serverを保護します。


前述のコマンドのパラメータについて次に説明します。

  • -host: ソフトウェア・ロード・バランサ(SLB)または仮想ホスト名を示します。

  • -ms_hostname: OMSが実行しているマシンの実際のホスト名を示します。

  • -slb_port: アップロード用にSLBで構成されたHTTPSポートを示します。

  • -slb_console_port: コンソール・アクセス用にSLBで構成されたHTTPSポートを示します。

  • -no_slb: SLB構成を削除します。

  • -secure_port : WebTierでのHTTPSアップロード・ポート変更を指定します。

  • -upload_http_port: WebTierでのHTTPアップロード・ポート変更を指定します。

  • -reset: 新しいCAを作成します。

  • -force_newca: 古いCAで保護された管理エージェントがある場合でも、新しいCAを使用してOMSで強制的に保護します。

  • -console: コンソールHTTPSポート用にも証明書を作成します。

  • -lock_upload: アップロードをロックします。

  • -lock_console: コンソールをロックします。

  • -unlock_upload: アップロードのロックを解除します。

  • -unlock_console: コンソールのロックを解除します。

  • -wallet: 外部ウォレットが配置されるディレクトリを示します。

  • -trust_certs_loc: 信頼できるすべての証明書を含むファイルを示します。

  • -key_strength: 512|1024|2048

  • -sign_alg: 署名アルゴリズムmd5|sha1|sha256|sha384|sha512です。

  • -cert_validity: 証明書が有効である必要がある日数を示します。最小値が1で、最大値が3650です。

  • -protocol: WebTierで使用されるSSLプロトコルを示します。<protocol>の有効な値は、ApacheのSSLプロトコル・ディレクティブで許容される値です。

  • -jks_loc: 管理者および管理対象サーバーのカスタム証明書を含むJKSの場所を示します。

  • -jks_pvtkey_alias: JKSの秘密鍵の別名を示します。

  • -jks_pwd: JKSのキーストアのパスワードを示します。

  • -jks_pvtkey_pwd: JKSの秘密鍵のパスワードを示します。

  • -wallet: 管理者および管理対象サーバーのカスタム証明書を含むウォレットの場所を示します。

  • -use_demo_cert: 管理者および管理対象サーバーのデモンストレーション証明書を構成します。

27.10.2 セキュリティ診断コマンド

表27-5に、EMCTLのセキュリティ診断コマンドを示します。

表27-5 EMCTLのセキュリティ診断コマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl secdiag openurl -url <url> [-trust_store <location of jks or base64 file>] [-ssl_protocol <protocol>] [-cipher <low|medium|high|some_ciphersuite_name>] [-proxy_host <host> -proxy_port <port>] [-proxy_realm <realm>] [-proxy_user <user> -proxy_pwd <pwd>]

指定されたURLへの接続性の問題を診断します。

パラメータについて次に説明します。

  • -url: テストするURLを示します。

  • -trust_store: トラスト・ストアの場所を示します。jksまたはbase64ファイルです。指定しないと、接続は無条件に信頼されることになります。

  • -ssl protocol: 接続を確立するために使用されるプロトコルを示します。

  • -cipher: 使用される暗号スイートを示します。low、medium、highまたは暗号スイート名を指定できます。

  • -proxy_host: プロキシ・サーバーのホスト名を示します。

  • -proxy_port: プロキシ・サーバーのポート番号を示します。

  • -proxy_realm: プロキシ・サーバーのレルムを示します。

  • -proxy_user: プロキシ・ユーザーのIDを示します。

  • -proxy_password: プロキシ・ユーザーのパスワードを示します。

emctl secdiag dumpcertsinrepos -repos_conndesc <connect desriptor> [-repos_pwd <pwd>]

指定されたリポジトリに格納された信頼できる証明書を表示します。

emctl secdiag dumpcertsinfile -file <location of jks/sso/p12/base64 file>

指定されたキーストア、ウォレットまたはbase64ファイルにある信頼できる証明書を表示します。


27.10.3 EMCTL EMキー・コマンド

表27-6に、EMCTL EMキー・コマンドを示します。

表27-6 EMCTL EMキー・コマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl status emkey [-sysman_pwd <パスワード>]

emkeyの状態またはステータスを表示します。

emctl config emkey -copy_to_credstore [-sysman_pwd <パスワード>]

emkeyを管理リポジトリから資格証明ストアにコピーします。

emctl config emkey -remove_from_repos [-sysman_pwd <パスワード>]

emkeyを管理リポジトリから削除します。

emctl config emkey -copy_to_file_from_credstore -admin_host <ホスト> -admin_port <ポート> -admin_user <ユーザー名> [-admin_pwd <パスワード>] [-repos_pwd <パスワード>] -emkey_file <emkeyファイル>

emkeyを資格証明ストアから指定されたファイルにコピーします。

emctl config emkey -copy_to_file_from_repos (-repos_host <ホスト> -repos_port <ポート> -repos_sid <SID> | -repos_conndesc <接続記述子>) -repos_user <ユーザー名> [-repos_pwd <パスワード>] [-admin_pwd <パスワード>] -emkey_file <emkeyファイル>

emkeyを管理リポジトリから指定されたファイルにコピーします。

emctl config emkey -copy_to_credstore_from_file -admin_host <ホスト> -admin_port <ポート> -admin_user <ユーザー名> [-admin_pwd <パスワード>] [-repos_pwd <パスワード>] -emkey_file <emkeyファイル>

emkeyを指定されたファイルから資格証明ストアにコピーします。

emctl config emkey -copy_to_repos_from_file (-repos_host <ホスト> -repos_port <ポート> -repos_sid <SID> | -repos_conndesc <接続記述子>) -repos_user <ユーザー名> [-repos_pwd <パスワード>] [-admin_pwd <パスワード>] -emkey_file <emkeyファイル>

emkeyを指定されたファイルから管理リポジトリにコピーします。


27.10.4 認証の構成

この項では、認証を構成するためのEMCTLコマンドについて説明します。

この項で説明するコマンドは次のとおりです。

これらのすべてのコマンドのパラメータについて次に説明します。

  • -enable_auto_provisioning: EMでの自動プロビジョニングを有効にします(この場合、外部LDAPユーザーをEMで手動でプロビジョニングする必要はありません)。

  • -auto_provisioning_minimum_role <min_role>: LDAPでmin_roleが付与されているEMの外部ユーザーのみを自動プロビジョニングします。

  • -minimum_privilege <min_priv>: min_privが付与されていないユーザーがEMにアクセスできないようにします。

  • -use_ssl: LDAPサーバーに接続するためのSSLを示します。

  • -cert_file <cert>: SSLによるLDAPサーバーへの接続時に信頼を確立するためのLDAPサーバー証明書を示します。このオプションは、LDAPサーバーが一般的でない(または信頼できない)認証局によって署名された証明書を持つ場合に指定します。


    注意:

    このパラメータは、1つの証明書のみ受け入れます。証明連鎖のインポートはサポートされていません。このコマンドを実行する前に、keytoolユーティリティを使用して証明書をインポートします。

  • -trust_cacerts: LDAPサーバーへの接続時にLDAPサーバーの証明書への信頼を確立します。通常、このパラメータは、証明書が既知の認証局によって署名されている場合に使用します。

  • -keystore_pwd <passwd>: デフォルトのDemoTrust.jksキーストア(デフォルトのパスワードが変更された場合)、または検証の一部としてLDAPサーバーの証明書がインポートされるカスタムkeystoreのパスワードを示します。

  • -use_anonymous_bind: LDAPサーバーに接続するために匿名バインドを使用します。

27.10.4.1 OSSO認証の構成

EMCTL OSSO認証コマンドは、Oracle Application Server Single Sign-Onを使用して任意のシングル・サインオン・ユーザーをEnterprise Manager管理者として登録するように、Enterprise Managerを構成します。OSSO認証を構成するためのEMCTLコマンドは次のとおりです。

emctl config auth sso -ossoconf <conf file loc> -dasurl <DAS URL> [-unsecure] [-sysman_pwd <pwd>] [-domain <domain>] -ldap_host <ldap host> -ldap_port <ldap port> -ldap_principal <ldap principal> [-ldap_credential <ldap credential>] -user_base_dn <user base DN> -group_base_dn <group base DN> [-logout_url <sso logout url>] [-enable_auto_provisioning] [-auto_provisioning_minimum_role <min_role>] [-minimum_privilege <min_priv>] [-use_ssl] [-cert_file <cert>] [-trust_cacerts] [-use_anonymous_bind] [-keystore_pwd <passwd>]

たとえば、emctl config auth sso -ossoconf $T_WORK/osso.conf -dasurl "http://xxx.oracle.com:11" -sysman_pwd sysman -ldap_host xxx.oracle.com -ldap_port 111 -ldap_principal cn=orcladmin -ldap_credential ackdele1 -user_base_dn "cn=Users,dc=us,dc=oracle,dc=com" -group_base_dn "cn=Groups,dc=us,dc=oracle,dc=com" -logout_url "http://xxx.oracle.com:11/pls/orasso/orasso.wwsso_app_admin.ls_logout?p_done_url=https//xyy.oracle.com:216/emです。

27.10.4.2 OAM認証の構成

Oracle Access Manager認証は、Oracle Fusion Middlewareのシングル・サインオン・ソリューションです。この認証スキームは、すべてのエンタープライズ・アプリケーションにわたる認証用の中心的ツールとしてOracle Access Managerで標準化されたデータ・センターに使用されます。OAM認証を構成するためのEMCTLコマンドは次のとおりです。

emctl config auth oam [-sysman_pwd <pwd>] -oid_host <host> -oid_port <port> -oid_principal <principal> [-oid_credential <credential>] [-use_anonymous_bind] -user_base_dn <dn> -group_base_dn <dn> -oam_host <host< -oam_port <port> [-logout_url <url>] [-is_oam10g] [-user_dn <dn>] [-group_dn <dn>] [-enable_auto_provisioning] [-auto_provisioning_minimum_role <min_role>] [-minimum_privilege <min_priv>] [-use_ssl] [-cert_file <cert>] [-trust_cacerts] [-keystore_pwd <passwd>]

たとえば、emctl config auth oam -oid_host "xxx.oracle.com" -oid_port "111" -oid_principal "cn=orcladmin" -user_base_dn "cn=users,dc=us,dc=oracle,dc=com" -group_base_dn "cn=groups,dc=us,dc=oracle,dc=com" -oam_host "xxx.oracle.com" -oam_port "555" -oid_credential "eldleco1" -sysman_pwd "sysman" -logout_url http://xxx.oracle.com:23716/oam/server/logout?end_url=https://yyy.oracle.com:5416/em -enable_auto_provisioning -auto_provisioning_minimum_role ”EM_DBA”です。

27.10.4.3 LDAP (OIDおよびAD)認証の構成

OID認証を構成するためのEMCTLコマンドは次のとおりです。ADの場合、次のコマンド構文emctl config auth oidemctl config auth adと置き換えます。その他のすべてのパラメータは同じままです。

OID認証コマンドは、OIDに対するユーザーの認証を行うために、すべてのアプリケーションのアイデンティティ・ストアとしてOracle Internet Directoryを構成します。

同様に、AD認証コマンドは、ADに対するユーザーの認証を行うために、すべてのアプリケーションのアイデンティティ・ストアとしてMicrosoft Active Directoryを構成します。

emctl config auth oid -ldap_host <ldap host> -ldap_port <ldap port> -ldap_principal <ldap principal> [-ldap_credential <ldap credential>] [-sysman_pwd <pwd>] -user_base_dn <user base DN> -group_base_dn <group base DN> [-user_dn <dn>] [-group_dn <dn>] [-enable_auto_provisioning] [-auto_provisioning_minimum_role <min_role>] [-minimum_privilege <min_priv>] [-use_ssl] [-cert_file <cert>] [-trust_cacerts] [-use_anonymous_bind] [-keystore_pwd <passwd>]

たとえば、emctl config auth oid -ldap_host "xxx.oracle.com" -ldap_port "111" -ldap_principal "cn=orcladmin" -user_base_dn "cn=users,dc=us,dc=oracle,dc=com" -group_base_dn "cn=groups,dc=us,dc=oracle,dc=com" -ldap_credential "elecmee1" -sysman_pwd "sysman" –use_ssl –cert_file ”/scratch/oidcert.txt”です。

27.10.4.4 リポジトリ認証(デフォルトの認証)の構成

リポジトリ認証コマンドは、認証を行うために管理リポジトリに対するユーザー資格証明を検証します。リポジトリ認証を構成するためのEMCTLコマンドは次のとおりです。

emctl config auth repos [-sysman_pwd <pwd>]

27.11 EMCTLのHAConfigコマンド

表27-7に、EMCTLのHA構成コマンドを示します。

表27-7 EMCTLのHA構成コマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl exportconfig oms [-sysman_pwd <sysman password>]

指定したディレクトリにOMS構成のスナップショットをエクスポートします。構成の詳細は安全な場所に保存し、構成が変更されるたびに保存することをお薦めします。これらの詳細は、システムのリカバリ時に必要になります。

パラメータについて次に説明します。

  • -oms_only: 管理サーバー・ホストでのOMSのみのバックアップを指定します。

  • -keep_host: SLBが定義されていない場合に、ホスト名もバックアップに含めることを指定します。このオプションは、このホスト名に応答するマシンでリカバリが実行される場合にのみ使用します。

emctl importconfig oms -file <backup file> [-no_resecure] [-sysman_pwd <sysman password>] [-reg_pwd <registration password>]

指定したバックアップ・ファイルからOMS構成をインポートします。このコマンドは、システムのリカバリ時に使用されます。パラメータについて次に説明します。

  • -file <backup file>: インポート元となるバックアップ・ファイルを示します。

  • -no_resecure: インポートが完了した後、システムがOMSを再度保護しないことを指定します。デフォルトでは、インポートの完了後、OMSは再度保護されます。

emctl config emrep [-sysman_pwd <sysman password>]

OMSおよびリポジトリ・ターゲットを構成します。このコマンドを使用して、ターゲットの監視エージェントや、このターゲットの監視に使用される接続文字列を変更します。パラメータについて次に説明します。

  • -agent <new agent>: emrepターゲットの新しい宛先エージェントを指定します。

  • -conn_desc [<jdbc connect descriptor>]: 指定された値で接続記述子を更新します。値を指定しないと、emoms.propertiesに格納された値から指定されます。

  • -ignore_timeskew: エージェントでの時間誤差を無視します。

emctl config repos [-sysman_pwd <sysman password>]

リポジトリ・データベース・ターゲットを構成します。このコマンドを使用して、ターゲットの監視エージェントや監視プロパティ(ホスト名、Oracleホームおよびこのターゲットの監視に使用される接続文字列)を変更します。パラメータについて次に説明します。

  • -agent <new agent>: リポジトリ・ターゲットの新しい宛先エージェントを指定します。

  • -host <new host>]: リポジトリ・ターゲットの新しいホスト名を指定します。

  • -oh <new oracle home>: リポジトリ・ターゲットの新しいOracleホームを指定します。

  • -conn_desc [<jdbc connect descriptor>]: 指定された値で接続記述子を更新します。値を指定しないと、emoms.propertiesに格納された値から指定されます。

  • -ignore_timeskew: エージェントでの時間誤差を無視します。

emctl enroll oms [-as_host <host>] -as_port <port> - as_pws <admin password> -nm_pwd <nodemanager password>

指定された管理サーバー・ホストにOMSを登録します。このコマンドは、複数OMS環境でOMSをリカバリするプロセスで使用します。パラメータについて次に説明します。

  • -as_port <port>: 管理サーバーのセキュア・ポートを指定します。

  • -as_pwd <admin password>: 管理サーバーのパスワードを指定します。

  • -nm_pwd <nodemanager password>: ノード・マネージャのパスワードを指定します。


27.12 EMCTLのResyncコマンド

表27-8に、EMCTLのresyncコマンドを示します。

表27-8 EMCTLのResyncコマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl resync repos (-full|-agentlist "agent names") [-name "resync name"] [-sysman_pwd "sysman password"]

リポジトリの再同期化操作を発行します。–fullオプションを指定すると、リポジトリへの最新の状態のアップロードがすべてのエージェントに指示されます。

-agentパラメータは、再同期化を行うエージェントのリストを示します。

注意: このコマンドを使用するには、まずOMSesを終了してからresync reposコマンドを発行します。次にOMSesを起動して、再同期化ジョブを起動します。

emctl abortresync repos (-full|-agentlist "agent names") -name "resync name" [-sysman_pwd "sysman password"]

現在実行されているリポジトリの再同期化操作を中断します。–fullオプションはリポジトリ全体の再同期化を停止し、–agentlistオプションはエージェントのリストの再同期化を停止します。

emctl statusresync repos -name "resync name"

指定したリポジトリの再同期化操作のステータスをリストします。


27.13 EMCTLのコネクタ・コマンド

Enterprise Managerでカスタム・テンプレートを追加および登録するEMCTLコマンドは、次のとおりです。

emctl register_template connector [-t <template.xml>] [-repos_pwd <repos password>] [-cname <connectorName>] [-iname <internalName>] [-tname <templateName>] [-ttype <templateType>] [-d <description>]

パラメータについて次に説明します。

  • -t: テンプレートのフルパスを示します。

  • -repos_pwd: Enterprise Managerのroot (SYSMAN)のパスワードを示します。

  • -cname: コネクタ名を示します。

  • -iname: テンプレートの内部名を示します。

  • -tname: テンプレートの表示名を示します。

  • -ttype: テンプレート・タイプを示します。次のタイプがあります。

    • <templateType> 1: 着信変換

    • <templateType> 2: 送信変換

    • <templateType> 3: XMLベースの送信変換

  • -d: 説明を示します。

27.14 EMCTLのパッチ・リポジトリ・コマンド

表27-9に、EMCTLのパッチ・リポジトリ・コマンドを示します。

表27-9 EMCTLのパッチ・リポジトリ・コマンド

EMCTLコマンド 説明

emctl applypatch repos [-patchHome <patch home directory> -pluginHome <plugin home directory>]

パッチに含まれる.sqlファイルをリポジトリにロードします。このコマンドはパッチ・ディレクトリから実行する必要があり、パッチが解凍される場所へのパスを指定する必要があります。

emctl rollbackpatch repos [-patchHome <patch home directory> -pluginHome <plugin home directory>]

リポジトリから指定されたパッチ・ディレクトリの場所に.sqlファイルを再コールします。


27.15 Windows NTのEMCTLコマンド

emctl create serviceコマンドは、WindowsのOMSに対するサービスを作成します。このコマンドを使用して、コールド・フェイルオーバー・クラスタ設定内のフェイルオーバー・ホスト上にあるOMS用のWindowsサービスを管理します。このコマンドは、Windows NTにのみ適用されます。このコマンドの構文は次のとおりです。

emctl create service [-oms_svc_name <oms_service_name> -user <username>] [-passwd <password>]

パラメータについて次に説明します。

  • -oms_svc_name <servicename>: 作成されるOMSサービスの名前を示します。名前を指定しないと、システムはEMプロパティ・ファイルのサービス名を使用します。

  • -user <username>: サービスを登録するOSユーザー名を示します。ユーザー名を指定しないと、システムによってLocalSystemとして登録されます。

  • -passwd <password>: 指定されたOSユーザーのOSパスワード。

emctl delete serviceコマンドは、WindowsのOMSに対するサービスを削除します。このコマンドは、Windows NTにのみ適用されます。コマンド構文は次のとおりで、-oms_svc_name <servicename>は、削除されるOMSサービスの名前を示します。

emctl delete service [-oms_svc_name <oms_service_name>]

27.16 EMCTLのPartoolコマンド

emctl partoolユーティリティは、次のことに役立ちます。

  • デプロイメント・プロシージャと、その関連付けられたコンポーネントおよびディレクティブをparファイルとしてエクスポートする

  • parファイルをCloud Controlの同一インスタンスまたは別のインスタンスにインポートする

次のようなemctl partoolコマンドもあります。

  • emctl partool <deploy|view> -parFile <file> -force(optional)

  • emctl partool <deploy|view> -parFile <file> -force(optional) -ssPasswd <password>

  • emctl partool <deploy|view> -parDir <dir> -force(optional)

  • emctl partool export -guid <procedure guid> -file <file> -displayName <name> -description <desc> -metadataOnly(optional)

  • emctl partool check

  • emctl partool help

表27-10に、EMCTLのpartoolコマンド・オプションを示します。

表27-10 EMCTLのPartoolコマンド・オプション

EMCTLコマンド・オプション 説明

<deploy|view|export>

parファイルをデプロイ、表示またはエクスポートします。

repPasswd <repPasswd>

リポジトリのパスワードを指定します。

force

swlibエンティティの再作成または再アップロードを強制的に行います。すでに存在する場合は、新しいバージョンが作成されます。

check

ソフトウェア・ライブラリが構成されているかどうかをチェックします。

file <file>

parファイルを示します。

verbose

verboseモードを示します。

help

ヘルプ・メッセージを表示します。

displayName <displayName>

parファイル名を示します。

parDir <dir>

parファイルが配置されるディレクトリを示します。

metadataOnly

メタデータのみをエクスポートするためのフィルタ。

guid <guid>

エクスポートするプロシージャguidを示します。複数のプロシージャをエクスポートするときは、guidsをカンマ(,)で区切って指定します。

parFile <file>

parファイルのパスを示します。

description <description>

parファイルの説明を示します。

ssPasswd <secretStorePassword>

このパラメータはオプションです。このパラメータは、指定されたパスワードでOracleウォレットを作成し、エクスポートされたソフトウェア・ライブラリ・エンティティにシークレット・プロパティの値を格納します。ユーザーは、新しいリポジトリにparファイルをインポートする間、同じパスワードを使用する必要があります。



注意:

emctl partoolコマンドの詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理ガイド』emctl partoolユーティリティの使用に関する説明を参照してください。

27.17 EMCTLのプラグイン・コマンド

EMCTLのプラグイン・コマンドは、失敗した以前のプラグイン・アップグレード・セッションを再開する場合に使用します。スキーマ・マネージャ・セッションで以前に失敗が発生した場合は、失敗したPL/SQLブロックから実行が再開されます。コマンド構文は次のとおりです。

emctl resume_plugin_upgrade


注意:

プラグイン・デプロイメントのステータスを確認するには、コマンドemctl status oms -details [-sysman_pwd <pwd>]を実行します。

27.18 OPSSポリシー・ストアとの同期のためのEMCTLコマンド

EMリポジトリとOPSSポリシー・ストア間のロールおよびユーザーを同期するためのEMCTLコマンドは次のとおりです。

emctl sync_opss_policy_store [-force]


注意:

-forceパラメータを指定すると、EMにないOPSSアプリケーション・ロールおよびロール・メンバーシップは削除されます。

27.19 Oracle Management Service起動エラーのトラブルシューティング

Oracle Management Service (OMS)の起動が失敗したときにチェックすべきログ・ファイルについて以下に述べます。

Oracle Management Serviceの起動失敗

表27-11に示す場所にあるログをチェックします。表内のINSTANCE_HOMEはOMSインスタンスのホームで、nはOMSサーバーのインデックスです。

表27-11 OMSのログ・ファイルの場所

OMSのログ・ファイル ログ・ファイルの場所

EMCTLのログ・ファイル

$INSTANCE_HOME/sysman/log/emctl.log

管理対象サーバーのログ・ファイル

$INSTANCE_HOME/user_projects/domains/<DOMAIN_NAME>/servers/EMGC_OMS<n>/logs/EMGC_OMS<n>.log

$INSTANCE_HOME/user_projects/domains/<DOMAIN_NAME>/servers/EMGC_OMS<n>/logs/EMGC_OMS<n>.out

OMSのログ・ファイル

$INSTANCE_HOME/sysman/log/emoms_pbs.log

$INSTANCE_HOME/sysman/log/emoms_pbs.trc

$INSTANCE_HOME/sysman/log/emoms.trc

$INSTANCE_HOME/sysman/log/emoms.log

ノード・マネージャのログ・ファイル

$INSTANCE_HOME/NodeManager/emnodemanager/nodemanager.log


WebTierサービスの起動失敗

WebTierの起動に失敗する場合は、<WebTier Instance Home>/diagnosticsフォルダにあるログをチェックします。

27.20 管理エージェント起動エラーのトラブルシューティング

エージェントの起動に失敗する場合は、emctl.logおよびemagent.nohupのログ・ファイルで詳細を確認します。ログ・ファイルは$AGENT_INSTANCE_HOME/sysman/logsディレクトリに保存されます。一般的な問題およびトラブルシューティングのヒントを次に示します。

27.20.1 起動した管理エージェントの準備未完了

管理エージェントは、次のようなプロセスを経て起動されます。

  1. 起動中(管理エージェントは、起動のリクエストを受信し、初期化シーケンスを開始しようとしています)

  2. 初期化中(管理エージェントは、そのコンポーネントのそれぞれについて初期化を繰り返しています)

  3. 準備完了(すべてのコンポーネントの初期化が済み、管理エージェントはリクエストの受付が可能です)

管理エージェントの起動コマンド(emctl start agent)は、デフォルトで120秒でタイムアウトします。タイムアウトの最後に、コール元に制御を戻し、制御を戻す直前の管理エージェントの状態を表示します。管理エージェントの監視するターゲット数によっては、前述の手順2に長い時間がかかり、コマンドの終了時、エージェントの状態は「初期化中」で、「エージェントは実行中だが、準備が完了していない」というメッセージが通知されることがあります。

環境変数「EMAGENT_TIME_FOR_START_STOP」の設定により、タイムアウトを延ばすことができます。この値は、コール元に制御を戻すまでの待機秒数を示します。

27.20.2 エージェントとOMS間のタイムゾーンの不一致による管理エージェント起動の失敗

管理エージェントは、emd.propertiesファイルに設定されているタイムゾーンを使用します。管理エージェントのインストール・プロセスで、エージェントおよびホスト・ターゲットはそのタイムゾーンとともにOMSに登録されます。インストール後のいずれかの時点で管理エージェントのタイムゾーンが変更されている場合、OMSはこの不一致を検出するとすぐに、管理エージェントに対し、停止するようにシグナルを送ります。

管理エージェントのタイムゾーンをリセットするには、次のコマンドを実行します。

emctl resetTZ agent

エージェントのタイム・ゾーンの設定の詳細は表27-3emctl resetTZ agentコマンドの説明を参照してください。

27.20.3 使用可能ポートの競合による管理エージェントの起動失敗

管理エージェントが起動できず、EMCTLからポートが競合している可能性があると通知される場合は、管理エージェントのポート(emd.properties:EMD_URLに基づくもの)をチェックし、すでにそのポートにバインドされてそのマシンで実行中の別のアプリケーション、たとえば別のエージェントが存在しないかを確認します。

この問題を解決するには、現在、管理エージェント用のポートにバインドされているアプリケーションを停止します。

27.20.4 保護または保護解除の失敗による管理エージェントの起動失敗

OMSに対してエージェントを保護するパスワードが正しくない場合、またはOMSがロックされているか停止している場合、管理エージェントの保護または非保護は失敗します。失敗の理由は、<agent state directory>/sysman/log/secure.logファイルで参照できます。

27.21 emctl.logファイルを使用したトラブルシューティング

emctl.logファイルは、実行したすべてのEMCTLコマンドの結果が取得されるファイルです。管理エージェントでは、このログ・ファイルは管理エージェントの$AGENT_INSTANCE_HOME/sysman/logディレクトリにあり、OMSでは、このログ・ファイルは$OMS_INSTANCE_HOME/em/EMGC_OMS<n>/sysman/log/ディレクトリにあります。ファイルは、EMCTLコマンドを実行するたびに更新されます。なんらかの理由でEMCTLコマンドが失敗した場合は、このログ・ファイルにアクセスして問題を診断してください。

たとえば、管理エージェントのOracleホーム・ディレクトリから次のコマンドを実行して、そのステータスを確認します。

UNIXの場合:

<agent_instance_home>/bin/emctl status agent

Windowsの場合:

<agent_instance_home>\bin\emctl status agent

コマンドを実行した後、ログ・ディレクトリに移動して、emctl.logファイルで次の情報を確認します。

1114306 :: Wed Jun 10 02:29:36 2011::AgentLifeCycle.pm: Processing status agent
1114306 :: Wed Jun 10 02:29:36 2011::AgentStatus.pm:Processing status agent
1114306 :: Wed Jun 10 02:29:37 2011::AgentStatus.pm:emdctl status returned 3

ここで、最初の列1114306は、ステータス確認のために使用されたPIDです。2番目の列には、コマンドを実行した日付と時刻が示されます。3番目の列には、コマンドに対して実行されたPerlスクリプトが示されます。最後の列にはコマンドの結果が示され、コマンドによる進行状況とコマンドによって戻された終了コードが示されます。この例では、終了コードは3です。これは管理エージェントが起動され、実行中であることを表しています。

同様に、OMSの場合、管理サービスのOracleホーム・ディレクトリから次のコマンドを実行して、ステータスを確認できます。

UNIXの場合:

<OMS_HOME>/bin/emctl status oms

Windowsの場合:

<OMS_HOME>\bin\emctl status oms

例27-1 OMSのサンプル・ログの内容

2013-06-23 22:50:25,686 [main] INFO  wls.OMSController main.219 - Executing emctl command : status
2013-06-23 22:50:26,281 [main] INFO  commands.BaseCommand printMessage.404 - statusOMS finished with result: 0
2013-06-23 22:50:35,885 [main] INFO  wls.OMSController main.219 - Executing emctl command : status
2013-06-23 22:50:36,464 [main] INFO  commands.BaseCommand printMessage.404 - statusOMS finished with result: 0 

別の例として、管理エージェントのOracleホーム・ディレクトリから次のコマンドを実行して、データをアップロードします。

UNIXの場合:

<Agent_Instance_Home>/bin/emctl upload agent

Windowsの場合:

<Agent_Instance_Home>\bin\emctl upload agent


コマンドを実行した後、ログ・ディレクトリに移動して、emctl.logファイルで次の情報を確認します。

1286220 :: Tue Jun  9 07:13:09 2011::AgentStatus.pm:Processing upload
1286220 :: Tue Jun  9 07:13:10 2011::AgentStatus.pm:emdctl status agent returned 3
1286220 :: Tue Jun  9 07:13:41 2011::AgentStatus.pm: emdctl upload returned with exit code 6

ここで示されるエントリは最初の例と似ていますが、戻された終了コードは6です。つまり、なんらかの理由により、アップロード操作が失敗したことを表しています。

実行したemctlコマンドに応じて、終了コードが戻されます。一般に、終了コード「ゼロ」は成功を示し、ゼロ以外の終了コードは失敗を示します。失敗の原因の詳細は、エラー・メッセージを参照してください。