目次 前 次 PDF


CICSアプリケーションのテスト

CICSアプリケーションのテスト
この項の内容は次のとおりです。
概要
Test Mangerを使用して、Tuxedo ART for CICSで稼働中のリホストされたCICSアプリケーションをテストできます。2種類のCICSプログラムのテストが可能になります。
テストの実行前に、前章の説明に従ってプロジェクトを作成する必要があります。プロジェクトを作成してテスト・マシンにデプロイしたAPPDIRの場所に関連付けると、指定したAPPDIRでトランザクション定義およびプログラム定義を記述したtransaction.descおよびprograms.desc構成ファイルをスキャンして、使用可能なすべてのCICSテスト・ユニットが識別されます。これら2つのファイルは、z/OSのCICSリージョン構成のCICSシステム定義(CSD)を使用して、ART Workbenchで生成されます。プロジェクトが作成され、テスト・マシン上のAPPDIRに関連付けられると、スキャンは自動的に実行され、識別されたテスト・ケースがすべてデフォルトのテスト・グループであるCICS_RTに追加されます。CICSテスト・ケースは、このデフォルト・グループ、カスタム名で手動作成される新規グループ、またはグループに作成されるテスト・プランで実行できます。CICSグループのユーザー・インタフェースを次に示します。
左側のナビゲータをクリックすると、ツリー・メニューが展開され、プロジェクト、グループ、テスト・プランおよびテスト・ケース名が表示されます。詳細情報および操作ボタンがメイン・パネルの上および右側に表示されます。
CICS実行環境
CICSケースは、TuxedoドメインのCICSリージョンで実行されます。各CICSグループは、Tuxedoドメインに個別のCICSリージョンを持ちます。ケースの実行前に、CICSドメインを起動しておきます。一度起動したリージョンは、停止するまで稼働し、すべてのCICSテスト・ケースで使用可能です。
CICSリージョンを持つTuxedoドメインの起動/停止
TuxedoドメインのCICSリージョンを起動/停止するには、CICSタイプのテスト・グループを入力し、ドメイン起動または「ドメインの停止」をクリックします。ドメイン起動、ドメイン起動(部分)またはドメイン停止の各ステータスがパネルの右側に表示されます。詳細な起動または停止プロセス、および関連メッセージは、メイン操作パネルの下のコンソール・エリアに表示されます。
ドメインが部分的にのみ起動されていることがステータスで示されている場合は、コンソール領域のメッセージを確認し、どのサーバーの起動が失敗しているか、またテスト・ケースに影響があるかどうかを判断します。影響がある場合は、TuxedoのULOGメッセージを(プロジェクト・ビューでグループに対応する「結果」ボタンをクリックして)確認し、さらに関連ログを確認して原因を特定します。根本原因が解決したら、ドメインを停止し、構成が変更されている場合はドメインのクリーンアップを実行して再起動します。
CICSリージョンを持つTuxedoドメインのモニター
ドメインのモニターをクリックして、CICSドメイン・モニタリング画面を開き、ポーリング間隔ごとのトランザクション情報を表示します。ビューはポーリング間隔単位で動的に更新されます。この値は画面上部の数値を変更し、「適用」ボタンをクリックして変更できます。データがない場合は、現在実行中のトランザクションはありません。
これはART Test ManagerのCICS実行の基本的なモニタリングを提供します。より詳細なモニタリングのために、Tuxedo System and Application Monitor Plus (TSAM Plus)では、リアルタイム/履歴パフォーマンス・モニタリング、実行の詳細なトレース、SLAアラートなどの追加機能を提供しています。
CICSリージョンを持つTuxedoドメインのクリーンアップ
ubbconfigまたはsetenv変更などのドメイン構成変更を適用するには、ドメイン再起動前に、設定フェーズで生成されたtuxconfigおよびTLOGの削除などのクリーンアップ操作が必要になります。ドメインのクリーンアップ・ボタンをクリックすると、Test Managerでクリーンアップのタスクが実行されます。ドメインが起動中の場合は、これらの操作は許可されないため、このボタンをクリックする前にドメインを停止する必要があります。
CICSテスト・グループ向けにカスタマイズしたスクリプトのアップロード
Test Managerには拡張フレームワークが組み込まれており、ユーザーが作成した実行前スクリプトおよび実行後スクリプト、実行ファイル、および結果チェック用スクリプトなどを実行できます。これらのカスタム・スクリプトは、CICSグループ/プラン/ケースに対してサポートされています。
グループ/テスト・プラン/ケースの各パネルで「アップロード」ボタンをクリックすると、アップロード・ダイアログが表示されます。これらのカスタム・スクリプトの指定は任意であり、テスト・ケースの実行に必須ではありません。
CICS 3270テスト・ケース(オンライン画面)
プロジェクトの作成時には、構成ファイルtransactions.descを分析してCICS 3270テスト・ケースが自動的に検出されます。このファイルはz/OSのCICSシステム定義(CSD)抽出を元にART Workbenchで作成されます。
説明
Tuxedo ART for CICSでは3270をサポートしており、CICS BMSマップの画面定義に基づき、オンライン・トランザクションとtn3270エミュレータの間でのインタラクションが可能になります。このインタラクションは3270データ・ストリームの形を取っているため、z/OS上で稼働するオンラインCICSトランザクションによるインタラクションとまったく同じものです。Test Managerは、メインフレーム・インタラクションのベースライン取得、Tuxedo ART for CICS環境でリホストされているトランザクションでのベースラインの再現、および対応する3270データ・ストリームと画面の比較といった、テスト自動化のための機能を提供しています。
CICS 3270ケースのテストでは次を行います。
1.
2.
3.
4.
自然に発生する差異がある点に注意してください。CICS画面に日付/時刻のフィールド、またはホスト名、IPアドレス、CICSリージョンを起動したバッチ・ジョブ名、ユーザーID、その他の外部属性など、実行環境に依存するフィールドが含まれる場合がこれに該当します。予想されるこれらの差異に対処するため、Test Managerでは3270フィールドのフィルタリングをサポートしています。フィルタは単にフィールドを比較対象から除外するためのみに使用されます。フィルタはテスト・ケース・レベルで設定でき、テスト・ケースの定義時に事前に定義することも、テスト実行後の結果比較時に定義することもできます。結果比較時に定義する場合、テスト・ケースのステータスは最初は「失敗」ですが、ユーザー側で前述に該当しない項目をすべて検証し、前述のフィールドを選択して比較の対象外にすると成功になります。これ以降テスト・ケースを実行する場合は、フィルタが自動的に適用され、他の差異は比較対象から除外され、ケースが成功としてマークされます。
構成
CICS 3270ケースの場合、必須構成項目はtn3270レコーダのベースラインのみであり、実行前スクリプト、実行後スクリプト、3270フィールド・フィルタ、フィールド・フィルタ・パターン、およびコメントの5項目の構成は任意です。「構成」列のアイコンをクリックすると、CICS 3270ケースの詳細構成ダイアログが開きます。
構成ダイアログには6つのタブがあり、アップロード済の実行前/実行後スクリプトのチェック、tn3270レコーダを使用したベースラインの生成、3270フィールド・フィルタ・リストのチェックまたは編集、3270フィールド・フィルタリング・パターンの追加または編集、およびこのテスト・ケースのテキスト・コメントの追加または編集にそれぞれ使用できます。
次のタブがあります。
 
tn3270レコーダの使用と取得したベースラインのアップロード
CICS 3270テスト・ケースの実行前に、トランザクションをz/OS上で実行し、3270データ・ストリームをベースラインとして「.tgz」ファイル形式で取得します。この目的でtn3270レコーダ・ツールを使用します。tn3270レコーダのスタンドアロン・モードでの使用方法の詳細は、「付録I - tn3270レコーダ」を参照してください。
ケースの詳細ビューで、「アップロード」ボタンをクリックし、アップロード・ウィザードを開きます。ベースラインの「.tgz」ファイルを、オプションの実行前スクリプト、実行後スクリプト、および追加カスタム検証ステップ用の結果チェック・スクリプトとともにアップロードできます(MQメッセージがキューから送信または取得されたか、ファイルまたはDBが更新されたか、TSQアイテムがポストされたか、バッチ・ジョブがTDQで送信されたか、などを結果チェック・スクリプトで検証できます)。
3270ケースのベースライン・ファイルの生成およびアップロードには(よりわかりやすい)もう1つの方法があります。そのステップを次に示します。
1.
2.
3.
4.
5.
注意:
5) テスト・マネージャ画面に戻り、tn3270rcdを停止をクリックして、tn3270レコーダ・デーモンを停止します。
6) ベースライン収集をクリックすると、生成されたベースラインが自動的にアップロードされます。手動でのアップロードは不要です。
フィールド・フィルタリングの設定
アプリケーションが正しく実行されていれば、画面上のほとんどのフィールドはメインフレームのベースラインと一致します。ただし、原因が判明している差異が存在し、比較した場合に100%の一致にはならない場合があります。たとえば画面に日付またはタイムスタンプが含まれている場合、この値は取得されたz/OSベースラインとART for CICSでの実行日または時間で異なる可能性があります。この差異が発生すると、他のすべての項目が一致している場合でも、Test Managerはこのテスト・ケースを失敗と判断します。ただし、3270フィールドの差異が重要なものでない場合は、フィルタに追加指定して、取得したz/OS出力とART for CICSの比較時に無視できます。たとえば次の画面では、行1列70のフィールドは現在の日付(08-03-17)です。ベースラインの日付がART for CICSでテスト・ケースが実行された日付と一致しない場合、テスト・ケースは失敗と判断されます。
比較の対象外とするフィールドの定義方法には、実行前と実行後の2種類があります。テスト・ケースの実行前にフィールドをフィルタに追加するには、関連するケースの「構成」を開き、tn3270cprフィルタ・タブをクリックします。
無視するフィールドの位置を行単位で定義します。
フィルタ・フォーマット:
Pagenumber;rowXcolumn
たとえば、2番目の画面の行1列70のフィールドを無視するには、0002;001X070と入力します
テスト・ケース実行後にフィルタを追加する(よりわかりやすい)方法がもう1つあります。テスト・ケースの実行後、差異がケースの「結果」ビューの画面差異タブに表形式(差異タブ)で、および画面を左右に並べた形(画面タブ)で表示されます。差異タブのリストから1つ以上のフィールドを選択し、フィルタ・ファイルに追加ボタンをクリックします。対応するフィールドがフィルタに追加され、次のケース実行および取得結果の比較で無視されます。対応するフィールドをこのグループのフィルタ・ファイルに追加するには、グループ・フィルタ・ファイルに追加ボタンをクリックします。ケースに対してフィルタが指定されていない場合、このグループ内の各ケースにグループ・フィルタが適用されます。
フィールドを追加後、フィルタ設定されたフィールドのリスト(pagenum:position)を、ケース構成ビューのtn3270cprフィルタ・タブでチェックできます。
フィールドをグループ・フィルタ・ファイルに追加した場合、グループ・ビュー・パネルのtn3270cprフィルタ・タブで、フィルタ設定されたフィールドのリストをチェックできます。
テスト・ケースの実行および結果のチェック
ベースライン生成後、実行をクリックすると、CICS 3270ケースを個別に、またはテスト・グループやテスト・プランの一部として実行できます。3270リプレイヤが、取得したブループリント(入力)を使用してケースを実行し、新しいベンチマーク(出力)を取得し、ベースラインのベンチマークと比較します。次の図で示すように、ログがコンソール・ビューに表示されます。
データ・ストリームの比較
テスト・ケースが終了すると、詳細な結果が「結果」ダイアログに表示されます。ケースに対応する行の「結果」列のアイコンをクリックすると、「結果」ダイアログが開きます。このダイアログでは、比較結果が画面差異タブに、データ・ストリームの差異とHTMLでレンダリングされた画面キャプチャを左右に並べた形の2種類で表示されます。
データ・ストリームの差異の結果は、差異タブに表示されます。差異を検証後、承認ボタンをクリックして結果を承認できます。ケースのステータスは「PASS」に変更されます。結果を却下するには、「拒否」ボタンを押します。ケースのステータスは「FAIL」に変更されます。
差異は表に次のようにリストされます。
 
3270データ・ストリームのフィールド属性の詳細は、IBMナレッジ・センターのDFHMDFを参照してください。
画面を左右に並べて比較
HTMLフォーマットの画面比較結果は、画面タブをクリックすると表示されます。メインフレーム画面が左に表示され、対応するART画面が右に表示されます。このビューは差異タブのフィールド・リストを視覚的にサポートすることを目的としており、その一部はテスト・レポートまたは以降の分析で使用できます。
サーバー・ログおよびトレースの検証
CICSグループのULOGおよびサーバー・トレースは、テスト・グループの結果ダイアログを表示してチェックできます。このダイアログからは次のログにアクセスできます。
 
各タブでは、ランタイムで何が使用可能かに応じて複数のログをリスト形式で表示できます。テスト時間に対応するログをクリックすると、次の図に示すように、検索およびページング可能な形式で表示されます。
CICS DPLテスト・ケース(メッセージドリブン・トランザクション)
プロジェクトの作成時には、構成ファイルprograms.descが分析され、CICS DPLテスト・ケースが自動的に検出されます。このファイルはz/OSのCICSシステム定義(CSD)抽出を元にART Workbenchで作成されます。REMOTESYSフィールドの値がnull以外のプログラムはすべてDPLプログラムとみなされ、CICS DPLケースとしてインポートされます。
説明
Tuxedo ART for CICSは、ユーザー操作なしでオンライン・トランザクションを起動する方法をいくつか提供しています。CICSプログラム内部では、EXEC CICS LINKで他のプログラムを起動でき、これはDPL (動的プログラムリンク)と呼ばれます。DPLプログラムはCICS CTG、インバウンドWebサービス・リクエスト、Tuxedo Mainframe Adapterを介してART CICSに接続されるメインフレームEXEC CICS LINKコール、およびその他のケースからの外部インタラクションに対しても使用されます。これらのトランザクションはすべて、ARTDPLサーバーで稼働しているDPLプログラムでサポートされています。ユーザーはTest Managerを使用して、Tuxedo ud32ドライバ・ツールでDPLリクエストをシミュレートできるクライアントをアップロードし、テストを自動化できます。
DPLプログラムをテストするには、最初にDPLクライアント(現在はud32スクリプトのみがサポートされています)を作成してアップロードします。テスト・ケースの実行時には、ART Test MangerはこのDPLクライアントを実行します。ただし、メインフレームのベースラインが使用できないため、テスト・ケースの結果は自動比較できません。カスタムの結果チェック・スクリプトを指定して実行すると、戻されたメッセージの内容を検証、またはそれ以外の正常実行のエビデンス(ファイルまたはDBの更新など)が得られます。
構成
CICS DPLケースの場合、必須構成項目はDPLクライアントであり、実行前スクリプト、実行後スクリプト、結果チェック・スクリプト、およびコメントの4項目が任意構成項目です。「構成」列をクリックすると、CICS DPLケースの詳細構成ダイアログが開きます。
Tuxedo ud32スクリプトを使用したDPLクライアントの作成
説明
DPLプログラムを起動するにはクライアント・プログラムが必要です。現時点ではud32スクリプトのみがDPLクライアントとしてサポートされています。
ud32の用途については、「ud、ud32、wud、wud32(1)」を参照してください。
使用可能なud32スクリプトを作成するには、サポートされているフォーマットで正しいサービス名を指定し、DPLコールで渡される実際のクライアント・メッセージに基づいて正しいメッセージ・フィールドをud32スクリプトで定義する必要があります。ART CICSのDPLインタフェースの詳細は、「Oracle Tuxedo外部DPL通信インタフェース」を参照してください。
ud32 DPLクライアントのテキスト・ファイルの例を次に示します。
リスト5‑1 例 - ud32 DPL クライアント
SRVCNM CICC_TOLOSVR
CX_USERID MAU
CXMW_MESSAGE Hello_DPL
 
次のud32構文要件に注意してください。
フィールド名とフィールドの値はタブ1つで区切られます。
DPLクライアントのアップロード
ud32スクリプトを作成したら、テスト・ケースのアップロード・ダイアログを使用してアップロードできます。
ud32スクリプトの生成
ud32スクリプトの生成およびDPLケースに対するアップロードは、簡単な方法で実行できます。ケース構成ビューを開いてud32スクリプト・タブをクリックします。プログラム名、ユーザーIDおよびCOMMAREAデータを、対応するフィールドに入力します。COMMAREAデータについては、入力コンテンツ・タイプ文字列またはファイルを選択できます。ファイルを選択した場合は、次のページが表示されます。
次に、ローカル・マシンまたは他のマシンからファイルを選択できます。「終了」をクリックすると、ファイルのコンテンツがCOMMAREAデータ・フィールドにリンクされます。
その他のパラメータ・テキスト領域で、画面に示されている形式で追加のパラメータを指定できます。
構成が完了したら、「保存」をクリックして対応するud32スクリプトを生成し、DPLケースにアップロードできます。アップロード・ダイアログでud32スクリプトをチェックでき、DPLクライアント(ud32スクリプト)の行にあるアップロード済リンクをクリックします。
テスト・ケースの実行および結果のチェック
DPLクライアントをアップロードすると、実行ボタンをクリックしてCICS DPLケースを実行できます。ログがコンソール・ビューに表示されます。
現時点では、チェック結果は次のように判定されます。キーワード「error」がud32出力に見つかった場合、DPLケースは「FAIL」になります。見つからなかった場合は「PASS」になります。カスタムの結果チェック・スクリプトを使用すると、追加の検証を実行できます。
サーバー・ログおよびトレースの検証
CICSグループのULOGおよびサーバー・トレースは、結果ダイアログを表示してチェックできます。詳細は、「サーバー・ログおよびトレースの検証」を参照してください。サーバー・ログ・タブでは、関連するサーバー実行DPLプログラムはARTDPLであり、ログ名のフォーマットは次の図に示すようにstd[out|err]_dpl_*になります。
 

Copyright ©1994, 2017,Oracle and/or its affiliates. All rights reserved