この章の構成は、次のとおりです。
アップグレードを開始する前に、アップグレード中またはその後に既存の設定が影響を受けないことを確認することが重要です。Oracle Web CacheまたはWebGateを使用しているか、アプリケーション固有のアーティファクトを11gドメインで使用している場合には、この項の各トピックをよく確認して既存の設定に影響が出ないようにします。
Oracle Web Cacheはセキュアなリバース・プロキシ・キャッシュであり、ブラウザとHTTPサーバーとの間、またはブラウザとContent Managementサーバーとの間にデプロイされる圧縮エンジンです。アクセス頻度の高いコンテンツをキャッシュすることで、Webサイトのパフォーマンスを向上します。オラクル社では、Web Cacheの最終バージョンを11gでリリースしました。Web Cacheは12cでは使用できません。
11g環境でWeb Cacheを使用している場合は、次の制限事項を考慮してください。
Web CacheはFusion Middleware 12cでは使用できません。このため、Web Cacheにはアップグレードはありません。
Web Cache 11gを12c Oracle HTTP Serverのフロントエンドにする組合せは動作保証されません。
11gのセットアップでWeb CacheとOracle HTTP Serverの両方を使用している場合、Oracle HTTP Serverのみを12cにアップグレードできます。この場合、11g Web Cacheを無効にし、トラフィックがOracle HTTP Serverに直接向けられるように構成設定を変更する必要があります。
11gセットアップでWeb CacheとOracle HTTP Serverの両方を使用し、それらをOracle WebLogic Server (WLS)ドメインに登録してEnterprise Manager Fusion Middleware Controlによって管理している場合は、WLSドメインも12cにアップグレードする必要があります。この場合、関連付けられたOracle HTTP Serverも12cにアップグレードされます。ただし、Web Cacheは、12cのFusion Middleware Controlから削除されます。
WebGateはOracle Access Manager (OAM)のWebサーバー・プラグインで、HTTPリクエストを捕捉して、認証と認可を行うためにアクセス・サーバーに転送します。WebGateはOracle HTTP Server 12cインストールに含まれており、Upgrade AssistantによってOracle HTTP Serverアップグレード処理の一部としてアップグレードされます。
注意:
Oracle Fusion Middleware 12cリリース12.2.1.1では、WebGateのログ・ファイル名がoblog.logからwebgate.logに変更されました。Oracle HTTP Serverの最新リリースへのアップグレード後に、oblog_config_wg.xmlファイルを手動で更新して、ファイル内に出現する「oblog.log」の各エントリを「webgate.log」に置き換える必要があります。このタスクを実行する手順は、WebGateのログ・ファイル名の更新を参照してください。Oracle Fusion Middleware 12cリリース12.2.1では、WebGateのログ・ファイル名がoblog.logからwebgate.logに変更されました。Oracle HTTP Serverの最新リリースへのアップグレード後に、oblog_config_wg.xmlファイルを手動で更新して、ファイル内に出現する「oblog.log」の各エントリを「webgate.log」に置き換える必要があります。
アプリケーション・アーティファクトには、JSPファイル、イメージ、スタイルシート、Javascript、静的HTMLページに加えて、Javaのクラスおよびソース・ファイルやWebアプリケーションの構成ファイルなどのすべてのWebリソースが含まれます。統合開発環境(IDE)は、これらすべてのリソースを使用し、Webアプリケーション・アーティファクトとして参照します。
11gのアプリケーション・アーティファクトがあり、12cでも引き続き使用する場合は、次をよく確認してください。
11g Oracleインスタンスから12cドメインへのOracle HTTP Serverアップグレードの一部として、Oracle HTTP Server構成ディレクトリのレイアウトが、Oracleインスタンスからスタンドアロン・ドメインに移行されます。
Oracleインスタンスのコンポーネント構成ディレクトリにあるOracle HTTP Server 11gの構成ファイルは、自動的に移行されます。
Oracleインスタンス内にあるアプリケーション・アーティファクトは、任意の組合せの静的ファイル(HTMLまたはイメージ、CGIまたはFastCGIのスクリプトまたはアプリケーション、サード・パーティのモジュールなど)を含めて、12cへのアップグレード後に手動で移行する必要があります
詳細は、「11gのアプリケーション・アーティファクトの移行」を参照してください。
Oracleインスタンス内にあるすべての11gアプリケーション・アーティファクトを、HTMLまたはイメージ、CGIまたはFastCGIのスクリプトまたはアプリケーション、サード・パーティのモジュールなど、任意の組合せの静的ファイルを含めて手動で移行する必要があります。11g構成によって参照されていたが、Oracleインスタンスの外部のディレクトリに保存されていたアプリケーション・アーティファクトは、Oracle HTTP Server 12cが使用する移行した構成によって引き続き参照されます。
たとえば、あるサード・パーティのプラグイン・モジュールがOracle HTTP Server 11gのOracleホームにインストールされており、次の例に示す構成を使用してOracleホームの場所から参照されていた場合は、このプラグイン・モジュールを12c Oracle HTTP ServerのOracleホームに手動でインストールするか、またはアップグレードした構成を変更して別の場所で参照する必要があります。
LoadModule example_module "${ORACLE_HOME}/ohs/modules/mod_example.so"
同様に、静的ファイルが11gのコンポーネント構成ディレクトリ内の/htdocs
ディレクトリにコピーされていた場合は、これらのファイルも12cインスタンスの構成ディレクトリに手動でコピーするか、またはアップグレードされた構成を修正して別の場所で参照する必要があります。他のタイプのアプリケーション・アーティファクトは、同様の手順で手動で移行する必要があります。
スタンドアロンのOracle HTTP Serverを11gから12cにアップグレードすることは、適切な方法ではありません。新しいOracleホームにOracle HTTP Server 11gソフトウェアをインストールし、次にUpgrade Assistantを使用して11gドメインをアップグレードする必要があります。
次のタスクを実行して、スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレードを完了します。
ノード・マネージャおよびスタンドアロンOracle HTTP Serverを正しく起動できれば、アップグレードが成功したことを確認できます。アップグレード後の問題が発生した場合は、インストールのトラブルシューティングを実行してアップグレードを再試行する必要があります。詳細は、Oracle HTTP Server管理者ガイドのOracle HTTP Serverのトラブルシューティングを参照してください。
ノード・マネージャとスタンドアロンOracle HTTP Serverを起動する方法を次のトピックで参照してください。
WebLogic Serverの本番環境では、サーバー・インスタンスが複数のドメイン、マシン、および地理的な場所にまたがって分散することがよくあります。ノード・マネージャは、Oracle HTTP Serverインスタンスの管理(起動、停止および再起動)に使用できるWebLogic Serverユーティリティです。
Windowsオペレーティング・システムの場合は、ノード・マネージャを起動サービスとして実行するように構成することをお薦めします。これによって、システムが再起動されるたびに、ノード・マネージャが自動で起動されます。詳細は、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』の起動サービスとしてのノード・マネージャの実行に関する項を参照してください。
注意:
UNIXプラットフォームでは、ノード・マネージャをルート・ユーザーとして実行しないでください。