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Oracle® Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
12c (12.2.1.1)
E77231-01
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12 Oracle Traffic Directorを含めるドメインの拡張

Web層を構成する場合、リクエストをアプリケーション層にルーティングするように、Oracle HTTP ServerではなくOracle Traffic Directorを使用できます。Oracle Traffic Directorの構成手順は、Oracle HTTP Serverの構成手順とは異なります。Oracle Traffic Directorを使用する場合、Web層ホストとアプリケーション層ホストの両方にOracle Traffic Directorをインストールする必要があります。その後、Oracle Traffic Directorを含めるようにエンタープライズ・デプロイメント・ドメインを拡張します。

Oracle Traffic Directorを構成する前に、「Web層の理解」を確認してください。

注意:

Oracle Managed File Transferを構成する予定の場合、TCPを介してFTPおよびSFTPリクエストをルーティングするようにOracle Traffic Directorを構成する必要があります。詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントでのOracle Managed File Transferの構成」を参照してください。

12.1 Oracle Traffic Directorについて

Oracle Traffic Directorは、アプリケーション層に対するHTTP/SおよびTCPトラフィックをロード・バランシングするためのソフトウェア・ロード・バランサです。Oracle Traffic Directorからのリクエストを受信するアプリケーション層サーバーは、Oracle Traffic Directorオリジン・サーバーと呼ばれます。オリジン・サーバーは、アプリケーション・サーバー、Webサーバー、Oracle Managed File Transfer、LDAPディレクトリ・サーバー、MLLPサーバーまたは任意の種類のTCPサーバーのいずれかです。

Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1)以降、Oracle Traffic Directorは、エンジニアド・システム(Oracle LinuxやOracle Solarisが稼働するOracle ExalogicまたはOracle Solarisが稼働するOracle SuperCluster)と組み合せて使用できることに加え、Oracle WebLogic Server Multi-tenancyまたはOracle WebLogic Server Continuous Availabilityアドオン・オプションを保持するユーザーが使用できるようになりました。

詳細は、『Oracle Traffic Director管理者ガイド』のOracle Traffic Directorのスタート・ガイドに関する項を参照してください。

12.2 エンタープライズ・デプロイメントでOracle Traffic Directorの構成時に使用される変数

Oracle Traffic Diretor参照をインストールして構成する手順では、環境内で使用される実際の値に置換できる一連の変数を使用します。

これらの手順では、次のディレクトリの場所の変数が使用されます。

  • WEB_ORACLE_HOME

  • ASERVER_HOME

  • MSERVER_HOME

  • WEB_DOMAIN_HOME

  • JAVA_HOME

  • NM_HOME

詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。

さらに、「エンタープライズ・デプロイメント用の必須IPアドレスの予約」で定義されている次の仮想IP (VIP)アドレスを参照することになります。

  • ADMINVHN

この章のアクションは、次のホスト・コンピュータで実行します。

  • APPHOST1

  • APPHOST2

  • WEBHOST1

  • WEBHOST2

注意:

この章では、APPHOST1とAPPHOST2は、アプリケーション層ホストのより汎用的な変数を示すことに注意してください。この理由は、作成されるドメインに応じて、ホスト名変数が異なるためです。

たとえば、Oracle SOA Suiteドメイン用にOracle Traffic Directorを構成する場合、APPHOST1はSOAHOST1と同じです。ただし、通常は独自のドメイン内に構成されるOracle Managed File Transferドメイン用にOracle Traffic Directorを構成する場合、APPHOST1はMFTHOST1と同じです。

12.3 エンタープライズ・デプロイメントでのOracle Traffic Directorについて

Oracle Traffic Directorは、Web層のOracle HTTP Serverのかわりとして使用できます。Oracle HTTP Serverと同様に、これはHTTPリクエストをフロントエンド・ロード・バランサからアプリケーション層のWebLogic管理対象サーバーにルーティングできます。ただし、TCPロード・バランシングおよびフェイルオーバーを提供できるのは、Oracle Traffic Directorのみです。

(SFTPリクエストのルーティングおよびロード・バランシングを必要とする) Managed File Transferを構成する場合、Oracle Traffic Directorを使用する必要があります。

エンタープライズ・デプロイメントでは、システム管理目的でOracle Traffic Directorがアプリケーション層ホストのドメインに追加されるため、Web層ホストとアプリケーション層ホストの両方にOracle Traffic Directorをインストールします。

各アプリケーション層ホストで、アプリケーション層ソフトウェアをインストールした場所と同じOracleホームに、コロケート・モードでOracle Traffic Directorをインストールします。

各Web層ホストで、スタンドアロン・モードでOracle Traffic Directorをインストールします。

その後、Fusion Middleware構成ウィザードを使用して、Oracle Traffic Directorシステム・コンポーネントを含めるようにアプリケーション層ドメインを拡張します。これにより、ドメインの管理対象サーバーの制御に使用するものと同じ管理サーバーによって、Oracle Traffic Directorコンポーネントを管理できます。

次の項では、Managed File Transferに必要なOracle Traffic Director構成を使用するための具体的な手順について説明します。ただし、エンタープライズ・デプロイメント・トポロジの他のコンポーネントに対するWeb層としてOracle Traffic Directorを構成するために、これらの項の手順を使用できます。

12.4 コロケート・モードでのアプリケーション層ホストへのOracle Traffic Directorのインストール

次の項では、Oracle Universal Installerによる対話的なグラフィカル・ウィザードを使用して、Oracle Traffic Directorをインストールする手順を説明します。高可用性に対応するようにOracle Traffic Directorを構成するには、2つのマウント・ポイントで手順を実行します。

12.4.1 Oracle Traffic Directorインストーラの起動

インストール・プログラムを起動する手順は次のとおりです。

  1. インストーラをダウンロードしたディレクトリに移動します
  2. 次のコマンドを実行して、インストール・ウィザードを起動します。
    • Linuxの場合

      fmw_12.2.1.1.0_otd_linux64.bin

インストール・プログラムが表示されると、インストールを開始する準備ができています。

12.4.2 Oracle Traffic Directorのインストール画面のナビゲート(コロケート)

次の表では、最初のアプリケーション層ホストにコロケート・モードでOracle Traffic Directorをインストールするためにインストーラ画面を使用する方法について説明します。

インストール画面に関して詳細な情報が必要な場合は、画面名をクリックしてください。

画面 説明

インストール・インベントリの設定

この画面は、UNIXオペレーティング・システムで、このホストに初めてOracle製品をインストールする場合に表示されます。中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名には、中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認してください。

中央インベントリの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』のOracle Fusion Middleware Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールに関する項を参照してください

ようこそ

「次へ」をクリックします。

自動更新

この製品の自動更新を受け取るかどうかを選択します。

インストールの場所

既存のアプリケーション層のOracleホームへのパスを入力します。

ランタイム・プロセスからこのディレクトリに書き込むことはできないので注意してください。

このエンタープライズ・デプロイメントのためには、表7-2に示すORACLE_HOME変数の値を入力します。

インストール・タイプ

この画面を使用してインストールのタイプと、それに従ってインストールされる製品および機能を選択します。

  • 「同じ場所に配置されたOTD(WebLogic Server経由で管理)」を選択します。

前提条件のチェック

前提条件が満たされているか確認するために、ホスト・コンピュータがインストーラによって分析されます。前提条件チェックの結果が画面に表示されます。

前提条件チェックが失敗した場合は、エラーまたは警告メッセージが表示されます。
  • エラーを修正し、「再実行」をクリックします。たとえば、「Oracle Traffic Directorのインストールの前提条件」に示されている必須パッケージのいずれかがシステムにない場合は、そのパッケージをインストールします。

  • エラーや警告を無視してインストールを続行する場合は、「スキップ」をクリックします。

  • 前提条件のチェック・プロセスを中止するには、「停止」をクリックします。

「次へ」をクリックして続行します。

セキュリティ・アップデートの指定

Oracle Supportアカウントをすでに所持している場合は、この画面を使用して、セキュリティ・アップデートの受取り方法を指定します。

アカウントを所持していないときに、この手順を省略してもかまわない場合は、チェック・ボックスの選択を解除して、その選択を後続のダイアログ・ボックスで確認します。

インストール・サマリー

この画面には、前に指定したOracleホーム・ディレクトリが表示されます。また、インストールに使用されるディスク領域と使用可能な空き領域も示されます。

この画面の情報を確認します。

インストール・ウィザードでこれまで指定した設定をテキスト・ファイル(レスポンス・ファイル)に保存するには、「保存」をクリックします。必要な場合は、このレスポンス・ファイルを使用して、同じインストールをコマンドラインから実行できます。

「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

サイレント・インストールやコマンド行インストールの詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールでサイレント・モードにおけるOracle Universal Installerの使用方法に関する項を参照してください。

インストールの進行状況

この画面には、インストール・プロセスの進捗状況とステータスが表示されます。

インストールを取り消す場合は、「取消」をクリックします。インストールを取り消す前にシステムにコピーされたファイルは、システムにそのまま残ります。これらは手作業で削除する必要があります。

「次へ」をクリックして続行します。

インストール完了

「終了」をクリックします。

12.4.3 アプリケーション層ホストのインストールの確認

インストールおよびインストール後の手順を完了したら、Oracleホーム・ディレクトリ(ORACLE_HOME/otd)に次のディレクトリが含まれることを確認します。

common
lib
plugins

12.5 スタンドアロン・モードでのWeb層ホストへのOracle Traffic Directorのインストール

この項では、Oracle Universal Installerによる対話的なグラフィカル・ウィザードを使用して、Oracle Traffic Directorをインストールする手順を説明します。このスタンドアロン・インストールは、エンタープライズ・デプロイメントで使用される2つのWEBHOSTシステムで実行します。

12.5.1 Oracle Traffic Directorインストーラの起動

インストール・プログラムを起動する手順は次のとおりです。

  1. インストーラをダウンロードしたディレクトリに移動します
  2. 次のコマンドを実行して、インストール・ウィザードを起動します。
    • Linuxの場合

      fmw_12.2.1.1.0_otd_linux64.bin

インストール・プログラムが表示されると、インストールを開始する準備ができています。

12.5.2 Oracle Traffic Directorのインストール画面のナビゲート(スタンドアロン)

インストール・プログラムでは次の表に記載された順番で一連の画面が表示されます。

インストール画面に関して詳細な情報が必要な場合は、画面名をクリックしてください。

画面 説明

インストール・インベントリの設定

この画面は、UNIXオペレーティング・システムで、このホストに初めてOracle製品をインストールする場合に表示されます。中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名には、中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認してください。

中央インベントリの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストール』のOracle Fusion Middleware Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールに関する項を参照してください。

ようこそ

「次へ」をクリックします。

自動更新

この製品の自動更新を受け取るかどうかを選択します。

インストールの場所

この画面を使用してOracleホーム・ディレクトリの位置を指定します。

Oracleホームは、Oracle製品のソフトウェア・バイナリが格納されているディレクトリです。ランタイム・プロセスからこのディレクトリに書き込むことはできないので注意してください。エンタープライズ・デプロイメントのためには、表7-3に示すWEB_ORACLE_HOME変数の値を入力します。

インストール・タイプ

この画面を使用してインストールのタイプと、それに従ってインストールされる製品および機能を選択します。

  • 「スタンドアロンOTD(WebLogic Serverとは切り離して管理)」を選択します。

前提条件のチェック

前提条件が満たされているか確認するために、ホスト・コンピュータがインストーラによって分析されます。前提条件チェックの結果が画面に表示されます。

前提条件チェックが失敗した場合は、エラーまたは警告メッセージが表示されます。

  • エラーを修正し、「再実行」をクリックします。たとえば、「Oracle Traffic Directorのインストールの前提条件」に示されている必須パッケージのいずれかがシステムにない場合は、そのパッケージをインストールします。

  • エラーや警告を無視してインストールを続行する場合は、「スキップ」をクリックします。

  • 前提条件のチェック・プロセスを中止するには、「停止」をクリックします。

「次へ」をクリックして続行します。

セキュリティ・アップデートの指定

Oracle Supportアカウントをすでに所持している場合は、この画面を使用して、セキュリティ・アップデートの受取り方法を指定します。

アカウントを所持していないときに、この手順を省略してもかまわない場合は、チェック・ボックスの選択を解除して、その選択を後続のダイアログ・ボックスで確認します。

インストール・サマリー

この画面には、前に指定したOracleホーム・ディレクトリが表示されます。また、インストールに使用されるディスク領域と使用可能な空き領域も示されます。

この画面の情報を確認します。

インストール・ウィザードでこれまで指定した設定をテキスト・ファイル(レスポンス・ファイル)に保存するには、「保存」をクリックします。必要な場合は、このレスポンス・ファイルを使用して、同じインストールをコマンドラインから実行できます。

「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

サイレント・インストールやコマンド行インストールの詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールでサイレント・モードにおけるOracle Universal Installerの使用方法に関する項を参照してください。

インストールの進行状況

この画面には、インストール・プロセスの進捗状況とステータスが表示されます。

インストールを取り消す場合は、「取消」をクリックします。インストールを取り消す前にシステムにコピーされたファイルは、システムにそのまま残ります。これらは手作業で削除する必要があります。

「次へ」をクリックして続行します。

インストール完了

「終了」をクリックします。

12.5.3 Web層ホストのインストールの確認

インストールおよびインストール後の手順を完了したら、Oracleホーム・ディレクトリに次のディレクトリが含まれることを確認します。

bin
crs
inventory
ldap
network
OPatch
oracore
otd
plsql
precomp
slax
srvm
wlservercfgtoollogs
css
install
jlib
lib
nls
oracle_common
oraInst.loc
oui
plugins
rdbms
sqlplus
webgate
xdk

12.6 Oracle Traffic Directorシステム・コンポーネントを含めるドメインの拡張

次の項では、Web層ホストで新しいOracle HTTP Serverスタンドアロン・ドメインを作成する方法について説明します。

12.6.1 <otd_apptier_hostname>での構成ウィザードの起動

構成ウィザードを起動するには、次のディレクトリに移動し、WebLogic Server構成ウィザードを起動します。
cd WEB_ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin
./config.sh

12.6.2 ドメインを拡張するために構成ウィザード画面へ移動

構成ウィザードを起動したら、既存のドメインを拡張するために必要な情報を提供する画面の指示に従うことができます。

12.6.2.1 ドメイン・タイプとドメインの場所の選択

ドメイン・タイプとドメインの場所を選択する手順は次のとおりです。

  1. 「構成タイプ」画面で、「既存ドメインの更新」を選択します。
  2. 「ドメインの場所」フィールドに、ASERVER_HOME変数に割り当てられている値を入力します。

注意:

12.6.2.2 Oracle Traffic Directorの構成テンプレートの選択

構成テンプレートを選択する手順は次のとおりです。

  1. 「テンプレート」画面で、Oracle Traffic Director - 12.2.1.1.0 [otd]を選択します。

ヒント:

この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』のテンプレートに関する項を参照してください。

12.6.2.3 拡張構成オプションの選択

トポロジのドメイン構成を完了するには、「拡張構成」画面で次のオプションを選択します。

  • システム・コンポーネント

12.6.2.4 Oracle Traffic Directorのシステム・コンポーネントの追加

「システム・コンポーネント」画面で、「次へ」をクリックします。

構成ウィザードでシステム・コンポーネントを構成する必要はありません。このガイドの後半の手順で、エンタープライズ・デプロイメントに必要なOracle Traffic Directorインスタンスの作成方法について説明します。

12.6.2.5 Oracle Traffic DirectorのWebLogic Serverマシンの作成

「マシン」画面を使用して、ドメイン内に3つの新規マシンを作成します。マシンは、ノード・マネージャでサーバーを起動または停止できるようにするために必要です。

  1. 「Unixマシン」タブを選択します。
  2. 「追加」ボタンをクリックして、2つの新しいUnixマシンを作成します(OTDインスタンスごとに1つ)。
  3. 各マシンで、「ノード・マネージャ・リスニング・アドレス」フィールドにWebHOSTnを、「ノード・マネージャ・リスニング・ポート」フィールドに556を指定します。

12.6.2.6 構成の指定内容の確認とドメインの構成

「構成サマリー」画面には、これから作成するドメインに関する詳細な構成情報が表示されます。この画面に示された各項目の詳細を調べて、情報に間違いがないことを確認します。

変更が必要な場合は、「戻る」ボタンを使用するか、ナビゲーション・ペインで画面を選択することで任意の画面に戻れます。

「更新」をクリックするまで、ドメインの作成は開始されません。

ヒント:

この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』の構成サマリーに関する項を参照してください。

12.6.2.7 ドメイン・ホームと管理サーバーURLの記録

「構成に成功しました」画面には、構成したばかりのドメインについて、次の項目が表示されます。

  • ドメインの場所

  • 管理サーバーURL

どちらの項目も後で必要になるため、メモしておく必要があります。ドメインの場所は、管理サーバーの起動に使用するスクリプトへのアクセスで必要になります。

「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。

12.7 ドメインの伝播とWeb層ホスト上のノード・マネージャの起動

アプリケーション層ホストにOracle Traffic Directorをインストールし、Oracle Traffic Directorシステム・コンポーネントを含めるようにドメインを拡張したら、Web層のホストにドメイン構成をコピーしてノード・マネージャを構成できます。

12.7.1 アプリケーション層でのドメインの圧縮

次の手順を使用して、ドメイン構成情報が含まれるテンプレートJARファイルを作成します。

  1. APPHOST1にログインし、次のようにpackコマンドを実行してテンプレートJARファイルを作成します。
    cd ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
     
    ./pack.sh -managed=true 
              -domain=ASERVER_HOME 
              -template=full_path/soadomaintemplate.jar
              -template_name=extend_otd_template
    

    この例では、次のようになります。

    • ASERVER_HOMEを、共有記憶域デバイスに作成したドメイン・ディレクトリの実際のパスに置き換えます。

    • full_pathを、テンプレートJARファイルを保存するディレクトリの完全なパスで置き換えます。

    • extend_otd_templateは、作成するJARファイルのサンプル名です。これには、Oracle HTTP Serverインスタンスの構成ファイルなどのドメイン構成ファイルが含まれます。

    • extend_otd_templateは、ドメイン・テンプレート・ファイルに割り当てられる名前です。

    • テンプレートJARファイルの完全なパスを、packコマンドの-template引数の一部として指定する必要があります。

  2. packコマンドで作成したばかりのテンプレートJARファイルの場所を書き留めます。

    ヒント:

    packおよびunpackコマンドの詳細は、『WebLogic Server PackおよびUnpackコマンドによるテンプレートとドメインの作成』のPackおよびUnpackコマンドの概要に関する項を参照してください。

  3. Web層ホストで使用可能な場所にテンプレートJARファイルをコピーします。

12.7.2 Web層ホストでのドメイン構成の解凍

次の手順を使用して、Oracle Traffic Directoryのドメイン構成情報をWeb層ホストにコピーします。
  1. WEBHOST1にログインします。
  2. まだ作成していない場合は、WEBHOST1の記憶域デバイスに管理対象サーバー・ドメインの推奨ディレクトリ構造を作成します。
  3. packコマンドで作成したテンプレートJARファイルにWEBHOST1からアクセスできることを確認します。
  4. 次のようにunpackコマンドを実行して、ドメイン・ディレクトリ内のテンプレートをローカル記憶域に解凍します。
    cd ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
    
    ./unpack.sh -domain=MSERVER_HOME
                -overwrite_domain=true
                -template=complete_path/extend_otd_template.jar 
                -log_priority=DEBUG
                -log=/tmp/unpack.log
                -app_dir=APPLICATION_HOME
    

    この例では、次のようになります。

    • MSERVER_HOMEを、ローカル記憶域ディスクに作成するドメイン・ホームの完全なパスに置き換えます。これは、ドメインのコピーの解凍先となる場所です。

    • complete_pathを、packコマンドを実行して共有記憶域デバイス上のドメインを圧縮したときに作成したドメイン・テンプレートJARファイルの完全なパスに置き換えます。

    • APPLICATION_HOMEを、共有記憶域上のそのドメインのアプリケーション・ディレクトリの完全なパスに置き換えます。詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。

    ヒント:

    packおよびunpackコマンドの詳細は、PackおよびUnpackコマンドによるテンプレートとドメインの作成のPackおよびUnpackコマンドの概要に関する項を参照してください。

  5. ディレクトリを、新しく作成したMSERVER_HOMEディレクトリに変更して、ドメイン構成ファイルがWEBHOST1のローカル記憶域デバイスの適切な場所にコピーされていることを確認します。
  6. WEBHOST2で解凍手順を繰り返します。

12.7.3 Web層ホストでのノード・マネージャの構成および起動

Oracle Traffic Directorは、Web層ホストで単独で実行されるため、Web層ホストごとにノード単位でノード・マネージャを作成する必要はありません。かわりに、Oracle Traffic Directorノードでは、デフォルトのドメイン単位のノード・マネージャを使用します。

セキュリティ上の理由から、DMZでSSLノード・マネージャを使用することもお薦めします。

必要なノード・マネージャ構成を作成して各Web層ホストでノード・マネージャを起動するには、次の手順を実行します。Web層ホストごとに繰り返してください。

  1. WEB_DOMAIN_HOME/nodemanagerに移動します。
  2. nodemanager.propertiesファイルを編集して次のプロパティを変更します。
    • ListenAddress = WEBHOSTn

    • SecureListener = true

  3. ディレクトリをWEB_DOMAIN_HOME/binに変更します。
  4. 次のコマンドを実行してノード・マネージャを起動します。
    ./startNodeManager.sh

12.8 Oracle Traffic Director構成の作成

Oracle Traffic Director構成は、Oracle Traffic Directorサーバーの実行時の特性を定義するメタデータの集合です。構成を作成した後、構成を使用して、1つ以上の管理ノードにOracle Traffic Directorサーバーのインスタンスを作成できます。

注意:

構成に指定されたサーバー・ユーザーは、次の要件を満たしている必要があります。

  • 管理サーバーがrootとして実行されている場合、サーバー・ユーザーはrootであるか、Oracle Traffic Directorをインストールしたユーザーと同じグループに属している必要があります。

  • 管理サーバーがrootユーザー以外で実行されている場合、サーバー・ユーザーは管理サーバーのサーバー・ユーザーと同じである必要があります。

構成がデプロイされるノードは、これらのシステムに構成されているユーザー・アカウントおよびグループの点から同種である必要があります。

構成を作成するには、次のようにします。

  1. アプリケーション層ドメインのFusion Middleware Controlにログインします。
  2. 「WebLogicドメイン」メニューで、「管理」「OTD構成」を選択します。
  3. 「チェンジ・センター」メニュー(ロック・アイコン)で、「ロックして編集」を選択します。
  4. 「作成」をクリックします
    「新規構成ウィザード」画面が表示されます。
  5. 構成名とオリジン・サーバー・タイプを指定します。
    たとえば、構成名としてedgconfigを指定し、「オリジン・サーバー・タイプ」として「HTTP」を選択して、「次へ」をクリックします。
  6. 「構成の作成: リスナー」画面で、デフォルト値を受け入れて「次へ」をクリックします。
  7. 「構成の作成: オリジン・サーバー・プール」画面で、「次へ」をクリックします。
    エンタープライズ・デプロイメントで構成している製品の他のオリジン・サーバーおよびオリジン・サーバー・プールは、後から追加できます。
  8. 「構成の作成: デプロイメント」画面で、デプロイメントのWebLogic ServerマシンとしてWEBHOST1およびWEBHOST2を選択します。「次へ」をクリックします。
  9. 構成定義が表示された画面を確認し、「構成の作成」をクリックして構成を作成します。
  10. 「チェンジ・センター」メニュー(ロック・アイコン)で、「変更のアクティブ化」を選択して変更を有効にします。

注意:

構成を作成すると、次のものが自動的に作成されます。

  • edgconfigという名前の1つの仮想サーバー。

  • 構成に対して定義されたホストごとに1つのインスタンス。

12.9 Oracle Traffic Directoryデフォルト・インスタンスの起動

Oracle Traffic Directorデフォルト・インスタンスを起動する手順は次のとおりです。

  1. Traffic DirectorのFusion Middleware Controlにログインします。
  2. 「WebLogicドメイン」で、「管理」「OTD構成」を選択します。
  3. .
    使用可能な構成のリストが表示されます。
  4. 前に作成した構成を選択します。
  5. 「Traffic Director構成」メニューで、「管理」「インスタンス」を選択します。
    「インスタンス」ページが表示されます。
  6. インスタンスのリストからインスタンスを選択し、「起動」をクリックして、操作が正常に完了したことを確認します。

12.10 エンタープライズ・デプロイメント用のOracle Traffic Director仮想サーバーの定義

デフォルトでは、構成を作成すると、HTTPアクセス用のデフォルト仮想サーバー(edg_config)が作成されます。ただし、各エンタープライズ・デプロイメントでは、固有の目的で追加のOracle Traffic Director仮想サーバーおよびオリジン・サーバー・プールを使用します。たとえば、新しいFusion Middleware製品を含めるようにドメインを拡張するたびに、追加の仮想サーバーを定義する必要があります。

エンタープライズ・デプロイメントで必要な仮想サーバーの一覧は、「エンタープライズ・デプロイメントに必要な仮想サーバーのサマリー」を参照してください

Oracle Traffic Director仮想サーバーの作成の一般情報は、『Oracle Traffic Director管理者ガイド』の仮想サーバーの作成に関する項を参照してください。

仮想サーバーを作成して構成するには、オリジン・サーバー・プールを作成して仮想サーバーを定義する必要があります。

12.10.1 必要なオリジン・サーバー・プールの作成

Fusion Middleware Controlを使用して必要なオリジン・サーバー・プールを作成する手順は、次のとおりです。
  1. Fusion Middleware Controlにログインします。
  2. 「WebLogicドメイン」メニューで、「管理」「OTD構成」を選択します。
    使用可能な構成のリストが表示されます。
  3. オリジン・サーバー・プールを追加する構成を選択します。
  4. 「Traffic Director構成」メニューで、「管理」「オリジン・サーバー・プール」を選択します。
    「サーバー・プール」ページが表示されます。その構成に定義されているサーバー・プール(HTTP/SおよびTCPサーバー・プール)のリストが表示されます。
  5. 「チェンジ・センター」メニュー(ロック・アイコン)で、「ロックして編集」を選択します。
  6. 「HTTP/Sオリジン・サーバー・プール」で、「作成」をクリックして必要なHTTPオリジン・サーバー・プールを作成します。
    エンタープライズ・デプロイメントに必要なHTTPオリジン・サーバー・プールのリストは、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」を参照してください。
  7. 「オリジン・サーバー情報」で、オリジン・サーバー・プールに関連付けられたサーバーのアドレスを指定します。
    各HTTPオリジン・サーバー・プールに必要なサーバーのリストは、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」を参照してください。
  8. 画面の右上にある「OK」をクリックします。

    オリジン・プール・ページに戻ります。

  9. 「TCPオリジン・サーバー・プール」で、「作成」をクリックしてTCPオリジン・サーバー・プールを作成します。
    エンタープライズ・デプロイメントに必要なTCPオリジン・サーバー・プールのリストは、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」を参照してください。
  10. 「オリジン・サーバー情報」で、オリジン・サーバー・プールに関連付けられたサーバーのアドレスを指定します。
    各TCPオリジン・サーバー・プールに必要なサーバーのリストは、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」を参照してください。
  11. 画面の右上にある「OK」をクリックします。

    オリジン・プール・ページに戻ります。

  12. 画面の右上にあるロック・アイコンをクリックすると表示されるサブメニューの「変更のアクティブ化」を選択します。
    作成したオリジン・サーバー・プールの詳細が、「オリジン・サーバー・プール」ページに表示されます。
  13. エンタープライズ・デプロイメントに必要な追加のオリジン・サーバー・プールについて手順を繰り返します。

    オリジン・サーバー・プールが作成された後、新規オリジン・サーバー・プール・ウィザードの「結果」画面にオリジン・サーバー・プールの作成が成功したことを示すメッセージが表示されます。

  14. 画面の右上にあるロック・アイコンをクリックすると表示されるサブメニューの「変更のアクティブ化」を選択します。

12.10.2 仮想サーバーの作成

仮想サーバーを作成する手順は次のとおりです。
  1. Fusion Middleware Controlにログインします。
  2. 「WebLogicドメイン」メニューで、「管理」「OTD構成」を選択します
    使用可能な構成のリストが表示されます。
  3. 仮想サーバーを作成する構成を選択します。
  4. 「Traffic Director構成」メニューで、「管理」「仮想サーバー」を選択します。
  5. 「チェンジ・センター」メニュー(ロック・アイコン)で、「ロックして編集」を選択します。
  6. 「仮想サーバー」で、「作成」をクリックします。
    新規仮想サーバー・ウィザードが開始されます。
  7. 仮想サーバーの名前を入力します。

    エンタープライズ・デプロイメントに必要な仮想サーバーのリストは、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」を参照してください。

  8. 「この仮想サーバー用にリスナーを選択」を選択し、「次へ」をクリックします。
  9. 構成を使用して作成したリスナーを選択し、他のデフォルトを受け入れます。「次へ」をクリックします。
  10. 「仮想サーバーの作成: オリジン・サーバー・プール」画面で、「オリジン・サーバーのプールの選択」を選択します。
  11. 各仮想サーバーで、「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」に示されているプールを選択します。

    必要な情報の入力を完了したら、「次へ」をクリックします

  12. 「仮想サーバーの作成: 確認」画面のデータを確認し、「仮想サーバーの作成」をクリックします。
    仮想サーバーが作成された後、新規仮想サーバー・ウィザードの「結果」画面に、仮想サーバーの作成が成功したことを示すメッセージが表示されます。
  13. 画面の右上にあるロック・アイコンをクリックすると表示されるサブメニューの「変更のアクティブ化」を選択します。

12.10.3 仮想サーバー・ルートの作成

一部のOracle Fusion Middleware製品では、特定のリクエストを適切な管理対象サーバーに適切なプロトコルでルーティングできるように、特定のURIを定義する必要があります。Oracle Traffic Directorでは、作成済の選択した仮想サーバーに対して特定のルートを作成することで、これらのURIを定義できます。
  1. 「オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー」に記載されている情報を確認します。

    この項には、特定のOracle Fusion Middleware製品のそれぞれに必要なすべてのルートがリストされています。デプロイする製品について、仮想サーバー、ルートの名前、URIのリストおよびオリジン・サーバー・プールを書き留めてください。その情報を使用して、必要な各ルートを作成できます。

  2. Fusion Middleware Controlにログインします。
  3. 「WebLogicドメイン」メニューで、「管理」「OTD構成」を選択します
    使用可能な構成のリストが表示されます。
  4. 仮想サーバーを作成する構成をクリックします。
    「Traffic Director構成」ページが表示されます。
  5. 「Traffic Director構成」メニューで、「管理」「仮想サーバー」を選択します。
  6. 編集する仮想サーバーの名前をクリックします。
  7. 「ルート」タブを選択します。
  8. 「チェンジ・センター」メニュー(ロック・アイコン)で、「ロックして編集」を選択します。
  9. 「作成」をクリックします。
    「ルートの作成」ページが表示されます。
  10. 「名前」フィールドに、ルートの名前を入力します。

    各Fusion Middleware製品に対して作成する必要があるルートのリストを参照してください。

  11. 「条件」フィールドに、ルーティング情報を割り当てる特定のURIを指定する次の構文を入力します。
    $uri =~ '/context_string'

    例:

    $uri =~ '/soa-infra'

    複数のURIを入力する必要がある場合、それらを"or"で区切ります。例:

    $uri =~ '/soa-infra' or $uri=~'/inspection.wsil'
  12. 「オリジン・サーバー・プール」ドロップダウン・メニューから、このルートに関連付けられたプールを選択します。

    このルートの条件に一致するリクエストが、選択したプールに転送されます。

12.10.4 オリジン・サーバーおよび仮想ホストのサマリー

各Oracle Fusion Middleware製品では、特定のOracle Traffic Directorオリジン・サーバー、仮想サーバー、および仮想サーバーごとのルーティング情報が必要です。

各製品に必要なオリジン・サーバー・プール

次の表は、Fusion Middleware製品に必要なオリジン・サーバー・プールを示しています。この情報は、Fusion Middleware ControlのOracle Traffic Director管理ページを使用してオリジン・サーバー・プールを作成するときに使用できます。

製品 オリジン・サーバー・プール タイプ オリジン・サーバー

すべての製品(ドメインごとに1つ)

admin-pool

HTTP

ADMINVHN.example.com:7001

Oracle Web Services Manager。

wsm-pool

HTTP

soahost1.example.com:7010

soahost2.example.com:7010

Oracle SOA Suite

Business Process Management

Oracle SOA Suite for Healthcare

soa-pool

HTTP

soahost1.example.com:8001

soahost2.example.com:8001

Oracle Enterprise Scheduler

ess-pool

HTTP

soahost1.example.com:8021

soahost2.example.com:8021

Business Activity Monitoring

bam-pool

HTTP

soahost1.example.com:9001

soahost2.example.com:9001

Oracle Service Bus

osb-pool

HTTP

soahost1.example.com:8011

soahost2.example.com:8011

Oracle Managed File Transfer。

mft-pool

HTTP

mfthost1.example.com:7500

mfthost2.example.com:7500

Oracle Managed File Transfer。

mft-sftp-pool

TCP

mfthost1.example.com:7022*

mfthost2.example.com:7022*

Oracle SOA Suite for Healthcare

healthcare-tcp-pool

TCP

soahost1.example.com:95nn

soahost2.example.com:95nn

注意:

*7022は、Managed File TransferサーバーのSFTPリスナーで使用されるデフォルト・ポートです。

各製品に必要な仮想サーバー

次の表は、Fusion Middleware製品に必要な仮想サーバーを示しています。この情報は、Fusion Middleware ControlのOracle Traffic Director管理ページを使用して必要な仮想サーバーを作成するときに使用できます。

製品 仮想サーバー名 提供ホスト プール リスナー

すべての製品(ドメインごとに1つ)

admin.example.com

admin.example.com

admin-pool

*

Oracle SOA Suite

Business Process Management

Oracle SOA Suite for Healthcare

soa.example.com

soa.example.com

soa-pool

*

Oracle Enterprise Scheduler

soa.example.com

soa.example.com

ess-pool

*

Business Activity Monitoring

soa.example.com

soa.example.com

bam-pool

*

Oracle SOA Suite

Business Process Management

soainternal.example.com

WEBHOST1-V1*

soa-pool

*

Oracle Web Services Manager。

soainternal.example.com

WEBHOST1-V1*

wsm-pool

*

Oracle Enterprise Scheduler

soainternal.example.com

WEBHOST1-V1*

ess-pool

*

Business Activity Monitoring

soainternal.example.com

WEBHOST1-V1*

bam-pool

*

Oracle Service Bus

osb.example.com

osb.example.com

osb-pool

*

Oracle Service Bus

osbinternal.example.com

WEBHOST2-V1*

osb-pool

*

Oracle Managed File Transfer。

mft-http.example.com

mft.example.com

mft-pool

*

Oracle Managed File Transfer。

mft-sftp.example.com

mft.example.com

mft-sftp-pool

*

Oracle SOA Suite for Healthcare

soahealthcare.example.com

soahealthcare.example.com

healtchare-tcp-pool

*

注意:

*WEBHOST1-V1WEBHOST2-V1は、対応するOracle Traffic Directorフェイルオーバー・グループで使用されるVIPです。

各製品に必要な仮想サーバー・ルート

次の表は、Fusion Middleware製品に必要な仮想サーバー・ルート(またはURI)を示しています。この情報は、Fusion Middleware ControlのOracle Traffic Director管理ページを使用して必要なルートを作成するときに使用できます。

製品 仮想サーバー名 ルート オリジン・サーバー・プール URI

すべての製品(ドメインごとに1つ)

admin.example.com

admin-route

admin-pool

/console
/em
/consolehelp

Oracle Web Services Manager。

soainternal.example.com

soa-route

wsm-pool

/wsm-pm

Oracle SOA Suite

soa.example.com

soa-route

soa-pool

/soa-infra
/inspection.wsi
/integration
/b2bconsole
/b2b/services/ws/sdpmessaging/userprefs-ui
/DefaultToDoTaskFlow
/workflow
/ADFAttachmentHelper
/soa/composer
/frevvo

Oracle Service Bus

osb.example.com

osb-route

osb-pool

/sbinspection.wsil
/sbresource
/osb
/alsb

Business Process Management

soa.example.com

soa-route

soa-pool

/bpm/composer
/bpm/workspace

Oracle Enterprise Scheduler

soa.example.com

soa-route

ess-pool

/ess
/EssHealthCheck
/ess-async
/ess-wsjob

Business Activity Monitoring

soa.example.com

soa-route

bam-pool

/bam/composer
/OracleBAMWS
/oracle/bam/server

Oracle B2B

soa.example.com

soa-route

soa-pool

/b2bconsole
/b2b

Oracle SOA Suite for Healthcare

soa.example.com

soa-route

healthcare-TCP-pool

/healthcare

Oracle SOA Suite for Healthcare

soainternal.example.com

soa-route

healthcare-pool

/healthcare

Oracle Managed File Transfer。

mft-http-example.com

mft-route

mft-pool

/mftconsole

12.11 Managed File TransferのTCPプロキシの作成

Oracle MFTでは、TCPプロキシを使用して、SFTPリクエストをバックエンドMFT WLSサーバーにルーティングします。

MFTのTCPプロキシを作成する手順は次のとおりです。
  1. Fusion Middleware Controlにログインします。ページの左上にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
  2. 「管理」「OTD構成」を選択します。
    使用可能な構成のリストが表示されます。
  3. TCPプロキシを作成する構成を選択します。
  4. 「共通タスク」ペインで、「Traffic Director構成」をクリックします。
  5. 「管理」「TCPプロキシ」を選択します。
  6. 「TCPプロキシ」表で、「ロックして編集」をクリックし、「作成」をクリックします。
    新規TCPプロキシ・ウィザードが開始されます。
  7. FTPを選択せずにプロキシの名前を入力し、「次へ」をクリックします。
  8. 「TCPプロキシの作成: リスナー」画面で、ポートとして7022を、アドレスとして*を入力します。「次へ」をクリックします。
  9. 「TCPプロキシの作成: オリジン・サーバー・プール」画面で、前の手順で作成したmftsftp-poolを選択します。「次へ」をクリックします。
  10. 次の画面を確認して、「TCPプロキシの作成」をクリックします。
  11. 画面の右上にあるロック・アイコンをクリックすると表示されるサブメニューの「変更のアクティブ化」を選択します。

12.12 仮想ホストのフェイルオーバー・グループの作成

EDGの仮想ホストの1つにリクエストが送信されると、フロントエンド・ロード・バランサは、リクエストのロード・バランシング先として構成されたIPアドレスにそのリクエストをリダイレクトします。このIPアドレスは、いずれかのOTDインスタンスで有効化されますが、障害が発生した場合は別のOTDインスタンスに移行できます。1つまたは2つの仮想IP (VIP)アドレスで表されたフェイルオーバー・グループ内で2つのOracle Traffic Directorインスタンスを組み合せることによって、Oracle Traffic Directorインスタンスの高可用性を確保できます。

これを行うには、そのIPアドレスに対してアクティブ-パッシブ・フェイルオーバー・グループを作成します。このフェイルオーバー・グループには、1つのプライマリ・インスタンスと複数のセカンダリ・インスタンスがリストされます。

次の手順では、構成内の異なる仮想サーバーに関連付けられたIPアドレスに対してフェイルオーバー・グループを作成する方法について説明します。ロード・バランサは、2つのOracle Traffic Directorインスタンス間でリスエストをフェイルオーバーするため、MFT OTD IPアドレス用のフェイルオーバー・グループはオプションですが、それによって通常のロード・バランサ監視より障害検出とフェイルオーバーが高速化します。

Oracle Traffic Directorのフェイルオーバー・グループまたは他の高可用性構成を作成する方法の詳細は、『Oracle Traffic Director管理者ガイド』の高可用性を提供するためのOracle Traffic Directorの構成に関する項を参照してください。

12.12.1 フェイルオーバー・グループの作成

この項では、フェイルオーバー・グループを作成してOracle Traffic Directorインスタンスの高可用性ペアを実装する方法を説明します。

開始する前に:

  • フェイルオーバー・グループに割り当てる一意のVIPアドレスを決定します。

    • VIPアドレスは、フェイルオーバー・グループ内のノードと同じサブネットに属している必要があります。

    • クライアントはこれらのVIPアドレスにアクセスできる必要があります。

    注意:

    Oracle Traffic Directorインスタンスのアクティブ-アクティブ・ペアを構成するには、同じインスタンスを含む2つのフェイルオーバー・グループを作成する必要がありますが、その際、フェイルオーバー・グループごとに異なるVIPアドレスを割り当て、プライマリ・ノードとバックアップ・ノード・ロールを逆にします。
  • • VIPを管理するインタフェースのネットワーク接頭辞を特定します。このネットワーク接頭辞は、次の例のようなClassless Inter-Domain Routing (CIDR)形式で表されたサブネット・マスクです。

    • 256個のアドレスを含むサブネット(8ビット)内のIPv4 VIPアドレスの場合、サブネット・マスク255.255.255.0のCIDR表記は24であり、この値は使用可能なIPv4アドレスの最大数(32ビット)から、指定されたサブネットのアドレス数(8ビット)を引くことによって計算できます。

    • 同様に、4096個のアドレスを含むサブネット(12ビット)内のIPv4 VIPアドレスの場合、サブネット・マスク255.255.240.0のCIDR表記は20 (=32-12)となります。

    • IPv6サブネットのサブネット・マスクのCIDR表記を計算するには、使用可能なIPv6アドレスの最大数である128ビットから、サブネットのアドレス空間のビット・サイズを引く必要があります。

    IPv4 VIPまたはIPv6 VIPのデフォルトのネットワーク・プレフィックス長は、それぞれ24または64です。NICを自動的に選択するため、およびVIPが指定したNICと同じサブネットにある場合は検証するために、指定されていない場合はデフォルトのネットワーク接頭辞長が使用されます。

    VIPを実際にプラミングする際には、そのノードからのすべての発信トラフィックがVIPをソース・アドレスとして使用しないように、ホストマスク(IPv4には32、IPv6には128)を使用することをお薦めします。

  • フェイルオーバー・グループ内のプライマリ・ノードおよびバックアップ・ノードとして構成するOracle Traffic Director管理ノードを識別します。これらのノードは同じサブネットに属している必要があります。

    ここで選択する管理ノードに、指定した構成に使用するOracle Traffic Directorインスタンスが存在している必要があります。

  • 各ノードのネットワーク・インタフェースを識別します。

    現在ホスト上で稼働しているネットワーク・インタフェースごとに、管理サーバーによって、インタフェースのIPアドレスのネットワーク部が、指定したVIPのネットワーク部と比較されます。結果が一致した最初のネットワーク・インタフェースが、VIPのネットワーク・インタフェースとして使用されます。

    この管理サーバーによる比較では、フェイルオーバー・グループ用に指定されたVIPがIPv4アドレスであるかIPv6アドレスであるかに応じて、それぞれIPv4アドレスまたはIPv6アドレスで構成されたホスト上のネットワーク・インタフェースのみが検証されます。

  • 存在しないアドレスにバインドできるようにする(転送バインディングのような)システム構成を実行することで、HTTPリスナーのVIP IPアドレスにバインドできます。次のシステム構成のどちらかを実行します。

    echo 1 > /proc/sys/net/ipv4/ip_nonlocal_bind
    

    または

    sysctl net.ipv4.ip_nonlocal_bind=1 
    

    (再起動後も維持する場合は/etc/sysctl.confで変更)

    フェイルオーバー・グループを作成する構成では、リスナーのIPアドレスがアスタリスク(*)またはVIPと同じアドレスであることを確認してください。それ以外の場合、VIPに送信されたリクエストが仮想サーバーにルーティングされません。

  • 各フェイルオーバー・グループのルーターIDは一意である必要があります。後続のフェイルオーバー・グループを作成するたびに、デフォルトのルーターIDは、254、253のように1つずつ減ります。

Fusion Middleware Controlを使用してフェイルオーバー・グループを作成するには、次を実行します。
  1. Fusion Middleware Controlにログインします。
  2. ページの左上にある「WebLogicドメイン」ボタンをクリックします。
  3. 「管理」「OTD構成」を選択します。
    使用可能な構成のリストが表示されます。
  4. フェイルオーバー・グループを作成する構成を選択します。
  5. 「共通タスク」ペインの「Traffic Director構成」をクリックします。
  6. 「管理」「フェイルオーバー・グループ」を選択します。
    フェイルオーバー・グループ・ページが表示されます。これには、構成に定義されているフェールオーバー・グループのリストが表示されます。
  7. 「ロックして編集」をクリックし、次に「作成」をクリックします。
  8. フェイルオーバー・グループの作成画面で、次のように入力します
    • 仮想IP: ノード間で移動されるフローティング・ホスト名を入力します。これは、WEBHOST1とWEBHOST2の両方で有効化できる有効な仮想IPにマップする必要があります。このVIPがまだノードで有効化されていないことを確認してください。

    • ルーターID: 前述の指示を参照してネットワーク構成のCDRを入力します。

    • VIPをホストするプライマリおよびバックアップ・インスタンスを選択し、VIPを有効化する場所となる必要なネットワーク・インタフェースを入力します。

  9. 結果画面で、「閉じる」をクリックします。
    フェイルオーバー・グループ・ページに、作成したフェイルオーバー・グループの詳細が表示されます。

    注意:

    この時点では、2つのノードはアクティブ-パッシブ・ペアになっています。これらをアクティブ-アクティブ・ペアに変更するには、同じ2つのノードを含む別のフェイルオーバー・グループを作成しますが、その際、異なるVIPを割り当て、プライマリおよびバックアップ・ロールを逆にします。

    注意:

    フェイルオーバー・グループを作成する場合は、それらのマシン上でrootユーザーとしてotd_startFailoverを実行する必要があります。これはフェイルオーバーを手動で開始するためです。このコマンドを実行しないとフェイルオーバーは開始しないため、高可用性を実現できません。otd_startFailoverの詳細は、『Oracle Traffic Director WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』を参照してください

    otd_startFailoverコマンドを実行するには、次の手順を実行します。

    rootとして、またはsudo権限を持つユーザーとしてWLSTを起動します。

    			[root@webhost1]# ./wlst.sh 
    			Initializing WebLogic Scripting Tool (WLST) ... 
    			Jython scans all the jar files it can find at first startup. Depending on the 
    			system, this process may take a few minutes to complete, and WLST may not 
    			return a prompt right away. 
    
    			wls:/offline> wls:/offline> props = {} 
    
    			wls:/offline> props['domain-home'] = 
    			/u01/oracle/config/domains/mftedg_domain/' 
    
    			wls:/offline> props['instance'] ='otd_mftedg_WEBHOST1' 
    
    			wls:/offline> otd_startFailover(props)

    注意:

    otd_startFailoverには、オペレーティング・システムのkeepalivedパッケージが必要です。このパッケージは、すべてのLinuxディストリビューションにバンドルされているわけではなく、オペレーティング・システムに手動でインストールする必要があります。詳細およびインストール方法は、オペレーティング・システムを参照してください。