Web層を構成する場合、Oracle HTTP ServerまたはOracle Traffic Directorの使用を選択できます。Oracle HTTP Serverを選択して使用する場合、各Web層ホストにOracle HTTP Serverをインストールし、各ホストでOracle HTTPスタンドアロン・ドメインを構成する必要があります。
Web層のOracle HTTP Serverインスタンスによって、HTTPリクエストがハードウェア・ロード・バランサからアプリケーション層の特定の管理対象サーバーに転送されます。
Oracle HTTP Serverを構成する前に、「Web層の理解」を確認してください。
注意:
Oracle Managed File Transferを構成する予定の場合、TCPを介してFTPおよびSFTPリクエストをルーティングするようにOracle Traffic Directorを構成する必要があります。詳細は、「エンタープライズ・デプロイメントでのOracle Managed File Transferの構成」を参照してください。
この章のタスクを実行する際、この項にリストするディレクトリ変数を使用します。
いくつかのディレクトリ変数の値については、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」に定義されています。
OHS_ORACLE_HOME
OHS_DOMAIN_HOME
さらに、仮想IP (VIP)アドレスとホスト名を参照することになります。
ADMINVHN
WEBHOST1
WEBHOST2
エンタープライズ・デプロイメントでは、各Oracle HTTP Serverインスタンスは別個のホストおよび独自のスタンドアロン・ドメイン内に構成されます。これにより、実行および管理に必要な構成およびリソースを最小限に抑えた簡易な構成が可能になります。
Web層でのOracle HTTP Serverインスタンスのロールおよび構成の詳細は、「Web層の理解」を参照してください。
次の項では、Web層にOracle HTTP Serverソフトウェアをインストールする方法について説明します。
次の表に、インストール・プログラムで表示される順序で画面をリストします。
インストール画面に関して詳細な情報が必要な場合は、画面名をクリックしてください。
| 画面 | 説明 |
|---|---|
ようこそ |
製品のインストーラの紹介画面です。 |
自動更新 |
この画面では、使用可能なパッチを探してMy Oracle Supportを自動的に検索するか、組織にすでにダウンロードしたパッチを探してローカル・ディレクトリを自動的に検索します。 |
インストールの場所 |
この画面を使用してOracleホーム・ディレクトリの位置を指定します。 エンタープライズ・デプロイメントのためには、表7-3に示すOHS_ORACLE_HOME変数の値を入力します。 |
インストール・タイプ |
「スタンドアロンHTTPサーバー(WebLogic Serverとは別に管理される)」を選択します。 このインストール・タイプでは、他の既存のOracle WebLogic Serverドメインとは別個にOracle HTTP Serverインスタンスを構成できます。 |
前提条件のチェック |
この画面では、ご使用のシステムが最小要件を満たしていることを検証します。 警告またはエラー・メッセージが表示された場合、ホスト・コンピュータおよび必須ソフトウェアが「ホスト・コンピュータのハードウェア要件」および「エンタープライズ・デプロイメント・トポロジのオペレーティング・システム要件」に示すシステム要件および動作保証情報を満たしていることを確認してください。 |
セキュリティ・アップデート |
Oracle Supportアカウントをすでに所持している場合は、この画面を使用して、セキュリティ・アップデートの受取り方法を指定します。 アカウントを所有していない場合、またはこの手順をスキップする場合は、チェック・ボックスの選択を解除し、フォローアップのダイアログ・ボックスで選択を確認します。 |
インストール・サマリー |
この画面を使用して、選択したインストール・オプションを確認します。これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。レスポンス・ファイルは、今後、サイレント・インストールを実行する場合に使用できます。 サイレント・インストールやコマンド行インストールの詳細は、Oracle Universal Installerによるソフトウェアのインストールでサイレント・モードにおけるOracle Universal Installerの使用方法に関する項を参照してください。 |
インストールの進行状況 |
この画面では、インストールの進行状況を参照できます。 |
インストール完了 |
インストールが完了すると、この画面が表示されます。この画面の情報を確認してから、「終了」をクリックしてインストーラを終了します。 |
Oracle HTTP Serverのインストールが正常に完了したことを確認するために、新しいOracleホームにインストールされたファイルをリストします。Oracle HTTP ServerのOracleホームには、次のディレクトリが表示されるはずです。
ldap ohs css srvm has crs nls oracore precomp rdbms plsql jlib slax sqlplus xdk oracle_common webgate bin wlserver OPatch plugins oui perl network lib oraInst.loc install cfgtoollogs inventory root.sh
次の項では、最初のWeb層ホストで新しいOracle HTTP Serverスタンドアロン・ドメインを作成する方法について説明します。
構成ウィザードを起動するには、次のディレクトリに移動し、次のようにWebLogic Server構成ウィザードを起動します。
cdOHS_ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin./config.sh
各Web層ホストでOracle HTTP Serverインスタンスのスタンドアロン・ドメインを作成することをお薦めします。
次の項では、新しいスタンドアロンOracle HTTP Serverドメインを作成する方法について説明します。
「構成タイプ」画面で、「新規ドメインの作成」を選択します。
「ドメインの場所」フィールドに、OHS_DOMAIN_HOME変数に割り当てられている値を入力します。
次の点に注意してください。
構成ウィザードにより、ここで指定した新しいディレクトリが作成されます。
WebサーバーがDMZ外部の記憶域デバイスと依存関係を持たないように、ディレクトリはローカル記憶域に作成します。
注意:
ドメイン・ホーム・ディレクトリの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』のドメイン・ホームの選択に関する項を参照してください。
この画面のその他のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』の構成タイプに関する項を参照してください。
Web層とDMZの詳細は、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントのファイアウォールとゾーンの理解」を参照してください。
OHS_DOMAIN_HOMEディレクトリ変数の詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。
「テンプレート」画面で、Oracle HTTP Server (スタンドアロン) - 12.2.1.1.0 [ohs]を選択します。
ヒント:
この画面のオプションの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』のテンプレートに関する項を参照してください。
「システム・コンポーネント」画面で、1つのOracle HTTP Serverインスタンスを構成します。画面には、デフォルトで1つのインスタンスが定義されています。作成する必要のあるインスタンスは、これ1つのみです。
デフォルトのインスタンス名は、「システム・コンポーネント」フィールドのohs1です。このデフォルト名を使用します。
「コンポーネント・タイプ」フィールドで、OHSが選択されていることを確認します。
「再起動間隔秒数」フィールドを使用して、アプリケーションが応答しない場合に、再起動を試行する前に待機する秒数を指定します。
「再起動遅延秒数」フィールドを使用して、再起動を再度試行する前に待機する秒数を指定します。
「OHSサーバー」画面を使用して、ドメイン内のOHSサーバーを構成します。
「システム・コンポーネント」ドロップダウン・メニューから、ohs1を選択します。
「リスニング・アドレス」フィールドにWEBHOST1と入力します。
残りのフィールドはすべて事前に移入されていますが、組織での必要に応じて値を変更できます。この画面のフィールドの詳細は、『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』のOHSサーバーに関する項を参照してください。
「サーバー名」フィールドで、リスニング・アドレスとリスニング・ポートの値を確認します。
正しくは次のようになります。
WEBHOST1:7777
ノード・マネージャのタイプとして「ドメインごとのデフォルトの場所」を選択して、ノード・マネージャのユーザー名とパスワードを指定します。
注意:
この画面におけるオプションの詳細は、『構成ウィザードによるドメインの作成』のノード・マネージャに関する項を参照してください。
ノード・マネージャのタイプの詳細は、Oracle WebLogic Serverのノード・マネージャの管理でノード・マネージャの概要に関する項を参照してください。
「構成サマリー」画面には、これから作成するドメインに関する詳細な構成情報が表示されます。この画面に示された各項目の詳細を調べて、情報に間違いがないことを確認します。
変更が必要な場合は、「戻る」ボタンを使用するか、ナビゲーション・ペインで画面を選択することで任意の画面に戻れます。
ドメイン作成は、「作成」をクリックするまでは開始されません。
ヒント:
この画面に示されるオプションの詳細は、構成ウィザードを使用したWebLogicドメインの作成の「構成サマリー」に関する項を参照してください。
「構成に成功しました」画面には、ドメイン・ホームの場所が表示されます。
ここに表示された情報は、サーバーの起動時および管理サーバーへのアクセス時に必要になるため、メモします。
「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。
WEBHOST1でOracle HTTP Serverをインストールしてドメインを構成したら、同じタスクをWEBHOST2でも実行する必要があります。
WEBHOST2にログインし、「WEBHOST1でのOracle HTTP Serverのインストール」の手順を使用してOracle HTTP Serverをインストールします。
「WEBHOST1でのWeb層ドメインの作成」の手順を使用して、WEBHOST2で新しいスタンドアロン・ドメインを構成します。
WEBHOST2上のインスタンスにはohs2という名前を使用し、各例で出現するすべてのWEBHOST1をWEBHOST2に置き換え、すべてのohs1をohs2に置き換えます。
次の項では、WEBHOST1およびWEBHOST2でOracle HTTP Serverインスタンスを起動する方法について説明します。
Oracle HTTP Serverインスタンスを起動する前に、WEBHOST1およびWEBHOST2でノード・マネージャを起動する必要があります。
ノード・マネージャの追加の構成オプションの詳細は、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』を参照してください。
次の各項では、Webサーバー・インスタンスがリクエストをドメイン内のサーバーにルーティングするようにOracle HTTP Server構成ファイルを更新する方法を説明します。
次の各項では、エンタープライズ・デプロイメントのOracle HTTP Server構成に必要な変更に関する概要情報を提供します。
このガイドの参照用トポロジでは、ハードウェア・ロード・バランサで一連の仮想サーバーを定義することが必要になります。これにより、Oracle HTTP Serverインスタンスの構成ファイルに<VirtualHost>ディレクティブを追加して、(ロード・バランサ仮想サーバーにマップされた)個別の仮想ホストへのリクエストを認識するようにOracle HTTP Serverを構成できます。
各Oracle HTTP Server仮想ホストについては、ロード・バランサからOracle HTTP Serverインスタンスを経由してOracle WebLogic Serverドメイン内の該当する管理サーバーまたは管理対象サーバーにリクエストをルーティングする特定のURL (またはコンテキスト文字列)のセットを定義します。
Oracle HTTP Serverの<VirtualHost>ディレクティブのキー・パラメータは、Oracle HTTP ServerのWebLogicプロキシ・プラグインの一部であるWebLogicClusterパラメータです。エンタープライズ・デプロイメント用にOracle HTTP Serverを構成する場合は、Oracle HTTP Server構成ファイルにこのパラメータを追加するときに次の情報を考慮してください。
WebLogicClusterパラメータで指定したサーバーは、起動時のプラグインに対してのみ重要な役割を持ちます。このノードのリストには、実行しているクラスタ・メンバーを1つ以上記述しておく必要があります。記述しておかないと、このプラグインで他のクラスタ・メンバーを検出できません。Oracle HTTP Serverの起動時には、リストに記述したクラスタ・メンバーを実行している必要があります。Oracle WebLogic Serverとこのプラグインの連携により、クラスタに発生した新規のクラスタ・メンバー、失敗したクラスタ・メンバーおよびリカバリしたクラスタ・メンバーを反映してサーバーのリストが自動的に更新されます。
例としていくつかのシナリオを示します。
例1: 2つのノードで構成したクラスタに3番目のメンバーを追加する場合、そのメンバーを追加するために構成を更新する必要はありません。3番目のメンバーは、実行時にその場で検出されます。
例2: クラスタは3つのノードで構成されていても、構成に記述されているノードはそのうちの2つのみであるとします。Oracle HTTP Serverを起動するときにこの2つのノードが両方とも停止していると、プラグインはクラスタを検出できません。Oracle HTTP Serverを起動するときは、リストに記述したノードを1つ以上実行している必要があります。
クラスタのメンバーをすべてリストに記述した場合は、Oracle HTTP Serverの起動時にそのうちの1つ以上を実行しておくことで、クラスタに確実に到達できます。
httpd.confファイルに複数の仮想ホスト定義を追加するのではなく、デプロイする製品に必要な各仮想サーバーに対してより小さくより具体的な別個の構成ファイルを作成することをお薦めします。そうすることで、すでに大きなhttpd.confファイルに追加のコンテンツを移入するのを回避できます。また、構成の問題のトラブルシューティングが容易になることがあります。
たとえば、通常のOracle Fusion Middleware Infrastructureドメインでは、admin_vh.confという名前の特定の構成ファイルを追加できます。この構成ファイルには、管理サーバー仮想ホスト(ADMINVHN)の仮想ホスト定義が含まれています。
次のタスクを実行して、エンタープライズ・トポロジに必要な追加の仮想ホストのhttpd.confファイルを準備します。
WEBHOST1にログインします。
ドメイン・ディレクトリで最初のOracle HTTP Serverインスタンス(ohs1)のhttpd.confファイルを見つけます。
cd OHS_DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs1/
テキスト・エディタでhttpd.confファイルを開いて、次の変更を行います。
httpd.confファイルのVirtual Hostsセクションで、次のように# Virtual Hostsコメント・ブロックの下および# VirtualHost Example:コメントの前にNameVirtualHostエントリを作成します。
##### Virtual hosts ###### # Virtual Hosts # # If you want to maintain multiple domains/hostnames on your # machine you can setup VirtualHost containers for them. Most configurations # use only name-based virtual hosts so the server doesn't need to worry about # IP addresses. This is indicated by the asterisks in the directives below. # # Please see the documentation at # URL # for further details before you try to setup virtual hosts. NameVirtualHost WEBHOST1:7777 # # VirtualHost example:
この例では、WEBHOST1をWEBHOST1変数の値に置き換えます。詳細は、「このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数」を参照してください。
httpd.confにmoduleconfサブディレクトリのすべての*.confファイルをインクルードするINCLUDE文があることを確認します。
IncludeOptional "moduleconf/*.conf"
この文により、各コンポーネントに対して個別に仮想ホスト・ファイルを作成することが可能になり、仮想ホスト定義の更新、維持およびスケールアウトが容易になります。
httpd.confファイルを保存します。
WEBHOST2にログインし、手順2から4を実行して、ohs2インスタンスのhttpd.confファイルを更新します。
WEBHOST2で、WEBHOST1のすべてのインスタンスをWEBHOST2に置き換え、ohs1のすべてのインスタンスをohs2に置き換えます。
仮想ホスト構成ファイルを作成するには:
注意:
仮想ホスト構成ファイルを作成する前に、「Oracle HTTP Server仮想ホストの目的」に説明されているとおりにロード・バランサで仮想サーバーが構成されていることを確認します。ロード・バランサから次のURLにアクセスして、ロード・バランサとOracle HTTP Serverが正しく構成されていることを確認します。これらのURLは、Oracle HTTP Server 12cの初期Webページを示しています。
http://admin.example.com/index.html
http://soainternal.example.com/index.html
Oracle HTTP Serverが管理サーバーと、WLS_WSM管理対象サーバーが含まれているWSM-PM_Clusterにルーティングできるようにするには、一連の<Location>ディレクティブを追加して、WebLogicClusterパラメータをクラスタ内のノードのリストに追加する必要があります。
WebLogicClusterパラメータを設定する手順は次のとおりです。
<VirtualHost WEBHOST1:7777>
ServerName admin.example.com:80
ServerAdmin you@your.address
RewriteEngine On
RewriteOptions inherit
# Admin Server and EM
<Location /console>
WLSRequest ON
WebLogicHost ADMINVHN
WeblogicPort 7001
</Location>
<Location /consolehelp>
WLSRequest ON
WebLogicHost ADMINVHN
WeblogicPort 7001
</Location>
<Location /em>
WLSRequest ON
WebLogicHost ADMINVHN
WeblogicPort 7001
</Location>
</VirtualHost>
soainternal_vh.confファイルこのファイルの内容:
<VirtualHost WEBHOST1:7777>
ServerName soainternal.example.com:80
ServerAdmin you@your.address
RewriteEngine On
RewriteOptions inherit
# WSM-PM
<Location /wsm-pm>
WLSRequest ON
WebLogicCluster SOAHOST1:7010,SOAHOST2:7010
WLProxySSL OFF
WLProxySSLPassThrough OFF
</Location>
</VirtualHost>
この章で行った変更を確認する手順は次のとおりです。
次のハードウェア・ロード・バランサへのURLを使用してOracle WebLogic Server管理コンソールを表示し、Oracle WebLogic Server管理者資格証明を使用してログインします。
http://admin.example.com/console
これによって、ロード・バランサ上のadmin.example.com仮想ホストがWeb層のOracle HTTP Serverインスタンスにリクエストをルーティングでき、さらに、このOracle HTTP ServerインスタンスがOracle WebLogic Server管理コンソールのリクエストをアプリケーション層の管理サーバーにルーティングできることが検証されます。
同様に、類似したURLを使用してFusion Middleware Controlにアクセスできます。
http://admin.example.com/em