Oracle Java Cloud Serviceインスタンスをバックアップすることで、特定の状態に保つことができます。 後からサービスに不要な構成変更を行った場合、サービス・インスタンスの構成データをバックアップからリストアすることで、それらを元に戻すことができます。 ソフトウェアを現在の公式のパッチ・セット更新(PSU)レベルにリストアすることもできます。
バックアップの内容は、バックアップが増分バックアップまたは全体バックアップのどちらかによって異なります。
Oracle Java Cloud Serviceにより、サービス・インスタンスの適切なリストアに必要なボリュームおよび他のメタデータのみがバックアップに含められることが保証されます。 バックアップされるボリュームの詳細は、「ディスク・ボリュームについて」を参照してください。
内容は次のとおりです。
全体バックアップには、サービス・インスタンスの構成データのリストアに必要なすべての実行時アーティファクトが含まれます。
特に、全体バックアップには次の項目が含まれます。
次の項目で構成される、サービス・インスタンスのOracle WebLogic Serverドメイン構成:
各仮想マシンの$DOMAIN_HOME
ボリューム
これには、そのデータベースに格納されていない管理対象サーバー永続ストアが含まれます。 WebLogic Server永続ストアは、トランザクション・ログとJava Message Service (JMS)プロバイダに使用されます。
管理サーバー仮想マシンの$MW_HOME
ボリュームのOracle WebLogic Serverドメイン構成ファイル
ロード・バランサのOracle Traffic Director構成
注意:
Oracle Java Cloud Serviceでは、$MW_HOME
ボリュームにインストールされたOracle Fusion Middlewareソフトウェアを含め、ソフトウェアはバックアップ
されません。 必要に応じて、サービス・インスタンスのVMにインストールしたソフトウェアを再インストールできることを確認してください。
サービス・インスタンスのディスク・ボリュームの詳細は、「ディスク・ボリュームについて」を参照してください。
増分バックアップには、最後のスケジュール済全体バックアップ以降、すべての仮想マシンの構成データに加えられた変更が含まれます。
注意:
増分バックアップはすべて、スケジュールされた自動バックアップです。 オンデマンドで増分バックアップを作成することはできません。
増分バックアップの作成時に次のいずれかの条件が満たされる場合、Oracle Java Cloud Serviceはバックアップを全体バックアップに昇格させます。
最後のスケジュール済全体バックアップ以降、サービス・インスタンスの構成データがリストアされている場合。
最後のスケジュール済全体バックアップ以降、サービス・インスタンスがスケール・アウトされている場合。
最後のスケジュール済全体バックアップ中にアクセスできなかった仮想マシンに、Oracle Java Cloud Serviceがアクセスできるようになった場合。
最後のスケジュール済全体バックアップを使用できなくなった場合。
使用可能なバックアップのリストでは、タイプと作成時刻から昇格されたバックアップを識別できます。 増分バックアップのスケジュール時間に作成された、すべての自動全体バックアップが昇格されました。
データベース・バックアップには、Oracle Java Cloud Serviceインスタンスに対するOracle Fusion Middlewareコンポーネント・スキーマおよびアプリケーション・データが含まれます。
Oracle Java Cloud Serviceは、サービス・インスタンスがOracle Database Cloud Serviceデータベース・デプロイメントに接続されている場合にのみ、このデータベースをバックアップできます。 バックアップされない項目を参照してください。
スケジュールされた自動バックアップのすべてにデータベース・バックアップが含まれます。 開始するバックアップ内にデータベース・バックアップを含むかどうかを選択できます。 詳細は、次を参照してください。
オンデマンド・バックアップを開始する際に、バックアップを永久的に保存すること(有効期限が切れず、自動的に削除されることもありません)を選択できます。 データベース・バックアップの範囲は、バックアップが永久保存されるかどうかによって異なります。
バックアップが永久保存される場合、データベース・バックアップは全体バックアップです。
それ以外の場合は、データベースをバックアップするRecovery Manager (RMAN)ソフトウェアによって、バックアップが全体バックアップまたは増分バックアップのどちらになるか決定されます。
注意:
他のサービス・インスタンスのデータを損失するリスクなしでOracle Java Cloud Serviceインスタンスのデータベースを確実にリストアするには、複数のOracle Java Cloud Serviceインスタンスに対して同一のOracle Database Cloud Serviceデータベース・デプロイメントを使用しないでください。 複数のOracle Java Cloud Serviceインスタンスで使用されるOracle Database Cloud Serviceデータベース・デプロイメントのバックアップには、すべてのOracle Java Cloud Serviceインスタンスのデータが含まれます。 Oracle Java Cloud Serviceインスタンスをリストアするときにデータベースをリストアすると、すべてのOracle Java Cloud Serviceインスタンスのデータがリストアされます。各増分バックアップは、増分バックアップの前に実行された最後のスケジュール済全体バックアップにリンクされます。 結果として、各スケジュール済全体バックアップは、その全体バックアップと次のスケジュール済全体バックアップの間に実行されたすべての増分バックアップにリンクされます。
増分バックアップがリンクされている先の全体バックアップをリストアする必要なく、増分バックアップからサービス・インスタンスをリストアできます。 Oracle Java Cloud Serviceはすべてのデータを、サービス・インスタンスの完全なリストアに必要な、リンクされている全体バックアップからリストアします。 詳細は、Oracle Java Cloud Serviceインスタンスのバックアップからのリストアを参照してください。
ただし、増分バックアップを削除またはアーカイブせずに、増分バックアップがリンクされている全体バックアップを削除またはアーカイブすることはできません。 詳細は、次を参照してください。
「Oracle Java Cloud Service REST API」の「サービス・インスタンスのバックアップのダウンロードまたはアーカイブ」
Oracle Java Cloud Serviceでは必ず、サービス・インスタンスの適切なリストアに必要とされる情報のみがバックアップに含まれます。
このため、次の項目はバックアップされません。
ユーザーのカスタム・ボリューム
JDKソフトウェアを含む$JDK_HOME
ボリューム
$MW_HOME
ボリュームのソフトウェア・バイナリ・ファイル
また、Oracle Java Cloud Serviceは、Oracle Database Cloud Serviceデータベース・デプロイメントに接続されていない場合、データベースをバックアップしません。 他のタイプのデータベースの場合は、Oracle Java Cloud Serviceと同じスケジュールで行われるようにデータベース・バックアップを手動で調整できます。 同様に、サービス・インスタンスをバックアップからリストアするためにOracle Java Cloud Serviceを使用する場合、同時にとったバックアップから別々にデータベースをリストアすることもできます。
バックアップは様々な方法で開始されます。
Oracle Java Cloud Serviceは、次のデフォルト・スケジュールでスケジュールされた自動バックアップを開始します。
全体バックアップは毎週開始され、サービス・インスタンスが作成されてから12時間後、直近の5分間隔に丸められて始まります。
たとえば、サービス・インスタンスが月曜日の1:01 PMに作成された場合、全体バックアップは火曜日の1:00 AMに開始します。
増分バックアップは、全体バックアップの曜日以外の毎日、全体バックアップの開始と同じ時刻に開始します。
たとえば、サービス・インスタンスが月曜日の1:01 PMに作成された場合、増分バックアップは火曜日以外の毎日1:00 AMに開始します。
自動バックアップが開始されるスケジュールを変更できます。 Oracle Java Cloud Serviceインスタンスの自動バックアップの構成を参照してください。
Oracle Java Cloud Serviceインスタンスのオンデマンド・バックアップの開始に説明されているように、次のスケジュールされているバックアップを待たなくても、バックアップをすぐに開始できます。
Oracle Java Cloud Serviceは、サービス・インスタンスのパッチ適用、スケール・インまたはスケール・アウトの直前に、全体バックアップを開始します。
バックアップはOracle Java Cloud Serviceでデフォルトで有効になっていますが、新しいサービス・インスタンスや既存のサービス・インスタンスでこの機能を無効にすることができます。 次の項を参照してください:
Oracle Java Cloud Serviceはすべてのバックアップをリモート・ファイル・システムに格納します。 最新のバックアップからリストアを高速化するために、Oracle Java Cloud Serviceは、最近作成したバックアップのローカル・コピーも保持します。
注意:
Oracle Java Cloud Serviceによって生成されたバックアップ・ファイルのダウンロードを試行しないでください。 これらのファイルは暗号化されており、オフラインでアクセスできません。 サービス・インスタンスをバックアップからリストアするには、Oracle Java Cloud Serviceを使用する必要があります。リモート・ファイル・システムでのバックアップの格納方法
デフォルトでは、Oracle Java Cloud Serviceは、サービス・インスタンスの作成時に指定されたリモート・ファイル・システムにバックアップを格納します。 OPCMでのOracle Java Cloud Serviceインスタンスの自動バックアップの構成に説明されているように、別のファイル・システムにバックアップを格納できます。
注意:
ファイル・システムにOracle Java Cloud Serviceの移動先のバックアップ・アーカイブが含まれている場合は変更できません。Oracle Java Cloud Serviceは、バックアップの保存期間が経過すると自動的にバックアップを削除します。
バックアップのローカル・コピーの格納方法
Oracle Java Cloud Serviceは、管理サーバーが実行中の仮想マシンにアタッチされたブロック・ストレージにマウントされている専用ボリュームにローカル・コピーを格納します。 このボリュームの空き領域が不十分な場合はバックアップが失敗します。
Oracle Java Cloud Serviceがバックアップのローカル・コピーを削除するまでに保持する期間は、バックアップの範囲によって異なります。
増分バックアップの場合、Oracle Java Cloud Serviceはローカル・コピーを7日間保持します。
全体バックアップの場合、Oracle Java Cloud Serviceは、最後の関連増分バックアップが保持されている期間と7日間のどちらか長い期間、ローカル・コピーを保持します。
バックアップおよびローカル・コピーを自動的に削除する方法
当日にスケジュールされているバックアップを完了した後、 Oracle Java Cloud Serviceは、その日に削除が予定されているバックアップまたはローカル・コピーを削除します。 領域不足が原因でスケジュール済バックアップが失敗しても、削除が予定されているバックアップおよびローカル・コピーはそのまま削除されます。
注意:
Oracle Java Cloud Serviceインスタンスが削除されると、そのバックアップはすべて削除されます。
Oracle Java Cloud Serviceインスタンスのバックアップ中、サービス・インスタンスは引き続き実行され、サービス・インスタンスにデプロイされたアプリケーションはすべて使用可能なままです。
バックアップ中の構成の変更を防止するため、Oracle Java Cloud ServiceはOracle WebLogic Serverドメインをロックします。 ドメインをロックした後、「バックアップの内容」に説明されているようにOracle Java Cloud Serviceは各ノード上のファイルをバックアップします。
注意:
バックアップが進行中の間は、管理サーバーの起動を試行しないでください。
バックアップが進行中の間は、サービス・インスタンスで他の管理操作は開始できません。
バックアップが完了すると、Oracle Java Cloud ServiceはOracle WebLogic Serverドメインをロック解除します。 バックアップがスケジュール済バックアップの場合、Oracle Java Cloud Serviceは古いバックアップを次のようにクリーンアップします。
リモート・ファイル・システムに格納すれば十分なすべての古いバックアップをローカル・ストレージから削除します。
すべての保存場所から、保存期間が過ぎて残っているバックアップのコピーをすべて削除します。
領域不足が原因でスケジュール済バックアップが失敗した場合も、古いバックアップはクリーンアップされます。
バックアップにデータベース・バックアップが含まれている場合は、Oracle Java Cloud ServiceはRecovery Manager (RMAN)を使用してOracle Database Cloud Serviceデータベース・デプロイメントをバックアップします。 データベースのバックアップは他のボリュームのバックアップと調整されます。
注意:
Oracle Java Cloud Serviceは、サービス・インスタンスのバックアップ時にトランザクション・レコードを自動的に削除しません。 したがって、サービス・インスタンスをバックアップからリストアした後でトランザクション・レコードを削除する必要があります。
リストアは様々な方法で開始されます。
リストアはOracle Java Cloud Serviceインスタンスのバックアップからのリストアに説明されているように開始できます。
パッチがロールバックされると、Oracle Java Cloud Serviceはレストアを開始して、ソフトウェアをパッチが適用される前の公式PSUレベルに戻します。 Oracle Java Cloud Serviceが開始するレストアは、バックアップページのインスタンスのリストア履歴に表示されます。
サービス・インスタンスのリストアが開始すると、Oracle Java Cloud Serviceはサービス・インスタンスのサーバーを停止します。 リストアが完了した後、Oracle Java Cloud Serviceはサービス・インスタンスのサーバーを再起動します。
バックアップとサービス・インスタンスのホストが一致しない場合、Oracle Java Cloud Serviceによって不一致がどのように処理されるかは、不一致の原因によって異なります。
サービス・インスタンスにバックアップ内にない管理対象サーバー・ホストが含まれる
バックアップ内にない管理対象サーバー・ホストがサービス・インスタンスに含まれる場合、Oracle Java Cloud Serviceは、バックアップの一部ではない管理対象サーバー・ホストをリストアできないことを示す警告を表示します。
再度リストアする前に、サービス・インスタンスをスケール・インして、これらの管理対象サーバー・ホストに対応するノードを削除できます。 詳細は、「Oracle Java Cloud Serviceインスタンスのスケール・イン」を参照してください。
サービス・インスタンスをスケール・インせずに続行する場合、Oracle Java Cloud Serviceにより、サービス・インスタンスの自動スケール・インが行われることの確認が求められます。
サービス・インスタンスにバックアップ内にないCoherenceデータ層のホストが含まれる
Oracle Coherenceがサービス・インスタンスに有効な場合: Coherenceデータ層で構成される管理対象サーバーが、managedserver_server_n_DG
で識別されます。 バックアップにはないCoherenceデータ層の管理対象サーバー・ホストがサービス・インスタンスに含まれる場合、サービス・インスタンスをリストアする前に、これらの特定ノードと対応する管理対象サーバー・ホストを管理する容量単位を削除してサービス・インスタンスをスケール・インします。 特定の容量単位の削除の詳細は、Oracle Java Cloud Serviceコンソールを使用したCoherenceデータ層のスケーリングを参照してください。
バックアップにサービス・インスタンス内にないホストが含まれる
バックアップに、サービス・インスタンス内にないホストが含まれる場合、Oracle Java Cloud Serviceはこれらのホスト上の管理対象サーバーを管理サーバー構成から削除しようとしません。 Oracle WebLogic Serverを使用して、これらのホストの管理対象サーバーを管理サーバー構成から削除する必要があります。