1 はじめに
Oracle Database管理者(DBA)には、Oracle Databaseの運用全般に対する責任があります。この章は、多くの一般的なDBAタスク、利用可能なツールおよびこのガイドに習熟することを目的としています。
この章の内容は次のとおりです。
1.1 このガイドについて
このガイドで使用される主要な管理インタフェースは、Oracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)で、Oracle Databaseで導入されたすべての自己管理機能を装備しています。
この項の内容は次のとおりです。
1.1.1 このガイドの対象外
『Oracle Database 2日でデータベース管理者』は、タスク指向です。このマニュアルでは、管理タスクの実行が必要な理由および時期について説明します。必要に応じて、すぐに使用するタスクの理解および実行に必要な概要について説明します(読者はデータベースの予備知識がないと想定しています)。このマニュアルでは、Oracle Databaseのすべての概要を包括的には説明しません。これに関する詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。
また、管理タスクの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください
1.1.2 このガイドと関連教材の使用方法
このマニュアルは、Oracle Databaseの管理を目的とした一連の総合的な学習教材の一部であり、これらの教材には、Webで利用可能な2日でデータベース管理者のOracle By Example (OBE)シリーズが含まれます。
『Oracle Database 2日でデータベース管理者』の各章は、Oracle By Exampleレッスンに対応しています。OBEでは、各章のタスクを段階的に説明し、注釈付きのスクリーン・ショットを使用します。一部の例では、タスクの完了に役立つ追加情報がOBEにより提供されています。
各章の終わりには、関連するOBEレッスンへのリンクが記載されています。2日でデータベース管理者のOracle By Exampleシリーズのホームページは次のとおりです。
https://apexapps.oracle.com/pls/apex/f?p=44785:24:::NO:24:P24_CONTENT_ID:16822
1.2 Oracle Databaseについて
Oracle Databaseは、オブジェクトおよびeXtensible Markup Language(XML)機能を使用するリレーショナル・データベースです。リレーショナル・データベースでは、すべてのデータが、行と列で構成される表に格納されます。Oracle Databaseを使用すると、高いパフォーマンス、信頼性およびスケーラビリティを保持しながら、データの格納、更新および効率的な検索を実行できます。
Oracle Databaseは、次の要素で構成されています。
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ホスト・コンピュータ上にインストールするOracleソフトウェア。
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1つ以上のディスク上の物理ファイルの集合であるデータベース。
データベースには、ユーザー・データ、メタデータおよび制御構造が含まれています。メタデータ(データに関するデータ)はディスクに関する情報の集合であり、Oracleソフトウェアによるユーザー・データの管理を可能にします。メタデータの例として、データ・ディクショナリを挙げることができます。制御構造(制御ファイル、オンラインREDOログ・ファイルなど)によって、ユーザー・データの整合性、可用性およびリカバリ可能性が確保されます。
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次の要素で構成されているOracleインスタンス。
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接続したユーザーとアプリケーションのかわりに作業を実行するサーバー・プロセス、およびこれらのプロセスによって使用されるメモリーと一時記憶域。
サーバー・プロセスは、SQL文を解析および実行し、結果を取得してユーザーまたはアプリケーションに戻します。
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Oracle NetおよびOracle Netリスナー。Oracle Netは、クライアント・アプリケーションとOracle Databaseがネットワーク上で通信できるようにするソフトウェア・レイヤーです。Oracle Netリスナーは、ネットワークからの接続リクエストをリスニングするプロセスです。
関連項目:
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バックグラウンド・プロセスの詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。
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バックグラウンド・プロセスの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
1.3 Oracle DBAの一般的なタスク
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Oracleソフトウェアのインストール
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Oracle Databaseの作成
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新しいリリースへのデータベースおよびソフトウェアのアップグレード
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データベース・インスタンスの起動および停止
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データベース記憶域構造の管理
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ユーザーおよびセキュリティの管理
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表、索引、ビューなどのデータベース・オブジェクトの管理
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必要に応じたデータベースのバックアップおよびリカバリ操作の実行
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データベースの状況の監視および予防または修正アクションの実行(必要な場合)
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データベースのパフォーマンスの監視およびチューニング
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診断およびOracleサポート・サービスへの重大なエラーの報告
中小規模のデータベース環境では、これらのタスクを1人で担当することが考えられます。大規模なエンタープライズ環境では、通常は、データベース・セキュリティまたはデータベース・チューニングなどの専門を持つ数名のDBAに作業を分担します。
関連項目:
データベース管理者の職務の詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください
1.4 データベース管理用のツール
このガイドでは、Oracle Databaseの迅速かつ効率的な作成方法および基本的なデータベースの管理方法について説明します。
次に、データベース管理者の作業を行う場合に使用する製品、ツールおよびユーティリティの一部を示します。
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Oracle Universal Installer
Oracle Universal Installer(OUI)は、Oracleソフトウェアおよびオプションをインストールするユーティリティです。これによりOracle Database Configuration Assistantが自動的に開始され、データベースがインストールされます。
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Oracle Database Configuration Assistant。
Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)は、Oracleで提供されるテンプレートからデータベースを作成したり、独自のデータベースを作成するユーティリティです。事前定義されたシード・データベースをコピーできるため、新しいデータベースを生成およびカスタマイズする時間および労力を削減できます。
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Database Upgrade Assistant
Database Upgrade Assistant (DBUA)は、既存のデータベースを新しいOracle Databaseリリースにアップグレードするツールです。
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Net Configuration Assistant
Net Configuration Assistantは、リスナーとネーミング・メソッドを構成できるユーティリティであり、Oracle Databaseネットワークのクリティカル・コンポーネントです。
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Oracle Enterprise Manager Database Express。
データベースを管理する主要製品はOracle Enterprise Manager Database Express (EM Express)であり、Webベースのインタフェースを持ちます。Oracle Databaseソフトウェアをインストールし、データベースを作成またはアップグレードし、ネットワークを構成すると、このEM Expressを使用してデータベースを管理できます。EM Expressでは、パフォーマンス・アドバイザ用のインタフェースも提供されます。
また、Oracleは、別途にライセンスされるOracle Enterprise Manager管理パック、管理プラグインなどの製品も提供しています。これらの製品を購入して、特定の環境でのOracle Enterprise Managerの機能を強化できます。
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SQL Developer
SQL DeveloperはOracle Databaseにアクセスするための別のGUIです。SQL DeveloperではSQLとPL/SQLの両言語による開発がサポートされています。Oracle Databaseのデフォルトのインストールで使用可能です。
SQL Developerではデータベース・オブジェクトの参照、SQL文とSQLスクリプトの実行、PL/SQL文の編集およびデバッグを実行できます。また、付属のレポートを実行できるだけでなく、独自のレポートを作成して保存することもできます。
関連項目: