インストールの考慮事項

この製品のインストール方法を決定する前に考慮する必要のある情報について説明します。

WindowsシステムとUNIXシステムのインストールの相違

UNIX環境でのOracleコンポーネントのインストール経験がある場合、UNIXで必要な多くの手動設定作業は、Windowsでは不要な点に注意してください。

UNIXとWindowsでのインストールの主な相違点は次のとおりです。

  • サービスの起動および停止

    Windowsでは、管理者権限を持つユーザー・アカウントにログインして、Oracle Databaseソフトウェアをインストールします。インストール時に、Oracleホーム・ユーザー(管理者アカウント以外の標準のWindowsユーザー・アカウント)を指定することもできます。LinuxおよびUNIXシステムでは、ソフトウェア所有者ユーザー・アカウントを作成および使用する必要があり、このユーザーはOracleインベントリ・グループに属している必要があります。

  • 環境変数

    Windowsでは、Oracle Universal Installerで、PATHORACLE_BASEORACLE_HOMEORACLE_SIDなどの環境変数がレジストリに設定されます。UNIXシステムでは、このような環境変数は手動で設定する必要があります。

    あるOracleホームに複数のOracle Databaseがある場合、レジストリに設定されるのは最後のOracle DatabaseのSIDのみです。

  • オペレーティング・システム・グループ

    Windowsシステムでは、Oracle Universal Installerは、ORA_DBAORA_OPERORA_SID_DBAORA_SID_OPERORA_HOMENAME_DBAORA_HOMENAME_OPERおよびその他のグループを作成します。これらはオペレーティング・システムのOracle DatabaseおよびOracle ASMインスタンスに対する認証に使用されます。LinuxおよびUNIXシステムでは、これらのオペレーティング・システム・グループを手動で作成する必要があります。これらは、様々なOracleソフトウェア・リソースへのアクセス許可の付与およびオペレーティング・システムによる認証に使用されます。

  • Oracle Universal Installerを実行するアカウント

    Windowsでは、管理者権限を持つユーザー・アカウントにログインして、Oracle Databaseソフトウェアをインストールします。インストール時に、Oracleホーム・ユーザー(管理者アカウント以外の標準のWindowsユーザー・アカウント)を指定することもできます。LinuxおよびUNIXシステムでは、ソフトウェア所有者ユーザー・アカウントを作成および使用する必要があり、このユーザーはOracleインベントリ・グループに属している必要があります。

関連項目:

Oracleホームの管理の詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Microsoft Windows and UNIX』を参照してください。

推奨ファイル・システム

推奨ファイル・システムを説明します。

Oracleデータベース・ホーム(Oracleデータベース・バイナリ、トレース・ファイルなど)をOracle ACFS、NTFS、またはReFSにインストールすることを強くお薦めします(Oracle ACFSを使用する場合は、データベース・ファイル自体をOracle ASMに置く必要がありますが、それ以外の場合は、NTFSまたはReFSに置くことができます)。これらのファイルのセキュリティのため、Oracle ACFS、Oracle ASM、NTFSまたはReFSを使用することをお薦めします。

ハードウェアおよびソフトウェアの動作保証

このマニュアルに記載されているプラットフォーム固有のハードウェア要件とソフトウェア要件は、このマニュアルの発行時点での最新情報です。

ただし、このマニュアルの発行後にプラットフォームおよびオペレーティング・システム・ソフトウェアの新しいバージョンが動作保証されている場合があるため、My Oracle SupportのWebサイトで、動作保証済のハードウェア・プラットフォームおよびオペレーティング・システムのバージョンの最新リストを参照してください。このWebサイトでは、互換性のあるクライアントおよびデータベースのバージョン、パッチ、および不具合の回避策情報も提供しています。My Oracle SupportのWebサイトには、次からアクセスできます。

https://support.oracle.com/

My Oracle Supportを使用するには、オンライン登録する必要があります。ログイン後、メニュー・オプションから「動作保証」タブを選択します。「動作保証」ページで、「動作保証検索」オプションを使用して、製品リリースおよびプラットフォーム別で検索します。ソフトウェアeDeliveryクラウドライフタイム・サポートなどの「動作保証クイック・リンク」のオプションを使用して検索することもできます。

Oracle SQL Developer用のサード・パーティ・データベースの動作保証

Oracle SQL Developerを使用して、複数のOracle以外のデータベースのメタデータおよびデータを表示できます。

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureは、単一インスタンス・データベースが含まれたエンタープライズ・グリッド・アーキテクチャのインフラストラクチャを提供します。

Oracle Database 12cリリース2 (12.2)は、これらのインフラストラクチャ製品を、Oracle Grid Infrastructureホームと呼ばれる1つのソフトウェア・インストールに結合します。単一インスタンス・データベースの場合、Oracle Grid InfrastructureホームにはOracle RestartおよびOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)ソフトウェアが含まれます。

Oracle Automatic Storage ManagementまたはOracle Restartを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、まず、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。そうでない場合は、データベースを手動でOracle Restartに登録する必要があります。

Oracle Cluster Synchronization Services

Oracle Restartをインストールすると、単一ノード・バージョンのOracle Cluster Synchronization Services (CSS)がOracle Universal Installerによって構成されます。

CSSサービスは、Oracle ASMインスタンスと、データベース・ファイルのストレージ用に依存しているデータベース・インスタンスとの同期を可能にするために必要です。CSSサービスは、Oracle ASMインスタンスまたはデータベース・インスタンスの起動時にすでに実行されている必要があるため、Oracle ASMが起動される前にOracle Restartによって自動的に起動されます。Oracleデータベースのデータベース・ファイルの記憶域にOracle ASMを使用している場合、このプロセスは実行中である必要があります。

単一インスタンスのインストールの場合、CSSがインストールおよび実行されるOracle Grid Infrastructureホームで、Oracle ASMも実行されます。

Oracle Universal Installerの概要

Oracle Universal InstallerはJavaベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)ツールであり、これによってOracleソフトウェアをインストールできます。

Oracle Universal Installerには次の機能があります。

  • コンポーネントおよびスイートのインストール

  • グローバリゼーション・サポート

  • 分散インストールのサポート

  • レスポンス・ファイルを使用したアンアテンド・サイレント・インストール

  • インストール済コンポーネントの削除

  • 複数のOracleホームのサポート

Oracle Universal Installerでは、レスポンス・ファイルを使用してOracleソフトウェアのサイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストールを実行できます。

Oracle Universal Installer 12cを使用して、Oracle Database 12cのOracleホーム・ディレクトリにコンポーネントをインストールする必要があります。

Oracle Universal Installerにより、Java Runtime Environment(JRE)のOracleバージョンが自動的にインストールされます。Oracle Universal Installerおよび複数のOracleアシスタントを実行するには、このバージョンが必要です。My Oracle Supportで提供されるパッチで変更しないかぎり、JREを変更しないでください。ダウンロードするOracleパッチについては、次のサイトを参照してください。

https://support.oracle.com/

Oracle Universal Installerを実行すると、dbhome_nディレクトリが作成されます。これは、インストールしているコンポーネントを追跡します。このディレクトリの内容を変更しないでください。デフォルトでは、このディレクトリはORACLE_HOMEと同じディレクトリ・レベルにあります。

Oracleベース・ディレクトリ

他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータにOracle Database 12cをインストールする場合、Oracle Universal InstallerではOracleベース・ディレクトリを作成します。

Oracleソフトウェアがインストール済の場合、1つ以上のOracleベース・ディレクトリが存在します。インストール済であれば、Oracle Universal InstallerではOracle Databaseをインストールするディレクトリを選択できます。

Oracleホーム・ユーザーは、特定のホームに対するOracleベースを完全制御します。セキュリティ上の理由により、それぞれのOracleホームのOracleホーム・ユーザーとして使用された別々のWindowsユーザー・アカウントで、同一のOracleベースを共有することはできません。ただし、Oracle Databaseアップグレードをサポートするために、Windows組込みアカウントとWindowsユーザー・アカウントの間でのOracleベースの共有がサポートされています。つまり、Oracle Database 12cで以前のリリースのOracle DatabaseからOracleベースを再利用するよう選択した場合、Oracle Database 12cのOracleホームのOracleホーム・ユーザーは、以前のリリースのOracleベースを完全制御します。

デフォルトのWindowsインストールでは、Oracleベース・ディレクトリは次のように表示されます。

DRIVE_LETTER:\app\username

ここで、usernameは、Windows組込みアカウントを選択した場合はOracleインストール・ユーザー、それ以外の場合はOracleホーム・ユーザー(標準のWindowsユーザー・アカウント)です。

注意:

Oracleホーム・ユーザーとして使用されたWindowsユーザー・アカウントを持つOracle Database 12c以降のリリースをインストールした後は、旧リリースのデータベースをインストールしたり、同じOracleベース・ディレクトリを共有しないでください。旧リリースのOracle Databaseのインストール中に、旧リリースに対応するACLはリセットされます。そのため、Oracle Database 12c以降のサービスは、Oracleベース・ディレクトリおよびその中のファイルにアクセスできない可能性があります。

注意:

システムに他のOracleベース・ディレクトリが存在する場合にも、Oracleベース・ディレクトリを作成するように選択できます。

Oracleホーム・ディレクトリ

Oracleホーム・ディレクトリについて説明します。

Oracleホーム環境の内容

Oracleホーム・ディレクトリは、Oracleベース・ディレクトリの下に配置されます。

たとえば、デフォルトのWindowsインストールでは、Oracleホーム・ディレクトリにdbhome_1を指定すると、Oracleベース・ディレクトリで次のように表示されます。

DRIVE_LETTER:\app\username\product\12.2.0\dbhome_1

ここで、usernameは、Windows組込みアカウントを選択した場合はインストール・ユーザー、それ以外の場合は指定したOracleホーム・ユーザーです。

Oracleホームは、Oracleコンポーネントが実行される環境に対応します。この環境は次のもので構成されます。

  • インストール済コンポーネント・ファイルの位置

  • インストール済コンポーネントのバイナリ・ファイルを参照するPATH変数

  • レジストリ・エントリ

  • サービス名

  • プログラム・グループ

Oracleホームにはそれ自体に関連付けられた名前もあり、これはインストーラによって自動的に割り当てられます。

複数のOracleホーム・コンポーネント

すべてのOracleコンポーネントは、同一コンピュータの複数のOracleホームにインストールできます。

ただし、一部のコンポーネントでは、一度にサポートできるアクティブ・インスタンスは1つのみです。現行(最新)のインストールによって以前のものが非アクティブになります。該当するコンポーネントは次のとおりです。

  • 1 Oracle Administration Assistant for Windows

  • Oracle Provider for OLE DB

Oracleインベントリ・ディレクトリ

Oracleインベントリ・ディレクトリには、サーバーにインストールされたすべてのOracleソフトウェア用の中央インベントリがあります。

デフォルトでは、Oracleインベントリ・ディレクトリの場所は、C:\Program Files\Oracle\Inventoryです。このディレクトリは、Windowsサーバーに初めてOracleソフトウェアをインストールするときにデフォルトで作成されます。

Oracle Data Guard環境へのOracle Database Vaultのインストール

Oracle Database 12cから、Oracle Database Vaultが、Oracle Databaseインストールの一部として、デフォルトでインストールされるようになりました。

Oracle Database VaultとともにOracle Data Guardを使用する場合は、『Oracle Database Vault管理者ガイド』のOracle Database VaultとOracle Data Guardの統合に関する項を参照してください。

Oracle Database Vaultのデフォルトの監査ポリシーおよび初期化パラメータ

Oracle Database Vaultにより、ベースラインのデータベース監査ポリシーがインストールされます。

このポリシーは、次の場所に保存されているアクセス制御構成情報を対象とします。

  • Database Vaultデータベース表

  • Oracle Catalogに保存されている情報(ロールバック・セグメント、表スペースなど)

  • システム権限の使用

  • Oracle Label Securityの構成

Oracle Database Vaultをインストールすると、セキュリティ固有のデータベース初期化パラメータがデフォルト値で初期化されます。

メモリー割当ての検討および自動メモリー管理

典型的なインストールの際に、Database Configuration Assistant (DBCA)を使用してデータベースを作成すると、自動メモリー管理が有効化されます。拡張インストールを選択した場合は、メモリー割当てを手動で指定することも、自動メモリー管理を有効化することも可能です。

自動メモリー管理を使用すると、Oracle Databaseインスタンスにより、メモリーが自動的に管理およびチューニングされます。自動メモリー管理を使用する場合は、メモリー・ターゲットを選択すると、インスタンスによってシステム・グローバル領域(SGA)とインスタンス・プログラム・グローバル領域(インスタンスPGA)の間でメモリーが自動的に配分されます。メモリー要件の変化に応じて、メモリーはインスタンスによってSGAとインスタンスPGAの間で動的に再配分されます。

自動メモリー管理は、データベースのインストール中でもインストール後でも有効化できます。インストール後に自動メモリー管理を有効にする場合は、データベースを停止して再起動する必要があります。