スナップショット用のOracle ACFSコマンドライン・ツール
このトピックでは、Oracle ACFSスナップショットの管理用コマンドの概要を示します。
表16-86に、Oracle ACFSスナップショット・コマンドと簡単な説明を示します。Oracle ACFSスナップショットの概要は、「Oracle ACFSスナップショットについて」を参照してください。
Oracle ACFS acfsutil
コマンドの実行の詳細は、「Oracle ACFSコマンドライン・ツールの使用について」を参照してください。
表16-86 Oracle ACFSスナップショット用のコマンドの概要
コマンド | 説明 |
---|---|
既存のスナップショットのタイプを変換します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムまたは既存のスナップショットのスナップショットを作成します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステムのスナップショットを削除します。 |
|
複製スナップショットを更新します。 |
|
既存のスナップショットの複製を作成します。 |
|
Oracle ACFSファイルシステム・スナップショットについての情報を表示します。 |
|
指定されたスナップショットの割当て制限を設定します。 |
|
指定されたスナップショットでファイルシステムを再マスタリングします。 |
|
スナップショットの名前を変更します。 |
acfsutil snap convert
目的
読取り専用から読取り-書込みに、または読取り-書込みから読取り専用に、既存のスナップショット・イメージのタイプを変換します。
構文および説明
acfsutil snap convert -h acfsutil snap convert [-r|-w] snapshot mount_point
acfsutil
snap
convert
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-87に、acfsutil
snap
convert
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-87 acfsutil snap convertコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
スナップショットを読取り専用のスナップショットに変換します。 |
|
スナップショットを読取り-書込みのスナップショットに変換します。 |
|
変換するスナップショットの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
snap
convert
は、読取り専用のスナップショット・イメージから読取り-書込みのスナップショット・イメージに、または読取り-書込みのスナップショット・イメージから読取り専用のスナップショット・イメージに、既存のスナップショット・イメージのタイプを変換します。
タイプ・オプション(-r
または-w
)は、変換操作に必要です。既存のスナップショット・イメージのタイプに一致するタイプ・パラメータを指定すると、変換は行われず、失敗しません。11.2の読取り専用のスナップショット・イメージは読取り-書込みのスナップショット・イメージに変換できますが、この変換によって、Oracle ACFSのディスク上の構造のバージョンが更新されます。Oracle ACFSのディスク上の構造のバージョンが更新されると、更新されたバージョンは以前のOracle ACFS 11.2バージョンとは互換性がありません。
このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。
例
例16-81に、acfsutil
snap
convert
コマンドの使用方法を示します。
例16-81 acfsutil snap convertコマンドの使用方法
$ acfsutil snap convert -w midday_test1 /acfsmounts/critical_apps $ acfsutil snap convert -r midday_test2 /acfsmounts/critical_apps
acfsutil snap create
目的
Oracle ACFSファイルシステムまたは既存のスナップショットの、読取り専用または読取り-書込みスナップショットを作成します。
構文および説明
acfsutil snap create -h acfsutil snap create [-r|-w] [-c] [-p parent_snapshot] snapshot mount_point
acfsutil
snap
create
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-88に、acfsutil
snap
create
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-88 acfsutil snap createコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
読取り専用スナップショットを作成します。これがデフォルトの設定です。 |
|
読取り-書込みスナップショットを作成します。 |
|
ソース・ファイルシステムまたはスナップショット内の複製固有のデータを新しいスナップショットにコピーする必要があることを指定します。このオプションは、作成されるスナップショットのソースが |
|
スナップショットの名前を指定します。名前は有効なディレクトリ名である必要があります。 |
|
Oracle ACFSファイルシステム内の既存のスナップショット・イメージの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
snap
create
は、mount_point
にマウントされているOracle ACFSファイルシステムの読取り専用または読取り-書込みスナップショットを作成するか、-p
オプションが指定されている場合は既存のスナップショットのスナップショットを作成します。読取り専用には-r
を、読取り-書込みには-w
を指定できます。-r
と-w
のどちらも指定しなければ、読取り専用がデフォルトで指定されます。
読取り-書込みスナップショットでは、イメージスナップショット画像をホストしているOracle ACFSファイルシステムの状態に影響を与えずに、読取りと書込みの両方が可能なOracle ACFSスナップショット画像を高速で作成できます。読取り-書込み機能は、アプリケーション・ソフトウェアの新しいバージョンをテストするために、または元のファイルシステムを変更せずに本番ファイル・データ上でテスト・シナリオを実行するために使用できます。
-c
オプションを使用すると、acfsutil
snap
duplicate
apply
操作で最終更新が実行されたファイルシステムまたはスナップショットのコピーを作成できます。この更新後のファイルシステムまたはスナップショットは、適用ターゲットと呼ばれます。適用ターゲットに書き込まれるデータは、acfsutil
snap
duplicate
create
操作のスナップショット複製ストリームから取得されます。
適用ターゲットには、ターゲットを更新したストリームを識別するメタデータが含まれます。このメタデータにより、適用ターゲットに対するその後のacfsutil
snap
duplicate
apply
操作には、ターゲットを更新した前のストリームの終点と一致する起点が必ず存在します。次に、-c
オプションの作用をまとめます。
-
適用ターゲットをコピーする際に
-c
オプションを指定しないと、スナップショット複製メタデータは消去されるため、新しいスナップショットはその後の適用操作のターゲットではなくなります。 -
-c
を指定すると、メタデータは保持されるため、ソース・ファイルシステムまたはスナップショットを使用できるのとまったく同じように、新しいスナップショットをその後のacfsutil
snap
duplicate
apply
操作のターゲットとして使用できます。
-c
オプションは、読取り-書込みスナップショットを生成し、-r
オプションまたは-w
オプションとともに使用できないことがあります。
スナップショットは、別のファイルシステムではありません。スナップショットは.ACFS/snaps/
snapshot
ディレクトリに格納され、スナップショット・コマンドが発行された時点での最初のファイルシステムの完全なレプリカです。読取り専用スナップショットは、最初のpoint-in-timeビューの保持を継続します。読取り-書込みスナップショットは、.ACFS/snaps/
snapshot
階層内のファイルに直接書き込まれる更新によって変更できます。
シンボリック・リンク(symlink)ファイルは、symlinkが作成される時点で指定されるパスへのポインタです。acfsutil
snap
create
コマンドのソースにある既存のsymlinkの場合、新しいリンクがスナップショットに作成されます。ただし、symlinkターゲットへのストアド・パスは、スナップ作成中に変更されません。リンクのターゲットとして絶対パスが使用される場合、スナップショットのリンク・ターゲットは、新しく作成されたスナップショット・ネームスペースの外部の絶対パスを参照したままです。スナップショットsymlinkによって、今後、スナップショット・ネームスペース内の新しいターゲットではなく、ターゲット・ファイルへの変更が発生することがあります。スナップショットの外部で、ターゲット・ファイルの内容も変更できます。この動作により、同じファイルシステム内にあるすべてのsymlinkに対して、相対パス・ターゲットを使用する必要があります。
どのユーザーでも、パス名を指定することでスナップショットディレクトリにアクセスできます。ただし、.ACFS
ディレクトリ自体は、ファイルシステムのルートを一覧表示しているディレクトリから非表示になります。これでrm
-rf
またはacfsutil
tag
set
-r
などの再帰的なコマンドが、ファイルシステムのルートのスナップショットファイル上で誤って操作されることを防止します。
スナップショットは通常、ファイルが変更されるまでは元のファイルシステムとファイルシステム・ブロックを共有するため、使用する記憶域が当初は非常に少なくてすみます。
du
などのツールにより、スナップショットを作成したファイルのディスク領域の合計使用量が報告されます。これには、ファイルの元のバージョンと共有される記憶域も含まれます。スナップショットに使用される合計領域を確認するには、acfsutil
snap
info
またはacfsutil
info
fs
コマンドを使用します。
Oracle ACFSスナップショットは、作成後すぐに使用可能になります。スナップショットは、元のファイルシステムがマウントされると、.ACFS/snaps
ディレクトリで常にオンラインになります。それらをマウントするために個別のコマンドは必要ありません。
クラスタがローリング移行状態にある場合、acfsutil
snap
create
の操作は失敗します。
次のものがある場合、既存のスナップショットからの作成は許可されません。
-
ADVM
互換性を12.1未満に設定して作成されたファイルシステム内に存在するスナップショット -
ADVM
互換性を12.1
に設定した後でも、11.2のスナップショットが存在しているときに作成されたファイルシステムのスナップショット -
上記の状態のスナップショット削除クリーンアップ操作が、バックグラウンドでまだ実行中である
acfsutil
snap
info
コマンドで、保留中のスナップショット操作を表示できます。
このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。
例
例16-82に、Linuxプラットフォーム上でスナップショットを作成するためのacfsutil
snap
create
コマンドの使用方法を示します。
例16-82 Linuxでのacfsutil snap createコマンドの使用方法
$ acfsutil snap create -w midday_test1 /acfsmounts/critical_apps $ acfsutil snap create -w midday_test2 /acfsmounts/critical_apps $ /sbin/acfsutil snap create payroll_report1 /acfsmounts/critical_apps $ /sbin/acfsutil snap create payroll_report2 /acfsmounts/critical_apps $ ls /acfsmounts/critical_apps/.ACFS/snaps midday_test1 midday_test2 payroll_report1 payroll_report2
例16-83に、Windowsプラットフォーム上でスナップショットを作成するためのacfsutil
snap
create
コマンドの使用方法を示します。この例では、既存のスナップショットからのスナップショットの作成を示します。
例16-83 Windowsでのacfsutil snap createコマンドの使用方法
C:\oracle> acfsutil snap create /w snap_1 e: C:\oracle> acfsutil snap create /w snap_1-1 /p snap_1 e:
関連項目:
-
Oracle ACFSスナップショットの詳細は、「Oracle ACFSスナップショットについて」
-
サポートされているスナップショット数の詳細は、「Oracle ACFSディスク領域使用量」
-
保留中のスナップショット操作の表示については、「acfsutil snap info」
-
スナップショットに使用される領域の詳細は、「acfsutil info fs」
-
acfsutil
snap
duplicate
apply
コマンドとacfsutil
snap
duplicate
create
コマンドの詳細は、「スナップショット用のOracle ACFSコマンドライン・ツール」
acfsutil snap delete
目的
Oracle ACFSファイルシステムのスナップショットを削除します。
構文および説明
acfsutil -h snap delete acfsutil snap delete snapshot mount_point
acfsutil
-h
snap
delete
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-89に、acfsutil
snap
delete
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-89 acfsutil snap deleteコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
スナップショットの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
snap
delete
は、mount_point
にマウントされているOracle ACFSにあるsnapshot
というスナップショットを削除します。コマンドが正常に完了したら、.ACFS/snaps
ディレクトリ内のスナップショットの表示が削除されます。このコマンドは、オープン・ファイルまたはディレクトリ参照があっても成功します。ただし、そのような参照がすべて閉じるまで、スナップショットに関連付けられているストレージは解放されません。
削除されるスナップショットで使用されているディスク容量は、acfsutil
snap
delete
コマンドの完了後またはスナップショットでのファイルの最後のクローズ後にバックグラウンド・タスクによって解放されます。削除されたスナップショットのクリーンアップのためこれらのバックグラウンド・スレッドが実行中の場合、acfsutil
snap
info
コマンドが削除操作の保留を表示します。acfsutil
snap
info
コマンドの詳細は、「acfsutil snap info」を参照してください。
クラスタがローリング移行状態にある場合、acfsutil
snap
delete
の操作は失敗します。
このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。
例
例16-84に、acfsutil
snap
delete
コマンドの使用を示します。
例16-84 acfsutil snap deleteの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap delete midday_test1 /acfsmounts/critical_apps acfsutil snap delete: Snapshot operation is complete.
acfsutil snap duplicate apply
目的
以前に作成された複製スナップショットをOracle ACFSファイルシステムに適用します。
構文および説明
acfsutil snap duplicate apply -h acfsutil snap duplicate apply [-b] [-d trace_level] [snap_name] mount_point
acfsutil snap duplicate apply
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-90に、acfsutil snap duplicate apply
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-90 acfsutil snap duplicate applyコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
コマンドが正常に完了した後に、バックアップ・スナップショットが生成されることを指定します。 |
|
コマンド実行に対するトレース・レベル設定[0..6]を指定します。 |
|
そのファイルシステムの指定されたスナップショットがターゲットであることを指定します。指定されたスナップショットは、既存の書込み可能なスナップショットである必要があります。snap_nameを指定しない場合、適用操作のターゲットはマウント・ポイントに現在マウントされているファイルシステムです。 |
|
複製スナップショットが適用されるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
snap
duplicate
apply
コマンドは、acfsutil snap duplicate create
によって生成されたスナップショット複製ストリームを使用して指定されたターゲットのファイルシステムまたはスナップショットを更新します。データのストリームは、標準入力から読み込まれます。
ターゲットがacfsutil snap duplicate apply
操作によって適用されたことがない場合、今回が初回適用であるため、ターゲットは初めは空である必要があります。ターゲットが前の適用操作で適用されている場合、今回は増分適用であるため、ターゲットの初期コンテンツはスナップショット複製ストリームの生成に使用された古いスナップショットのコンテンツと一致する必要があります。
ターゲットのコンテンツがストリームの古いスナップショットと一致しない場合、このコマンドはエラーを戻し、ストリームは適用されません。適用操作の処理中に他の方法でターゲットを更新しないでください。別の更新が発生すると、このコマンドはエラーを戻し、スナップショット複製ストリームの適用を中止します。適用されるデータ・ストリームが指定したターゲットに適用された最後のデータ・ストリームと同一である場合、このコマンドはターゲットに何も書き込まず、ステータス値2
で終了します。
-b
オプションを指定すると、適用操作による更新の完了後にターゲットのバックアップ・スナップショットが取得されます。適用操作用に取得されたスナップショットは、次の適用操作の完了時に自動的に削除されるため、存在するスナップショットは最後に完了した適用操作のものです。バックアップ・スナップショットにより、最後に成功した適用操作のターゲットの既知で整合性のあるバージョンと、acfsutil snap duplicate apply
操作で行われた処理中の変更を識別するための比較ポイントが提供されます。
バックアップ・スナップショットの名前は、SDBACKUP_seccnt_sourcesnap
またはSDBACKUP_seccnt_sourcesnap_targetsnap
という形式です。名前の文字列のseccnt
はローカル・タイムスタンプ(UNIXエポック以降の秒数)で、バックアップ・スナップショットによってターゲットが取得された時点を示します。sourcesnap
は、最後に完了したacfsutil snap duplicate apply
操作によって適用されたソース・ファイルシステムのスナップショットを示します。targetsnap
が存在する場合は、最後に完了したacfsutil snap duplicate apply
操作によって更新されたターゲット・ファイルシステムでのスナップショット名を示します。
このコマンドを使用するには、システム管理者(root
)権限が必要です。
acfsutil
snap
duplicate
apply
コマンドは、成功時は終了ステータス0
、致命的エラーが発生した場合は1
、読み取られたデータ・ストリームが指定のターゲットに適用された最後のデータ・ストリームと一致する場合は2
をそれぞれ生成します。
スナップショット情報の表示の詳細は、「acfsutil snap info」を参照してください。
例
例16-85に、acfsutil
snap
duplicate
apply
コマンドの使用方法を示します。このコマンドでは、標準入力からバイナリ・データ・ストリームを読み取ると想定しているため、このコマンドは通常、例に示すようにパイプラインでacfsutil
snap
duplicate
create
コマンドとともに使用します。
例16-85 acfsutil snap duplicate applyコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap duplicate create new_snapshot_name /acfsmounts/critical_apps | \ /sbin/acfsutil snap duplicate apply /acfsmounts/ca_backups
acfsutil snap duplicate create
目的
既存のスナップショットの複製スナップショットを作成します。
構文および説明
acfsutil snap duplicate create -h acfsutil snap duplicate create [-r] [-d trace_level] [-p parent_snapshot] [-i old_snapshot] new_snapshot mount_point
acfsutil snap duplicate create
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-91に、acfsutil
snap
duplicate
create
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-91 acfsutil snap duplicate createコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
スナップ複製ストリームを再開ストリームとしてマークすることを指定します。このオプションは、指定したストリームの作成および適用を2回目以降に試行する際に使用するためのものです。このオプションは、前の試行が途中終了した場合に必要になることがあります。 |
|
コマンド実行に対するトレース・レベル設定[0..6]を指定します。 |
|
このオプションにより、両方のスナップショットが同じスナップショットの子(スナップのスナップ)であると保証されます。 |
|
既存のスナップショットの名前を指定します。 |
|
新しいスナップショットの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。これは、スナップショットが取得されたファイルシステムのマウント・ポイントです。 |
acfsutil
snap
duplicate
create
コマンドは、互換性のあるスナップショットの別のインスタンスを作成するためにsnap duplicate applyで使用するのに適した形式でスナップショット関連データを外部化します。この外部化されたデータは、スナップショット複製ストリームと呼ばれます。
新しいスナップショット名のみを指定した場合、このコマンドは、指定されたスナップショットのコンテンツ全体(空のスナップショットとこのスナップショットの差異)をエンコードします。これは、初回スナップ複製操作です。
古いスナップショット名と新しいスナップショット名の両方を指定した場合、このコマンドは、2つのスナップショットの差異のみをエンコードします。これは、増分スナップ複製操作です。
いずれの場合も、このコマンドは、スナップショット複製ストリームを標準出力に書き込みます。
このコマンドを使用するには、システム管理者(root
)権限が必要です。
acfsutil
snap
duplicate
create
コマンドは、成功時は終了ステータス0
を、致命的エラーが発生した場合は1
を生成します。
スナップショット情報の表示の詳細は、「acfsutil snap info」を参照してください。
例
例16-86に、acfsutil
snap
duplicate
create
コマンドの使用方法を示します。このコマンドはバイナリ・データ・ストリームを標準出力に書き込むため、このコマンドは通常、例に示すようにパイプラインでacfsutil
snap
duplicate
apply
コマンドとともに使用されます。
例16-86 acfsutil snap duplicate createコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap duplicate create new_snapshot_name /acfsmounts/critical_apps | \ /sbin/acfsutil snap duplicate apply /acfsmounts/ca_backups
acfsutil snap info
目的
Oracle ACFSファイルシステム・スナップショットについての情報を表示します。
構文および説明
acfsutil snap info -h acfsutil snap info [-t] [snapshot] mount_point
acfsutil
snap
info
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-92に、acfsutil
snap
info
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-92 acfsutil snap infoコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
指定したスナップショットおよびマウント・ポイントのツリー構造を表示します。 |
|
スナップショットの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
snap
info
コマンドは、指定されたOracle ACFSファイルシステム内の個別に指定されたスナップショットまたはすべてのスナップショットに関する情報を表示します。
スナップショット名、スナップショット・タイプ(ROまたはRW)、親の名前、作成日時および使用済領域が表示されます。スナップショットが既存のスナップショットから作成された場合、親の名前は、マウント・ポイントまたは親スナップショットのいずれかです。また、この情報には、スナップショットがレプリケーション固有なのか、snap
duplicate
apply
操作のターゲットとして使用されているのかを示すフラグ値が含まれます。スナップショットがレプリケーション固有である場合は、フラグ値REPL
が表示されます。スナップショットがsnap
duplicate
apply
で使用されている場合は、フラグ値DUP
が表示されます。これらのフラグ値は、読取り専用(RO)スナップショットか読取り-書込み(RW)スナップショットかを示すフラグ値に続いてコマンド出力に表示されます。
snapshot
space
usage
量には、スナップショットのメタデータが含まれます。すべてのファイルがスナップショットから削除される場合、いくつかのメタデータはそのまま残り、その量はacfsutil
snap
info
で表示されます。
アクセラレータ・ボリュームを使用する場合、レポートされるsnapshot
space
usage
量に、アクセラレータ・ボリュームで使用されている領域を含めることができます。
スナップショットによって使用されているディスク領域を再利用するには、スナップショットを削除します。スナップショット内のファイルを削除しても、このディスク領域が再利用されないことがあります。
acfsutil
snap
info
コマンドは、次のように、削除処理中のスナップショットの状態を示します。
-
ファイルのクローズを待機している場合:
snapshot_name (delete waiting for last close)
-
バックグラウンドでスナップショットのストレージを解放している場合:
snapshot_name (delete in progress)
Oracle ACFSはスナップショットの記憶域使用状況統計をキャッシュし、非同期で更新します。Oracle ASMインスタンスが停止された場合、マシンへの電源供給が遮断された場合、またはOracle ACFSファイルシステムが何らかの理由でオフラインになった場合、これらのキャッシュされた更新内容は失われる場合があります。失われた場合、acfsutil
snap
info
の実行時にReported
snapshot
space
usage
is
inaccurate
と似たメッセージが表示されます。
例
例16-87に、Linuxプラットフォームでのacfsutil
snap
info
コマンドの使用方法を示します。コマンド出力には、読取り専用(RO)スナップショット、読取り-書込み(RW)スナップショット(割当て情報とともに)、delete
waiting
for
last
close
状態のスナップショットおよびdelete
in
progress
状態のスナップショットに関する情報が示されています。スナップショットに対する削除操作が完了し、バックグラウンド・プロセスで削除済スナップショットのクリーンアップが終了すると、削除操作に関するメッセージは出力に表示されません。
例16-87 Linuxでのacfsutil snap infoコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap info /acfsmounts/critical_apps/ snapshot name: midday_test (delete waiting for last close) snapshot creation time: Tue Apr 5 10:52:55 2016 snapshot name: payroll_report1 snapshot location: /acfsmounts/critical_apps/.ACFS/snaps/payroll_report1 RO snapshot or RW snapshot: RW parent name: /acfsmounts/critical_apps/ snapshot creation time: Tue Apr 5 10:52:59 2016 storage added to snapshot: 95514624 ( 91.09 MB ) quota: 104857600 ( 100.00 MB ) quota usage: 91 % snapshot name: midday_test2 (delete in progress) snapshot creation time: Mon Apr 11 11:40:13 2016 snapshot name: payroll_report2 snapshot location: /acfsmounts/critical_apps/.ACFS/snaps/payroll_report2 RO snapshot or RW snapshot: RO parent name: midday_test2 snapshot creation time: Mon Apr 11 12:05:42 2016 storage added to snapshot: 1081344 ( 1.03 MB ) number of snapshots: 3 (active) 1 (delete in progress) snapshot space usage: 102084608 ( 97.36 MB ) $ /sbin/acfsutil snap info -t /acfsmounts/critical_apps /acfsmounts/critical_apps RW midday_test RW /acfsmounts/critical_apps payroll_report1 RW /acfsmounts/critical_apps midday_test2 RW /acfsmounts/critical_apps payroll_report2 RO midday_test2 $ /sbin/acfsutil snap info -t midday_test2 /acfsmounts/critical_apps midday_test2 RW payroll_report2 RO midday_test2
例16-88に、Windowsプラットフォーム上でのacfsutil
snap
info
コマンドの使用方法を示します。
例16-88 Windowsでのacfsutil snap infoコマンドの使用方法
C:\oracle> acfsutil snap info e: snapshot name: MIDDAY_TEST (delete waiting for last close) snapshot creation time: Wed Apr 13 12:44:15 2016 snapshot name: PAYROLL_REPORT1 snapshot location: e:\.ACFS\snaps\PAYROLL_REPORT1 RO snapshot or RW snapshot: RW parent name: e: snapshot creation time: Wed Apr 13 12:45:00 2016 storage added to snapshot: 18866176 ( 17.99 MB ) quota: 104857600 ( 100.00 MB ) quota usage: 17 % snapshot name: MIDDAY_TEST2 (delete in progress) snapshot creation time: Wed Apr 13 12:48:07 2016 snapshot name: PAYROLL_REPORT2 snapshot location: e:\.ACFS\snaps\PAYROLL_REPORT2 RO snapshot or RW snapshot: RO parent name: MIDDAY_TEST2 snapshot creation time: Wed Apr 13 12:50:34 2016 storage added to snapshot: 1081344 ( 1.03 MB ) number of snapshots: 3 (active) 1 (delete in progress) snapshot space usage: 362557440 ( 345.76 MB ) C:\oracle> acfsutil snap info /t e: e: RW MIDDAY_TEST RW e: PAYROLL_REPORT1 RW e: MIDDAY_TEST2 RW e: PAYROLL_REPORT2 RO MIDDAY_TEST2 C:\oracle> acfsutil snap info /t MIDDAY_TEST2 e: MIDDAY_TEST2 RW PAYROLL_REPORT2 RO MIDDAY_TEST2
acfsutil snap quota
目的
指定されたスナップショットの割当て制限を設定します。
構文および説明
acfsutil -h snap quota acfsutil snap quota [+|-]n[K|M|G|T|P] snapshot mount_point
acfsutil
—h
snap
quota
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
次の表に、acfsutil
snap
quota
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-93 acfsutil snap quotaコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
[
|
Oracle ACFSスナップショットの割当て制限サイズを指定します( サイズに指定された整数の単位が |
|
スナップショットの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil snap quotaコマンドは、指定されたOracle ACFSファイルシステムの指定されたスナップショットに割当て制限を設定します。
ファイルシステムはサイズ変更(自動的にサイズ変更)できるため、割当て制限はファイルシステムのサイズより大きくなることがあります。
指定した割当て制限によって領域は予約されません。割当て制限は、スナップショットに追加できるストレージの量に対する上限の設定のみ行います。
ADVM互換性(COMPATIBLE.ADVM
)が12.2
以上に設定された後に作成されたスナップショットのみ、ストレージにトラッキングが考慮され、割当て制限の設定機能を持っています。
スナップショットは、読取り-書込み(RW)から読取り専用(RO)へ、またその逆の変換ができます。RWスナップショットとROスナップショットのどちらも割当て制限を設定できます。
割当て制限の使用には、猶予期間および高度な警告があります。警告メッセージは、リクエストしたストレージ割当てによってローカル・ストレージの使用量が割当て制限の90%
近くになるか上回る場合、アラート・ログとコンソールの両方に出力されます。割当てが割当て制限を上回る場合、書込みなどの変更操作はEDQUOT
として失敗するか、割当て制限がファイルシステムのサイズより大きい値に設定されているかどうかによってはENOSPC
として失敗することもあります。
このコマンドを使用するには、システム管理者(root
)権限が必要です。
acfsutil
snap
info
コマンドを使用すると、割当て制限や割当て制限使用率などのスナップショット情報を表示できます。acfsutil
snap
info
の詳細は、「acfsutil snap info」を参照してください。
例
次に、acfsutil
snap
quota
コマンドの使用例を示します。
例16-89 acfsutil snap quotaコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap quota +500M snap_test /acfsmounts/acfs1
acfsutil snap remaster
目的
スナップショットでOracle ACFSファイルシステムを再マスタリングします。
構文および説明
acfsutil snap remaster -h acfsutil snap remaster { snapshot | -c } -f volume
acfsutil snap remaster
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-94に、acfsutil
snap
remaster
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-94 acfsutil snap remasterコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
中断された再マスタリング操作を続行します。コマンドが開始されると、再マスタリングは完了するまで実行する必要があります。 |
|
操作を強制し、プロンプトを表示しません。 |
|
既存のスナップショットの名前を指定します。 |
|
ファイルシステムのプライマリOracle ADVMボリューム・デバイス・パスを指定します。 |
このコマンドは、スナップショット名または—c
オプションを受け入れます。
指定したスナップショットはファイルシステムのベースに使用され、ファイルシステムの現在のベースに置き換わります。既存の読取り専用または読取り-書込みのスナップショットを使用すると、コマンドは、スナップショット・エクステントを現行ファイルシステムのベースに再統合し、スナップショットのポイント・イン・タイム状態で再マスタリングされた新しいファイルシステムを作成します。再マスタリングされたファイルシステムには、スナップショットがありません。この操作は、アンマウントされたファイルシステムで実行する必要があり、元に戻すことができません。
スナップショット名ではなく-c
オプションを使用して、中断されたスナップショットの再マスタリングを完了します。
レプリケーション、セキュリティまたは暗号化が実行中のファイルシステムの再マスタリングはできません。レプリケーション、セキュリティまたは暗号化を終了してから、acfsutil
snap
remaster
コマンドを実行する必要があります。また、プラグインが有効になっているファイルシステムも再マスタリングできません。
このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。
例
例16-90に、acfsutil
snap
remaster
コマンドの使用方法を示します。
例16-90 acfsutil snap remasterコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap remaster snapshot volume
acfsutil snap rename
目的
Oracle ACFSスナップショットの名前を変更します。
構文および説明
acfsutil snap rename -h acfsutil snap rename old_snapshot new_snapshot mount_point
acfsutil snap rename
-h
は、ヘルプ・テキストを表示して終了します。
表16-95に、acfsutil
snap
duplicate create
コマンドで使用可能なオプションを示します。
表16-95 acfsutil snap renameコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
既存のスナップショットの名前を指定します。 |
|
新しいスナップショットの名前を指定します。 |
|
このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。 |
acfsutil
snap
rename
コマンドは、ファイルシステムに既存するスナップショットの名前を安全に変更するために使用します。
オープン・ファイルがあるスナップショットの名前を変更することは可能ですが、そのスナップショットのファイルにアクセスしているアプリケーションは、親ディレクトリのいずれかの名前が変更された非スナップ・ディレクトリ・ツリーでの動作と同じ動作をとります。
プラガブル・データベース(PDB)とともに使用されるスナップショットの名前変更は、現時点でサポートされていません。このようなスナップショットの名前を変更しないでください。
レプリケーション固有のスナップショットは、レプリケーションで複雑な事態および不整合を招く可能性があるため、名前を変更できません。
このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。
スナップショット情報の表示の詳細は、「acfsutil snap info」を参照してください。
例
例16-91に、acfsutil snap rename
コマンドの使用方法を示します。
例16-91 acfsutil snap renameコマンドの使用方法
$ /sbin/acfsutil snap rename old_snapshot_name new_snapshot_name /acfsmounts/critical_apps