E Oracle Secure Backup (OSB) Cloud Module

Oracle Secure Backup(OSB)Cloud Moduleを使用すると、Amazon Simple Storage Service(S3)が提供するインターネットベースのデータ・ストレージ・サービスを、RMANのバックアップ・タスクとリカバリ・タスクで利用できます。

この付録の内容は次のとおりです。

E.1 Oracle Secure Backup Cloud Moduleを使用したクラウドでのバックアップについて

Oracle Secure Backup Cloud Moduleは、Oracle Secure Backup製品ファミリの一部で、データベースをAmazon S3 Cloudおよびテープにバックアップする柔軟性を持ちます。このクラウド機能により、Recovery Manager (RMAN)の特長や機能はそのままで、ローカル・ディスク・バックアップをオフサイト・ストレージとして直接Amazon S3に送信できます。

Oracle Secure Backup Cloud Moduleは、Oracle DatabaseのS3ストレージへのバックアップを効率的に処理します。バックアップできるのは、Oracle Database 9iリリース2以上のOracle Databaseです。また、Oracle Secure Backup Cloud Moduleで作成したバックアップは、Oracle Enterprise ManagerなどのツールやカスタマイズしたRMANスクリプトで使用できます。Oracle Secure Backup Cloud Moduleは、オペレーティング・システム・ファイルをバックアップしません。

Oracle Secure Backup Cloud Moduleでは、RMAN SBT(テープへのシステム・バックアップ)インタフェースによりOracleバックアップ操作を実行できるようにAmazon S3機能を拡張することができます。Oracle Secure Backup Cloud Moduleは、社内データ・ストレージの保持や詳細に構成されたローカル・バックアップ・インフラストラクチャの管理に適した、管理しやすくコスト効率の高いスケーラブルな代替手段を提供します。

従来のテープベースのオフサイト・バックアップと比較すると、Oracle Secure Backup Cloud Moduleにはいくつかのメリットがあります。

  • 継続的なアクセシビリティ

    Amazon S3ストレージに格納されるOracle Secure Backup Cloud Moduleバックアップには、常にアクセス可能です。クラウド・ストレージ・サービスの可用性とアクセスのモデルによって、組織はリカバリ操作を効率化できます。たとえば、リストアを実行する前にテープを発送してロードする必要はありません。Enterprise Managerのような使い慣れた標準的なツールを使い続けることもでき、組織で現在使用しているスクリプトを引き続き使用してバックアップ・タスクおよびリストア・タスクを実行できます。継続的かつ簡単にバックアップにアクセスできるため、バックアップのリストアに費やされる時間が大幅に削減される可能性があります。

  • 向上した信頼性

    S3ストレージはディスク・ベースであるため、テープ・メディアよりも本質的に信頼性があります。インターネット・ストレージ・サービスでは、可用性とスケーラビリティを確保するために、データの複数の冗長コピーが保持されるため、信頼性の向上というメリットが組織とデータにもたらされます。

E.1.1 Oracle Secure Backup Cloud Moduleの構成パラメータ

Oracle Secure Backup Cloud Moduleを使用してバックアップを行う際の設定を指定するには、構成パラメータを使用します。

構成パラメータは、次のいずれかの場所から設定できます。

  • Oracle Secure Backup Cloud Moduleの構成ファイル

    構成ファイルの名前は、OSB_WS_PFILEパラメータに指定されています

  • SBTチャネルを構成する際のENV変数

次の表では、Oracle Secure Backup Cloud Moduleの使用時に設定できる構成パラメータを説明します。

パラメータ名 必須かどうか 説明
OSB_WS_PFILE いいえ

SBTライブラリの構成ファイルを示します。構成ファイルのデフォルトの場所は次のとおりです。

Linux: ?/dbs/osbwsORACLE_SID.ora

Windows: ?\database\osbwsORACLE_SID.ora

ここで、?ORACLE_HOMEを、ORACLE_SIDはターゲット・データベースのSIDを表します。

OSB_WS_HOST はい

バックアップの送信先となるホストの名前を指定します。

OSB_WS_PROXY いいえ

ターゲット・データベースがファイアウォールの内側にある場合は、プロキシ・サーバーとポートを指定します。これは、<host>:<port>という形式で指定します。

OSB_WS_BUCKET いいえ

SBTライブラリがバックアップを格納するバケットを指定します。このパラメータを指定しない場合、SBTライブラリはまず、名前にoracle-data-account name-という接頭辞が付いているバケットの中から、指定された場所と一致する場所にある既存のバケットを検索します。そのようなバケットがない場合、SBTライブラリは、この接頭辞が付いた一意のバケットを作成します。

OSB_WS_LOCATION いいえ

バックアップの格納先にするAmazon S3の場所を指定します。この値は、指定されたOSB_WS_HOSTの場所、およびOSB_WS_BUCKET (指定されている場合)の場所と一致する必要があります。このパラメータを指定しない場合、デフォルトのAmazon S3リージョンが使用されます。

エンドポイントと場所の有効な組合せのリストは、Amazon S3のドキュメントを参照してください。

OSB_WS_CHUNK_SIZE いいえ

Amazon S3へのバックアップの格納時に使用されるオブジェクト・サイズをバイト単位で指定します。デフォルトのサイズは100MBです。

OSB_WS_LICENSE_ID いいえ

各AWSアカウントのインストール時に生成された、一意のライセンスIDを指定します。

現在のインストーラでは登録が実行されないため、このパラメータは互換性の目的にのみ使用します。

OSB_WS_LICENSE_MAX_SESSIONS いいえ

実行できる接続セッション数を指定します。SBTライブラリには、常に、指定された数を超えるセッションは作成できません。

OSB_WS_WALLET はい

SBTライブラリが資格証明を読み取るウォレットの場所、別名およびプロキシ認証の別名を定義します。

このパラメータの形式は次のとおりです。

LOCATION=<filename> CREDENTIAL_ALIAS=<alias> PROXY_AUTH_ALIAS=<alias>

LOCATIONはウォレットの場所、CREDENTIAL_ALIASはAWS資格証明が取得されるウォレットの別名、PROXY_AUTH_ALIASはプロキシ認証資格証明が取得されるウォレットの別名を定義します。PROXY_AUTH_ALIASはオプションで、その他は必須です。

OSB_WS_VIRTUAL_HOST いいえ

ホストの形式を指定します。デフォルト値はTRUEです。

TRUEに設定した場合の形式は、http[s]://<bucket>.<host>です。FALSEに設定した場合の形式は、http[s]://<host>/<bucket>です。ストレージ・プロバイダはAmazon S3ではないが、S3との互換性がある場合はFALSEを使用します。

OSB_WS_IAM_ROLE はい(メタデータ・サービスを使用している場合。)

Amazon S3へのバックアップに使用するIAMロールの名前を指定します。指定したIAMロールを使用してAmazon EC2インストールを構成する必要があります。

OSB_WS_IAM_ROLE_META_URI いいえ

IAMロールの一時資格証明を格納するメタデータURIの名前を指定します。

OSB_WS_PRIVATE_CLOUD いいえ

このパラメータは、OSB_WS_VIRTUAL_HOSTと同じです。これは廃止されており、互換性の目的にのみ使用します。

E.2 Amazon S3でのOracle Secure Backup Cloud Moduleの使用

Oracle Secure Backup Cloud ModuleをAmazon S3で使用するには、Amazon Webサービス(AWS)アカウントを設定する必要があります。S3 Backupインストーラおよび互換性のあるバージョンのJavaソフトウェアも必要です。

E.2.1 Oracle Secure Backup Cloud Moduleのハードウェアおよびソフトウェアの前提条件

Oracle Secure Backup Cloud Moduleを使用するには、特定のハードウェア要件およびソフトウェア要件を満たす必要があります。

次の表に、Oracle Secure Backup Cloud Moduleの前提条件を示します。

ハードウェア/ソフトウェア バージョン

Java

S3 Backupインストーラを実行するコンピュータにJava 1.7以降がインストールされている必要があります

サポートされているプラットフォーム

  • Linux x86-64

  • Microsoft Windows (64ビット)

  • Oracle Solaris on SPARC (64ビット)

  • Oracle Solaris X64

  • ZLinux-64

  • AIX (PPC64)

  • HP-UX IA64

    注意: HP-UX PA-RISC 64ビットはサポートされていません。

Oracle Database

バックアップできるのは、Oracle Database 9iリリース2以上のデータベースです。オペレーティング・システム・ファイルは、RMANまたはRMAN SBTインタフェースではバックアップできません。

S3 Backupインストーラ・ファイル

osbws_install.jar

このインストーラは、実行されているプラットフォームに適したライブラリをダウンロードします。ライブラリ構成ファイル、およびAWS資格証明が格納されるOracleウォレットも作成します。

オラクル社が提供するAmazon Machine Image(AMI)を使用してAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)でOracle Databaseを実行する場合、このインストーラは、/home/oracle/scripts ディレクトリに格納されています。それ以外の場合、このファイルはOracle Technical Network(OTN)のWebサイトにある「Cloud Computing Center」リンクからダウンロードできます。

http://www.oracle.com/technetwork/products/secure-backup/secure-backup-s3-484709.html

ユーザーは、すべてのコマンドライン・オプションをファイルに含め、適切なオペレーティング・システム権限でファイルを保護することをお薦めします。こうすることで、S3 Backupインストーラはファイルを読み取り、オプションを起動し、さらに、権限のないユーザーがファイルを読み取るのを防ぐことができます。

Oracleウォレット・ディレクトリ

S3 Backupインストーラを実行する前に、AWS IDが格納されるOracleウォレット・ディレクトリを用意しておく必要があります。ウォレット・ディレクトリをまだ設定していない場合は作成する必要があります。

各プラットフォームの推奨ウォレット・ディレクトリ:

  • Linux: $ORACLE_HOME/dbs/osbws_wallet

  • Windows: $ORACLE_HOME\database\osbws_wallet

システム時間

S3に採用されている認証方式では、クライアントのシステム時間がS3の時間とほぼ同じである必要があります。この場合、クライアントとは、OSB Webサービス・ライブラリを実行しているコンピュータです。S3の時間は協定世界時(UTC)に設定されています。このため、UTCとクライアントのシステム時間との誤差が数分以内であることを確認してください。

E.2.2 Oracle Technology Network (OTN)アカウントの登録

OSB Cloud ModuleのS3 Backupインストーラをダウンロードするには、OTNアカウントが必要です。

OTNアカウントがない場合、http://www.oracle.com/technetwork/community/join/overview/index.htmlで登録できます。

インストーラは、OTNの「Cloud Computing Center」ホームページからダウンロードできます。

E.2.3 Amazon S3 - AWSアカウントのサイン・アップ

Oracle Secure Backup Cloud Backup Moduleを使用してAmazon S3にアクセスする前に、AWSアカウントを作成する必要があります。

http://aws.amazon.comで作成できます。「My Account」をクリックし、「Security Credentials」を選択します。

アカウントを作成するには、AWS S3利用分の請求に関してAmazonへの支払い方法を指定する必要があります。

E.2.4 AWS資格証明の取得

Amazon S3にバックアップするにはAWS資格証明が必要です。

次のいずれかの方法で、Amazon S3の認証を得て、アクセスできるようになります。

  • AWS識別子

    これらの資格証明を取得するには、AWSのWebサイト(http://aws.amazon.com)に移動し、「My Account」「AWS Management Console」の順に選択します。

    AWSアカウントの作成時に割り当てられる、アクセス・キーIDとシークレット・アクセス・キーというAWSの必須識別子が必要です。

    注意: これらの資格証明は、すべてのAmazon Webサービスに対する請求を許可するものであり、Amazon S3に保存されたRMANバックアップへのアクセスも可能にするため、安全な場所に保管することをお薦めします。

  • AWS IAMロール

    Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)インスタンスのユーザーが、メタデータ・サービスを使用できるようにします。IAMロールを使用してEC2インスタンスを構成すると、EC2で実行されているアプリケーションで、そのIAMロールに関連付けられている一時資格証明を使用して、Amazon S3へのバックアップを作成できます。EC2では、事前に定義された場所に、JSON形式で一時資格証明が格納されます。インストーラはその一時資格証明を取得して、Oracleウォレットに格納します。

    IAMロールには、Amazon S3にアクセスできる権限が必要です。

    IAMロールを使用するには、AWS IAMロール名(必須)と、指定したIAMロールのメタデータURI (オプション)のパラメータを指定してください。

関連項目:

Amazon EC2のIAMロールの詳細は、http://docs.aws.amazon.com/AWSEC2/latest/UserGuide/iam-roles-for-amazon-ec2.htmlを参照してください

E.2.5 OSB Cloud Moduleライブラリのインストール

データベースをAmazon S3 Cloudにバックアップできるようにするには、Oracle Secure Backup Cloud Moduleライブラリをインストールする必要があります。

S3 Backupインストーラを初めて実行する場合は、必須パラメータとオプション・パラメータのリストと説明を取得するために、最初はパラメータを指定せずに実行することをお薦めします。S3 Backupインストーラを実行する前にこれらの情報を分析および確認すると、インストールの正常な実行に役立ちます。

パラメータを指定せずにS3 Backupインストーラを実行するには、次のように入力します。

% java -jar osbws_install.jar 

次の表では、インストール中に使用される様々なパラメータについて説明します。

表E-1 OSB Cloud Moduleライブラリのインストール時に使用されるパラメータ

パラメータ名 説明 必須?
AWSID

RMANバックアップの格納に使用するAmazon Web Servicesアカウントのアクセス・キーID。

はい(AWS識別子を使用してAmazon S3の認証を行う場合)。
AWSKey

-AWSIDに指定されているAmazon Web Servicesアカウントのシークレット・アクセス・キー。

注意: Amazon S3での認証を行うには、次のいずれかを指定する必要があります。

  • AWSIDAWSKey

  • IAMRole

はい(AWS識別子を使用してAmazon S3の認証を行う場合)。
IAMRole

RMANによるバックアップやリカバリ操作に使用される一時資格証明を有するAWS IAM (Identity and Access Management)ロールの名前。このロールには、S3アカウントにアクセスするための適切な権限が割り当てられている必要があります。

注意: Amazon S3での認証を行うには、次のいずれかを指定する必要があります。

  • IAMRole

  • AWSIDAWSKey

はい(AWSロールを使用してAmazon S3の認証を行う場合)。
IAMRoleMetaURI

指定されたIAMロールの一時資格証明を格納するメタデータURI。Amazon EC2ユーザーの場合、メタデータURIの指定はオプションです。このパラメータを省略した場合、一時資格証明はインスタンス・メタデータから取得されます。

いいえ
awsEndpoint

バックアップの送信先のホスト名。このパラメータを省略すると、バックアップはデフォルトのホストに格納されます。

いいえ
awsPort

デフォルト以外のHTTP/HTTPS接続ポート番号。デフォルトのポート番号は、HTTPは80、HTTPSは443です。

いいえ
location

RMANバックアップの格納先にするAmazon S3の場所。指定する場合、この値をawsEndPointの値の場所と一致させる必要があります。S3と互換性のあるサードパーティ・サービスで、場所が必要ない場合は、場所を“us”に設定します。

有効な場所のリストは、Amazon S3のドキュメントを参照してください。

いいえ
walletDir

S3の資格証明とプロキシの情報が含まれるOracleウォレットの格納場所。

Oracleウォレット・ディレクトリは、S3 Backupインストーラを実行する前に用意しておく必要があります。

詳細は、「Oracle Secure Backup Cloud Moduleのハードウェアおよびソフトウェアの前提条件」を確認してください。

はい
configFile

インストーラにより作成される構成ファイルの名前(完全なパスを含む)。RMANジョブの実行中に使用されるパラメータは、この構成ファイルから取得されます。

このパラメータを省略した場合、インストーラにより作成された構成ファイルがシステム固有のデフォルトの場所に配置されます。

Linuxのデフォルトの場所: $ORACLE_HOME/dbs/osbsws<ORACLE_SID>.ora

Windowsのデフォルトの場所: $ORACLE_HOME\database\osbsws<ORACLE_SID>.ora

いいえ
libDir

OSB Cloud Moduleライブラリがダウンロードされるディレクトリ。このパラメータを省略した場合、インストーラでライブラリはダウンロードされません。

Linuxの推奨場所: $ORACLE_HOME/lib/

Windowsの推奨場所: $$ORACLE_HOME\bin\

いいえ
libPlatform

ライブラリのインストール先のプラットフォーム。

インストール・ツールは、インストール・ツールが実行されているシステムを検証することで、プラットフォームを自動的に特定します。このパラメータは、プラットフォームを明示的に指定する場合に使用します。

パラメータでサポートされる値は、linux64、windows64、solaris_sparc64、solaris_x64、hpux_ia64です

注意: インストール・ツールは、インストール・ツールが実行されているシステムを検証することで、プラットフォームを自動的に特定します。このパラメータは、プラットフォームを明示的に指定する場合に使用します。

いいえ
proxyHost

HTTPプロキシ・サーバーの名前(必要な場合)。プロキシ・サーバーを指定する場合は、-proxyIDおよび-proxyPassパラメータが必要です。

いいえ
proxyPort

HTTPプロキシ・サーバーのポート番号。

いいえ
proxyID

HTTPプロキシ・サーバーのユーザー名。

いいえ
proxyPass

HTTPプロキシ・サーバー・ユーザーのパスワード

いいえ
trustedCerts

OracleウォレットにインポートするSSL証明書のリスト。

いいえ
argFile

インストール中に引数を読み取る必要があるファイルの名前。標準の入力から引数を読み取る場合は、“-”を指定します。

いいえ
useHttps

HTTPS接続を設定します。省略した場合は、HTTP接続が使用されます。

いいえ
useSigV2

認証スキームを設定します。このパラメータを指定すると、署名バージョン2の認証が設定され、指定しない場合は、署名バージョン4が設定されます。推奨のスキームは署名バージョン4です。

いいえ

オプションのパラメータを指定する場合は、関連する情報を確認および用意しておいてください。たとえば、インストールに使用するプロキシ・サーバーの名前、ポートおよび資格証明が必要になる場合があります。

この時点で、インストールを実行できるようになります。

E.2.6 S3 Backupインストーラの実行

Javaインストーラは、コマンドラインから直接実行せず、セキュア・モードで実行することをお薦めします。

推奨される方法は、コマンドライン・オプションをファイルに含め、適切なオペレーティング・システム権限でファイルへのアクセスを保護することです。

% java -jar osbws_install.jar -ARGFILE filename

別の方法として、runコマンド、パラメータおよび値をシェル・スクリプトまたはWindowsバッチ・ファイルとして実行できるファイルに埋め込む方法があります。

次の手順に従います。

  • ファイルを作成します。

  • ファイルの権限を設定し、ファイルの所有者に排他的アクセス権限を付与します。

    注意:

    ファイルにはAWSの資格証明が含まれるため、ファイルの権限を設定してアクセスを制限することが重要です。

  • ファイルを編集して、インストーラの実行コマンドと必須パラメータからなる1行をファイルに含めます。前の項で取得した情報をパラメータに移入することで、起動に使用する1行を作成できます。

  • シェル・スクリプトまたはWindowsバッチ・ファイルとしてファイルを実行します。

注意: 次の例では、読みやすくするために$ORACLE_HOME/orclhomeに設定しています。実際のインストールでは、$ORACLE_HOMEの値は/usr/oracle/product/11.2.0 (Linuxの場合)などのようになります。

例E-1 AWS資格証明を使用したS3 Backupインストーラの実行

次の例は、LinuxでのS3 Backupインストーラの実行例を示しています。

最初に、適切なバージョンのJavaがコンピュータ上にインストールされていることおよび$ORACLE_HOMEが定義されていることを確認します。

次のコマンドを入力し、出力を確認します。

% java -version
java version "1.7.0"
Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.7.0-b147)
Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 21.0-b17, mixed mode)
% echo $ORACLE_HOME
/orclhome

インストーラの起動行を含むファイルを作成し、ファイルの権限によってファイルの所有者以外のアクセスが制限されていることを確認します。

% touch osbws.sh
% chmod 700 osbws.sh

ファイルを編集し、インストーラを起動する行を追加します。この例では、認証にAWS識別子を使用しています。

java -jar osbws_install.jar -AWSID access key ID -AWSKey secret key -walletDir $ORACLE_HOME/dbs/osbws_wallet -libDir $ORACLE_HOME/lib/ -proxyHost www-proxy.example.com

ファイルを実行します。

% ./osbws.sh

S3 Backupインストーラの出力の先頭は、次のようになります。

AWS credentials are valid.
Oracle Secure Backup Web Service wallet created in directory /orclhome/dbs/osbws_wallet.
Oracle Secure Backup Web Service initialization file /orclhome/dbs/osbwst1.ora created.
Downloading OSB Web Services Software Library.
Downloaded 13165919 bytes in 204 seconds. Transfer rate was 64538 bytes/second.
Download complete.
Extracted file /orclhome/lib/libosbws.so

インストーラが完了すると、次の3つのファイルがシステム上に作成されます。

  1. OSB Webサービス・ライブラリ

  2. 構成ファイル

  3. OSB Webサービス・ウォレット

注意: インストーラでは、ウォレットを作成し、その他のインストール操作を実行するために、AWSの資格証明が必要となります。インストーラの終了時にはAWS資格証明のみが保持され、Oracleウォレットに格納されます。AWS資格証明は、ライブラリとS3との対話を認証するためにのみ使用され、他の目的で使用および送信されることはありません。

例E-2 IAMロールを使用したS3インストーラの実行

この例では、s3accessという名前のIAMロールを使用して、LinuxでS3 Backupインストーラを実行するサンプルを示します。

java -jar osbws_install.jar —IAMRole s3access walletDir $ORACLE_HOME/dbs/osbws_wallet -libDir $ORACLE_HOME/lib/ -proxyHost www-proxy.example.com

S3インストーラの出力の先頭は、次のようになります。

AWS credentials are valid.
Oracle Secure Backup Web Service wallet created in directory /orclhome/dbs/osbws_wallet.
Oracle Secure Backup Web Service initialization file /orclhome/dbs/osbwst1.ora created.
Downloading OSB Web Services Software Library.
Downloaded 13165919 bytes in 204 seconds. Transfer rate was 64538 bytes/second.
Download complete.
Extracted file /orclhome/lib/libosbws.so

E.2.7 RMANリポジトリでの構成情報の保存(オプション)

バックアップを起動するたびに構成情報を入力しなくてよいように、Oracle Secure Backup Cloud Moduleの構成情報をRMANリポジトリに保存することをお薦めします。

次の例は、11gリリース2より前のデータベースの場合です。

RMAN> configure channel device type sbt parms  
"SBT_LIBRARY=/orclhome/lib/libosbwsll.so
ENV=(OSB_WS_PFILE=/orclhome/dbs/osbwst1.ora)';
using target database control file instead of recovery catalog
new RMAN configuration parameters:

"SBT_LIBRARY=/orclhome/lib/libosbwsll.so 
ENV=(OSB_WS_PFILE=/orclhome/dbs/osbwst1.ora)';
new RMAN configuration parameters are successfully stored

この例を実行すると、システムのOSB Cloud Moduleバックアップの構成が完了し、RMANの通常のバックアップ・コマンドとリストア・コマンドを使用できるようになります。

注意: 11g リリース2以上のデータベースでは、SBT_PARMSパラメータを使用して環境変数を指定する必要があります。

E.2.8 OSB Webサービス・ライブラリの使用および最初のバックアップ

Oracle Secure Backup Cloud Moduleをインストールおよび構成すると、ターゲット・データベースに接続してRMANチャネルを構成する準備が整います。

コマンドでライブラリと構成ファイルの両方を指定する必要があります。

次の例では、Oracle 11gリリース2のデータベースのRMANチャネルを構成します。

RMAN> run {
            allocate channel dev1 type
            sbt parms='SBT_LIBRARY=/orclhome/lib/libosbws11.so,
            SBT_PARMS=(OSB_WS_PFILE=/orclhome/dbs/osbwst1.ora)';
          }

この時点で、RMANの通常のバックアップ・コマンドとリストア・コマンドを発行できます。

注意: Oracle 11gリリース2以降のデータベースでは、SBT_PARMSパラメータを使用して環境変数を指定する必要があります。Oracle 11gリリース2より前のデータベースでは、PARMSオプションのENVパラメータを使用して環境変数を指定できます。

関連項目:

OTNのCloud Computing CenterのWebサイトにあるDatabase Backup in the Cloudテクニカル・ホワイト・ペーパーおよびBackup Databaseのデモンストレーションを参照してください

E.3 OSB Cloud Moduleバックアップの保護

データを適切に保護するために、RMANバックアップの暗号化を標準バックアップ・プロセスに含めることをお薦めします。

重要なバックアップ・データをオフプレミスで保存する場合は特にお薦めします。企業データに関する主要な監査および法規制コンプライアンス要件の達成の観点からも、Amazon S3のRMANバックアップの暗号化は有効です。

関連項目:

RMANの暗号化オプションの詳細は、バックアップ・セットの暗号化を参照してください。

E.4 役に立つリンク: Oracle Secure Backup Cloud Module

Oracle Secure Backup Cloud Moduleの詳細は、My Oracle SupportのNote 740226.1 (https://support.oracle.com/rs?type=doc&id=740226.1)でFAQを参照してください。

E.5 OSB Cloud Moduleのトラブルシューティング

この項では、Oracle Secure Backup Cloud Moduleのインストールまたは動作に影響を与える可能性がある問題を示します。

症状 エラー・メッセージ 解決方法

S3 Backupのインストール時にライセンス・ファイルをAmazon S3に作成できない。

ライセンス・ファイルの作成を待機中にタイムアウトが発生しました。

一連のAWS IDを使用してS3 Backupインストーラを最初に実行するときには、インストーラによってライセンス・ファイルがAmazon S3上に作成されます。なんらかの問題により作成できなかった場合、インストールの出力にタイムアウトのエラー・メッセージが表示されます。

問題を解決するには、Oracleサポート・サービスに連絡してください。