7 Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
Oracle Clusterware環境で管理する主なコンポーネントは、投票ディスクとOracle Cluster Registry (OCR)です。
- Oracle Clusterwareについて
Oracle Clusterwareには、クラスタ上で実行されるアプリケーションを管理するための高可用性フレームワークが含まれています。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)は、複数のノードを結び付けて単一のサーバーとして機能させるためのインフラストラクチャとして Oracle Clusterwareを使用します。 - Oracle Clusterwareスタックの管理
デフォルトでは、Oracle Clusterwareは、自身が存在するサーバーが再起動された場合は常に再起動するように構成されています。特定のメンテナンス操作中、Oracle Clusterwareスタックを手動で停止または起動する必要がある場合があります。 - Oracle Clusterwareの投票ディスクの管理
投票ディスクでは、ノード・メンバーシップに関する情報が管理されます。ノードがクラスタのメンバーになれるよう、各投票ディスクには、クラスタ内のすべてのノードがアクセスできる必要があります。 - Oracle Cluster Registryのバックアップおよびリカバリ
Oracle Clusterwareは、Oracle Cluster Registry (OCR)のバックアップを4時間ごとに自動的に作成します。Oracle Clusterwareにより、4時間前、1日前、1週間前の3つの最新のOCRバックアップ・コピーが常に保持されます。 - Oracle Cluster Registry構成の変更
Oracle Clusterwareの適切な動作を保証するには、OCRの可用性を高くします。 - Oracle Cluster Registryのトラブルシューティング
Oracle Cluster Registry (OCR)では、Oracle ClusterwareおよびOracle RACデータベースの構成情報が管理されます。
7.1 Oracle Clusterwareについて
Oracle Clusterwareには、クラスタ上で実行されるアプリケーションを管理するための 高可用性フレームワークが含まれています。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)は、複数のノードを結び付けて単一のサーバーとして機能させるためのインフラストラクチャとして Oracle Clusterwareを使用します。
Oracle RAC環境では、 Oracle ClusterwareはすべてのOracleコンポーネント(インスタンスやリスナーなど)を監視します。障害が発生すると、障害の発生したコンポーネントの再起動を自動的に試行し、使用可能なコンポーネントに処理をリダイレクトします。
Oracle Clusterwareでは、システムの起動時にアプリケーションが起動されるようにアプリケーションを管理します。また、アプリケーションが常に使用可能であるようにアプリケーションを監視します。たとえば、あるアプリケーション・プロセスで障害が発生した場合、Oracle Clusterwareでは、カスタマイズされたスクリプトに基づいてプロセスの再起動を試行します。クラスタ内のあるノードで障害が発生した場合は、障害が発生したノードで通常実行されるアプリケーション・プロセスがクラスタ内の別のノードで再起動されるようにプログラムできます。
- 投票ディスクについて
投票ディスクは、Oracle Clusterware用の主要ファイルの1つです。 - Oracle Cluster Registryについて
Oracle Cluster Registryは、クラスタ・ノード・リストおよびインスタンスからノードへのマッピング情報が含まれたファイルです。 - Oracle Clusterwareファイルの高可用性について
高い可用性の構成は、シングル・ポイント障害を回避することで動作を維持する冗長なハードウェアおよびソフトウェアを備えています。
親トピック: Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
7.1.1 投票ディスクについて
投票ディスクは、Oracle Clusterware用の主要ファイルの1つです。
投票ディスクには、ノードのメンバーシップ情報が記録されます。ノードは、過半数の投票ディスクに随時アクセスできる必要があります。複数の投票ディスクが同時に失われないようにするため、各投票ディスクは、他の投票ディスクに使用されるストレージ・デバイスとコンポーネント(コントローラやインターコネクトなど)を共有していないストレージ・デバイスに存在する必要があります。
たとえば、投票ディスクが5つ構成されている場合、ノードは3つ以上の投票ディスクに随時アクセスできる必要があります。最低限必要な数の投票ディスクにアクセスできないノードは、クラスタから除去、つまり削除されます。障害の原因が修正されて、投票ディスクへのアクセスがリストアされた後、障害ノードをリカバリしてクラスタにリストアするようにOracle Clusterwareに指示できます。
親トピック: Oracle Clusterwareについて
7.1.2 Oracle Cluster Registryについて
Oracle Cluster Registryは、クラスタ・ノード・リストおよびインスタンスからノードへのマッピング情報が含まれたファイルです。
また、Oracle Cluster Registry (OCR)は、カスタマイズしたリソースのOracle Clusterwareリソース・プロファイルの情報も含まれています。投票ディスクのデータもOCRにバックアップされています。
クラスタ内の各ノードにも、Oracle Local Registry(OLR)と呼ばれるOCRのローカル・コピーがあり、Oracle Clusterwareのインストール時に作成されます。Oracle Clusterwareが完全に機能するかどうかに関係なく、各ノードの複数のプロセスには、置かれているノードに固有のOLRに対して同時読取りおよび書込みアクセス権があります。デフォルトでは、OLRの場所はGrid_home/cdata/$HOSTNAME.olr
です。
親トピック: Oracle Clusterwareについて
7.1.3 Oracle Clusterwareファイルの高可用性について
高い可用性の構成は、シングル・ポイント障害を回避することで動作を維持する冗長なハードウェアおよびソフトウェアを備えています。
コンポーネントが停止した場合、Oracle Clusterwareは停止したコンポーネントに管理されているリソースを冗長コンポーネントにリダイレクトします。ただし、障害が発生した場合や大規模なハードウェア障害が発生すると、保持している冗長コンポーネントでは足りなくなることがあります。システムを完全に保護するには、重要なファイルをバックアップすることが大切です。
Oracle Clusterwareのインストール・プロセス中に、投票ディスクとOCRが共有記憶域に作成されます。インストール・プロセス中に通常の冗長コピーのオプションを選択すると、Oracle Clusterwareによってこれらのファイルの冗長コピーが自動的に保持され、ファイルがシングル・ポイント障害となることを阻止します。また、通常の冗長性機能により、サード・パーティの記憶域冗長ソリューションが不要になります。通常の冗長性を使用すると、Oracle Clusterwareにより、OCRファイルのコピー2つと投票ディスク・ファイルのコピー3つが自動的に保持されます。
関連項目:
投票ディスクの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
親トピック: Oracle Clusterwareについて
7.2 Oracle Clusterwareスタックの管理
デフォルトでは、Oracle Clusterwareは、自身が存在するサーバーが再起動された場合は常に再起動するように構成されています。特定のメンテナンス操作中、Oracle Clusterwareスタックを手動で停止または起動する必要がある場合があります。
注意:
Oracleサポートによって実行するよう指示されないかぎり、名前がora
で始まるOracleエンティティ(リソース、リソース・タイプ、サーバー・プールなど)でOracle Clusterware Control(CRSCTL)を実行しないでください。サーバー制御ユーティリティ(SRVCTL)は、Oracleエンティティに対して使用する適切なユーティリティです。
- Oracle Clusterwareの起動
CRSCTLユーティリティを使用して、Oracle Clusterwareを管理します。 - Oracle Clusterwareの停止
CRSCTLユーティリティを使用して、Oracle Clusterwareを管理します。
関連項目:
親トピック: Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
7.3 Oracle Clusterwareの投票ディスクの管理
投票ディスクでは、ノード・メンバーシップに関する情報が管理されます。ノードがクラスタのメンバーになれるよう、各投票ディスクには、クラスタ内のすべてのノードがアクセスできる必要があります。
- 投票ディスクの追加および削除
投票ディスクは、ローカル記憶域に格納する場合、手動で追加および削除する必要があります。 - 投票ディスクのバックアップおよびリカバリ
投票ディスクをバックアップする必要はありません。投票ディスクのデータは、構成変更の一部として自動的にOracle Cluster Registry (OCR)にバックアップされ、追加された任意の投票ディスクに自動的にリストアされます。 - 投票ディスクのOracle ASM記憶域への移行
Oracle Clusterwareの投票ディスク・ファイルは、Oracle ASMディスク・グループに格納する必要があります。
親トピック: Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
7.3.1 投票ディスクの追加および削除
投票ディスクは、ローカル記憶域に格納する場合、手動で追加および削除する必要があります。
Oracle ClusterwareファイルをOracle ASMに格納し、ディスク・グループに冗長性を使用すると、Oracle ASMにより、ディスク・グループの冗長性に基づいて、最適な投票ファイル数が自動的に維持されます。
投票ディスクの格納に様々な形式の共有記憶域を使用する場合は、Oracle RACのインストール後に投票ディスクを動的に追加および削除できます。次のコマンドを使用して実行します。ここで、path
は追加の投票ディスクの完全修飾パスです。
ディスクに格納された投票ディスクを追加または削除するには、次の手順を実行します。
親トピック: Oracle Clusterwareの投票ディスクの管理
7.3.2 投票ディスクのバックアップおよびリカバリ
投票ディスクをバックアップする必要はありません。投票ディスクのデータは、構成変更の一部として自動的にOracle Cluster Registry (OCR)にバックアップされ、追加された任意の投票ディスクに自動的にリストアされます。
- 投票ディスクのバックアップ
投票ディスクのデータは、構成変更の一部としてOracle Cluster Registry (OCR)で自動的にバックアップされるため、投票ディスクの手動バックアップを実行する必要はありません。 - 投票ディスクの交換
投票ディスクを交換するには、使用不可の投票ディスクを削除した後で、新しい投票ディスクを構成に追加します。 - 投票ディスクのリストア
投票ディスクがすべて破損している場合は、リストアできます。
関連項目:
-
投票ディスクの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
親トピック: Oracle Clusterwareの投票ディスクの管理
7.3.2.1 投票ディスクのバックアップ
投票ディスクのデータは、構成変更の一部としてOracle Cluster Registry (OCR)で自動的にバックアップされるため、投票ディスクの手動バックアップを実行する必要はありません。
投票ディスクのデータは、構成変更の一部としてOCRで自動的にバックアップされるため、投票ディスクの手動バックアップを実行する必要はありません。次のようにファイルの内容が変更された場合は、Oracle Clusterwareによって投票ディスクが自動的にバックアップされます。
-
たとえば、構成パラメータ(
misscount
など)が追加あるいは変更された場合 -
投票ディクスの
追加
または削除
操作の実行後
関連項目:
投票ディスクの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
親トピック: 投票ディスクのバックアップおよびリカバリ
7.3.2.2 投票ディスクの交換
投票ディスクを交換するには、使用不可の投票ディスクを削除した後で、新しい投票ディスクを構成に追加します。
投票ディスクが破損し、Oracle Clusterwareで使用できなくなった場合、投票ディスクを置換または再作成できます。新しい投票ファイルが追加されると、投票ディスク・ファイルがOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)に格納されているかどうかにかかわらず、投票ディスクの内容がバックアップからリストアされます。
Oracle ASMに格納されていない、破損または欠落した投票ディスクを交換する手順:
関連項目:
投票ディスクの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
親トピック: 投票ディスクのバックアップおよびリカバリ
7.3.3 投票ディスクのOracle ASM記憶域への移行
Oracle Clusterwareの投票ディスク・ファイルは、Oracle ASMディスク・グループに格納する必要があります。
Oracle ASMに投票ディスクを格納するようにした場合、Oracle ASMは、選択したディスク・グループにクラスタのすべての投票ディスクを格納します。同じクラスタで、Oracle ASMに格納されている投票ディスクとOracle ASMに格納されていない投票ディスクを組み合せることはできません。
特定のOracle ASMディスク・グループに格納できる投票ファイルの数は、ディスク・グループの冗長性に依存します。Oracle ASMは、デフォルトで、ディスク・グループ内の自身の障害グループに各投票ディスクを配置します。冗長性が通常のディスク・グループには2つ以上の障害グループが含まれる必要がありますが、Oracle ASMに投票ディスクを格納している場合、冗長性が通常のディスク・グループには3つ以上の障害グループが含まれる必要があります。高い冗長性のディスク・グループには3つ以上の障害グループが含まれている必要があります。
Oracle ASMに投票ディスクを構成した後、投票ディスクの構成を変更するには、crsctl replace votedisk
コマンドを使用する必要があります。これは、稼働している投票ディスクがない場合にもあてはまります。crsctl query css votedisk
コマンドによって、使用中の投票ディスクがないと報告されたとしても、Oracle ClusterwareはOracle ASMが使用中だったことを記憶しているため、replace
が必要になります。replace
を使用して投票ディスクをOracle ASM以外の記憶域に移動した後にのみ、CRSCTLコマンドadd css votedisk
およびdelete css votedisk
が再び使用できるようになります。
共有記憶域からOracle ASMディスク・グループに投票ディスクを移動するには、次の手順を実行します。
関連項目:
-
ディスク・グループの互換性の属性の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。
-
投票ディスクの管理の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
親トピック: Oracle Clusterwareの投票ディスクの管理
7.4 Oracle Cluster Registryのバックアップおよびリカバリ
Oracle Clusterwareでは、4時間おきにOracle Cluster Registry (OCR)のバックアップが自動的に作成されます。Oracle Clusterwareにより、4時間前、1日前、1週間前の3つの最新のOCRバックアップ・コピーが常に保持されます。
バックアップ頻度やOracle Clusterwareで保持されるファイルの数はカスタマイズできません。任意のバックアップ・ソフトウェアを使用すると、自動的に生成されたバックアップ・ファイルを、プライマリOCRファイルとは別のデバイスに1日に1回以上コピーできます。
- 使用可能なOCRバックアップの表示
ocrconfig
ユーティリティを使用して、Oracle Clusterwareで自動的に生成されたバックアップを表示します。 - OCRの手動バックアップ
Oracle Clusterwareが、4時間間隔で行われる自動バックアップを待機するのではなく、いつでもOracle Cluster Registry (OCR)のバックアップを実行できるようにするには、ocrconfig
ユーティリティを使用します。 - OCRのリカバリ
OCRのリカバリには2つの方法があります。第1の方法では自動的に生成されたOCRファイルのコピーを使用し、第2の方法では手動で作成したOCRのエクスポート・ファイルを使用します。
親トピック: Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
7.4.1 使用可能なOCRバックアップの表示
ocrconfig
ユーティリティを使用して、Oracle Clusterwareで自動的に生成されたバックアップを表示します。
OCRの最終バックアップを検索するには、次の手順を実行します。
7.4.2 OCRの手動バックアップ
Oracle Clusterwareが、4時間間隔で行われる自動バックアップを待機するのではなく、いつでもOracle Cluster Registry (OCR)のバックアップを実行できるようにするには、ocrconfig
ユーティリティを使用します。
このオプションは、OCRを変更する前など、バイナリ・バックアップをオンデマンドで取得する際に特に便利です。Oracle Local Registry (OLR)では手動バックアップのみがサポートされます。
OCRの内容を手動でバックアップするには、次の手順を実行します。
Oracle Linuxシステムでバックアップが生成されるデフォルトの場所はGrid_home/cdata/cluster_name
です。ここで、cluster_nameはクラスタの名前、Grid_homeはクラスタ用Oracle Grid Infrastructureがインストールされているホーム・ディレクトリです。デフォルトのバックアップはローカル・ファイル・システム上にあるため、ocrconfig
コマンドで作成したバックアップ・ファイルを、標準的なオペレーティング・システムまたはサード・パーティのツールを使用してオペレーティング・システム・バックアップの一部として含めることをお薦めします。
注意:
ocrconfig -backuploc
コマンドを使用して、OCRバックアップが作成される場所を変更できます。
7.4.3 OCRのリカバリ
OCRのリカバリには2つの方法があります。第1の方法では自動的に生成されたOCRファイルのコピーを使用し、第2の方法では手動で作成したOCRのエクスポート・ファイルを使用します。
- OCRのステータスのチェック
障害が発生した場合、Oracle Cluster Registry (OCR)のリストアを試行する前に、OCRが使用不可であることを確認します。 - 自動生成されたOCRバックアップからのOCRのリストア
自動生成されたバックアップからOCRをリストアする場合、まずリカバリに使用するバックアップ・ファイルを決定する必要があります。
7.4.3.1 OCRのステータスのチェック
障害が発生した場合、Oracle Cluster Registry (OCR)のリストアを試行する前に、OCRが使用不可であることを確認します。
OCRのステータスをチェックするには、次の手順を実行します。
関連項目:
親トピック: OCRのリカバリ
7.4.3.2 自動生成されたOCRバックアップからのOCRのリストア
自動生成されたバックアップからOCRをリストアする場合、まずリカバリに使用するバックアップ・ファイルを決定する必要があります。
Oracle Linuxシステムで自動生成されたバックアップからOCRをリストアするには、次の手順を実行します。
親トピック: OCRのリカバリ
7.5 Oracle Cluster Registry構成の変更
Oracle Clusterwareの適切な動作を保証するには、OCRの可用性を高くします。
OCRには、クラスタ・ノード・リストに関する情報、どのインスタンスがどのノードで実行しているかという情報、Oracle Clusterwareによって管理されるように変更されたアプリケーションに対するOracle Clusterwareのリソース・プロファイルに関する情報が含まれます。
注意:
この項の操作は、クラスタ全体のOCRに影響を及ぼします。ただし、ocrconfig
コマンドを実行しても、停止しているノードやOracle Clusterwareが実行されていないノードのOCR構成情報は変更されません。ocrconfig
コマンドを使用してOCRを変更する間は、ノードを停止しないようにします。
- OCRの場所の追加
アップグレード後またはOracle RACのインストール完了後に、Oracle Cluster Registry (OCR)の場所を追加できます。 - OCRのOracle ASM記憶域への移行
Oracle Cluster Registry (OCR)は、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループに格納する必要があります。 - OCRの置換
既存のOracle Cluster Registry (OCR)の場所を変更、または障害の発生したOCRの場所を有効な場所に変更する必要がある場合、1つのOCRファイルがオンラインであれば、この手順を使用できます。 - OCRの削除
Oracle Cluster Registry (OCR)ファイルを削除するには、OCRのコピーが少なくとも1つオンラインである必要があります。 - ローカル・ノードでのOCR構成の修復
OCR構成の変更時にクラスタ内のノードが使用不可であった場合、このノードを再起動する前にそのOCR構成を修復する必要があります。
親トピック: Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
7.5.1 OCRの場所の追加
アップグレード後またはOracle RACインストールの完了後に、Oracle Cluster Registry (OCR)の場所を追加できます。
Oracle Clusterwareは、最大5つまでのOCRコピーをサポートします。OCRコピーを追加すると、フォルト・トレランスが大幅に高まります。
OCRファイルを追加するには、次の手順を実行します。
親トピック: Oracle Cluster Registry構成の変更
7.5.2 OCRのOracle ASM記憶域への移行
Oracle Cluster Registry (OCR)は、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループに格納する必要があります。
Oracle Clusterwareの記憶域管理性を向上させるために、OCRは、Oracle Database 12cのOracle ASMを使用するようにデフォルトで構成されます。ただし、以前のリリースからグレードアップする場合は、OCRをOracle ASMに移行して、Oracle Clusterware記憶域の管理で改善された点を利用できます。
OCRは、ディスク・グループの冗長性を継承します。OCRに高い冗長性が必要な場合は、高い冗長性でOracle ASMディスク・グループを作成する必要があります。外部のミラーリング・ソリューションがある場合を除き、少なくとも通常の冗長性でディスク・グループを使用する必要があります。OCRをOracle ASMディスク・グループに格納している場合に、あるノードでOracle ASMインスタンスに障害が発生すると、OCRはそのノードでのみ使用できなくなります。1つのOracle ASMインスタンスの障害が、クラスタ全体の可用性に影響を及ぼすことはありません。
移行時を除き、OCRをOracle ASMと共有ファイル・システムの両方に格納するなど、OCRを異なるタイプの記憶域に同時に格納することはサポートされていません。Oracle ASM記憶域にOCRを移行した後、既存のOCRファイルを削除する必要があります。
共有記憶域からOracle ASMディスク・グループにOCRを移動するには、次の手順を実行します。
関連項目:
-
ディスク・グループの互換性の属性の詳細は、Oracle自動ストレージ管理管理者ガイドを参照
-
OCRのOracle ASMへの移行の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。
親トピック: Oracle Cluster Registry構成の変更
7.5.3 OCRの置換
既存のOracle Cluster Registry (OCR)の場所を変更、または障害の発生したOCRの場所を有効な場所に変更する必要がある場合、1つのOCRファイルがオンラインであれば、この手順を使用できます。
OCRの場所を変更する場合またはOCRファイルを置換する場合は、次の手順を実行します。
親トピック: Oracle Cluster Registry構成の変更
7.5.4 OCRの削除
Oracle Cluster Registry (OCR)ファイルを削除するには、OCRのコピーが少なくとも1つオンラインである必要があります。
OCR関連のオーバーヘッドを削減するため、またはOCRのRedundant Array of Independent Disks(RAID)などの冗長ストレージ・システムへの移動によりOCRのミラー化を停止するため、OCRの場所を削除できます。
クラスタからOCRの場所を削除するには、次の手順を実行します。
親トピック: Oracle Cluster Registry構成の変更
7.5.5 ローカル・ノードでのOCR構成の修復
OCR構成の変更時にクラスタ内のノードが使用不可であった場合、このノードを再起動する前にそのOCR構成を修復する必要があります。
OCR構成を修復するには、次の手順を実行する必要があります。
親トピック: Oracle Cluster Registry構成の変更
7.6 Oracle Cluster Registryのトラブルシューティング
Oracle Cluster Registry (OCR)では、Oracle ClusterwareおよびOracle RACデータベースの構成情報が管理されます。
- OCRCHECKユーティリティについて
OCRCHECKユーティリティでは、Oracle Cluster Registry (OCR)で使用されるデータ・ブロック形式のバージョン、OCR内の使用可能な領域および使用済領域、OCRに使用されるID、およびOCR用に構成した場所が表示されます。 - Oracle Cluster Registryの一般的な問題および解決策
次の表では、Oracle Cluster Registry (OCR)の一般的な問題とそれに対応する解決策を説明します。
親トピック: Oracle Clusterwareコンポーネントの管理
7.6.1 OCRCHECKユーティリティについて
OCRCHECKユーティリティでは、Oracle Cluster Registry (OCR)で使用されるデータ・ブロック形式のバージョン、OCR内の使用可能な領域および使用済領域、OCRに使用されるID、およびOCR用に構成した場所が表示されます。
OCRCHECKユーティリティでは、構成したすべてのOCRのあらゆるデータ・ブロックのチェックサムを計算して、各ブロックの整合性が検証されます。各OCRファイルの個別のステータスと、OCR全体の整合性チェックの結果も返されます。OCRCHECKの出力のサンプルを次に示します。
Status of Oracle Cluster Registry is as follows :
Version : 3
Total space (kbytes) : 262144
Used space (kbytes) : 16256
Available space (kbytes) : 245888
ID : 570929253
Device/File Name : +CRS_DATA
Device/File integrity check succeeded
...
Decive/File not configured
Cluster registry integrity check succeeded
Logical corruption check succeeded
OCRCHECKユーティリティでは、次のディレクトリにログ・ファイルが作成されます(Grid_home
はクラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールの場所、hostname
はローカル・ノードの名前Grid_home/log/hostname/client
を表します)。
ログ・ファイルの名前は、ocrcheck_nnnnn.log
という形式になります。ここで、nnnnnはocrcheck
コマンドを発行した操作セッションのプロセスIDです。
関連項目
7.6.2 Oracle Cluster Registryの一般的な問題および解決策
次の表では、Oracle Cluster Registry (OCR)の一般的な問題とそれに対応する解決策を説明します。
表7-1 OCRの一般的な問題および解決策
問題 | 解決策 |
---|---|
OCRがミラー化されていません。 |
「OCRの場所の追加」の説明に従い、 |
OCRのコピーが失敗し、それを置換する必要があります。エラー・メッセージがOracle Enterprise ManagerまたはOCRログ・ファイルでレポートされています。 |
「OCRの置換」の説明に従い、 |
OCRCHECKが有効なOCRを検索しません。あるいは、OCRのすべてのコピーが破損しています。 |
「自動生成されたOCRバックアップからのOCRのリストア」の説明に従い、 |
OCR構成が誤って更新されました。 |
「ローカル・ノードでのOCR構成の修復」の説明に従い、 |
複数のOCRファイルの更新によってパフォーマンスに重大な影響が及ぼされたか、または他の理由のためにOCRファイルを削除します。 |
「OCRの削除」の説明に従い、 |
You want to change the location or storage type currently used by the OCRが現在使用している場所タイプまたは記憶域タイプを変更したいと考えています。 |
「OCRの置換」の説明に従い、Oracle Clusterwareが稼働している間に |