4 Oracle Databaseソフトウェアのインストールおよびデータベースの作成

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureが動作可能になった後、クラスタのノードにOracle Databaseソフトウェアをインストールできます。

Oracle Universal Installer (OUI)により、ソフトウェアがローカル・ノードにインストールされ、バイナリ・ファイルがローカル・ノードからクラスタ内の他のすべてのノードにコピーされます。

4.1 高速ホーム・プロビジョニングを使用したOracle Databaseソフトウェアのインストール

高速ホーム・プロビジョニングは、単一クラスタからデータ・センター内の任意の数のノードにソフトウェア・ホームをデプロイする方法であり、ソフトウェアのパッチ適用およびアップグレードが容易にもなります。

高速ホーム・プロビジョニングを使用して、OracleホームのテンプレートをOracleソフトウェア(データベース、ミドルウェア、アプリケーションなど)のイメージ(ゴールド・イメージと呼ばれる)として作成、保存および管理します。すべてのゴールド・イメージの作業用コピーを作成し、その作業用コピーをデータ・センターの任意のノードにプロビジョニングできます。

ゴールド・イメージは高速ホーム・プロビジョニング・サーバー上のリポジトリに格納されます。このサーバーは、高可用性プロビジョニング・システムである高速ホーム・プロビジョニング・サーバー・クラスタ内の1つのサーバーで実行されています。高速ホーム・プロビジョニングでは、単一コマンドを使用して、11.2.0.x (Oracle Database 11g)、12.1.0.2および12.2.0.1 (Oracle Database 12c)などのOracle Databaseの各種リリース用に新しいOracle Databaseホームをプロビジョニングできます。ターゲット・サーバーの前提条件はありません。Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをプロビジョニングする前に、クライアント・ソフトウェアまたはエージェント・ソフトウェアをサーバーにインストールする必要はありません。

このようなソフトウェアをプロビジョニングするとき、高速ホーム・プロビジョニングによって、様々なタイプのデータベース(Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)、シングル・インスタンス、Oracle Real Application Clusters One Node (Oracle RAC One Node)データベースなど)を異なるタイプの記憶域に作成するための追加機能や、その他のオプション(テンプレートの使用やコンテナ・データベース(CDB)の作成など)が提供されます。

関連項目:

高速ホーム・プロビジョニングの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

4.2 Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用した操作のプロビジョニング

データベース・プロビジョニング・ソリューションの一部として、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlでは、Oracle Database (単一インスタンス・データベースとも呼ばれる)およびOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースをプロビジョニングできます。

Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用すると、Oracle RACノードの拡張または削除と、Oracle RAC One Nodeデータベースのプロビジョニングが可能です。また、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlは、プロビジョニング用の環境の設定に役立ち、プロビジョニングが成功するように、ホスト上で様々な事前チェックを行います。Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用してOracleソフトウェアをプロビジョニングする前に、次のシステム構成タスクを実行する必要があります。

  • すべてのノードにEnterprise Manager Agentをインストールしてすべてのホストを検出します。

  • Enterprise Managerで名前付き資格証明および優先資格証明を構成します。

  • ソフトウェア・ライブラリを構成し、ロールを設定します。

  • Oracle Technology Networkからソフトウェアをダウンロードし、Enterprise Managerでインストール・メディア・コンポーネントを作成します。オプションで、既存システムからプロビジョニング・プロファイル(ゴールド・イメージと同様)を作成できます。

これらのタスクの実行方法、および、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用したOracle Grid InfrastructureおよびOracle RACソフトウェアのプロビジョニング方法については、Oracle Enterprise Manager Lifecycle Management管理者ガイドを参照してください。

4.3 My Oracle Supportの資格証明の検証

初めてOUIを起動すると、電子メール・アドレスおよびMy Oracle Supportのパスワードを入力するように求められます。

この情報を入力すると、次の機能が有効になります。

  • Oracle Configuration Managerがインストールされ構成されます。このオプションを使用すると、Oracle RAC構成に関する情報をMy Oracle Supportアカウントに関連付けることができます。Oracleサポートにサービス・リクエストを提示する必要がある場合、この構成情報はサービス問題のより迅速な解決に役立つことがあります。

  • My Oracle Supportのセキュリティ・アラートの電子メール通知を受信できます。

  • 最新パッチの自動ダウンロードと、新しくインストールされたOracleソフトウェア(およびクラスタ用Oracle Grid InfrastructureまたはOracle Database)への適用。ダウンロード可能なソフトウェア更新には、パッチ、重要なパッチ更新、インストーラ更新およびパッチ・セットがあります。

これらの機能を有効にする場合は、My Oracle Supportアカウント名(電子メール・アドレス)とパスワードを指定する必要があります。ご使用のコンピュータをMy Oracle Supportに接続する前に、プロキシ設定を構成する必要がある場合があります。

ソフトウェア更新がダウンロードされている場合、インストール中に、これらをMy Oracle Supportからダウンロードするかわりに、ローカル・サーバーでファイルが格納されているディレクトリの場所を入力できます。インストール・プロセス中に、インストールされたソフトウェアにソフトウェア更新が適用されます。

4.4 オペレーティング・システム環境の構成

Oracle Universal Installer (OUI)は、oracleユーザー・アカウントから実行します。OUIを起動する前に、oracleユーザーの環境を構成する必要はありません。

ORACLE_BASE環境変数は、Oracle DatabaseソフトウェアのOracleインベントリ・ファイルを配置するディレクトリに設定できます。たとえば、Oracle Databaseホーム・ディレクトリ/u01/app/oracle/product/12.2.0/dbhome_1を作成する場合、ORACLE_BASEをディレクトリ/u01/app/oracle/に設定します。インストール前にORACLE_BASE環境変数を設定すると、指定したパスはOUIによって表示される中央インベントリのデフォルトの場所になります。

また、ORACLE_HOME環境変数をOracle Databaseホーム用に選択した場所に設定できます。インストール前にORACLE_HOME環境変数を設定すると、指定したパスはOUIによって表示されるOracleホームのデフォルトの場所になります。

(オプション)Oracle DatabaseソフトウェアをOracle Linuxにインストールする前に、ユーザー環境を変更するには、次の手順を実行します。

  1. oracleユーザーとして、次のコマンドを実行します。
    [oracle]$ unset ORACLE_SID
    [oracle]$ export ORACLE_BASE=/u01/app/oracle/
    [oracle]$ export ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/12.2.0/dbhome_1
  2. 次のコマンドを実行して、変更が加えられたことを確認します。
    [oracle]$ echo $ORACLE_SID
    
    [oracle]$ echo $ORACLE_HOME
    /u01/app/oracle/product/12.2.0/dbhome_1
    [oracle]$ echo $ORACLE_BASE
    /u01/app/oracle/
    

4.5 他のOracle ASMディスク・グループの作成

Oracle Databaseファイルまたは高速リカバリ領域用に個別のディスク・グループを使用する場合は、Oracle Databaseソフトウェアをインストールする前に、別のOracle ASMディスク・グループを作成する必要があります。

クラスタ用のOracle Grid Infrastructureのインストール時にOracle ClusterwareファイルをOracle ASMに格納することを選択した場合、Oracle ASMに単一のディスク・グループが作成されています。この同じディスク・グループを使用してOracle Database用のデータファイルを格納することも、Oracle Databaseファイル用に別のディスク・グループを作成することもできます。

ASMCAを使用して追加のディスク・グループを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 「インストール・ディレクトリおよび共有記憶域の構成」の説明に従って、Oracle ASMで使用するディスクまたはデバイスを用意します。
  2. GridホームからOracle Automatic Storage Configuration Assistant(ASMCA)を起動します。
    /u01/app/12.2.0/grid/bin/asmca
    

    ASMCAが起動し、ディスク・グループ・ウィンドウが表示されます。

  3. 「作成」ボタンをクリックし、ディスク・グループを作成します。

    「ディスク・グループの作成」ウィンドウが表示されます。

  4. 次の情報を指定します。
    • 「ディスク・グループ名」フィールドに、高速リカバリ・ファイルを格納するディスク・グループの新しいディスク・グループの名前(FRAなど)を入力します。

    • 「冗長性」レベルを選択します(たとえば、「通常」)。

    • 新しいディスク・グループに含めるディスクを選択します。

    情報をすべて指定した後、「OK」をクリックします。「ディスク・グループ: 作成」というタイトルの進行状況を示すウィンドウが表示されます。数分後、ディスク・グループが正常に作成されたことを示すメッセージが表示されます。「OK」をクリックして続行します。

  5. 手順3と4を繰り返して別のディスク・グループを作成するか、または「終了」をクリックして「はい」を選択すると、ユーティリティが終了します。

4.6 Oracle RACにおけるマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)と非CDBとの判定

CDBまたは非CDBのオプションを使用してOracle Databaseをデプロイする方法を決定するには、この情報を確認します。

Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以上では、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)または非CDBであるOracle Databaseとしてデータベースを作成する必要があります。これは、Oracle RACデータベースにも適用されます。インストール・プロセスへの唯一の影響は、Oracle RACデータベースをCDBとして、または非CDBとして作成するかを選択することです。

プラガブル・データベース(PDB)は、Oracle Netクライアントに非CDBとして表示されるスキーマ、スキーマ・オブジェクトおよび非スキーマ・オブジェクトの移植可能な集合です。PDBはCDBに接続できます。CDBには、複数のPDBを含めることができます。各PDBは個別のデータベースとしてネットワーク上に示されます。

Oracle RACデータベースをCDBとして作成し、そのCDBに1つ以上のPDBを接続する場合、Oracle RACのCDBのどのインスタンスでもPDBはデフォルトで自動起動されません。PDBに(データベース名と同じ名前のデフォルトのデータベース・サービス以外の)最初の動的なデータベース・サービスが割り当てられると、PDBはサービスが実行されるインスタンスで有効になります。

Oracle RACの1つ以上のインスタンスでPDBが有効かどうかにかかわらず、CDBは通常PDBで実行されるサービスで管理されます。インスタンス上でPDBを手動で起動することによって、Oracle RAC CDBの各インスタンス上でPDBアクセスを手動で有効化できます。

関連項目:

4.7 Oracle Universal Installerを使用したOracle RACソフトウェアのインストール

オペレーティング・システム環境を構成した後、Oracle Universal Installerを使用して、Oracle RACソフトウェアをインストールし、Oracle RACデータベースを作成できます。

クラスタ上にOracle Databaseソフトウェアをインストールし、データベースを作成するには、次の手順を実行します。

  1. oracleユーザーとして、次のコマンドを使用してOUIを起動します。ここで、staging_areaは、ディスク上のステージング領域の場所か、マウントされているインストール・ディスクの場所です。
    cd /staging_area
    ./runInstaller
    
    セキュリティ更新の構成ウィンドウが表示されます。
  2. オプション: 電子メール・アドレスおよびMy Oracle Supportパスワードを入力し、「次へ」をクリックして続行します。

    インストールするソフトウェアについて新しく見つかったセキュリティ問題に関する通知を電子メールで受け取るには、「電子メール」フィールドに電子メール・アドレスを入力します。セキュリティ更新もMy Oracle Supportを介して受け取るには、My Oracle Supportに登録されているものと同じ電子メール・アドレスを使用し、「セキュリティ・アップデートをMy Oracle Support経由で受け取ります」オプションを選択し、My Oracle Supportのログイン・パスワードを「My Oracle Supportのパスワード」フィールドに入力します。

    電子メール・アドレスを指定すると、Oracle Configuration Manager (OCM)ツールもインストールされます。サービス・リクエストを作成する際に、このユーティリティはシステムの構成情報をOracleサポート・サービスに提供します。インストール後にOCMツールを無効にできますが、使用することをお薦めします。OCMは、テクニカル・サポートのコンタクト情報を除き、あらゆる個人情報、またはソフトウェア環境に存在するいかなる業務データファイルもアクセス、収集または保存しません。OCMについての詳細は、http://www.oracle.com/technology/documentation/ocm-092152.htmlを参照してください。

    「次へ」をクリックすると、「インストール・オプションの選択」ウィンドウが表示されます。
  3. 「データベースの作成および構成」を選択し、「次へ」をクリックして続行します。
    「システム・クラス」ウィンドウが表示されます。
  4. 「サーバー・クラス」を選択して、「次へ」をクリックします。
    デスクトップ・クラス・オプションを選択すると、OUIは、 クラスタ・データベースではなく単一インスタンス・データベースをインストールします。
    Grid Installation Options・ウィンドウが表示されます。
  5. Oracle Real Application Clustersデータベースのインストール・オプションまたはOracle RAC One Nodeデータベースのインストール・オプションのいずれかを選択します。
    「インストール・タイプの選択」ウィンドウが表示されます。
  6. データベースについて「管理者管理」または「ポリシー管理」を選択し、「次へ」をクリックして続行します。
    「管理者管理」を選択すると、「ノード・リストの選択」ウィンドウが表示さます。「ポリシー管理」を選択すると、インストール・タイプの選択ウィンドウが表示さます。
  7. 管理者管理データベースの場合、Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeを実行するクラスタ内のノードを選択する必要があります。
    1. Oracle DatabaseソフトウェアをインストールしOracle RACインスタンスを作成するノードを選択します。デフォルトで、クラスタ内の選択可能なノードがすべて選択されます。

      注意:

      Oracle RAC One Nodeデータベースを作成している場合であっても、インストール中に両方のノードを選択します。

    2. ウィンドウの下部にある「SSH接続」ボタンをクリックします。
      ウィンドウの下部パネルに、「SSH接続」情報が表示されます。
  8. クラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールに対してノード間のSSH接続を構成したので、「ユーザー・ホームに存在するプライベートおよびパブリック・キーを再使用します」オプションを選択します。「テスト」をクリックします。
    共有記憶域上にホーム・ディレクトリがあるネットワーク・ユーザーを使用する場合、選択したノードによって共有される場合はユーザー・ホームオプションも選択します。
    クラスタ・ノード間にパスワード不要のSSH接続が確立されていることを示すメッセージ・ウィンドウが表示されます。「OK」をクリックして続行します。
  9. 「ノードの選択」ウィンドウに戻ったら、「次へ」をクリックして続行します。
    「インストール・タイプの選択」ウィンドウが表示されます。
  10. 通常インストール・オプションを選択し、「次へ」をクリックします。
    通常インストールの場合、必要な入力は最小限です。この場合、ソフトウェアがインストールされ、一般用途のデータベースが作成されます。「拡張」インストール・タイプ(このガイドには記載されていません)を選択すると、データベースの構成方法に関する情報を指定するよう求められます。たとえば、ユーザー・アカウントごとの個別のパスワード設定、初期データベース用の別のテンプレートの選択、データベースに対するデフォルト以外の言語の選択などが可能です。
    「標準インストール構成」ウィンドウが表示されます。
  11. このウィンドウでは、次の情報を指定します。
    • 「Oracleベースの場所」: デフォルト値は/u01/app/oracle/です。ORACLE_BASE環境変数を設定しておらず、デフォルトの場所が選択したディレクトリの場所とは異なる場合、Oracleベースのディレクトリを入力するか、「参照」ボタンをクリックしてディレクトリ・パスを変更します。

    • 「ソフトウェアの場所」: インストールを開始する前に、ORACLE_HOME環境変数を設定しなかった場合、Oracleホーム用のディレクトリを入力するか、「参照」ボタンをクリックしてディレクトリ・パスを変更します。

    • 「記憶域のタイプ」: このドロップダウン・リストでは、「自動ストレージ管理(ASM)」を選択します。Oracle ASMを使用しない場合は、「ファイルシステム」を選択します。Oracle ASMはクラスタ用Oracle Grid Infrastructureとともにインストールされるので、Oracle Automatic Storage Managementがデフォルト値です。

    • 「データベース・ファイルの位置」: データベース・ファイルを格納するためのディスク・グループを選択します。Oracle Clusterwareで使用するディスク・グループと同じものを使用できます。Oracle Clusterwareファイルの格納に現在使用しているディスク・グループと同じものを使用しない場合は、インストールを終了し、Oracle ASMユーティリティを使用して新規ディスク・グループを作成する必要があります。ディスク・グループの作成の詳細は、「他のOracle ASMディスク・グループの作成」を参照してください。

      「ファイルシステム」記憶域タイプを選択した場合は、データベース・ファイルを作成する共有ストレージのディレクトリの場所を入力します。

    • 「ASMSNMPパスワード」: ASMSNMPユーザーのパスワードを入力します。ASMSNMPユーザーは、Oracle ASMインスタンスを監視するために主にOracle Enterprise Managerによって使用されます。ASMSNMPユーザーの詳細は、Oracle自動ストレージ管理管理者ガイドを参照してください。

      「記憶域のタイプ」で「ファイルシステム」を選択した場合は、このフィールドは無効になります。

    • 「データベースのエディション」: このドロップダウン・リストから「Enterprise Edition」または「Standard Edition」を選択します。選択肢の次にあるカッコ内の数字は、必要なディスク領域の大きさを示します。

    • 「OSDBAグループ」: このドロップダウン・リストから、データベース管理用のオペレーティング・システム・グループを選択します(たとえば、dba)。

    • 「グローバル・データベース名」: データベースの完全修飾グローバル名を入力します。グローバル・データベース名の形式は、DB_UNIQUE_NAME.DB_DOMAIN (orcl.example.comなど)です。

      注意:

      ORACLE_SIDの最初の8文字は、各データベースの一意の識別子である必要があります。SID接頭辞には、アンダースコア(_)、ドル($)またはシャープ(#)文字を含めることはできません。ORACLE_SIDの合計長は、Oracle RACデータベースの15文字を超えることはできません。

    • 「管理パスワード」: SYS、SYSTEMおよびDBSNMPなどの管理アカウントで使用するパスワードを入力します。

    • 「パスワードの確認」: このフィールドに同じパスワードを入力します。

  12. 必要な情報をすべて指定した後、「次へ」をクリックします。
    「前提条件チェックの実行」ウィンドウが表示されます。
  13. しばらくすると、サマリー・ウィンドウが表示されます。このウィンドウの情報を確認し、「終了」をクリックして続行します。

    サマリー・ウィンドウの情報が正しくない場合、「戻る」ボタンを使用して前のウィンドウに戻り、修正します。

    「終了」をクリックすると、OUIがインストール開始を示す進捗インジケータを表示します。この手順が完了するまで数分かかります。
  14. 各ノードにソフトウェアがインストールされた後、データベースの作成オプションを選択すると、OUIはDatabase Configuration Assistant(DBCA)を起動します。

    このユーティリティは、手順9で指定したグローバル・データベース名を使用してデータベースを作成します。データベース作成の終了時に、データベース構成情報が表示されたDBCAウィンドウが表示されます。

    「パスワード管理」ボタンもあり、これをクリックするとデータベースのユーザー・アカウントのロック解除またはデフォルト・パスワードの変更が可能です。

    サマリー・ウィンドウの情報をメモした後、「OK」をクリックします。

    手順2で情報を指定した場合、OUIはOracle Configuration Managementを構成します。

    ソフトウェアのみのインストールを実行するように選択すると、Database Configuration Assistantは起動されません。個別にDBCAを実行して、Oracle RAC One Nodeデータベースを作成する必要があります。

    関連項目:

    DBCAを使用したOracle RAC One Nodeデータベースの作成の詳細は、ご使用のプラットフォーム用のOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドを参照してください。

  15. root.shスクリプトを実行するには、次の手順を実行します(この例では、わかりやすくするために、プロンプトに現在のユーザー、ノードおよびディレクトリを示しています)。
    インストール・プロセスの最後の手順では、「構成スクリプトの実行」ウィンドウで指定されたように、両方のノードでroot.shスクリプトを実行するタスクの実行を求められます。すべてのノードのスクリプトを実行するまで、「OK」はクリックしないでください。
    1. 最初のノードでoracleユーザーとして端末ウィンドウを開きます。ディレクトリをOracleホーム・ディレクトリに変更し、次のコマンドを入力することによって、rootユーザーに切り替えます。
      [oracle@racnode1 oracle]$ cd /u01/app/oracle/product/12.2.0/dbhome_1
      [oracle@racnode1 dbhome_1]$ su
      
    2. rootユーザーのパスワードを入力し、「構成スクリプトの実行」ウィンドウで指定されたスクリプトを実行します。
      [root@racnode1 dbhome_1]# ./root.sh

      注意:

      root.shスクリプトを、Oracle RACのインストールまたはアップグレード用のクラスタ内のすべてのノードで同時に実行できます。

    3. これに回答した後、[Enter]キーを押します。デフォルトの選択肢のままにするには、何も入力せずに[Enter]キーを押します。
      root.shスクリプトが実行されると、ローカルbinディレクトリへのパスを指定するよう促されます。大カッコ内の情報は、システム構成から取得された情報です。また、dbhomeoraenvおよびcoraenvファイルも/usr/local/binディレクトリに書き込まれます。これらのファイルがすでに存在する場合、これらを上書きするかどうか尋ねられます。
    4. 次のようなコマンドを入力し、他のノードでスクリプトを実行します。
      [root@racnode1 dhome_1]# exit
      [oracle@racnode1 dhome_1]$ ssh racnode2
      [oracle@racnode2 ~]$ cd /u01/app/oracle/product/12.2.0/dbhome_1
      [oracle@racnode2 dbhome_1]$ su
      
    5. rootユーザーのパスワードを入力し、「構成スクリプトの実行」ウィンドウで指定されたスクリプトを実行します。
      [root@racnode2 dbhome_1]# ./root.sh
      
    6. 各プロンプトに応答した後、[Enter]キーを押します。
    7. root.shスクリプトが完了すると、次のメッセージが表示されます。
  16. すべてのノードでスクリプトの実行が終了した後、「構成スクリプトの実行」ウィンドウに戻り、「OK」をクリックします。
    製品のインストール・ウィンドウが表示されます。
  17. 「次へ」をクリックして、インストールを完了します。
    終了ウィンドウが表示されます。
  18. 「閉じる」をクリックしてインストーラを終了します。

4.8 Oracle RACデータベースのインストールの検証

インストール時にOracle RACデータベースの作成を選択した場合、すべてのデータベース・サービスが起動し、実行中であることを確認します。

Oracle RACデータベースが起動されていることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. oracleユーザーとしてログインし、Grid_home/binディレクトリに移動します。
    [oracle] $ cd /u01/app/12.2.0/grid/bin
    
  2. 次のコマンドを実行してOracle Clusterwareが管理しているリソースのうち文字列「ora」を含むリソースのステータスを確認します。
    [oracle] $ ./crsctl status resource -w "TYPE co 'ora'" -t
    

    コマンドの出力は、Oracle Clusterware、Oracle ASMおよびOracle Databaseのリソースを各ホストで(オンラインで)使用できることを示します。次の例のように出力されます。

    ---------------------------------------------------------------------------
    NAME              TARGET STATE    SERVER            STATE_DETAILS
    ---------------------------------------------------------------------------
    Local Resources
    ---------------------------------------------------------------------------
    ora.DATA.dg
                      ONLINE  ONLINE   racnode1
                      ONLINE  ONLINE   racnode2
    
    ora.LISTENER.lsnr
                      ONLINE  ONLINE   racnode1
                      ONLINE  ONLINE   racnode2
    
    ora.asm
    
                      ONLINE  ONLINE   racnode1          Started
                      ONLINE  ONLINE   racnode2          Started
    
    ora.eons
                      ONLINE  ONLINE   racnode1
                      ONLINE  ONLINE   racnode2
    
    ora.gsd
                      OFFLINE OFFLINE   racnode1
                      OFFLINE OFFLINE   racnode2
    
    ora.net1.network
                      ONLINE  ONLINE   racnode1
                      ONLINE  ONLINE   racnode2
    
    ora.ons
                      ONLINE  ONLINE   racnode1
                      ONLINE  ONLINE   racnode2
    ora.registry.acfs
                      ONLINE  ONLINE   racnode1
                      ONLINE  ONLINE   racnode2
    ---------------------------------------------------------------------------
    Cluster Resources
    ---------------------------------------------------------------------------
    ora.LISTENER_SCAN1.lsnr
          1           ONLINE  ONLINE   racnode1
    ora.oc4j
          1           OFFLINE OFFLINE
    ora.orcl.db
          1           ONLINE  ONLINE   racnode1            Open
          2           ONLINE  ONLINE   racnode2            Open
    ora.racnode1.vip
          1           ONLINE  ONLINE   racnode1
    ora.racnode2.vip
          1           ONLINE  ONLINE   racnode2
    ora.scan1.vip
          1           ONLINE  ONLINE   racnode1
    

注意:

インストールの完了後、Oracleソフトウェアがサーバーで動作している間は、/tmp/.oracleまたは/var/tmp/.oracleディレクトリ、またはそれらのディレクトにあるファイルを手動またはcronジョブの実行によって削除しないでください。これらのファイルを削除すると、Oracleソフトウェアが断続的に停止する場合があります。Oracle Clusterwareのインストールが失敗し、次のエラーが表示されます。

 CRS-0184: Cannot communicate with the CRS daemon. 

4.9 インストール後のタスクの実行

Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)ソフトウェアをインストールし、Oracle RACデータベースを作成した後には、クラスタ・データベースの使用準備を完了する前に、追加で実行するタスクがあります。これらの手順をお薦めしていますが、必須ではありません。

4.9.1 Oracle Databaseパッチのダウンロードとインストールについて

パッチ・セットがインストール済のソフトウェアに対応する最新のものであることを確認して実行してください。

オラクル社では、オラクル社のソフトウェアについてパッチと呼ばれるバグ・フィックスを定期的に発行しています。パッチ・セットとはバグ・フィックスのコレクションであり、パッチ・セットのリリース時までに作成されたバグ・フィックスが含まれます。パッチ・セットは完全にテストされた製品修正です。パッチ・セットの適用は、Oracleホームにあるソフトウェアにのみ影響します。

インストール時にMy Oracle Supportへのアクセスを構成した場合は、インストール時に最新のパッチがダウンロードされて適用されているはずです。

OUIでMy Oracle Supportへのアクセスを構成しなかった場合は、ご使用のリリースに対応するパッチ・セットと、パッチ・セットに含まれていない必須のパッチを適用する必要があります。パッチおよびパッチ・セットのダウンロードとインストールについては、「Oracleソフトウェアの管理およびパッチの適用」で説明されています。

関連項目:

パッチおよびパッチ・セットを検索してダウンロードする方法の詳細な手順は、Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linuxを参照してください。

4.9.2 すべての無効なオブジェクトの再コンパイル

データベースのインストール、パッチ適用またはアップグレードの後にutlrp.sqlスクリプトを実行し、無効なオブジェクトを特定して再コンパイルすることをお薦めします。

utlrp.sqlスクリプトは、すべての無効なオブジェクトを再コンパイルします。インストールの直後にスクリプトを実行して、ユーザーが無効なオブジェクトにアクセスしないようにしてください。
  1. SQL*Plusを起動します。
    sqlplus "/ AS SYSDBA"
    
  2. utlrp.sqlスクリプトを実行します。Oracle_homeはOracleホームのパスです。
    SQL> @Oracle_home/rdbms/admin/utlrp.sql
    

utlrp.sqlスクリプトは、無効なオブジェクトの数と使用可能なCPUの数の両方に基づいて、シリアル再コンパイルまたはパラレル再コンパイルで無効なオブジェクトを自動的に再コンパイルします。CPUは、CPUの数(cpu_count)にCPUごとのスレッドの数(parallel_threads_per_cpu)を乗じて計算されます。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)では、すべてのOracle RACノード全体でこの数が追加されます。

4.9.3 ユーザー・アカウントの構成について

Oracle RACデータベースへのアクセスおよび管理のために、複数の異なるオペレーティング・システム・アカウントを使用できます。

oracleユーザーのオペレーティング・システム・アカウントは、Oracle Databaseソフトウェアをインストールする際に使用するアカウントです。オペレーティング・システム・ユーザーとしてログインしている場合には、シェルの構成ファイルを変更し、ORACLE_HOMEなどの環境変数をいつでも設定できます。

4.9.4 Oracle RACまたはOracle RAC One Node CDBでのサービスの構成

インストール時に、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)を選択し、プラガブル・データベース(PDB)を構成している場合は、インストール後、このPDBにサービスを追加する必要があります。

PDBにサービスを追加しない場合は、Oracle RAC One Node CDBは別のノードにフェイルオーバーされ、または手動でCDBを別のノードに再配置すると、デフォルトで、そのCDB (サービスを登録していない)に関連付けられているすべてのPDBはMOUNTED状態で再起動されます。

Oracle RAC One Nodeデータベースの場合はフェイルオーバー後、Oracle RACデータベースの場合は再配置後に、PDBが読取り/書込みモードで開かれるのは、サービスを関連付けてPDBを構成した後に限られます。PDBにサービスを関連付けていない場合は、CDBインスタンスの再起動時に、PDBはMOUNTED状態を維持します。

PDBにサービスを追加するには、次のsrvctlコマンド構文を使用します(ここで、cdbnameはCDB名で、service_nameはサービス名で、pdbnameはPDB名です)。

srvctl add service -d cdbname -s service_name -pdb pdbname

PDBにサービスを追加した後、PDBが関連付けられているCDBを再配置したか、またはOracle RAC One Nodeデータベースに対してCDBがフェイルオーバーされた場合は、そのCDBに関連付けられているPDBは自動的に読取り/書込み状態で起動されます。

関連項目:

PDBおよびサービスの追加についての詳細は、『Oracle Database概要』および『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

4.9.5 ORAchkヘルス・チェック・ツールのダウンロードとインストール

ORAchkユーティリティをダウンロードしてインストールし、Oracleソフトウェア・スタックの事前ヘルス・チェックを実行します。

ORAchkは、RACCheckユーティリティに代わるものです。ORAchkは、ヘルス・チェックの範囲をOracleソフトウェア・スタック全体に拡張しており、Oracleユーザーから報告された主な問題を特定し、それに対処します。ORAchkは、Oracleの製品とデプロイメントについて次のような既知の問題をあらかじめスキャンします。

  • スタンドアロンのOracle Database

  • Oracle Grid Infrastructure

  • Real Application Clusters

  • 最大可用性アーキテクチャ(MAA)の検証

  • アップグレード対応の検証

  • Oracle Golden Gate

オラクル社は、お客様のリクエストに基づいてチェックの拡張を続けています。

ORAchkは、Cygwin環境のWindows Server 2012およびWindows Server 2016でのみサポートされています。

My Oracle SupportからORAchkの最新バージョンをダウンロードして実行することをお薦めします。ORAchkユーティリティのダウンロード、構成および実行方法の詳細は、次のMy Oracle Supportのノート1268927.2を参照してください。

https://support.oracle.com/epmos/faces/DocContentDisplay?id=1268927.2&parent=DOCUMENTATION&sourceId=USERGUIDE

4.10 DBCAを使用したOracle RACデータベースの作成

Database Configuration Assistant (DBCA)は、Oracle Databaseの作成に使用するユーティリティです。

インストール時にOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)データベースを作成するオプションを選択していない場合は、Oracle RACソフトウェアが正常にインストールされたことを確認した後、DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成する必要があります。Oracle RACデータベースの作成手順は、Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドに記載されています。