3 Oracle Grid Infrastructureのインストール

Oracle Universal Installer (OUI)を使用してOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)とOracle RAC One Nodeをインストールする前に、まずOracle ClusterwareとOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)で構成されるクラスタ用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールする必要があります。

3.1 高速ホーム・プロビジョニングを使用したOracle Grid Infrastructureのインストール

高速ホーム・プロビジョニングは、単一クラスタからデータ・センター内の任意の数のノードにソフトウェア・ホームをデプロイする方法であり、ソフトウェアのパッチ適用およびアップグレードが容易にもなります。

高速ホーム・プロビジョニングを使用して、OracleホームのテンプレートをOracleソフトウェア(データベース、ミドルウェア、アプリケーションなど)のイメージ(ゴールド・イメージと呼ばれる)として作成、保存および管理します。すべてのゴールド・イメージの作業用コピーを作成し、その作業用コピーをデータ・センターの任意のノードにプロビジョニングできます。

ゴールド・イメージは高速ホーム・プロビジョニング・サーバー上のリポジトリに格納されます。このサーバーは、高可用性プロビジョニング・システムである高速ホーム・プロビジョニング・サーバー・クラスタ内の1つのサーバーで実行されています。高速ホーム・プロビジョニングでは、単一コマンドを使用して、Oracle Grid Infrastructure 11.2.0.4、12.1.0.2および12.2用に新しいGridホームをサーバーにプロビジョニングできます。ターゲット・サーバーの前提条件はありません。Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをプロビジョニングする前に、クライアント・ソフトウェアまたはエージェント・ソフトウェアをサーバーにインストールする必要はありません。

関連項目:

高速ホーム・プロビジョニングの詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

3.2 クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのソフトウェアは、Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)で構成されます。

3.2.1 LinuxおよびUNIXでのクラスタ検証ユーティリティの修正スクリプトについて

LinuxおよびUNIXプラットフォームでのインストール時に特定の前提条件チェックが失敗した場合は、「修正および再チェック」をクリックして修正スクリプトを生成することができます。

インストールの最小要件を満たしていない場合はインストーラによって検知され、要件を満たしていないシステム構成手順を実行するために、修正スクリプトと呼ばれるシェル・スクリプトが作成されます。インストーラによって不完全なタスクが検知されると、修正スクリプト(runfixup.sh)が生成されます。CVUで、インストールの前に修正スクリプトを生成することもできます。

修正スクリプトでは、次のことが実行されます。

  • 必要に応じて、インストールを正しく実行するために必要な値を次のカーネル・パラメータに設定します。

    • 共有メモリーのパラメータ。

    • オープン・ファイル記述子とUDP送受信のパラメータ。

  • Oracle Inventory(中央インベントリ)ディレクトリに権限を作成し、設定します。

  • インストール所有者、必要な場合はOracleインベントリ・ディレクトリおよびオペレーティング・システム権限グループの、プライマリおよびセカンダリ・グループ・メンバーシップが作成または再構成されます。

  • 必要に応じて、シェル制限に必須の値を設定します。

「修正および再チェック」をクリックした後で、このスクリプトを実行できます。別のセッションでrootユーザーとして修正スクリプトを実行するようインストーラによって求められます。もしくは、スクリプトを自動的に実行するようにインストーラのインタフェースから指定することもできます。インストーラが指定したすべてのノードで、スクリプトを実行する必要があります。

生成された修正スクリプトの内容を変更することはお薦めしません。

注意:

修正スクリプトを使用しても、クラスタ用Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACのインストールに必要な前提条件がすべて満たされるわけではありません。インストールに成功するには、 「クラスタの準備」 で説明する前提条件をすべて満たしているかどうか確認する必要があります。

3.2.2 新規クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール

クラスタにOracle Grid Infrastructure (Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management)をインストールするには、この手順を実行します。

Oracle Grid Infrastructure 12c リリース2 (12.2)からは、インストール・メディアがOracle Grid Infrastructureインストーラのzipファイルに置き換えられています。このzipファイルをターゲット・ホームのパスに解凍した後、インストール・ウィザードを実行します。

インストール中に、求められている操作やインストール時に指定する必要がある入力内容について疑問がある場合にはいつでも、インストーラ・ページの「ヘルプ」ボタンをクリックします。

インストールを開始する前に、ネットワーク情報、記憶域情報およびオペレーティング・システムのユーザーとグループを使用できるようにして、rootスクリプトを実行する準備を行う必要があります。

最初のノードでクラスタ用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアを所有する(grid)ユーザーとして、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureをインストールします。インストール中、インストーラはセキュア・シェル(SSH)を使用してバイナリ・ファイルをこのノードから他のノードにコピーすることに注意してください。インストール時に、クラスタ・ノード情報ウィンドウでクラスタ内のノードを指定する際に「SSH接続」をクリックすると、インストーラによって指定されたノード間のSSH接続が構成されます。

注意:

これらのインストール手順では、システムにOracleソフトウェアがまったくインストールされていないことを前提としています。Oracle ASMLIBをすでにインストールしている場合、Oracle ASMLIBをアンインストールしてからでないとOracle ASMフィルタ・ドライバ(Oracle ASMFD)をインストールできません。Oracle ASMで使用されるディスクの管理にはOracle ASMFDのかわりにOracle ASMLIBを使用できますが、その説明はこのガイドに記載されていません。

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールする手順:

  1. gridユーザーとして、Oracle Grid Infrastructureのイメージ・ファイルをダウンロードし、そのファイルをGridホームに解凍します。次に例を示します。
    mkdir -p /u01/app/12.2.0/grid
    chown grid:oinstall /u01/app/12.2.0/grid
    cd /u01/app/12.2.0/grid
    unzip -q download_location/grid_home_image.zip

    注意:

    • このzipイメージ・ソフトウェアは、Gridホームを配置するディレクトリに展開する必要があります。

    • Oracle Grid Infrastructureのイメージ・ファイルをダウンロードし、ローカル・ノードにのみコピーします。インストール中に、ソフトウェアはクラスタの他のすべてのノードにコピーおよびインストールされます。

  2. 共有ディスクをOracle ASMフィルタ・ドライバとともに使用するように構成します。
    1. rootユーザーとしてログインし、環境変数$ORACLE_HOMEをGridホームの場所に、環境変数$ORACLE_BASEを一時的な場所に設定します。
      su root
      set ORACLE_HOME=/u01/app/12.2.0/grid
      set ORACLE_BASE=/tmp
      $ORACLE_BASEを一時的な場所に設定し、Oracle Grid Infrastructureをインストールする前にGridホームに診断ファイルや追跡ファイルが作成されることがないようにします。
    2. Oracle ASMコマンドライン・ツール(ASMCMD)を使用して、ディスク・デバイスをOracle ASMフィルタ・ドライバとともに使用するようにプロビジョニングします。
      ./u01/app/12.2.0/grid/bin/asmcmd afd_label DATA1 /dev/sdb --init
      ./u01/app/12.2.0/grid/bin/asmcmd afd_label DATA1 /dev/sdc --init
      ./u01/app/12.2.0/grid/bin/asmcmd afd_label DATA1 /dev/sdd --init
      
    3. デバイスがOracle ASMFDとともに使用するようにマークされていることを確認します。
      ./u01/app/12.2.0/grid/bin/asmcmd afd_lslbl /dev/sdb
      ./u01/app/12.2.0/grid/bin/asmcmd afd_lslbl /dev/sdc
      ./u01/app/12.2.0/grid/bin/asmcmd afd_lslbl /dev/sdd
    4. ORACLE_BASE環境変数の設定を解除します。
      unset ORACLE_BASE
  3. 次のコマンドを実行して、Oracle Grid Infrastructureウィザードを起動します。
    Grid_home/gridSetup.sh
    インストーラが起動し、構成オプションの選択ウィンドウが表示されます。
  4. 「新規クラスタ用のOracle Grid Infrastructureの構成」オプションを選択して、「次へ」をクリックします。
    クラスタ・タイプの選択ウィンドウが表示されます。
  5. オプション「Oracleスタンドアロン・クラスタの構成」を選択してから「次へ」をクリックします。
    グリッド・プラグ・アンド・プレイ情報ウィンドウが表示されます。
  6. クラスタ名フィールドとSCAN名フィールドに、エンタープライズ・ネットワーク全体で一意のクラスタおよびクラスタ・スキャンの名前を入力し、「次へ」をクリックします。

    たとえば、ノード名の共通の接頭辞を元にした名前を選択できます。このガイドでは、クラスタ名docracおよびクラスタのSCAN名docrac-scanを使用します。

    クラスタ・ノード情報画面が表示されます。

  7. クラスタ・ノードの表の「パブリック・ホスト名」列に、racnode1.example.comなどのローカル・ノードが表示されます。
    1. 「追加」をクリックして、他のノードをクラスタに追加します。
    2. 2番目のノードのパブリック名(racnode2)および仮想IP名(racnode2-vip)を入力して、「OK」をクリックします。
      クラスタ・ノード情報ウィンドウに戻ります。クラスタ・ノードの表に両方のノードが表示されます。両方のノードで、ロール列がHUBに設定されていることを確認します。
    3. 両方のノードが選択されていることを確認して、ウィンドウ下部にある「SSH接続」ボタンをクリックします。
      ウィンドウの下部パネルに、「SSH接続」情報が表示されます。
    4. Oracleソフトウェア所有者(grid)に対するオペレーティング・システムのユーザー名およびパスワードを入力します。オプションを選択します。ノード間にSSH接続を構成した場合はユーザー・ホームに存在する秘密鍵と公開鍵を再利用するオプションを選択します。「設定」をクリックします。
      ノード間のSSH接続の構成に数分かかる可能性があること示すメッセージ・ウィンドウが表示されます。しばらくすると、クラスタ・ノード間にパスワード不要のSSH接続が確立したことを示す別のメッセージ・ウィンドウが表示されます。「OK」をクリックして続行します。
    5. クラスタ・ノード情報ウィンドウに戻ったら、「次へ」をクリックして続行します。
    ネットワーク・インタフェースの使用方法の指定ページが表示されます。
  8. 表示される各ネットワーク・インタフェースの使用方法を選択し、「次へ」を選択します。
    各インタフェースに正しいインタフェース・タイプが関連付けられていることを確認します。Oracle Clusterwareで使用しないネットワーク・インタフェースがある場合、ネットワーク・インタフェース・タイプを「使用しない」に設定します。たとえば、ネットワーク・インタフェースが2つのみである場合、パブリック・インタフェースの「用途」の値を「パブリック」に設定し、プライベート・ネットワーク・インタフェースの「用途」の値を「ASMおよびプライベート」に設定します。
    ノードがいずれも選択されていることを確認し、「次へ」をクリックします。「グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ・オプション」ウィンドウが表示されます。
  9. グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリを別個のOracle ASMディスク・グループに保存するかどうかを選択し、「次へ」を選択します。
    記憶域オプション情報ウィンドウが表示されます。
  10. 「OracleフレックスのASMを記憶域として使用」オプションを選択し、「次へ」をクリックして続行します。
    「グリッド・インフラストラクチャ管理リポジトリ・オプション」ウィンドウが表示されます。
  11. ローカル・オプションを選択し、「次へ」をクリックして続行します。
    ASMディスク・グループの作成ウィンドウが表示されます。
  12. Oracle ASMディスク・グループの名前および仕様を指定してください。
    1. 「ディスク・グループ名」フィールドに、ディスク・グループの名前を入力します(たとえば、DATA)。
    2. このディスク・グループの冗長レベルを選択します。「標準」が推奨オプションです。
    3. 「ディスクの追加」セクションで、このディスク・グループに追加するディスクを選択します。
      「ディスクの追加」セクションには、ステップ2でラベル付けしたディスクが表示されます。ディスクが表示されない場合、検出パスの変更ボタンをクリックして、たとえば/dev/sd*のように、ディスクのパスおよびパターン・マッチを指定します。
    4. オプション「Oracle ASMフィルタ・ドライバの構成」を選択します。
    ディスク・グループの情報を入力し終わったら、「次へ」をクリックします。
    ASMパスワードの指定ウィンドウが表示されます。
  13. Oracle ASM SYSおよびASMSNMPアカウントに同じパスワードを使用することを選択するか、それぞれのアカウントに異なるパスワードを指定して、「次へ」をクリックします。
    障害の分離のサポート・ウィンドウが表示されます。
  14. オプションIntelligent Platform Management Interface (IMPI)を使用しないを選択して、「次へ」をクリックします。
    管理オプションの指定ウィンドウが表示されます。
  15. エンタープライズにEnterprise Manager Cloud Controlがインストールされている場合、オプション「Enterprise Manager (EM) Cloud Controlへの登録」を選択し、EM構成情報を指定します。エンタープライズにEnterprise Manager Cloud Controlがインストールされていない場合は、「次へ」をクリックして続行します。
    「権限のあるオペレーティング・システム・グループ」ウィンドウが表示されます。
  16. Oracle ASM管理用のデフォルトのオペレーティング・システム・グループ名を受け入れ、「次へ」をクリックします。
    インストール先の指定ウィンドウが表示されます。
  17. Oracle Grid InfrastructureインストールのOracleベースに使用するディレクトリを指定し、「次へ」をクリックします。
    ステップ1で指示されたとおりにOracle Gridホーム・ディレクトリにOracle Grid Infrastructureインストール・ファイルをコピーしている場合、Oracleベース・ディレクトリのデフォルトの場所が/u01/app/gridとして表示されます。
    このコンピュータにOracleソフトウェアを一度もインストールしたことがない場合は、インベントリの作成ウィンドウが表示されます。
  18. 必要に応じて、インベントリ・ディレクトリのパスを変更します。次に、「次へ」をクリックします。
    このマニュアルの例と同じディレクトリ名を使用している場合は、値は/u01/app/oraInventoryとなります。oraInventoryディレクトリのグループ名は、oinstallとなります。
    「rootスクリプトの実行構成」ウィンドウが表示されます。
  19. 「構成スクリプトを自動的に実行」するオプションを選択します。rootユーザーまたはsudoアカウントの資格証明を入力し、「次へ」をクリックします。
    その他の方法として、インストール・プロセスの最後にインストーラで求められたときに、rootユーザーとしてスクリプトを手動で実行できます。
    「前提条件チェックの実行」ウィンドウが表示されます。
  20. ステータスが「失敗」のチェックがあり「修正可能」ではない場合は、この問題を手動で修正する必要があります。問題を修正した後、「再チェック」ボタンをクリックしてインストーラで要件を再確認し、ステータスを更新できます。すべてのチェックのステータスが「成功」になるまで必要な回数繰り返します。「次へ」をクリックします。

    図3-1 前提条件チェックの実行ウィンドウ

    図3-1の説明が続きます
    「図3-1 「前提条件チェックの実行」ウィンドウ」の説明

    「サマリー」ウィンドウが表示されます。

  21. サマリー・ウィンドウの内容を確認して「インストール」をクリックします。
    進捗インジケータが表示され、インストール・プロセスを監視できます。
  22. rootスクリプトの自動化を構成しなかった場合は、表示される構成スクリプトの実行ウィンドウで指定された適切なスクリプトをrootユーザーとして実行する必要があります。スクリプトを実行するまで、「OK」をクリックしないでください。そのスクリプトをすべてのノードで、表示された順序で指示どおりに実行します。

    たとえば、Oracle Linux上では次の手順を実行します(この例では、説明をわかりやすくするために、プロンプトの現在のユーザー、ノードおよびディレクトリを示しています)。

    1. racnode1oracleユーザーとして、端末ウィンドウを開き、次のコマンドを入力します。

      [oracle@racnode1 oracle]$ cd /u01/app/oraInventory
      [oracle@racnode1 oraInventory]$ su
      
    2. rootユーザーのパスワードを入力し、次のコマンドを入力して最初のスクリプトをracnode1で実行します。

      [root@racnode1 oraInventory]# ./orainstRoot.sh
      
    3. racnode1orainstRoot.shスクリプトが終了した後、別の端末ウィンドウを開き、oracleユーザーとして次のコマンドを入力します。

      [oracle@racnode1 oracle]$ ssh racnode2
      [oracle@racnode2 oracle]$ cd /u01/app/oraInventory
      [oracle@racnode2 oraInventory]$ su
      
    4. rootユーザーのパスワードを入力し、次のコマンドを入力して最初のスクリプトをracnode2で実行します。

      [root@racnode2 oraInventory]# ./orainstRoot.sh
      
    5. racnode2orainstRoot.shスクリプトが終了した後、この手順のパートaで開いた端末ウィンドウに移動します。racnode1rootユーザーとして次のコマンドを入力し、2番目のスクリプトであるroot.shを実行します。

      [root@racnode1 oraInventory]# cd /u01/app/12.2.0/grid
      [root@racnode1 grid]# ./root.sh
      

      プロンプトに対して[Enter]キーを押してデフォルト値のままにします。

      注意:

      最初のノードでroot.shスクリプトを実行し、完了するまで待機する必要があります。スクリプトを実行した最後のノードを除いて、他のすべてのノードでroot.shスクリプトを同時に実行できます。最後のノードでは、最初のノードと同様に、root.shスクリプトを個別に実行する必要があります。

    6. racnode1root.shスクリプトが終了した後、この手順のパートcで開いた端末ウィンドウに移動します。racnode2rootユーザーとして、次のコマンドを入力します。

      [root@racnode2 oraInventory]# cd /u01/app/12.2.0/grid
      [root@racnode2 grid]# ./root.sh
      

      root.shスクリプトが終了した後、orainstRoot.shおよびroot.shスクリプトの実行を求められたOUIのウィンドウに戻ります。「OK」をクリックします。

      ソフトウェア・インストールの監視ウィンドウが表示されます。

  23. 「終了」ウィンドウが表示されるまで、インストールの監視を続けます。次に、「閉じる」をクリックし、インストール・プロセスを完了してインストーラを終了します。

注意:

インストールの完了後、Oracleソフトウェアがサーバーで動作している間は、/tmp/.oracleまたは/var/tmp/.oracleディレクトリ、またはそれらのディレクトにあるファイルを手動またはcronジョブの実行によって削除しないでください。これらのファイルを削除すると、Oracleソフトウェアが断続的に停止する場合があります。Oracle Clusterwareのインストールが失敗し、次のエラーが表示されることがあります。

CRS-0184: CRSデーモンと通信できません。

3.2.3 Oracle Clusterwareの構成の完了

Oracle Clusterwareのインストール後、ノード・アプリケーションが起動していることを確認します。

使用するオペレーティング・システムによっては、Oracle Clusterwareコンポーネントを適切に構成するために、インストール後のタスクをいくつか実行する必要がある場合があります。

Oracle Linux上でOracle Clusterwareの構成を完了するには、次の手順を実行します。

  1. 最初のノードでgridユーザーとして、次のコマンドを入力することにより、Oracle Clusterwareターゲットのステータスを確認します。
    /u01/app/12.2.0/grid/bin/crsctl check cluster -all
    

    このコマンドにより、gsdonsvipなどのすべての必要なクラスタ・サービスがクラスタのノード上で起動されているかどうかを示す情報が出力されます。

  2. 表示される出力に、クラスタの各ノードについて、Oracle Clusterwareデーモンがオンラインになっていることが示されます。
    ******************************************************************
    racnode1:
    CRS-4537: Cluster Ready Services is online
    CRS-4529: Cluster Synchronization Services is online
    CRS-4533: Event Manager is online
    ******************************************************************
    racnode2:
    CRS-4537: Cluster Ready Services is online
    CRS-4529: Cluster Synchronization Services is online
    CRS-4533: Event Manager is online
    ******************************************************************
    

    1つ以上のOracle Clusterwareリソースがオフラインであると表示される場合、または表示されないリソースがある場合は、Oracle Clusterwareソフトウェアが正しくインストールされていません。

注意:

Oracle Clusterwareインストールの完了後は、ホスト名の変更(ドメイン修飾の追加または削除を含む)はしないでください。ホスト名を変更されたノードはクラスタから削除され、新しい名前で追加されます。

3.3 Oracle Clusterwareインストールの検証について

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用して、インストールが正しく構成されていることを確認します。

Oracle Clusterwareのインストールが完了すると、OUIではコンフィギュレーション・アシスタントとして自動的にクラスタ検証ユーティリティ(CVU)が実行され、Oracle Clusterwareのインストールが正常に完了したかどうかが検証されます。

CVUによって構成の問題が報告される場合は、続行する前にこれらのエラーを修正します。

関連項目:

CVUの使用方法および構成の問題の解決方法については、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

3.4 Oracle Clusterwareファイルを対象とするOracle ASM機能の確認

Oracle Grid Infrastructureのインストール後、Oracle ASMが実行されていることを確認します。

Oracle Grid Infrastructureをインストールすると、Oracle ClusterwareファイルがOracle ASMに格納されます。Oracle Grid Infrastructureインストール所有者(grid)として次のコマンド構文を使用し、Oracle ASMインストールが実行されていることを確認します。

srvctl status asm

次に例を示します。

srvctl status asm
ASM is running on node1,node2, node3, node4

注意:

Oracle ASMまたはOracle Net 11gリリース2(11.2)以上のインストールを管理するには、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)のsrvctlバイナリを使用します。Oracle Real Application ClustersまたはOracle Databaseがインストールされている場合は、データベース・ホームのsrvctlバイナリを使用してOracle ASMまたはOracle Netを管理することはできません。