Oracle Databaseのアップグレード後に必要な作業
アップグレードの完了後、現在の環境に対して指定されたこれらの必要な作業を確認して完了します。
Oracle Databaseをアップグレードした後で、次のアップグレード後タスクを実行する必要があります。これらのタスクは手動でアップグレードを実行した場合も、Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用してアップグレードした場合でも実行する必要があります。
- 手動アップグレード後のLinuxおよびUNIXシステム上での環境変数の設定
Oracle Databaseの手動アップグレードを実行した場合、必要とされるオペレーティング・システムの環境変数が、新しいOracle Databaseリリースのディレクトリを指していることを確認する必要があります。 - すべての無効なオブジェクトの再コンパイル
データベースのインストール、パッチ適用またはアップグレードを行った後には、utlrp.sql
スクリプトを実行し、無効なオブジェクトを識別して再コンパイルすることをお薦めします。 - マルチテナント・アーキテクチャ・データベースのすべての無効なオブジェクトの再コンパイル
マルチテナント・アーキテクチャOracle Databaseでは、アップグレード後に、catcon
Perlスクリプトを使用して無効なオブジェクトを再コンパイルすることをお薦めしています。 - 無効なオブジェクトの再コンパイルの進行状況の追跡
これらのSQL問合せを使用して、utlrp.sqlスクリプトによる無効なオブジェクトの再コンパイルの進行状況を追跡します。 - Oracle Databaseのアップグレード後のOPatchコマンドの実行
Oracle Databaseをアップグレードした後で、新しいOracleホームからOPatchコマンドを実行する必要があります。 - Oracle Databaseのアップグレード後にoratabおよびスクリプトが新しいOracleの場所を指すようにするための設定
新しいOracleホームの場所を指すようにスクリプトを設定する必要があります。 - PL/SQLパッケージおよび依存プロシージャの確認
以前のリリースのOracle Databaseにインストールしていたパッケージは、新しいリリースで自動的にアップグレードされない可能性があり、その場合アプリケーションに影響します。 - Oracle管理タイプに依存する表のアップグレード
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle管理タイプに依存するユーザー表を手動でアップグレードする必要があります。 - 新しい拡張データ型機能の有効化
システムで新しい拡張データ型を利用できるようにするには、特定のアップグレード操作が必要です。 - パラレル実行サーバーの最大値および最小値の調整
現在の環境に応じて、PARALLEL_MIN_SERVERSのデフォルト設定を調整する必要があります。 - Oracle Databaseのアップグレード後のリカバリ・カタログ・アップグレードの概要
RMANクライアントで要求されるバージョンより古いリカバリ・カタログ・スキーマを使用している場合、それをアップグレードする必要があります。 - Oracle Databaseのアップグレード後のタイムゾーン・ファイルのバージョンのアップグレード
データベースのアップグレードを完了した後、アップグレード前情報ツールによってタイムゾーン・ファイルをアップグレードするよう指示された場合は、DBMS_DST
PL/SQLパッケージを使用してタイムゾーン・ファイルをアップグレードします。 - Oracle Databaseのアップグレード後のDBMS_STATSパッケージで作成された統計表のアップグレード
DBMS_STATS.CREATE_STAT_TABLE
プロシージャを使用して統計表を作成した場合、DBMS_STATS.UPGRADE_STAT_TABLE
を実行してそれらの表をアップグレードします。 - Oracle Databaseのアップグレード後の外部認証されたSSLユーザーのアップグレード
Oracle9iリリース2 (9.2)またはOracle Database 10gリリース1 (10.1)からのアップグレード時に、外部認証されたSSLユーザーを使用している場合は、SSL外部ユーザー変換(extusrupgrade
)スクリプトを実行してそれらのユーザーをアップグレードする必要があります。 - Oracle XML DBに対するFTPとHTTPのポートおよびHTTP認証の構成
Database Creation Assistant (DBCA)では、Oracle Database 12cのOracle XML DBのポートは構成されません。 - Oracle Databaseのアップグレード後のOracle Textが提供するナレッジ・ベースのインストール
Oracle Textに対するユーザー拡張をアップグレード後に再生成します。 - AUTO_LEXERを使用したOracle Text索引の再構築
Oracle Database 12cより前のリリースからOracle Textをアップグレードする場合、このトピックを参照してください。 - Oracle Databaseのアップグレード後のOracle Application Express構成の更新
Oracle Application Expressのリリースとデータベースのインストール・タイプによっては、Oracle Application Expressがアップグレード手順に影響します。 - 外部ネットワーク・サービスへのアクセス制御リスト(ACL)の構成
Oracle Database 12cには、UTL_TCP
、UTL_SMTP
、UTL_MAIL
、UTL_HTTP
またはUTL_INADDR
パッケージに対するファイングレイン・アクセス制御が含まれています。 - Oracle Databaseアップグレード後のOracle Database Vaultの有効化
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Database Vaultを無効にせずにデータベースをアップグレードできるようになりました。ただし、Oracle Database Vaultを無効にした場合はアップグレード後に手動で有効にする必要があります。 - SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSIONパラメータの動作の確認
10gより前のリリースのクライアントからのOracle Databaseに対する接続は、ORA-28040: 「一致する認証プロトコルがありません」というエラーによって失敗します。
親トピック: Oracle Databaseのアップグレード後の作業
手動アップグレード後のLinuxおよびUNIXシステム上での環境変数の設定
Oracle Databaseの手動アップグレードを実行した場合、必要とされるオペレーティング・システムの環境変数が、新しいOracle Databaseリリースのディレクトリを指していることを確認する必要があります。
クラスタ・データベースをアップグレードしている場合は、そのクラスタ・データベースのインスタンスが構成されているすべてのノードでこれらを確認してください。
次の環境変数が新しいOracleホームのディレクトリを指していることを確認します。
-
ORACLE_HOME
-
PATH
注意:
DBUAでは、自動的にOracle環境変数に対して必要な変更が行われます。
参照:
-
Oracle Databaseに対する環境変数の設定の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください
-
Oracle Databaseの単一インスタンスOracle Databaseに影響する他の環境変数の設定の詳細は、ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください
-
Oracle Real Application ClustersのOracle Databaseと、Oracle Grid Infrastructureクラスタに対する他のデプロイメントに影響する他の環境変数の設定の詳細は、ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください
すべての無効なオブジェクトの再コンパイル
データベースのインストール、パッチ適用またはアップグレードの後にutlrp.sql
スクリプトを実行し、無効なオブジェクトを特定して再コンパイルすることをお薦めします。
utlrp.sql
スクリプトは、すべての無効なオブジェクトを再コンパイルします。インストールの直後にスクリプトを実行して、ユーザーが無効なオブジェクトにアクセスしないようにしてください。
utlrp.sql
スクリプトは、無効なオブジェクトの数と使用可能なCPUの数の両方に基づいて、シリアル再コンパイルまたはパラレル再コンパイルで無効なオブジェクトを自動的に再コンパイルします。CPUは、CPUの数(cpu_count)にCPUごとのスレッドの数(parallel_threads_per_cpu)を乗じて計算されます。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)では、すべてのOracle RACノード全体でこの数が追加されます。
マルチテナント・アーキテクチャ・データベースでのすべての無効なオブジェクトの再コンパイル
マルチテナント・アーキテクチャOracle Databaseでは、アップグレード後にcatcon
Perlスクリプトを使用して無効なオブジェクトを再コンパイルすることをお薦めしています。
catcon.pl
ユーティリティを使用して、使用しているコンテナ・データベース(CDB)のすべてのコンテナでutlrp.sql
を実行します。
catcon.pl
スクリプトは、$ORACLE_HOME/rdbms/admin
ディレクトリからutlrp.sqlを実行します。このスクリプトは、残りのすべてのストアドPL/SQLおよびJavaコードを再コンパイルします。
例4-1 CATCONユーティリティを使用した、CDBのすべてのコンテナに対するutlrp.sqlスクリプトの実行
$ORACLE_HOME/perl/bin/perl catcon.pl -n 1 -e -b utlrp -d '''.''' utlrp.sql
この使用例では次の点に注意してください。
-
-n
パラメータは1に設定されているため、各PDBの再コンパイルは順番に実行されます。 -
PDBのシリアル再コンパイルが完了するまでの時間の遅延を予期してください。アップグレードするPDBの数によっては、再コンパイルは、アップグレード・スクリプトの完了に要する時間を大幅に超えて延長される可能性があります。
無効なオブジェクトの再コンパイルの進行状況の追跡
これらのSQL問合せを使用して、utlrp.sqlスクリプトによる無効なオブジェクトの再コンパイルの進行状況を追跡します。
utlrp.sql
スクリプトを実行して無効なオブジェクトを再コンパイルすることをお薦めします。SQL問合せを実行してスクリプトを監視できます。
例4-2 残っている無効なオブジェクトの数
次の問合せを入力すると、残っている無効なオブジェクトの数が返されます。この数は、utlrp.sql
スクリプトの実行につれて時間とともに減少します。
SELECT COUNT(*) FROM obj$ WHERE status IN (4, 5, 6);
例4-3 再コンパイルされたオブジェクトの数
次の問合せを入力すると、utlrp.sqlによってコンパイルされたオブジェクトの数が返されます。この数は、スクリプトの実行につれて時間とともに増加します。
SELECT COUNT(*) FROM UTL_RECOMP_COMPILED;
例4-4 エラー付きで再コンパイルされたオブジェクトの数
次の問合せを入力すると、utlrp.sql
によってエラー付きでコンパイルされたオブジェクトの数が返されます。
select COUNT(DISTINCT(obj#)) "OBJECTS WITH ERRORS" from utl_recomp_errors;
この数が予想より多い場合、各オブジェクトでレポートされたエラー・メッセージを確認してください。エラーの原因がシステムの間違った構成やリソース制約にある場合、それらのエラーの原因を修正してutlrp.sql
を再度実行します。
Oracle Databaseのアップグレード後のOPatchコマンドの実行
Oracle Databaseをアップグレードした後で、新しいOracleホームからOPatchコマンドを実行する必要があります。
OPatchは、Oracle Universal Installerを使用してインストールするJavaベースのユーティリティです。Opatchはプラットフォームに依存します。サポートされているすべてのオペレーティング・システム上で実行されます。スタンドアロンOPatchと呼ばれる別のバージョンのOPatchも使用できます。これは、Oracle Universal Installerを使用せずにOracleホームで実行されます。
パッチとは、既存のインストールにコピーされる小型のファイル・コレクションです。パッチはOracle製品の特定のバージョンに関連付けられています。インストール済の対応バージョンの製品にパッチを適用すると、製品のバージョンがアップグレードされます。
Oracle Databaseインベントリを確認するためのOPatchの実行
Oracleインストレーション所有者としてログインし、新しいOracleホームからlsinventory
コマンドを実行します。このコマンドは、使用しているシステムにインストールされているOracleソフトウェアの正確かつ完全なインベントリを生成します。
opatch lsinventory –patch
個別パッチの取得
オラクル社では、不具合または一連の不具合を修正するために個別パッチを頻繁にリリースします。個別パッチはMy Oracle SupportでパッチIDを指定して取得できます。
Oracle Databaseのアップグレード後にoratabおよびスクリプトが新しいOracleの場所を指すようにするための設定
新しいOracleホームの場所を指すようにスクリプトを設定する必要があります。
Oracle Databaseを新しいリリースにアップグレードした後に、oratab
ファイルおよびORACLE_HOME
値を設定するすべてのクライアント・スクリプトが、新しいOracle Database 12cリリース用に作成された新しいOracleホームを指していることを確認する必要があります。DBUAでは、oratab
ファイルは自動的に新しいOracleホームを指します。ただし、クライアント・スクリプトは、アップグレードに使用する方法にかかわらず確認する必要があります。
参照:
オペレーティング・システムの環境変数の設定の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
PL/SQLパッケージおよび依存プロシージャの確認
以前のリリースのOracle Databaseにインストールしていたパッケージは、新しいリリースで自動的にアップグレードされない可能性があり、その場合アプリケーションに影響します。
アップグレード後に、独自のスクリプトで使用していたパッケージまたは独自のスクリプトからコールしていたパッケージがすべて新しいリリースで使用できることを確認してください。パッケージに依存するプロシージャのテストは、アップグレード計画に含まれる必要があります。
データベース・アプリケーションのコードは、接続先データベースのオブジェクトを参照できます。たとえば、Oracle Call Interface(OCI)およびプリコンパイラ・アプリケーションは無名PL/SQLブロックを発行できます。Oracle Formsアプリケーションのトリガーは、スキーマ・オブジェクトを参照できます。これらのアプリケーションは、参照しているスキーマ・オブジェクトに依存しています。依存性管理の方法は開発環境によって異なります。Oracle Databaseでは、アプリケーションの依存性が自動的に追跡されることはありません。
Oracle管理タイプに依存する表のアップグレード
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上では、Oracle管理タイプに依存するユーザー表を手動でアップグレードする必要があります。
Oracle管理タイプに依存するユーザー表(AQキュー表など)がデータベースに含まれる場合、アップグレード後にutluptabdata.sql
コマンドを実行して、Oracle管理タイプの変更の影響を受けるすべてのユーザー表に対してALTER TABLE UPGRADEを実行します。この動作変更によって、ユーザー表は、アップグレード中に読取り専用状態のままになります。ユーザーは、SYSDBAとしてアプリケーションにログインし、Oracle管理タイプに依存するアプリケーション表を変更することができなくなります。
データベース・アップグレードの後にアップグレードする必要がある表を特定するには、SYSDBAとして接続し、次の問合せを実行します。
COLUMN owner FORMAT A30
COLUMN table_name FORMAT A30
SELECT DISTINCT owner, table_name
FROM dba_tab_cols
WHERE data_upgraded = 'NO'
ORDER BY 1,2;
この問合せによって、UPGRADEDとしてリストされないすべての表が示されます。ただし、utluptabdata.sql
スクリプトは、Oracle管理タイプに依存する表のみをアップグレードします。問合せによって表がリストされた場合、utluptabdata.sql
スクリプトを実行して依存ユーザー表にALTER TABLE UPGRADEコマンドを実行し、これらのOracle管理タイプをそのタイプの最新バージョンにアップグレードします。
utluptabdata.sql
スクリプトは、Oracle管理タイプに依存するすべての表を変更できる権限を持つユーザー・アカウントか、またはSYSDBAとしてログインしているSYSDBAシステム権限を付与されたユーザーを使用して実行する必要があります。
パラメータSERVEROUTPUTがON
に設定されている場合、utluptabdata.sql
スクリプトによって、アップグレードされたすべての表の名前が表示され、表のアップグレード中に発生したエラーがリストされます。次のコマンドを実行すると、サーバー出力がON
に設定されます。
SET SERVEROUTPUT ON
@utluptabdata.sql
新しい拡張データ型機能の有効化
システムで新しい拡張データ型を利用できるようにするには、特定のアップグレード操作が必要です。
Oracle Database 12cでは、SQLのVARCHAR2
、NVARCHAR2
およびRAW
データ型の最大サイズを制御するMAX_STRING_SIZE
が導入されました。MAX_STRING_SIZE = EXTENDED
を設定することで、Oracle Database 12cで導入された32767バイト制限が有効になります。
MAX_STRING_SIZE = EXTENDED
を設定できるようにするには、COMPATIBLE
初期化パラメータを12.0.0.0
以上に設定する必要があります。
注意:
MAX_STRING_SIZE
の値はSTANDARD
からEXTENDED
に変更できます。ただし、MAX_STRING_SIZE
の値をEXTENDED
からSTANDARD
には変更できません。MAX_STRING_SIZE = EXTENDED
を設定することは、データベースでアプリケーションの非互換性が発生する可能性がある設定を明示的に指定することになります。
参照:
MAX_STRING_SIZE
の推奨事項および手順などの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
パラレル実行サーバーの最大値および最小値の調整
現在の環境に応じて、PARALLEL_MIN_SERVERSのデフォルト設定を調整する必要があります。
Oracle Database 12cでは、PARALLEL_MIN_SERVERS
のデフォルトが0
からご使用のハードウェア・プラットフォームに応じた値に変更されており、パラレル実行に必要な最低限のサポートが提供されます。新しいデフォルト設定が現在の環境に対して大きすぎる場合、要件に応じて設定を調整してください。PARALLEL_MAX_SERVERS
のデフォルトは変更されていません。以前の環境のデフォルトのまま変更されていない場合、追加の操作を実行する必要はありません。
参照:
PARALLEL_MIN_SERVERS
の詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
Oracle Databaseのアップグレード後のリカバリ・カタログ・アップグレードの概要
RMANクライアントで要求されるバージョンより古いリカバリ・カタログ・スキーマを使用している場合、そのカタログをアップグレードする必要があります。
参照:
-
RMANリカバリ・カタログの管理の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
-
リカバリ・カタログのアップグレードおよび
UPGRADE CATALOG
コマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください
Oracle Databaseのアップグレード後のタイムゾーン・ファイルのバージョンのアップグレード
データベースのアップグレードを完了した後、アップグレード前情報ツールによってタイムゾーン・ファイルをアップグレードするよう指示された場合は、DBMS_DST
PL/SQLパッケージを使用してタイムゾーン・ファイルをアップグレードします。
Oracle Databaseでは、複数のバージョンのタイムゾーン・ファイルを提供しています。各タイムゾーン・ファイルに関連付けられた2つのタイプのファイルがあり、1つはデータベースに定義されたすべてのタイムゾーンを含む大きいファイルで、1つは最も一般的に使用されるタイムゾーンのみを含む小さいファイルです。大きいバージョンは、timezlrg_version_number.dat
という名前です。小さいバージョンは、timezone_version_number.dat
という名前です。ファイルは、Oracle Databaseホーム・ディレクトリ下のoracore/zoneinfo
サブディレクトリにあります。
Oracle Databaseのアップグレード後のDBMS_STATSパッケージで作成された統計表のアップグレード
DBMS_STATS.CREATE_STAT_TABLE
プロシージャを使用して統計表を作成した場合、DBMS_STATS.UPGRADE_STAT_TABLE
を実行してそれらの表をアップグレードします。
次の例で、green
は統計表の所有者で、STAT_TABLE
は統計表の名前です。
EXECUTE DBMS_STATS.UPGRADE_STAT_TABLE('green', 'stat_table');
各統計表にこのプロシージャを実行します。
参照:
DBMS_STATSパッケージの詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。
Oracle Databaseのアップグレード後の外部認証されたSSLユーザーのアップグレード
Oracle9iリリース2 (9.2)またはOracle Database 10gリリース1 (10.1)からのアップグレード時に、外部認証されたSSLユーザーを使用している場合は、SSL外部ユーザー変換(extusrupgrade
)スクリプトを実行してそれらのユーザーをアップグレードする必要があります。
extusrupgrade
スクリプトの構文は次のとおりで、ORACLE_HOME
はOracle Databaseホーム、hostname
はデータベースが実行されているホストの名前、port_no
はリスナーのポート番号、sid
はデータベース・インスタンスのシステム識別子、db_admin
はユーザー・アカウントを変更する権限を持つデータベース管理ユーザーです。
ORACLE_HOME/rdbms/bin/extusrupgrade --dbconnectstring
hostname:port_no:sid --dbuser db_admin --dbuserpassword
password -a
次に例を示します。
extusrupgrade --dbconnectstring dlsun88:1521:10gR2 --dbuser system --dbuserpassword manager -a
注意:
Oracle Database 10gリリース2 (10.2)以上のリリースからアップグレードしている場合は、extusrupgrade
スクリプトを実行する必要はありません。
参照:
extusrupgrade
スクリプトの詳細は、『Oracle Databaseエンタープライズ・ユーザー・セキュリティ管理者ガイド』を参照してください
Oracle XML DBに対するFTPとHTTPのポートおよびHTTP認証の構成
Database Creation Assistant (DBCA)では、Oracle Database 12cのOracle XML DBのポートは構成されません。
ポートを構成する場合、改善されたセキュリティ機能を利用するために、Oracle XML DB Repositoryへのアクセス用にHTTPの認証も構成することをお薦めします。
Oracle Database 12c以上では、ダイジェスト認証のサポートを提供することによって、データベースのセキュリティが向上しました。ダイジェスト認証は、HTTPプロトコルで一般に使用され、ほとんどのHTTPクライアントでサポートされている業界標準のプロトコルです。ほとんどのHTTPクライアントではこれがサポートされています。ダイジェスト認証により、暗号化(HTTPS)接続が使用されない場合でも、パスワードが常にセキュアな方法で送信されます。ダイジェスト認証をサポートすることによって、組織では、パスワードの漏えいを心配することなくOracle XML DB HTTPを使用するアプリケーションをデプロイできます。Oracle XML DBでのダイジェスト認証のサポートでは、Oracle XML DB HTTPサーバーとMicrosoft Web Folders WebDAVクライアントとの互換性も引き続き維持されます。
新しいリリースのインストールまたはアップグレード後に、次のようにOracle XML DBのFTPおよびHTTPポートを手動で構成する必要があります。
-
DBMS_XDB_CONFIG.setHTTPPort
(HTTPポート番号
)を使用して、Oracle XML DBのHTTPポートを設定します。SQL> exec DBMS_XDB_CONFIG.setHTTPPort(port_number);
-
DBMS_XDB_CONFIG.setFTPPort
(FTPポート番号
)を使用して、Oracle XML DBのFTPポートを設定します。SQL> exec DBMS_XDB_CONFIG.setFTPPort( port_number);
注意:
手順内のFTPおよびHTTPで使用するポート番号は、
DBMS_XDB_CONFIG.getFTPPort
およびDBMS_XDB_CONFIG.getHTTPPort
をそれぞれ使用することによって問い合せることができます。 -
使用されているすべてのポート番号を確認するには、
DBMS_XDB_CONFIG.usedport
を問い合せます。
参照:
FTP、HTTP、HTTPSおよびWebDAVプロトコルを使用したOracle XML DB Repositoryのデータへのアクセスの詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。
Oracle Databaseのアップグレード後のOracle Textが提供するナレッジ・ベースのインストール
Oracle Textに対するユーザー拡張をアップグレード後に再生成します。
Oracle Textナレッジ・ベースに対してユーザーが拡張した項目は、アップグレード後に再生成する必要があります。これらの変更は、指定されたOracleホームにインストールされているすべてのデータベースに影響します。
Oracle Textが提供するナレッジ・ベースはOracle Database 12cの付属製品の一部ですが、Oracle Database 12cへのアップグレード後すぐに使用できるようにはなっていません。アップグレード前には使用可能であったナレッジ・ベースに依存するOracle Textの機能は、アップグレード後には機能しなくなります。これらの機能を再度使用可能にするには、Oracle Textナレッジ・ベースをインストール・メディアからインストールする必要があります。
参照:
-
Oracle Textナレッジ・ベースの詳細は、『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
-
付属製品については、『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください
AUTO_LEXERを使用したOracle Text索引の再構築
Oracle Database 12cより前のリリースからOracle Textをアップグレードする場合、このトピックを参照してください。
Oracle Database 12cリリース1へのアップグレード完了後に、AUTO_LEXERを使用して作成されたOracle Text索引を使用する場合、問合せを動作させるには、索引を再構築する必要があります。
また、BASIC_LEXERセットの次のINDEX_STEMSタイプを持つ索引を再構築する必要があります。
-
ARABIC
-
BOKMAL
-
CATALAN
-
CROATIAN
-
CZECH
-
DANISH
-
ERIVATIONAL_NEW
-
DUTCH_NEW
-
ENGLISH_NEW
-
FINNISH
-
FRENCH_NEW
-
GERMAN_NEW
-
GREEK
-
HEBREW
-
HUNGARIAN
-
ITALIAN_NEW
-
NYNORSK
-
POLISH
-
PORTUGUESE
-
ROMANIAN
-
RUSSIAN
-
SERBIAN
-
SLOVAK
-
SLOVENIAN
-
SPANISH_NEW
-
SWEDISH
Oracle Databaseのアップグレード後のOracle Application Express構成の更新
Oracle Application Expressのリリースとデータベースのインストール・タイプによっては、Oracle Application Expressがアップグレード手順に影響します。
アップグレードするOracle DatabaseリリースにOracle Application Expressリリース3.2以上が含まれる場合、Oracle Database 12cへのアップグレード後に追加構成を実行する必要はありません。ただし、Oracle Application Expressがレジストリに存在し、Oracle Application Expressがアップグレードに含まれる場合、open_cursorsパラメータを200以上に設定します。
アップグレードするOracle DatabaseがOracle Express Editionデータベースであり、以前のリリースのOracle Application Expressが含まれる場合、アップグレード中に自動的に最新リリースがインストールされます。新しいOracle Database 12cと併用するために、インストール後の一連のステップを実行して、Application Expressを構成する必要があります。
データベースがOracle Express Editionデータベースの場合、Oracle Express Edition環境に応じて調整されたOracle Application Expressの以前のリリースが含まれています。
参照:
-
Oracle Application Expressのインストール後の作業の詳細は、『Oracle Application Expressインストレーション・ガイド』を参照してください。
-
Oracle Express EditionとOracle Application Express間の相違点の詳細は、
http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/apex/overview/index.html
を参照してください
外部ネットワーク・サービスへのアクセス制御リスト(ACL)の構成
Oracle Database 12cには、UTL_TCP
、UTL_SMTP
、UTL_MAIL
、UTL_HTTP
またはUTL_INADDR
パッケージに対するファイングレイン・アクセス制御が含まれています。
これらのパッケージを使用するアプリケーションがある場合、Oracle Databaseのアップグレード後に、データベースのネットワーク・アクセス制御リスト(ACL)を構成してから、これらのパッケージを前のリリースと同様に動作させる必要があります。ACLがない場合、エラー「ORA-24247: アクセス制御リスト(ACL)によりネットワーク・アクセスが拒否されました」でアプリケーションが失敗する可能性があります。
参照:
一部のユーザーはホストAに接続し、別のユーザーはホストBに接続するなど、より複雑な状況については、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
Oracle Databaseのアップグレード後のOracle Database Vaultの有効化
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Database Vaultを無効にせずにデータベースをアップグレードできるようになりました。ただし、Oracle Database Vaultを無効にした場合はアップグレード後に手動で有効にする必要があります。
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、Oracle Database Vaultを有効にしてある場合は、Oracle Database Vaultを無効にせずにデータベースをアップグレードできるようになりました。アップグレード後に、アップグレード前に用意した強化設定を使用して、Oracle Database Vaultはデフォルトで有効化されます。
アップグレード前に手動でOracle Database Vaultを無効にした場合は、アップグレード後に手動でOracle Database Vaultを有効にする必要があります。
アップグレード前にOracle Database Vaultを有効にしていなかった場合は、アップグレード後に手動で有効にできます。
プロシージャdvsys.dbms_macadm.enable_dv()
を使用して、アップグレードしたデータベースでOracle Database Vaultを有効にします。このプロシージャは、DV_OWNER
またはDV_ADMIN
のいずれかを付与されたユーザー・アカウントを使用して実行します。プロシージャを実行したら、そのプロシージャを有効にするためにデータベース・インスタンスを再起動します。
SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSIONパラメータの動作の確認
10gより前のリリースのクライアントからのOracle Databaseに対する接続は、ORA-28040: 「一致する認証プロトコルがありません」というエラーによって失敗します。
Oracle Database 12c以上では、SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSIONパラメータのデフォルト値は、8から11に変更されています。このパラメータの使用は非推奨になりました
SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSIONは、現在、SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERおよびSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_CLIENTパラメータに置き換えられています。アップグレードしたデータベースでSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERパラメータを明示的に設定していない場合、10gより前のリリースのクライアントからの接続は、ORA-28040: 「一致する認証プロトコルがありません」というエラーによって失敗します。セキュリティ強化のため、データベース・ユーザーのパスワード検証機能を確認し、SQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVERおよびSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_CLIENTパラメータを設定して正しいパスワード検証機能を使用するようにデータベースを構成します。
既存のデータベースにパスワードで保護されたロール(セキュア・ロール)があり、11のデフォルトのSQLNET.ALLOWED_LOGON_VERSION_SERVER
設定でOracle Database 12cにアップグレードする場合、そのセキュア・ロールに含まれるのはリリース10gの検証機能のみであるため、アップグレード後もセキュア・ロールが使用可能な状態になるように、管理者は各セキュア・ロールのパスワードをリセットする必要があります。
参照:
-
パスワードのセキュリティの脅威から守る方法の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。
-
ユーザーのパスワード・バージョンの設定の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。