次の項では、OMSログ・ファイルの検索方法と構成方法について説明します。
OMSのログ・ファイルとトレース・ファイルには、Oracleサポートが問題の解決に使用できる重要な情報が格納されます。OMSでは次の6種類のログ・ファイルが使用されます。
管理サービスは、アクション(起動または停止)の実行時やエラーの生成時に、情報をログ・ファイルに保存します。これは、コンソール・アプリケーションのログ・ファイルです。
Oracle Management Serviceトレース・ファイル(emoms.trc
)
OMSトレース・ファイルは、特定の問題の発生時にOMSがどのアクションを実行していたかに関する詳細情報をサポート担当者に提供できる高度なトラブルシューティングの方法を提供します。これは、コンソール・アプリケーションのトレース・ファイルです。
Oracle Management Serviceログ・ファイル(emoms_pbs.log
)
管理サービスは、バックグラウンド・モジュール(ローダー、ジョブ・システム、イベント・システム、通知システムなど)のために、情報をこのログ・ファイルに保存します。このファイルには、ERRORまたはWARNレベルでロギングされたメッセージが含まれます。
Oracle Management Serviceトレース・ファイル(emoms_pbs.trc
)
このトレース・ファイルは、ローダー、ジョブ・システム、イベント・システム、通知システムなどのバックグラウンド・モジュールでDEBUGまたはINFOレベルのロギングが有効になっている場合に、これらのモジュールに追加のロギングを提供します。このファイルは、特定の問題が発生した際にこれらのモジュールで実行されていたアクションについて、サポート担当者により詳しい情報を提供できます。
Enterprise Manager Controlログ・ファイル(emctl.log
)
Enterprise Manager Controlコマンドを実行すると、情報はemctl.log
ファイルに保存されます。emctl.logファイルの詳細は、「Enterprise Managerコンポーネントの起動および停止」の章を参照してください。
Enterprise Managerコントロール・メッセージ・ファイル(emctl.msg)
このファイルは、OMSがクリティカル・エラーのために再起動されるときに、OMSのHealthMonitorスレッドにより作成されます。このファイルはOMSの再起動の問題のトラブルシューティングに使用されます。OMSが再起動した正確な時間や、クラッシュの原因となったモジュールなどの情報を提供します。
OMSインスタンス・ベースのディレクトリはOracle Middlewareホーム(ミドルウェア・ホーム)のgc_inst
です。このディレクトリにはOMS 12cに関連するすべてのログとトレース・ファイルが格納されます。
これは、必要に応じてインストーラで変更することもできます。
たとえば、ミドルウェア・ホームが/u01/app/Oracle/Middleware/
の場合、インスタンス・ベースの場所は/u01/app/Oracle/gc_inst
です。これは、必要に応じてインストーラで変更することもできます。ただし、これは拡張インストールでは変更できますが、簡易インストールでは変更できません。
OMSのログ・ファイルおよびトレース・ファイルのサイズは、情報がファイルに書き込まれるにつれて大きくなります。ただし、ファイルは最大サイズに達するように設計されています。ファイルが事前定義済の最大サイズに達すると、OMSはログ情報の名前を新しいファイル名に変更し(ロール)、新しいログ・ファイルやトレース・ファイルを開始します。このプロセスにより、ログ・ファイルやトレース・ファイルのサイズが大きくなりすぎることはありません。
そのため、OMSログ・ディレクトリに複数のログ・ファイルとトレース・ファイルがある場合が多くなります。次の例は、/u01/app/Oracle/gc_inst/em/EMGC_OMS1/sysman/log/
ディレクトリの1つのアーカイブ・ログ・ファイルと現在のログ・ファイルを示しています。
emoms.log emoms.log.1
OMSのログ・ファイルおよびトレース・ファイルの最大サイズと、ロールオーバー・ファイルの数を制御するには、次のコマンドを実行して、「Oracle Management Serviceのログ・ファイルおよびトレース・ファイルのサイズと数の制御」の説明に従い詳細を指定します。
emctl set property -name <property> -value <property value> -module logging
前述のコマンドはすべてのOMSに対するプロパティを設定します。これを1つのOMSに設定する場合、次のように追加のオプション-oms_name
を指定します。
emctl set property -name <name> -value <value> -module logging -oms_name example.myco.com:portnumber_Management_Service
これを現在のOMSに設定するには、プロパティ-oms_name local_omsを使用します。これを別のOMSに設定するには、そのOMSの名前を指定できます。OMS名はexample.myco.com:portnumber_Management_Service
と同様であることが必要です。
注意:
Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12cでは、変更を有効にするためにOMSを再起動する必要はありません。
注意:
Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12cでは、デフォルトでemctl set property
はすべてのOMSに対しロギング・プロパティを設定します。1つのOMSに対するプロパティを設定するには、-oms_name
オプションを使用します。
表28-3 emomslogging.propertiesファイルのOracle Management Serviceのログ・ファイル・プロパティ
プロパティ | 目的 | 例 |
---|---|---|
OMSログ・ファイルがこのサイズに達すると、OMSはログ・データを新しいロールオーバー・ファイルにコピーして新しい |
log4j.appender.emlogAppender.MaxFileSize=20000000 |
|
このオプションのプロパティは、OMSがログ・データを削除する前にログ・ファイルをロールオーバーして新しいファイル名に変更する回数を示します。このプロパティはemoms_pbs.logにも適用可能です。 注意: ログ・ファイルにはトレース・ファイルほどのデータは含まれないため、通常、複数のロールオーバー・ファイルを作成する必要はありません。 |
log4j.appender.emlogAppender.MaxBackupIndex=1 |
|
OMSトレース・ファイルがこのサイズに達すると、OMSはログ・データを新しいロールオーバー・ファイルにコピーして新しい |
log4j.appender.emtrcAppender.MaxFileSize=5000000 |
|
このプロパティは、OMSがトレース・データを削除する前にトレース・ファイルをロールオーバーして新しいファイル名に変更する回数を示します。このプロパティはemoms_pbs.trcにも適用可能です。 |
log4j.appender.emtrcAppender.MaxBackupIndex=10 |
デフォルトでは、OMSはすべてのクリティカル・メッセージと警告メッセージをemoms.trc
ファイルに保存します。ただし、OMSが生成するログ情報量を調整できます。
OMSで生成されるログ情報量を変更するには、次のコマンドを実行します。
emctl set property -name "log4j.rootCategory" -value "<LEVEL>, emlogAppender, emtrcAppender" -module logging
前述のコマンドは、-oms_name option
が指定されていないかぎり、すべてのOMSのログ・レベルを変更します。
注意:
emoms.trc
ファイルのルート
・ログ・レベルを変更する場合、多くのメッセージがトレース・ファイルに書き込まれるため領域はすぐに一杯になり、システムが停止する可能性があります。次のコマンドを実行して、評価する必要のある特定のモジュールを選択してデバッグを有効にします。
emctl set property -name <logging module> -value DEBUG -module logging
<logging module>
は、特定のサブシステムのログ・モジュールを表します。
たとえば、oracle.sysman.emdrep.dbjava.loader
などになります。
次のコマンドを実行して、特定のモジュールのロギング・レベルを変更できます。
emctl set property -name "<CATEGORY>" -value "<LEVEL>" -module logging
LEVELにはDEBUG、INFO、WARNまたはERRORを指定でき、CATEGORYはレベルを変更するモジュールに固有です。ロギング・モジュールを変更する場合は、Oracleサポートに連絡してください。
注意:
emoms.trc、emoms.log、emoms_pbs.trcおよびemoms_pbs.logファイルの場所は、デフォルトの場所から別の場所に変更できます。しかし、それはお薦めしません。
Oracle Management Serviceは、Oracle WebLogic ServerにデプロイされるJava EEアプリケーションです。Oracle WebLogic Serverの各種コンポーネントにより、各自のログ・ファイルが生成されます。これらのファイルには、後にサポート担当者が問題の解決に使用できる重要な情報が含まれます。
表28-4は、一部のコンポーネントのログ・ファイルの場所を示しています。
表28-4 コンポーネントのログ・ファイルの場所
コンポーネント | 場所 |
---|---|
Oracle HTTP Server(OHS) |
次に例を示します。
|
OPMN |
次に例を示します。 |
Oracle WebLogic |
WebLogicのログ・データは次の場所にあります。
このログは、サイズ、時間およびWeblogicコンソールのその他の条件によって制限およびローテーションできます。デフォルト設定は次のとおりです。
次に例を示します。
sysoutおよびsyserrに書き込まれるメッセージは、.outファイルで入手できます。サイズまたは時間ではローテーションできません。サーバーの起動時にのみローテーションされます。次の場所にあります。
次に例を示します。
ノード・マネージャのログは |
Enterprise Manager Cloud Controlでは、デフォルトで、新しいファイルに定期的にロールオーバーするようにOracle HTTP Serverのログを構成するため、各ファイルのサイズが大きくなりすぎることはありません。ディスク領域を確保するために古いロールオーバー・ファイルを定期的に削除することも必要です。UNIXのcronと同様に、オペレーティング・システムのスケジューラを使用してロールオーバー・ファイルを定期的に削除できます。
注意:
メンテナンスおよび手動でのパージを必要とするログ・ファイルは次のとおりです。
<gc_inst>/user_projects/domains/<domain_name>/servers/EMGC_ADMINSERVER/logs/<domain_name>.log*
<gc_inst>/user_projects/domains/<domain_name>/servers/ohs1/logs
にあるすべてのファイル。次に例を示します。
em_upload_http_access_log.* access_log.* em_upload_https_access_log.* ohs1-*.log console~OHS~1.log* mod_wl_ohs.log*
これらのログ・ファイルのサイズおよびローテーションの制御手順については、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の「ログ・ファイルと診断データの管理」を参照してください。
Fusion Applications PL/SQLおよびC診断ログ・ファイルを表示するようにEnterprise Managerを構成する方法については、Oracle Fusion Applicationsの管理者ガイドの「Oracle Fusion Applicationのログ・ファイルと診断テストの管理」を参照してください。