プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Enterprise Manager Cloud Control拡張プログラマーズ・ガイド
13cリリース2
E92081-01
目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
前へ
次

4 エンタープライズ構成管理について

この章では、エンタープライズ構成管理およびエンタープライズ構成管理フレームワークの概要について説明します。

この章の構成は、次のとおりです。

4.1 エンタープライズ構成管理の概要

エンタープライズ構成管理を使用するとターゲットから構成情報を収集できますが、これは、大規模でまれにしか変化しない、重要な構造を持つ情報の集合であると特徴付けられます。このような集合は、通常の(パフォーマンス)メトリックと比較してまれにしか収集されません。

構成データが影響を受けるのは、管理者がシステムに対し、パッチのインストールやなんらかの点でのターゲットの再構成といった変更を明示的に実施する場合のみです。実行中のシステムによって開始された変更が原因となる場合を除き、管理者による明示的な操作なしで構成データを変更しないでください。構成データの収集は最大で1日1回行われ、通常は前回の収集時とまったく同じデータが生成されます。

構成データの例としては、システムにおける構成済プロセスの最大数や使用可能なディスク領域の最大サイズなどがあげられます。非構成データの例としては、システムにおける現在のプロセス数や使用済ディスク領域と空きディスク領域の現在のサイズなどがあげられます。

エンタープライズ構成管理には、次のような様々な機能があります。

  • 比較的多量の関連構成データの低頻度(デフォルト、日次)収集

  • 構成情報のオンデマンド・リフレッシュおよび(ジョブによる)スケジュールされたリフレッシュ

  • ターゲット間でどの程度異なるかを検出するための構成の比較。ユーザーは、比較テンプレートによって比較をカスタマイズできます。

  • 後で表示、比較、構成に関連するその他の操作を行うために、保存済スナップショットとして構成を管理リポジトリに保存すること。

  • 構成をファイルにエクスポートしたり、エクスポートされたファイルを保存済スナップショットとしてEnterprise Managerにインポートしなおすこと。これは、構成スナップショットをサード・パーティ・システムでアーカイブしたり、あるリポジトリから別のリポジトリに(たとえば、構成スナップショットをOracleサポートに)転送するのに使用できます。

  • 履歴変更トラッキング。新しい構成が管理リポジトリに挿入されると、同じターゲットの古い構成との比較により、構成情報で変更された内容が明らかになります。これらの変更は、構成情報の履歴の一部として格納されます。エンドユーザーは、この履歴を表示および検索できる他、特定の変更が発生したときに通知されるようサインアップできます。

  • 企業内またはターゲットのサブセット(たとえば、グループ内)での、すべての構成情報にわたる強力な検索。

  • 関連ターゲットにアソシエーション(関係)の収集をトリガーすること。

  • コンプライアンスのルールおよび標準の基礎を提供すること。これらのルールおよび標準は、エンタープライズ構成管理データで実施されます。

4.2 構成について

エンタープライズ構成管理では、構成スナップショットの集合として構成を収集します。構成スナップショットは、パフォーマンス・メトリックに関連してまれにしか変化しない情報の大規模な集合です。各構成スナップショットは、Enterprise Managerターゲットに関連付けられます。たとえば、Oracleホーム構成スナップショットは、Oracleホーム・ターゲットに関連付けられます。

スナップショット・タイプは、特定のターゲット・タイプに関連付けられます。たとえば、タイプoracle_home_configの構成スナップショットは、タイプoracle_homeのターゲットに関連付けられます。

注意:

ターゲット・タイプには、複数のスナップショット・タイプを関連付けることができます。たとえば、oracle_homeに他のスナップショット・タイプを関連付け、oracle_home_configによってまだ収集されていない他の構成情報を収集することができます。

ターゲット構成は、多数の収集された構成スナップショットで構成されています。通常、スナップショット収集は、管理エージェントがスケジュール済イベントとして起動すると、自動的に発生します。これらの収集のサイズおよび低頻度の変更率のため、スケジュール・サイクルとして24時間が適切です。エンタープライズ構成管理には、スケジュールに関係なく、新しい構成が必要なときにいつでもトリガーできるオンデマンド・リフレッシュ機能があります。

構成が管理リポジトリに挿入されると、特定のターゲットの以前の構成が置き換えられます。エンタープライズ構成管理では、相違がないか2つの構成を比較し、その相違をターゲットの構成履歴として記録します。変更の正確な時間は不明ですが、タイムスタンプはスケジュール・サイクル(24時間)またはオンデマンド・リフレッシュ内にあります。構成に関連する履歴情報の他、現在の情報も参照できます。

4.2.1 構成の表示および検索

Enterprise Manager UIから、収集された構成を表示し、その構成に対して様々な操作を実行できます。構成はすべて同じ管理リポジトリに記録されるため、すべてのターゲットまたはターゲットのサブセットで構成の検索を実行できます。たとえば、企業内で4つのCPUおよび最低1GBのRAMを持つホストをすべて検索します。

検索機能にアクセスするには、「すべてのターゲット」ページで必要なターゲットを右クリックし、「構成」「検索」の順に選択します。図4-1のような、選択したターゲットの「構成検索ライブラリ」ページが表示されます。構成の検索の詳細は、Cloud Controlオンライン・ヘルプを参照してください。

図4-1 「構成検索ライブラリ」ページ


サンプル・ホストの「構成検索ライブラリ」ページの画面

4.2.2 構成の比較

相違がないか構成を比較できます。たとえば、同じ構成を持つ2つのホストを比較して一方のホストにおける問題を識別できます。

また、最も標準的であるとみなされるターゲットの構成を、構成ドリフトがないか多数の他のターゲットと比較することもできます。このような操作には大量のデータを必要とするため、これらの比較をオフピーク時にスケジュールすることができます。

比較テンプレートを使用して、比較をカスタマイズすることもできます。比較テンプレートを使用すると、特定のターゲット・タイプの構成を比較するときに考慮に入れる特定の定数を設定できます。たとえば、間違いなく異なる項目を無視して、情報を減らしたり誤検出を除外します。このようなカスタマイズされた比較を保存して、ユーザーおよびグループ間でテンプレートを共有することができます。

構成を比較するには、「すべてのターゲット」ページで必要なターゲットを右クリックし、「構成」「比較」の順に選択します。図4-2のような、比較ウィザードが表示されます。

比較の設定の詳細は、Cloud Controlオンライン・ヘルプを参照してください。

図4-2 「構成の比較」ページ


比較ウィザードの最初のステップのスクリーンショット

4.2.3 構成の保存

収集時に構成によって以前の構成が上書きされても、アーカイブのために管理リポジトリに構成を保存することができます。

注意:

保存済スナップショットという用語は、ターゲット全体の保存された構成を指し、そのターゲット用に保存された多数の構成スナップショットと、保存済アソシエーションが含まれることがあります。

また、構成をファイルにエクスポートできます。このファイルは、後で保存済スナップショットとして同じ管理リポジトリまたは別の管理リポジトリにインポートしなおすことができます。

最新の構成を保存するには、「ターゲット」ページで必要なターゲットを右クリックし、「構成」「保存」の順に選択します。構成の説明を指定してから、「ジョブの発行」をクリックします。

保存された構成の使用の詳細は、Cloud Controlオンライン・ヘルプを参照してください。

4.3 アソシエーションおよびトポロジについて

エンタープライズ構成管理フレームワークには、ターゲットと他のIT管理対象エンティティ間の関係を表す共通の方式および規則が用意されています。これらの関係(アソシエーション)は、ターゲットを参照できます。また、アプリケーションのWebサービスやJ2EEコンテナのデータ・ソースなど、ターゲット・コンポーネントと呼ばれるよりきめの細かいエンティティを参照することもできます。

アソシエーションは、収集された構成データに基づいて最新状態に保つことができます。プラグイン開発者は、構成データからアソシエーションを導出するロジックを指定できます。アソシエーションの詳細は、「導出されたアソシエーションの使用方法」を参照してください。

Enterprise Managerのトポロジ・ビューアは、管理対象エンティティが企業内の他のエンティティとどのように関連するかをグラフィックで表示します。ビューアを使用すると、現在のアソシエーションを表示できます。